(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051483
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 41/40 20210101AFI20240404BHJP
【FI】
F25B41/40 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157675
(22)【出願日】2022-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱舘 潤一
(72)【発明者】
【氏名】小池 史朗
(72)【発明者】
【氏名】木下 厚志
(72)【発明者】
【氏名】矢倉 周隆
(57)【要約】
【課題】弁の駆動部に対する水の付着を抑制することを目的とする。
【解決手段】冷凍サイクル装置は、積層された複数のプレート71,72を有し内部に低圧冷媒の流路27が形成された冷媒流路モジュール10Aと、第1駆動部Dを有する第1弁42と、第1駆動部Dを覆うカバー81と、を備え、冷媒流路モジュール10Aが、複数のプレート71,72の積層方向における一端側に下方へ向いた下面11aを有し、第1駆動部Dの少なくとも一部が、下面11aの下方投影域Rに配置され、カバー81が、第1駆動部Dの前記少なくとも一部を上から覆う上被覆部82を有している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のプレート(71,72)を有し内部に低圧冷媒の流路(27)が形成された冷媒流路モジュール(10A)と、
第1駆動部(D)を有する第1弁(42)と、
前記第1駆動部(D)を覆うカバー(81)と、を備え、
前記冷媒流路モジュール(10A)が、前記複数のプレート(71,72)の積層方向における一端側に下方へ向いた下面(11a)を有し、
前記第1駆動部(D)の少なくとも一部が、前記下面(11a)の下方投影域(R)に配置され、
前記カバー(81)が、前記第1駆動部(D)の前記少なくとも一部を上から覆う上被覆部(82)を有している、冷凍サイクル装置。
【請求項2】
第2駆動部(44D)を有する第2弁(44)をさらに備え、
前記第2駆動部(44D)が、前記下面(11a)の下方投影域(R)から外れた位置に配置されている、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記上被覆部(82)が、水平方向に対して傾斜している、請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記第1駆動部(D)が、コイル(D1)と、前記コイル(D1)によって作動する作動部材(D2)とを有し、
前記上被覆部(82)が、前記コイル(D1)及び前記作動部材(D2)の上方を覆いかつ前記作動部材(D2)側よりも前記コイル(D1)側が高くなるように傾斜している、請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記第1弁(42)が、弁体を収容しかつ前記第1駆動部(D)が側面に連結されたハウジング(H)を有し、
前記上被覆部(82)が、前記第1駆動部(D)側から前記ハウジング(H)側へ向かうほど高くなるように傾斜している、請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示されるように、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置では、冷媒が流れる複数の冷媒配管を1つのモジュール(冷媒流路モジュール)にまとめ、冷媒回路の小型化を図ることが知られている。このモジュールは、積層された複数のプレートを有し内部に冷媒の流路が形成されたモジュール本体と、複数のプレートの積層方向における配管本体の端面に接続された接続管とを有している。接続管には、モータやソレノイド等を含む駆動部を備えた弁が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒流路モジュールの流路に低温の低圧冷媒が流れると、周囲の空気が冷却され、プレートの表面に結露水が発生する場合がある。この結露水が弁の駆動部に付着すると故障の原因になる。
【0005】
本開示は、弁の駆動部に対する水の付着を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の冷凍サイクル装置は、
積層された複数のプレートを有し内部に低圧冷媒の流路が形成された冷媒流路モジュールと、
第1駆動部を有する第1弁と、
前記第1駆動部を覆うカバーと、を備え、
前記冷媒流路モジュールが、前記複数のプレートの積層方向における一端側に下方へ向いた下面を有し、
前記第1駆動部の少なくとも一部が、前記下面の下方投影域に配置され、
前記カバーが、前記第1駆動部の前記少なくとも一部を上から覆う上被覆部を有している。
【0007】
上記構成の冷凍サイクル装置によれば、冷媒流路モジュールを流れる低圧冷媒によって発生する結露水が冷媒流路モジュールの下面から滴下したとしても第1弁の第1駆動部にかかるのを抑制できる。
【0008】
(2)上記(1)の冷凍サイクル装置は、第2駆動部を有する第2弁をさらに備え、
前記第2駆動部が、前記下面の下方投影域から外れた位置に配置されている。
【0009】
この構成によれば、冷媒流路モジュールを流れる低圧冷媒によって発生する結露水が冷媒流路モジュールの下面から滴下したとしても第2弁の第2駆動部にかかるのを抑制できる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の冷凍サイクル装置において、好ましくは、前記上被覆部が、水平方向に対して傾斜している。
【0011】
この構成によれば、第1駆動部に付着した水を第1駆動部の側方へ流すことができる。
【0012】
(4)上記(3)の冷凍サイクル装置において、好ましくは、前記第1駆動部が、コイルと、前記コイルによって作動する作動部材とを有し、
前記上被覆部が、前記コイル及び前記作動部材の上方を覆いかつ前記作動部材側よりも前記コイル側が高くなるように傾斜している。
【0013】
この構成によれば、上被覆部に付着した結露水をコイル側から作動部材側へ流すことができ、電流が流れるコイルへの水の付着を抑制することができる。
【0014】
(5)上記(3)又は(4)の冷凍サイクル装置において、好ましくは、前記第1弁が、弁体を収容しかつ前記第1駆動部が側面に連結されたハウジングを有し、
前記上被覆部が、前記第1駆動部側から前記ハウジング側へ向かうほど高くなるように傾斜している。
【0015】
上記構成によれば、第1弁のハウジングと第1駆動部との連結部分に結露水が滴下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の一実施形態における冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す模式図である。
【
図3】冷凍サイクル装置の内部を示す平面図である。
【
図4】冷媒流路モジュールとこれに接続される部品の斜視図である。
【
図5】冷媒流路モジュールとこれに接続される部品の概略的な側面図である。
【
図6】冷媒流路モジュールの概略的な側面図(一部断面図)である。
【
図7】冷媒流路モジュールと流路切換弁と膨張弁とを示す平面図である。
【
図8】冷媒流路モジュールと流路切換弁と膨張弁とを示す正面図(一部断面図)である。
【
図9】冷媒流路モジュールと流路切換弁と膨張弁とを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本開示の一実施形態における冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す模式図である。
冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う冷媒回路を備えている。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、空気調和機である。この空気調和機1は、
図1に示すように、室外機(熱源ユニット)31と、複数の室内機(利用ユニット)32と、流路切換装置33とを有する。室外機31と流路切換装置33、及び、流路切換装置33と室内機32とは、それぞれ連絡管34,35,36,37,38によって接続されている。本実施形態の空気調和機1は、複数の室内機32において冷房と暖房とを個別に実施することができる、いわゆる冷暖フリータイプとされている。なお、冷凍サイクル装置1は、空気調和機に限定されず、冷蔵庫、冷凍庫、給湯器等であってもよい。
【0018】
(冷媒回路の構成)
室外機31は、冷媒回路30を備えている。冷媒回路30は、液連絡管34、吸入ガス連絡管35、及び高低圧ガス連絡管36を介して、流路切換装置33内の冷媒回路と接続されている。流路切換装置33の冷媒回路は、連絡管37,38を介して室内機32内の冷媒回路と接続されている。
【0019】
冷媒回路30は、第1閉鎖弁39a、第2閉鎖弁39b、第3閉鎖弁39c、圧縮機40、アキュムレータ41、複数の流路切換弁(切換機構;第1弁)42(42a,42b,42c)、室外熱交換器43、複数の膨張弁(第2弁)44(44a,44b,44c,44d)、過冷却器45、オイルセパレータ46等を備え、これらの部品が冷媒配管を介して接続されることにより構成されている。この冷媒配管には、後述する冷媒流路モジュール10も含まれる。室外機31内には、ファン62(
図2参照)やコントローラ61a(
図3参照)等が配設されている。
【0020】
第1閉鎖弁39aの一端は、吸入ガス連絡管35に接続されている。第1閉鎖弁39aの他端は、アキュムレータ41まで延びる冷媒配管に接続されている。このアキュムレータ41まで延びる冷媒配管の流路は、第1閉鎖弁39aと後述する冷媒流路モジュール10A(枠F1で示す)とを接続する冷媒配管23の流路と、冷媒流路モジュール10A内の流路27とを含む。吸入ガス連絡管35から室外機31に流入する低温の低圧冷媒は、第1閉鎖弁39aを経て冷媒配管23及び冷媒流路モジュール10A内の流路27を流れ、アキュムレータ41に流入する。
【0021】
第2閉鎖弁39bの一端は、高低圧ガス連絡管36に接続されている。第2閉鎖弁39bの他端は、流路切換弁42bまで延びる冷媒配管に接続されている。流路切換弁42bは、冷媒流路モジュール10A(枠F1で示す)にも接続されている。高低圧ガス連絡管36から室外機31に流入する低温の低圧冷媒は、第2閉鎖弁39b及び流路切換弁42bを経て冷媒流路モジュール10A内の流路27を流れ、アキュムレータ41に流入する。
【0022】
第3閉鎖弁39cの一端は、液連絡管34に接続されている。第3閉鎖弁39cの他端は、過冷却器45まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0023】
圧縮機40は、圧縮機用モータを内蔵する密閉式の構造を有しており、例えばスクロール方式やロータリ方式などの容積式の圧縮機である。圧縮機40は、吸入配管47から吸入した低圧冷媒を圧縮した後、吐出配管48から吐出する。圧縮機40の内部には、冷凍機油が収容されている。この冷凍機油は、冷媒とともに冷媒回路30内を循環することがある。圧縮機40は、容器の一種である。
【0024】
オイルセパレータ46は、圧縮機40から吐出された冷媒から冷凍機油を分離するための容器である。分離された冷凍機油は、油戻し管46aを介して圧縮機40に戻される。
【0025】
アキュムレータ41は、圧縮機40に吸入される低圧冷媒を一時的に貯留し、ガス冷媒と液冷媒とを分離するための容器である。アキュムレータ41の流入口41bは、第1閉鎖弁39aから延びる冷媒配管に接続されている。アキュムレータ41の流出口41aは、吸入配管47に接続されている。アキュムレータ41には、油戻し管50の一端が接続されている。油戻し管50の他端は、吸入配管47に接続されている。油戻し管50は、アキュムレータ41から圧縮機40への冷凍機油を戻すための管である。油戻し管50には第1開閉弁51が設けられている。第1開閉弁51は、電磁弁からなる。第1開閉弁51が開くと、アキュムレータ41内の冷凍機油が油戻し管50を通り、吸入配管47を流れる冷媒とともに圧縮機40へ吸入される。
【0026】
各流路切換弁42は、四路切換弁である。各流路切換弁42は、空気調和機1の運転状況に応じて冷媒の流れを切り換える。各流路切換弁42の一の冷媒流入口には、オイルセパレータ46から延びる冷媒配管が接続されている。
【0027】
各流路切換弁42は、運転時において、一の冷媒流路における冷媒の流れが遮断されるように構成されており、事実上、三方弁として機能している。以下、複数の流路切換弁42を、それぞれ第1流路切換弁42a、第2流路切換弁42b、第3流路切換弁42cともいう。
【0028】
各膨張弁44は、例えば開度調整が可能な電動弁である。各膨張弁44は、運転状況に応じて開度が調整され、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧する。以下、複数の膨張弁44を、それぞれ第1膨張弁44a、第2膨張弁44b、第3膨張弁44c、第4膨張弁44dともいう。
【0029】
室外熱交換器43は、クロスフィン型式やマイクロチャネル型式の熱交換器である。室外熱交換器43は、第1熱交換部43aと、第2熱交換部43bと、第3熱交換部43cと、第4熱交換部43dとを含んでいる。第1熱交換部43aのガス側端は、第3流路切換弁42cまで延びる冷媒配管に接続されている。第1熱交換部43aの液側端は、第1膨張弁44aまで延びる冷媒配管に接続されている。
【0030】
第2熱交換部43bのガス側端は、第1流路切換弁42aまで延びる冷媒配管に接続されている。第2熱交換部43bの液側端は、第2膨張弁44bまで延びる冷媒配管に接続されている。
【0031】
第3熱交換部43cのガス側端及び第4熱交換部43dのガス側端は、それぞれオイルセパレータ46から延びて分岐する冷媒配管に接続されている。第3熱交換部43c及び第4熱交換部43dの液側端は、第3膨張弁44cまで延びる冷媒配管に接続されている。
【0032】
過冷却器45は、第1伝熱管45aと第2伝熱管45bとを有する。第1伝熱管45aの一端は、第1~第3膨張弁44a,44b,44cまで延びる冷媒配管に接続されている。第1伝熱管45aの他端は、第3閉鎖弁39cまで延びる冷媒配管に接続されている。第2伝熱管45bの一端は、第1伝熱管45aと第1~第3膨張弁44a,44b,44cとの間の冷媒配管から分岐する第1分岐管53に接続されている。第1分岐管53には、第4膨張弁44dが設けられている。第2伝熱管45bの他端は、インジェクション配管55の一端に接続されている。インジェクション配管55の他端は、圧縮機40の中間ポートに接続されている。
【0033】
インジェクション配管55には、第2分岐管56の一端が接続されている。第2分岐管56の他端(出口端)は、吸入配管47に接続されている。第2分岐管56には、第2開閉弁57と逆止弁58とが設けられている。第2開閉弁57は、電磁弁からなる。
【0034】
過冷却器45は、圧縮機40から室外熱交換器43及び膨張弁44を通過して第1伝熱管45aを流れる冷媒と、膨張弁44dにより減圧されて第2伝熱管45bを流れる冷媒との間で熱交換を行い、第1伝熱管45aを流れる冷媒を過冷却する。第2伝熱管45bを流れる冷媒は、インジェクション配管55を通り、圧縮機40の中間ポートに吸入される。第2開閉弁57が開くと、インジェクション配管55を流れる冷媒が第2分岐管56に分岐して流れ、吸入配管47を通って圧縮機40に吸入される。
【0035】
(室外機の構造)
以下、室外機(熱源ユニット)31の具体的な構造について説明する。
図2は、冷凍サイクル装置を示す斜視図である。
図3は、冷凍サイクル装置の内部を示す平面図である。
なお、以下の説明における左右方向、前後方向、上下方向の記載は、
図2及び
図3に示す矢印X,Y,Zに基づく。具体的に、以下の説明では、
図2及び
図3に矢印Xで示す第1方向を左右方向とし、矢印Yで示す第2方向を前後方向とし、矢印Zで示す第3方向を上下方向とする。ただし、これらの方向の記載は一例であり、本開示を限定するものではない。例えば第1方向Xを前後方向とし、第2方向Yを左右方向としてもよい。
【0036】
図2及び
図3に示すように、室外機31は、ケーシング60を有し、このケーシング60内に、圧縮機40、アキュムレータ41、室外熱交換器43、オイルセパレータ46等の冷媒回路を構成する部品と、電装品ユニット61と、ファン62等とが収容されている。ファン62は、ケーシング60の上部に設けられている。
【0037】
ケーシング60は、略直方体形状に形成されている。ケーシング60は、底板63、支柱64、天板65、前板66等を有している。底板63は、上面視で四角形状に形成されている。支柱64は、断面形状が略L字状で上下方向に長い長尺部材からなり、底板63の4隅に取り付けられている。
【0038】
天板65は、底板63と略同一の四角形状に形成され、底板63の上方に間隔をあけて配置されている。天板65の四隅には、各支柱64の上端が取り付けられている。天板65には、略四角形状の通風口が形成されており、この通風口には異物の侵入を抑制するためのグリル65aが設けられている。
【0039】
図3に示すように、ケーシング60の前面には、メンテナンス用の開口60aが形成されている。開口60aは、前板(前側の側板)66によって塞がれている。この前板66をケーシング60から取り外すことによって、開口60aを介してケーシング60内の部品のメンテナンスや交換等を行うことができる。
【0040】
ケーシング60の底板63上には、圧縮機40、アキュムレータ41、室外熱交換器43、オイルセパレータ46等の部品が搭載されている。
【0041】
室外熱交換器43は、ケーシング60の3つの側面に対応(対向)して配置されている。具体的には、室外熱交換器43は、ケーシング60の左側面、右側面、及び後側面に沿うように上面視でU字形状に形成されている。室外熱交換器43の一方側の端部にはガスヘッダ43eが設けられ、他方側の端部には液ヘッダ43fが設けられている。ケーシング60の左側面、右側面、及び後側面には、それぞれ外気を取り入れるための取入口60bが形成されている。
【0042】
室外機31は、ファン62の駆動によってケーシング60の取入口60bから空気を取り入れ、当該空気と室外熱交換器43との間で熱交換を行った後にケーシング60の上部から上方へ空気を吹き出すように構成されている。
【0043】
圧縮機40は、ケーシング60の前面付近の左右方向Xの略中央に配置されている。電装品ユニット61は、ケーシング60の前面付近であって、圧縮機40の右側に隣接して配置されている。圧縮機40の後方には、アキュムレータ41が配置されている。アキュムレータ41の左側にはオイルセパレータ46が配置されている。電装品ユニット61は、圧縮機40及び弁42,44、ファン62等の動作を制御するコントローラ61aを備えている。
【0044】
(冷媒流路モジュールの構成)
図4は、冷媒流路モジュールとこれに接続される部品の斜視図である。
図5は、冷媒流路モジュールとこれに接続される部品の概略的な側面図である。冷媒流路モジュールの概略的な側面図である。
図2~
図5に示すように、室外機31には、冷媒流路モジュール10が設けられている。この冷媒流路モジュール10は、圧縮機40、アキュムレータ41、流路切換弁42、室外熱交換器43、膨張弁44、オイルセパレータ46等の部品を接続する冷媒配管の流路の一部を構成するモジュール(ユニット)である。具体的に、本実施形態の冷媒流路モジュール10は、
図1に2点鎖線で示す枠F1と枠F2とにおける冷媒流路を形成する。
【0045】
本実施形態の冷媒流路モジュール10は、上側冷媒流路モジュール10Aと、下側冷媒流路モジュール10Bとを含む。上側冷媒流路モジュール10Aは、
図1の枠F1における冷媒流路を形成する。下側冷媒流路モジュール10Bは、
図1の枠F2における冷媒流路を形成する。
【0046】
上側冷媒流路モジュール10A及び下側冷媒流路モジュール10Bは、それぞれ内部に流路を有するモジュール本体11と、モジュール本体11に取り付けられ、モジュール本体11内の流路に連通する接続管(継手管)12とを有する。
【0047】
図6は、冷媒流路モジュールの概略的な側面図(一部断面図)である。
モジュール本体11は、板状又はブロック状に形成されている。モジュール本体11は、複数のプレート71,72を積層させることによって構成されている。モジュール本体11は、複数のプレート71,72の積層方向(各プレート71,72の法線方向)を上下方向(第3方向Z)に向けた状態で配置されている。したがって、モジュール本体11は、水平に配置された上面11b及び下面11aを有している。モジュール本体11の上面11b及び下面11aは、実質的に冷媒流路モジュール10の上面及び下面を構成している。
【0048】
モジュール本体11の上面11b及び下面11aは長方形である。モジュール本体11の厚さ(上下方向の長さ)は、上面11b及び下面11aの長辺及び短辺の長さよりも小さい。したがって、モジュール本体11は、扁平な形状に形成されている。モジュール本体11は、厳密に水平に配置されていなくてもよく、例えば水平方向に対して±10°の範囲内で傾いていてもよい。
【0049】
複数のプレート71,72は、ステンレス製である。本実施形態のプレート71,72は、例えば、SUS304Lにより形成されている。複数のプレート71,72は、互いにろう付けによって接合されている。
【0050】
複数のプレート71,72は、積層方向における両端に配置された端部プレート71と、両側の端部プレート71の間に配置された中間プレート72とを含む。本実施形態のモジュール本体11は、3枚の中間プレート72を含む。モジュール本体11を構成するプレート71,72の枚数は、特に限定されるものではなく、2枚以上であればよい。
【0051】
端部プレート71には、接続管12を取り付けるための開口73が形成されている。開口73は、端部プレート71を上下方向Zに貫通している。開口73は、円形状である。中間プレート72には、流路15を構成する開口74が形成されている。開口74は、中間プレート72を上下方向Zに貫通している。開口74は、水平方向に長く形成されるか、円形状に形成される。開口74の形状は特に限定されるものではなく、必要となる流路15の形態に応じて適宜形状が設定される。上側冷媒流路モジュール10Aの流路15は、
図1において説明した流路27を含む。
【0052】
接続管12は、モジュール本体11の上面11b及び下面11aに取り付けられた筒体である。接続管12は、銅を主成分とする材料、例えば、銅(純銅)又は銅合金により形成されている。接続管12は、モジュール本体11の開口73に挿入された状態でろう付けにより接合されている。接続管12には、冷媒回路を構成する冷媒配管が接続される。冷媒流路モジュール10を構成するモジュール本体11の複数のプレート71,72と接続管12とは炉中ろう付けによって接合される。特に、プレート71と接続管12との接合は、ステンレス鋼と銅との異種材料による接合となるため、炉中ろう付けが適している。
【0053】
図4及び
図5に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとは、互いに平行に配置されている。
図3に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとは、上面視において互いに重なるように配置されている。上面視において、上側冷媒流路モジュール10Aの面積は、下側冷媒流路モジュール10Bの面積よりも大きい。下側冷媒流路モジュール10Bは、概ね上側冷媒流路モジュール10Aの上下方向の投影域内に配置されている。
【0054】
図3に示すように、冷媒流路モジュール10は、圧縮機40及びアキュムレータ41よりも左側(第1方向Xの一方側)に配置されている。冷媒流路モジュール10は、オイルセパレータ46の前側(第2方向Yの一方側)に配置されている。本実施形態の冷媒流路モジュール10は、ケーシング60の底板63上に固定された冷媒回路の構成部品を介して冷媒配管により支持されている。下側冷媒流路モジュール10Bは、上側冷媒流路モジュール10Aによっても冷媒配管及び冷媒回路の構成部品を介して支持されている。
【0055】
図4及び5に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aの下側には、アキュムレータ41の冷媒流出口41aから延びる冷媒配管21と、冷媒流入口41bから延びる冷媒配管22とが接続されている。アキュムレータ41は、室外機31のケーシング60の底板63上に設けられた取付具67に取り付けられ固定されている。冷媒配管21,22は、上側冷媒流路モジュール10Aのモジュール本体11の下面に設けられた接続管12に接続され、上側冷媒流路モジュール10Aを下方から支持している。
【0056】
上側冷媒流路モジュール10Aの下側には、流路切換装置33(
図1参照)からのガス冷媒の入口となる第1閉鎖弁(ガス閉鎖弁)39aから延びる冷媒配管23も接続されている。
図5に示すように、第1閉鎖弁39aは、底板63上に設けられた取付具68に取り付けられ、固定されている。冷媒配管23は、第1閉鎖弁39aから折り曲げられて上方へ延び、その上端が上側冷媒流路モジュール10Aのモジュール本体11の下面11aに設けられた接続管12に接続されている。
【0057】
上側冷媒流路モジュール10Aは、冷媒配管21、冷媒配管22、及び、冷媒配管23によって下方から支持され、ケーシング60の底板63の上方に間隔をあけて配置されている。冷媒配管21、冷媒配管22、及び冷媒配管23は、いずれもガス冷媒が流れるガス配管である。このガス配管は、液冷媒が流れる液配管と比べて管径が大きく、強度も高い。したがって、上側冷媒流路モジュール10Aは、これらの冷媒配管21,22,23によって安定して支持される。冷媒配管21及び冷媒配管22は、ケーシング60に固定されたアキュムレータ41に接続され、冷媒配管23は、ケーシング60に固定された第1閉鎖弁39aに接続されている。そのため、上側冷媒流路モジュール10Aは、ケーシング60に固定された冷媒回路の構成部品41,39aを介して冷媒配管21,22,23によってより安定して支持されている。
【0058】
図5に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aのモジュール本体11の上面には、圧縮機40の冷媒流入口40bから延びる冷媒配管24が接続されている。したがって、上側冷媒流路モジュール10Aは、冷媒配管24によって上方からも支持されている。冷媒配管24はガス冷媒が流れるガス配管であり、液配管よりも径が大きく強度も高い。そのため、上側冷媒流路モジュール10Aは、冷媒配管24によって安定して支持される。圧縮機40は、ケーシング60の底板63に設けられた取付具等を介して固定されている。そのため、上側冷媒流路モジュール10Aは、底板63に固定された圧縮機40を介して冷媒配管24によってより安定して支持される。
【0059】
上側冷媒流路モジュール10Aの上側には、流路切換弁42bが接続されている。この流路切換弁42bは、弁体を内蔵したハウジングHと、ハウジングHに対する冷媒の出入口となる複数のポートPとを有する。ハウジングHは、円筒状に形成されている。ポートPは、ハウジングHから上方及び下方に突出する短い管(冷媒配管)である。ポートPは、銅を主成分とする材料、例えば銅(純銅)又は銅合金により形成されている。ハウジングHの下側に突出するポートPは、上側冷媒流路モジュール10Aの上部に設けられた接続管12に直接接続されている。ハウジングHの上側に突出するポートPは、冷媒配管を介して上側冷媒流路モジュール10Aの上側に設けられた接続管12に接続されている。
【0060】
下側冷媒流路モジュール10Bは、上側冷媒流路モジュール10Aの下方に間隔をあけて配置されている。下側冷媒流路モジュール10Bは、ケーシング60の底板63の上方に間隔をあけて配置されている。上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとの間には、流路切換弁42a,42cが配置されている。
【0061】
これら流路切換弁42a,42cは、弁体を内蔵したハウジングHと、ハウジングHに対する冷媒の出入口となる複数のポートPとを有する。ハウジングHは、円筒状に形成されている。ポートPは、ハウジングHから上方及び下方に突出する短い管(冷媒配管)である。ポートPは、銅を主成分とする材料、例えば銅(純銅)又は銅合金により形成されている。ハウジングHから上方に突出するポートPは、上側冷媒流路モジュール10Aの下部に設けられた接続管12に直接接続されている。ハウジングHから下方に突出するポートPは、下側冷媒流路モジュール10Bの上部に設けられた接続管12に直接接続されている。
【0062】
上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとの間には、冷媒配管25が配置されている。この冷媒配管25は、上下方向に沿って直線状に延びており、上端が上側冷媒流路モジュール10Aの下部に設けられた接続管12に接続され、下端が下側冷媒流路モジュール10Bの上部に設けられた接続管12に接続されている。したがって、冷媒配管25は、上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとを最短距離で接続している。
【0063】
図4に示すように、下側冷媒流路モジュール10Bの下側には、複数の膨張弁44が接続されている。膨張弁44は、冷媒の流量を調整する弁体を収容するハウジング44Hと、弁体を駆動する駆動部(第2駆動部)44Dとを有する。駆動部44Dはパルスモータ等のモータを含む。膨張弁44は、駆動部44Dによって弁体を操作することで冷媒の流量を調整する。
【0064】
下側冷媒流路モジュール10Bは、上側冷媒流路モジュール10Aと流路切換弁42a,42c及び冷媒配管25で接続され、これらを介して上側冷媒流路モジュール10Aによって上方から支持されている。
【0065】
図3及び
図5に示すように、下側冷媒流路モジュール10Bの上側には、オイルセパレータ46から延びる冷媒配管26が接続されている。冷媒配管26は、ケーシング60に固定されたオイルセパレータ46に接続されているので、下側冷媒流路モジュール10Bは、冷媒配管26によっても支持される。言い換えると、下側冷媒流路モジュール10Bは、ケーシング60に固定された冷媒回路の構成部品46を介して冷媒配管26によって安定して支持されている。
【0066】
(流路切換弁の構成)
図7は、冷媒流路モジュールと流路切換弁と膨張弁とを示す平面図である。
図8は、冷媒流路モジュールと流路切換弁と膨張弁とを示す正面図(一部断面図)である。
図9は、冷媒流路モジュールと流路切換弁と膨張弁とを示す側面図である。
【0067】
流路切換弁42は、ハウジングH及びポートPの他、駆動部(第1駆動部)Dを有している。駆動部Dは、ハウジングH内に設けられた弁体を操作する。駆動部Dは、ハウジングHの前側(第2方向Yの一方側)の側面に取り付けられている。ここで、第2方向Yは、ハウジングHと駆動部Dとが並ぶ方向といえる。
【0068】
本実施形態の駆動部Dは、コイルD1と、作動部材D2とを含む。コイルD1と作動部材D2とは第1方向Xに並べて配置されている。コイルD1は電磁ソレノイドを構成している。作動部材D2は、コイルD1によって往復動する弁体を有する。作動部材D2には、ポートPからパイロット管(キャピラリ管)p1,p2を介して低圧冷媒と高圧冷媒とが供給される。ハウジングH内の一端側に設けられた油圧室及び他端側に設けられた油圧室と、作動部材D2とは、それぞれパイロット管(キャピラリ管)p3、p4で接続される。作動部材D2に供給された低圧冷媒及び高圧冷媒は、それぞれ作動部材D2の弁体によってパイロット管p3,p4のいずれかに切り替えて流れハウジングH内の油圧室に流入する。ハウジングH内の弁体は、低圧冷媒及び高圧冷媒の圧力差によって操作される。ここで、第1方向Xとは、コイルD1と作動部材D2とが並ぶ方向といえる。
【0069】
図7~
図9に示すように、上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとの間に設けられた流路切換弁42a,42cは、その一部が上側冷媒流路モジュール10A(モジュール本体11)の下面11aの下方投影域Rに配置されている。特に、流路切換弁42a,42cの駆動部Dは、その一部が上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aの下方投影域Rに配置されている。なお、
図7には、当該下面11aを2点鎖線で示している。当該下面11aの下方投影域Rは、この2点鎖線で囲まれた領域となる。
【0070】
図1を参照して説明したように、冷房運転の際、上側冷媒流路モジュール10A内の流路27には低温の低圧冷媒が流入する。そのため、上側冷媒流路モジュール10Aによって周囲の空気が冷やされ、上側冷媒流路モジュール10Aに結露水w(
図8、
図9参照)が発生しやすくなる。上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aは、水平に配置されているため、当該下面11aで発生した結露水wはそのまま下方に滴下する可能性がある。
【0071】
前述したように流路切換弁42a,42cの駆動部Dは、冷媒流路モジュール10Aの下面11aの下方投影域Rに配置されているので、下面11aから滴下した結露水wがかかる可能性がある。駆動部Dは、電流が流れるコイルD1を含むため、結露水wの付着は故障等の不具合の原因になる。そのため、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、駆動部Dを覆うカバー81を備えている。
【0072】
(カバーの構造)
図9に示すように、カバー81は、略L字状に形成されている。カバー81は、上被覆部82と、横被覆部83とを含む。上被覆部82は、駆動部Dを上方から覆っている。
図7にも示すように、上被覆部82は、駆動部Dの全体を覆っている。
【0073】
横被覆部83は、駆動部Dを側方(前側の側方)から覆っている。具体的に、横被覆部83は、駆動部DのハウジングHとは反対側の側方を覆っている。横被覆部83は、
図8に示すように、駆動部Dの全体を覆っている。
【0074】
図9に示すように、横被覆部83の上端と上被覆部82の第2方向Yの一端(前端)とが互いに接続されている。カバー81は、金属製又は合成樹脂製である。例えば、カバー81は、例えばSGCC(溶融亜鉛メッキ鋼板)により形成される。カバー81は、駆動部D(例えば、コイルD1のケース)、ハウジングH、又はポートPにネジ等によって固定されている。
【0075】
上被覆部82は、水平に対して傾斜して配置されている。具体的に、
図8に示すように、上被覆部82は、駆動部DのコイルD1と作動部材D2とが並ぶ方向(第1方向X)に傾斜して配置されている。特に、上被覆部82は、コイルD1側が高く、作動部材D2側が低くなるように傾斜している。以下、この傾斜を「第1の傾斜」ともいう。第1の傾斜は、水を流すために水平に対して10°以上の傾斜角度を有していることが好ましい。第1の傾斜の角度は、例えば15°に設定することができる。
【0076】
図9に示すように、上被覆部82は、ハウジングHと駆動部Dとが並ぶ方向(第2方向Y)にも傾斜して配置されている。特に、上被覆部82は、駆動部D側からハウジングH側へ向かうほど高くなるように傾斜して配置されている。この傾斜を「第2の傾斜」ともいう。第2の傾斜は、水を流すために水平に対して10°以上の傾斜角度を有していることが好ましい。第2の傾斜の角度は、例えば15°に設定することができる。
【0077】
上述したように、上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aにおいて発生した結露水wが滴下すると、当該結露水wは、カバー81の上被覆部82によって遮られる。そのため、結露水wが駆動部Dにかかるのを抑制することができる。上被覆部82に滴下した結露水wは、
図8に示すように、第1の傾斜によってコイルD1側から作動部材D2側へ流れる。そのため、電流が流れるコイルD1に対する結露水wの付着が抑制され、故障等の不具合を抑制することができる。
【0078】
上被覆部82に滴下した結露水wは、
図9に示すように、第2の傾斜によってハウジングH側から駆動部D側へ流れる。そのため、ハウジングHと駆動部Dとの連結部分への結露水wの滴下が抑制される。ハウジングHと駆動部Dとの連結部分に結露水wが滴下すると、結露水wがハウジングHと駆動部Dとを橋渡した状態で溜まり、コイルD1に付着する可能性が高まる。したがって、上被覆部82の第2の傾斜によって、コイルD1への結露水wの付着をより抑制することができる。第2の傾斜によって上被覆部82を伝って流れた結露水wは、さらに横被覆部83を伝って下方に流れる。
【0079】
流路切換弁42a,42cには高圧冷媒と低圧冷媒との双方が流れ、一部が冷却されるので、カバー81自体も低温になる可能性がある。カバー81自体が低温になると、カバー81において結露水が発生する可能性がある。この場合、上被覆部82の下面に結露水が発生したとしても第1の傾斜によって、当該結露水はコイルD1側から作動部材D2側へ流れるので、コイルD1への付着が抑制される。
【0080】
図7及び
図8に示すように、カバー81は、駆動部Dだけでなく駆動部DとポートPとを繋ぐパイロット管p1、p2をも覆っている。カバー81は、駆動部DとハウジングH内の油圧室とを繋ぐパイロット管p3、p4の一部をも覆っている。そのため、これらのパイロット管p1~p4の少なくとも一部に対する結露水の付着を抑制することができる。
【0081】
図8に示すように、カバー81は、駆動部Dよりも左右方向(第1方向X)の外側へ突出している。カバー81が駆動部Dよりも左右方向に突出する部分を備えることで、駆動部Dへの結露水wの付着をより抑制することができる。例えば、上被覆部82の左右方向の端部の下面では、結露水が表面張力によって留まり、留まった結露水が重力によって滴下する可能性がある。カバー81が駆動部Dよりも左右方向に突出する部分を備えることで、このように滴下した結露水が駆動部Dに直接かかることを抑制することができる。
【0082】
(膨張弁44の配置)
図7及び
図8に示すように、膨張弁44は、下側冷媒流路モジュール10Bの下面11aに冷媒配管を介して取り付けられている。この膨張弁44の駆動部44Dは、下側冷媒流路モジュール10Bの側方に配置されている。さらに、駆動部44Dは、上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aの下方投影域Rから外れた位置に配置されている。そのため、上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aで発生した結露水が滴下したとしても、当該結露水が駆動部44Dにかかるのを抑制することができる。したがって、駆動部44Dの故障等の不具合を抑制することができる。
【0083】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、流路切換弁42a,42cの駆動部Dの一部が上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aの下方投影域Rに配置されていたが、駆動部Dの全部が下方投影域Rに配置されていてもよい。カバー81は、駆動部Dの上方全体又は前側の側方全体を覆っていたが、少なくとも下方投影域Rに配置された部分のみを覆っていればよい。
【0084】
上記実施形態では、流路切換弁42a,42cは、上側冷媒流路モジュール10Aに接続されていたが、必ずしも上側冷媒流路モジュール10Aに接続されていなくてもよい。上記実施形態では、膨張弁44は、上側冷媒流路モジュール10Aに接続されていないが、上側冷媒流路モジュール10Aに接続されていてもよい。
【0085】
上記実施形態では、上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aの下方投影域Rに配置される駆動部として、流路切換弁42の駆動部Dが例示されていたが、これに限定されるものではない。例えば、膨張弁44の駆動部44Dの少なくとも一部が、上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aの下方投影域Rに配置されていてもよい。この場合、この駆動部44Dが上被覆部82を有するカバー81で覆われていればよい。流路切換弁42、膨張弁44以外の弁の駆動部が、上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aの下方投影域Rに配置されていてもよい。流路切換弁42a,42cの駆動部Dは、下方投影域Rから外れた位置に配置されていてもよい。
【0086】
上記実施形態の冷凍サイクル装置1は、上側冷媒流路モジュール10Aと下側冷媒流路モジュール10Bとを備えていたが、上側冷媒流路モジュール10Aのみを備えていてもよい。
【0087】
カバー81の上被覆部82の第1の傾斜は、コイルD1側が低く、作動部材D2側が高くなるように傾斜していてもよい。カバー81の上被覆部82は、第1の傾斜及び第2の傾斜の一方のみを有していてもよい。カバー81の上被覆部82は、第1の傾斜及び第2の傾斜の双方を有していなくてもよい。
【0088】
カバー81は、駆動部DのハウジングH側の側面を覆う更なる横被覆部を備えていてもよい。カバー81は、略L字状に屈曲された形状を有していたが、円弧状に湾曲した形状を有していてもよい。カバー81は、少なくとも上被覆部82を備えていればよく、横被覆部を備えていなくてもよい。
【0089】
上記実施形態の上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aは、水平に配置され、下方に向いている。言い換えると、下面11aの法線方向は、鉛直方向と一致している。しかし、下面11aの法線方向は、鉛直方向に対して傾斜して配置されていてもよい。したがって、上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aが向く「下方」とは、「真下」だけでなく「斜め下方」も含む。上側冷媒流路モジュール10Aの下面11aが斜め下方に向いている場合、下面11aで発生した結露水は下面11aの傾斜によって特定の方向に流れ易くなる。そのため、例えば、弁42,44の駆動部D、44Dが配置されていない方向に向けて結露水を流すことができる。
【0090】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の冷凍サイクル装置1は、積層された複数のプレート71,72を有し内部に低圧冷媒の流路27が形成された冷媒流路モジュール10Aと、第1駆動部Dを有する第1弁(流路切換弁)42と、第1駆動部Dを覆うカバー81と、を備える。冷媒流路モジュール10Aは、複数のプレート71,72の積層方向における一端側に下方へ向いた下面11aを有する。第1駆動部Dの少なくとも一部が、下面11aの下方投影域Rに配置される。カバー81は、第1駆動部Dの少なくとも一部を上から覆う上被覆部82を有する。このような構成により、冷媒流路モジュール10Aを流れる低圧冷媒によって発生する結露水が冷媒流路モジュール10Aの下面11aから滴下したとしても、第1弁42の第1駆動部Dにかかるのを抑制することができる。
【0091】
(2)上記実施形態の冷凍サイクル装置1は、第2駆動部44Dを有する第2弁(膨張弁)44をさらに備える。第2駆動部44Dは、冷媒流路モジュール10Aの下面11aの下方投影域Rから外れた位置に配置されている。そのため、冷媒流路モジュール10Aを流れる低圧冷媒によって発生する結露水が冷媒流路モジュール10Aの下面11aから滴下したとしても、第2弁44の第2駆動部44Dにかかるのを抑制することができる。
【0092】
(3)上記実施形態では、上被覆部82が、水平方向に対して傾斜している。そのため、第1駆動部Dに付着した水を第1駆動部Dの側方へ流すことができる。
【0093】
(4)上記実施形態では、第1駆動部Dが、コイルD1と、コイルD1によって作動する作動部材D2とを有する。上被覆部82は、コイルD1及び作動部材D2の上方を覆いかつ作動部材D2側よりもコイルD1側が高くなるように傾斜している。そのため、上被覆部82に付着した結露水をコイルD1側から作動部材D2側へ流すことができ、電流が流れるコイルD1への結露水の付着を抑制することができる。
【0094】
(5)上記実施形態では、第1弁42が、弁体を収容しかつ第1駆動部Dが側面に連結されたハウジングHを有する。上被覆部82は、第1駆動部D側からハウジングH側へ向かうほど高くなるように傾斜している。そのため、第1弁42のハウジングHと第1駆動部Dとの連結部分に結露水が滴下するのを抑制することができる。
【0095】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1 :冷凍サイクル装置
10A :上側冷媒流路モジュール
27 :流路
42 :流路切換弁(第1弁)
44 :膨張弁(第2弁)
44D :駆動部(第2駆動部)
44H :ハウジング
71 :プレート
72 :プレート
81 :カバー
82 :上被覆部
D :駆動部(第1駆動部)
D1 :コイル
D2 :作動部材
R :下方投影域
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
この構成によれば、上被覆部に付着した水を第1駆動部の側方へ流すことができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
(3)上記実施形態では、上被覆部82が、水平方向に対して傾斜している。そのため、上被覆部82に付着した水を第1駆動部Dの側方へ流すことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】