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特開2024-51489広告枠管理装置、広告枠管理方法、及び、記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051489
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】広告枠管理装置、広告枠管理方法、及び、記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20240404BHJP
【FI】
G06Q30/02 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157686
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】香月 正宏
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告枠を様々な形態で管理、販売することにより、販売の促進及び効率化を図る。
【解決手段】広告枠管理装置において、作成手段は、ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成する。送信手段は、所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信する。調整手段は、販売状況に基づいて、広告枠情報を調整する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成する作成手段と、
所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信する送信手段と、
販売状況に基づいて、前記広告枠情報を調整する調整手段と、
を備える広告枠管理装置。
【請求項2】
前記所定種類の広告枠は、複数の広告会社を販売の対象とする公開枠を含み、
前記送信手段は、前記公開枠に対応する販売情報を、複数の広告会社が参加する取引システムへ送信する請求項1に記載の広告枠管理装置。
【請求項3】
前記所定種類の広告枠は、特定の広告会社を販売の対象とするプライベート枠を含み、
前記送信手段は、前記プライベート枠に対応する販売情報を、前記特定の広告会社の装置へ送信する請求項1に記載の広告枠管理装置。
【請求項4】
前記販売情報は、対応する広告枠の価格と、当該広告枠に対応する放送番組に関する番組情報と、を含む請求項1に記載の広告枠管理装置。
【請求項5】
前記複数種類の広告枠は、タイム枠及びスポット枠を含む通常枠と、特定の広告会社を販売の対象とするプライベート枠と、多数の広告会社を販売の対象とする公開枠とを含み、
前記調整手段は、前記通常枠において未販売の時間を、前記プライベート枠又は前記公開枠に移動する請求項1に記載の広告枠管理装置。
【請求項6】
ある番組に対応する広告枠の販売終了時に、前記通常枠及び前記プライベート枠において未販売の時間を前記公開枠に移動する終了処理手段を備える請求項5に記載の広告枠管理装置。
【請求項7】
販売が終了した複数の番組の広告枠情報と、前記広告枠情報の販売実績情報とに基づいて、広告枠情報に含まれる複数種類の広告枠の配分と各広告枠の販売価格との関係を学習したモデルを用いて、広告枠の販売価格が高くなる広告枠の配分を提案する提案手段を備える請求項1に記載の広告枠管理装置。
【請求項8】
ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成し、
所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信し、
販売状況に基づいて、前記広告枠情報を調整する広告枠管理方法。
【請求項9】
ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成し、
所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信し、
販売状況に基づいて、前記広告枠情報を調整する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放送番組における広告枠の管理・販売手法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ番組中に流れる広告の取引を支援する装置が提案されている。例えば、特許文献1は、広告枠提供者と広告枠利用者との間で、テレビコマーシャル用の広告枠の取引を支援する装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-77226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広告枠を販売する放送局は、広告枠を購入する広告主や代理店の特性やニーズなどを考慮し、様々な形態で広告枠を管理し、販売することが好ましい。
【0005】
本開示の1つの目的は、広告枠を様々な形態で管理、販売することにより、販売の促進及び効率化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの観点では、広告枠管理装置は、
ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成する作成手段と、
所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信する送信手段と、
販売状況に基づいて、前記広告枠情報を調整する調整手段と、
を備える。
【0007】
本開示の他の観点では、広告枠管理方法は、
ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成し、
所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信し、
販売状況に基づいて、前記広告枠情報を調整する。
【0008】
本開示の他の観点では、記録媒体は、
ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成し、
所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信し、
販売状況に基づいて、前記広告枠情報を調整する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、広告枠を様々な形態で管理、販売することにより、販売の促進及び効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る広告枠取引システムの概略構成を示す。
図2】放送局の端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】放送局の端末装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】広告枠情報の一例を示す。
図5】広告枠情報の調整の例を示す。
図6】広告枠の販売終了処理の例を示す。
図7】公開枠の販売情報の一例を示す。
図8】広告枠販売処理のフローチャートである。
図9】第2実施形態に係る広告枠管理装置の構成を示すブロック図である。
図10】第2実施形態による広告枠管理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、第1実施形態に係る広告枠取引システム100の概略構成を示す。広告枠取引システム100は、公開市場システム2と、複数の広告会社の端末装置5と、放送局の端末装置10とを備える。なお、広告会社の端末装置5については、個々の広告会社を区別するときには端末装置5に添え字を付し、区別しないときには単に「端末装置5」と呼ぶ。
【0012】
広告会社の端末装置5は、各広告会社の担当者などにより操作され、放送局が販売する広告枠の購入手続きを行うためのものである。端末装置5は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末などにより構成され、インターネットなどのネットワークを通じて公開市場システム2や放送局の端末装置10と通信する。
【0013】
放送局の端末装置10は、放送局内の担当者などにより操作され、放送局内で設定された広告枠の販売に用いられる。端末装置10は、例えば、パーソナルコンピュータにより構成され、インターネットなどのネットワークを通じて公開市場システム2や広告会社の端末装置5と通信する。「広告枠」とは、放送局が放送するTV番組中に流れるCMの時間帯を示す情報である。広告枠は、放送局内でTV番組毎に予め設定され、広告会社に対して販売される。広告枠の詳細については後述する。
【0014】
公開市場システム2は、放送局が用意した広告枠を多数の広告会社に販売する公開市場を形成するシステムである。公開市場システム2は、放送局と複数の広告会社との間で広告枠を売買するための各種の機能を有し、公開市場を運営する業者のサーバ装置などにより実現される。
【0015】
本実施形態では、放送局は複数種類の広告枠を作成し、その種類毎に異なる方法で広告枠を販売する点に特徴を有する。詳細は後述するが、放送局は、通常枠、プライベート枠、及び、公開枠の3種類の広告枠を作成し、それぞれ異なる販売経路で広告枠を販売する。
【0016】
[放送局の端末装置のハードウェア構成]
図2は、放送局の端末装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図示のように、端末装置10は、通信部11と、プロセッサ12と、メモリ13と、記録媒体14と、データベース(DB)15と、入力部16と、表示部17とを備える。
【0017】
通信部11は、インターネットなどのネットワークを通じて、公開市場システム2及び広告会社の端末装置5と通信する。プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)などのコンピュータであり、予め用意されたプログラムを実行することにより、端末装置10の全体を制御する。なお、プロセッサ12は、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)であってもよい。具体的に、プロセッサ12は、後述する広告枠販売処理を実行する。
【0018】
メモリ13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。メモリ13は、プロセッサ12による各種の処理の実行中に作業メモリとしても使用される。
【0019】
記録媒体14は、ディスク状記録媒体、半導体メモリなどの不揮発性で非一時的な記録媒体であり、端末装置10に対して着脱可能に構成される。記録媒体14は、プロセッサ12が実行する各種のプログラムを記録している。端末装置10が各種の処理を実行する際には、記録媒体14に記録されているプログラムがメモリ13にロードされ、プロセッサ12により実行される。
【0020】
DB15は、番組DB15aと、広告枠DB15bとを含む。番組DB15aは、放送局が放送するTV番組の番組情報を記憶している。一方、広告枠DB15bは、各TV番組と対応付けて、そのTV番組中に流れるCMの時間帯などを規定する広告枠情報を記憶している。
【0021】
入力部16は、放送局のユーザが指示や入力を行うためのキーボード、マウスなどである。表示部17は、液晶ディスプレイなどであり、ユーザの操作に応じて所定の画面などを表示する。
【0022】
[放送局の端末装置の機能構成]
次に、放送局の端末装置10の機能構成について説明する。図3は、放送局の端末装置10の機能構成を示すブロック図である。放送局の端末装置10は、機能的には、前述の通信部11、入力部16及び表示部17に加えて、広告枠作成部21と、調整部22と、終了処理部23とを備える。
【0023】
広告枠作成部21は、放送局の担当者の入力に基づき、番組毎に広告枠情報を作成する。図4は、広告枠情報の一例を示す。広告枠情報は、TV番組毎に作成される。図4の例では、広告枠情報は、「広告枠ID」、「通常枠」、「プライベート枠」、「公開枠」、及び、「予備枠」の項目を含む。「広告枠ID」は、各広告枠情報を一意に示す識別情報である。広告枠IDは、対応するTV番組の番組IDなどと対応付けられており、広告枠IDから、対応するTV番組を特定することができる。
【0024】
「通常枠」、「プライベート枠」、及び、「公開枠」は、広告会社に対して販売される広告枠である。即ち、本実施形態では、広告会社に対して販売される広告枠を3つの種類に分類し、それぞれ異なる形態、ルートで販売する。
【0025】
具体的に、「通常枠」とは、放送局の営業担当者により販売される広告枠である。よって、基本的には、通常枠は図1に示す広告枠取引システム100とは別のルートで放送局から広告会社に販売される。通常枠は、「タイム枠」及び「スポット枠」を含む。「タイム枠」は、TV番組と関連付けて販売される広告枠であり、基本的にTV番組の放送中に流れるCMの広告枠である。これに対し、「スポット枠」は、TV番組と関連付けされない広告枠であり、TV放送中の任意の時間を指定して挿入されるCMの広告枠である。なお、図4の例では、スポット枠を販売者(契約者)で区別しており、放送局の本社が販売する「スポット枠(本社)」と、支社が販売する「スポット枠(支社)」とが含まれている。
【0026】
「プライベート枠」は、特定の広告会社に対して直接販売される広告枠である。図1の例では、複数の広告会社のうち広告会社Xを特定の広告会社としており、プライベート枠は公開市場システム2を介さずに、広告会社Xに対して直接販売される。「公開枠」は、公開市場において多数の広告会社に対して販売される広告枠である。図1の例では、公開枠は公開市場システム2に提供され、複数の広告会社A、B、...のいずれかに販売される。
【0027】
「予備枠」は、販売用に公開せずに、プロモーションなどの放送用に放送局側で保持しておく広告枠である。よって、予備枠は、基本的に放送局側で使用され、広告会社に対する販売の対象とはならない。
【0028】
広告枠の作成時、放送局の担当者は、表示部17に表示された入力画面を見ながら入力部16を利用して入力を行う。具体的に、担当者は、図4に示す各広告枠の時間を入力する。広告枠作成部21は、担当者の入力に基づいて、各広告枠の時間を設定し、図4に例示するような広告枠情報を作成する。
【0029】
こうして作成された広告枠情報は、各広告枠に対応するルートで販売される。例えば、通常枠は放送局の営業担当者により広告会社に提示され、販売される。プライベート枠は、通信部11を介して広告会社Xの端末装置5xに送信され、広告会社Xに直接販売される。また、公開枠は、通信部11を介して公開市場システム2に送信され、公開市場において販売される。
【0030】
調整部22は、広告枠の販売中に、担当者の入力に基づき、販売状況に応じて各広告枠の時間を調整する。図5は、広告枠情報の調整の例を示す。図5において、各広告枠には「販売済の時間/総時間」の形態で販売状況が示されている。例えば、「30/60」は、総時間60秒のうち、30秒が販売済みであることを示している。
【0031】
いま、広告枠ID「1200T」の広告枠情報に含まれる各広告枠が図5(A)に示すような販売状況であるとする。放送局の担当者は、通常枠のタイム枠が「30/60」となっており、30秒が未販売となっているため、矢印71に示すように、タイム枠の30秒をスポット枠(本社)に移動する。同様に、ユーザは、スポット枠(支社)が「0/30」となっており、30秒が未販売となっているため、矢印72に示すように、スポット枠(支社)の30秒をプライベート枠に移動する。これにより、図5(B)に示すように、タイム枠は「30/30」となり、スポット枠(本社)は「30/90」となる。また、スポット枠(支社)は「0/0」となり、プライベート枠は「30/60」となる。このように、放送局の担当者は、各広告枠の販売状況に応じて、各広告枠の時間を調整することができる。例えば、担当者は、売れ行きの良くない広告枠の時間を売れ行きの良い広告枠に移動するなどして、未販売の広告枠を減らすように調整を行う。
【0032】
なお、調整部22は基本的に担当者の入力に基づいて広告枠の時間を調整するが、予め基本的なルールを決めておき、そのルールに従って自動的に広告枠の時間を調整するようにしてもよい。具体的には、現在の販売状況又は過去の実績に基づいて、広告枠毎に売れやすさの違いがある場合には、所定の条件下で売れにくい広告枠の時間を売れやすい広告枠の時間に自動的に移動してもよい。例えば、「条件」と「調整方法」とを組み合わせた調整ルールを決めておく。いま、仮に通常枠よりも公開枠の方が売れやすいとする。この場合、
(条件)「通常枠で3日間売れなかった」→(調整方法)「その時間を公開枠に移動する」
などのルールを予め決めておき、この条件に合致した場合には自動的にルールに従って広告枠を調整するようにしてもよい。
【0033】
こうして、放送局の担当者は、実際の販売状況に応じて広告枠の時間を調整し、広告枠の販売を促進することができる。
【0034】
終了処理部23は、広告枠の販売終了時に販売終了処理を行う。広告枠の販売には、販売終了時が設定される。例えば販売終了時は、対応する番組の放送の数日前などに設定される。よって、販売終了時になった場合、終了処理部23は広告枠の販売終了処理を行う。図6は、広告枠の販売終了処理の例を示す。いま、販売終了時において広告枠ID「1200T」の広告枠が図6(A)に示すような販売状況であったとする。終了処理部23は、販売終了時に各広告枠において未販売となっている時間を全て公開枠に移動する。一般的に、公開枠は多数の広告会社に対して販売されるため、一部の広告会社に対して販売される通常枠やプライベート枠に比べて販売が進みやすい傾向がある。よって、販売終了時には、未販売の広告枠を全て公開枠に集めて販売を促進する。
【0035】
具体的に図6(A)の例では、終了処理部23は、矢印73に示すようにスポット枠(本社)が「60/90」であり、30秒が未販売であるため、これを公開枠に移動する。また、終了処理部23は、矢印74に示すようにプライベート枠が「30/60」であり、30秒が未販売であるため、これを公開枠に移動する。
【0036】
図6(B)は、販売終了処理後の広告枠情報を示す。販売終了処理により、通常枠及びプライベート枠は全て販売済みとなり、未販売の時間は全て公開枠に集められる。その後、終了処理部23は、公開枠の販売情報を通信部11を通じて公開市場システム2に提供し、公開市場システム2を利用して公開枠を販売する。
【0037】
上記の構成において、広告枠作成部21は作成手段の一例であり、調整部22は調整手段の一例であり、終了処理部23は終了処理手段の一例であり、通信部11は送信手段の一例である。
【0038】
図7は、公開枠の販売情報の一例を示す。公開枠の販売情報は、放送局の端末装置10から公開市場システム2に送信される。公開枠の販売情報は、大別して、「番組情報」と、「価格」とを含む。「番組情報」は、その広告枠に対応する番組の情報であり、番組名称、番組の開始/終了時間、番組の種別、番組ジャンル、出演者などの情報を含む。なお、番組情報は、番組DB15aから取得される。「価格」は、一本単価と、GRP単価の2種類の価格を含む。一本単価とは、15秒、30秒などのCM一本当たりの価格をいう。GRP単価は、視聴率をベースに設定された価格である。広告会社の担当者は、公開市場システム2において公開された公開枠の販売情報に含まれる番組情報や価格を見て、希望する広告枠を購入する。なお、プライベート枠についても、図7に示すような販売情報を特定の広告会社Xに提供し、販売が行われる。
【0039】
[広告枠販売処理]
次に、放送局の端末装置10において実行される広告枠販売処理について説明する。図8は、広告枠販売処理のフローチャートである。この処理は、図2に示すプロセッサ12が予め用意されたプログラムを実行し、図3に示す各要素として動作することにより実現される。
【0040】
まず、放送局内において、番組の制作担当者がTV番組の番組編成を検討し(ステップS101)、番組のフォーマットを作成する(ステップS102)。一方、広告枠情報の担当者(「広告担当者」と呼ぶ。)は、端末装置10の入力部16を操作することにより、広告枠情報を作成する(ステップS103)。具体的には、前述のように、端末装置10の入力部16に対する広告担当者の入力に基づいて、広告枠作成部21が図4に例示するような広告枠情報を作成する。作成した広告枠情報は、広告枠DB15bに保存される。
【0041】
次に、広告担当者は、制作担当者から提供された番組のフォーマットに基づいて、ステップS103で作成した広告枠情報をチェックし、必要に応じて広告枠情報を修正する(ステップS104)。具体的には、広告担当者は、表示部17に表示された広告枠情報を参照し、必要に応じて手入力で修正を行う。
【0042】
次に、販売開始時になると、広告枠情報の販売が開始される(ステップS105)。通常枠は放送局の営業担当者などにより販売され、プライベート枠は特定の広告会社Xに対して番組情報や価格などを提示することにより販売され、公開枠は図7に例示したような販売情報を公開市場システム2に公開することにより販売される。
【0043】
販売中に、端末装置10の調整部22は、各広告枠の販売状況に応じて各広告枠を調整する(ステップS106)。具体的には、調整部22は、広告担当者の入力に基づいて、図5に例示したように、未販売の広告枠の時間を他の広告枠に移動するなどして各広告枠を調整する。こうして、販売終了時になるまで、必要に応じて広告枠の調整が行われる。
【0044】
そして、予め決められた販売終了時になると(ステップS107)、端末装置10の終了処理部23は、販売終了処理を行う(ステップS108)。具体的には、終了処理部23は、図6に例示するように、販売終了時において未販売の時間を全て公開枠に移動し、公開市場システム2において販売する。そして、広告枠販売処理は終了する。
【0045】
[変形例]
上記の実施形態では、人手により広告枠情報が作成されている。即ち、広告担当者の入力に基づいて、広告枠作成部21が各広告枠の時間を設定し、広告枠情報を作成している。その代わりに、AI(Artificial Intelligence)を利用して、広告枠情報を作成又は修正してもよい。即ち、広告枠情報の販売実績データを用いて、販売価格が高くなるような広告枠情報、具体的には各広告枠の配分を提案するモデルを学習する。販売実績データとしては、広告枠毎の販売価格、広告枠の決定時期、広告枠を購入したクライアントの情報などを用いることができる。この提案モデルを使用することにより、広告担当者が作成した広告枠情報に対して、広告枠の販売価格が高くなるように各広告枠の配分を修正することが可能となる。
【0046】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係る広告枠管理装置の構成を示すブロック図である。図示のように、広告枠管理装置50は、作成手段51と、送信手段52と、調整手段53とを備える。
【0047】
図10は、第2実施形態による広告枠管理方法のフローチャートである。作成手段51は、ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成する(ステップS51)。送信手段52は、所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信する(ステップS52)。調整手段53は、販売状況に基づいて、広告枠情報を調整する(ステップS53)。
【0048】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0049】
(付記1)
ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成する作成手段と、
所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信する送信手段と、
販売状況に基づいて、前記広告枠情報を調整する調整手段と、
を備える広告枠管理装置。
【0050】
(付記2)
前記所定種類の広告枠は、複数の広告会社を販売の対象とする公開枠を含み、
前記送信手段は、前記公開枠に対応する販売情報を、複数の広告会社が参加する取引システムへ送信する付記1に記載の広告枠管理装置。
【0051】
(付記3)
前記所定種類の広告枠は、特定の広告会社を販売の対象とするプライベート枠を含み、
前記送信手段は、前記プライベート枠に対応する販売情報を、前記特定の広告会社の装置へ送信する付記1に記載の広告枠管理装置。
【0052】
(付記4)
前記販売情報は、対応する広告枠の価格と、当該広告枠に対応する放送番組に関する番組情報と、を含む付記1に記載の広告枠管理装置。
【0053】
(付記5)
前記複数種類の広告枠は、タイム枠及びスポット枠を含む通常枠と、特定の広告会社を販売の対象とするプライベート枠と、多数の広告会社を販売の対象とする公開枠とを含み、
前記調整手段は、前記通常枠において未販売の時間を、前記プライベート枠又は前記公開枠に移動する付記1に記載の広告枠管理装置。
【0054】
(付記6)
ある番組に対応する広告枠の販売終了時に、前記通常枠及び前記プライベート枠において未販売の時間を前記公開枠に移動する終了処理手段を備える付記5に記載の広告枠管理装置。
【0055】
(付記7)
販売が終了した複数の番組の広告枠情報と、前記広告枠情報の販売実績情報とに基づいて、広告枠情報に含まれる複数種類の広告枠の配分と各広告枠の販売価格との関係を学習したモデルを用いて、広告枠の販売価格が高くなる広告枠の配分を提案する提案手段を備える付記1に記載の広告枠管理装置。
【0056】
(付記8)
ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成し、
所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信し、
販売状況に基づいて、前記広告枠情報を調整する広告枠管理方法。
【0057】
(付記9)
ユーザの入力に基づき、複数種類の広告枠を含む広告枠情報を放送番組毎に作成し、
所定種類の広告枠について販売情報を作成し、販売先の装置へ送信し、
販売状況に基づいて、前記広告枠情報を調整する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【符号の説明】
【0058】
2 公開市場システム
5、10 端末装置
12 プロセッサ
15 DB
15a 番組DB
15b 広告枠DB
16 入力部
17 表示部
21 広告枠作成部
22 調整部
23 終了処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10