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  • 特開-導電性ペーストおよびその利用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051492
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】導電性ペーストおよびその利用
(51)【国際特許分類】
   C08L 79/08 20060101AFI20240404BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20240404BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20240404BHJP
   C09D 5/24 20060101ALI20240404BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20240404BHJP
   C09D 179/08 20060101ALI20240404BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20240404BHJP
【FI】
C08L79/08 Z
H01B1/22 A
H01G4/30 516
H01G4/30 201G
C09D5/24
C09D7/20
C09D179/08 A
C08K3/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157694
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 夕子
(72)【発明者】
【氏名】久野 潤也
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
5E001
5E082
5G301
【Fターム(参考)】
4J002CM041
4J002DA076
4J002DA086
4J002DA096
4J002DA116
4J002DC006
4J002FD116
4J002GQ02
4J002HA06
4J038DJ021
4J038HA066
4J038JA19
4J038JA56
4J038KA06
4J038KA12
4J038MA13
4J038MA14
4J038NA14
4J038NA20
4J038PB09
5E001AB03
5E001AF06
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC38
5E082GG10
5E082GG28
5G301DA03
5G301DA04
5G301DA05
5G301DA06
5G301DA10
5G301DA11
5G301DA12
5G301DA13
5G301DA15
5G301DA42
5G301DA47
5G301DA51
5G301DA53
5G301DA57
5G301DA59
5G301DD01
(57)【要約】
【課題】ポリイミド樹脂を含む導電性ペーストの安定性をより向上させることができる技術の提供。
【解決手段】ここで開示される導電性ペーストは、導電性粒子と、ポリイミド樹脂と、有機溶剤とを含む。上記有機溶剤は、炭酸プロピレンである第1溶剤と、大気圧下で沸点が200℃以上であり、かつ、オクタノール/水分配係数logKowが0よりも大きい第2溶剤と、を含む。上記有機溶剤は、Hansen溶解度パラメータの分極項δPが9(J/cm)1/2以上15(J/cm)1/2以下である。上記有機溶剤は、ポリイミド樹脂可溶性である。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性粒子と、ポリイミド樹脂と、有機溶剤とを含む導電性ペーストであって、
前記有機溶剤は、
炭酸プロピレンである第1溶剤と、
大気圧下で沸点が200℃以上であり、かつ、オクタノール/水分配係数logKowが0よりも大きい第2溶剤と、
を含んでおり、
Hansen溶解度パラメータの分極項δPが9(J/cm)1/2以上15(J/cm)1/2以下であり、
ポリイミド樹脂可溶性である、導電性ペースト。
【請求項2】
前記第2溶剤のHansen溶解度パラメータの分極項δPは、4(J/cm)1/2以上8(J/cm)1/2以下である、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項3】
前記第2溶剤は、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、および、エステル系溶剤からなる群から選ばれた少なくとも一種の有機溶剤である、請求項2に記載の導電性ペースト。
【請求項4】
前記第2溶剤は、ベンジルアルコール、プロピレングリコールフェニルエーテル、および、安息香酸ブチルからなる群から選ばれた少なくとも一種の有機溶剤である、請求項3に記載の導電性ペースト。
【請求項5】
前記第1溶剤と前記第2溶剤との合計を100重量%としたときに、前記第1溶剤の含有割合が30重量%以上70重量%以下である、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項6】
前記導電性粒子は、銀粒子である、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項7】
前記ポリイミド樹脂として、5%の重量が減少する熱分解温度(Td)が300℃以上である熱可塑性ポリイミド樹脂を含む、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項8】
セラミック電子部品の外部電極を形成するために用いられる、請求項1に記載の導電性ペースト。
【請求項9】
セラミック素地と前記セラミック素地内に配設された内部電極とを含む部品本体と、
前記部品本体の表面に備えられる外部電極と、
を備え、
前記外部電極は、請求項1~8のいずれか一項に記載の導電性ペーストの乾燥膜を少なくとも一部に含む、積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導電性ペーストおよびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化や高性能化に伴い、電子機器に実装されるセラミック電子部品にも小型化および高性能化が求められている。とりわけ、車載用の電子部品については、車両のコネクティッド化により、小型化に加えて高耐熱化と高い信頼性とを兼ね備えることが求められる。
【0003】
セラミック電子部品は、例えば、部品本体と、部品本体の対向する一対の端面に形成される外部電極とを備え、外部電極を基板に半田付けすることによって基板に実装される。ここで、車載用電子機器等においては、セラミック電子部品を実装した基板が急激な温度変化によって撓み得ることが知られている。このとき、セラミック電子部品と基板とでは熱膨張係数が異なることから、基材に実装されているセラミック電子部品には熱衝撃が生じ、脆性なセラミック電子部品がクラック等により破損することが懸念される。そこで、セラミック電子部品の外部電極に、樹脂成分を含む導電性膜(樹脂電極層)を介在させ、この樹脂電極層でセラミック電子部品に加わる熱衝撃を緩和させることが行われている。
【0004】
ところで、上記のような樹脂成分を含む導電性膜を形成するために、例えば、導電性粒子と、樹脂成分と、有機溶剤とを含む導電性ペーストが用いられている。上記導電性膜は、例えば、かかる導電性ペーストを基材上に塗布して該導電性ペーストの塗膜を形成し、基材と塗膜とに熱処理を施すことによって、作製される。例えば、特許文献1では、分散媒及び金属酸化物を含む無機粒子を含有する導体層形成用組成物と、バインダ材及び数平均粒子径が1nm~3000nmである導電性粒子を含有する導電性接着材組成物と、を用いて、導電性基板を作製することが開示されている。同公報では、導電性を有する基板に導電性接着材組成物を付与して該組成物中のバインダ材を熱硬化して導電性接着層を形成し、該導電性接着層に導体層形成用組成物を付与して導体層を形成することが提案されている。
【0005】
従来のこの種の導電性ペーストには、樹脂成分として、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されている。しかしながら、これらの熱硬化性樹脂は、高温で連続使用する場合の耐熱温度が150℃程度であり、これ以上の温度環境に晒されると樹脂成分が劣化するという課題がある。
【0006】
また、近年では、電子機器の小型化および高性能化の観点から、SiC半導体やGaN半導体の普及が始まっている。このような半導体は、高温(例えば180℃以上300℃以下)で使用されることが想定されている。そのため、上記のような樹脂成分を含む導電性ペーストにも、かかる温度条件下の使用に耐えられるような、高い耐熱性が要求されている。高い耐熱性を有する樹脂成分としては、例えばポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレンおよびPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂に代表されるスーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプラスチック)が知られている。このようなスーパーエンプラのなかでも、特に高い耐熱性を有するポリイミド樹脂の使用について、研究開発が精力的に行われている。
【0007】
ポリイミド樹脂の使用に関して、特許文献2には、ポリイミド、2種以上の溶媒を含む混合溶媒、を含む、ポリイミドワニスが開示されている。かかるポリイミドワニスは、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhであらわされる各パラメータにおいて、ポリイミドと混合溶媒の分散項と水素結合項が、所定の関係式を満たすことを特徴としている。同公報では、このポリイミドワニスを用いることで、透明性が高く、かつ、屈曲耐性を有するポリイミドフィルムを効率的に製造できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5971250号公報
【特許文献2】特開2020-111713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、本発明者は、ポリイミド樹脂を含む導電性ペーストの安定性に関して、まだまだ改善の余地があると考えた。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ポリイミド樹脂を含む導電性ペーストの安定性をより向上させることができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここで開示される導電性ペーストは、導電性粒子と、ポリイミド樹脂と、有機溶剤とを含む。上記有機溶剤は、炭酸プロピレンである第1溶剤と、大気圧下で沸点が200℃以上であり、かつ、オクタノール/水分配係数logKowが0よりも大きい第2溶剤と、を含む。上記有機溶剤は、Hansen溶解度パラメータの分極項δPが9(J/cm)1/2以上15(J/cm)1/2以下である。上記有機溶剤は、ポリイミド樹脂可溶性である。
【0012】
かかる構成の導電性ペーストでは、有機溶剤として、第1溶剤と第2溶剤とを含む有機溶剤が用いられている。第1溶剤が炭酸プロピレンであることによって、導電性ペーストの吸水性を低下させることができる。一方で、炭酸プロピレンはポリイミド可溶性の溶剤ではない。ここで、第2溶剤を含むことによって、炭酸プロピレンを含む有機溶剤にポリイミド樹脂可溶性を付与することができる。また、第2溶剤の沸点とオクタノール/水分配係数logKowとが上述の範囲を満たすことによって、有機溶剤の揮発性を低下させるとともに、吸水性を低下させることができる。また、有機溶剤の分極項δPが上述の範囲を満たすことによって、該有機溶剤をポリイミド樹脂の溶解球中に含ませることができる。かかる構成によると、導電性ペーストの安定性をより向上させることができる。
【0013】
この導電性ペーストの好ましい一態様では、上記第2溶剤のHansen溶解度パラメータの分極項δPは、4(J/cm)1/2以上8(J/cm)1/2以下である。かかる範囲の分極項δPを有する第2溶剤は、有機溶剤にポリイミド樹脂可溶性を付与するのに好ましい。
【0014】
この導電性ペーストの好ましい他の一態様では、上記第2溶剤は、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、および、エステル系溶剤のうちの少なくとも一種の有機溶剤である。アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、および、エステル系溶剤で構成された第2溶剤は、ここで開示される技術の効果を実現するのに好ましい。
【0015】
好ましくは、上記第2溶剤は、ベンジルアルコール、プロピレングリコールフェニルエーテル、および、安息香酸ブチルのうちの少なくとも一種の有機溶剤である。かかる第2溶剤は、ここで開示される技術の効果を実現するのにより好ましい。
【0016】
この導電性ペーストの好ましい他の一態様では、上記第1溶剤と上記第2溶剤との合計を100重量%としたときに、上記第1溶剤の含有割合が30重量%~70重量%である。かかる構成によると、有機溶剤に適切なポリイミド樹脂可溶性を付与することができるため、導電性ペースト安定化効果をよりよく実現することができる。
【0017】
この導電性ペーストの好ましい他の一態様では、上記導電性粒子は、銀粒子である。かかる構成によると、ここで開示される技術の効果に加えて、導電性膜の導電性をより向上させることができる。
【0018】
この導電性ペーストの好ましい他の一態様では、上記ポリイミド樹脂として、5%の重量が減少する熱分解温度(Td)が300℃以上である熱可塑性ポリイミド樹脂を含む。かかる構成によると、ここで開示される技術の効果に加えて、導電性膜の耐熱性をより向上させることができる。
【0019】
好ましい他の一態様では、この導電性ペーストは、セラミック電子部品の外部電極を形成するために用いられる。上記のとおり、この導電性ペーストでは、優れた安定性が実現されている。このため、かかる用途において好適な電気的接続が実現され得る。
【0020】
他の観点から、ここで開示されるセラミック電子部品は、セラミック素地と上記セラミック素地内に配設された内部電極とを含む部品本体と、上記部品本体の表面に備えられる外部電極と、を備える。そして上記外部電極は、上記導電性ペーストから形成される導電性膜(例えば、乾燥膜)を少なくとも一部に含む。上記のとおり、この導電性ペーストでは、優れた安定性が実現されている。このため、好適な電気的接続が実現された電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、一実施形態に係る積層セラミックコンデンサを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、ここで開示される技術の実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施できる。
【0023】
なお、以下の説明では、導電性ペーストを基材上に付与して、導電性ペーストに含まれる樹脂成分の熱分解温度以下の温度で(例えば300℃以下で)熱処理(乾燥)した未焼成の膜状体(乾燥膜)を、「導電性膜」という。本明細書において「導電性膜」は、「樹脂電極膜」や「ボンディング用導電性樹脂」等の意味を包含する。また、本明細書において「重量平均分子量」とは、ゲルクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した重量基準の平均分子量、またはメーカー等の公称値をいう。なお、本明細書において数値範囲を示す「A~B」の表記は、「A以上B以下」を意味するとともに、「Aを超えてB未満」、「Aを超えてB以下」、および「A以上B未満」をも意味するものとする。
【0024】
<導電性ペースト>
ここで開示される導電性ペースト(以下、単に「ペースト」ということがある。)は、乾燥によって、導電性粒子を含む導電性膜になり得る。ここで開示される導電性ペーストは、導電性粒子(A)と、樹脂成分(B)と、有機溶剤(C)と、を含み得る。なお、本明細書において「ペースト」は、組成物、インク、スラリー、サスペンション等を包含する用語である。以下、各成分について順に説明する。
【0025】
(A)導電性粒子
導電性粒子は、例えば、粉末の形態で用意される。導電性粒子は、乾燥後に得られる導電性膜に電気伝導性を付与する成分である。導電性粒子は、例えば、金属製である。その構成材料は、この種の導電性ペーストにおいて使用される各種の金属製導電性粒子の構成材料の中から、用途等に応じて1種または2種以上が適宜選択され得る。上記金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)等の金属の単体、およびこれら金属の少なくとも1種または2種以上を含む合金が例示される。上記合金としては、例えば、銀-パラジウム(Ag-Pd)を主体とする合金、銀-白金(Ag-Pt)を主体とする合金、銀-銅(Ag-Cu)を主体とする合金、銅-ニッケル(Cu-Ni)を主体とする合金、銅―マンガン(Cu-Mn)を主体とする合金、銅―スズ(Cu-Sn)を主体とする合金、銅―亜鉛(Cu-Zn)を主体とする合金、銅―アルミニウム(Cu-Al)を主体とする合金等が挙げられる。本明細書において、「Xを主体とする」とは、全体のうちの、概ね80重量%以上、例えば85重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上であることをいう。
【0026】
特に限定されるものではないが、例えば積層セラミック電子部品の樹脂電極膜やボンディング用導電性樹脂等を形成する用途では、焼成することなく高い電気電導性を有することが求められる。そのような高い導電性を有する金属として、ニッケル、白金、パラジウム、銀、銅等が挙げられる。
【0027】
ハンドリング性、コスト、および電気伝導性の観点から、導電性粒子は、銀(Ag)粒子で構成されていることが好ましい。ここで、「銀粒子」とは、銀を主成分としていれば、その組成は特に制限されず、所望の導電性やその他の物性を備える銀粒子を用いることができる。例えば、銀粒子としては、銀(Ag)の単体からなる粒子、銀を含む合金からなる粒子、およびコア粒子の表面に銀を含むコート層を備える銀コート粒子が挙げられる。銀コート粒子は、銀の単体または銀を含む合金で構成された粒子を表面に備えるコアシェル粒子を含む。ここで、「主成分」とは、銀粒子を構成する成分のうちの最大成分であることを意味する。銀粒子は、不可避的不純物を含んでよいが、その純度(含有量)が高いほど導電性が高くなる傾向があることから、純度の高いものを使用することが好ましい。銀粒子の純度は、95%以上が好ましく、97%以上がより好ましく、98%以上が特に好ましい。
【0028】
導電性粒子を構成する粒子の性状、例えば粒子のサイズ、形状等は、所望の導電性膜の断面における最小寸法(例えば、導電性膜の厚み、幅等)に収まる限りにおいて、特に限定されない。導電性粒子の平均粒子径は、概ね数10nm~数十μm、例えば0.1μm~10μmであるとよい。なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、レーザ回折式の粒度分布測定装置により求められる体積基準の粒度分布において、小粒子径側から累積50%に相当する粒子径をいう。
【0029】
特に限定するものではないが、導電性粒子の平均アスペクト比は、1~100であり得る。平均アスペクト比は、導電性粒子をSEMで観察し、得られた観察画像から複数(例えば10個~300個)の粒子を無作為に選択し、各粒子における長径と短径とに基づいてアスペクト比(長径と短径との比)を算出し、その算術平均値を得ることによって得ることができる。
【0030】
導電性粒子の形状は、球形であっても、非球形であってもよい。非球形とは、例えば、板状、鱗片状、フレーク状、不定形状等であってよい。導電性粒子の充填密度を高め易いとの観点から、球形の導電性粒子としては、例えば、平均アスペクト比が1.2以下、好ましくは1.15以下、例えば1.1以下のものを好ましく用いることができる。また、導電性粒子の接触面積を増大させ易いとの観点からは、非球形の導電性粒子は、例えば、平均アスペクト比が1.2超過、好ましくは1.3以上、1.5以上、例えば1.7以上、さらに好ましくは2以上のものを用いるとよい。上記効果を相乗させる観点から、導電性粒子は、球形のものと非球形のものとが混合されていてもよい。
【0031】
導電性粒子の含有割合は特に限定されないが、導電性ペーストの全体を100重量%としたときに、例えば30重量%以上であり、40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。導電性ペーストの全体を100重量%としたときに、導電性粒子の含有割合は、例えば95重量%以下であり、90重量%以下が好ましく、85重量%以下がさらに好ましい。導電性粒子の含有割合が上記範囲を満たすことで、電気伝導性や緻密性の高い導電性膜を好適に実現することができる。また、ペーストのハンドリング性や、成膜時の作業性を向上させることができる。
【0032】
(B)樹脂成分
ここで開示される導電性ペーストは、ポリイミド樹脂を含む。ポリイミド樹脂は、繰返し単位にイミド結合を含む高分子化合物である。ここでいう高分子化合物は、例えば、重量平均分子量が1000以上の化合物であり得る。高分子化合物は、例えば、重量平均分子量が500以下の実質的または概念的に得られる単位(繰返し単位)の多数回(例えば5回以上)の繰り返しで構成された構造を有し得る。ポリイミド樹脂は、例えば、以下の式(1)で表される繰り返し単位構造を含む。ここで、式(1)中のR,R’は独立して、任意の有機官能基、または酸素原子である。
【0033】
【化1】
【0034】
ポリイミド樹脂は、例えば、イミド結合を含む繰り返し単位が主鎖を構成する結晶性または非結晶性の高分子化合物であり得る。より付着性の高い電極を形成するとの観点からは、ポリイミド樹脂は、結晶性の高分子化合物であることが好ましい。また、より高い耐熱性を備えるとの観点からは、ポリイミド樹脂は、非結晶性の高分子化合物であるとよい。さらに、ポリイミド樹脂は、ホモポリマーの状態で、耐熱温度が250℃以上であるとよい。例えばガラス転移点については200℃以上であってよく、好ましくは210℃以上、より好ましくは220℃以上であり得る。特に限定するものではないが、ガラス転移点は、例えば350℃以下であり、300℃以下であってもよい。ポリイミド樹脂において、全繰返し単位のモル数に占める、イミド結合を含む繰り返し単位のモル数の割合は、通常は50%以上(例えば50%~95%)であり、好ましくは65%以上、より好ましくは75%以上、例えば85%以上である。例えば、全繰返し単位が脂肪族又は環状脂肪族を含む単位から構成されていてもよい。
【0035】
ポリイミド樹脂において、イミド結合の繰返し単位の種類は特に限定されない。イミド結合を含む単位としては、これに限定されるものではないが、例えば、s-ODPA、i-ODPA、a-ODPA、2,2’-BAPB、4,4’-BAPB、1,5-NBOA、2,3-NBOA、3,3’-ODA、4,4’-ODA、PMDA、BPDA、BPADA、BTDA、BAFL、2,2-TFMB、1,3,3-APB、1,3,4-APB、DDS等が例示される。これらはいずれか1種が単独であってもよいし、2種以上の任意の組み合わせであってもよい。
【0036】
ここで開示される導電性ペーストは、ポリイミド樹脂として、熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)を含み得る。熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)は、5%の重量が減少する熱分解温度(Td)が300℃以上の熱可塑性ポリイミド樹脂であり得る。熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)の熱分解温度(Td)は、例えば350℃以上であり、370℃以上であるとよく、400℃以上であるとよく、または430℃以上であってもよい。熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)の熱分解温度(Td)は、導電性ペーストおよび導電性膜の耐熱性の観点から、高いほどよい。熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)の熱分解温度(Td)は、特に限定するものではないが、例えば600℃以下であり、550℃以下であってもよく、500℃以下であってもよい。熱分解温度(Td)は、例えば示差熱分析(Differential Thermal Analysis: DTA)により求めることができる。ポリイミド樹脂として、熱分解温度(Td)が300℃以上の熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)を含むことによって、導電性ペーストを、例えば180℃以上、または200℃以上であって、350℃以下、または300℃以下の温度において好適に用いることができる。また、熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)を含むことによって、塗膜の形成性を向上させることができる。
【0037】
熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)の重量平均分子量は、例えば30,000以上であり得る。熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)の重量平均分子量は、例えば導電性ペーストの粘性を調整するための一要素であり得る。良好な導電性膜を作製する観点から、熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)の重量平均分子量は、例えば31,000以上であるとよく、32,000以上であるとよく、33,000以上としてもよい。上限は特に限定されないが、例えば100万以下、50万以下、例えば30万以下、20万以下、10万以下であってもよい。
【0038】
熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジイソシアナートとを反応溶液中で反応させることによって得られるポリイミド樹脂である。なお、導電性ペースト中に含まれる熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)は、1種類または2種類以上であってもよい。
【0039】
ここで開示される導電性ペーストは、ここで開示される技術の効果が得られる限り、ポリイミド樹脂として、熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)に替えて、あるいは、熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)に加えて、当該ポリイミド樹脂とは異なる他のポリイミド樹脂(B2)を含んでもよい。ポリイミド樹脂(B2)の種類は特に限定されず、熱可塑性ポリイミド樹脂であってもよく、熱硬化性ポリイミド樹脂であってもよい。ポリイミド樹脂(B2)のTdの好適範囲は、ポリイミド樹脂(B1)のTdの好適範囲と同様であるとよい。ポリイミド樹脂(B2)の重量平均分子量は、特に限定されず、熱可塑性ポリイミド樹脂(B1)の重量平均分子量と同様でもよく、より小さくてもよい。
【0040】
導電性ペースト中にポリイミド樹脂(B1)が含まれる場合、樹脂成分(B)全体を100重量%としたときに、ポリイミド樹脂(B1)の含有割合は、例えば30重量%以上であり、50重量%以上であってもよく、70重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上であり、特に好ましくは95重量%以上であり、100重量%に近いほどよい。一方で、導電性ペースト中にポリイミド樹脂(B1)とポリイミド樹脂(B2)とがともに含まれる場合、ここで開示される技術の効果を実現する観点から、樹脂成分(B)に含まれるポリイミド樹脂の合計量(B1+B2)を100重量%としたときに、ポリイミド樹脂(B2)の含有割合は、例えば70重量%以下であり、50重量%以下であってもよく、20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、0重量%に近いほどよい。
【0041】
樹脂成分(B)に含まれるポリイミド樹脂は、いずれも、例えば、JFEケミカル株式会社、京セラケミカル株式会社、サビック社製、PI技術研究所製のポリイミド材料のなかから、所望の用途に応じて上記特徴を満たすものを適宜選択して入手することができる。
【0042】
ここで開示される導電性ペーストは、任意の樹脂成分として、さらにシリコーン樹脂(B3)を含んでもよい。シリコーン樹脂(B3)としては、ケイ素(Si)と酸素(O)とからなるシロキサン結合(Si-O-Si)による主骨格を有する高分子有機化合物のうち、分岐鎖を含む高分子有機化合物を用いることができる。すなわち、いわゆるシリコーンオイル、シリコーンラバー、シリコーンレジンと呼ばれるシロキサン化合物のうち、直鎖型のシリコーンオイルを除く、シリコーンラバーおよび/またはシリコーンレジンであってよい。シリコーンゴムは、分岐度(架橋度)が低く、室温(例えば25℃)でゴム弾性を有するエラストマーである。シリコーンレジンは、分岐度(架橋度)が高く、三次元ポリマー構造が発達している。シリコーンラバーとシリコーンレジンのうち、シリコーン樹脂(B3)としてはシリコーンレジンを用いることがより好ましい。シリコーン樹脂(B3)は、室温(例えば25℃)において、固体状であってもよいし、液体状であってもよい。
【0043】
主骨格部分を形成するシリコーン樹脂としては、例えば、一般式:HO[-Si(R)O-]H、Rは水素または任意の官能基;で示されるシロキサン単位を含むポリシロキサンや、Rが任意のアルキル基であるポリアルキルシロキサン、または、シロキサン単位とこれとは異なるケイ素含有モノマーとが重合されてなるポリマーであってよい。具体的には、シリコーン樹脂(B3)としては、ポリジメチルシロキサン,ポリジエチルシロキサン,ポリメチルエチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサン-メチルシロキサン)等が挙げられる。特に好適な主骨格を構成する高分子は、例えば、ポリジメチルシロキサンであり得る。また、シリコーン樹脂(B3)としては、ポリエーテル基、エポキシ基、アミン基、カルボキシル基、アルキル基、水酸基等の他の置換基を主骨格の側鎖、末端、または両者に導入した直鎖変性シリコーンであってもよい。
【0044】
シリコーン樹脂には、付加硬化型のシリコーン樹脂と、脱水縮合硬化型のシリコーン樹脂とがあることが知られている。このうち、脱水縮合硬化型のシリコーン樹脂の場合、反応副生成物としての水が形成される電極膜に悪影響を与える虞がある。したがって、必ずしもこれに限定されるものではないが、シリコーン樹脂(B3)としては、付加硬化型のシリコーン樹脂であることがより好ましい。
【0045】
このようなシリコーン樹脂は、例えば、信越化学工業社、旭化成ワッカーシリコーン社製のシリコーンレジンまたはシリコーンゴムから、所望の用途に応じて上記特徴を満たすものを適宜選択して入手することができる。
【0046】
樹脂成分(B)にシリコーン樹脂(B3)が含まれる場合、特に限定するものではないが、その重量割合は、樹脂成分(B)の合計を100重量%としたときに、例えば0.5重量%以上であり、3重量%以上であってよく、5重量%以上であってよく、10重量%以上であってよく、20重量%以上としてもよい。ただし、シリコーン樹脂(B3)の重量割合が大きすぎると、導電性膜の接着性が低下し、レオロジー特性が悪化する傾向がある。そのため、上記重量割合を適宜変更するとよい。上記重量割合は、例えば70重量%以下であり、あるいは、65重量%以下であってよい。導電性膜の接着性改善効果をよりよく得る観点、および、良好な状態の塗膜を作製するのに適したレオロジー特性を実現する観点から、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下であり、さらに好ましくは20重量%以下である。
【0047】
また、(A)導電性粒子100重量部に対する(B)樹脂成分の割合が多いほど、この導電性膜に加えられる外部からの振動や熱衝撃を、より多く緩衝して低減し得るため、好ましい。樹脂成分の割合は、例えば4重量部以上であるとよく、5重量部以上が好ましく、8重量部以上であるとより好ましい。しかしながら、樹脂成分の割合が過剰な場合は、導電性粒子間に存在する樹脂成分が抵抗となり得るために好ましくない。樹脂成分の割合は、例えば30重量部以下であるとよく、25重量部以下が好ましく、例えば22重量部以下、あるいは20重量部以下であってよい。
【0048】
また、ここに開示される導電性ペーストは、上記特徴を損ねない範囲において、他の樹脂成分を含んでいてもよい。そのような樹脂成分としては、ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等の公知の各種の樹脂成分の1種または2種以上であり得る。しかしながら、公知の樹脂成分のうち、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)系樹脂やアクリル系樹脂については、上記のシリコーン樹脂のようにポリイミド樹脂の難接着性を改善する効果が見られないために含まなくてもよい。なお、従来の導電性樹脂ペーストとの差別化の観点から、例えば、エポキシ系樹脂やウレタン系樹脂は含まない構成であってもよい。導電性ペーストに、ポリイミド樹脂およびシリコーン樹脂以外の他の樹脂成分が含まれる場合、これら他の樹脂成分の割合は、合計で10重量%以下(好ましくは5重量%以下)の含有であることが好ましい。
【0049】
(C)有機溶剤
ところで、ポリイミド樹脂を含む導電性ペーストの研究開発がより精力的に行われるようになるにつれて、導電性ペーストをより過酷な条件(例えば、より高い湿度条件)において使用することが検討されるようになってきた。導電性ペーストの安定性に寄与する因子は種々あり得るが、本発明者は、なかでも、有機溶剤の組成に着目した。ポリイミド樹脂を含む導電性ペーストにおける有機溶剤として、従来から、N-メチルピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン等が用いられてきた。一方で、例えば湿度がより高い環境で導電性ペーストを使用することを考慮すると、これらの有機溶剤の使用に関して、まだまだ検討の余地があると考えられた。ここで、本発明者は、N-メチルピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン等の従来の有機溶剤に替えて、揮発性が低く、かつ、吸水性が従来の有機溶剤よりも低い炭酸プロピレンを用いることを検討した。しかし、炭酸プロピレンはポリイミド樹脂可溶な有機溶剤ではない(下記試験例参照)。このため、ポリイミド樹脂を含む導電性ペーストの有機溶剤として、炭酸プロピレンを単独で使用するのは困難であった。そこで、本発明者の鋭意検討の結果、導電性ペーストの有機溶剤として炭酸プロピレンとともに他の有機溶剤を用いることで、炭酸プロピレンの低い揮発性および低い吸水性を発揮させることができ、導電性ペーストの安定性を向上させることができた。
【0050】
ここで開示される導電性ペーストにおける有機溶剤は、第1溶剤と第2溶剤とを含む。第1溶剤は、炭酸プロピレンである。第2溶剤としては、有機溶剤にポリイミド可溶性を付与できる溶剤を使用することが好ましい。これによって、有機溶剤にポリイミド可溶性を付与することができる。換言すれば、第2溶剤を用いることによって、ポリイミド可溶性を有さない炭酸プロピレン(第1溶剤)を、ポリイミド樹脂を含む導電性ペーストの有機溶剤として使用することができる。
【0051】
第2溶剤としては、成膜時の作業性、保存安定性等の観点から、大気圧下で沸点が概ね200℃以上(200℃~300℃)の高沸点有機溶剤が好ましく用いられる。また、導電性ペーストを湿度50%超過の高湿度環境において安定的に使用することを考慮して、第2溶剤としては、オクタノール/水分配係数logKowが0よりも大きい溶剤が好ましく用いられる。オクタノール/水分配係数logKowが大きい溶剤ほど、吸水性が低い溶剤であり得る。第2溶剤としては、第1溶剤よりもオクタノール/水分配係数logKowが大きい溶剤を用いることが好ましい。吸水性がより低い溶剤を第2溶剤として第1溶剤と併用することによって、導電性ペーストの安定性をより高めることができる。なお、本明細書において、「オクタノール/水分配係数」とは、JIS Z7260-107:2000年に規定される「フラスコ振とう法」に従って測定される値をいう。
【0052】
導電性ペーストの安定性をより高める観点から、第2溶剤のオクタノール/水分配係数logKowは、例えば0.1以上であるとよく、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは0.75以上であり、特に好ましくは1.0以上である。なお、第2溶剤は、1種単独であってもよく、2種以上を混合した混合溶剤であってもよい。
【0053】
第2溶剤は、炭酸プロピレンよりもHansen溶解度パラメータの分極項δPが小さい溶剤であることが好ましい。かかる第2溶剤を用いることで、炭酸プロピレンの分極項δPを緩衝することができ、延いては、炭酸プロピレンを含む有機溶剤にポリイミド樹脂可溶性を付与することができる。かかる観点から、第2溶剤の分極項δPは、例えば12(J/cm)1/2以下であり、好ましくは10(J/cm)1/2以下であり、より好ましくは8(J/cm)1/2以下であり、さらに好ましくは7(J/cm)1/2以下である。一方で、第2溶剤の分極項δPが低すぎてしまうと、炭酸プロピレンの分極項δPを十分緩衝することができない。かかる観点から、第2溶剤の分極項δPは、例えば1(J/cm)1/2以上であり、好ましくは2(J/cm)1/2以上であり、より好ましくは4(J/cm)1/2以上であり、さらに好ましくは5(J/cm)1/2以上である。なお、Hansen溶解度パラメータに関しては、後でさらに述べる。
【0054】
第2溶剤は、例えば、アルコール系溶剤に分類される溶剤のうち、大気圧下で沸点が200℃以上であり、オクタノール/水分配係数logKowが0よりも大きい、少なくとも一つの溶剤によって構成され得る。本明細書において、「アルコール系溶剤」とは、炭化水素の水素原子がヒドロキシル基で置換された化合物群で構成された溶剤であり、一般式:R-OHで表される化合物群で構成された溶剤をいう。第2溶剤として用いられるアルコール系溶剤としては、例えば、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール;ターピネオール、ジヒドロターピネオール(メンタノール)等のモノテルペンアルコール;テキサノール;等が挙げられる。
【0055】
第2溶剤は、例えば、エーテル系溶剤に分類される溶剤のうち、大気圧下で沸点が200℃以上であり、オクタノール/水分配係数logKowが0よりも大きい、少なくとも一つの溶剤によって構成され得る。本明細書において、「エーテル系溶剤」とは、主鎖(母核)にエーテル結合(-C-O-C-)を少なくとも1つ有する化合物群で構成された溶剤をいう。第2溶剤として用いられるエーテル系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル等のグリコールエーテルが挙げられる。
【0056】
第2溶剤は、例えば、エステル系溶剤に分類される溶剤のうち、大気圧下で沸点が200℃以上であり、オクタノール/水分配係数logKowが0よりも大きい、少なくとも一つの溶剤によって構成され得る。本明細書において、「エステル類」とは、主鎖にエステル結合(R-C(=O)-O-R’)を少なくとも1つ有する化合物群で構成された溶剤をいう。第2溶剤として用いられるエステル系溶剤としては、例えば、イソボルニルアセテート、エチルジグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート)、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル等が挙げられる。
【0057】
有機溶剤(C)における第1溶剤と第2溶剤とのそれぞれの含有割合は、有機溶剤(C)がポリイミド樹脂可溶性であり、かつ、ここで開示される技術の効果を実現できる限り、特に限定されない。かかる観点から、第1溶剤と第2溶剤との合計を100重量%としたときに、第1溶剤の含有割合は、例えば20重量%超過であり、好ましくは25重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上であり、また、例えば90重量%未満であり、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは75重量%以下であり、さらに好ましくは70重量%以下であり、特に好ましくは60重量%以下である。
【0058】
有機溶剤(C)にポリイミド樹脂可溶性を実現するため、有機溶剤(C)は、所定の溶解度パラメータを満たすように調製され得る。上述のように第1溶剤と第2溶剤とを用いて有機溶剤(C)を調製することによって、例えば、有機溶剤(C)のHansen溶解度パラメータの分極項δPが9(J/cm)1/2以上15(J/cm)1/2以下を満たし得る。分極項δPが上記範囲にあることによって、有機溶剤(C)は、ポリイミド樹脂の溶解球に含まれ得る。
【0059】
Hansen溶解度パラメータは、各化合物に固有の値であり、分散項δD、分極項δP、および、水素結合項δHの3つの数値(パラメータ)によって構成されている。この3つの数値を三次元空間(Hansen空間)における座標としたとき、溶解対象となる物質(ここでは、ポリイミド樹脂)のHansen溶解度パラメータが、溶媒(ここでは、有機溶剤(C))のHansen溶解度パラメータと近いほど、該溶媒に溶解しやすくなる傾向がある。
【0060】
有機溶剤(C)のHansen溶解度パラメータは、例えば、有機溶剤(C)の構成成分と該成分の組成比とから算出することができる。この算出には、例えば、ソフトウェアHSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)が好ましく用いられ得る。
【0061】
一方、ポリイミド樹脂のHansen溶解度パラメータは、以下のとおり、求められ得る。Hansen溶解度パラメータが既に知られている複数の溶媒にポリイミド樹脂を溶解させて、ポリイミド樹脂が溶解した溶媒のHansen溶解度パラメータを、Hansen空間にプロットする。ポリイミド樹脂が溶解した溶媒のプロットが集まると、Hansen空間に球が形成され得る。この球の中心をポリイミド樹脂のHansen溶解度パラメータとすることができる。なお、上記のとおりHansen空間に形成された球は、「ポリイミド樹脂の溶解球」であり得る。また、ポリイミド樹脂のHansen溶解度パラメータは、例えば、ソフトウェアHSPiPを用いて得ることができる。
【0062】
ポリイミド樹脂の溶解球は、Hansen空間における中心座標(δD,δP,δH)が(18.5,12.8,7.7)であり、半径(R0)が4.4の球であり得る。有機溶剤(C)はポリイミド樹脂可溶性であるため、該有機溶剤(C)のHansen溶解度パラメータは、かかるポリイミド樹脂の溶解球中に含まれ得る。なお、かかるポリイミド樹脂の溶解球の中心座標と半径(R0)とは、本発明者が上記ソフトウェアHSPiPを用いて取得したものである。
【0063】
有機溶剤(C)の含有割合は特に限定されないが、導電性ペーストの全体を100重量%としたときに、概ね70重量%以下、例えば5重量~60重量%、好ましくは10重量~50重量%であるとよい。上記範囲を満たすことで、ペーストに適度な流動性を付与することができ、成膜時の作業性を向上させることができる。また、ペーストのセルフレベリング性を高めて、より滑らかな表面の導電性膜を実現することができる。
【0064】
(D)その他の成分
ここで開示されるペーストは、上記(A)~(C)の成分のみで構成されていてもよく、上記(A)~(C)の成分に加えて、必要に応じて種々の添加成分を含んでいてもよい。添加成分としては、ここで開示される技術の効果を著しく損なわない限りにおいて、一般的な導電性ペーストに使用し得ることが知られているものを適宜用いることができる。
【0065】
添加成分は、例えば、無機添加剤(D1)と有機添加剤(D2)とに大別される。無機添加剤(D1)としては、焼結助剤、無機フィラー等が挙げられる。無機添加剤(D1)は、平均粒子径が、概ね10nm~10μmであり、導電性膜の算術平均粗さRaを小さく抑える観点からは、例えば0.3μm以下であることが好ましい。また、有機添加剤(D2)としては、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤(顔料、染料等)等が挙げられる。なお、有機添加剤(D2)は、酸価を有していても良く、酸価を有していなくても良い。添加成分の含有割合は特に限定されないが、導電性ペーストの全体を100重量%としたときに、概ね20重量%以下、例えば10重量%以下、あるいは5重量%以下であってもよい。
【0066】
このようなペーストは、上述した材料を所定の含有割合(重量比)となるよう秤量し、均質に撹拌混合することで調製し得る。材料の撹拌混合は、従来公知の種々の攪拌混合装置、例えばロールミル、マグネチックスターラー、プラネタリーミキサー、ディスパー等を用いて行うことができる。また、基材へのペーストの付与は、例えば、ディップ法や、ディスペンサー供給法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷およびインクジェット印刷等の印刷法、スプレー塗布法等を用いて行うことができる。積層セラミック電子部品の外部電極の樹脂電極層を形成する用途では、例えば、ディップ法が好適である。また、積層セラミック電子部品を基板に実装する際のボンディング用途では、例えば、ディスペンサー供給法が好適である。
【0067】
<ペーストの用途>
ここで開示される導電性ペーストによれば、任意の基材上に安定性に優れた導電性膜を形成することができる。この導電性膜は、乾燥によって硬化され、未焼成の状態で導電性膜を構成する。そのため、ここで開示される導電性ペーストは、焼成などの温度変化に弱いセラミック電子部品の樹脂電極層等を形成するための導電性ペースト等として好ましく用いることができる。その他、セラミック電子部品を基板実装する際に、半田に代わる接着のためのボンディング用導電性樹脂を形成するために用いることもできる。
【0068】
なお、本明細書において、「セラミック電子部品」とは、非晶質のセラミック基材(ガラスセラミック基材)あるいは結晶質(すなわち非ガラス)のセラミック基材を有する電子部品を指す用語である。例えば、セラミック製の基材を有するチップインダクタ、高周波フィルター、セラミックコンデンサ、低温焼成積層セラミック基材(Low Temperature Co-fired Ceramics Substrate:LTCC基材)、高温焼成積層セラミック基材(High Temperature Co-fired Ceramics Substrate:HTCC基材)等は、ここでいう「セラミック電子部品」に包含される。
【0069】
図1は、セラミック電子部品1としての積層セラミックコンデンサ(MLCC)の構成を模式的に示す断面図である。セラミック電子部品1は、図1に示されているように、部品本体10と、部品本体10の対向する一対の端面に形成されている外部電極30とを備えている。
【0070】
部品本体10では、複数の内部電極20が誘電体層12を介して積層されている。各誘電体層12は、例えばセラミック誘電体を含むセラミックグリーンシートの積層焼結体から構成される。実際のMLCCにおいては、誘電体層12の間の接合境界が視認できない程度に一体化されている。ここで、内部電極20の一部は、部品本体10の端面(図1では左右の端部)に露出されている。
【0071】
外部電極30は、部品本体10の外表面上に配設されている。外部電極30は、基板2の配線3と、半田付け層4を介して接続されている。外部電極30は、部品本体10の対向する一対の端面(図1では左右の端部)のそれぞれに形成されている。外部電極30は、第1の金属電極層32と、導電性膜(樹脂電極層)34と、第2の金属電極層36と、第3の金属電極層38とを有している。
【0072】
第1の金属電極層32は、卑金属である銅(Cu)を主成分として含有しており、内部電極20と物理的且つ電気的に接続されている。第1の金属電極層32は、部品本体10の左右の一対の端面と、そこに連なる4つの側面の外表面に連続して形成されている。第1の金属電極層32は、Cu粉末を含有する導電性ペーストを、部品本体10の一対の端面およびそこに連なる4つの側面の外表面に、塗布して焼き付けることによって形成されている。第1の金属電極層32の厚みは、例えば、10μm~30μmである。
【0073】
導電性膜34は、ここで開示される導電性ペーストを乾燥により硬化させてなる層である。導電性膜34は、第1の金属電極層32の周縁を残して、部品本体10の一対の端面およびそこに連なる4つの側面の外表面に、ここで開示される導電性ペーストを塗布して乾燥させることによって形成されている。ここで、乾燥の温度は、使用する樹脂成分(例えば、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等)によって変わり得るものの、おおよそ180℃~300℃である。導電性膜34の厚みは、例えば、20μm~100μmである。これによりここで開示される導電性ペーストを硬化させて、外部電極30の一部としての導電性膜34を形成することができる。
【0074】
第2の金属電極層36は、NiあるいはNi合金を主成分として含む。第2の金属電極層36は、例えば第1の導電性膜34の表面をNiめっきすることによって形成されている。第2の金属電極層36の厚みは、例えば、1μm~5μmである。第3の金属電極層38は、SnあるいはSn合金を主成分として含む。第3の金属電極層38は、第2の金属電極層36の表面をSnまたはSn合金でめっき処理することによって形成されている。第3の金属電極層38の厚みは、例えば、1μm~5μmである。
【0075】
以上のようにして、セラミック電子部品1を製造することができる。ここで、外部電極30は、部品本体10の両方の端面に露出された内部電極20に電気的に接続されている。これにより、外部から、一方の外部電極30を通じて内部電極20に送られた電流を、そのまま他方の外部電極30に送ることなく、MLCC内に蓄えて絶縁することができる。また、外部負荷に電流を流すときは、MLCC内に蓄えられた電荷が、順次、外部電極30を通じて外部回路に送られる。このとき、MLCCがあることによって、電源電圧が不安定な場合であっても、安定して外部回路に電荷を供給することができる。このようなMLCCは、外部電極30に安定性に優れた導電性膜34を含む。このことにより、MLCCが搭載された電子機器が例えば高湿度環境に晒された場合であっても、上記のとおり、導電性膜34の安定性が高められているため、導電性膜34が第2の金属電極層36に安定的に接着し、部品本体10との電気的接続を安定して維持することができる。これにより、高温環境(例えば高温多湿環境)においても高い信頼性を有するセラミック電子部品1が提供される。なお、かかる導電性ペーストは、セラミック電子部品1(積層セラミック部品、MLCC)を基板2に実装する場合のボンディングペーストとしても利用できる。
【0076】
なお、ここで開示される技術は、以下の項に記載の技術を包含する。
項1:
導電性粒子と、ポリイミド樹脂と、有機溶剤とを含む導電性ペーストであって、
前記有機溶剤は、
炭酸プロピレンである第1溶剤と、
大気圧下で沸点が200℃以上であり、かつ、オクタノール/水分配係数logKowが0よりも大きい第2溶剤と、
を含んでおり、
Hansen溶解度パラメータの分極項δPが9(J/cm)1/2以上15(J/cm)1/2以下であり、
ポリイミド樹脂可溶性である、導電性ペースト。
項2:
前記第2溶剤のHansen溶解度パラメータの分極項δPは、4(J/cm)1/2以上8(J/cm)1/2以下である、項1に記載の導電性ペースト。
項3:
前記第2溶剤は、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、および、エステル系溶剤のうちの少なくとも一種の有機溶剤である、項1または2に記載の導電性ペースト。
項4:
前記第2溶剤は、ベンジルアルコール、プロピレングリコールフェニルエーテル、および、安息香酸ブチルエステル類のうちの少なくとも一種の有機溶剤である、項1~3のいずれか一つに記載の導電性ペースト。
項5:
前記第1溶剤と前記第2溶剤との合計を100重量%としたときに、前記第1溶剤の含有割合が30重量%以上70重量%以下である、項1~4のいずれか一つに記載の導電性ペースト。
項6:
前記導電性粒子は、銀粒子である、項1~5のいずれか一つに記載の導電性ペースト。
項7:
前記ポリイミド樹脂として、5%の重量が減少する熱分解温度(Td)が300℃以上である熱可塑性ポリイミド樹脂を含む、項1~6のいずれか一つに記載の導電性ペースト。
項8:
セラミック電子部品の外部電極を形成するために用いられる、項1~7のいずれか一つに記載の導電性ペースト。
項9:
セラミック素地と前記セラミック素地内に配設された内部電極とを含む部品本体と、
前記部品本体の表面に備えられる外部電極と、
を備え、
前記外部電極は、項1~8のいずれか一つに記載の導電性ペーストの乾燥膜を少なくとも一部に含む、積層セラミック電子部品。
【0077】
次に、ここで開示される技術に関する試験例を説明する。なお、以下に示す試験例は、ここで開示される技術を限定することを意図したものではない。なお、特に断りがない限り、「%」は重量基準である。
【0078】
[材料]
導電性粒子として、平均粒子径が4.7μmのフレーク状の銀粉末(タップ密度4.4g/cm)を用意した。ポリイミド樹脂としては、Tdが460℃であり、重量平均分子量が63000であり、ガラス転移温度が260℃~280℃である熱可塑性ポリイミド樹脂を用意した。有機溶剤として、炭酸プロピレン(沸点:240℃~243℃、オクタノール/水分配係数logKow:0.017)、ベンジルアルコール(沸点:205℃、オクタノール/水分配係数logKow:1.1)、プロピレングリコールフェニルエーテル(沸点:240℃~245℃、オクタノール/水分配係数logKow:1.52)、安息香酸ブチル(沸点:250℃、オクタノール/水分配係数logKow:3.84)、および、γ-ブチロラクトン(沸点:204℃、オクタノール/水分配係数logKow:-0.64)を用意した。
【0079】
[ポリイミド樹脂の溶解性評価]
まず、表1に示された例1~例15の有機溶剤を調製し、各有機溶剤に対するポリイミド樹脂の溶解性を評価した。ここでは、70gの有機溶剤と30gのポリイミド樹脂とを攪拌しながら、100℃の温度条件で7時間混合した。その後、有機溶剤とポリイミド樹脂との混合液を室温まで自然冷却してビヒクルを作製した。ビヒクルを目視で観察し、各例の有機溶剤に対するポリイミド樹脂可溶性を評価した。各例の有機溶剤に対するポリイミド樹脂可溶性に関して、ビヒクルが透明であった場合に「Y(Yes:ポリイミド樹脂可溶性あり)」と評価し、ビヒクルが透明でなかった場合に「N(No:ポリイミド樹脂可溶性なし)」と評価した。結果を表1の該当欄に示す。
【0080】
なお、各例で使用された有機溶剤は、上述した各種のうちの1種単独で構成された溶剤、あるいは、2種以上を混合して得られた混合溶剤であった。有機溶剤全体を100%としたときの各種の配合比(%)を表1の該当欄に示す。また、各例の有機溶剤に関して、HSP値の各値を表1の該当欄に示す。
【0081】
[導電性ペーストの安定性評価]
上述のとおり作製したビヒクルと、導電性粒子と、有機溶剤と、を、三本ローラーを用いて混錬し、例1~例15の導電性ペーストを調製した。ここでいう「有機溶剤」は、表1に示された各例の有機溶剤であり、導電性ペーストを調製するために希釈用として用いたものである。なお、各例の導電性ペーストにおける、導電性粒子を100部としたときのポリイミド樹脂の配合割合(部)は、10重量部であった。各例の導電性ペーストにおける、有機溶剤の配合量(ビヒクル作製時の使用量と、上記希釈用有機溶剤の使用量との合計量)は、導電性ペーストの粘度に合わせて適宜調整したものであるため、表1への記載を省略している。
【0082】
アプリケータ(ギャップ:200μm)を用いて、各例の導電性ペーストをガラス基板上に塗布し、塗膜(10cm×10cm、ペースト状)を得た。塗膜を湿度50%以下の室温(25℃)環境、湿度70%の室温(25℃)環境、または、湿度75%の室温(25℃)環境に30分間放置した。その後、塗膜の粘度を測定した。具体的には、塗膜を回収し、25℃の環境下において、ブルックフィールド粘度計(ブルックフィールド社製、DV-III ULTRA スピンドルSC4-14)を用いて、回収した塗膜の粘度を測定した。測定時の回転速度を、20rpmに設定した。
【0083】
塗膜の粘度の測定結果に基づいて、導電性ペーストの安定性を、以下の指標で評価した。
「E(Excellent:安定性に優れる)」:ガラス基板に塗布する前の導電性ペーストの粘度を1としたときの塗膜の粘度が1.5未満であり、かつ、塗膜のゲル化がなかった。
「G(Good:安定性が良好である)」:ガラス基板に塗布する前の導電性ペーストの粘度を1としたときの塗膜の粘度が1.5以上であり、かつ、塗膜のゲル化がなかった。
「P(Poor:安定性に乏しい)」:塗膜がゲル化した。
結果を表1の該当欄に示す。

【0084】
【表1】

【0085】
表1に示された結果から、導電性粒子と、ポリイミド樹脂と、有機溶剤とを含む導電性ペーストである例1~例8と、例9~例15と、を比較すると、有機溶剤が、第1溶剤と第2溶剤とを含み、Hansen溶解度パラメータの分極項δPが9以上15以下であり、ポリイミド樹脂可溶性である導電性ペースト(例1~例8)は、安定性に優れることがわかった。
【0086】
以上、ここで開示される技術を説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここで開示される技術には、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得る。
【符号の説明】
【0087】
1 セラミック電子部品
2 基板
3 配線
4 半田付け層
10 部品本体
12 誘電体層
20 内部電極
30 外部電極
32 第1の金属電極層
34 導電性膜
36 第2の金属電極層
38 第3の金属電極層
図1