(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051493
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】車輪ユニット
(51)【国際特許分類】
B60K 7/00 20060101AFI20240404BHJP
F16H 1/28 20060101ALI20240404BHJP
F16H 13/04 20060101ALI20240404BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240404BHJP
B60B 19/00 20060101ALI20240404BHJP
B60K 1/02 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B60K7/00
F16H1/28
F16H13/04 G
H02K7/116
B60B19/00 H
B60K1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157695
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】ニデックドライブテクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】坪根 太平
(72)【発明者】
【氏名】矢田 渉
(72)【発明者】
【氏名】坂本 友和
(72)【発明者】
【氏名】小橋 慎一郎
【テーマコード(参考)】
3D235
3J027
3J051
5H607
【Fターム(参考)】
3D235AA21
3D235BB18
3D235CC42
3D235GA03
3D235GA06
3D235GA12
3D235GA52
3D235GB04
3D235GB26
3D235GB36
3D235GB38
3J027FA36
3J027GA01
3J027GB02
3J027GC24
3J027GC26
3J027GD04
3J027GD07
3J027GD13
3J027GE11
3J051AA01
3J051BD04
3J051BE03
3J051ED15
5H607AA00
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE33
(57)【要約】
【課題】車輪部の回転軸線に沿った方向における車輪ユニットの大きさが大きくなることを抑制できる車輪ユニットを提供する。
【解決手段】車輪ユニットDVは、車輪部5と、一対の駆動部Dとを有する。一対の駆動部Dの一方と一対の駆動部Dの他方とは、車輪部5を介して対向する。一対の駆動部Dの一方の駆動部DAは、第1のモータ8Aと、第1の減速部6Aとを有する。一対の駆動部Dの他方の駆動部DBは、第2のモータ8Bと、第2の減速部6Bとを有する。第1の減速部6Aは、第1の出力軸81Aと連結される第1の入力軸61Aを有する。第1の回転軸線RA及び第2の回転軸線RBが、車輪部5の回転軸線AXと平行で、かつ、車輪部5の径方向において車輪部5の外側に配置される。第1の出力軸81A、第1の入力軸61A、第2の出力軸81B及び第2の入力軸61Bは、回転軸線AXに沿った方向において車輪部5から離れる方向に向かって延びる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線に対する円周線上に配置されて前記円周線を軸に回転する複数のローラと、前記複数のローラへ動力を伝える第1の回転駆動部材及び第2の回転駆動部材とを有する車輪部と、
前記車輪部を前記回転軸線上の両側から支持し、前記第1の回転駆動部材及び前記第2の回転駆動部材を独立に回転させる一対の駆動部と、
第1のフレームと、
第2のフレームと
を有する車輪ユニットであって、
前記一対の駆動部の一方と前記一対の駆動部の他方とは、前記車輪部を介して対向し、
前記一対の駆動部の一方の駆動部は、
第1の回転軸線を中心に回転する第1の出力軸を有する第1のモータと、
前記車輪部の前記回転軸線を中心に回転して前記第1のモータの回転速度から減速された出力で前記第1の回転駆動部材へ動力を伝える第1の減速部と
を有し、
前記一対の駆動部の他方の駆動部は、
第2の回転軸線を中心に回転する第2の出力軸を有する第2のモータと、
前記車輪部の前記回転軸線を中心に回転して前記第2のモータの回転速度から減速された出力で前記第2の回転駆動部材へ動力を伝える第2の減速部と
を有し、
前記第1のモータは、前記第1のフレームの第1領域に配置され、
前記第1の減速部は、前記第1のフレームの前記第1領域と離れて配置された前記第1のフレームの第2領域に配置され、
前記第2のモータは、前記第2のフレームの第3領域に配置され、
前記第2の減速部は、前記第2のフレームの前記第3領域と離れて配置された前記第2のフレームの第4領域に配置され、
前記第1の減速部は、前記第1の出力軸と連結される第1の入力軸を有し、
前記第2の減速部は、前記第2の出力軸と連結される第2の入力軸を有し、
前記第1の回転軸線及び前記第2の回転軸線が、前記車輪部の前記回転軸線と平行で、かつ、前記車輪部の径方向において前記車輪部の外側に配置され、
前記第1の出力軸、前記第1の入力軸、前記第2の出力軸及び前記第2の入力軸は、前記回転軸線に沿った方向において前記車輪部から離れる方向に向かって延びる、車輪ユニット。
【請求項2】
前記第1の減速部は、第1のキャリアを更に有し、
前記第2の減速部は、第2のキャリアを更に有し、
前記第1のキャリアと前記第2のキャリアとは、3本の第1の結合部材と3本の第2の結合部材とによって連結され、
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とは、周方向に沿って交互に配置される、請求項1に記載の車輪ユニット。
【請求項3】
前記第1の減速部は、2個の第1の遊星歯車を更に有し、
前記第2の減速部は、2個の第2の遊星歯車を更に有する、請求項2に記載の車輪ユニット。
【請求項4】
前記回転軸線に沿った方向から視たときに、前記3本の第1の結合部材と前記3本の第2の結合部材とは、前記2個の第1の遊星歯車及び前記2個の第2の遊星歯車と重ならない位置に配置される、請求項3に記載の車輪ユニット。
【請求項5】
前記回転軸線と前記第1の回転軸線とは、第1方向において離れており、
前記回転軸線と前記第2の回転軸線とは、第2方向において離れており、
前記第1方向と前記第2方向とは、前記回転軸線と直交し、
前記第1のフレームの前記第2領域又は前記第2のフレームの前記第4領域は、前記回転軸線の周りに回転可能であり、
前記第1のフレームは、前記第2のフレームに対して静止させた状態で固定される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車輪ユニット。
【請求項6】
前記第1方向は、前記第2方向の反対方向と異なる、請求項5に記載の車輪ユニット。
【請求項7】
前記第1方向と前記第2方向とは、反対方向である、請求項5に記載の車輪ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動車両は、駆動部と、車両のホィールとを有する(例えば、特許文献1)。駆動部は、ホィールに隣接して配置される。具体的には、駆動部は、電動モータと、減速歯車機構とを有する。減速歯車機構は、電動モータの回転軸とホィールに接続された出力軸との間に介在される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電動車両のような車輪ユニットでは、車輪部と電動モータと減速歯車機構とが、車輪部の回転軸線に沿った方向に並ぶため、回転軸線に沿った方向における車輪ユニットの大きさが大きくなった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は車輪部の回転軸線に沿った方向における車輪ユニットの大きさが大きくなることを抑制できる車輪ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な車輪ユニットは、車輪部と、一対の駆動部と、第1のフレームと、第2のフレームとを有する。前記車輪部は、回転軸線に対する円周線上に配置されて前記円周線を軸に回転する複数のローラと、前記複数のローラへ動力を伝える第1の回転駆動部材及び第2の回転駆動部材とを有する。前記一対の駆動部は、前記車輪部を前記回転軸線上の両側から支持し、前記第1の回転駆動部材及び前記第2の回転駆動部材を独立に回転させる。前記一対の駆動部の一方と前記一対の駆動部の他方とは、前記車輪部を介して対向する。前記一対の駆動部の一方の駆動部は、第1の回転軸線を中心に回転する第1の出力軸を有する第1のモータと、前記車輪部の前記回転軸線を中心に回転して前記第1のモータの回転速度から減速された出力で前記第1の回転駆動部材へ動力を伝える第1の減速部とを有する。前記一対の駆動部の他方の駆動部は、第2の回転軸線を中心に回転する第2の出力軸を有する第2のモータと、前記車輪部の前記回転軸線を中心に回転して前記第2のモータの回転速度から減速された出力で前記第2の回転駆動部材へ動力を伝える第2の減速部とを有する。前記第1のモータは、前記第1のフレームの第1領域に配置され、前記第1の減速部は、前記第1のフレームの前記第1領域と離れて配置された前記第1のフレームの第2領域に配置され、前記第2のモータは、前記第2のフレームの第3領域に配置され、前記第2の減速部は、前記第2のフレームの前記第3領域と離れて配置された前記第2のフレームの第4領域に配置される。前記第1の減速部は、前記第1の出力軸と連結される第1の入力軸を有する。前記第2の減速部は、前記第2の出力軸と連結される第2の入力軸を有する。前記第1の回転軸線及び前記第2の回転軸線が、前記車輪部の前記回転軸線と平行で、かつ、前記車輪部の径方向において前記車輪部の外側に配置される。前記第1の出力軸、前記第1の入力軸、前記第2の出力軸及び前記第2の入力軸は、前記回転軸線に沿った方向において前記車輪部から離れる方向に向かって延びる。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、車輪部の回転軸線に沿った方向における車輪ユニットの大きさが大きくなることを抑制できる車輪ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】
図7は、第1の回転駆動部材を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図6のVIII-VIII線に沿った第1の減速部の断面図である。
【
図10】
図10は、車輪ユニットの第1のキャリア及び第2のキャリア近傍の分解斜視図を示す。
【
図14】
図14は、車輪ユニットの他の一例を示す側面図である。
【
図15】
図15は、車輪ユニットの更に他の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、及びZ軸を適宜記載している。
【0010】
本明細書では、車輪ユニットの回転軸線AX(例えば
図4)に対して平行な方向を「軸方向AD」と記載する。すなわち、回転軸線AXに沿った方向を「軸方向AD」と記載する。また、回転軸線AXに対して直交する方向を「径方向RD」と記載する。「径方向RD」は、「回転軸線に対する径方向」の一例に相当する。また、回転軸線AXを中心とする円弧に沿う方向を「周方向CD」と記載する。「周方向CD」は、「回転軸線の周りの周方向」の一例に相当する。なお、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。また、「左右」は、径方向RDから対象物を見たときの左右を示す。
【0011】
図1~
図12を参照して、本発明の実施形態に係る搬送車1及び車輪ユニットDVを説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、搬送車1を説明する。
【0012】
図1は、搬送車1を示す斜視図である。
図2は、搬送車1を示す側面図である。
【0013】
図1及び
図2に示す搬送車1は、床面又は地面を走行する。本実施形態では、搬送車1は無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、搬送車1は、車体3を有する。
図1及び
図2の例では、車体3は、略直方体形状を有する。ただし、車体3の形状は特に限定されない。
【0015】
搬送車1は、複数の車輪ユニットDVと、複数の車輪7とを更に有する。本実施形態では、搬送車1は、一対の車輪ユニットDVと、4個の車輪7とを有する。4個の車輪7は、それぞれ、車体3の底部3aの4隅に配置される。各車輪7は、車体3の移動にともなって回転する。一対の車輪ユニットDVは、互いに独立して回転して、車体3を移動させる。一対の車輪ユニットDVのうち、一方の車輪ユニットDVの回転軸線AXと他方の車輪ユニットDVの回転軸線AXとが一直線上に位置するように、一対の車輪ユニットDVは、車体3の底部3aに配置される。
【0016】
一対の車輪ユニットDVの構成は同じである。従って、以下では、一対の車輪ユニットDVのうちの一方の車輪ユニットDVを説明する。
【0017】
次に、
図3及び
図4を参照して、車輪ユニットDVを説明する。
図3は、車輪ユニットDVを示す斜視図である。
図4は、車輪ユニットDVを示す底面図である。
図4では、床面又は地面の側から車輪ユニットDVを見ている。
【0018】
図3及び
図4に示すように、車輪ユニットDVは、主輪5と、一対の駆動部Dとを有する。主輪5は、「車輪部」の一例である。一対の駆動部Dの一方の駆動部は、第1の駆動部DAである。一対の駆動部Dの他方の駆動部は、第2の駆動部DBである。一対の駆動部Dは、主輪5を回転軸線AX上の両側から支持する。換言すれば、第1の駆動部DAと第2の駆動部DBとは、主輪5を介して対向する。
【0019】
第1の駆動部DA及び第2の駆動部DBは主輪5を駆動する。その結果、主輪5は、回転軸線AXの周りに回転する。よって、回転軸線AXは主輪5の回転軸線でもある。第1の駆動部DAは、軸方向ADにおける主輪5の一方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。第2の駆動部DBは、軸方向ADにおける主輪5の他方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。
【0020】
第1の駆動部DAは、第1の回転駆動部材11Aと、第1のモータ8Aと、第1の減速部6Aと、第1の歯付ベルト13Aと、第1のプーリー15Aとを有する。
【0021】
続けて
図3~
図5を参照して、第1のモータ8Aを説明する。
図5は、第1のモータ8Aを示す断面図である。
図3~
図5に示すように、第1のモータ8Aは、第1の出力軸81Aと、本体部82Aと、ブレーキ83Aとを有する。本体部82Aは、モータロータ821Aと、モータステータ822Aとを有する。第1の出力軸81Aは、略柱状である。「柱状」は例えば「円柱状」である。第1の出力軸81Aは、第1の回転軸線RAを中心に回転する。第1の回転軸線RAが、主輪5の回転軸線AXと平行で、かつ、主輪5の径方向RDにおいて主輪5の外側に配置される。また、第1の出力軸81Aは、回転軸線AXに沿った軸方向ADにおいて主輪5から離れる方向に向かって本体部82Aから延びる。換言すれば、第1の出力軸81Aは、本体部82Aの主輪5から離れた側の面に配置されている。なお、主輪5の回転軸線AXに沿った方向における第1のモータ8Aの大きさは、第1距離LAである。また、主輪5の回転軸線AXに沿った方向におけるブレーキ83Aの大きさは、第2距離LBである。
【0022】
続けて、
図3、
図4及び
図6を参照して、第1の減速部6Aを説明する。
図6は、第1の減速部6Aを示す断面図である。
図3、
図4及び
図6に示すように、第1の減速部6Aは、第1の入力軸61Aと、本体部62Aとを有する。第1の入力軸61Aは、略柱状である。「柱状」は例えば「円柱状」である。第1の入力軸61Aは、回転軸線AX上に配置され、軸方向ADに沿って延びる。第1の減速部6Aは、第1のモータ8Aの回転速度から減速された出力で第1の回転駆動部材11Aへ動力を伝える。また、第1の入力軸61Aは、回転軸線AXに沿った軸方向ADにおいて主輪5から離れる方向に向かって本体部62Aから延びる。換言すれば、第1の入力軸61Aは、本体部62Aの主輪5から離れた側の面に配置されている。そして、第1の入力軸61Aと第1の出力軸81Aとは、平行かつ同じ方向に延びている。なお、主輪5の回転軸線AXに沿った方向における第1の減速部6Aの大きさは、第3距離LCである。第3距離LCは、第1距離LAと第2距離LBとの差分と略同じである。
【0023】
詳細には、第1のモータ8Aの第1の出力軸81Aには、第1のプーリー15Aが固定されている。そして、無端の第1の歯付ベルト13Aが、第1のプーリー15Aと第1の減速部6Aの第1の入力軸61Aとに、張力を掛けた状態で架け渡される。換言すれば、第1の入力軸61Aと、第1の出力軸81Aとは連結されている。第1のモータ8Aの第1の出力軸81Aが第1の回転軸線RAを中心に回転すると、第1のプーリー15Aが回転して、第1の歯付ベルト13Aが周回する。従って、第1の入力軸61Aが、回転軸線AXを中心に回転する。
【0024】
一方、第2の駆動部DBは、第2の回転駆動部材11Bと、第2のモータ8Bと、第2の減速部6Bと、第2の歯付ベルト13Bと、第2のプーリー15Bとを有する。
【0025】
第2のモータ8Bは、第2の出力軸81Bと、本体部と、ブレーキとを有する。本体部は、モータロータと、モータステータとを有する。第2の出力軸81Bは、略柱状である。「柱状」は例えば「円柱状」である。第2の出力軸81Bは、第2の回転軸線RBを中心に回転する。第2の回転軸線RBが、主輪5の回転軸線AXと平行で、かつ、主輪5の径方向RDにおいて主輪5の外側に配置される。また、第2の出力軸81Bは、回転軸線AXに沿った軸方向ADにおいて主輪5から離れる方向に向かって本体部から延びる。換言すれば、第2の出力軸81Bは、本体部の主輪5から離れた側の面に配置されている。その結果、第2の出力軸81Bと第1の出力軸81Aとは、互いに反対方向に延びている。なお、主輪5の回転軸線AXに沿った方向における第2のモータ8Bの大きさは、第1距離LAである。また、主輪5の回転軸線AXに沿った方向におけるブレーキの大きさは、第2距離LBである。
【0026】
第2の減速部6Bは、第2の入力軸61Bと、本体部62Bとを有する。第2の入力軸61Bは、略柱状である。「柱状」は例えば「円柱状」である。第2の入力軸61Bは、回転軸線AX上に配置され、軸方向ADに沿って延びる。第2の減速部6Bは、第2のモータ8Bの回転速度から減速された出力で第2の回転駆動部材11Bへ動力を伝える。また、第2の入力軸61Bは、回転軸線AXに沿った軸方向ADにおいて主輪5から離れる方向に向かって本体部62Bから延びる。換言すれば、第2の入力軸61Bは、本体部62Bの主輪5から離れた側の面に配置されている。その結果、第2の入力軸61Bと第1の入力軸61Aとは、互いに反対方向に延びている。そして、第2の入力軸61Bと第2の出力軸81Bとは、平行かつ同じ方向に延びている。なお、主輪5の回転軸線AXに沿った方向における第2の減速部6Bの大きさは、第3距離LCである。第3距離LCは、第1距離LAと第2距離LBとの差分と略同じである。
【0027】
第2のモータ8B、第2の減速部6B、第2の回転駆動部材11B、第2の歯付ベルト13B及び第2のプーリー15Bの構成は、それぞれ、第1のモータ8A、第1の減速部6A、第1の回転駆動部材11A、第1の歯付ベルト13A及び第1のプーリー15Aを左右反転した構造を有しており、適宜説明を省略する。
【0028】
第1のモータ8Aは、第1の減速部6Aより第1方向D1側に配置される。また、第2のモータ8Bは、第2の減速部6Bより第2方向D2側に配置される。第1方向D1と第2方向D2とは、交差する。その結果、回転軸線AXに沿った軸方向ADにおいて、第1の入力軸61Aの先端部と第2の入力軸61Bの先端部との間の距離は、第1の出力軸81Aの先端部と第2の出力軸81Bの先端部との間の距離とは、略同一である。
【0029】
図3及び
図4に示すように、主輪5は、複数の被駆動ローラ51と、芯体53とを有する。芯体53は、回転軸線AXの周りに周方向CDに沿って延びる。芯体53は略円環形状を有する。複数の被駆動ローラ51の各々は略円筒形状を有する。複数の被駆動ローラ51は、芯体53に回転自在に支持される。具体的には、複数の被駆動ローラ51の各々は、自身の位置における芯体53の接線方向に沿った軸線の周りに回転自在である。以下、被駆動ローラ51が、自身の位置における芯体53の接線方向に沿った軸線の周りに回転することを「自転」と記載する場合がある。複数の被駆動ローラ51は、芯体53に、周方向CDに沿って間隔をあけて配置される。換言すれば、複数の被駆動ローラ51は、回転軸線AXに対する円周線上に配置されて円周線を軸に回転する。
【0030】
主輪5が回転軸線AXの周りに回転すると、複数の被駆動ローラ51の各々が、周方向CDに沿って回転移動される。以下、被駆動ローラ51が周方向CDに沿って回転移動されるときの被駆動ローラ51の周方向CDにおける位置を「回転移動位置」と記載する場合がある。複数の被駆動ローラ51の各々は、被駆動ローラ51の回転移動位置に応じて、床面又は地面と接触する。以下、被駆動ローラ51が床面又は地面と接触することを「接地」と記載する場合がある。被駆動ローラ51のローラ本体は、例えば、ゴム製である。
【0031】
続けて
図4及び
図7を参照して、第1の回転駆動部材11Aを説明する。
図7は、第1の回転駆動部材11Aを示す斜視図である。
図7では、図面を見易くするために、主輪5を二点鎖線で示している。
【0032】
図4及び
図7に示すように、車輪ユニットDVにおいて、第1の駆動部DAの第1の回転駆動部材11Aは、略円盤形状を有している。第1の回転駆動部材11Aは、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。第1の回転駆動部材11Aは、軸方向ADにおける主輪5の一方側に配置される。第1の回転駆動部材11Aは、回転可能に支持されている。第1の回転駆動部材11Aは、第1の減速部6Aの回転によって駆動されて、回転軸線AXの周りに回転する。その結果、第1の回転駆動部材11Aは、回転力に基づく駆動力を主輪5に伝達する。つまり、第1の回転駆動部材11Aは、軸方向ADにおける主輪5の一方側から主輪5に接触して、第1のモータ8Aの動力を主輪5に伝える。
【0033】
第1の回転駆動部材11Aと第2の回転駆動部材11Bとは、主輪5を軸方向ADから挟んでいる。また、第1の回転駆動部材11Aと第2の回転駆動部材11Bとは、主輪5を挟んで左右対称に配置される。更に、第1の回転駆動部材11Aと第2の回転駆動部材11Bとは、主輪5を回転軸線AXの周りに回転可能に支持している。
【0034】
詳細には、第1の回転駆動部材11Aは、複数の駆動ローラ120と駆動力伝達部材110とを有する。複数の駆動ローラ120は、駆動力伝達部材110に配置される。駆動力伝達部材110が回転軸線AXの周りに回転すると、複数の駆動ローラ120の各々が、周方向CDに沿って回転移動される。以下、駆動ローラ120が周方向CDに沿って回転移動されるときの駆動ローラ120の周方向CDにおける位置を「回転移動位置」と記載する場合がある。
【0035】
複数の駆動ローラ120の各々は、駆動ローラ120の回転移動位置に応じて、複数の被駆動ローラ51のいずれかと接触する。具体的には、少なくとも、駆動ローラ120は、最下部に位置して接地している被駆動ローラ51に接触する。この場合、駆動ローラ120の外周面が被駆動ローラ51の外周面に接触する。その結果、駆動ローラ120と被駆動ローラ51との間の摩擦によって、駆動力伝達部材110の回転に基づく駆動力が、駆動ローラ120から被駆動ローラ51に伝達される。換言すれば、複数の駆動ローラ120は、主輪5に駆動力を伝達する。更に換言すれば、複数の駆動ローラ120は、主輪5に推進力を伝達する。
【0036】
具体的には、複数の駆動ローラ120の各々は、回転軸線AXの周りの主輪5の回転方向に対して、直交及び平行のいずれでもない方向に延在する中心軸線の周りに回転可能に配置されている。つまり、複数の駆動ローラ120の中心軸線は、回転軸線AXの周りの主輪5の回転方向に対して傾斜し、回転軸線AXに対してねじれの関係を有する。
【0037】
引き続き
図3及び
図4を参照して、主輪5の移動方向の制御を説明する。
図3及び
図4に示すように、第1のモータ8A及び第2のモータ8Bによって、第1の回転駆動部材11Aの回転方向及び回転速度と、第2の回転駆動部材11Bの回転方向及び回転速度とを、独立して制御することで、主輪5の移動方向が制御される。
【0038】
具体的には、第1のモータ8A及び第2のモータ8Bが同一回転方向及び同一回転速度で駆動されている場合には、第1の回転駆動部材11Aと第2の回転駆動部材11Bとが、同一回転速度で同一回転方向に回転し、主輪5が回転軸線AXの周りに回転する。この場合は、第1の回転駆動部材11Aと第2の回転駆動部材11Bとに回転速度差が生じないため、主輪5の被駆動ローラ51が自転せず、主輪5は、真っ直ぐに前進又は後進する。
【0039】
一方、第1のモータ8A及び第2のモータ8Bが、異なった回転方向及び/又は異なった回転速度で駆動されている場合には、第1の回転駆動部材11Aと第2の回転駆動部材11Bとに回転速度差が生じる。
【0040】
この場合、第1の回転駆動部材11Aの回転力による円周方向の力に直交する分力が、第1の回転駆動部材11Aの駆動ローラ120(
図7)と主輪5の被駆動ローラ51との接触面に作用する。加えて、第2の回転駆動部材11Bの回転力による円周方向の力に直交する分力が、第2の回転駆動部材11Bの駆動ローラ120と主輪5の被駆動ローラ51との接触面に作用する。
【0041】
従って、主輪5が回転軸線AXの周りに回転することなく、被駆動ローラ51が自転するか、又は、主輪5が回転軸線AXの周りに回転しつつ、被駆動ローラ51が自転するかする。その結果、主輪5は、左右方向又は斜め方向に移動する。
【0042】
なお、第1の回転駆動部材11A及び第2の回転駆動部材11Bは、第1の回転駆動部材11Aの複数の駆動ローラ120と、第2の回転駆動部材11Bの複数の駆動ローラ120とで主輪5を挟むようにして、主輪5を回転軸線AXの周りに回転可能に支持している。
【0043】
図4に示すように、第1の回転軸線RA及び第2の回転軸線RBが、主輪5の外側に配置されている。その結果、第1の減速部6Aと第1のモータ8Aとは、離れて配置される。また、第2の減速部6Bと第2のモータ8Bとは、離れて配置される。換言すれば、第1の減速部6Aと第1のモータ8Aとは、回転軸線AXに沿った方向に並んでいない。また、第2の減速部6Bと第2のモータ8Bとは、回転軸線AXに沿った方向に並んでいない。よって、回転軸線AXに沿った方向における車輪ユニットDVの大きさが大きくなることを抑制できる。
【0044】
また、第1の入力軸61Aと第1の出力軸81Aとは、平行かつ同じ方向に延びている。また、第2の入力軸61Bと第2の出力軸81Bとは、平行かつ同じ方向に延びている。更に、第2の入力軸61Bと第1の入力軸61Aとは、互いに反対方向に延びている。そして、第2の出力軸81Bと第1の出力軸81Aとは、互いに反対方向に延びている。よって、回転軸線AXに沿った方向における車輪ユニットDVの大きさを、第1の入力軸61Aの先端部と第2の入力軸61Bの先端部との間の距離、又は、第1の出力軸81Aの先端部と第2の出力軸81Bの先端部との間の距離にすることができる。
【0045】
また、回転軸線AXに沿った軸方向ADにおいて、第1の入力軸61Aの先端部と第2の入力軸61Bの先端部との間の距離2×LCは、第1の出力軸81Aの先端部と第2の出力軸81Bの先端部との間の距離とは、略同一である。よって、回転軸線AXに沿った方向における車輪ユニットDVの大きさを、第1の減速部6Aと第1のモータ8Aと第2の減速部6Bと第2のモータ8Bとが回転軸線AXに沿った方向に並んだ場合と比較して、略半分にできる。
【0046】
続けて
図6及び
図8を参照して、第1の減速部6Aについて更に説明する。
図8は、
図6のVIII-VIII線に沿った第1の減速部6Aの断面図である。
【0047】
図6に示すように、第1の減速部6Aは、第1の太陽歯車151Aと、複数の第1の遊星歯車153Aと、第1の内歯車155Aと、第1のキャリア156Aとを有する。具体的には、第1の減速部6Aは2個の第1の遊星歯車153Aを有する。なお、第1の減速部6Aは、3つ以上の第1の遊星歯車153Aを有していてもよい。
【0048】
第1の減速部6Aは、第1の太陽歯車151Aと2個の第1の遊星歯車153Aとを互いに接触させながら回転させることで動力を伝達する。つまり、第1の減速部6Aは、いわゆる遊星歯車型の減速機である。詳しくは、第1の減速部6Aは、スター型の遊星歯車型の減速機である。具体的には、2個の第1の遊星歯車153Aの各々の外歯は、第1の内歯車155Aの内歯と噛み合う。第1の内歯車155Aは、第1の回転駆動部材11Aの一部を構成する。従って、2個の第1の遊星歯車153Aが回転すると、第1の回転駆動部材11Aが回転する。
【0049】
第1の減速部6Aは、回転数N1の回転運動を、回転数N1よりも低い回転数N2の回転運動に変換する。回転数N1及び回転数N2は、単位時間当たりの回転運動の回転数を示す。本実施形態では、第1の減速部6Aは、第1の太陽歯車151Aの回転速度を減速させ、減速した回転速度で第1の内歯車155Aを回転させる。
【0050】
詳細には、第1の太陽歯車151Aは第1の回転駆動部材11Aの径方向RD内側に配置される。第1の太陽歯車151Aは回転軸線AXを中心として回転する。第1の太陽歯車151Aは略円柱状である。第1の太陽歯車151Aは軸方向ADに沿って延びる。第1の太陽歯車151Aは、第1の入力軸61Aと軸方向ADに結合される。従って、第1の入力軸61Aが回転数N1で回転すると、太陽歯車151は回転数N1で回転する。本実施形態では、第1の入力軸61Aと第1の太陽歯車151Aとは、単一の部材である。なお、第1の入力軸61Aと第1の太陽歯車151Aとは、別部材であってもよい。
【0051】
2個の第1の遊星歯車153Aは、第1の太陽歯車151Aの回りに配置されている。本実施形態では、2個の第1の遊星歯車153Aは、第1の太陽歯車151Aの回りに周方向CDに沿って等間隔に配置されている。2個の第1の遊星歯車153Aの各々の外歯は、第1の太陽歯車151Aの外歯に噛み合う。従って、第1の太陽歯車151Aが回転すると、2個の第1の遊星歯車153Aの各々が回転する。
【0052】
2個の第1の遊星歯車153Aは第1の回転駆動部材11Aの径方向RD内側に配置される。2個の第1の遊星歯車153Aの各々の外歯は、第1の内歯車155Aに接触する。第1の内歯車155Aは、第1の回転駆動部材11Aの一部を構成する。従って、2個の第1の遊星歯車153Aが回転すると、第1の回転駆動部材11Aが回転する。
【0053】
第1のキャリア156Aは、第1の減速部6Aの少なくとも一部を収容する。本実施形態では、第1のキャリア156Aは、第1の入力軸61Aの一部、第1の太陽歯車151A、2個の第1の遊星歯車153Aを収容する。第1のキャリア156Aは、第1本体部135Aと、第1軸挿入部139Aとを有する。第1本体部135Aは、略円筒形状を有する。第1のキャリア156Aは、2個の第1の遊星歯車153Aを自転可能に支持する。
【0054】
続けて
図3、
図4及び
図9を参照して、第1のフレーム9Aについて更に説明する。
図9は、第1のフレーム9Aの斜視図である。
図3、
図4及び
図9に示すように、第1の駆動部DAは、第1のフレーム9Aを更に有する。また、第2の駆動部DBは、第2のフレーム9Bを更に有する。
【0055】
第1のフレーム9Aには、第1のモータ8A及び第1の減速部6Aが配置される。第1のフレーム9Aは、略平板状である。第1のモータ8Aは、第1のフレーム9Aの第1領域91Aに配置される。第1の減速部6Aは、第1のフレームの第2領域92Aに配置される。第2領域92Aは、第1のフレーム9Aの第1領域91Aと離れて配置される。具体的には、第1領域91Aは、第2領域92Aより第1方向D1側に配置される。よって、第1のフレーム9Aに第1のモータ8A及び第1の減速部6Aが配置されたときには、回転軸線AXと第1の回転軸線RAとは、第1方向D1において離れる。
【0056】
第2のフレーム9Bは、第2のモータ8B及び第2の減速部6Bが配置される。第2のフレーム9Bは、略平板状である。第2のモータ8Bは、第2のフレーム9Bの第3領域91Bに配置される。第2の減速部6Bは、第2のフレームの第4領域92Bに配置される。第4領域92Bは、第2のフレーム9Bの第3領域91Bと離れて配置される。具体的には、第3領域91Bは、第4領域92Bより第2方向D2側に配置される。よって、第2のフレーム9Bに第2のモータ8B及び第2の減速部6Bが配置されたときには、回転軸線AXと第2の回転軸線RBとは、第2方向D2において離れる。
【0057】
第1の駆動部DAは、第1のフレーム9Aを更に有する。また、第2の駆動部DBは、第2のフレーム9Bを更に有する。よって、車輪ユニットDV中に、第1のモータ8Aと第1の減速部6Aと第2のモータ8Bと第2の減速部6Bとを容易に配置できる。
【0058】
続けて
図10を参照して、車輪ユニットDVについて更に説明する。
図10は、車輪ユニットDVの第1のキャリア156A及び第2のキャリア156B近傍の分解斜視図を示す。
図10では、第1のキャリア156Aと、第2のキャリア156Bと、第1の結合部材14Aと、第2の結合部材14Bとを示している。
【0059】
図11及び
図12を参照して、第1のキャリア156Aについて更に説明する。
図11及び
図12は、第1のキャリア156Aを示す側面図である。なお、第1のキャリア156Aと第2のキャリア156Bは、同様な構成を有するため、適宜説明を省略する。
【0060】
図11及び
図12に示すように、第1のキャリア156Aは、第1本体部135Aと、第1突出部134Aと、第1軸挿入部139Aとを有する。第1本体部135Aは、略円筒形状を有する。第1突出部134Aは、第1本体部135Aから第2のキャリア156B側に突出する。第1軸挿入部139Aには、第1の出力軸81Aが挿入される。
【0061】
第1のキャリア156Aには、複数の貫通孔(貫通孔132a、貫通孔132b及び貫通孔132c)と、複数の螺合孔(螺合孔136a、螺合孔136b及び螺合孔136c)とが形成されている。
【0062】
本実施形態では、第1のキャリア156Aには、3つの貫通孔が形成されている。本明細書において、貫通孔132a、貫通孔132b及び貫通孔132cを、貫通孔132と総称する場合がある。貫通孔132は、第1本体部135Aを貫通する。貫通孔132には、第1の結合部材14Aが挿入可能である。
【0063】
本実施形態では、第1のキャリア156Aには、3つの螺合孔が形成されている。詳しくは、螺合孔136a、螺合孔136b及び螺合孔136cは、第1本体部135Aに形成されている。本明細書において、螺合孔136a、螺合孔136b及び螺合孔136cを螺合孔136と総称する場合がある。螺合孔136は、第1軸挿入部139Aが位置する側と反対側に形成される。すなわち、螺合孔136は、第2のキャリア156Bと対向する側に形成される。螺合孔136は、第2の結合部材14Bが螺合可能である。貫通孔132と螺合孔136とは、周方向に沿って交互に配置される。
【0064】
同様に、第2のキャリア156Bには、複数の貫通孔(貫通孔132a、貫通孔132b及び貫通孔132c)と、複数の螺合孔(螺合孔136a、螺合孔136b及び螺合孔136c)とが形成されている。
【0065】
本実施形態では、第2のキャリア156Bには、3つの貫通孔が形成されている。本明細書において、貫通孔132a、貫通孔132b及び貫通孔132cを、貫通孔132と総称する場合がある。貫通孔132は、第2本体部135Bを貫通する。貫通孔132には、第2の結合部材14Bが挿入可能である。
【0066】
本実施形態では、第2のキャリア156Bには、3つの螺合孔が形成されている。詳しくは、螺合孔136a、螺合孔136b及び螺合孔136cは、第2本体部135Bに形成されている。本明細書において、螺合孔136a、螺合孔136b及び螺合孔136cを螺合孔136と総称する場合がある。螺合孔136は、第2軸挿入部139Bが位置する側と反対側に形成される。すなわち、螺合孔136は、第1のキャリア156Aと対向する側に形成される。螺合孔136は、第1の結合部材14Aが螺合可能である。貫通孔132と螺合孔136とは、周方向に沿って交互に配置される。よって、第1のキャリア156Aと第2のキャリア156Bとを容易に固定できる。
【0067】
更に詳細には、第1本体部135Aには、固定孔133a~固定孔133dと、固定孔138a、固定孔138bとが更に形成される。固定孔138aと固定孔138bとには、2個の第1の遊星歯車153Aが自転可能に支持される。
【0068】
固定孔138aと貫通孔132cと螺合孔136aと貫通孔132bと固定孔138bと螺合孔136bと貫通孔132aと螺合孔136cとは、周方向CDに沿って配置される。その結果、第1の遊星歯車153A(第2の遊星歯車153B)と第1の結合部材14Aと第2の結合部材14Bと第1の結合部材14Aと第1の遊星歯車153A(第2の遊星歯車153B)と第2の結合部材14Bと第1の結合部材14Aと第2の結合部材14Bとは、周方向CDに沿って配置される。換言すれば、回転軸線AXに沿った方向から視たときに、3本の第1の結合部材14Aと3本の第2の結合部材14Bとは、2個の第1の遊星歯車153A(2個の第2の遊星歯車153B)と重ならない位置に配置される。よって、回転軸線AXに沿った方向における車輪ユニットDVの大きさが大きくなることを、より抑制できる。
【0069】
同様に、第2本体部135Bには、固定孔133a~固定孔133dと、固定孔138a、固定孔138bとが更に形成される。固定孔138aと固定孔138bとには、2個の第2の遊星歯車153Bが自転可能に支持される。
【0070】
第1のフレーム9Aには、複数の螺合孔109が形成されている。本実施形態では、第1のフレーム9Aには、7つの螺合孔109a、109b、109c、109dが形成されている。7つの螺合孔109a、109b、109c、109d、109e、109f、109gの各々には、例えばビスが挿入可能である。第1のフレーム9Aが車輪ユニットDV中に配置されたときには、第1方向D1と回転軸線AXとは直交する。
【0071】
7つの螺合孔109a、109b、109c、109d、109e、109f、109gは、回転軸線AXを中心に、点対称となる位置に配置される。7つの螺合孔109a、109b、109c、109d、109e、109f、109gの内から選択された4つの螺合孔と、固定孔133a~固定孔133dとにビスが挿入されることによって、第1のフレーム9Aと第1のキャリア156Aとが固定される。
【0072】
また、第2のフレーム9Bには、複数の螺合孔109が形成されている。本実施形態では、第2のフレーム9Bには、7つの螺合孔109a、109b、109c、109dが形成されている。7つの螺合孔109a、109b、109c、109d、109e、109f、109gの各々には、例えばビスが挿入可能である。第2のフレーム9Bが車輪ユニットDV中に配置されたときには、第2方向D2と回転軸線AXとは直交する。
【0073】
7つの螺合孔109a、109b、109c、109d、109e、109f、109gは、回転軸線AXを中心に、点対称となる位置に配置される。7つの螺合孔109a、109b、109c、109d、109e、109f、109gの内から選択された4つの螺合孔と、固定孔133a~固定孔133dとにビスが挿入されることによって、第2のフレーム9Bと第2のキャリア156Bとが固定される。
【0074】
続けて
図13~
図15を参照して、車輪ユニットDVについて更に説明する。
図13は、車輪ユニットDVの一例を示す側面図である。また、
図14は、車輪ユニットDVの他の一例を示す側面図である。また、
図13は、車輪ユニットDVの更に他の一例を示す側面図である。
【0075】
図13に示すように、第1方向D1は、第2方向D2の反対方向と異なる。具体的には、第1方向D1と第2方向D2との間の角度は、鋭角である。その結果、第1のモータ8Aと第2のモータ8Bとが第1方向D1又は第2方向D2に並んでいない。よって、第1方向D1又は第2方向D2における車輪ユニットDVの大きさが大きくなることを抑制できる。また、回転軸線AXに沿った方向における車輪ユニットDVの大きさが大きくなることを抑制できる。例えば、回転軸線AXに沿った軸方向ADにおいて、第1の入力軸61Aの先端部と第2の入力軸61Bの先端部との間の距離2×LCは、第1の出力軸81Aの先端部と第2の出力軸81Bの先端部との間の距離とは、略同一である。
【0076】
図14に示すように、第1方向D1と第2方向D2とは、同一の方向である。その結果、第1方向D1又は第2方向D2における車輪ユニットDVの大きさが大きくなることを抑制できる。
図14では、第1のモータ8A及び第2のモータ8Bは、ブレーキを有しない。その結果、回転軸線AXに沿った軸方向ADにおいて、第1の入力軸61Aの先端部と第2の入力軸61Bの先端部との間の距離2×LCは、第1の出力軸81Aの先端部と第2の出力軸81Bの先端部との間の距離とは、略同一である。
【0077】
図15に示すように、第1方向D1と第2方向D2とは、反対方向である。その結果、第1のモータ8Aと第2のモータ8Bとが第1方向D1及び第2方向D2に並んでいる。よって、第1方向D1及び回転軸線AXと直交する方向における車輪ユニットDVの大きさが大きくなることを抑制できる。また、回転軸線AXに沿った方向における車輪ユニットDVの大きさが大きくなることを抑制できる。例えば、回転軸線AXに沿った方向における車輪ユニットDVの大きさは、第1の入力軸61Aの先端部と第2の入力軸61Bの先端部との間の距離2×LCである。
【0078】
以上、図面(
図1~
図15)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0079】
(1)
図1~
図15を参照して説明した本実施形態では、車輪ユニットDVが、搬送車1に適用された。ただし、車輪ユニットDVの適用は、搬送車1に限られず、車輪ユニットDVは、床面又は地面を移動する任意の移動体に適用できる。移動体は、例えば、一輪車、二輪車、三輪車、又は、四輪車である。また、移動体は、1つの車輪ユニットDVを有していてもよいし、2以上の車輪ユニットDVを有していてもよい。
【0080】
(2)
図1~
図15を参照して説明した本実施形態では、減速部は、遊星歯車型の減速機であった。しかし、本発明は、これに限定されない。減速部は、ウォーム減速機、歯車減速機、傘歯車減速機又はトラクション減速機であってもよい。
【0081】
なお、本技術は、以下のような構成を採用することも可能である。
【0082】
(1)回転軸線に対する円周線上に配置されて前記円周線を軸に回転する複数のローラと、前記複数のローラへ動力を伝える第1の回転駆動部材及び第2の回転駆動部材とを有する車輪部と、
前記車輪部を前記回転軸線上の両側から支持し、前記第1の回転駆動部材及び前記第2の回転駆動部材を独立に回転させる一対の駆動部と、
第1のフレームと、
第2のフレームと
を有する車輪ユニットであって、
前記一対の駆動部の一方と前記一対の駆動部の他方とは、前記車輪部を介して対向し、
前記一対の駆動部の一方の駆動部は、
第1の回転軸線を中心に回転する第1の出力軸を有する第1のモータと、
前記車輪部の前記回転軸線を中心に回転して前記第1のモータの回転速度から減速された出力で前記第1の回転駆動部材へ動力を伝える第1の減速部と
を有し、
前記一対の駆動部の他方の駆動部は、
第2の回転軸線を中心に回転する第2の出力軸を有する第2のモータと、
前記車輪部の前記回転軸線を中心に回転して前記第2のモータの回転速度から減速された出力で前記第2の回転駆動部材へ動力を伝える第2の減速部と
を有し、
前記第1のモータは、前記第1のフレームの第1領域に配置され、
前記第1の減速部は、前記第1のフレームの前記第1領域と離れて配置された前記第1のフレームの第2領域に配置され、
前記第2のモータは、前記第2のフレームの第3領域に配置され、
前記第2の減速部は、前記第2のフレームの前記第3領域と離れて配置された前記第2のフレームの第4領域に配置され、
前記第1の減速部は、前記第1の出力軸と連結される第1の入力軸を有し、
前記第2の減速部は、前記第2の出力軸と連結される第2の入力軸を有し、
前記第1の回転軸線及び前記第2の回転軸線が、前記車輪部の前記回転軸線と平行で、かつ、前記車輪部の径方向において前記車輪部の外側に配置され、
前記第1の出力軸、前記第1の入力軸、前記第2の出力軸及び前記第2の入力軸は、前記回転軸線に沿った方向において前記車輪部から離れる方向に向かって延びる、車輪ユニット。
【0083】
(2)前記第1の減速部は、第1のキャリアを更に有し、
前記第2の減速部は、第2のキャリアを更に有し、
前記第1のキャリアと前記第2のキャリアとは、3本の第1の結合部材と3本の第2の結合部材とによって連結され、
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材とは、周方向に沿って交互に配置される、(1)に記載の車輪ユニット。
【0084】
(3)前記第1の減速部は、2個の第1の遊星歯車を更に有し、
前記第2の減速部は、2個の第2の遊星歯車を更に有する、(1)又は(2)に記載の車輪ユニット。
【0085】
(4)前記回転軸線に沿った方向から視たときに、前記3本の第1の結合部材と前記3本の第2の結合部材とは、前記2個の第1の遊星歯車及び前記2個の第2の遊星歯車と重ならない位置に配置される、(1)又は(2)に記載の車輪ユニット。
【0086】
(5)前記回転軸線と前記第1の回転軸線とは、第1方向において離れており、
前記回転軸線と前記第2の回転軸線とは、第2方向において離れており、
前記第1方向と前記第2方向とは、前記回転軸線と直交し、
前記第1のフレームの前記第2領域又は前記第2のフレームの前記第4領域は、前記回転軸線の周りに回転可能であり、
前記第1のフレームは、前記第2のフレームに対して静止させた状態で固定される、(1)~(4)のいずれか1項に記載の車輪ユニット。
【0087】
(6)前記第1方向は、前記第2方向の反対方向と異なる、(5)に記載の車輪ユニット。
【0088】
(7)前記第1方向と前記第2方向とは、反対方向である、(5)に記載の車輪ユニット。
【0089】
本発明は、例えば、車輪ユニットに利用できる。
【符号の説明】
【0090】
5 主輪(車輪部)
6A 第1の減速部
6B 第2の減速部
8A 第1のモータ
8B 第2のモータ
11A 第1の回転駆動部
11B 第2の回転駆動部
51 被駆動ローラ
61A 第1の入力軸
61B 第2の入力軸
81A 第1の出力軸
81B 第2の出力軸
AX 回転軸線
D 駆動部
DA 第1の駆動部
DB 第2の駆動部
DV 車輪ユニット
RA 第1の回転軸線
RB 第1の回転軸線
RD 径方向