(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051509
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240404BHJP
H04N 21/436 20110101ALI20240404BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20240404BHJP
H04L 45/302 20220101ALI20240404BHJP
H04N 19/103 20140101ALI20240404BHJP
H04N 19/136 20140101ALI20240404BHJP
H04N 19/156 20140101ALI20240404BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N21/436
H04N21/442
H04L45/302
H04N19/103
H04N19/136
H04N19/156
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157717
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】出口 晋成
(72)【発明者】
【氏名】那須 敦也
【テーマコード(参考)】
5C054
5C159
5C164
5K030
【Fターム(参考)】
5C054DA07
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054EC05
5C054FC15
5C054FE28
5C054FF03
5C054HA30
5C159PP04
5C159SS26
5C159TA17
5C159TC25
5C159TC51
5C159UA02
5C159UA05
5C164FA16
5C164UB41P
5C164UB71P
5C164YA19
5K030GA12
5K030HB02
5K030LB05
(57)【要約】
【課題】異なる描画能力を有する複数の表示装置の間での描画を実現させることができる車両用表示装置等を提供する。
【解決手段】車両用表示装置は、車両2に搭載された表示装置である転送先30へ画像情報を転送する車両用表示装置であって、画像情報、当該車両用表示装置である転送元20の描画能力、及び、転送先30の描画能力に基づいて、転送先30の描画能力に応じた画像情報の転送方式を決定する転送方式決定部25と、予め設定されている転送方式を、転送方式決定部25が決定した転送方式に変換し、変換した転送方式によって画像情報を転送先30へ転送する転送処理部27とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された表示装置である転送先へ画像情報を転送する車両用表示装置であって、
前記画像情報、当該車両用表示装置である転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記画像情報の転送方式を決定する転送方式決定部と、
予め設定されている転送方式を、前記転送方式決定部が決定した前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送する転送処理部とを備える
車両用表示装置。
【請求項2】
前記転送方式決定部は、変換された前記転送方式によって前記転送元が前記画像情報を前記転送先へ直接的に転送できる場合、前記画像情報、前記転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式を決定する
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示装置は、前記車両において複数設けられ、
前記転送元から前記転送先までの転送経路を決定する転送経路決定部を備え、
前記転送方式決定部は、前記転送元が前記画像情報を前記転送先へ直接的に転送できない場合、複数の前記表示装置のうちの候補となる中継器を選定し、選定した候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能か否かを判定する
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記転送経路決定部は、選定した前記候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能であることを判定した場合、前記候補となる中継器を前記転送経路に含めた中継器として決定し、前記転送元から決定した前記中継器を介した前記転送先までの前記転送経路を決定する
請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記転送方式決定部は、前記画像情報、前記転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式を決定し、
前記転送経路決定部が決定した前記中継器は、予め設定されている転送方式を前記転送方式決定部が決定した前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送する
請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記転送経路決定部が決定した前記中継器は、
前記転送元から取得した前記画像情報に含まれる第1画像情報を表示する表示部を有し、
予め設定されている転送方式を前記転送方式決定部が決定した前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報に含まれる第2画像情報を前記転送先へ転送する
請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
選定した前記候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能でないことを前記転送経路決定部が判定した場合、前記転送元は、前記転送方式を変換せずに、前記転送先へ前記画像情報を転送する
請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記転送先の性能を示す性能情報に基づいて前記転送先のフレームレートを推定する性能推定部を備え、
前記転送元は、前記転送先の前記フレームレートが所定の閾値よりも大きい場合に、前記転送先へ前記画像情報を転送する
請求項7に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
前記転送元は、前記転送先の前記フレームレートが所定の前記閾値以下の場合に、前記転送先への前記画像情報の転送を中止し、前記画像情報の転送を中止した旨を出力する
請求項8に記載の車両用表示装置。
【請求項10】
選定した前記候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能でないことを前記転送経路決定部が判定した場合、前記転送元は、前記中継器が使用できない旨を出力する
請求項7に記載の車両用表示装置。
【請求項11】
選定した前記候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能でないことを前記転送経路決定部が判定した場合、前記転送元は、複数の前記表示装置のうちから新しい転送先の一覧を出力する
請求項7~10のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項12】
車両に搭載された表示装置である転送先へ転送元が画像情報を転送する車両用表示方法であって、
前記画像情報、前記転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記画像情報の転送方式を決定することと、
予め設定されている転送方式を、当該決定した前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送することとを含む
車両用表示方法。
【請求項13】
請求項12に記載の車両用表示方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、複数の表示装置で構成された表示制御システムにおいて、どの表示装置でも同時に描画を実現することが求められている。例えば、特許文献1では、複数の表示装置への情報画像の表示を制御する第1制御部及び第2制御部の間において、第1制御部は、情報画像を前記第2制御部に転送するときの転送方式を、転送元で描画処理が必要な第1転送方式と、転送先で描画処理が必要な第2転送方式との何れか一方の転送方式に切り替える。これにより、表示制御システムでは、情報画像の転送中に遅延が発生することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の表示制御システムでは、制御部におけるハードウェア構成に関する提示はなされておらず、備えているハードウェア構成によっては転送内容の処理に失敗してしまう可能性があるという課題がある。
【0005】
そこで、本開示では、異なる描画能力を有する複数の表示装置の間での描画を実現させることができる車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車両用表示装置は、車両に搭載された表示装置である転送先へ画像情報を転送する車両用表示装置であって、前記画像情報、当該車両用表示装置である転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記画像情報の転送方式を決定する転送方式決定部と、予め設定されている転送方式を、前記転送方式決定部が決定した前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送する転送処理部とを備える。
【0007】
また、本開示の一態様に係る車両用表示方法は、車両に搭載された表示装置である転送先へ転送元が画像情報を転送する車両用表示方法であって、前記画像情報、前記転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記画像情報の転送方式を決定することと、予め設定されている転送方式を、当該決定した前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送することとを含む。
【0008】
また、本開示の一態様に係るプログラムは、車両用表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示の車両用表示装置等によれば、異なる描画能力を有する複数の表示装置の間での描画を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、車両に搭載された実施の形態の表示システムを示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る表示システムを示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る転送元の処理動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る転送先の処理動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、転送元から転送先へ描画データを転送したときに、描画に失敗する場合と成功する場合とを例示した図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の変形例1に係る表示システムを示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例1に係る転送元の処理動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例1に係る中継器の処理動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、転送元から転送先へ描画データを転送したときに、描画に失敗する場合と成功する場合とを例示した別の図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例2に係る表示システムを示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例3に係る表示システムを示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施の形態の変形例4に係る表示システムを示すブロック図である。
【
図13】
図13は、実施の形態の変形例4に係る転送元の処理動作を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、転送元から転送先へ描画データを転送したときに、描画に成功する場合を例示したさらに別の図である。
【
図15】
図15は、その他変形例に係る表示システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
(実施の形態)
<機能構成>
まず、本実施の形態の表示システム1について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0015】
図1は、車両2に配置された実施の形態の表示システム1を示す模式図である。
図2は、実施の形態に係る表示システム1を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、表示システム1は、複数の画像を1以上の表示装置の表示画面のそれぞれに表示するためのシステムである。表示システム1では、自動的に又は搭乗者による手動で、1以上の表示装置の表示画面に表示させることができる。
【0017】
また、表示システム1は、1以上の表示装置が配置された車両2等に用いられる。このため、本実施の形態では、1以上の表示装置が表示する画像は、アプリケーションに基づく画像であり、例えば、車両用計器、車載機器の作動状況、ナビゲーション情報、撮像画像、周辺車両情報等の情報を含んでいる。車両用計器は、スピードメータ、方向指示表示灯、警告灯、オドメータ、シフトポジション、燃料計、水温計等である。車載機器は、例えば、音響装置、車載点灯装置及びシート装置等である。ナビゲーション情報は、ユーザに対して車両2の走行時に現在位置及び目的地への経路案内等を行なうための情報である。撮像画像は、車両2に搭載された撮像装置が車両2の周囲又は車室内を撮像した画像である。周辺車両情報は、車両2の周囲に存在している他車両の有無、台数、速度及び車両2から他車両までの距離等を示す情報である。
【0018】
表示装置は、液晶ディスプレイ等を搭載したPC(Personal Computer)、スマートフォン等の携帯端末、車両2に搭載されるカーナビゲーションシステム、電子ミラーシステム、マルチインフォメーションディスプレイ等の表示器である。
図1では、複数の表示装置3として、車幅の中央部分に配置されたカーナビゲーションシステム3aと、左サイドミラー3b及び右サイドミラー3cとして機能する電子ミラーシステムと、複数のマルチインフォメーションディスプレイ3d、3e、3fとを例示している。車両2の搭乗者が一度に複数の表示装置を纏めて見ることができるように、これら表示装置3は、並べられて配置されている。
【0019】
表示システム1は、転送元20と、転送先30とを備えている。
図2では、転送先30の一例として、表示システム1が第1転送先40及び第2転送先50を備えている場合を例示している。本実施の形態では、第1転送先40及び第2転送先50を総称して単に転送先30と呼ぶことがある。なお、本実施の形態では、転送先30の一例として、第1転送先40及び第2転送先50を例示しているが、第1転送先40及び第2転送先50に限定されない。転送先30は1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0020】
[転送元20]
転送元20は、車両2に搭載された表示装置である転送先30へ描画データを転送する車両用表示装置である。また、転送元20は、車両2に搭載された表示装置であってもよい。描画データは、転送元20から転送先30へ転送される際のデータであり、テクスチャ及びフレーム等を含んでいる。描画データは、画像情報に含まれる。
【0021】
転送元20の具体的な機能構成について説明する。
【0022】
転送元20は、分散表示情報取得部21と、描画能力情報取得部22と、アプリケーション解析部23と、アプリケーション24と、転送方式決定部25と、転送経路決定部26と、転送処理部27とを備えている。
【0023】
分散表示情報取得部21は、複数の転送先30から分散表示情報を取得する。分散表示情報は、例えば転送元20から複数の転送先30へ描画データを転送する場合において、複数の転送先30が同時にリモート描画を行っているか否か、つまり複数の転送先30で描画データを同期させて表示しているか否かを示す情報である。分散表示情報取得部21が分散表示情報を取得することで、転送元20は、複数の転送先30のそれぞれが描画データを同期して表示させることができるようになる。分散表示情報取得部21は、取得した分散表示情報を転送方式決定部25に出力する。
【0024】
描画能力情報取得部22は、自身を備えている転送元20の描画能力、及び、転送先30の描画能力のそれぞれを示す描画能力情報を取得する。ここで、描画能力情報とは、転送元20及び転送先30に関するハードウェア情報である。ハードウェア情報は、CPU(Central Processing Unit)の有無、GPU(Graphics Processing Unit)の有無、デコーダの有無、エンコーダの有無、ディスプレイ解像度、表示装置の名称等である。
【0025】
例えば、描画能力情報取得部22は、転送元20の描画能力、及び、転送先30の描画能力を示す描画能力情報テーブルを格納している記憶部(図示せず)から、それぞれの描画能力情報を取得する。なお、描画能力情報取得部22は、車両2に搭載されている表示装置及び車載装置等と通信することで描画能力情報テーブルを取得してもよい。描画能力情報テーブルには、描画能力情報、仮想マシンのコンフィグ情報等が紐付けられている。記憶部は、車両用表示装置又は他の車載装置に搭載されていてもよい。
図2では、車両2に設けられている複数の表示装置である複数の転送先30の一例として、第1転送先40及び第2転送先50を例示している。本実施の形態では、
図2に示すように、描画能力情報取得部22は、転送元20の描画能力を示す描画能力情報、第1転送先40の描画能力を示す描画能力情報、及び、第2転送先50の描画能力を示す描画能力情報を取得する。
【0026】
描画能力情報取得部22は、取得した転送元20の描画能力及び転送先30の描画能力のそれぞれを示す描画能力情報を転送方式決定部25及び転送経路決定部26に出力する。
【0027】
アプリケーション解析部23は、表示装置である転送先30に描画データを表示させるためのアプリケーション24を解析する。アプリケーション解析部23は、アプリケーション24を解析した結果であるコンテンツ情報を転送方式決定部25に転送する。コンテンツ情報は、画像情報に含まれる。
【0028】
アプリケーション24は、例えば、車速を表示する車速表示及びエンジン回転数等の車両用計器に関するコンテンツ情報(パーツ画像)、空調装置のON/OFF及び音響装置の音量等の車載機器の作動状況に関するコンテンツ情報、ルートマップ等のナビゲーション情報に関するコンテンツ情報、車両2の走行に関する危険度を示すコンテンツ情報等を含んでいる。
【0029】
転送方式決定部25は、分散表示情報取得部21から分散表示情報を取得し、描画能力情報取得部22から転送元20の描画能力及び転送先30の描画能力を示す描画能力情報を取得し、アプリケーション解析部23からコンテンツ情報を取得する。
【0030】
転送方式決定部25は、転送元20が画像情報を転送先30へ直接的に転送できる場合、コンテンツ情報、当該車両用表示装置である転送元20の描画能力、及び、転送先30の描画能力に基づいて、転送先30の描画能力に応じた転送方式を決定する。本実施の形態では、
図2に示すように、転送方式決定部25は、転送元20から第1転送先40への転送方式と、転送元20から第2転送先50への転送方式とを決定する。
【0031】
例えば、第1転送先40がGPUを有し、デコーダを有していない場合であり、第2転送先50がGPUを有さず、デコーダを有している場合を想定する。この場合、転送処理部27は、第1転送先40への転送方式を、予め設定された転送方式からコマンド転送方式に決定し、第2転送先50への転送方式を、予め設定された転送方式からストリーム転送方式に決定する。
【0032】
転送方式決定部25は、分散表示情報、決定した転送方式及びコンテンツ情報を転送経路決定部26に出力する。
【0033】
転送経路決定部26は、分散表示情報、決定された転送方式及びコンテンツ情報を転送方式決定部25から取得する。また、転送経路決定部26は、描画能力情報取得部22から転送元20の描画能力及び転送先30の描画能力を示す描画能力情報を取得する。
【0034】
転送経路決定部26は、転送元20から転送先30までの転送経路を決定する。転送経路決定部26は、決定された転送方式及び描画能力情報に基づいて、転送元20から転送先30までの転送経路を決定してもよい。本実施の形態では、
図2に示すように、転送経路決定部26は、転送元20から第1転送先40への転送経路と、転送元20から第2転送先50への転送経路とを決定する。転送経路決定部26は、分散表示情報、決定した転送経路、及び、転送方式決定部25が決定した転送方式を転送処理部27に出力する。
【0035】
転送処理部27は、分散表示情報、決定された転送経路及び決定された転送方式を転送経路決定部26から取得する。
【0036】
転送処理部27は、予め設定された転送方式を決定した転送方式に変換する(切り替える)。第1転送先40の描画能力と第2転送先50の描画能力とが異なっていれば、第1転送先40への転送方式と第2転送先50への転送方式とが別々の転送方式となることがある。このため、転送処理部27は、第1転送先40及び第2転送先50に対してそれぞれの転送方式に応じた転送方式に変換する。本実施の形態では、
図2に示すように、転送処理部27は、予め設定された転送方式を転送経路決定部26が決定した転送方式(転送元20から第1転送先40へ転送可能な転送方式)に変換し、予め設定された転送方式を転送経路決定部26が決定した転送方式(転送元20から第2転送先50へ転送可能な転送方式)に変換する。
【0037】
例えば、第1転送先40がGPUを有し、デコーダを有していない場合であり、第2転送先50がGPUを有さず、デコーダを有している場合を想定する。この場合、転送処理部27は、第1転送先40への転送方式を、予め設定された転送方式からコマンド転送方式に変換し、第2転送先50への転送方式を、予め設定された転送方式からストリーム転送方式に変換する。
【0038】
転送処理部27は、転送方式決定部25から取得した分散表示情報及びコンテンツ情報に基づいて、コンテンツ情報を描画処理するための描画コマンドと、コンテンツ情報のテクスチャ及びフレーム等を含んだ描画データとを生成する。ここで、画像は、静止画像又は動画像である。また、描画コマンドは、画像情報に含まれていてもよい。
【0039】
転送処理部27は、描画コマンド及び描画データを、変換した転送方式によって転送先30へ転送する。本実施の形態では、
図2に示すように、転送処理部27は、転送元20から第1転送先40へ転送可能なように転送経路決定部26が決定した転送方式によって描画コマンド及び描画データを第1転送先40へ転送し、転送元20から第2転送先50へ転送可能なように転送経路決定部26が決定した転送方式によって描画コマンド及び描画データを第2転送先50へ転送する。
【0040】
[第1転送先40及び第2転送先50]
第1転送先40及び第2転送先50のそれぞれは、車両2に搭載された表示装置である。例えば、第1転送先40及び第2転送先50のそれぞれは、液晶パネル等を搭載したPC、スマートフォン等の携帯端末、車両2に搭載されるカーナビゲーションシステム、電子ミラーシステム、マルチインフォメーションディスプレイ等である。第1転送先40及び第2転送先50は同一の構成であってもよく、異なる構成であってもよい。
【0041】
第1転送先40は、描画データ受信部41と、描画処理部42と、表示部43とを備えている。第2転送先50は、描画データ受信部51と、描画処理部52と、表示部53とを備えている。
【0042】
描画データ受信部41、51は、転送元20から転送された描画コマンド及び描画データを受信する。描画データ受信部41、51は、受信した描画コマンド及び描画データを描画処理部42、52に出力する。
【0043】
描画処理部42、52は、描画コマンドに基づいて、描画データの表示態様を調節する描画処理を実行する。描画処理部42、52は、描画データを描画処理した画像(描画内容)を表示部43、53に出力する。
【0044】
表示部43、53は、描画処理部42、52から取得した画像を表示する表示画面である。複数の表示部43、53は、全体的な統一感が出るように、取得した画像を同期させて表示する。
【0045】
表示部43、53は、例えば、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示パネルである。表示部43、53は、例えば、カーナビゲーション用の地図、各種車載機器のメニュー画像、又は、検索画像等の画像を操作するためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。
【0046】
<処理動作>
本実施の形態に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの処理動作について、
図2及び
図3を用いて説明する。
【0047】
図3は、実施の形態に係る転送元20の処理動作を示すフローチャートである。
【0048】
まず、表示装置が表示する画像を別の表示装置にも表示させる場合がある。このため、転送元20の描画データを、別の表示装置である第1転送先40及び第2転送先50のそれぞれへ描画データを転送して表示させる際に、イベントが発生する(S11)。つまり、転送元20は、第1転送先40及び第2転送先50のそれぞれに画像を表示するためのイベントを取得する。
【0049】
次に、ステップS11のイベントの発生により、転送先30、つまり第1転送先40及び第2転送先50が決定される(S12)。
【0050】
次に、転送方式決定部25は、アプリケーション24のコンテンツ情報をアプリケーション解析部23から取得する(S13)。
【0051】
次に、転送方式決定部25は、描画能力情報取得部22から転送元20の描画能力及び転送先30の描画能力を示す描画能力情報を取得する(S14)。具体的には、描画能力情報取得部22は、転送元20の描画能力を示す描画能力情報、第1転送先40の描画能力を示す描画能力情報、及び、第2転送先50の描画能力を示す描画能力情報を取得する。
【0052】
次に、転送方式決定部25は、転送元20が画像情報を転送先30へ直接的に転送できる場合、コンテンツ情報、当該車両用表示装置である転送元20の描画能力、及び、転送先30の描画能力に基づいて、転送先30の描画能力に応じた描画データの転送方式を決定する(S15)。具体的には、転送方式決定部25は、転送元20から第1転送先40への転送方式と、転送元20から第2転送先50への転送方式とを決定する。
【0053】
次に、転送経路決定部26は、転送方式決定部25が転送経路を決定すると、転送元20から転送先30までの転送経路を決定する(S16)。具体的には、転送経路決定部26は、転送元20から第1転送先40への転送経路と、転送元20から第2転送先50への転送経路とを決定する。
【0054】
次に、転送処理部27は、転送処理を実行する(S17)。
【0055】
具体的には、転送処理部27は、転送方式決定部25が転送経路を決定すると、予め設定された転送方式を決定した転送方式に変換する。より具体的には、転送処理部27は、予め設定された転送方式を転送経路決定部26が決定した転送方式(転送元20から第1転送先40へ転送可能な転送方式)に変換し、予め設定された転送方式を転送経路決定部26が決定した転送方式(転送元20から第2転送先50へ転送可能な転送方式)に変換する。
【0056】
また、転送処理部27は、転送方式決定部25からコンテンツ情報を取得し、コンテンツ情報を描画処理するための描画コマンド、及び、コンテンツ情報のテクスチャ及びフレーム等を含んだ描画データを生成する。
【0057】
次に、転送処理部27は、描画コマンドと、テクスチャ及びフレーム等を纏めた描画データとを、変換した転送方式によって転送先30へ転送する(S18)。具体的には、転送処理部27は、転送元20から第1転送先40へ転送可能なように転送経路決定部26が決定した転送方式によって描画コマンド及び描画データを第1転送先40へ転送し、転送元20から第2転送先50へ転送可能なように転送経路決定部26が決定した転送方式によって描画コマンド及び描画データを第2転送先50へ転送する。なお、第1転送先40へ転送する描画コマンド及び描画データと、第2転送先50へ転送する描画コマンド及び描画データとは異なるものであるが、同一であってもよい。
【0058】
そして、転送元20は、
図3の処理動作を示すフローチャートの処理動作を終了し、転送先30は、
図4の処理動作を示すフローチャートの処理動作を開始する。
【0059】
図4は、実施の形態に係る転送先30の処理動作を示すフローチャートである。
【0060】
まず、
図2及び
図4に示すように、描画データ受信部41、51は、転送元20から転送された描画コマンド及び描画データを受信する(S21)。描画データ受信部41、51は、受信した描画コマンド及び描画データを描画処理部42、52に出力する。
【0061】
次に、描画処理部42、52は、描画コマンドに基づいて、描画データの表示態様を調節する描画処理を実行する(S22)。描画処理部42、52は、描画データを描画処理した画像を表示部43、53に出力する。
【0062】
次に、表示部43、53は、取得した映像を表示する(S23)。本動作例の表示システム1では、複数の表示装置の時刻が同期しているため、表示部43、53は、転送元20から第1転送先40及び第2転送先50にそれぞれ転送された描画コマンド及び描画データを同期させて表示することができる。
【0063】
そして、第1転送先40及び第2転送先50の処理動作を示すフローチャートの処理動作を終了する。
【0064】
ここで、実際に車両2が走行する際の車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの動作について、
図5を用いて具体例に説明する。
【0065】
図5は、転送元20から転送先30へ描画データを転送したときに、描画に失敗する場合と成功する場合とを例示した図である。
【0066】
例えば、
図5の(a)、(b)に示すように、転送元がCPUとGPUとエンコーダとを有するカーナビゲーションであり、転送先がCPUとデコーダとを有するリアディスプレイである場合について説明する。
【0067】
この表示システム1では、車両2の走行中において、リアディスプレイにマップアプリケーション画面及び観光名所等の案内、急加速の通知等を表示することがある。
【0068】
この場合、
図5の(a)に示すように、転送元のカーナビゲーションがOpenGL(Open Graphics Library)コマンドをコマンド転送方式で転送先へ転送したとき、転送先のリアディスプレイは、GPUを有しないため、OpenGLコマンドを処理することができず、描画処理に失敗することがある。
【0069】
しかし、本実施の形態によれば、
図5の(b)に示すように、転送元20のカーナビゲーションが描画フレームをストリーム転送方式で転送先30へ転送したとき、転送先30のリアディスプレイでは、描画フレームをデコーダが処理できるため、描画処理に成功する。
【0070】
また、別の例では、
図5の(c)、(d)に示すように、転送元がCPUとエンコーダとを有するカメラ系ECUであり、転送先がCPUとGPUとを有するHUD(Head-Up Display)である場合について説明する。
【0071】
この表示システム1では、車両2の走行中において、車線変更及び右左折のときに、車両周辺のカメラ画像をHUDに表示することがある。
【0072】
この場合、
図5の(c)に示すように、転送元のカメラ系ECU(Electronic Control Unit)が描画フレームをストリーム転送方式で転送先へ転送したとき、転送先のHUDは、デコーダを有しないため、描画フレームを処理することができず、描画処理に失敗することがある。
【0073】
しかし、本実施の形態によれば、
図5の(d)に示すように、転送元20のカメラ系ECUがOpenGLコマンドをコマンド転送方式で転送先30へ転送したとき、転送先30のHUDでは、OpenGLコマンドをGPUが処理できるため、描画処理に成功する。
【0074】
<作用効果>
次に、本実施の形態に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0075】
上述したように、本実施の形態に係る車両用表示装置は、車両2に搭載された表示装置である転送先30へ画像情報を転送する車両用表示装置であって、画像情報、当該車両用表示装置である転送元20の描画能力、及び、転送先30の描画能力に基づいて、転送先30の描画能力に応じた画像情報の転送方式を決定する転送方式決定部25と、予め設定されている転送方式を、転送方式決定部25が決定した転送方式に変換し、変換した転送方式によって画像情報を転送先30へ転送する転送処理部27とを備える。
【0076】
これによれば、転送元20と転送先30とのハードウェア構成に応じて転送方式に変換して描画データを転送先30へ転送することができる。このため、転送先30は、自身の描画能力に応じた転送方式によって描画データを取得することができるため、取得した描画データを描画処理することができる。
【0077】
したがって、車両用表示装置によれば、異なる描画能力を有する複数の表示装置の間での描画を実現させることができる。その結果、転送先30は、描画データを描画処理した画像を表示することができるようになり、複数の表示装置の間でのリモート描画を実現させることができる。
【0078】
また、本実施の形態に係る車両用表示方法は、車両2に搭載された表示装置である転送先30へ転送元20が画像情報を転送する車両用表示方法であって、画像情報、転送元20の描画能力、及び、転送先30の描画能力に基づいて、転送先30の描画能力に応じた画像情報の転送方式を決定することと、予め設定されている転送方式を、当該決定した転送方式に変換し、変換した転送方式によって画像情報を転送先30へ転送することとを含む。
【0079】
この方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0080】
また、本実施の形態に係るプログラムは、車両用表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0081】
このプログラムにおいても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0082】
また、本実施の形態に係る車両用表示装置において、転送方式決定部25は、変換された転送方式によって転送元20が画像情報を転送先30へ直接的に転送できる場合、画像情報、転送元20の描画能力、及び、転送先30の描画能力に基づいて、転送先30の描画能力に応じた転送方式を決定する。
【0083】
これによれば、中継器を介さずに転送元20が転送先30へ描画データを直接的に転送できるため、転送先30と転送元20とを含めたシステムにおける通信量及び処理負荷の増大を抑制することが期待できる。
【0084】
(実施の形態の変形例1)
本変形例では、中継器140を介して転送先30へ描画データを転送する点で実施の形態と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0085】
<機能構成>
本変形例の表示システム1aについて、
図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態の変形例1に係る表示システム1aを示すブロック図である。
【0086】
本変形例の表示システム1aでは、転送元20aから転送先30へ描画コマンド及び描画データを直接的に転送できない場合に、中継器140を設定する。中継器140は、転送元20aと転送先30とを中継し、転送先30が描画可能な転送方式によって描画コマンド及び描画データを転送することが可能である。中継器140は、例えば、車両2に搭載された表示装置、車載装置等である。
【0087】
まず、本変形例における表示システム1aの転送元20aについて説明する。
【0088】
転送元20aは、分散表示情報取得部21、描画能力情報取得部22、アプリケーション解析部23、アプリケーション24、転送方式決定部25、転送経路決定部26、及び、転送処理部27の他に、システム負荷監視部122と、中継器診断部121とを備えている。
【0089】
システム負荷監視部122は、車両2に搭載された表示装置、車載装置等の中から候補となる中継器140が抽出される際に、候補となる中継器及び転送元20aの負荷を監視する。特に、システム負荷監視部122は、候補となる中継器が複数存在している場合、候補となる複数の中継器の負荷及び転送元20aの負荷を監視する。システム負荷監視部122は、候補となる中継器を示す中継器情報を転送経路決定部26に出力する。例えば、システム負荷監視部122は、負荷に応じて候補となる中継器に優先度を設定してもよい。また、システム負荷監視部122は、最も負荷が小さくなる候補となる中継器を示す中継器情報、候補となる複数の中継器のそれぞれの負荷を示す中継器情報を転送経路決定部26に出力してもよい。
【0090】
中継器診断部121は、システム負荷監視部122が転送経路決定部26に出力した中継器情報に含まれる候補となる中継器を診断する。中継器診断部121は、診断した候補となる中継器に関する診断結果を転送経路決定部26に出力する。例えば、候補となる中継器が故障している場合であれば、中継器140として機能できないため、中継器診断部121は、このような候補となる中継器を除外するための診断結果を転送経路決定部26に出力する。
【0091】
転送経路決定部26は、中継器診断部121から診断結果を取得し、転送方式決定部25から決定された転送方式を取得し、システム負荷監視部122から中継器情報を取得すると、転送元20aから転送先30までの転送経路を決定する。つまり、転送経路決定部26は、診断結果、決定された転送方式及び中継器情報に基づいて、転送元20aから中継器140を介した転送先30までの転送経路を決定する。
【0092】
転送経路決定部26は、転送元20aが描画コマンド及び描画データを転送先30へ直接的に転送できない場合、複数の表示装置のうちの候補となる中継器を選定し、選定した候補となる中継器が転送先30の描画能力に応じた転送方式によって描画コマンド及び描画データを転送先30へ転送可能(使用可能)か否かを判定する。つまり、転送経路決定部26は、診断結果、決定された転送方式及び中継器情報に基づいて、候補となる中継器を選定し、選定した候補となる中継器の診断結果によって、候補となる中継器が使用可能か否かを判定できる。転送経路決定部26は、診断結果によって選定した候補となる中継器が使用可能と判定できた場合、転送元20aから当該中継器140を介した転送先30への転送経路を決定する。
【0093】
本変形例では、
図6に示すように、転送経路決定部26は、選定した候補となる中継器が転送先30の描画能力に応じた転送方式によって描画コマンド及び描画データを転送先30へ転送可能であることを判定した場合、候補となる中継器を転送経路に含めた中継器140として決定し、転送元20aから決定した中継器140を介した第1転送先40までの転送経路を決定する。また、転送元20aから第2転送先50へ直接的に描画コマンド及び描画データを転送できる場合、転送経路決定部26は、転送元20aから第2転送先50への転送経路を決定する。
【0094】
転送経路決定部26は、決定した転送経路と、転送方式決定部25が決定した転送方式とを転送処理部27に出力する。
【0095】
また、転送経路決定部26は、診断結果によって選定した候補となる中継器が使用可能でないと判定した場合、次の候補となる中継器を選定し、中継器診断部121から次の候補となる中継器の診断結果を取得し、次の候補となる中継器が使用可能か否かを再度判定する。
【0096】
転送処理部27は、描画コマンド及び描画データ等を転送先30及び中継器140へ転送する。本変形例では、
図6に示すように、転送処理部27は、転送元20aから中継器140へ描画コマンド及び描画データを予め設定された転送方式によって転送し、転送元20aから第2転送先50へ転送可能な転送方式によって描画コマンド及び描画データ等を転送する。
【0097】
次に、本変形例における表示システム1aの中継器140について説明する。
【0098】
また、本変形例の表示システム1aは、転送元20a及び転送先30の他に、中継器140を備えている。
【0099】
中継器140は、転送元20aが描画コマンド及び描画データ等を転送先30へ直接的に転送できない場合に、転送元20aによって設定される。中継器140は、描画データ受信部141と、転送方式変換部142と、転送処理部143とを備えている。
【0100】
描画データ受信部141は、決定された転送方式、決定された転送経路、転送元20aから転送された描画コマンド及び描画データを受信する。描画データ受信部141は、決定された転送方式、決定された転送経路、描画コマンド及び描画データを転送方式変換部142に出力する。
【0101】
転送方式変換部142は、決定された転送方式、決定された転送経路、描画コマンド及び描画データを取得する。転送方式変換部142は、決定された転送方式に基づいて、予め設定されている転送方式を転送方式決定部25が決定した転送先30の描画能力に応じた転送方式に変換する。本変形例では、
図6に示すように、転送処理部143は、予め設定されている転送方式を中継器140から第1転送先40へ転送可能な転送方式に変換する。
【0102】
転送処理部143は、決定された転送経路に基づいて、転送方式変換部142が変換した転送方式、つまり中継器140から第1転送先40へ転送可能な転送方式で、描画コマンド及び描画データを第1転送先40へ転送する。
【0103】
<処理動作>
本変形例に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの処理動作について、
図6及び
図7を用いて説明する。
【0104】
図7は、実施の形態の変形例1に係る転送元20aの処理動作を示すフローチャートである。
【0105】
本動作例では、
図3と同様の処理動作については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。また、本動作例では、一例として転送元20aと第1転送先40との間に中継器140を介する場合を想定して説明する。なお、本動作例は、あくまでも一例であるため、転送元20aと第2転送先50との間に中継器140を介する場合であってもよい。
【0106】
まず、ステップS11~S15の処理動作を経て、中継器診断部121は、システム負荷監視部122が転送経路決定部26に出力した中継器情報に示される候補となる中継器140の描画能力情報を取得する(S15a)。
【0107】
次に、転送経路決定部26は、転送元20aが描画データを第1転送先40へ直接的に転送できない場合、複数の表示装置のうちの候補となる中継器を選定する(S15b)。転送経路決定部26は、システム負荷監視部122から取得した中継器情報に示される候補となる1以上の中継器から、候補となる1つの中継器を選定する。転送経路決定部26は、選定した候補となる中継器を示す情報を中継器診断部121に出力する。
【0108】
次に、中継器診断部121は、選定した候補となる中継器を示す情報に基づいて、選定した候補となる中継器が使用可能か否かを診断する(S15c)。例えば、中継器診断部121は、選定した候補となる中継器の描画能力、故障の有無等を診断する。中継器診断部121は、選定した候補となる中継器に関する診断結果を転送経路決定部26に出力する。
【0109】
次に、転送経路決定部26は、ステップS15bで選定した候補となる中継器が第1転送先40の描画能力に応じた転送方式によって描画データを第1転送先40へ転送可能か否かを判定する。つまり、転送経路決定部26は、取得した診断結果に基づいて、選定した候補となる中継器が使用可能か否かを判定する(S15d)。
【0110】
転送経路決定部26は、選定した候補となる中継器が使用可能でないと判定した場合(S15dでNO)、中継器情報に基づいて、未診断の候補に中継器140として必要な描画能力を持つものが存在するか否かを判定する(S15e)。
【0111】
転送経路決定部26が未診断の候補に中継器140として必要な描画能力を持つものが存在すると判定した場合(S15eでYES)、処理動作をステップS15bに戻す。
【0112】
一方、転送経路決定部26が未診断の候補に中継器140として必要な描画能力を持つものが存在しないと判定した場合(S15eでNO)、候補となる中継器が使用不可能な場合の処理を実行する(S15f)。そして、
図7に示す第1転送先40の処理動作を示すフローチャートの処理動作を終了する。
【0113】
また、ステップS15dの説明に戻る。転送経路決定部26は、選定した候補となる中継器が第1転送先40の描画能力に応じた転送方式によって描画データを第1転送先40へ転送可能であることを判定した場合、候補となる中継器を転送経路に含めた中継器140として決定する。さらに、転送経路決定部26は、転送元20aから決定した中継器140を介した第1転送先40までの転送経路を決定する。つまり、転送経路決定部26が選定した候補となる中継器が使用可能と判定した場合(S15dでYES)、転送元20aは、ステップS16~S18を経由して、
図7に示す転送元20aの処理動作を示すフローチャートの処理動作は終了する。そして、中継器140は、
図8の中継器140の処理動作を示すフローチャートの処理動作を開始する。
【0114】
図8は、実施の形態の変形例1に係る中継器140の処理動作を示すフローチャートである。
【0115】
まず、
図8に示すように、中継器140の描画データ受信部141は、決定された転送方式、決定された転送経路、転送元20aから転送された描画コマンド及び描画データを受信する(S31)。描画データ受信部141は、決定された転送方式、決定された転送経路、描画コマンド及び描画データを転送方式変換部142に出力する。
【0116】
次に、転送方式変換部142は、決定された転送方式、決定された転送経路、受信した描画コマンド及び描画データを取得する。転送方式変換部142は、決定された転送方式に基づいて、予め設定されている転送方式を転送方式決定部25が決定した転送先30の描画能力に応じた転送方式に変換する(S32)。
【0117】
次に、転送処理部143は、転送方式変換部142が変換した転送方式で、描画コマンド及び描画データを転送先30へ転送する(S33)。そして、中継器140は、
図8の処理動作を示すフローチャートの処理動作を終了し、第1転送先40は、
図4の処理動作を示すフローチャートの処理動作を開始する。
【0118】
ここで、実際に車両2が走行する際の車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの処理動作について、
図9を用いて具体例に説明する。
【0119】
図9は、転送元20aから転送先30へ描画データを転送したときに、描画に失敗する場合と成功する場合とを例示した別の図である。
【0120】
例えば、
図9の(a)、(b)に示すように、転送元がCPUを有する検知系ECUであり、転送先がCPUとデコーダとを有する電子ミラーである場合について説明する。
【0121】
この表示システム1aでは、車両2の走行中において、ユーザが電子ミラーを見ているときに前方に別の車両が接近してきた場合、電子ミラーにグラフィカルな警告を表示することがある。
【0122】
この場合、
図9の(a)に示すように、転送元の検知系ECUがOpenGLコマンドをコマンド転送方式で転送先へ転送したとき、転送先の電子ミラーは、GPUを有しないため、OpenGLコマンドを処理することができず、描画処理に失敗することがある。
【0123】
しかし、本変形例によれば、
図9の(b)に示すように、CPUとGPUとエンコーダとを有するカーナビゲーションを中継器140として設定した場合、転送元20aの検知系ECUがOpenGLコマンドを中継器140へコマンド転送方式で転送する。中継器140のカーナビゲーションは、コマンド転送方式からストリーム転送方式に変換し、描画フレームをストリーム転送方式で転送先30へ転送する。転送先30の電子ミラーでは、描画フレームをデコーダが処理できるため、描画処理に成功する。
【0124】
<作用効果>
次に、本変形例に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0125】
上述したように、本変形例に係る車両用表示装置において、表示装置は、車両2において複数設けられる。また、本変形例に係る車両用表示装置は、転送元20aから転送先30までの転送経路を決定する転送経路決定部26を備える。そして、転送方式決定部25は、転送元20aが画像情報を転送先30へ直接的に転送できない場合、複数の表示装置のうちの候補となる中継器を選定し、選定した候補となる中継器が転送先30の描画能力に応じた転送方式によって画像情報を転送先30へ転送可能か否かを判定する。
【0126】
これによれば、候補となる中継器を選定し、候補となる中継器が使用可能か否かを判定することができる。このため、候補となる中継器が使用可能であれば、転送元20aから転送先30へ直接的に描画データを転送することができなくても、転送元20aから中継器140を介して転送先30へ描画データを転送することができるようになる。
【0127】
また、本変形例に係る車両用表示装置において、転送経路決定部26は、選定した候補となる中継器が転送先30の描画能力に応じた転送方式によって画像情報を転送先30へ転送可能であることを判定した場合、候補となる中継器を転送経路に含めた中継器140として決定し、転送元20aから決定した中継器140を介した転送先30までの転送経路を決定する。
【0128】
これによれば、転送元20a、中継器140及び転送先30のハードウェア構成に応じて、転送元20aから中継器140を介して転送先30までの転送経路を決定することができる。このため、転送元20aが直接的に転送先30に描画データを転送することができなくても、転送先30が中継器140を介して転送先30まで描画データを転送することができるようになる。その結果、転送先30は、描画データを描画処理した画像を表示することができるようになる。
【0129】
また、本変形例に係る車両用表示装置において、転送方式決定部25は、画像情報、転送元20aの描画能力、及び、転送先30の描画能力に基づいて、転送先30の描画能力に応じた転送方式を決定し、転送経路決定部26が決定した中継器140は、予め設定されている転送方式を転送方式決定部25が決定した転送先30の描画能力に応じた転送方式に変換し、変換した転送方式によって画像情報を転送先30へ転送する。
【0130】
これによれば、中継器140及び転送先30のハードウェア構成に応じて、転送方式に変換して描画データを転送先30へ転送することができる。転送先30は、自身の描画能力に応じた転送方式によって描画データを取得することができるため、取得した描画データを描画処理することができる。例えば、転送元20aが直接的に転送先30に描画データを転送することができなくても、本変形例に係る車両用表示装置によれば、複数の表示装置の間でのリモート描画を実現させることができる。
【0131】
本変形例においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0132】
(実施の形態の変形例2)
本変形例では、第2転送先250を中継器として第1転送先40へ描画コマンド及び描画データを転送し、かつ、第2転送先250が表示装置として描画データが示す画像を表示する点で実施の形態の変形例1と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合、実施の形態、実施の形態の変形例1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0133】
<機能構成>
本変形例の表示システム1bについて、
図10を用いて説明する。
図10は、実施の形態の変形例2に係る表示システム1bを示すブロック図である。
【0134】
本変形例では、第2転送先250が中継器かつ表示装置として機能し、最終の転送先30が第1転送先40である場合を例示する。なお、第1転送先40が中継器かつ表示装置として機能してもよく、最終の転送先30が第2転送先50であってもよい。
【0135】
本変形例の中継器となる第2転送先250は、転送元20bから取得した描画データに含まれる第1描画データを表示する。また、第2転送先250は、転送方式決定部25が決定した転送先30の描画能力に応じた転送方式に変換し、変換した転送方式によって描画データに含まれる第2描画データを転送先30へ転送する。第1描画データは第1画像情報の一例であり、第2描画データは第2画像情報の一例である。
【0136】
具体的には、第2転送先250は、描画データ受信部51と、描画処理部52と、表示部53と、転送方式変換部252と、転送処理部253とを備えている。
【0137】
描画データ受信部51は、決定された転送方式、決定された転送経路、転送元20bから転送された描画コマンド及び描画データ(第1描画データ及び第2描画データ)を受信する。描画データ受信部51は、描画コマンド及び第1描画データを描画処理部52に出力する。また、描画データ受信部51は、決定された転送方式、決定された転送経路、描画コマンド及び第2描画データを転送方式変換部252に出力する。
【0138】
描画処理部52は、描画コマンドに基づいて、第1描画データの表示態様を調節する描画処理を実行する。描画処理部52は、第1描画データを描画処理した画像を表示部53に出力する。
【0139】
表示部53は、描画処理部52から取得した画像を表示する。
【0140】
転送方式変換部252は、決定された転送方式、決定された転送経路、描画コマンド及び第2描画データを取得する。転送方式変換部252は、決定された転送方式に基づいて、予め設定された転送方式を決定した転送方式に変換する。本変形例では、
図10に示すように、転送処理部253は、予め設定された転送方式を決定した転送方式(第2転送先250から第1転送先40へ転送可能な転送方式)に変換する。
【0141】
転送処理部253は、転送方式変換部252が変換した転送方式、つまり第2転送先250から第1転送先40へ転送可能な転送方式で、描画コマンド及び第2描画データを第1転送先40へ転送する。
【0142】
<作用効果>
次に、本変形例に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0143】
上述したように、本変形例に係る車両用表示装置において、転送経路決定部26が決定した中継器は、転送元20bから取得した画像情報に含まれる第1画像情報を表示する表示部53を有する。そして、中継器は、予め設定されている転送方式を転送方式決定部25が決定した転送先30の描画能力に応じた転送方式に変換し、変換した転送方式によって画像情報に含まれる第2画像情報を転送先30へ転送する。
【0144】
これによれば、例えば、
図10の第2転送先250が中継器かつ表示装置として機能することができる。このため、第2転送先250は、転送元20bから取得した第1画像情報を表示することができるとともに、転送元20bから取得した第2画像情報を表示することができる。さらに、中継器及び転送先30のハードウェア構成に応じた転送方式に変換して描画データを第1転送先40へ転送することができる。
【0145】
本変形例においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0146】
(実施の形態の変形例3)
本変形例では、使用可能な中継器が存在していない場合にRAWデータを第1転送先40へ転送する点で実施の形態及び実施の形態の変形例1、2と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合、実施の形態及び実施の形態の変形例1、2等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。なお、本変形例では、転送先30の一例として第1転送先40を用いているが、転送先30の一例として第2転送先50を用いてもよい。
【0147】
<機能構成>
本変形例の表示システム1cについて、
図11を用いて説明する。
図11は、実施の形態の変形例3に係る表示システム1cを示すブロック図である。
【0148】
本変形例では、第1転送先40の描画能力に応じた転送方式によって描画データを転送可能な中継器が存在していない場合がある。この場合、転送元20cは、第1転送先40のフレームレートを推定することで、コンテンツ情報をRAWデータとして転送するか否かを判定する。
【0149】
具体的には、転送元20cは、分散表示情報取得部21、描画能力情報取得部22、アプリケーション解析部23、アプリケーション24、転送方式決定部25、転送経路決定部26及び転送処理部27の他に、性能推定部321を備えている。
【0150】
性能推定部321は、第1転送先40の性能を示す性能情報を第1転送先40又は記憶部から取得し、第1転送先40の性能を示す性能情報に基づいて第1転送先40のフレームレートを推定する。性能推定部321は、第1転送先40のフレームレートの推定結果を転送経路決定部26に出力する。
【0151】
転送経路決定部26は、第1転送先40のフレームレートが所定の閾値よりも大きい場合、決定した転送経路である第1転送先40へRAWデータを直接的に転送する。つまり、選定した候補となる中継器が第1転送先40の描画能力に応じた転送方式によって描画データを第1転送先40へ転送可能でないことを転送経路決定部26が判定した場合、転送元20cは、転送方式を変換せずに、第1転送先40へRAWデータを転送する。
【0152】
また、転送経路決定部26は、第1転送先40のフレームレートが所定の閾値以下の場合、第1転送先40への描画データ及びRAWデータの転送を中止する。
【0153】
<作用効果>
次に、本変形例に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0154】
上述したように、本変形例に係る車両用表示装置において、選定した候補となる中継器が転送先30の描画能力に応じた転送方式によって画像情報を転送先30へ転送可能でないことを転送経路決定部26が判定した場合、転送元20cは、転送方式を変換せずに、転送先30へ画像情報を転送する。
【0155】
これによれば、例えば、転送先30のスペックが低い場合に、RAWデータとして転送することで、転送先30は、RAWデータを画像として表示することができる。
【0156】
また、本変形例に係る車両用表示装置において、転送先30の性能を示す性能情報に基づいて転送先30のフレームレートを推定する性能推定部321を備える。そして、転送元20cは、転送先30のフレームレートが所定の閾値よりも大きい場合に、転送先30へ画像情報を転送する。
【0157】
例えば、転送先30のフレームレートが所定の閾値よりも高い場合、転送先30にRAWデータを転送しても、転送先30はRAWデータを画像として表示することができると考えられる。このため、推定した転送先30のフレームレートが所定の閾値よりも高い場合、RAWデータとして転送することで、転送先30は、RAWデータを画像として表示することができる。
【0158】
本変形例においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0159】
(実施の形態の変形例4)
本変形例では、新しい転送先を表示する点で実施の形態の変形例3と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合、実施の形態の変形例3等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0160】
<機能構成>
本変形例の表示システム1dについて、
図12を用いて説明する。
図12は、実施の形態の変形例4に係る表示システム1dを示すブロック図である。
【0161】
本変形例では、転送先30の描画能力に応じた転送方式によって描画データを転送可能な中継器が存在していない場合がある。本変形例では、転送先30の一例として第1転送先40を例示している。なお、本変形例では、転送先30の一例として第2転送先50を用いてもよい。
【0162】
この場合、転送元20dは、第1転送先40のフレームレートを推定することで、コンテンツ情報をRAWデータで転送するか否かを判定する。
【0163】
転送元20dは、分散表示情報取得部21、描画能力情報取得部22、アプリケーション解析部23、アプリケーション24、転送方式決定部25、転送経路決定部26、転送処理部27、中継器診断部121及びシステム負荷監視部122の他に、性能推定部321と、提示部421とを備えている。
【0164】
選定した候補となる中継器が第1転送先40の描画能力に応じた転送方式によって描画データを第1転送先40へ転送可能でないことを転送経路決定部26が判定した場合、転送元20dは、転送方式を変換せずに、第1転送先40へRAWデータを転送する。
【0165】
具体的には、転送経路決定部26が選定した候補となる中継器の全てにおいて使用可能でないと中継器診断部121が診断した場合、第1転送先40の描画能力に応じた転送方式によって描画データを転送可能な中継器が複数の表示装置のうちに存在していない。
【0166】
この場合、転送経路決定部26は、中継器を介さずに、転送元20dから第1転送先40までの転送経路を決定する。転送経路決定部26は、決定した転送経路である第1転送先40へコンテンツ情報のRAWデータを直接的に転送する。RAWデータは画像情報の一例である。
【0167】
また、性能推定部321は、第1転送先40の性能を示す性能情報を第1転送先40又は記憶部から取得し、第1転送先40の性能を示す性能情報に基づいて第1転送先40のフレームレートを推定する。性能推定部321は、第1転送先40のフレームレートの推定結果を転送経路決定部26に出力する。
【0168】
第1転送先40のフレームレートが所定の閾値よりも大きい場合、第1転送先40のCPU等の描画処理能力が十分であると考えられる。このため、転送経路決定部26は、第1転送先40のフレームレートが所定の閾値よりも大きい場合、決定した転送経路である第1転送先40へRAWデータを直接的に転送する。
【0169】
また、第1転送先40のフレームレートが所定の閾値以下の場合、第1転送先40のCPU等の描画処理能力が不十分であると考えられる。このため、転送経路決定部26は、
図12の二点鎖線で示すように、第1転送先40のフレームレートが所定の閾値以下の場合に、第1転送先40への描画データ及びRAWデータの転送を中止し表示不可と判定する。このとき、選定した候補となる中継器が第1転送先40の描画能力に応じた転送方式によって描画データ及びRAWデータを第1転送先40へ転送可能でないことを転送経路決定部26が判定した場合、転送元20dは、複数の表示装置のうちから新しい転送先の一覧を出力する。具体的には、描画能力情報のハードウェア情報に表示装置の名称が含まれているため、転送元20dは、新しい転送先の一覧を出力することができる。これによりユーザは、新しい転送先の一覧から描画データを表示するための第3転送先50dを選択することができる。
【0170】
また、転送元20dは、描画データ及びRAWデータの転送を中止した旨を提示部421に出力する。提示部421は、例えば、表示装置又は音響装置である。転送元20dは、車両2に搭載されている提示部421である表示装置に描画データ及びRAWデータの転送を中止した旨を表示させてもよく、車両2に搭載されている提示部421である音響装置に音で描画データ及びRAWデータの転送を中止した旨を出力させてもよい。
【0171】
また、選定した候補となる中継器が第1転送先40の描画能力に応じた転送方式によって画像情報を第1転送先40へ転送可能でないことを転送経路決定部26が判定した場合、転送元20dは、中継器が使用できない旨を提示部421に出力する。例えば、転送元20dは、車両2に搭載されている表示装置に中継器が使用できない旨を表示させてもよく、車両2に搭載されている音響装置に音で中継器が使用できない旨を出力させてもよい。
【0172】
<処理動作>
本変形例に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの処理動作について、
図12及び
図13を用いて説明する。
【0173】
図13は、実施の形態の変形例4に係る転送元20dの処理動作を示すフローチャートである。本動作例では、
図3と同様の処理動作については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0174】
まず、中継器診断部121から取得した診断結果に基づいて、選定した候補となる中継器が使用可能であると転送経路決定部26が判定した場合(中継器が使用不可能)、転送経路決定部26は、コンテンツ情報のRAWデータを直接的に転送する方式に決定する(S41)。つまり、転送経路決定部26は、RAWデータを転送元20dから第1転送先40に直接的に転送する転送経路を決定する。
【0175】
次に、性能推定部321は、転送元20dから第1転送先40にRAWデータを直接的に転送した場合のフレームレートを推定する(S42)。性能推定部321は、推定したフレームレートを転送経路決定部26に出力する。
【0176】
次に、転送経路決定部26は、第1転送先40のフレームレートが所定の閾値より大きいか否かを判定する(S43)。
【0177】
次に、転送経路決定部26が第1転送先40のフレームレートが所定の閾値よりも大きいと判定した場合(S43でYES)、転送元20dは、ステップS16~S18を経由して、
図13に示す転送元20dの処理動作を示すフローチャートの処理動作を終了する。第1転送先40は、
図4の処理動作を示すフローチャートの処理動作を開始する。
【0178】
転送経路決定部26は、第1転送先40のフレームレートが所定の閾値以下の場合(S43でNO)、第1転送先40への描画データ及びRAWデータの転送を中止(経路の決定を中止)し表示不可と判定する。
【0179】
次に、転送元20dの中継器診断部121は、警告を出力する(S44)。具体的には、中継器診断部121は、描画データ及びRAWデータの転送を中止した旨である警告を提示部421に出力する。これにより、提示部421は、描画データ及びRAWデータの転送を中止した旨を出力する。
【0180】
次に、中継器診断部121は、複数の表示装置のうちから新しい転送先、つまり転送元から直接転送できる表示装置の一覧を提示部421に出力する(S45)。これによりユーザは、新しい転送先の一覧から描画データを表示するための第1転送先40を選択することができる。
【0181】
次に、中継器診断部121は、ユーザに対して別の表示装置に描画データを表示するか否かを確認する(S46)。具体的には、中継器診断部121は、描画データを別の表示装置に表示させるか否かの確認項目を、提示部421に提示させる。
【0182】
次に、転送元20dは、新しい転送先である別の表示装置に描画データを表示させることが選択されたか否かを判定する(S47)。つまり、転送元20dは、ユーザが、車両2に搭載されている操作入力部を介して別の表示装置に表示させることを選択したか否かを判定する。
【0183】
転送元20dは、別の表示装置に表示させることが選択されたと判定した場合(S47でYES)、ステップS16に進む。
【0184】
一方、転送元20dは、別の表示装置に表示させることが選択されていないと判定した場合(S47でNO)、
図13に示す転送元20dの処理動作を示すフローチャートの処理動作を終了する。
【0185】
ここで、実際に車両2が走行する際の車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの処理動作について、
図14を用いて具体例に説明する。
図14は、転送元20dから第1転送先40へ描画データを転送したときに、描画に成功する場合を例示したさらに別の図である。
【0186】
例えば、
図14の(a)に示すように、転送元20dがCPUとGPUとエンコーダとを有し、転送先30がCPUを有する場合、
図14の(b)に示すように、転送元20dの検知系ECUがCPUを有し、転送先30の電子ミラーがCPUとデコーダとを有する場合について説明する。
【0187】
本変形例では、
図14の(a)に示すように、転送元と転送先との間に中継器が存在せず、転送先がCPUしか有していない場合、転送先30のフレームレートが所定の閾値よりも大きければ、転送元20dのCPUがRGBAのRAWデータを転送先へ転送する。転送元20dは、RAWデータを取得するため、描画処理に成功する。
【0188】
また、本変形例では、
図14の(b)に示すように、転送元20dがCPUを有する検知系ECUであり、転送先30がCPUとデコーダとを有する電子ミラーである場合、転送元20dと転送先30との間に中継器が存在せず、転送先30のフレームレートが所定の閾値よりも大きければ、転送元20dの検知系ECUがRAWデータを転送先30へ転送する。転送先30は、RAWデータを取得するため、描画処理に成功する。
【0189】
<作用効果>
次に、本変形例に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの作用効果について説明する。
【0190】
上述したように、本変形例に係る車両用表示装置において、転送元20dは、転送先30のフレームレートが所定の閾値以下の場合に、転送先30への画像情報の転送を中止し、画像情報の転送を中止した旨を出力する。
【0191】
これによれば、転送を中止した旨を出力することで、ユーザは、転送先30にて描画データを画像として表示することができなかったことを認識することができる。このため、ユーザは、別の手段をとることができる。
【0192】
また、本変形例に係る車両用表示装置において、選定した候補となる中継器が転送先30の描画能力に応じた転送方式によって画像情報を転送先30へ転送可能でないことを転送経路決定部26が判定した場合、転送元20dは、中継器が使用できない旨を出力する。
【0193】
これによれば、中継器が使用できない旨を出力することで、ユーザは、別の中継器を用いて転送先30にて描画データを画像として表示することができるかどうかを試みることができる。
【0194】
また、本変形例に係る車両用表示装置において、選定した候補となる中継器が転送先30の描画能力に応じた転送方式によって画像情報を転送先30へ転送可能でないことを転送経路決定部26が判定した場合、転送元20dは、複数の表示装置のうちから第3転送先50dの一覧(第3転送先50dの候補の一覧)を出力する。
【0195】
これによれば、ユーザは、第3転送先50dの一覧(第3転送先50dの候補の一覧)を視認することができるため、第3転送先50dの一覧から所望の転送先30を選択することができる。これにより、新たに選択された転送先30に描画データを描画処理した画像を表示させることができる。
【0196】
本変形例においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0197】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムについて、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0198】
例えば、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置は、
図15に示すような構成であってもよい。
図15は、その他変形例に係る表示システムを示すブロック図である。具体的には、車両用表示装置である転送元20eは、分散表示情報取得部21、描画能力情報取得部22、アプリケーション解析部23、アプリケーション24、転送方式決定部25、転送経路決定部26、転送処理部27、システム負荷監視部122、中継器診断部121、性能推定部321、描画データ受信部551、描画処理部552、表示部553、及び、転送方式変換部554を備えていてもよい。転送元20eの各構成要素は、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4で示した内容と同様であってもよい。
【0199】
また、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムにおいて、
図7のステップS15fの一例として、実施の形態の変形例3、4を実行してもよい。
【0200】
また、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムでは、描画能力情報テーブルに仮想マシンのコンフィグ情報等が含まれているため、転送先は、クラウドサーバから描画コマンド及び描画データを取得することができてもよい。
【0201】
また、描画能力情報に仮想マシンのコンフィグ情報が含まれているため、転送先は、制御装置中で動作している仮想マシンであってもよい。例えば、ECU上のハイパーバイザー上で、HUDを制御するための第1仮想マシンと、車両用計器を制御するための第2仮想マシンとが動作している場合、転送先として第1仮想マシン及び/又は第2仮想マシンを選択できてもよい。つまり、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムでは、仮想マシン単位で転送先を選択することができてもよい。選択された転送先の仮想マシンは、描画コマンド及び描画データを取得することができてもよい。
【0202】
また、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムでは、アプリケーションのコンテンツ情報に応じて、転送方式を変換するかを判断してもよい。この場合、アプリケーションには、コンテンツ情報に対応する転送方式のテーブルが格納されていてもよい。転送処理決定部は、アプリケーション解析部がアプリケーションから取得した当該テーブルを用いて転送方式を決定してもよい。例えば、テクスチャが多い等の理由で描画データの転送量が基準値より大きい場合、コマンド転送方式からストリーム転送方式に変換してもよい。ストリーム転送方式の場合は、データを圧縮して転送するため、転送量を小さくすることが期待できる。また、別の例では、透明のα成分を含む描画データの場合は、ストリーム転送方式では描画できないため、コマンド転送方式を選択してもよい。また、転送元は、コンテンツ情報の種類に応じて、複数の表示装置のうちから表示可能エリア又は表示制限エリアを設定してもよい。
【0203】
また、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムにおいて、コマンド転送方式及びストリーム転送方式の双方における画像の品質に差異が無いコンテンツ情報である場合、或いは品質の差異が許容範囲内のコンテンツ情報である場合、転送先から中継器を介して転送元へ転送してもよい。
【0204】
また、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムにおいて、コマンド転送方式及びストリーム転送方式の双方における品質に許容不可な差異があるコンテンツ情報の場合、転送中止の警告を出力し、中継器を介した描画データ及びRAWデータの転送を中止してもよい。この場合、直接転送することが可能な新たな転送先を決定し、使用者の判断によって新たな転送先に転送してもよい。
【0205】
また、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムにおいて、転送経路の候補が複数存在する場合、転送経路決定部は、コンテンツ情報及び描画能力情報等に基づいて、最適な転送経路を決定してもよい。この場合、候補となる転送経路に対し、好ましい転送経路(優先順位が高い転送経路)から順に中継器診断部が転送経路の中継器を診断し、問題が無ければ、転送経路決定部は、好ましい転送経路に決定してもよい。転送経路の優先順位は、例えば、転送元から転送先へ描画データを転送し、転送先が描画データを表示するまでの時間が短い順等の観点で順位を付けてもよい。
【0206】
また、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置に含まれる転送方式決定部、転送経路決定部、転送処理部、中継器診断部、システム負荷監視部、性能推定部、転送方式変換部、描画処理部等は典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0207】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0208】
なお、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0209】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0210】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0211】
なお、上記の実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び実施の形態の変形例1~4における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0212】
(付記)
以下に、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に基づいて説明した車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムの特徴を示す。
【0213】
<技術1>
車両に搭載された表示装置である転送先へ画像情報を転送する車両用表示装置であって、
前記画像情報、当該車両用表示装置である転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記画像情報の転送方式を決定する転送方式決定部と、
予め設定されている転送方式を、前記転送方式決定部が決定した前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送する転送処理部とを備える
車両用表示装置。
【0214】
<技術2>
前記転送方式決定部は、変換された前記転送方式によって前記転送元が前記画像情報を前記転送先へ直接的に転送できる場合、前記画像情報、前記転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式を決定する
技術1に記載の車両用表示装置。
【0215】
<技術3>
前記表示装置は、前記車両において複数設けられ、
前記転送元から前記転送先までの転送経路を決定する転送経路決定部を備え、
前記転送方式決定部は、前記転送元が前記画像情報を前記転送先へ直接的に転送できない場合、複数の前記表示装置のうちの候補となる中継器を選定し、選定した候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能か否かを判定する
技術1に記載の車両用表示装置。
【0216】
<技術4>
前記転送経路決定部は、選定した前記候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能であることを判定した場合、前記候補となる中継器を前記転送経路に含めた中継器として決定し、前記転送元から決定した前記中継器を介した前記転送先までの前記転送経路を決定する
技術3に記載の車両用表示装置。
【0217】
<技術5>
前記転送方式決定部は、前記画像情報、前記転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式を決定し、
前記転送経路決定部が決定した前記中継器は、予め設定されている転送方式を前記転送方式決定部が決定した前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送する
技術4に記載の車両用表示装置。
【0218】
<技術6>
前記転送経路決定部が決定した前記中継器は、
前記転送元から取得した前記画像情報に含まれる第1画像情報を表示する表示部を有し、
予め設定されている転送方式を前記転送方式決定部が決定した前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報に含まれる第2画像情報を前記転送先へ転送する
技術4又は5に記載の車両用表示装置。
【0219】
<技術7>
選定した前記候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能でないことを前記転送経路決定部が判定した場合、前記転送元は、前記転送方式を変換せずに、前記転送先へ前記画像情報を転送する
技術3に記載の車両用表示装置。
【0220】
<技術8>
前記転送先の性能を示す性能情報に基づいて前記転送先のフレームレートを推定する性能推定部を備え、
前記転送元は、前記転送先の前記フレームレートが所定の閾値よりも大きい場合に、前記転送先へ前記画像情報を転送する
技術7に記載の車両用表示装置。
【0221】
<技術9>
前記転送元は、前記転送先の前記フレームレートが所定の前記閾値以下の場合に、前記転送先への前記画像情報の転送を中止し、前記画像情報の転送を中止した旨を出力する
技術8に記載の車両用表示装置。
【0222】
<技術10>
選定した前記候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能でないことを前記転送経路決定部が判定した場合、前記転送元は、前記中継器が使用できない旨を出力する
技術7~9のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【0223】
<技術11>
選定した前記候補となる中継器が前記転送先の描画能力に応じた前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送可能でないことを前記転送経路決定部が判定した場合、前記転送元は、複数の前記表示装置のうちから新しい転送先の一覧を出力する
技術7~10のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【0224】
<技術12>
車両に搭載された表示装置である転送先へ転送元が画像情報を転送する車両用表示方法であって、
前記画像情報、前記転送元の描画能力、及び、前記転送先の描画能力に基づいて、前記転送先の描画能力に応じた前記画像情報の転送方式を決定することと、
予め設定されている転送方式を、当該決定した前記転送方式に変換し、変換した前記転送方式によって前記画像情報を前記転送先へ転送することとを含む
車両用表示方法。
【0225】
<技術13>
技術12に記載の車両用表示方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本開示は、例えば複数の表示装置を搭載した車両、車両以外のその他の装置及びシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0227】
2 車両
3 表示装置
20、20a、20b、20c、20d、20e 転送元(車両用表示装置)
25 転送方式決定部
26 転送経路決定部
27、253 転送処理部
30 転送先
40 第1転送先(転送先)
50 第2転送先(転送先)
140 中継器
250 第2転送先(中継器)
321 性能推定部
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
次に、転送経路決定部26は、転送方式決定部25が転送方式を決定すると、転送元20から転送先30までの転送経路を決定する(S16)。具体的には、転送経路決定部26は、転送元20から第1転送先40への転送経路と、転送元20から第2転送先50への転送経路とを決定する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
具体的には、転送処理部27は、転送方式決定部25が転送方式を決定すると、予め設定された転送方式を決定した転送方式に変換する。より具体的には、転送処理部27は、予め設定された転送方式を転送経路決定部26が決定した転送方式(転送元20から第1転送先40へ転送可能な転送方式)に変換し、予め設定された転送方式を転送経路決定部26が決定した転送方式(転送元20から第2転送先50へ転送可能な転送方式)に変換する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
転送方式変換部142は、決定された転送方式、決定された転送経路、描画コマンド及び描画データを取得する。転送方式変換部142は、決定された転送方式に基づいて、予め設定されている転送方式を転送方式決定部25が決定した転送先30の描画能力に応じた転送方式に変換する。本変形例では、
図6に示すように、
転送方式変換部142は、予め設定されている転送方式を中継器140から第1転送先40へ転送可能な転送方式に変換する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
これによれば、転送元20a、中継器140及び転送先30のハードウェア構成に応じて、転送元20aから中継器140を介して転送先30までの転送経路を決定することができる。このため、転送元20aが直接的に転送先30に描画データを転送することができなくても、転送元20aが中継器140を介して転送先30まで描画データを転送することができるようになる。その結果、転送先30は、描画データを描画処理した画像を表示することができるようになる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0140】
転送方式変換部252は、決定された転送方式、決定された転送経路、描画コマンド及び第2描画データを取得する。転送方式変換部252は、決定された転送方式に基づいて、予め設定された転送方式を決定した転送方式に変換する。本変形例では、
図10に示すように、転送
方式変換部252は、予め設定された転送方式を決定した転送方式(第2転送先250から第1転送先40へ転送可能な転送方式)に変換する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0174
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0174】
まず、中継器診断部121から取得した診断結果に基づいて、選定した候補となる中継器が使用不可能であると転送経路決定部26が判定した場合(中継器が使用不可能)、転送経路決定部26は、コンテンツ情報のRAWデータを直接的に転送する方式に決定する(S41)。つまり、転送経路決定部26は、RAWデータを転送元20dから第1転送先40に直接的に転送する転送経路を決定する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0187
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0187】
本変形例では、
図14の(a)に示すように、転送元と転送先との間に中継器が存在せず、転送先がCPUしか有していない場合、転送先30のフレームレートが所定の閾値よりも大きければ、転送元20dのCPUがRGBAのRAWデータを転送先へ転送する。転送
先30は、RAWデータを取得するため、描画処理に成功する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0202
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0202】
また、上記実施の形態及び実施の形態の変形例1~4に係る車両用表示装置、車両用表示方法及びプログラムでは、アプリケーションのコンテンツ情報に応じて、転送方式を変換するかを判断してもよい。この場合、アプリケーションには、コンテンツ情報に対応する転送方式のテーブルが格納されていてもよい。転送方式決定部は、アプリケーション解析部がアプリケーションから取得した当該テーブルを用いて転送方式を決定してもよい。例えば、テクスチャが多い等の理由で描画データの転送量が基準値より大きい場合、コマンド転送方式からストリーム転送方式に変換してもよい。ストリーム転送方式の場合は、データを圧縮して転送するため、転送量を小さくすることが期待できる。また、別の例では、透明のα成分を含む描画データの場合は、ストリーム転送方式では描画できないため、コマンド転送方式を選択してもよい。また、転送元は、コンテンツ情報の種類に応じて、複数の表示装置のうちから表示可能エリア又は表示制限エリアを設定してもよい。