(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051523
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】印刷システム、クラウドサーバ、アプリケーションプログラムおよびネットワーク接続設定方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240404BHJP
H04L 67/561 20220101ALI20240404BHJP
H04L 67/562 20220101ALI20240404BHJP
【FI】
G06F3/12 336
G06F3/12 304
G06F3/12 365
G06F3/12 384
G06F3/12 387
G06F3/12 392
G06F3/12 367
H04L67/561
H04L67/562
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157737
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大貴
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 啓介
(72)【発明者】
【氏名】森 勇二
(57)【要約】
【課題】クラウドサーバから非ネットワークプリンタに対する印刷を実行可能にし、そのために必要となるネットワーク接続のセットアップを簡便に行うことができるようにする。
【解決手段】印刷用端末3と中継サーバ2とを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続情報を中継サーバ2において生成し、当該ネットワーク接続情報を印刷用端末3の印刷アプリケーションが取得してネットワーク接続の設定を行うようにすることにより、印刷指示サーバ1から広域ネットワーク100を介して印刷用端末3に印刷データを提供し、印刷用端末3から非ネットワークプリンタ4に印刷データを供給して印刷を実行させることができるようにするとともに、中継サーバ2により生成されたネットワーク接続情報を用いて印刷用端末3の印刷アプリケーションがネットワーク接続の設定を自動的に行うことができるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続機能を有しない非ネットワークプリンタと、
上記非ネットワークプリンタに有線または無線で接続する機能および広域ネットワークを介してクラウドサーバと接続する機能を備えた印刷用端末にインストールされ、上記非ネットワークプリンタに対する印刷制御機能およびネットワーク接続設定機能を有する一または複数のアプリケーションと、
上記非ネットワークプリンタに印刷させるための印刷データを上記印刷用端末に提供する上記クラウドサーバとを備え、
上記クラウドサーバは、上記印刷用端末と上記クラウドサーバとを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続情報を生成する接続情報生成部を備え、
上記アプリケーションは、上記ネットワーク接続情報を取得し、当該取得した上記ネットワーク接続情報を用いて、上記印刷用端末と上記クラウドサーバとの間のネットワーク接続の設定を行う接続設定部を備えた
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
上記印刷用端末には、上記印刷制御機能および上記ネットワーク接続設定機能を有する一の印刷アプリケーションと、情報取得機能を有する読取アプリケーションとがインストールされており、
上記接続情報生成部は、上記ネットワーク接続情報と共にアプリ連携コマンドを生成し、
上記接続設定部は、上記読取アプリケーションによって上記ネットワーク接続情報と共に取得された上記アプリ連携コマンドに従って起動される上記印刷アプリケーションの上記ネットワーク接続設定機能によって、上記ネットワーク接続の設定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
上記クラウドサーバは、上記印刷データを送信して印刷指示を行う印刷指示サーバから上記広域ネットワークを介して送信された上記印刷データを上記印刷用端末に受け渡すための中継サーバであり、
上記ネットワーク接続情報は、上記印刷用端末と上記中継サーバとを接続して通信を行うために必要な情報である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項4】
上記ネットワーク接続情報は、上記印刷用端末が上記中継サーバに接続する際の認証に用いる認証用情報を含み、
上記印刷用端末は、上記接続設定部による上記ネットワーク接続の設定後、上記認証用情報を用いた認証を受けて上記中継サーバと接続する接続処理部を更に備えた
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
上記認証用情報は、上記印刷用端末を特定することが可能な印刷用端末識別情報および鍵情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
上記接続処理部は、上記接続設定部による上記ネットワーク接続の設定後、上記中継サーバとの接続を開始した後は、明示的に切断の処理が行われるまでの間は常時接続状態を維持しており、
上記中継サーバは、上記印刷データと共に上記ネットワーク接続情報を上記印刷指示サーバから受信し、常時接続されている1以上の印刷用端末の中から、上記ネットワーク接続情報に含まれる印刷用端末識別情報に基づいて指定される印刷用端末に対して上記印刷データを提供する
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【請求項7】
上記印刷用端末の上記アプリケーションは、上記非ネットワークプリンタの印刷設定情報を上記クラウドサーバに送信する設定情報送信機能を更に有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項8】
上記クラウドサーバは、
上記印刷データを送信して印刷指示を行う印刷指示サーバと、
上記印刷指示サーバから送信された上記印刷データを上記印刷用端末に受け渡すための中継サーバとを含み、
上記ネットワーク接続情報は、上記印刷用端末と上記中継サーバとを接続して通信を行うために必要な情報であり、
上記印刷用端末の上記アプリケーションは、上記印刷設定情報を上記中継サーバを介して上記印刷指示サーバに送信する
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷システム。
【請求項9】
ネットワーク接続機能を有しない非ネットワークプリンタに対する印刷制御機能およびネットワーク接続設定機能を有する一または複数のアプリケーションがインストールされた印刷用端末と広域ネットワークを介して接続され、上記非ネットワークプリンタに印刷させるための印刷データを上記印刷用端末に提供するクラウドサーバであって、
上記印刷用端末と上記クラウドサーバとを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続情報であって、上記印刷用端末の上記アプリケーションが上記ネットワーク接続設定機能によって上記印刷用端末と上記クラウドサーバとの間のネットワーク接続の設定を行う際に使用されるネットワーク接続情報を生成する接続情報生成部を備えた
ことを特徴とするクラウドサーバ。
【請求項10】
上記接続情報生成部は、情報取得機能を有する読取アプリケーションから、上記印刷制御機能および上記ネットワーク接続設定機能を有する印刷アプリケーションを起動させるためのアプリ連携コマンドを上記ネットワーク接続情報と共に生成し、
上記印刷用端末の上記読取アプリケーションが上記アプリ連携コマンドを取得したときに上記印刷アプリケーションを起動して当該印刷アプリケーションに上記ネットワーク接続の設定を行わせるようにした
ことを特徴とする請求項9に記載のクラウドサーバ。
【請求項11】
ネットワーク接続機能を有しない非ネットワークプリンタに有線または無線で接続する機能および上記非ネットワークプリンタに印刷させるための印刷データを提供するクラウドサーバと広域ネットワークを介して接続する機能を備えた印刷用端末にインストールされるアプリケーションプログラムであって、
上記印刷用端末にインストールされている読取アプリケーションによりネットワーク接続情報と共に取得されるアプリ連携コマンドに従って起動し、
上記ネットワーク接続情報を上記読取アプリケーションから取得し、当該ネットワーク接続情報を用いて、上記印刷用端末と上記クラウドサーバとを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続の設定を行う接続設定手段
として上記印刷用端末のコンピュータを機能させるためのアプリケーションプログラム。
【請求項12】
上記アプリケーションプログラムは、上記非ネットワークプリンタに対する印刷制御機能およびネットワーク接続設定機能を有する印刷アプリケーションのプログラムであり、
上記接続設定手段による上記ネットワーク接続の設定後、上記クラウドサーバから上記印刷データの提供を受け、上記非ネットワークプリンタに上記印刷データを供給して印刷を実行させる印刷制御手段
として上記印刷用端末のコンピュータを更に機能させるための請求項11に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項13】
ネットワーク接続機能を有しない非ネットワークプリンタに印刷させるための印刷データを、クラウドサーバから広域ネットワークを介して印刷用端末に提供し、当該印刷用端末と有線または無線で接続された上記非ネットワークプリンタに上記印刷データを供給して印刷を実行させる印刷システムにおいて、上記印刷用端末と上記クラウドサーバとの間のネットワーク接続に関する設定を行う方法であって、
上記クラウドサーバの接続情報生成部が、上記印刷用端末と上記クラウドサーバとを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続情報を生成する第1のステップと、
上記印刷用端末の接続設定部が、上記ネットワーク接続情報を取得し、当該取得した上記ネットワーク接続情報を用いて、上記ネットワーク接続の設定を行う第2のステップとを有する
ことを特徴とするネットワーク接続設定方法。
【請求項14】
上記印刷用端末には、上記非ネットワークプリンタに対する印刷制御機能およびネットワーク接続設定機能を有する印刷アプリケーションと、情報取得機能を有する読取アプリケーションとがインストールされており、
上記接続情報生成部は、上記ネットワーク接続情報と共にアプリ連携コマンドを生成し、
上記接続設定部は、上記読取アプリケーションによって上記ネットワーク接続情報と共に取得された上記アプリ連携コマンドに従って起動される上記印刷アプリケーションの上記ネットワーク接続設定機能によって、上記ネットワーク接続の設定を行う
ことを特徴とする請求項13に記載のネットワーク接続設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、クラウドサーバ、アプリケーションプログラムおよびネットワーク接続設定方法に関し、特に、クラウドサーバからプリンタに印刷データを送信して印刷を行うことを可能にしたシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
クラウドサーバを活用したウェブサービスの利用シーンにおいて、クラウドサーバからプリンタに対して印刷を指示したいケースが存在する。クラウドサーバからプリンタに対する指示によって印刷を行いたい場合、プリンタにはネットワーク接続機能が必要になる。ネットワーク接続機能を有するプリンタは、一般にネットワークプリンタと呼ばれている。
【0003】
このようなネットワークプリンタを設置するためには、プリンタに対してネットワーク接続のためのセットアップを行うことが必要であり、設定者には一定のネットワーク知識が求められる。しかしながら、ウェブサービスの利用者はネットワーク知識に乏しいことが多く、そのような利用者がネットワーク接続のセットアップを行うにはハードルが高いという課題があった。
【0004】
例えば、オンラインオーダシステムなどでクラウドサーバから送信された印刷データを店舗のプリンタで受け取るシステムを構築する場合、店舗にはネットワーク環境が必須であり、ネットワークプリンタに対するネットワーク接続のためのセットアップも必要となる。しかしながら、店舗運営者はネットワーク知識に疎い場合が多く、セットアップに大きな課題を抱えていた。
【0005】
なお、ネットワーク接続機能を持たないプリンタ(以下、本明細書ではこれを非ネットワークプリンタという)に対して、印刷機能を持たない携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等を利用している電子メールユーザが直接PCを持たなくても印刷を実行可能にした印刷システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に記載の印刷システムでは、印刷機能を持たない携帯通信端末を利用している電子メールユーザが、記録に残したい電子メールをアプリケーションサーバに通信網を介して転送する。アプリケーションサーバは、電子メールを印刷データに変換し、携帯通信端末を介して、携帯通信端末に接続されたプリンタアダプタに印刷データを送信する。プリンタアダプタは、受信した印刷データをプリンタが受信できる形式にプロトコル変換し、変換した印刷データをプリンタに供給して印刷を行う。
【0007】
この特許文献1に記載の印刷システムでは、携帯通信端末からアプリケーションサーバにアクセスする際には電子メールアドレスを使用し、アダプタに接続するために携帯通信端末の電話番号を使用しており、これらの情報をあらかじめサーバのデータベースに登録するようにしている。すなわち、特許文献1に記載の印刷システムは、クラウドサーバからプリンタに印刷データを送信して印刷を行うシステムではなく、当該システムにおいてネットワーク接続に必要なセットアップを行う手法は特許文献1には開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述のような問題を解決するために成されたものであり、クラウドサーバから非ネットワークプリンタに対する印刷を実行可能にし、そのために必要となるネットワーク接続のセットアップを簡便に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明の印刷システムは、ネットワーク接続機能を有しない非ネットワークプリンタと、非ネットワークプリンタに有線または無線で接続する機能および広域ネットワークを介してクラウドサーバと接続する機能を備えた印刷用端末にインストールされ、非ネットワークプリンタに対する印刷制御機能およびネットワーク接続設定機能を有する一または複数のアプリケーションと、非ネットワークプリンタに印刷させるための印刷データを印刷用端末に提供するクラウドサーバとを備える。クラウドサーバは、印刷用端末とクラウドサーバとを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続情報を生成し、印刷用端末のアプリケーションは、ネットワーク接続情報を取得し、当該ネットワーク接続情報を用いて、印刷用端末とクラウドサーバとの間のネットワーク接続の設定を行う。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、クラウドサーバから広域ネットワークを介して印刷用端末に印刷データを提供し、当該印刷用端末にインストールされたアプリケーションの印刷制御機能によって、印刷用端末から非ネットワークプリンタに印刷データを供給して印刷を実行させることができる。また、このような印刷を実行する際に印刷用端末とクラウドサーバとの間で通信を行うために必要となるネットワーク接続の設定を、クラウドサーバが生成したネットワーク接続情報を用いて、印刷用端末にインストールされたアプリケーションのネットワーク接続設定機能によって自動的に行うことができる。これにより、本発明によれば、クラウドサーバから非ネットワークプリンタに対する印刷を実行可能にし、そのために必要となるネットワーク接続のセットアップを簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態による印刷システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態の中継サーバが備える機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態の印刷用端末が備える機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】印刷用端末に対してネットワーク接続の設定を行う際の処理手順を示す図である。
【
図5】印刷指示サーバから非ネットワークプリンタに印刷データを提供して印刷を実行する際の処理手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による印刷システムの全体構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の印刷システムは、印刷指示サーバ1、中継サーバ2、印刷用端末3、非ネットワークプリンタ4、データ保管サーバ5、業者端末6、第1の利用者端末7および第2の利用者端末8を備えて構成される。印刷指示サーバ1、中継サーバ2およびデータ保管サーバ5は、いわゆるクラウドサーバである。
【0014】
印刷指示サーバ1、中継サーバ2、印刷用端末3、データ保管サーバ5、業者端末6、第1の利用者端末7および第2の利用者端末8は、インターネットまたは携帯電話網などの広域ネットワーク100を介して接続される。印刷用端末3と非ネットワークプリンタ4との間は、USBやBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などの有線または無線の短距離ネットワーク200で接続されている。なお、以下の説明において、第1の利用者端末7および第2の利用者端末8をまとめて利用者端末7,8ということがある。
【0015】
印刷用端末3は、例えばスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレットなどの端末であり、非ネットワークプリンタ4に短距離ネットワーク200で接続する機能および広域ネットワーク100を介してクラウドサーバ(本実施形態の場合は中継サーバ2およびデータ保管サーバ5)と接続する機能を備えている。印刷用端末3には、非ネットワークプリンタ4に対する印刷制御機能および後述するネットワーク接続設定機能を有する印刷アプリケーションと、情報取得機能を有する読取アプリケーションとがインストールされている。
【0016】
非ネットワークプリンタ4は、ネットワーク接続機能を有しないプリンタである。すなわち、非ネットワークプリンタ4は、ネットワーク(広域ネットワーク100または図示しないLANなど)に直接つなげてネットワーク経由で印刷することはできず、短距離ネットワーク200で接続された印刷用端末3からの指示によってのみ印刷することが可能なプリンタである。
【0017】
なお、
図1では図示していないが、印刷用端末3を含むLANを構成し、非ネットワークプリンタ4をLANで共有化するための設定を行えば、LAN上に存在する他のコンピュータから印刷用端末3を介して非ネットワークプリンタ4で印刷することが可能となる。ただし、このようなプリンタ共有化の設定を行っても、LAN上に存在するコンピュータから印刷を行うことができるのみで、広域ネットワーク100に接続されている他のコンピュータから印刷をすることはできない。これを実現するためには、印刷用端末3に対する所定のネットワーク接続設定が必要である。本実施形態では、このネットワーク接続設定を簡便に行うための仕組みを提供する。
【0018】
印刷指示サーバ1は、印刷データを送信して印刷指示を行うクラウドサーバである。例えば、本実施形態の印刷システムを用いてオンラインオーダシステムを構築する場合を考える。この場合、オンラインオーダシステムの利用者(例えば、店舗運営者または店舗利用客)が、第1の利用者端末7または第2の利用者端末8から印刷指示サーバ1にアクセスし、印刷データを生成して、印刷を行おうとする非ネットワークプリンタ4が設置されている店舗の印刷用端末3を指定して印刷の実行を印刷指示サーバ1に指示する。この指示に応じて印刷指示サーバ1は、指定された印刷用端末3を示す情報と共に印刷データを中継サーバ2に送信し、印刷の実行を指示する。ここで、印刷指示サーバ1は、利用者端末7,8から送信される情報に基づいて印刷データを生成して中継サーバ2に送信するようにしてもよいし、利用者端末7,8にて生成された印刷データを利用者端末7,8から受信して中継サーバ2に送信するようにしてもよい。
【0019】
中継サーバ2は、印刷指示サーバ1から広域ネットワーク100を介して送信された印刷データを指定の印刷用端末3に受け渡すためのクラウドサーバである。データ保管サーバ5は、この受け渡しの際に、印刷データを一時的に保管するためのクラウドサーバである。印刷用端末3は、データ保管サーバ5での印刷データ保管先のURL(Uniform Resource Locator)を知らせるための通知を中継サーバ2から受け、このURLに従ってデータ保管サーバ5にアクセスすることにより、印刷指示サーバ1から送信された印刷データを受け取る。そして、印刷用端末3は、受け取った印刷データを非ネットワークプリンタ4が受信できる形式にプロトコル変換し、変換した印刷データを非ネットワークプリンタ4に供給して印刷を実行させる。
【0020】
以上のように、本実施形態の印刷システムでは、ネットワーク接続機能を有しない非ネットワークプリンタ4に印刷させるための印刷データを、クラウドサーバ1,2,5から広域ネットワーク100を介して印刷用端末3に提供し、印刷用端末3から短距離ネットワーク200で接続された非ネットワークプリンタ4に印刷データを供給して印刷を実行させることができるようにしている。また、本実施形態の印刷システムでは、印刷用端末3と中継サーバ2とのネットワーク接続に関する設定(印刷用端末3と中継サーバ2とを接続してセキュアな通信を行うために必要な設定)を、以下に説明する簡便な方法で行うことができるようにしている。
【0021】
業者端末6は、本実施形態の印刷システムを用いてクラウドサービスシステムを作成しているシステム業者またはクラウドサービスシステムを運用している運用業者が使用するセットアップ用端末であり、例えばスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレットなどにより構成される。クラウドサービスシステムの一例が上述のオンラインオーダシステムである。なお、オンラインオーダシステムはクラウドサービスシステムの一例であり、これに限定されるものではない。例えば、クラウドサービスシステムは、売上管理や在庫管理などを行うことが可能なPOSシステムであってもよい。
【0022】
利用者端末7,8は、本実施形態の印刷システムを適用したクラウドサービスシステムの利用者が使用する端末であり、例えばスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレットなどにより構成される。例えばクラウドサービスシステムが上述のオンラインオーダシステムの場合、第1の利用者端末7は、店舗運営者が使用するオーダー端末であり、第2の利用者端末8は、オンラインオーダシステムのアプリケーションをインストールした店舗利用客が使用するユーザ端末である。なお、業者端末6と第1の利用者端末7とが同じ端末であってもよい。
【0023】
図2は、本実施形態の中継サーバ2が備える機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の中継サーバ2は、機能構成として、通信部20、リクエスト受信部21、接続情報生成部22、接続情報送信部23、サーバ側接続処理部24、印刷データ受信部25、印刷データ保管部26、印刷指示部27、印刷結果受信部28および印刷結果送信部29を備えている。
【0024】
上記機能ブロック20~29は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック20~29は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0025】
通信部20は、広域ネットワーク100を介して印刷指示サーバ1、印刷用端末3、データ保管サーバ5および業者端末6との間で行う通信に関する処理を実行する。
【0026】
リクエスト受信部21は、業者端末6から広域ネットワーク100を介してデバイス追加のリクエストを受信する。例えば、業者端末6は、本実施形態の印刷システムを新規店舗に導入するごとに、その新規店舗で使用する印刷用端末3の追加を中継サーバ2にリクエストする。このデバイス追加リクエストを行う方法として、中継サーバ2のWebアプリケーションと業者端末6のWebブラウザとを用いて行う方法、中継サーバ2が提供するWebAPIを用いて行う方法、または業者端末6のネイティブアプリケーションを用いて行う方法などが考えられ、何れの方法を用いてもよい。
【0027】
接続情報生成部22は、リクエスト受信部21が業者端末6からデバイス追加のリクエストを受信すると、中継サーバ2と印刷用端末3とを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続情報を生成し、さらにこれを暗号化する。暗号化は、例えば共通鍵暗号化方式の鍵情報(第1の対称キー)を用いて行うことが可能であるが、他の暗号化方式を用いてもよい(例えば、公開鍵暗号方式など)。このネットワーク接続情報は、印刷用端末3の印刷アプリケーションがネットワーク接続の設定を行う際に使用される情報(より具体的には、詳細を後述するように印刷用端末3の読取アプリケーションが取得して印刷アプリケーションにネットワーク接続の設定を行わせるための情報)である。接続情報生成部22はさらに、暗号化済みのネットワーク接続情報を用いて二次元コード(例えばQRコード(登録商標))を生成する。
【0028】
ネットワーク接続情報は、印刷用端末3が中継サーバ2と接続する際に利用する接続先ホスト名、印刷用端末3をユニークに識別可能なデバイス名および第2の対称キーを含む文字列情報であり、印刷用端末3ごとに用意された一意な情報である。接続先ホスト名は、中継サーバ2を特定することが可能な中継サーバ識別情報であり、接続情報生成部22にあらかじめ記憶されている。接続先ホスト名は、例えば中継サーバ2のURLであってもよい。デバイス名は、印刷用端末3を特定することが可能な印刷用端末識別情報であり、接続情報生成部22がネットワーク接続情報を生成するごとに所定のルールに基づき発行する。第2の対称キーは、印刷用端末3が中継サーバ2へ接続する際の認証に用いる共通鍵暗号化方式の鍵情報である。デバイス名および第2の対称キーは、印刷用端末3が中継サーバ2に接続する際の認証に用いる認証用情報である。接続情報生成部22は、生成したネットワーク接続情報を、後に行う認証用の情報として記憶する。なお、以下の説明において、これらの接続先ホスト名、デバイス名および第2の対称キーを含むネットワーク接続情報を「デバイスキー情報」ともいう。
【0029】
本実施形態では、以上のようにデバイスキー情報を第1の対称キーにより暗号化する一方、復号に必要な第1の対称キーを印刷用端末3の印刷アプリケーションに記憶させておくことにより、印刷アプリケーション以外から中継サーバ2への接続を防ぐことを可能にしている。また、二次元コードに読み取り有効期限情報を記録し、二次元コードを発行してから一定時間が経過した後の読み取り拒否するようにしてもよい。このようにすることで、二次元コードを発行してから一定時間が経過した後はネットワーク接続情報の読み取りを行うことができないようにして、二次元コードの流出などによる不正な接続を防ぐことも可能である。一定時間は、数分程度でもよいし、数ヵ月単位としてもよい。
【0030】
本実施形態において、接続情報生成部22は、ネットワーク接続情報(デバイスキー情報)と共に、カスタムURLスキーム(Deep Link)を利用したアプリ連携コマンドを生成する。カスタムURLスキームとは、指定のアプリケーションをWebページや他のアプリケーションから起動することを可能にする技術である。呼び出し先のアプリケーションに割り振られた識別子を組み込んだURL形式のアプリ連携コマンドを利用することで、URLを読み込んだアプリケーションから、そのURLで指定される別のアプリケーションを呼び出すことが可能である。また、呼び出し用のURLには、呼び出し先アプリケーションの識別子の他に任意の文字列情報を組み込むことも可能である。
【0031】
接続情報生成部22は、例えば、呼び出し先のアプリケーションとして印刷アプリケーションの識別子をURL内で指定するとともに、暗号化済みのデバイスキー情報をURL内に含ませたアプリ連携コマンドの形式で二次元コードを生成する。
【0032】
接続情報送信部23は、接続情報生成部22により生成された暗号化済みのデバイスキー情報および二次元コードを業者端末6に送信する。業者端末6に送信された二次元コードは、電子メールや書面などの所定の方法で、印刷用端末3を使用する店舗運営者に渡される。店舗運営者は、業者から渡された二次元コードを印刷用端末3で読み取ることにより、中継サーバ2と印刷用端末3とを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続の設定を行う。このネットワーク接続の設定に関する処理の詳細は、印刷用端末3の機能構成を示した
図3を用いて後述する。
【0033】
業者端末6に送信された暗号化済みのデバイスキー情報は、業者端末6から第1の利用者端末7に転送され、当該第1の利用者端末7から印刷指示サーバ1に印刷指示のリクエストを行う際に使われる。一方、暗号化済みのデバイスキー情報が業者端末6から第2の利用者端末8に転送されることはない。その代わり、第2の利用者端末8から印刷指示サーバ1に対する印刷実行リクエストに応じて印刷を実行できるようにするために、業者端末6が取得した暗号化済みのデバイスキー情報は印刷指示サーバ1に送信され、どの店舗に対するオーダーに関する印刷実行リクエストであるかを識別可能な情報(例えば、店舗情報)と紐づけて登録される。
【0034】
なお、ここでは中継サーバ2の接続情報生成部22が二次元コードを生成し、これを接続情報送信部23が業者端末6に送信する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、中継サーバ2から業者端末6に暗号化済みのデバイスキー情報のみを送信し、業者端末6がこの暗号化済みのデバイスキー情報から二次元コードを生成するようにしてもよい。
【0035】
また、ここではQRコードのような二次元コードを生成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。暗号化済みのデバイスキー情報は文字列情報であるため、文字列情報を記録できる方法であれば二次元コードに代えて用いることが可能である。例えば、バーコードであってもよい。
【0036】
サーバ側接続処理部24は、
図3を用いて後述するネットワーク接続の設定が印刷用端末3にて完了した後、印刷用端末3からの接続リクエストに応じて、印刷用端末3と接続する処理を行う。このときサーバ側接続処理部24は、印刷用端末3から送信されるデバイスキー情報に含まれるデバイス名および第2の対称キーと、接続情報生成部22が生成して中継サーバ2に記憶しておいたデバイスキー情報に含まれるデバイス名および第2の対称キーとを用いて認証処理を行い、認証に成功した場合に、印刷用端末3との接続を行う。
【0037】
印刷データ受信部25は、印刷指示サーバ1から送信された印刷データおよび暗号化済みのデバイスキー情報を受信する。ここで、印刷指示サーバ1は、第1の利用者端末7から受信する印刷実行リクエストに応じて、第1の利用者端末7から取得した暗号化済みのデバイスキー情報と共に印刷データを中継サーバ2に送信する。また、印刷指示サーバ1は、第2の利用者端末8から受信する印刷実行リクエストに応じて、その印刷実行リクエストに含まれている店舗情報に紐づけてあらかじめ印刷指示サーバ1に登録されている暗号化済みのデバイスキー情報と共に印刷データを中継サーバ2に送信する。上述したように、印刷指示サーバ1から中継サーバ2に送信される印刷データは、利用者端末7,8から取得した印刷実行リクエストに含まれている情報に基づいて印刷指示サーバ1が生成したものであってもよいし、印刷実行リクエストに含まれているものであってもよい。印刷データ受信部25は、このようにして印刷指示サーバ1から送信される印刷データおよび暗号化済みのデバイスキー情報を受信する。
【0038】
なお、利用者端末7,8が印刷実行リクエストを行う方法として、印刷指示サーバ1のWebアプリケーションと利用者端末7,8のWebブラウザとを用いて行う方法、印刷指示サーバ1が提供するWebAPIを用いて行う方法、または利用者端末7,8のネイティブアプリケーションを用いて行う方法などが考えられ、何れの方法を用いてもよい。第1の利用者端末7のネイティブアプリケーションを用いて行う場合、第1の利用者端末7から印刷指示サーバ1に対して印刷データおよび暗号化済みのデバイスキー情報が送信され、印刷指示サーバ1は第1の利用者端末7から受信した印刷データおよび暗号化済みのデバイスキー情報を中継サーバ2に送信する。また、第2の利用者端末8のネイティブアプリケーションを用いて行う場合、第2の利用者端末8から印刷指示サーバ1に対して印刷データが送信され、印刷指示サーバ1は第2の利用者端末8から受信した印刷データおよび印刷指示サーバ1にあらかじめ登録されている暗号化済みのデバイスキー情報を中継サーバ2に送信する。
【0039】
印刷データ受信部25は、印刷指示サーバ1から印刷データおよび暗号化済みのデバイスキー情報を受信すると、あらかじめ記憶しておいた第1の対称キーを用いて、暗号化済みのデバイスキー情報を復号する。そして、復号したデバイスキー情報を用いて認証を行う。すなわち、印刷データ受信部25は、接続情報生成部22が生成して記憶しておいたデバイスキー情報に含まれるデバイス名および第2の対称キーと、復号によって得られたデバイスキー情報に含まれるデバイス名および第2の対称キーとが一致するか否かを判定する。
【0040】
印刷データ受信部25による認証が成功すると、印刷データ保管部26は、印刷データ受信部25により受信された印刷データをデータ保管サーバ5に送信することにより、印刷データをデータ保管サーバ5に一時保管させる。また、印刷データ保管部26は、データ保管サーバ5における印刷データ保管先のURLをデータ保管サーバ5から取得する。
【0041】
印刷指示部27は、印刷データ保管部26がデータ保管サーバ5から取得したURLを、印刷データ受信部25により復号されたデバイスキー情報に含まれているデバイス名で特定される印刷用端末3に通知し、印刷の実行を指示する。すなわち、印刷指示部27は、後述するように中継サーバ2に常時接続されている1以上の印刷用端末3の中から、デバイスキー情報に含まれるデバイス名に基づいて指定される印刷用端末3に対して印刷データ保管先のURLを通知することにより、印刷の実行を指示する。
【0042】
印刷結果受信部28は、印刷用端末3から印刷の実行結果に関する情報(以下、印刷結果情報という)を受信する。印刷結果情報は、例えば、印刷完了を示す情報または印刷エラーを示す情報である。印刷結果送信部29は、印刷結果受信部28が受信した印刷結果情報を印刷指示サーバ1に送信する。印刷指示サーバ1に送信された印刷結果情報は、利用者端末7,8から閲覧可能な状態とされる。
【0043】
図3は、本実施形態の印刷用端末3が備える機能構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、印刷用端末3には、読取アプリケーションRAおよび印刷アプリケーションPAがインストールされている。印刷用端末3は、読取アプリケーションRAおよび印刷アプリケーションPAが有する機能構成を含めて、第1通信部31、第2通信部32、情報読取部33、接続設定部34、利用者側接続処理部35(特許請求の範囲の接続処理部に相当)および印刷制御部36を備えている。情報読取部33は読取アプリケーションRAの機能構成、接続設定部34、利用者側接続処理部35および印刷制御部36は印刷アプリケーションPAの機能構成である。なお、接続設定部34および利用者側接続処理部35の機能構成は、印刷用端末3のオペレーティングシステムまたは図示しない別のアプリケーションとの協働で実現される構成であってもよい。
【0044】
上記機能ブロック31,32は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。また、上記機能ブロック33~36は、読取アプリケーションRAおよび印刷アプリケーションPAのアプリケーションプログラムにより構成される。これらの機能ブロック31~36は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0045】
第1通信部31は、広域ネットワーク100を介して中継サーバ2およびデータ保管サーバ5との間で行う通信に関する処理を実行する。第2通信部32は、短距離ネットワーク200を介して非ネットワークプリンタ4との間で行う通信に関する処理を実行する。
【0046】
情報読取部33は、二次元コードに記録されている情報の読み取りを行う。例えば、情報読取部33は、印刷用端末3が備えるカメラによって二次元コードを読み取り、二次元コードに記録されているアプリ連携コマンドと暗号化済みのデバイスキー情報を取得する。上述したように、アプリ連携コマンドのURLでは、呼び出し先のアプリケーションとして印刷アプリケーションPAの識別子が指定されている。これにより、情報読取部33が二次元コードを読み取ると、アプリ連携コマンドに従って印刷アプリケーションPAが起動する。
【0047】
接続設定部34は、アプリ連携コマンドに従って起動された印刷アプリケーションPAのネットワーク接続設定機能により、デバイスキー情報を取得し、当該デバイスキー情報を用いて、中継サーバ2と印刷用端末3とを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続の設定を行う。具体的には、接続設定部34は、情報読取部33によって取得された暗号化済みのデバイスキー情報を読取アプリケーションRAから取得し、これを印刷アプリケーションPAにあらかじめ記憶されている第1の対称キーによって復号する。そして、このようにして取得したデバイスキー情報(ネットワーク接続情報)を用いて、中継サーバ2と印刷用端末3との間のネットワーク接続の設定を行う。ネットワーク接続の設定とは、具体的には、復号して得られたデバイスキー情報を接続設定部34内あるいは別の記憶領域に保存することである。
【0048】
利用者側接続処理部35は、接続設定部34によるネットワーク接続の設定後に、設定されたデバイスキー情報に含まれる接続先ホスト名で特定される中継サーバ2に対して、デバイスキー情報に含まれる認証用情報(デバイス名および第2の対称キー)を送信して接続をリクエストし、認証(サーバ側接続処理部24による認証処理)を受ける。この認証に成功すると、利用者側接続処理部35は、中継サーバ2に接続して通信を行うことが可能な状態となる。本実施形態の印刷システムをより利便性高く利用するには、印刷用端末3と中継サーバ2とが常時接続されていることが望ましい。そこで、利用者側接続処理部35は、接続設定部34によるネットワーク接続の設定後、認証の成功により中継サーバ2との接続を開始した後、明示的に切断の処理が行われるまでの間は常時接続状態を維持するようにする。
【0049】
常時接続の手法として、例えば、Long polling、WebSocket、MQTT、AMQPなどの公知技術を用いることが可能である。これらを利用したより具体的な公知技術として、多数のデバイスが常時繋がることを想定したクラウドサービスが複数のクラウドサービス提供会社からリリースされており、それらを利用することも可能である。
【0050】
印刷制御部36は、利用者側接続処理部35によるネットワーク接続の開始後、クラウドサーバ1,2,5から印刷データの提供を受け、非ネットワークプリンタ4に印刷データを供給して印刷を実行させる。ここで、印刷制御部36は、常時接続されている中継サーバ2から印刷実行の指示を受けて、非ネットワークプリンタ4に対する印刷の実行を制御する。
【0051】
すなわち、印刷制御部36は、印刷データ保管先のURLと共に印刷実行の指示を中継サーバ2の印刷指示部27から受けると、その保管先URLを指定してデータ保管サーバ5にアクセスし、印刷データを取得する。そして、印刷制御部36は、データ保管サーバ5から取得した印刷データを、非ネットワークプリンタ4が短距離ネットワーク200を介して受信可能な形式にプロトコル変換し、変換した印刷データを非ネットワークプリンタ4に供給して印刷を実行させる。また、印刷制御部36は、印刷結果情報を非ネットワークプリンタ4から取得し、これを中継サーバ2に送信する。
【0052】
図4は、以上のように構成した本実施形態の印刷システムにおいて、印刷用端末3に対してネットワーク接続の設定を行う際の処理手順を示す図である。
図4に示すように、まず業者端末6は、広域ネットワーク100を介して中継サーバ2にデバイス追加をリクエストする(ステップS1)。
【0053】
中継サーバ2では、リクエスト受信部21が業者端末6からデバイス追加のリクエストを受信すると、接続情報生成部22がデバイスキー情報を生成してこれを暗号化する。接続情報生成部22はさらに、暗号化済みのデバイスキー情報を用いて、URLスキームを利用したアプリ連携コマンドの形式で二次元コードを生成する(ステップS2)。中継サーバ2の接続情報送信部23は、接続情報生成部22により生成された暗号化済みのデバイスキー情報および二次元コードを業者端末6に送信する(ステップS3)。
【0054】
中継サーバ2から業者端末6に送信された暗号化済みのデバイスキー情報は、第1の利用者端末7に送信されるとともに、印刷指示サーバ1に送信されて印刷用端末3が設置される店舗の店舗情報に紐づけて登録される(ステップS4)。また、中継サーバ2から業者端末6に送信された二次元コードは、電子メールや書面などの所定の方法で、印刷用端末3を使用する店舗運営者に渡される(ステップS5)。二次元コードを受け取った店舗運営者は、印刷用端末3の読取アプリケーションRAによって二次元コードを読み取る(ステップS6)。すると、情報読取部33により解読された二次元コードに記録されているアプリ連携コマンドに従って、印刷アプリケーションPAが起動する。
【0055】
印刷用端末3において印刷アプリケーションPAが起動すると、当該印刷アプリケーションPAの接続設定部34により、中継サーバ2と接続して通信を行うために必要なネットワーク接続の設定を行う(ステップS7)。すなわち、接続設定部34は、情報読取部33によって取得された暗号化済みのデバイスキー情報を読取アプリケーションRAから取得し、これを印刷アプリケーションPAにあらかじめ記憶されている第1の対称キーによって復号する。そして、このようにして取得したデバイスキー情報を用いて、中継サーバ2と接続して通信を行うために必要なネットワーク接続の設定を行う。
【0056】
その後、利用者側接続処理部35は、設定したネットワーク接続情報を用いて中継サーバ2に接続をリクエストし(ステップS8)、中継サーバ2による認証を受ける(ステップS9)。そして、認証に成功した場合に、利用者側接続処理部35は中継サーバ2と接続する(ステップS10)。ここで、利用者側接続処理部35は、中継サーバ2との接続を開始した後、明示的に切断の処理が行われるまでの間は常時接続状態を維持する。
【0057】
図5は、以上のようにして印刷用端末3と中継サーバ2とが常時接続されている状態において、印刷指示サーバ1から非ネットワークプリンタ4に印刷データを提供して印刷を実行する際の処理手順を示す図である。なお、
図5では1台の印刷用端末3のみを図示しているが、
図4に示した手順によってネットワーク接続の設定が完了した複数の印刷用端末3が中継サーバ2に常時接続されている。
【0058】
図5に示すように、まず利用者端末7,8は、印刷指示サーバ1に印刷実行リクエストを送信して印刷の実行をリクエストする(ステップS11)。ここで、第1の利用者端末7は、
図4のステップS4で業者端末6から取得した暗号化済みのデバイスキー情報を含んだ印刷実行リクエストを印刷指示サーバ1に送信する。また、第2の利用者端末8は、商品等をオーダーした店舗の店舗情報を含んだ印刷実行リクエストを印刷指示サーバ1に送信する。印刷指示サーバ1は、利用者端末7,8から受信した印刷実行リクエストに応じて、印刷データを暗号化済みのデバイスキー情報と共に中継サーバ2に送信する(ステップS12)。
【0059】
中継サーバ2では、印刷指示サーバ1から送信された印刷データおよび暗号化済みのデバイスキー情報を印刷データ受信部25にて受信すると、当該暗号化済みのデバイスキー情報を第1の対称キーにより復号し、復号したデバイスキー情報に含まれるデバイス名および第2の対称キーにより認証を行う(ステップS13)。この認証に成功すると、印刷データ保管部26は、印刷指示サーバ1より受信した印刷データをデータ保管サーバ5に送信して一時保管させ(ステップS14)、印刷データ保管先のURLをデータ保管サーバ5から取得する(ステップS15)。
【0060】
次いで、中継サーバ2の印刷指示部27は、印刷データ保管部26が取得した印刷データ保管先のURLを、ステップS13で復号したデバイスキー情報に含まれているデバイス名で特定される印刷用端末3に通知し、印刷の実行を指示する(ステップS16)。
【0061】
中継サーバ2から印刷実行の指示を受けた印刷用端末3では、印刷制御部36が、印刷データ保管先のURLを指定してデータ保管サーバ5にアクセスすることによって印刷データの取得をリクエストし(ステップS17)、印刷データを取得する(ステップS18)。そして、印刷制御部36は、データ保管サーバ5から取得した印刷データをプロトコル変換し、変換した印刷データを非ネットワークプリンタ4に供給して印刷を実行させる(ステップS19)。
【0062】
また、印刷制御部36は、印刷結果情報を非ネットワークプリンタ4から取得し(ステップS20)、これを中継サーバ2に送信する(ステップS21)。中継サーバ2の印刷結果受信部28でこの印刷結果情報を受信すると、印刷結果送信部29は、印刷結果情報を印刷指示サーバ1に送信する(ステップS22)。印刷指示サーバ1に送信された印刷結果情報は、利用者端末7,8から閲覧可能な状態とされる。
【0063】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、ネットワーク接続機能を有しない非ネットワークプリンタ4に印刷させるための印刷データを、クラウドサーバ1,2,5から広域ネットワーク100を介して印刷用端末3に提供し、当該印刷用端末3と短距離ネットワーク200で接続された非ネットワークプリンタ4に印刷データを供給して印刷を実行させるようにしている。また、本実施形態では、印刷用端末3と中継サーバ2とを接続して通信を行うために必要なネットワーク接続情報を中継サーバ2において二次元コードの形式で生成し、この二次元コードを印刷用端末3の読取アプリケーションRAで読み込むと、印刷アプリケーションPAが起動して印刷用端末3に対するネットワーク接続の設定を行うようにしている。
【0064】
このように構成した本実施形態によれば、印刷指示サーバ1から中継サーバ2およびデータ保管サーバ5を介して印刷用端末3に印刷データを提供し、当該印刷用端末3にインストールされた印刷アプリケーションPAの印刷制御部36によって、印刷用端末3から非ネットワークプリンタ4に印刷データを供給して印刷を実行させることができる。また、このような印刷を実行する際に印刷用端末3と中継サーバ2との間で通信を行うために必要となるネットワーク接続の設定を、中継サーバ2が生成したネットワーク接続情報を用いて、印刷用端末3にインストールされた読取アプリケーションRAから起動される印刷アプリケーションPAの接続設定部34によって自動的に行うことができる。これにより、本実施形態によれば、印刷指示サーバ1から広域ネットワーク100を介して非ネットワークプリンタ4に対する印刷を実行可能にし、そのために必要となるネットワーク接続のセットアップを、印刷用端末3で二次元コードを読み取るだけの簡便な操作で行うことができる。
【0065】
上記実施形態において、印刷システムの運用方法によっては、1つの店舗に複数台の非ネットワークプリンタ4が必要になることもある。その場合は以下の何れかの方法で対応が可能である。
1)非ネットワークプリンタ4の台数に対応するように印刷用端末3の台数を増やす。
この場合、増やした印刷用端末3の台数分だけデバイスキー情報の発行が必要となる。
2)1台の印刷用端末3に繋げる非ネットワークプリンタ4を増やす。
例えば、印刷アプリケーションPAが、印刷待機状態の非ネットワークプリンタ4に優先して印刷指示を出すようにすれば、大量の印刷指示に対しても効率的に印刷を実行することが可能になる。
【0066】
なお、上記実施形態では、中継サーバ2が印刷指示サーバ1から受信した印刷データをデータ保管サーバ5に一時的に保管し、印刷用端末3からデータ保管サーバ5にアクセスして印刷データを取得する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、データ保管サーバ5を省略し、中継サーバ2から印刷用端末3に印刷データを送信するようにしてもよい。
【0067】
中継サーバ2と印刷用端末3との間を常時接続する手法として、クラウドサービス提供会社からリリースされているクラウドサービスを利用する場合、1回の通信量が小さい構成に適した料金プランになっていることがある。この場合、印刷データをそのまま中継サーバ2から印刷用端末3への通信に乗せてしまうとデータ量が大きくなり、費用も膨大になってしまう。これに対し、上述した実施形態のように、中継サーバ2から印刷用端末3に印刷データを渡す際にデータ保管サーバ5を経由させるようにすれば、通信量に対する従量課金を節約することが可能である。
【0068】
また、上記実施形態では、印刷用端末3の印刷アプリケーションPAが非ネットワークプリンタ4から取得した印刷結果情報を中継サーバ2を介して印刷指示サーバ1に提供する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、印刷用端末3の印刷アプリケーションPAは、非ネットワークプリンタ4の印刷設定情報を中継サーバ2を介して印刷指示サーバ1に送信する設定情報送信機能を更に備えてもよい。印刷設定情報とは、例えば、非ネットワークプリンタ4に設定されている用紙のサイズ、種類、印刷レイアウト、印刷品質などを含む印刷プロパティ情報の中の何れか1つ以上の情報である。
【0069】
このようにすれば、印刷指示サーバ1から印刷データを送信する前の任意のタイミングで、印刷指示サーバ1により提供されるWebサイトなどに利用者端末7,8からアクセスすることにより、非ネットワークプリンタ4がどのような設定になっているのかを利用者が確認することができる。これにより、利用者は、非ネットワークプリンタ4の印刷設定状態に応じて、印刷データの調整を行うことが可能となる。
【0070】
なお、非ネットワークプリンタ4の印刷設定情報を中継サーバ2に送信して記憶させ、中継サーバ2が印刷指示サーバ1から受信した印刷データを、非ネットワークプリンタ4の印刷設定情報に応じて自動的に調整するようにしてもよい。例えば、印刷指示サーバ1から送信された印刷データが、非ネットワークプリンタ4の印刷設定情報により示される用紙サイズに適合していない場合に、当該用紙サイズに適合するように印刷データを自動的に調整するといったことが一例として挙げられる。非ネットワークプリンタ4の印刷設定情報を印刷指示サーバ1まで送信し、上述のような印刷データの自動調整処理を印刷指示サーバ1にて行うようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、URLスキームを利用したアプリ連携コマンドの形式でデバイスキー情報の二次元コードを生成し、これを印刷用端末3の読取アプリケーションRAで読み込むと印刷アプリケーションPAが自動的に起動して、印刷アプリケーションPAが読取アプリケーションRAからデバイスキー情報を取得してネットワーク接続の設定を行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、印刷アプリケーションPAに読取アプリケーションRAの機能を内蔵させることにより、アプリ連携コマンドを省略するようにしてもよい。このようにすれば、情報量が減るため二次元コードが小さくなり、読み取り易さが向上するというメリットを有する。
【0072】
あるいは、目視可能な文字列情報によりデバイスキー情報を生成し、印刷アプリケーションPAを手動で起動した後、デバイスキー情報の文字列を手動で印刷アプリケーションPAに入力し、設定開始ボタンを押すことによってネットワーク接続の設定を行うようにしてもよい。この場合、二次元コードを読み取るだけの実施形態よりは若干手間がかかるが、専門のネットワーク知識がなくてもネットワーク接続の設定を簡便に行うことが可能である。
【0073】
また、上記実施形態では、非ネットワークプリンタ4に対する印刷制御機能およびネットワーク接続設定機能を有する一の印刷アプリケーションPAを印刷用端末3にインストールしておき、印刷アプリケーションPAがネットワーク接続の設定を行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、非ネットワークプリンタ4に対する印刷制御機能およびネットワーク接続設定機能を有する複数のアプリケーション(印刷制御機能を有する印刷アプリケーションPAおよびこれとは別のネットワーク接続設定用のアプリケーション)を印刷用端末3にインストールしておき、アプリ連携コマンドのURLにネットワーク接続設定用のアプリケーションの識別子を組み込んでおくことにより、読取アプリケーションRAから接続設定用のアプリケーションを起動してネットワーク接続の設定を行うようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、印刷指示サーバ1から送信された印刷データを中継サーバ2を介して印刷用端末3に提供する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、中継サーバ2を省略し、中継サーバ2が担っている機能を印刷指示サーバ1が備えるようにしてもよい。この場合、ネットワーク接続情報は、印刷用端末3と印刷指示サーバ1とを接続して通信を行うために必要な情報となる。あるいは、印刷指示サーバ1、中継サーバ2およびデータ保管サーバ5を同一のサーバにより構成するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、ネットワーク接続情報(デバイスキー情報)が接続先ホスト名、デバイス名および第2の対称キーを含む例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、印刷アプリケーションPAを店舗ごとにカスタマイズしてから配布することで、第2の対称キーを印刷アプリケーションPAにあらかじめ組み込んでおくようにしてもよい。また、印刷用端末3のデバイスごとに一意のURLを作成することにより、接続先ホスト名をデバイス名と兼用するようにしてもよい。
【0076】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 印刷指示サーバ(クラウドサーバ)
2 中継サーバ(クラウドサーバ)
3 印刷用端末
4 非ネットワークプリンタ
5 データ保管サーバ(クラウドサーバ)
6 業者端末
7 第1の利用者端末
8 第2の利用者端末
21 リクエスト受信部
22 接続情報生成部
23 接続情報送信部
24 サーバ側接続処理部
25 印刷データ受信部
26 印刷データ保管部
27 印刷指示部
28 印刷結果受信部
29 印刷結果送信部
33 情報読取部
34 接続設定部
35 利用者側接続処理部(接続処理部)
36 印刷制御部
100 広域ネットワーク
200 短距離ネットワーク
RA 読取アプリケーション
PA 印刷アプリケーション