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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051530
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】液体組成物
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/30 20060101AFI20240404BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240404BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240404BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240404BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240404BHJP
   A24B 15/167 20200101ALI20240404BHJP
   A24B 15/36 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A24B15/30
A61K31/352
A61P25/00
A61K31/05
A61K31/192
A61K45/00
A61K9/08
A61K9/72
A61K47/26
A61K47/46
A23L33/105
A23L5/00 K
A24B15/167
A24B15/36
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157746
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】522387641
【氏名又は名称】石川 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100162145
【弁理士】
【氏名又は名称】村地 俊弥
(74)【代理人】
【識別番号】100103539
【弁理士】
【氏名又は名称】衡田 直行
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 龍
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B043
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD48
4B018ME14
4B018MF01
4B035LC06
4B035LE03
4B035LG04
4B035LG17
4B035LG22
4B035LG31
4B035LG37
4B035LK03
4B035LK04
4B035LP22
4B043BB22
4B043BC02
4B043BC12
4B043BC14
4B043BC18
4C076AA12
4C076AA93
4C076BB01
4C076BB22
4C076CC01
4C076DD38T
4C076EE30G
4C076EE30Q
4C076EE58T
4C076FF52
4C084AA19
4C084MA16
4C084MA57
4C084NA05
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA09
4C086ZA02
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206DA19
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA36
4C206NA05
4C206NA09
4C206ZA01
(57)【要約】
【課題】摂取しやすく、リラックス性に優れた(鎮静効果に優れた)液体組成物を提供する。
【解決手段】カンナビノイド、増粘安定剤、甘味料、及び水を含む液体組成物であって、液体組成物中、カンナビノイドの含有率が65~95質量%、増粘安定剤の含有率が0.1~10質量%、甘味料の含有率が1~10質量%、水の含有率が0.5~30質量%である液体組成物。上記増粘安定剤は、好ましくはペクチンである。上記液体組成物は、さらに、テルペンを1~10質量%の含有率で含むことが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイド、増粘安定剤、甘味料、及び水を含む液体組成物であって、
上記液体組成物中、上記カンナビノイドの含有率が65~95質量%、上記増粘安定剤の含有率が0.1~10質量%、上記甘味料の含有率が1~10質量%、上記水の含有率が0.5~30質量%であることを特徴とする液体組成物。
【請求項2】
上記増粘安定剤が、ペクチンである請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
さらに、テルペンを含み、上記液体組成物中、上記テルペンの含有率が1~10質量%である請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項4】
上記甘味料が、エリストール及びラカンカである請求項1又は2のいずれか1項に記載の液体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
大麻植物に含まれているカンナビノイドには、鎮静作用、鎮痛作用、抗炎症作用等の様々な効果があることが知られている。
医学的及び娯楽的使用のための大麻油注入製品を作製するための大麻注入甘味料として、特許文献1には、大麻油と;キサンタンガム、グアーガム、レシチン、カラギーン、モノグリセリド、天然乳化剤、及びヒトによる摂取にとって安全な有機乳化剤からなる群から選択される少なくとも1種の乳化剤と;甘味料と、を含む大麻注入甘味料、及び、前記大麻油がテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、及びマリファナ植物から単離される他のカンナビノイド油からなる群から選択されるものであることが記載されている。
また、特許文献2には、液体組成物を加熱することによって該液体組成物に含有されている有効成分を放出する電子タバコ用液体組成物であって、麻の茎又は種子に含有されるカンナビノイド、カフェイン、及び、溶媒を少なくとも含有することを特徴とする電子タバコ用液体組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-511579号公報
【特許文献2】特開2020-110045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、摂取しやすく、リラックス性に優れた(鎮静効果に優れた)液体組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カンナビノイドを65~95質量%、増粘安定剤を0.1~10質量%、甘味料を1~10質量%、及び、水を0.5~30質量%の含有率で含む液体組成物によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[4]を提供するものである。
[1] カンナビノイド、増粘安定剤、甘味料、及び水を含む液体組成物であって、上記液体組成物中、上記カンナビノイドの含有率が65~95質量%、上記増粘安定剤の含有率が0.1~10質量%、上記甘味料の含有率が1~10質量%、上記水の含有率が0.5~30質量%であることを特徴とする液体組成物。
[2] 上記増粘安定剤が、ペクチンである前記[1]に記載の液体組成物。
[3] さらに、テルペンを含み、上記液体組成物中、上記テルペンの含有率が1~10質量%である前記[1]又は[2]に記載の液体組成物。
[4] 上記甘味料が、エリストール及びラカンカである前記[1]~[3]のいずれかに記載の液体組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液体組成物は、摂取しやすく、リラックス性に優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の液体組成物は、カンナビノイド、増粘安定剤、甘味料、及び水を含む液体組成物であって、液体組成物中、カンナビノイドの含有率が65~95質量%、増粘安定剤の含有率が0.1~10質量%、甘味料の含有率が1~10質量%、水の含有率が0.5~30質量%であるものである。
以下、詳しく説明する。
カンナビノイドは、大麻植物に含まれる成分であり、麻(大麻草)からの抽出や、合成等によって得られるものである。
カンナビノイドの例としては、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビディバリン(CBDV)、及び、テトラヒドロカンナビノール(THC)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0008】
液体組成物中のカンナビノイドの含有率は、65~95質量%、好ましくは70~93質量%、より好ましくは73~90質量%、さらに好ましくは75~89質量%、さらに好ましくは78~88質量%、特に好ましくは80~87質量%である。上記含有率が65質量%未満であると、液体組成物を摂取した際のリラックス性が低下する。上記含有率が95質量%を超えると、相対的に他の原料の含有率が小さくなるため、液体組成物の製造が困難になり、かつ、液体組成物の安定性が低下する。
【0009】
増粘安定剤とは、水に溶解又は分散して粘稠性を生じる高分子物質である。
増粘安定剤の例としては、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、ウェランガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、デキストラン、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天及びグルコマンナン等の多糖類、ゼラチン等の蛋白質等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、液体組成物の製造の容易性、入手の容易性、及び人体への悪影響が少ない観点から、ペクチン、キサンタンガム、ゼラチン、及び寒天が好ましく、ペクチンがより好ましい。
ペクチンとしては、HMペクチン、LMペクチンのいずれを用いてもよいが、液体組成物の安定性等の観点から、HMペクチンが好ましい。
また、ペクチンは、人体への悪影響を防ぐ等の観点から植物(例えば、イチゴ、レモン等)由来のものが好ましい。
【0010】
増粘安定剤は粉末状であっても液体状(ゲル状)であってもよいが、液状組成物の調製の容易性、及び、各材料を均一に混合する観点等から液体状が好ましい。
液体組成物中の増粘安定剤の含有率は、0.1~10質量%、好ましくは0.4~5質量%、より好ましくは0.6~4質量%、さらに好ましくは0.8~3質量%、特に好ましくは1~2質量%である。上記含有率が0.1質量%未満であると、液体組成物の製造が困難になったり、液体組成物の安定性が低下する。上記含有率が10質量%を超えると、液体組成物を摂取した際のリラックス性が低下する。
【0011】
また、カンナビノイド100質量部に対する、増粘安定剤の配合量は、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは0.5~10質量部、特に好ましくは1~5質量部である。上記配合量が0.1質量部以上であれば、液体組成物の製造がより容易となり、液体組成物の安定性がより向上する。上記配合量が10質量%以下であれば、液体組成物を摂取した際のリラックス性がより向上する。
【0012】
甘味料としては、糖質系甘味料、及び、非糖質系甘味料が挙げられる。
糖質系甘味料としては、(i)上白糖、グラニュー糖、黒糖等の砂糖、(ii)ブドウ糖、麦芽糖、果糖、水飴、異性化糖、イソマルトオリゴ糖、及びトレハロース等のでんぷん由来の糖、(iii)ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴、還元パラチノース、キシリトール、エリストール等の糖アルコール、(iv)フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース、乳糖等の上記(i)~(iii)以外の糖等が挙げられる。
また、非糖質系甘味料としては、(i)ステビア、甘草(グリチルリチン)、ラカンカ(羅漢果)等の天然甘味料、(ii)サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース等の人工甘味料等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、(i)液体組成物の製造において加熱する場合、又は、製造後の液体組成物を加熱する場合(例えば、液体組成物を電子タバコ用の液体組成物として用いて喫煙を行う場合や、液体組成物を用いて製菓又は調理を行う場合)における、焦げ及びメイラード反応の起こりにくさの観点、(ii)液体組成物を摂取する際の甘味の感じやすさの観点、並びに、(iii)液体組成物を摂取する際のカロリーの摂取量を小さくする観点等から、エリストール及びラカンカを組み合わせて用いることが好ましい。
【0013】
液体組成物中の甘味料の含有率は、1~10質量%、好ましくは2~9質量%、より好ましくは3~8質量%、さらに好ましくは4~7質量%、特に好ましくは5~6質量%である。上記含有率が1質量%未満であると、液体組成物の摂取しやすさ(例えば、摂取した際の口当たり、甘味等)が低下する。上記含有率が10質量%を超えると、液体組成物の製造が困難になるとともに、液体組成物の製造において加熱する場合、及び、製造後の液体組成物を加熱する場合において、焦げ及びメイラード反応が起こりやすくなり、摂取した際に苦みが生じる場合がある。
なお、甘味料として、エリストール及びラカンカを組み合わせて用いる場合、エリストール及びラカンカの合計100質量%中、ラカンカの割合は、(i)液体組成物の製造において加熱する場合、及び、製造後の液体組成物を加熱する場合における、焦げ及びメイラード反応の起こりにくさの観点、(ii)液体組成物を摂取する際の甘味の感じやすさの観点、並びに、(iii)液体組成物を摂取する際のカロリーの摂取量を小さくする観点等から、好ましくは1~40質量%、より好ましくは3~30質量%、特に好ましくは4~25質量%である。
【0014】
また、カンナビノイド100質量部に対する、甘味料の配合量は、好ましくは1~20質量部、より好ましくは3~15質量部、特に好ましくは4~10質量部である。上記配合量が1質量部以上であれば、液体組成物の摂取しやすさ(例えば、摂取した際の口当たり、甘味等)がより向上する。上記含有率が10質量%以下であれば、液体組成物の製造がより容易になるとともに、液体組成物の製造において加熱する場合、及び、製造後の液体組成物を加熱する場合において、焦げ及びメイラード反応がより起こりにくく、摂取した際に苦みが生じにくくなる。
【0015】
液体組成物中の水の含有率は、0.5~30質量%、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~10質量%、さらに好ましくは3~8質量%、特に好ましくは4~7質量%である。上記含有率が0.5質量%未満であると、液体組成物の製造が困難になり、かつ、液体組成物の安定性が低下する。上記含有率が30質量%を超えると、液体組成物を摂取した際のリラックス性が低下する。
また、カンナビノイド100質量部に対する、水の配合量は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1~45質量部、さらに好ましくは2~30質量部、さらに好ましくは3~15質量部、さらに好ましくは4~10質量部、特に好ましくは4.5~8質量部である。上記配合量が0.5質量部以上であれば、液体組成物の製造がより容易になるとともに、液体組成物の安定性がより向上する。
【0016】
液体組成物は、さらに、テルペンを含んでいてもよい。テルペンを含むことによって、液体組成物を摂取した際のリラックス性をより向上することが出来る。
液体組成物中のテルペンの含有率は、好ましくは1~10質量%、より好ましくは2~9質量%、さらに好ましくは3~8質量%、さらに好ましくは4~7質量%、特に好ましくは5~6質量%である。上記含有率が1質量%以上であれば、液体組成物を摂取した際のリラックス性がより向上する。上記含有率が10質量%以下であれば、液体組成物の製造がより容易になり、かつ、液体組成物の安定性がより向上する。
【0017】
また、カンナビノイド100質量部に対する、テルペンの配合量は、好ましくは1~20質量部、より好ましくは3~15質量部、特に好ましくは4~10質量部である。上記配合量が1質量部以上であれば、液体組成物を摂取した際のリラックス性がより向上する。上記配合量が10質量%以下であれば、液体組成物の製造がより容易になり、かつ、液体組成物の安定性がより向上する。
【0018】
液体組成物は水以外の溶媒(例えば、プロピレングリコール、グリセリン)等を含んでいてもよいが、原料にかかるコストの低減、及び、人体への悪影響を少なくする等の観点から、水以外の溶媒を含まないことが好ましい。
また、液体組成物は、他の原料として、乳化剤、油脂、香料等を含んでいてもよいが、原料にかかるコストの低減、液体組成物の製造の容易性、及び、液体組成物の安定性等の観点から、他の材料を含まないこと(すなわち、液体組成物が、カンナビノイド、増粘安定剤、甘味料、及び水のみ、又は、カンナビノイド、増粘安定剤、甘味料、水、及びテルペンのみからなること)が好ましい。
また、液体組成物が、他の原料を含む場合、液体組成物中の他の原料の含有率(複数の他の原料を含む場合はその合計の含有率)は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
【0019】
液体組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(i)各原料を同時に混合する方法、(ii)カンナビノイド以外の原料(増粘安定剤、甘味料、水、及びテルペン)を混合して混合物を得た後、該混合物と、カンナビノイドを混合する方法、(iii)水以外の原料(カンナビノイド、増粘安定剤、甘味料、水、及びテルペン)と、水の一部を混合して混合物を得た後、液体組成物の用途に応じて、水の残部の量を定め、上記混合物と水の残部を混合する方法等が挙げられる。
また、液体組成物を製造する際に、各原料を均一に混合する目的で、例えば、原料の一部または全部を加熱(例えば、60~100℃)してもよい。また、液体組成物の安定性を向上させる目的で、振動撹拌によって各原料を混合してもよい。
【0020】
本発明の液体組成物によれば、該液体組成物を摂取することで、リラックス効果(鎮静効果)を得ることが出来る。また、リラックス効果のほかに、カンナビノイドの摂取によって得られる一般的な効果(例えば、鎮痛効果、てんかんによって生じる発作の抑制効果等)も得ることが出来る。
上記液体組成物の摂取方法としては、経口摂取等が挙げられる。より具体的には、電子タバコを用いた喫煙によって摂取する方法、製菓または調理において材料の一部として上記液体組成物を使用し、お菓子や料理等として摂取する方法等が挙げられる。中でも、摂取の容易性や嗜好性の観点から、電子タバコを用いた喫煙によって摂取する方法が好ましい。
電子タバコを用いた喫煙による摂取方法としては、市販されている電子タバコにおいて、上記液体組成物を電子タバコ用液体組成物として使用し、加熱によって上記液体組成物を吸い込む方法等が挙げられる。
【0021】
また、上記液体組成物は安定性に優れているため、長期保存が可能となるほか、摂取後、体内に存在するカンナビノイド受容体に、液体組成物が変質することなく到達しやすくなるため、より優れたリラックス効果を得ることができる。
さらに、上記液体組成物は、口当たりが良く、甘味があることから摂取しやすいものである。特に、電子タバコを用いて液体組成物を摂取する場合、喉、鼻、肺の痛みが少ないため、上記液体組成物は嗜好性に優れたものである。
【実施例0022】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(1)カンナビノイド群;複数の種類(4種以上)のカンナビノイドを含むもの、カンナビノイド以外の成分の含有率:1質量%以下
(2)増粘安定剤A;液体状(ゲル状)のHMペクチン
(3)増粘安定剤B;ゼラチン
(4)増粘安定剤C;寒天
(5)増粘安定剤D;キサンタンガム
(6)甘味料A;エリストールとラカンカ(羅漢果)の混合物、該混合物100質量%中のラカンカの割合:5~20質量%
(7)甘味料B;上白糖
(8)甘味料C:ラカンカ
(9)甘味料D;黒糖
(10)甘味料E;スクラロース
(11)甘味料F;ステビア
(12)テルペン
(13)水
【0023】
[実施例1]
カンナビノイド群を加熱してなる液状カンナビノイド群と、増粘安定剤Aと甘味料Aと水を予め混合してなる第一の混合物を混合して、第二の混合物を得た後、第二の混合物とテルペンを混合することで、液体組成物1を調製した。
液体組成物1中、カンナビノイド群の含有率は85質量%、増粘安定剤Aの含有率は1質量%、甘味料Aの含有率は5質量%、テルペンの含有率は5質量%、水の含有率は4質量%であった。
液体組成物1の調製において、焦げ及びメイラード反応は見られなかった。なお、液状組成物を摂取する際の甘味の低下を防ぐ観点、液状組成物の製造効率の向上、及び、液体組成物に含まれる原料の一部の炭素化を防いで品質を向上する観点から、液体組成物の調製において焦げ及びメイラード反応が起こらないことが好ましい。
また、実施例、比較例において、液体組成物の調製時における焦げ及びメイラード反応の発生は、液体組成物の摂取の際の甘味以外の評価(喉の痛み、鼻の痛み、肺の痛み、リラックス作用、口当たり)には影響を及ぼさなかった。
【0024】
[実施例2]
甘味料Aの代わりに甘味料Bを使用する以外は実施例1と同様にして液体組成物2を調製したところ、液体組成物の調製において、焦げ及びメイラード反応が発生した。
[実施例3]
甘味料Aの代わりに甘味料Cを使用する以外は実施例1と同様にして液体組成物3を調製したところ、液体組成物の調製において、焦げが発生した。
[実施例4]
甘味料Aの代わりに甘味料Dを使用する以外は実施例1と同様にして液体組成物4を調製したところ、液体組成物の調製において、焦げ及びメイラード反応が多く発生した。
[実施例5]
甘味料Aの代わりに甘味料Eを使用する以外は実施例1と同様にして液体組成物5を調製したところ、液体組成物の調製において、焦げ及びメイラード反応が発生した。
[実施例6]
甘味料Aの代わりに甘味料Fを使用する以外は実施例1と同様にして液体組成物6を調製したところ、液体組成物の調製において、メイラード反応が若干発生した。
【0025】
[実施例7]
増粘安定剤Aの代わりに増粘安定剤Bを使用する以外は実施例1と同様にして液体組成物7を調製した。液体組成物7は、液体組成物1と比較して、熱による分解が起こりやすく(安定性が低く)、粘度の小さい(液体組成物1と比較すると若干取り扱いの困難な)ものであったが、電子タバコ用の液体組成物として十分に利用可能なものであった。
[実施例8]
増粘安定剤Aの代わりに増粘安定剤Cを使用する以外は実施例1と同様にして液体組成物8を調製した。液体組成物8は、液体組成物1と比較して、凝固しやすく、熱による炭素化が起こりやすいものであったが、電子タバコ用の液体組成物として十分に利用可能なものであった。
実施例1~8の液体組成物1~8は、いずれも電子タバコ用の液体組成物として利用可能なものであった。中でも、実施例1~6の液体組成物1~6は、製造がより容易であり、安定性に優れていた。特に、実施例1の液体組成物1は、最も製造が容易であり、安定性に優れたものであった。
【0026】
[実施例9]
5人のパネラーに、実施例1で得られた液体組成物1を用いた電子タバコを喫煙させて、1~4の4段階(4が最も評価が高いことを示す。)で、以下の各評価項目を評価し、得られた評価の平均値を表1に示す。
[喉の痛み]
電子タバコを喫煙した際の喉の痛みについて、喉の痛みを全く感じなかった場合を「4」、喉の痛みを少し感じた場合を「3」、喉の痛みを感じた場合を「2」、喫煙が困難となるほど喉の痛みを感じた場合を「1」と評価した。
[鼻の痛み]
電子タバコを喫煙した際の鼻の痛みについて、鼻の痛みを全く感じなかった場合を「4」、鼻の痛みを少し感じた場合を「3」、鼻の痛みを感じた場合を「2」、喫煙が困難となるほど鼻の痛みを感じた場合を「1」と評価した。
【0027】
[肺の痛み]
電子タバコを喫煙した際の肺の痛みについて、肺の痛みを全く感じなかった場合を「4」、肺の痛みを少し感じた場合を「3」、肺の痛みを感じた場合を「2」、喫煙が困難となるほど肺の痛みを感じた場合を「1」と評価した。
[リラックス作用]
電子タバコを喫煙する際及び喫煙後のリラックス作用(リラックス性)について、しっかりとリラックスできた場合を「4」、少しリラックスできた場合を「3」、あまりリラックスできなかった場合を「2」、リラックスできなかった場合を「1」と評価した。
[口当たり]
電子タバコを喫煙した際の口当たり(電子タバコの吸いやすさ)について、電子タバコを吸いやすく、口当たりが良かった場合を「4」、口当たりがまあまあ良かった場合を「3」、口当たりがあまりよくなかった場合を「2」、電子タバコを吸いにくく、口当たりが悪かった場合を「1」と評価した。
[甘味]
電子タバコを喫煙した際の味について、甘いと感じた場合を「4」、ほんのり甘いと感じた場合を「3」、ほんのり苦いと感じた場合を「2」、苦いと感じた場合を「1」と評価した。
[総合評価]
総合評価として、喉の痛み、鼻の痛み、肺の痛み、リラックス作用、口当たり、及び甘味の評価の平均値を算出した。
【0028】
[実施例10]
カンナビノイド群を加熱してなる液状カンナビノイド群と、増粘安定剤Dと甘味料Aと水を予め混合してなる第一の混合物を混合して、第二の混合物を得た後、第二の混合物とテルペンを混合することで、液体組成物9を調製した。なお、液体組成物9の調製において、焦げ及びメイラード反応は見られなかった。
液体組成物9中、カンナビノイド群の含有率は85質量%、増粘安定剤Dの含有率は1質量%、甘味料Aの含有率は5質量%、テルペンの含有率は5質量%、水の含有率は4質量%であった。
実施例9と同様にして、液体組成物9を用いた電子タバコの喫煙の評価を行った。
【0029】
[比較例1]
カンナビノイド群を加熱してなる液状カンナビノイド群と、テルペンと水を予め混合してなる混合物を混合して液体組成物10を調製した。なお、液体組成物10の調製において、焦げ及びメイラード反応は見られなかった。
液体組成物10中、カンナビノイド群の含有率は91質量%、テルペンの含有率は5質量%、水の含有率は4質量%であった。
実施例9と同様にして、液体組成物10を用いた電子タバコの喫煙の評価を行った。
各々の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から、実施例9の液体組成物は、電子タバコの液体組成物として用いた場合、喉の痛み、鼻の痛み、肺の痛みが少なく、リラックス作用に優れ、かつ、口当たり及び甘味に優れていることがわかる。
実施例10の液体組成物は、鼻の痛みの評価(2.6)が、比較例1の鼻の痛みの評価(2.8)よりも低いものの、それ以外の評価は比較例1より高く、また実施例10の総合評価(3.2)は、比較例1の総合評価(2.9)よりも高いことかわかる。