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  • 特開-生体認証監視システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051539
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】生体認証監視システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/06 20060101AFI20240404BHJP
   A47K 17/02 20060101ALI20240404BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20240404BHJP
   E05C 1/04 20060101ALI20240404BHJP
   E05B 15/02 20060101ALI20240404BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20240404BHJP
   G06T 7/00 20170101ALN20240404BHJP
   G06V 40/16 20220101ALN20240404BHJP
   G06V 40/12 20220101ALN20240404BHJP
【FI】
E05B65/06 E
A47K17/02 Z
E03D9/00 Z
E05C1/04 B
E05B15/02 Z
G06Q10/00
G06T7/00 510F
G06T7/00 530
G06V40/16 A
G06V40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157758
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】加納 直人
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
5B043
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
2D037EA01
2D037EB00
2D038ZA00
5B043AA09
5B043BA02
5B043BA04
5B043CA06
5B043CA09
5B043DA05
5B043FA02
5B043FA09
5L010AA00
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】個室内の利用者の安全性を確保する。
【解決手段】一方の施錠対象物に固定されるメス係合部と他方の施錠対象物に固定されメス係合部と係合可能なオス係合部とメス係合部の表面に設けられ生体情報を検出するセンサー40と検出された生体情報に基づき生体認証を実行する生体認証手段を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の施錠対象物に固定されるメス係合部と、
他方の施錠対象物に固定され、前記メス係合部と係合可能なオス係合部と、
前記メス係合部の表面に設けられ、生体情報を検出するセンサーと、
検出された生体情報に基づき、生体認証を実行する生体認証手段と、
を備えたことを特徴とする生体認証監視システム。
【請求項2】
前記センサーが、顔認証センサーであることを特徴とする請求項1に記載の生体認証監視システム。
【請求項3】
前記センサーが、心拍検知センサーであることを特徴とする請求項1に記載の生体認証監視システム。
【請求項4】
前記顔認証センサーがミラーガラスで覆われたことを特徴とする請求項2に記載の生体認証監視システム。
【請求項5】
一方の施錠対象物に固定されるメス係合部と、
他方の施錠対象物に固定され、前記メス係合部と係合可能なオス係合部と、
前記オス係合部の接触可能部に設けられ、生体情報を検出するセンサーと、
検出された生体情報に基づき、生体認証を実行する生体認証手段と、
を備えたことを特徴とする生体認証監視システム。
【請求項6】
前記センサーが、指紋認証センサーであることを特徴とする請求項5に記載の生体認証監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証監視システムに関し、特に、生体認証を用いた個室内の生体認証監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
個室の一例として、トイレ内の個室を施錠する場合、ラッチをスライドさせてハット型金具に挿入、係合させるスライドラッチ錠や打掛錠等を用いることが一般的である。
【0003】
従来、トイレ内の個室では、施錠をすることで密室となり、個室外から個室内の様子を窺うことは困難であった。したがって、個室内で利用者に急病などの不測の事態が起きた場合であっても、個室外の者が個室内の事態を把握することは困難である。また、正当な理由で個室を使用しない者、すなわち不審者等が個室を利用することもあり、防犯の観点から、不審者が何者であるかを確認することで犯罪等を抑止する必要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-200499公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に提案されるトイレ監視システムでは、トイレの入り口に取り付けられた入室用認識センサーによって認識された人数と、退出用人認識センサーによって認識された人数の差分がある状態が継続した場合に警報を発するもので、トイレ個室内の利用者の直接的な健康状態等を把握することができない。また、このトイレ監視システムでは、利用人数の差分状態を用いることから、利用者が不審者であるかを確認することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための生体認証監視システムとして、一方の施錠対象物に固定されるメス係合部と、他方の施錠対象物に固定され、メス係合部と係合可能なオス係合部と、メス係合部の表面に設けられ、生体情報を検出するセンサーと、検出された生体情報に基づき、生体認証を実行する生体認証手段とを備えた構成とした。
本構成によれば、個室内の利用者の健康状態を把握可能であると共に、防犯性や犯罪抑止力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】スライドラッチ錠を示す概略図である。
図2】他の実施形態に係るスライドラッチ錠を示す概略図である。
図3】個室監視システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、個室の扉を施錠する施錠手段の一例としてのスライドラッチ錠10を示す図である。以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。同図において、スライドラッチ錠10は、ハット金具20、ラッチ部30および生体認証センサー40から構成される。スライドラッチ錠10は、個室の一例としてのトイレ内の扉50と扉枠60とを施錠することでトイレ内に密室を作り出す錠である。扉50は、図外のヒンジを介して扉枠60に対して枢動可能に設置され、床と天井間に固定される扉枠60との間に閉口部を形成すると共に施錠時においてトイレ個室内を密室にする。
【0009】
図1に示すように、メス係合部としてのハット金具20は、ステンレスやアルミニウム等を板金加工することで断面コの字型に形成され、一方の施錠対象物であるトイレの扉50と対向する他方の施錠対象物である扉枠60の扉側の一端部の中央に取り付けられる部材である。ハット金具20は、一方側に孔21aが形成された取付面22Aと他方側に孔21bが形成された取付面22Bを備え、取付面22A;22Bから個室内側に突出してコの字を形成することで後述の角ラッチ32が挿入可能となる挿入部24を有する。ハット金具20の突出した表面、すなわち挿入部24の裏側にはセンサー取付面26が形成され、後述の生体認証センサー40が取り付けられる。なお、本実施形態では、ハット金具20の断面形状をコの字にしたが、U字形状や山形の形状としてもよい。
【0010】
メス係合部に係合可能なオス係合部としてのラッチ部30は、ラッチ部30の土台となるベース31,ベース31上に摺動可能に配置される矩形の角ラッチ32、角ラッチ32から個室内側に突出する取手部34、ベース31とともに角ラッチ32を支持する支持部36A;36Bを備える。
【0011】
ベース31は、ステンレスから成る矩形の板であり、その四隅に取付孔37a~37dが形成される。ベース31は、取付孔37a~37dに図外のネジ等を螺入することにより、トイレの扉50の一端部のほぼ中央に取り付けられ、扉枠60側のハット金具20と対応する。
【0012】
角ラッチ32は、ステンレスから成る矩形のボルトであり、ベース31からコの字状に形成される支持部36A;36Bに挿入され脱落不能に支持される。また、取手部34は、支持部36A;36Bの間で角ラッチ32の表面から個室内側に突出して角ラッチ32と一体不可分に設けられる。これにより、利用者は取手部34を把持して、扉枠60側に角ラッチ32を摺動させてハット金具20の挿入部24に挿入、係合させることにより個室内を施錠することができる。
【0013】
生体認証センサー40は、ハット金具20の取付面26上に搭載される。本実施形態における生体認証センサーとしては、顔認証センサー、マイクロ波センサーまたは虹彩センサー等の非接触センサーが好ましい。生体認証センサー40は、図外の電源から電気を供給され、通信ネットワークを介してトイレを設置、管理する管理センター等のコンピューターと接続される。また、当該管路センターのコンピューターは、通信ネットワークを介して外部サーバーと電気的に接続される。通信ネットワークは、例えば、有線ネットワーク(たとえば、近距離通信網、広域通信網、または付加価値通信網など)と無線ネットワーク(移動通信網、衛星通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi、HSDPA)などとが混在するネットワークである。
【0014】
生体認証センサー40としての顔認証センサーは、個室内の便座に座った利用者の顔の形や目鼻などの位置関係を示す特徴的な点や輪郭線等を画像認識技術により検知、抽出し、特徴点間の距離や角度、輪郭線の曲率等や、顔表面の色や濃淡等の特徴量を検出してコンピューターに出力する。なお、これらの検出を管理センター内のコンピューターや外部サーバーとしてのコンピューターにより実行する構成であっても良い。
【0015】
また、生体認証センサー40としてのマイクロ波センサーは、マイクロ波によるドップラー効果を用いて個室内の便座に座った利用者の単位時間ごとの心拍数を検出し、心拍数に係るデータをコンピューターに出力する。
【0016】
また、生体認証センサー40としての虹彩センサーは、個室内の便座に座った利用者の眼球の黒目部分の筋肉の細かい皺のパターンを検出してコンピューターに出力する。
【0017】
また、図示の例では、生体認証センサー40を外部から視認可能に設けたが、当該生体認証センサー40をいわゆるミラーガラスやハーフミラーで覆い、容易に視認できない構成としても良い。このような構成とすることにより、利用者が鏡に映る自分を見て身だしなみを整える可能性があるため、特に顔認証センサーや虹彩センサーによる検出精度を向上させることができる。また、トイレ内に別途鏡を設置する必要がなくなり、鏡の設置コストを低減することができる。
【0018】
また、図2に示すように、ハット金具20に生体認証センサー40を設ける代わりに、ラッチ部30に生体認証センサー40を設けてもよい。この場合、取手部34を排除し、角ラッチ32自体を矩形の全方位型の指紋認証センサーとしてもよい。これにより、利用者が施錠する際に指紋を検出することが可能となる。また、生体認証センサー40として顔認証センサー、虹彩センサーを用いる場合には、スライドラッチ錠10の高さ位置を、一般的な身長を有する利用者が便座に着座した場合に想定される顔の位置と対応する位置とするのが好ましい。
【0019】
図3のように、顔認証センサーにより検出された上述の検出データは、インターネットを介し、外部サーバー70内の生体認証手段72によって判定がなされる。当該外部サーバーを構成するコンピューターは、管理センターのコンピューターと同様に、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM、RAM、ディスプレイやその他の外部機器との通信を確立するインターフェースを備えており、CPUがROMに記憶された所定のプログラムに従って動作することにより、各手段が構成される。例えば、顔認証センサーにより検出された検出データに基づく判定は、ROM等の記憶手段に予め格納された指名手配犯の顔データとの照合により実行される。そして、照合の結果、利用者が指名手配犯である場合には、報知手段74を介してその結果が捜査機関や警備会社、及び管理センター等に通知される。
【0020】
また、マイクロ波センサーにより検出された心拍数に基づく判定は、記憶手段に予め格納された心拍情報と照合される。心拍数が正常な範囲を超える場合には、報知手段74を介して管理センターや緊急救命センター等に通知される。また、管理センターでは、トイレ内外に設置された警報機によって急病が生じている可能性を外部に報知しても良い。
【0021】
また、虹彩センサーにより検出されたパターンに基づく判定は、記憶手段に予め格納されたパターンデータと照合される。照合の結果、利用者が指名手配犯等である場合には、報知手段74を介してその結果が捜査機関や警備会社、及び管理センター等に通知される。
【0022】
さらに、指紋認証センサーにより検出された指紋データに基づく判定は、記憶手段に予め格納された指紋データと照合される。照合の結果、利用者が指名手配犯である場合には、報知手段74によって捜査機関や警備会社、及び管理センター等にその旨が通知される。
【0023】
以上、生体認証監視システムについて実施形態を通じて説明したが、生体認証センサーが設けられる場所は上記の場所に限られず、例えば接触式のセンサーであればトイレのレバーやトイレットホルダ等、利用者が接触する可能性のある位置に設けても良い。また、非接触のセンサーであれば、戸当りやエッジ材、或いは、天井や壁に設けても良い。また、施錠手段としては、スライドラッチ錠に限られず、メス係合部及びオス係合部を有する他の形態に係るラッチ錠や、回転可能なラッチをオス係合部とし、これと係合可能なメス係合部としての受け入れ部を有する打掛錠であっても良い。また、上記実施形態では、施錠対象の一方を開き戸として説明したが、扉の開閉方向はこれに限られず、引き戸であっても良い。
【符号の説明】
【0024】
10 スライドラッチ錠、
20 ハット金具、
30 ラッチ部、
40 生体認証センサー
図1
図2
図3