IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立工機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-作業機 図1
  • 特開-作業機 図2
  • 特開-作業機 図3
  • 特開-作業機 図4
  • 特開-作業機 図5
  • 特開-作業機 図6
  • 特開-作業機 図7
  • 特開-作業機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005154
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B25D 17/00 20060101AFI20240110BHJP
   B25D 16/00 20060101ALI20240110BHJP
   B25D 17/24 20060101ALI20240110BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240110BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B25D17/00
B25D16/00
B25D17/24
B25F5/00 C
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105220
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】脇田 康平
【テーマコード(参考)】
2D058
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058CA05
2D058CB07
2D058DA14
2D058DA45
3C064AA04
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC10
3C064BA14
3C064BB47
3C064BB58
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA27
3C064CA53
3C064CB06
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB24
3C064CB27
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB37
3C064CB43
3C064CB63
3C064CB73
3C064CB79
3C064DA34
(57)【要約】
【課題】作業性を向上する。
【解決手段】ハンマドリル10では、表示部50のレンズ52が、本体ハウジング22に設けられており、レンズ52のレンズ本体部56が、本体ハウジング22の左右の側部に形成された露出部22Dから露出されている。また、上下方向における表示部50のレンズ本体部56の配置位置が、トリガ30と重なる位置に設定されると共に、後側から見て、視認可能に露出している。すなわち、トリガ30の前側に位置するレンズ本体部56が、後側から見て、トリガ30の左右方向外側に視認可能に露出している。これにより、レンズ本体部56から照射される光によって、ハンマドリル10の姿勢状態を確認しつつ、ハンマドリル10によって穿孔加工を施すことができる。したがって、ハンマドリル10の作業性を向上することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
前記駆動部を収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングから第1方向の一方側へ延出され、前記駆動部の駆動力により動作する先端工具と、
前記本体ハウジングに対して第1方向の他方側に設けられ、前記第1方向と直交する第2方向に延びる把持部と、作業者によって操作されて前記駆動部の駆動と停止とを切替可能な操作部と、を有するハンドルハウジングと、
前記本体ハウジングに設けられており、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向として前記本体ハウジングの前記第3方向の外周部から露出され、前記第2方向における配置位置が前記操作部と重なる位置に設定されると共に、前記第1方向の他方側から見て視認可能に露出している表示部と、
を備えた作業機。
【請求項2】
前記第2方向における前記表示部の配置位置が前記先端工具と重なる位置に設定されている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第1方向の他方側から見て、前記表示部が前記ハンドルハウジングに対して前記第3方向の両側に配置されている請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
前記本体ハウジングには、前記駆動部の駆動によって作動して空気流を生成するファンが収容され、
前記本体ハウジングは、前記空気流を前記本体ハウジングの内部へ流入させる吸気口と、前記空気流を前記本体ハウジングから流出させる排気口と、を有しており、
前記表示部が、前記排気口の前記第2方向の一方側に配置されている請求項1に記載の作業機。
【請求項5】
前記本体ハウジングの外周部には、前記表示部と前記排気口との間において、表示保護部が形成されており、前記表示保護部は、前記表示部よりも前記第3方向の外側に位置している請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記表示部は、
前記第3方向に延在され、前記本体ハウジングに収容されると共に、前記本体ハウジングの外部に露出されたレンズ本体部を長手方向両端部に有するレンズと、
前記レンズ本体部に保持された一対の基板と、
一対の前記基板のそれぞれに実装された光源と、
を含んで構成されている請求項1に記載の作業機。
【請求項7】
前記レンズは、
前記第3方向に延在されたレンズ連結部と、
前記レンズ連結部の長手方向両端部に接続され、前記レンズ連結部よりも前記第1方向の一方側へ突出し、前記本体ハウジングに収容されたインナ部材の前記第3方向の両側に配置された前記レンズ本体部と、
を含んで構成されている請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記本体ハウジングには、前記駆動部の駆動力を前記先端工具へ伝達する伝達機構が収容されており、
前記インナ部材は、前記伝達機構が作動することで生じる振動を吸収する動吸振器である請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記本体ハウジングと前記ハンドルハウジングとの間には、前記第2方向に延在され且つ前記第2方向の一方側へ開放された溝状の隙間が形成されており、前記第1方向における前記表示部が、前記隙間と重なる位置に設定されている請求項1に記載の作業機。
【請求項10】
前記ハンドルハウジングは、前記本体ハウジングに前記第1方向に相対移動可能に連結されており、
前記ハンドルハウジングの前記本体ハウジングに対する相対移動時には、前記ハンドルハウジングの一部が前記隙間の内部を移動する請求項9に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の穿孔工具は、前後方向(第1方向)に延在されたモータハウジングと、モータハウジングの後端部から下側(第2方向の一方側)へ延出されたハンドルと、を有している。また、穿孔工具は、傾きセンサを有しており、モータハウジングの上部の外周部には、LED(表示部)が設けられている。そして、傾きセンサからの出力によって、前後方向に対する穿孔工具の傾きを検出し、当該傾きに応じて、LEDの発光色等が変更される。これにより、作業者が穿孔工具の姿勢状態を認識しながら作業することができるため、作業性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-94866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、穿孔工具のような作業機では、作業機の後方側に位置する作業者によって、作業機が種々の姿勢に変更される。このため、作業機の種々の姿勢に対応して、表示部を視認できるようにすることで、作業性を一層向上することができる。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、作業性を向上することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、駆動部と、前記駆動部を収容する本体ハウジングと、前記本体ハウジングから第1方向の一方側へ延出され、前記駆動部の駆動力により動作する先端工具と、前記本体ハウジングに対して第1方向の他方側に設けられ、前記第1方向と直交する第2方向に延びる把持部と、作業者によって操作されて前記駆動部の駆動と停止とを切替可能な操作部と、を有するハンドルハウジングと、前記本体ハウジングに設けられており、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向として前記本体ハウジングの前記第3方向の外周部から露出され、前記第2方向における配置位置が前記操作部と重なる位置に設定されると共に、前記第1方向の他方側から見て視認可能に露出している表示部と、を備えた作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2方向における前記表示部の配置位置が前記先端工具と重なる位置に設定されている作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第1方向の他方側から見て、前記表示部が前記ハンドルハウジングに対して前記第3方向の両側に配置されている作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体ハウジングには、前記駆動部の駆動によって作動して空気流を生成するファンが収容され、前記本体ハウジングは、前記空気流を前記本体ハウジングの内部へ流入させる吸気口と、前記空気流を前記本体ハウジングから流出させる排気口と、を有しており、前記表示部が、前記排気口の前記第2方向の一方側に配置されている作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体ハウジングの外周部には、前記表示部と前記排気口との間において、表示保護部が形成されており、前記表示保護部は、前記表示部よりも前記第3方向の外側に位置している作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記表示部は、前記第3方向に延在され、前記本体ハウジングに収容されると共に、前記本体ハウジングの外部に露出されたレンズ本体部を長手方向両端部に有するレンズと、前記レンズ本体部に保持された一対の基板と、一対の前記基板のそれぞれに実装された光源と、を含んで構成されている作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記レンズは、前記第3方向に延在されたレンズ連結部と、前記レンズ連結部の長手方向両端部に接続され、前記レンズ連結部よりも前記第1方向の一方側へ突出し、前記本体ハウジングに収容されたインナ部材の前記第3方向の両側に配置された前記レンズ本体部と、を含んで構成されている作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体ハウジングには、前記駆動部の駆動力を前記先端工具へ伝達する伝達機構が収容されており、前記インナ部材は、前記伝達機構が作動することで生じる振動を吸収する動吸振器である作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体ハウジングと前記ハンドルハウジングとの間には、前記第2方向に延在され且つ前記第2方向の一方側へ開放された溝状の隙間が形成されており、前記第1方向における前記表示部が、前記隙間と重なる位置に設定されている作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハンドルハウジングは、前記本体ハウジングに前記第1方向に相対移動可能に連結されており、前記ハンドルハウジングの前記本体ハウジングに対する相対移動時には、前記ハンドルハウジングの一部が前記隙間の内部を移動する作業機である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係るハンマドリルを示す右側から見た側面図である。
図2図1に示されるハンマドリルの内部を示す右側から見た断面図である。
図3図1に示されるハンマドリルの上部を示す後側から見た後面図である。
図4図1に示されるハンマドリルの後部を示す上側から見た平面図である。
図5図1に示されるハンマドリルの表示部周辺を示す前側から見た断面図(図1の5-5線断面図)である。
図6図1に示されるハンマドリルの表示部周辺を示す上側から見た断面図(図1の6-6線断面図)である。
図7図1に示されるハンマドリルの表示部における右側のレンズ本体部の周辺を示す後斜め後方から見た斜視図である。
図8図7に示されるハンマドリルの表示部を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る作業機としてのハンマドリル10について説明する。なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、ハンマドリル10の上側、前側、右側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ハンマドリル10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。そして、前後方向が本発明の第1方向に対応し、上下方向が本発明の第2方向に対応し、左右方向が本発明の第3方向に対応する。
【0019】
図1及び図2に示されるように、ハンマドリル10は、被加工材に対して穿孔加工等を行う電動工具として構成されている。ハンマドリル10は、ハウジング20と、駆動部としてのモータ34と、モータ34の駆動力を先端工具Tに伝達する伝達機構40と、を含んで構成されている。また、ハンマドリル10は、ハンマドリル10の姿勢状態を報知するための表示部50を有している。以下、ハンマドリル10の各構成について説明する。
【0020】
(ハウジング20について)
ハウジング20は、ハンマドリル10の外郭を構成している。ハウジング20は、ハウジング20の前部を構成する本体ハウジング22と、ハウジング20の後部を構成するハンドルハウジング24と、を含んで構成されている。本体ハウジング22及びハンドルハウジング24は、それぞれ複数のハウジング部材によって構成されている。
【0021】
本体ハウジング22は、右側から見て略逆L字形状に形成されている。本体ハウジング22の後部における下端部の側壁には、それぞれ複数(本実施の形態では、3箇所)の吸気口22Aが貫通形成されている。吸気口22Aは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されており、3箇所の吸気口22Aが、前後方向に並んで配置されている。また、本体ハウジング22の後端部における上部の側壁には、それぞれ複数(本実施形態では、5箇所)の排気口22Bが貫通形成されている。排気口22Bは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されて、上下方向に並んで配置されている。
【0022】
図1図7に示されるように、本体ハウジング22の後端部における上端部の外周部には、排気口22Bの上側において、後述するハンドルハウジング24の上部前端部を配置するための段差部22Cが形成されている。段差部22Cは、本体ハウジング22の外周部に対して本体ハウジング22の内側へ一段下がった位置に配置されて、本体ハウジング22の左右の側壁及び上壁に形成されている。すなわち、段差部22Cは、後側から見て、下側へ開放された略逆U字形状に形成されている。
【0023】
本体ハウジング22の左右の側壁には、段差部22Cの下端部に対応する位置において、後述する表示部50のレンズ52を露出させるための露出部22Dが左右方向に貫通形成されている。また、露出部22Dは、段差部22Cの前壁に亘って形成されており、段差部22Cの前壁が後方側へ開放されている。また、本体ハウジング22の外周部には、段差部22Cと排気口22Bとの間の位置において、左右一対の表示保護部としてのレンズ保護部22Eが設けられており、レンズ保護部22Eによって、後述するレンズ52を保護するようになっている。レンズ保護部22Eは、前後方向に延在すると共に、後端部が左右方向内側へ屈曲されて、後述するレンズ本体部56の下端部を左右方向外側及び後側から覆っている。また、レンズ保護部22Eの前端部は、上側へ屈曲されている。
【0024】
ハンドルハウジング24は、上下方向に延在されており、ハンドルハウジング24の上端部及び下端部が、前側へ屈曲されて、本体ハウジング22の後端部に連結されている。具体的には、ハンドルハウジング24の上端部における前端部が、上側連結機構26(図2参照)によって本体ハウジング22の上端部に前後方向に相対移動可能に連結されている。また、ハンドルハウジング24の下端部が、下側連結機構28(図2参照)によって、左右方向を軸方向として回転可能に連結されている。ハンドルハウジング24の上端部における前端部は、前側から見て、下側へ開放された略U字形状に形成されて、本体ハウジング22の段差部22C内に配置されると共に、段差部22Cの前面よりも後側に離間している。これにより、ハウジング20には、本体ハウジング22とハンドルハウジング24との間において、溝状の隙間20Aが形成されており、隙間20Aによって、ハンドルハウジング24の前側への移動が許容されている。具体的には、隙間20Aは、上下方向に延在された左右一対の第1隙間20A1と、第1隙間20A1の上端部同士を連結する第2隙間20A2と、を含んで構成されている。また、ハンドルハウジング24の前端部は、露出部22Dよりも上側に配置されて、第1隙間20A1の下端部が、後側へ開放されている。そして、第1隙間20A1によって、後述するレンズ52のレンズ本体部56が上側から視認可能に露出されている。
【0025】
ハンドルハウジング24における上下に延在された部分は、作業者が把持する把持部24Aとして構成されている。把持部24Aの左右方向の寸法は、ハンドルハウジング24の上下端部の幅寸法よりも小さく設定されている。図2に示されるように、把持部24Aの上端部には、操作部としてのトリガ30が設けられている。トリガ30は、ハンドルハウジング24から前側へ突出しており、後側へ引き操作可能に構成されている。把持部24Aには、トリガ30の後側において、スイッチ機構31が設けられている。スイッチ機構31は、トリガ30によって操作されるスイッチ(図示省略)を有している。当該スイッチは、本体ハウジング22の下端部に設けられたコントローラ32に電気的に接続されており、トリガ30の操作状態に応じた出力信号をコントローラ32に出力する。コントローラ32は、本体ハウジング22における左右の吸気口22Aの間に配置されている。ハンドルハウジング24の下端部には、バッテリパック33が装着されており、バッテリパック33から、後述するモータ34及びコントローラ32に電力が供給される。
【0026】
(モータ34について)
モータ34は、3相のブラシレスモータとして構成されており、本体ハウジング22の後部の下端部内に収容されている。具体的には、モータ34は、コントローラ32の上側に配置されて、コントローラ32に電気的に接続されている。モータ34は、上下方向を軸方向とする出力軸34Aを有している。出力軸34Aの下端部が、本体ハウジング22に固定されたモータ軸受35に回転可能に支持されており、出力軸34Aの上端側部分が、後述する伝達機構40におけるインナハウジング41の下端部に保持されたモータ軸受36に回転可能に支持されている。出力軸34Aの上端部には、ピニオンギヤ34Bが形成されている。
【0027】
出力軸34Aの上下方向中間部には、ファン37が一体回転可能に設けられている。ファン37は、全体として、上下方向を厚み方向とする略円盤状に形成されると共に、遠心ファンとして構成されている。そして、ファン37が出力軸34Aと共に回転すると、本体ハウジング22の吸気口22Aから本体ハウジング22内に流入される空気流ARが発生する。そして、空気流ARが、ファン37の下部の中央部からファン37の内部に流入され、流入された空気が、ファン37の径方向外側且つ上側へ流れて、排気口22Bから排気されるように構成されている。これにより、空気流ARによって、コントローラ32及びモータ34が冷却される構成になっている。
【0028】
(伝達機構40について)
伝達機構40は、モータ34の回転力を先端工具Tに伝達して、先端工具Tを駆動する機構部として構成されている。伝達機構40は、インナハウジング41と、中間軸42と、伝達部47と、を含んで構成されて、本体ハウジング22における上部内に収容されると共に、排気口22Bの前側に配置されている。
【0029】
インナハウジング41は、前側へ開放された略有底楕円筒状に形成されている。インナハウジング41は、モータ34の上側において、本体ハウジング22の上部の後端部を前後方向に仕切るように配置されている。インナハウジング41の下端部には、モータ軸受36が保持されており、モータ軸受36に支持されたモータ34の出力軸34Aがインナハウジング41内に配置されている。
【0030】
中間軸42は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されており、中間軸42の前端部及び後端部が、本体ハウジング22に固定された軸受43及び軸受44によって回転可能に支持されている。中間軸42の後端部には、ベベルギヤ45が一体回転可能に設けられており、ベベルギヤ45が、出力軸34Aのピニオンギヤ34Bに噛合されている。これにより、モータ34が駆動して出力軸34Aが回転することで、中間軸42が自身の軸回りに回転する構成になっている。中間軸42には、運動変換部材46が設けられており、運動変換部材46は、中間軸42の回転運動を前後方向の往復運動に変換して、後述する伝達部47に打撃力を付与する構成になっている。
【0031】
伝達部47は、中間軸42の上側において前後方向に延在されている。そして、伝達部47の前端部に、先端工具Tが装着されている。先端工具Tは、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、先端工具Tの後端部が、伝達部47に装着されている。また、伝達部47は、中間軸42に連結されている。これにより、モータ34の回転力が先端工具Tに伝達されて、先端工具Tが自身の軸回りに回転して、被加工材に対する穿孔加工を施す。また、運動変換部材46による打撃力が伝達部47を介して先端工具Tに付与される。
【0032】
インナハウジング41の後側には、インナ部材としての動吸振器48が設けられている。動吸振器48は、前後方向を板厚方向とする支持プレート48Aを有しており、支持プレート48Aの下端部が、インナハウジング41に固定されている。支持プレート48Aの上部には、ウエイト48Bが設けられており、ウエイト48Bは、前後方向を厚み方向とするブロック状に形成されている。そして、伝達機構40の作動時に生じる前後方向の振動を、動吸振器48によって吸収するように構成されている。
【0033】
(表示部50について)
図1図8に示されるように、表示部50は、コントローラ32の制御によって作動して、ハンマドリル10の姿勢状態を報知する報知部として構成されている。詳しくは、表示部50は、光源としてのLED64を有しており、LED64がコントローラ32に電気的に接続されている。また、本体ハウジング22内には、ハンマドリル10の傾きを検出する傾きセンサ(図示省略)が設けられている。傾きセンサは、加速センサ等で構成されており、コントローラ32に電気的に接続されている。そして、コントローラ32が、傾きセンサからの出力信号に基づいてハンマドリル10の姿勢状態を検知し、ハンマドリル10の姿勢状態に応じてLED64を発光制御して、LED64の発光色等が変更されるようになっている。
【0034】
図5図8に示されるように、表示部50は、レンズ52と、左右一対の基板ユニット60と、を含んで構成されている。レンズ52は、光を透過可能な樹脂材によって構成されている。レンズ52は、平面視で、左右方向に延在され且つ前側へ開放された略U字形ブロック状に形成されている。具体的には、レンズ52は、左右方向に延在されたレンズ連結部54と、レンズ連結部54の長手方向両端部から前側へ突出した左右一対のレンズ本体部56と、を含んで構成されている。
【0035】
レンズ連結部54は、前後方向を板厚方向とし且つ左右方向に延在された略長尺板状に形成されている。レンズ連結部54の下端部には、基板ユニット60とコントローラ32とを接続する配線66を配策するための配策リブ54Aが設けられており、配策リブ54Aは、レンズ連結部54から後側へ突出される共に、左右方向に延在されている。配策リブ54Aの左右方向中央部には、押え片54Bが一体に形成されている。押え片54Bは、前後方向を板厚方向とする略矩形板状に形成され、配策リブ54Aの後端部から上側へ延出している。配策リブ54Aの左端部には、配線66を挿通させるための挿通部54Cが形成されている。挿通部54Cは、上下方向を軸方向とし左右方向を長手方向とする略矩形筒状に形成されて、配策リブ54Aから下側へ突出している。挿通部54Cの内部は、上下方向に貫通している。
【0036】
レンズ本体部56は、下側へ開放された略矩形箱状に形成されている。そして、レンズ連結部54の長手方向両端部が、レンズ本体部56の左右方向内側壁の後端側部分に接続されて、レンズ本体部56がレンズ連結部54よりも前側へ突出している。レンズ本体部56の左右方向内側壁の後端には、レンズ連結部54の後側に隣接した位置において、左右方向に貫通した連通溝56A(図6及び図8参照)が形成されている。レンズ本体部56の内部には、左右方向中間部において、後述する基板62を収容保持する保持溝56B(図6及び図8参照)が形成されている。保持溝56Bは、前後方向に延在され。下側へ開放されている。すなわち、保持溝56Bは、レンズ本体部56の前壁、上壁、後壁の内周面に対して一段下がった溝状に形成されて、レンズ本体部56の周方向に沿って延在されている。また、レンズ本体部56の前部の外周部には、後部の外周部よりも若干一段下がった段部56Cが形成されている。
【0037】
そして、レンズ52が、本体ハウジング22のハウジング部材によって左右方向外側から挟まれて、本体ハウジング22に組付けられている。具体的には、レンズ本体部56が、本体ハウジング22の露出部22Dから左右方向外側に突出され、段差部22Cの下端部内に配置されると共に、本体ハウジング22の外部に視認可能に露出している。詳しくは、レンズ本体部56が、左右方向外側、後側、及び上側から視認可能に露出されている。より詳しくは、レンズ本体部56が、後側から見て、ハンドルハウジング24の左右方向外側に配置されて、視認可能に露出されている(図3参照)。また、レンズ本体部56が、上側から見て、隙間20Aの第1隙間20A1と重なって配置されて、第1隙間20A1によって上側から視認可能に露出している(図4参照)。さらに、レンズ本体部56の上下方向における配置位置が、先端工具T及びトリガ30と重なる位置に設定されている。すなわち、後側から見て、レンズ本体部56が、先端工具T及びトリガ30の左右方向外側に位置している(図3参照)。
【0038】
また、レンズ52のハウジング20への組付状態では、レンズ本体部56の前部(段部56Cが形成された部分)が、露出部22Dによって、本体ハウジング22の内部に収容されると共に、本体ハウジング22のレンズ保護部22Eが、レンズ本体部56の下端部を左右方向外側及び後側から覆っている(図6及び図7参照)。すなわち、レンズ保護部22Eが、レンズ本体部56に対して左右方向外側に配置されている。また、レンズ52のハウジング20への組付状態では、レンズ本体部56の下側開口部は、段差部22Cの下面によって閉塞されている。さらに、レンズ52は、動吸振器48の上端部の後側に配置されると共に、レンズ本体部56が動吸振器48の左右方向外側に配置されている(図6参照)。
【0039】
基板ユニット60は、基板62と、一対の光源としてのLED64と、を含んで構成されている。基板62は、左右方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されている。基板62は、レンズ本体部56の保持溝56B内に下側から差し込まれて、レンズ本体部56に保持されている。一対のLED64は、基板62の左右方向外側面における後部に実装されると共に、上下方向に並んで配置されている。そして、基板62から延出された配線66によって、LED64がコントローラ32と電気的に接続されている。具体的には、コントローラ32から延出された配線66がレンズ52の挿通部54Cを下側から挿通する。挿通部54Cを挿通し且つ右側の基板ユニット60に向かう配線66が、配策リブ54Aの上側において押え片54Bとレンズ連結部54との間に配策されると共に、右側のレンズ本体部56の連通溝56A内を挿通する。挿通部54Cを挿通し且つ左側の基板ユニット60に向かう配線66は、左側のレンズ本体部56の連通溝56A内を挿通する。さらに、左右の基板ユニット60を接続する配線66は、左右のレンズ本体部56の連通溝56A内を挿通し、配策リブ54Aの上側において、押え片54Bとレンズ連結部54との間に配策される。これにより、コントローラ32の制御によってLED64が発光すると、発光された光が、レンズ本体部56の上面、側面、及び後面からレンズ本体部56の外側へ照射されて、作業者にハンマドリル10の姿勢状態が報知される。また、コントローラ32は、左右のLED64に対して同一の発光制御を行うようになっている。つまり、左右のLED64が、コントローラ32の制御によって同一色で発光される。
【0040】
(作用効果)
上記のように構成されたハンマドリル10の穿孔加工時には、作業者がハンマドリル10のトリガ30を引き操作することで、モータ34が駆動し、先端工具Tが自身の軸回りに回転する。これにより、被加工材に対して穿孔加工を施すことができる。具体的には、先端工具Tを被加工材側へ押し付けて、被加工材に対して穿孔加工を施す。
【0041】
また、モータ34の駆動時には、モータ34の出力軸34Aと共に、ファン37が回転する。これにより、吸気口22Aからハウジング20内に流入する空気流ARが発生する。空気流ARは、コントローラ32の側面を上側へ通過し、モータ34の内部を上側へ上昇して、排気口22Bからハウジング20の外部へ流出される。
【0042】
また、コントローラ32は、傾きセンサからの出力信号に基づいてハンマドリル10の姿勢状態を検知し、ハンマドリル10の姿勢状態に応じて、LED64を発光させる。これにより、LED64によって発光された光が、レンズ本体部56から照射されて、作業者がハンマドリル10の姿勢を認識しながら、穿孔作業を行うことができる。
【0043】
ここで、表示部50のレンズ52は、本体ハウジング22に設けられており、レンズ52のレンズ本体部56が、本体ハウジング22の左右の側部に形成された露出部22Dから露出されている。また、上下方向における表示部50のレンズ本体部56の配置位置が、トリガ30と重なる位置に設定されると共に、後側から見て、視認可能に露出している。すなわち、トリガ30の前側に位置するレンズ本体部56が、後側から見て、トリガ30の左右方向外側に視認可能に露出している。これにより、レンズ本体部56から照射される光によって、ハンマドリル10の姿勢状態を確認しつつ、ハンマドリル10によって穿孔加工を施すことができる。したがって、ハンマドリル10の作業性を向上することができる。
【0044】
すなわち、上述のように、ハンマドリル10による穿孔加工時には、ハンマドリル10の後側に位置する作業者がハンマドリル10の把持部24Aを把持し、トリガ30を引き操作する。このときには、作業者の視線が、一旦、ハンマドリル10のトリガ30へ向けて動くため、後側から見てトリガ30の左右方向外側に視認可能に露出するレンズ本体部56の表示内容を容易に認識することができる。したがって、ハンマドリル10の作業性を向上することができる。
【0045】
また、上下方向における表示部50(レンズ本体部56)の配置位置が先端工具Tと重なる位置に設定されている。すなわち、トリガ30、表示部50、及び先端工具Tが、前後方向に並んで配置されており、前方側へこの順に並んでいる。このため、例えば、先端工具Tとレンズ本体部56とを交互に視認しながら先端工具Tを被加工材に向けてセットするときの作業者における視線の動きを少なくすることができる。これにより、ハンマドリル10の作業性を一層向上することができる。これにより、ハンマドリル10の作業性を一層向上することができる。
【0046】
また、後側から見て、表示部50のレンズ本体部56がハンドルハウジング24に対して左右方向の両側に配置されている。これにより、例えば、作業者の姿勢等に応じて、作業者の左右のレンズ本体部56の一方を視認することで、ハンマドリル10の姿勢状態を認識することができる。これにより、ハンマドリル10の作業性を効果的に向上することができる。
【0047】
また、表示部50のレンズ本体部56は、本体ハウジング22の排気口22Bの上側に近接して配置されている。これにより、排気口22Bから排気される空気流ARをレンズ本体部56の周囲に流すことができる。よって、コントローラ32及びモータ34を冷却するための空気流ARを活用して、レンズ本体部56に異物が付着することを抑制できる。
【0048】
また、本体ハウジング22の外周部には、表示部50のレンズ本体部56と排気口22Bとの間において、レンズ保護部22Eが形成されており、レンズ保護部22Eは、レンズ本体部56の下端部を左右方向外側且つ後側から覆うと共に、レンズ本体部56よりも左右方向外側に位置している。このため、例えば、ハンマドリル10の左右の側面を地面等に載置した場合でも、レンズ本体部56が地面に接触することを抑制できる。これにより、外部に露出される表示部50の保護性能を向上することができる。
【0049】
また、表示部50は、左右方向に延在されたレンズ52と、レンズ52の長手方向両端部であるレンズ本体部56に保持された基板62と、基板62に実装されたLED64と、を含んで構成されている。これにより、本体ハウジング22の左右方向両側から露出される表示部50を単一のユニット状態にして、本体ハウジング22に組付けることができる。したがって、表示部50を本体ハウジング22へ組付けるときの作業性を向上することができる。
【0050】
また、レンズ52では、左右一対のレンズ本体部56が、左右方向に延在するレンズ連結部54によって連結されており、本体ハウジング22に収容された動吸振器48の左右方向外側に配置されている。すなわち、動吸振器48が左右一対のレンズ本体部56の間に配置されている。これにより、前後方向における本体ハウジング22の体格の小型化に寄与することができる。
【0051】
また、ハンドルハウジング24は、前後方向に相対移動可能に本体ハウジング22に連結されている。さらに、ハウジング20の外周部には、ハンドルハウジング24の本体ハウジング22に対する相対移動を許容するための隙間20Aが形成されており、隙間20Aの第2隙間20A2によって、レンズ52のレンズ本体部56が上側から視認可能に露出されている。これにより、ハンドルハウジング24の本体ハウジング22に対する相対移動を許容するための隙間20Aを活用して、レンズ本体部56を上側から視認可能に露出させることができる。
【0052】
なお、本実施の形態の表示部50は、ハンマドリル10の姿勢状態を報知するための表示部として構成されているが、表示部50の報知対象はこれに限らない。例えば、表示部50を、ハンマドリル10の異常状態を報知する表示部として構成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 ハンマドリル(作業機)
20A 隙間
22 本体ハウジング
22A 吸気口
22B 排気口
22E レンズ保護部(表示保護部)
24 ハンドルハウジング
24A 把持部
30 トリガ(操作部)
34 モータ(駆動部)
37 ファン
40 伝達機構
48 動吸振器(インナ部材)
50 表示部
52 レンズ
54 レンズ連結部
56 レンズ本体部
62 基板
64 LED(光源)
T 先端工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8