(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005155
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25D 17/24 20060101AFI20240110BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B25D17/24
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105221
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】川澄 正祥
(72)【発明者】
【氏名】脇田 康平
【テーマコード(参考)】
2D058
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058CA05
2D058CB07
2D058DA14
2D058DA15
3C064AA04
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC10
3C064BA03
3C064BA19
3C064BB47
3C064BB61
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA27
3C064CA53
3C064CA62
3C064CB06
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB46
3C064CB63
3C064CB73
(57)【要約】
【課題】信頼性を向上する。
【解決手段】ハンマドリル10の上側連結機構50は、ハンドル連結部54と、本体連結部52と、を含んで構成されており、ハンドル連結部54が本体連結部52に前後方向に相対移動可能に連結されている。また、ハンドル連結部54には、金属製のプロテクタプレート56が設けられており、プロテクタプレート56は、本体連結部52の左右方向外側に隣接している。これにより、ハンドルハウジング24が本体ハウジング22に対して前後方向に相対移動するときには、プロテクタプレート56が本体連結部52によってガイドされる。よって、プロテクタプレート56がハンドル連結部54を保護する部材として機能する。これにより、仮にプロテクタプレート56を省略した構成と比べて、ハンドルハウジング24のハンドル連結部54の摩耗を抑制することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
前記駆動部を収容する樹脂製の本体ハウジングと、
前記本体ハウジングから延出され、前記駆動部の駆動力により動作する先端工具と、
作業者が把持する把持部を有する樹脂製のハンドルと、
前記ハンドルに設けられ、前記本体ハウジングに相対移動可能に連結された連結部と、
前記本体ハウジングに設けられ、前記連結部が連結された被連結部と、
前記連結部及び前記被連結部の一方に設けられ、前記ハンドルの前記本体ハウジングに対する相対移動時に前記連結部及び前記被連結部の他方が摺動する金属製のプロテクタと、
を備えた作業機。
【請求項2】
前記連結部及び前記被連結部の一方には、前記プロテクタを係止する係止部が設けられており、
前記連結部及び前記被連結部の他方には、前記係止部と相対移動可能に篏合される篏合部が設けられている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記プロテクタは、弾性変形可能に構成された保持部を有しており、
前記保持部が、前記係止部に弾性変形した状態で圧接して前記係止部に係止されている前請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記係止部は、第1方向に延在された軸状に形成されており、
前記篏合部が、前記係止部を前記第1方向に直交する第2方向に相対移動可能に支持している請求項2又は請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記プロテクタは、前記連結部に設けられ、前記ハンドルは、前記第1方向に分割されたハンドル部材によって構成されており、
前記係止部は、前記ハンドル部材を互いに固定する固定軸として構成されている請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記プロテクタが、前記被連結部に対して前記第1方向の両側に設けられている請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記プロテクタは、一対の規制部を有しており、前記被連結部の一部が前記規制部に当接して、前記第2方向における前記連結部の移動範囲が制限される請求項4に記載の作業機。
【請求項8】
前記係止部は、第1方向に延在された回転軸であり、
前記篏合部が、前記第1方向を軸方向とする筒状に形成されるとい共に、前記回転軸を回転可能に支持しており、
前記プロテクタは、
前記回転軸に取付けられた筒状の本体部と、
前記本体部の一端部から径方向外側へ延出され、前記篏合部と前記第1方向に対向して配置されたフランジと、
を含んで構成されている請求項2に記載の作業機。
【請求項9】
前記篏合部の内部には、前記回転軸の径方向外側において、筒状の弾性体が設けられており、
前記弾性体が、前記回転軸を径方向内側へ付勢している請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記本体ハウジングには、前記駆動部を制御するコントローラが収容され、
前記ハンドルには、前記駆動部に電力を供給する電源部が設けられ、
一対の前記係止部及び前記篏合部が、前記第1方向に離間して設けられており、
前記本体ハウジングには、一対の前記係止部及び前記篏合部の間において、前記電源部と前記コントローラとを接続する配線が挿通される挿通部が設けられている請求項8又は請求項9に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の電動工具(作業機)は、電動工具の外郭を構成するハウジングが、本体ハウジング及びハンドルハウジングを有しており、ハンドルハウジングが本体ハウジングに前後方向に相対移動可能に連結されている。また、ハンドルハウジングと本体ハウジングとの間には、ゴム等の弾性体が設けられている。これにより、穿孔加工中に生じる振動等を弾性体によって吸収することができる。したがって、電動工具の作業性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電動工具のような作業機では、通常、本体ハウジング及びハンドルハウジングが樹脂材によって構成されている。このため、ハンドルハウジングの本体ハウジングに対する相対移動によって、本体ハウジングとハンドルハウジングとの連結部が摩耗する可能性がある。この場合には、連結部の摩耗によって、本体ハウジングとハンドルハウジングとの間にガタが生じ、ハンドルハウジングの本体ハウジングに対する相対移動がスムースに行われない可能性がある。すなわち、電動工具の信頼性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、信頼性を向上することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、駆動部と、前記駆動部を収容する樹脂製の本体ハウジングと、前記本体ハウジングから延出され、前記駆動部の駆動力により動作する先端工具と、作業者が把持する把持部を有する樹脂製のハンドルと、前記ハンドルに設けられ、前記本体ハウジングに相対移動可能に連結された連結部と、前記本体ハウジングに設けられ、前記連結部が連結された被連結部と、前記連結部及び前記被連結部の一方に設けられ、前記ハンドルの前記本体ハウジングに対する相対移動時に前記連結部及び前記被連結部の他方が摺動する金属製のプロテクタと、を備えた作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記連結部及び前記被連結部の一方には、前記プロテクタを係止する係止部が設けられており、前記連結部及び前記被連結部の他方には、前記係止部と相対移動可能に篏合される篏合部が設けられている作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記プロテクタは、弾性変形可能に構成された保持部を有しており、前記保持部が、前記係止部に弾性変形した状態で圧接して前記係止部に係止されている作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記係止部は、第1方向に延在された軸状に形成されており、前記篏合部が、前記係止部を前記第1方向に直交する第2方向に相対移動可能に支持している作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記プロテクタは、前記連結部に設けられ、前記ハンドルは、前記第1方向に分割されたハンドル部材によって構成されており、前記係止部は、前記ハンドル部材を互いに固定する固定軸として構成されている作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記プロテクタが、前記被連結部に対して前記第1方向の両側に設けられている作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記プロテクタは、一対の規制部を有しており、前記被連結部の一部が前記規制部に当接して、前記第2方向における前記連結部の移動範囲が制限される作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記係止部は、第1方向に延在された回転軸であり、前記篏合部が、前記第1方向を軸方向とする筒状に形成されるとい共に、前記回転軸を回転可能に支持しており、前記プロテクタは、前記回転軸に取付けられた筒状の本体部と、前記本体部の一端部から径方向外側へ延出され、前記篏合部と前記第1方向に対向して配置されたフランジと、を含んで構成されている作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記篏合部の内部には、前記回転軸の径方向外側において、筒状の弾性体が設けられており、前記弾性体が、前記回転軸を径方向内側へ付勢している作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体ハウジングには、前記駆動部を制御するコントローラが収容され、前記ハンドルには、前記駆動部に電力を供給する電源部が設けられ、一対の前記係止部及び前記篏合部が、前記第1方向に離間して設けられており、前記本体ハウジングには、一対の前記係止部及び前記篏合部の間において、前記電源部と前記コントローラとを接続する配線が挿通される挿通部が設けられている作業機である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係るハンマドリルを示す右側から見た側面図である。
【
図2】
図1に示されるハンマドリルの内部を示す右側から見た断面図である。
【
図3】
図2に示されるハンマドリルの上側連結機構を示す上側から見た断面図(
図2の3-3線断面図)である。
【
図4】
図3に示される上側連結機構における本体ハウジングから右側のハンドル部材を取外した状態を示す分解斜視図である。
【
図5】
図2に示されるハンマドリルの下側連結機構を示す上側から見た断面図(
図2の5-5線断面図)である。
【
図6】
図2に示されるハンマドリルの下側連結機構を示す後側から見た断面図(
図2の6-6線断面図)である。
【
図7】
図1に示されるハンマドリルのハンドルハウジングが押込位置に移動した状態を示す側面図である。
【
図8】ハンドルハウジングの押込位置における上側連結機構の状態を示す
図3に対応する断面図である。
【
図9】ハンドルハウジングの押込位置における下側連結機構の状態を示す
図5に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る作業機としてのハンマドリル10について説明する。なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、ハンマドリル10の上側、前側、右側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ハンマドリル10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0019】
図1及び
図2に示されるように、ハンマドリル10は、被加工材に対して穿孔加工等を行う電動工具として構成されている。ハンマドリル10は、ハウジング20と、駆動部としてのモータ37と、モータ37の駆動力を先端工具Tに伝達する伝達機構40と、を含んで構成されている。以下、ハンマドリル10の各構成について説明する。
【0020】
(ハウジング20について)
ハウジング20は、ハンマドリル10の外郭を構成している。ハウジング20は、ハウジング20の前部を構成する本体ハウジング22と、ハウジング20の後部を構成するハンドルとしてのハンドルハウジング24と、を含んで構成されている。
【0021】
本体ハウジング22は、複数のハウジング部材によって構成されると共に、右側から見て略逆L字形状に形成されている。ハンドルハウジング24は、上下方向に延在されており、ハンドルハウジング24の上端部及び下端部が、前側へ屈曲されて、本体ハウジング22の後端部に連結されている。具体的には、ハンドルハウジング24の上端部が、上側連結機構50によって本体ハウジング22の上端部に前後方向に相対移動可能に連結されている。また、ハンドルハウジング24の下端部が、下側連結機構60によって、左右方向を軸方向として回転可能に連結されている。ハンドルハウジング24は、初期位置(
図1に示される位置)に配置されており、穿孔加工時に作業者によってハンドルハウジング24が前側へ押込まれることで、ハンドルハウジング24が、初期位置から前側へ変位した押込位置(
図7に示される位置)に移動するようになっている。なお、上側連結機構50及び下側連結機構60については、後述する。
【0022】
ハンドルハウジング24は、左右方向に2分割されたハンドル部材24L、24Rによって構成されており、ハンドル部材24L、24Rを互いに組付けることで、ハンドルハウジング24が形成されている。ハンドルハウジング24における上下に延在された部分は、作業者が把持する把持部24Aとして構成されている。把持部24Aの上端部には、トリガ30が設けられている。トリガ30は、ハンドルハウジング24から前側へ突出しており、後側へ引き操作可能に構成されている。
図2に示されるように、把持部24Aには、トリガ30の後側において、スイッチ機構31が設けられている。スイッチ機構31は、トリガ30によって操作されるスイッチ(図示省略)を有している。当該スイッチは、ハンドルハウジング24内に配策された配線34によって、コントローラ32に電気的に接続されており、トリガ30の操作状態に応じた出力信号をコントローラ32に出力する。コントローラ32は、本体ハウジング22の下端部に収容されている。ハンドルハウジング24の下端部には、電源部としてのバッテリパック33が装着されており、バッテリパック33は、ハンドルハウジング24に設けられたターミナルユニット35に接続されている。ターミナルユニット35は、配線36によって、コントローラ32に電気的に接続されて、バッテリパック33から、後述するモータ37及びコントローラ32に電力が供給される。
【0023】
(モータ37について)
モータ37は、3相のブラシレスモータとして構成されており、本体ハウジング22の後下部内に収容されている。具体的には、モータ37は、コントローラ32の上側に配置されて、コントローラ32に電気的に接続されている。モータ37は、上下方向を軸方向とする出力軸37Aを有している。出力軸37Aの下端部が、本体ハウジング22に固定されたモータ軸受38に回転可能に支持されており、出力軸37Aの上端側部分が、後述する伝達機構40におけるインナハウジング41の下端部に保持されたモータ軸受39に回転可能に支持されている。出力軸37Aの上端部には、ピニオンギヤ37Bが形成されている。
【0024】
(伝達機構40について)
伝達機構40は、モータ37の回転力を先端工具Tに伝達して、先端工具Tを駆動する機構部として構成されている。伝達機構40は、インナハウジング41と、中間軸42と、伝達部47と、を含んで構成されて、本体ハウジング22における上部内に収容されている。
【0025】
インナハウジング41は、前側へ開放された略有底楕円筒状に形成されている。インナハウジング41は、モータ37の上側において、本体ハウジング22の上部の後端部を前後方向に仕切るように配置されている。インナハウジング41の下端部には、モータ軸受39が保持されており、モータ軸受39に支持されたモータ37の出力軸37Aがインナハウジング41内に配置されている。
【0026】
中間軸42は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されており、中間軸42の前端部及び後端部が、本体ハウジング22に固定された軸受43及び軸受44によって回転可能に支持されている。中間軸42の後端部には、ベベルギヤ45が一体回転可能に設けられており、ベベルギヤ45が、出力軸37Aのピニオンギヤ37Bに噛合されている。これにより、モータ37が駆動して出力軸37Aが回転することで、中間軸42が自身の軸回りに回転する構成になっている。中間軸42には、運動変換部材46が設けられており、運動変換部材46は、中間軸42の回転運動を前後方向の往復運動に変換して、後述する伝達部47に打撃力を付与する構成になっている。
【0027】
伝達部47は、中間軸42の上側において前後方向に延在されている。そして、伝達部47の前端部に、先端工具Tが装着されている。先端工具Tは、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、先端工具Tの後端部が、伝達部47に装着されている。また、伝達部47は、中間軸42に連結されている。これにより、モータ37の回転力が先端工具Tに伝達されて、先端工具Tが自身の軸回りに回転して、被加工材に対する穿孔加工を施す。また、運動変換部材46による打撃力が伝達部47を介して先端工具Tに付与される。
【0028】
(上側連結機構50について)
図2~
図4に示されるように、上側連結機構50は、ハンドルハウジング24の上端部と本体ハウジング22の後端部における上端部とを連結する機構部として構成されており、上側連結機構50によって、ハンドルハウジング24の上端部が、前後方向(第2方向)に相対移動可能に本体ハウジング22に連結されている。上側連結機構50は、本体ハウジング22に設けられた被連結部としての本体連結部52と、ハンドルハウジング24に設けられた連結部としてのハンドル連結部54と、左右一対のプロテクタとしてのプロテクタプレート56と、付勢バネ58と、を含んで構成されている。
【0029】
本体連結部52は、上下方向を厚み方向とする略矩形プレート状に形成されて、本体ハウジング22の上端部から後側へ突出している。本体連結部52は、本体連結部52の前部を構成する第1本体連結部52Aと、本体連結部52の後端部を構成する第2本体連結部52Bと、を含んで構成されている。第2本体連結部52Bの幅寸法(左右方向の寸法)が、第1本体連結部52Aの幅寸法よりも小さく設定されており、第2本体連結部52Bの左右の側面が、第1本体連結部52Aの左右の側面に対して左右方向内側に一段下がった位置に配置されている。
【0030】
第1本体連結部52Aの後端部には、篏合部としての篏合孔52Cが左右方向に貫通形成されている。篏合孔52Cは、左右方向から見て、前後方向を長手方向とする略矩形長孔状に形成されている。第1本体連結部52Aの後壁における左右方向両端部は、ストッパ部52Dとして構成されており、ストッパ部52Dの前面は、篏合孔52Cの後面に対して後側に一段下がった位置に配置されている。
【0031】
第2本体連結部52Bの左右の側面には、上下方向中間部において、肉逃げ部52Eがそれぞれ形成されており、肉逃げ部52Eは、前後方向に延在され且つ左右方向外側へ開放された溝状に形成されている。第2本体連結部52Bの左右方向中央部には、後述する付勢バネ58を収容するためのバネ収容部52Fが形成されており、バネ収容部52Fは、後側へ開放された凹状に形成されている。なお、バネ収容部52Fの上端部及び下端部は、切り欠かれており、バネ収容部52Fの内部と外部とが上下方向に連通している。本体連結部52(第1本体連結部52A及び第2本体連結部52B)の左右の側面は、後述するプロテクタプレート56が摺動される被摺動面52Gとして構成されている。
【0032】
ハンドル連結部54は、上下方向を厚み方向とする中空プレート状に形成されると共に、前側へ開放されている。そして、本体ハウジング22の本体連結部52が、前後方向に相対移動可能にハンドル連結部54内に挿入されている。ハンドル連結部54の右壁には、係止部及び固定軸としての右側固定軸54Aが設けられており、右側固定軸54Aは、左右方向(第1方向)を軸方向とする略筒状に形成されて、ハンドル連結部54の右壁から左側へ突出している。ハンドル連結部54の右側部には、右側固定軸54Aに対応する位置おいて、右側へ開放されたザグリ部54Bが形成されており、右側固定軸54Aの内部が、左右方向に貫通して、ザグリ部54Bと連通している。ハンドル連結部54の左壁には、係止部及び固定軸としての左側固定軸54Cが設けられており、右側固定軸54Aは、左右方向を軸方向とする略筒状に形成されて、ハンドル連結部54の左壁から右側へ突出している。右側固定軸54A及び左側固定軸54Cは、同軸上に配置されており、固定ネジSC(広義には、固定部材として把握される要素である)が、右側固定軸54A内に挿入され、左側固定軸54Cの内周面に螺合されて、ハンドルハウジング24のハンドル部材24L、24Rが互いに固定されている。右側固定軸54A及び左側固定軸54Cは、本体ハウジング22の篏合孔52C内に相対移動可能に挿入されると共に、篏合孔52Cの後端部に配置されている。そして、ハンドルハウジング24の初期位置から押付位置への移動時には、右側固定軸54A及び左側固定軸54Cが、篏合孔52C内を前方側へ移動する。
【0033】
ハンドル連結部54の左右の内周面は、左右方向に対して直交する面に沿って形成されている。また、ハンドル連結部54の左右の内周面には、後端部において、左右方向内側へ張り出された張出部54Dがそれぞれ形成されており、左右一対の張出部54Dの間に本体連結部52の第2本体連結部52Bが配置されている。また、ハンドル連結部54における右側固定軸54A及び左側固定軸54Cと、張出部54Dと、の間の部分が、後述するプロテクタプレート56を取付けるための取付部54Eとして構成されており、取付部54Eが、平面視で左右方向内側(左右方向中央側)へ開放された凹状に形成されている。
【0034】
プロテクタプレート56は、金属の板材によって構成されて、プレス加工等によって所定の形状に形成されている。プロテクタプレート56は、左右方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略長尺板状に形成されている。プロテクタプレート56の前端側の部分には、挿通孔56Aが貫通形成されており、挿通孔56Aは、前後方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。挿通孔56Aの後端側縁部には、左右方向内側へ屈曲された保持部及び規制部としての第1規制部56Bが設けられている。第1規制部56Bは、左右方向内側へ向かうに従い前側へ若干傾斜しており、第1規制部56Bの基端部を起点として前後方向に弾性変形可能に構成されている。プロテクタプレート56の後端側部分には、ハンドル連結部54の張出部54Dに対応する位置において、左右方向内側へ略クランク状に屈曲された規制部としての第2規制部56Cが形成されている。第1規制部56Bと第2規制部56Cとの前後距離は、ハンドル連結部54の取付部54Eの前後距離よりも若干長く設定されている。
【0035】
そして、右側固定軸54Aが、右側のプロテクタプレート56の挿通孔56A内に右側から挿入されて、右側のプロテクタプレート56が、ハンドル連結部54の右側内周部に取付けられている。具体的には、プロテクタプレート56の第1規制部56B及び第2規制部56Cが、ハンドル連結部54の右側の取付部54E内に嵌め込まれて、プロテクタプレート56がハンドル連結部54に取付けられている。また、プロテクタプレート56のハンドル連結部54への取付状態では、第1規制部56Bが右側固定軸54Aによって押圧されて、後側へ弾性変形している。すなわち、第1規制部56Bが、右側固定軸54Aを圧接して、右側固定軸54Aに係止されている。
【0036】
また、左側のプロテクタプレート56についても、右側のプロテクタプレート56と同様に、ハンドル連結部54の左側内周部に取付けられている。つまり、左側のプロテクタプレート56の第1規制部56B及び第2規制部56Cが、ハンドル連結部54の左側の取付部54E内に嵌め込まれて、プロテクタプレート56がハンドル連結部54に取付けられている。
【0037】
左右のプロテクタプレート56は、上述のようにハンドル連結部54の左右の内周部に沿って配置されると共に、本体連結部52の被摺動面52Gに対して左右方向外側に所定の隙間を空けて隣接して配置されている。これにより、ハンドルハウジング24が、初期位置と押込位置との間を移動するときには、プロテクタプレート56の左右方向内側面が、本体連結部52の被摺動面52Gを摺動するようになっている。換言すると、本体連結部52の被摺動面52Gが、相対的にプロテクタプレート56の左右方向内側面を摺動するともいえる。すなわち、ハンドルハウジング24の前後方向の移動時には、本体連結部52によってプロテクタプレート56を含むハンドル連結部54がガイドされる。
【0038】
ハンドルハウジング24の初期位置では、第1規制部56Bが本体連結部52におけるストッパ部52Dの前側に隣接して配置されて、ハンドルハウジング24の後側への移動が制限されている。一方、ハンドルハウジング24の押込位置では、プロテクタプレート56の第2規制部56Cが、ストッパ部52Dに後側から当接してハンドルハウジング24の前側への移動が制限される。すなわち、第1規制部56B及び第2規制部56Cは、ハンドルハウジング24の前後方向の移動範囲を決定する部材としても構成されている。換言すると、ストッパ部52Dが、第1規制部56Bと第2規制部56Cとの間を相対移動し、初期位置及び押込位置において、第1規制部56B又は第2規制部56Cに当接するようになっている。
【0039】
付勢バネ58は、前後方向に延在された圧縮コイルスプリングとして構成されて、本体ハウジング22における本体連結部52のバネ収容部52Fに収容されている。付勢バネ58の前端部は、第1本体連結部52Aの後面に係止され、付勢バネ58の後端部は、ハンドル連結部54の後面に係止されて、付勢バネ58が、ハンドルハウジング24を後側へ付勢している。これにより、付勢バネ58の付勢力によって、ハンドルハウジング24が初期位置に保持されている。
【0040】
(下側連結機構60について)
図2、
図5、及び
図6に示されるように、下側連結機構60は、ハンドルハウジング24の下端部と本体ハウジング22とを連結する機構部として構成されており、下側連結機構60によって、ハンドルハウジング24の下端部が、左右方向を軸方向として本体ハウジング22に相対回転可能に連結されている。下側連結機構60は、ハンマドリル10の後端部の左右両側部にそれぞれ設けられており、左右の下側連結機構60は、ハンマドリル10の左右方向中央部に対して左右対称に構成されている。このため、以下の説明では、右側の下側連結機構60の構成について説明して、左側の下側連結機構60の構成の説明については適宜省略する。
【0041】
下側連結機構60は、本体ハウジング22に設けられた被連結部としての支持筒部62と、ハンドルハウジング24に設けられた連結部としてのヒンジ部64と、プロテクタとしてのスリーブ66と、弾性体としてのダンパ68と、を含んで構成されている。
【0042】
本体ハウジング22の下部の後端部には、支持筒部62を設けるためのベース部22Aが設けられており、ベース部22Aは、後側へ隆起している。支持筒部62は、右側へ開放された略段付き有底円筒状に形成されて、ベース部22Aの側壁に一体に形成されると共に、ベース部22Aから後側へ突出している。具体的には、支持筒部62は、支持筒部62の底部側を構成する小径部62Aと、支持筒部62の開口側を構成する大径部62Bと、を含んで構成されている。
【0043】
支持筒部62は、ベース部22Aの下側の角部よりも若干上側に配置されている。ベース部22A及び左右一対の支持筒部62は、ハンドルハウジング24の下端部に前側から挿入されて、ハンドルハウジング24の左右の側壁の間に配置されている。ベース部22Aの後壁には、左右方向に延在された挿通部としてのスリット22Bが前後方向に貫通形成されている。ベース部22Aの内部には、仕切壁22Cが設けられており、仕切壁22Cがスリット22Bの上側縁部から前側へ延出されている。そして、配線34が、スリット22B内を挿通して、コントローラ32とスイッチ機構31とを接続し、配線36が、スリット22B内を挿通して、コントローラ32とターミナルユニット35とを接続している。また、支持筒部62の開口縁部は、被摺動面62Cとして構成されている。
【0044】
ヒンジ部64は、ハンドルハウジング24の側壁の内周面に設けられると共に、支持筒部62の右側(左右方向外側)に近接配置されている。ヒンジ部64は、左右方向を厚み方向とする略円形ブロック状に形成されて、ハンドルハウジング24の側壁から左側へ突出している。ヒンジ部64の左面は、左右方向に対して直交する面に沿って形成されている。ヒンジ部64の直径寸法は、支持筒部62の直径寸法と比べて大きく設定されており、ヒンジ部64と支持筒部62とが同軸上に配置されている。
【0045】
ヒンジ部64の中央部には、係止部及び回転軸としてのヒンジ軸64Aが一体に形成されており、ヒンジ軸64Aは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ヒンジ部64から左側へ突出している。そして、ヒンジ軸64Aが、支持筒部62の内部に配置されて、支持筒部62に回転可能に支持されている。具体的には、ヒンジ軸64Aの先端部が、小径部62Aの径方向内側に配置されて、回転可能に支持されている。
【0046】
スリーブ66は、金属製とされると共に、全体として左右方向を軸方向とする円筒状に形成されている。具体的には、スリーブ66は、左右方向を軸方向とする略円筒状の本体部としてのスリーブ本体66Aと、スリーブ本体66Aの右端部から径方向外側へ張り出された略円環板状のフランジ66Bと、を含んで構成されている。フランジ66Bの直径は、ヒンジ部64の直径と略一致している。そして、スリーブ本体66A内にヒンジ軸64Aが右側から嵌入されて、スリーブ66がハンドルハウジング24に取付けられている。すなわち、スリーブ本体66Aが、ヒンジ軸64Aに係止されている。スリーブ本体66Aの前端部は、小径部62Aの径方向内側に所定の隙間を空けて配置され、小径部62Aに回転可能に支持されている。
【0047】
フランジ66Bは、ヒンジ部64の左側に隣接配置されて、ヒンジ部64の略全体を左側から覆っている。これにより、スリーブ66がヒンジ部64と支持筒部62との間に配置されており、ヒンジ部64が支持筒部62に対して相対回転するときには、スリーブ66が支持筒部62を摺動するようになっている。具体的には、フランジ66Bが、支持筒部62の被摺動面62C上を摺動すると共に、スリーブ本体66Aが支持筒部62の小径部62Aを摺動する。換言すると、ハンドルハウジング24が本体ハウジング22に対して相対回転するときには、支持筒部62がスリーブ66を相対的に摺動するといえる。
【0048】
ダンパ68は、ゴム等の弾性材によって構成されると共に、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。ダンパ68は、支持筒部62の大径部62B内に収容されると共に、スリーブ66及び大径部62Bによって径方向に圧縮変形している。これにより、スリーブ66(ヒンジ軸64A)がダンパ68によって径方向内側へ付勢されて、支持筒部62の中心部に保持されている。また、弾性変形したダンパ68によって、ヒンジ軸64Aが支持されているため、ハンマドリル10の作業機に生じる振動をダンパ68によって吸収するようになっている。
【0049】
(作用効果)
上記のように構成されたハンマドリル10の初期状態では、ハンドルハウジング24が初期位置に配置されている。そして、ハンマドリル10の穿孔加工時には、作業者がハンドルハウジング24の把持部24Aを把持して先端工具Tを被加工材の後側に配置する。そして、ハンドルハウジング24を前側へ押して、先端工具Tを被加工材に押し付ける。このときには、上側連結機構50及び下側連結機構60が作動して、ハンドルハウジング24が、初期位置から前側の押付位置へ移動する。詳しくは、上側連結機構50では、ハンドルハウジング24のハンドル連結部54が付勢バネ58の付勢力に抗して本体ハウジング22の本体連結部52に対して前側に相対移動する。さらに、ハンドルハウジング24の押込位置では、プロテクタプレート56の第2規制部56Cが、ストッパ部52Dに後側から当接してハンドルハウジング24の前側への移動が制限される(
図8参照)。一方、下側連結機構60では、ハンドルハウジング24のスリーブ66を含むヒンジ軸64Aが、本体ハウジング22の支持筒部62に対して自身の軸回りに相対回転する。さらに、このときには、ダンパ68がスリーブ66によって前方側へ押付けられ、スリーブ66を含むヒンジ軸64Aが、支持筒部62に対して前側へ変位して、スリーブ本体66Aが支持筒部62の小径部62Aに当接する(
図9参照)。
【0050】
そして、ハンマドリル10のトリガ30を引き操作することで、モータ37が駆動し、先端工具Tが自身の軸回りに回転する。これにより、被加工材に対して穿孔加工が施される。被加工材に対する穿孔加工終了後は、ハンドルハウジング24に対する前側への押圧を解除することで、付勢バネ58の付勢力によってハンドルハウジング24が初期位置に復帰する。
【0051】
ここで、ハンドルハウジング24の上端部と本体ハウジング22とを連結する上側連結機構50は、ハンドルハウジング24に設けられたハンドル連結部54と、本体ハウジング22に設けられた本体連結部52と、を含んで構成されており、ハンドル連結部54が本体連結部52に前後方向に相対移動可能に連結されている。また、ハンドル連結部54には、金属製のプロテクタプレート56が設けられており、プロテクタプレート56は、本体連結部52の左右方向外側に隣接している。これにより、ハンドルハウジング24が本体ハウジング22に対して前後方向に相対移動するときには、プロテクタプレート56が本体連結部52によってガイドされる。すなわち、プロテクタプレート56が本体連結部52の被摺動面52G上を摺動する。換言すると、本体連結部52の被摺動面52Gが、プロテクタプレート56の左右方向内側面を摺動する。よって、プロテクタプレート56がハンドル連結部54を保護する部材として機能する。これにより、仮にプロテクタプレート56を省略した構成と比べて、ハンドルハウジング24のハンドル連結部54の摩耗を抑制することができる。その結果、左右方向における本体ハウジング22に対するハンドルハウジング24のガタつきを抑制することができる。以上により、ハンマドリル10の信頼性を向上することができる。
【0052】
また、上側連結機構50では、プロテクタプレート56の第1規制部56Bが右側固定軸54A(左側固定軸54C)に係止されて、プロテクタプレート56がハンドルハウジング24に取付けられている。さらに、右側固定軸54A及び左側固定軸54Cは、本体ハウジング22の本体連結部52の篏合孔52C内に挿入されて、篏合孔52Cに前後方向に相対移動可能に支持されている。これにより、本体連結部52と篏合される右側固定軸54A及び左側固定軸54Cを活用して、プロテクタプレート56をハンドルハウジング24に取付けることができる。
【0053】
また、上側連結機構50では、プロテクタプレート56の第1規制部56Bは、右側固定軸54A(左側固定軸54C)に弾性変形した状態で右側固定軸54A(左側固定軸54C)に係止されている。詳しくは、プロテクタプレート56の第1規制部56B及び第2規制部56Cが、ハンドル連結部54の取付部54E内に嵌め込まれて、第1規制部56Bが、右側固定軸54A(左側固定軸54C)によって後側へ押圧されて、右側固定軸54A(左側固定軸54C)に圧接している。これにより、プロテクタプレート56を左右方向内側から取付部54Eに差し込むことで、プロテクタプレート56をハンドル連結部54に取付けることができる。したがって、プロテクタプレート56の組付性を向上することができる。
【0054】
また、右側固定軸54A及び左側固定軸54Cが、ハンドルハウジング24におけるハンドル部材24L、24R同士を固定するための軸部として構成されている。したがって、ハンドル部材24L、24R同士を固定するための右側固定軸54A及び左側固定軸54Cを活用して、プロテクタプレート56をハンドルハウジング24に取付けることができる。
【0055】
また、プロテクタプレート56は、本体連結部52の左右方向外側にそれぞれ設けられている。これにより、左右方向におけるハンドルハウジング24と本体ハウジング22とのガタつきを効果的に抑制することができる。
【0056】
また、プロテクタプレート56は、前後方向に離間して配置された、第1規制部56B及び第2規制部56Cを有しており、本体連結部52のストッパ部52Dが第1規制部56B及び第2規制部56Cの間に配置されている。そして、ストッパ部52Dが第1規制部56B又は第2規制部56Cに当接することで、ハンドルハウジング24の後側又は前側への移動が制限される。すなわち、第1規制部56B及び第2規制部56Cによって、ハンドルハウジング24の前後方向の移動範囲が決定される。これにより、比較的摩耗の少ない金属によって構成された第1規制部56B及び第2規制部56Cによって、ハンドルハウジング24の移動範囲を決定することができる。その結果、ハンドルハウジング24の初期位置及び押込位置が変化することを抑制できる。したがって、ハンマドリル10の信頼性を効果的に向上することができる。
【0057】
さらに、ハンドルハウジング24の下端部と本体ハウジング22とを連結する下側連結機構60は、ハンドルハウジング24に設けられたヒンジ部64と、本体ハウジング22に設けられた支持筒部62と、を含んで構成されており、支持筒部62がヒンジ部64のヒンジ軸64Aを回転可能に支持している。また、ヒンジ部64には、金属製のスリーブ66が設けられており、スリーブ66のフランジ66Bが、支持筒部62の左右方向外側に隣接して配置されている。これにより、ハンドルハウジング24が本体ハウジング22に対して相対回転するときには、スリーブ66のフランジ66Bが支持筒部62の被摺動面62C上を摺動する。換言すると、支持筒部62の被摺動面62Cが、スリーブ66のフランジ66Bの左右方向内側面を摺動する。よって、スリーブ66がハンドルハウジング24を保護する部材として機能する。これにより、仮にスリーブ66を省略した構成と比べて、ハンドルハウジング24のヒンジ部64の摩耗を抑制することができる。その結果、左右方向における本体ハウジング22に対するハンドルハウジング24のガタつきを抑制することができる。したがって、ハンマドリル10の信頼性を向上することができる。
【0058】
また、支持筒部62の大径部62Bには、ダンパ68が収容されており、ダンパ68が、スリーブ本体66Aを径方向内側へ付勢している。このため、ダンパ68によってスリーブ66を支持筒部62の中央側に保持することができる。また、スリーブ66は金属製のため、スリーブ66を樹脂製とする場合と比べて、スリーブ66の摩擦係数を低くすることができる。したがって、ダンパ68の摩耗を抑制することができる。したがって、ハンマドリル10の信頼性を一層向上することができる。
【0059】
また、本体ハウジング22におけるベース部22Aの後壁には、左右一対の支持筒部62の間において、左右方向に延在されたスリット22Bが前後方向に貫通形成されており、配線34が、スリット22B内を挿通して、コントローラ32とスイッチ機構31とを接続し、配線36が、スリット22B内を挿通して、コントローラ32とターミナルユニット35とを接続している。すなわち、本体ハウジング22とハンドルハウジング24とを跨る配線34及び配線36を、ハンドルハウジング24の回転中心となるヒンジ軸64Aの近傍に配置することができる。換言すると、ハンドルハウジング24が本体ハウジング22に対して相対移動するときに、本体ハウジング22に対する変位量の少ない部位において、配線34及び配線36を配策することができる。その結果、ハンドルハウジング24の本体ハウジング22に対する相対移動時に、配線34及び配線36が繰り返し屈曲されることを抑制できる。したがって、ハンマドリル10に対する信頼性を効果的に向上することができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、プロテクタプレート56及びスリーブ66が、ハンドルハウジング24に設けられているが、プロテクタプレート56及びスリーブ66を本体ハウジング22に設けるように構成してもよい。例えば、上側連結機構50では、本体連結部52の左右の側部にプロテクタプレート56を取付けて、ハンドル連結部54の左右の内周部がプロテクタプレート56を摺動するよう構成してもよい。また、例えば、下側連結機構60では、ヒンジ部64を本体ハウジング22に設け、支持筒部62をハンドルハウジング24に設けて、スリーブ66を本体ハウジング22に設けるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 ハンマドリル(作業機)
22 本体ハウジング
22B スリット(挿通部)
24 ハンドルハウジング(ハンドル)
24A 把持部
24L ハンドル部材
24R ハンドル部材
32 コントローラ
33 バッテリパック(電源部)
37 モータ(駆動部)
52 本体連結部(被連結部)
52C 篏合孔(篏合部)
54 ハンドル連結部(連結部)
54A 右側固定軸(係止部及び固定軸)
54C 左側固定軸(係止部及び固定軸)
56 (プロテクタ)
56B 第1規制部(保持部及び規制部)
56C 第2規制部(規制部)
64 ヒンジ部(連結部)
64A ヒンジ軸(係止部及び回転軸)
66 スリーブ(プロテクタ)
66A スリーブ本体(本体部)
68 ダンパ(弾性体)
T 先端工具