(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051554
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】基地局、端末装置、プログラム、通信方法及びデータ生成方法
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20240404BHJP
【FI】
H04W16/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157779
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大詩
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067KK02
5K067KK03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】学習データの生成が可能な状態にない端末装置から機械学習用の学習データを収集することができる基地局、端末装置、プログラム、通信方法及びデータ生成方法を提供すること。
【解決手段】基地局及びユーザ装置を含む通信システムにおいて、基地局は、端末が学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報(開始指示)をユーザ装置に送信しST11、ユーザ装置が学習データを生成するために用いる信号(ビームスイープ)を端末装置に送信しST12、ユーザ装置から送信される学習データを受信しST13、受信した学習データを用いて機械学習を行うST14。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を端末装置に送信し、前記端末装置が学習データを生成するために用いる信号を前記端末装置に送信し、前記端末装置から送信される前記学習データを受信する、基地局通信部を備える基地局。
【請求項2】
前記学習データは、前記基地局と前記端末装置の通信に用いるビームの方向を決定するためのAIの機械学習に用いるための学習データである、請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記学習データを用いて機械学習を行った学習済みAIを用いて前記端末装置との通信方法を決定する決定部をさらに備える、請求項1に記載の基地局。
【請求項4】
前記基地局通信部は、前記情報を含むSIB又は前記情報を含むページングDCIを送信する、請求項1に記載の基地局。
【請求項5】
学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を基地局から受信し、前記基地局から前記学習データを生成するために用いる信号を受信し、前記学習データを送信する、端末通信部と、
前記情報を受信した場合に端末装置を前記学習データの生成が可能な状態に遷移させる遷移部と、
前記信号を受信した場合、前記信号を用いて前記学習データを生成する生成部と、を備える前記端末装置。
【請求項6】
通信装置を備えた基地局が備えるプロセッサーを、
学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を端末装置に送信し、前記端末装置が学習データを生成するために用いる信号を前記端末装置に送信し、前記端末装置から送信される前記学習データを受信するように前記通信装置を制御する基地局通信制御部として機能させるプログラム。
【請求項7】
通信装置を備えた端末装置が備えるプロセッサーを、
学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を基地局から受信し、前記基地局から前記学習データを生成するために用いる信号を受信し、前記学習データを送信するように前記通信装置を制御する端末通信制御部と、
前記情報を受信した場合に前記端末装置を前記学習データの生成が可能な状態に遷移させる遷移部と、
前記信号を受信した場合、前記信号を用いて前記学習データを生成する生成部と、して機能させるプログラム。
【請求項8】
学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を基地局から端末装置に送信し、前記端末装置が学習データを生成するために用いる信号を前記基地局から前記端末装置に送信し、前記端末装置から送信される前記学習データを前記基地局が受信する、通信方法。
【請求項9】
学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を基地局から受信し、
前記情報を受信した場合に端末装置を学習データの生成が可能な状態に遷移させ、
前記基地局から学習データを生成するために用いる信号を受信し、
前記信号を受信した場合、前記信号を用いて学習データを生成し、
前記学習データを送信する、データ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、端末装置、プログラム、通信方法及びデータ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信システムでは、アイドル(Idle)状態又は非アクティブ(Inactive)状態などのアクティブ(Active)状態でない端末装置(UE(user equipment))からは、機械学習に用いるデータ(以下「学習データ」という。)の収集ができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TR 38.802, 2017年9月 [2022年9月27日検索] インターネット <URL:https://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/38_series/38.802/38802-e20.zip>
【非特許文献2】R1-2203143(#109e Huawei寄書), 2022年5月9~20日 [2022年9月27日検索] インターネット <URL:https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_109-e/Docs/R1-2203143.zip>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、学習データの生成が可能な状態にない端末装置から機械学習用の学習データを収集することができる基地局、端末装置、プログラム、通信方法及びデータ生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の基地局は、基地局通信部を備える。基地局通信部は、学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を端末装置に送信する。基地局通信部は、前記端末装置が学習データを生成するために用いる信号を前記端末装置に送信する。基地局通信部は、前記端末装置から送信される前記学習データを受信する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、学習データの生成が可能な状態にない端末装置から機械学習用の学習データを収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る通信システム及び当該通信システムに含まれる構成要素の要部構成の一例を示すブロック図。
【
図2】
図1中の基地局のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
【
図3】
図1中の基地局のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図1中の基地局のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】
図1中のユーザー装置のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】
図1中のユーザー装置のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】実施形態に係る通信システムの情報の流れの一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る通信システムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。また、各図面及び本明細書中において、同一の符号は同様の要素を示す。
図1は、実施形態に係る通信システム1及び通信システム1に含まれる構成要素の要部構成の一例を示すブロック図である。通信システム1は、例えばユーザーに対して通信サービスを提供するシステムである。通信システム1は、一例として、基地局100及びユーザー装置200を含む。通信システム1は、典型的には複数の基地局100及びユーザー装置200を含む。ただし、以下の説明では、1基の基地局100と1台のユーザー装置200に着目して説明を行う。
【0009】
基地局100は、通信範囲内のユーザー装置200と通信する。これにより、通信システム1は、ユーザーに通信サービスを提供する。基地局100は、一例として、プロセッサー101、ROM(read-only memory)102、RAM(random-access memory)103、補助記憶装置104、無線I/F(interface)105及びネットワークI/F(interface)106を含む。そして、バス107などが、これら各部を接続する。
【0010】
プロセッサー101は、基地局100の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー101は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)などである。あるいは、プロセッサー101は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー101は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー101は、ROM102又は補助記憶装置104などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、基地局100の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー101は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー101の回路内に組み込まれていても良い。
【0011】
ROM102及びRAM103は、プロセッサー101を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ROM102は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM102は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM102は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
RAM103は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM103は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM103は、典型的には揮発性メモリである。
【0012】
補助記憶装置104は、プロセッサー101を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置104は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置104は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置104は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー101での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0013】
無線I/F105は、無線通信を行うためのインターフェースである。無線I/F105は、例えば、無線通信用のアンテナなどを備える。基地局100は、無線I/F205を用いて通信範囲内のユーザー装置200などと通信する。
なお、プロセッサー101は、無線I/F105と協働して、基地局通信部の一例として機能する。また、無線I/F105は、通信装置の一例である。また、無線I/F105を制御するプロセッサー101は、通信装置を制御する基地局通信制御部の一例として機能する。
【0014】
ネットワークI/F106は、基地局100がネットワークNWなどを介して通信するためのインターフェースである。ユーザー装置200は、基地局100を介してネットワークNWに接続する。
ネットワークNWは、典型的にはインターネットを含む通信網である。ネットワークNWは、典型的にはWAN(wide area network)を含む通信網である。また、ネットワークNWは、無線回線でも良いし有線回線でも良く、無線回線と有線回線とが混在していても良い。
【0015】
バス107は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、基地局100の各部で授受される信号を伝送する。
【0016】
ユーザー装置200は、例えば、基地局100と通信可能な装置である。ユーザー装置200は、例えば、通信サービスを利用するユーザーが使用する装置である。ユーザー装置200は、例えば、スマートホン、タブレット端末、ノートPCなどである。ユーザー装置200は、一例として、プロセッサー201、ROM202、RAM203、補助記憶装置204、無線I/F205及びタッチパネル206を含む。そして、バス207などが、これら各部を接続する。
なお、ユーザー装置200は、端末装置の一例である。
【0017】
プロセッサー201は、ユーザー装置200の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー201は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサー201は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー201は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー201は、ROM202又は補助記憶装置204などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、ユーザー装置200の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー201は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー201の回路内に組み込まれていても良い。
【0018】
ROM202及びRAM203は、プロセッサー201を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ROM202は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM202は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM202は、プロセッサー201が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
RAM203は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM203は、プロセッサー201が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM203は、典型的には揮発性メモリである。
【0019】
補助記憶装置204は、プロセッサー201を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置204は、例えばEEPROM、HDD又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置204は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置204は、プロセッサー201が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー201での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0020】
無線I/F205は、無線通信を行うためのインターフェースである。無線I/F205は、例えば、無線通信用のアンテナなどを備える。ユーザー装置200は、無線I/F205を用いて基地局100などと通信する。
なお、プロセッサー201は、無線I/F205と協働して、端末通信部の一例として機能する。また、無線I/F205は、通信装置の一例である。また、無線I/F205を制御するプロセッサー201は、通信装置を制御する端末通信制御部の一例として機能する。
【0021】
タッチパネル206は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどのディスプレイとタッチ入力によるポインティングデバイスとが積層しているものである。タッチパネル206が備えるディスプレイは、ユーザー装置200の操作者などに各種情報を通知するための画面を表示する表示デバイスとして機能する。また、タッチパネル206は、当該操作者によるタッチ操作を受け付ける入力デバイスとして機能する。なお、表示デバイス及び入力デバイスは、タッチパネルに限らない。
【0022】
バス207は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、ユーザー装置200の各部で授受される信号を伝送する。
【0023】
以下、実施形態に係る通信システム1の動作を
図2~
図7などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図2~
図4は、基地局100のプロセッサー101による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー101は、例えば、ROM102又は補助記憶装置104などに記憶されたプログラムに基づいて
図2~
図4の処理を実行する。
図5及び
図6は、ユーザー装置200のプロセッサー201による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー201は、例えば、ROM202又は補助記憶装置204などに記憶されたプログラムに基づいて
図5及び
図6の処理を実行する。
図7は、通信システム1の情報の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7は、基地局100が
図2に示す処理に続いて
図4に示す処理を実行し、ユーザー装置200が
図5に示す処理に続いて
図6に示す処理を実行した場合を示すシーケンス図である。なお、
図7は、通信システム1における情報の流れを網羅するものではなく、図示しない情報の流れが存在しても良い。
【0024】
基地局100のプロセッサー101は、アイドル状態及び非アクティブ状態のユーザー装置200から学習データを収集する場合、
図2に示す処理を実行する。また、プロセッサー101は、アクティブ状態のユーザー装置200から学習データを収集する場合、
図3に示す処理を実行する。なお、アクティブ状態は、接続済み(Conneted)状態ともいう。
【0025】
アイドル状態のユーザー装置200は、学習データの生成ができない。アイドル状態は、例えば、一部のベアラが確立されている状態である。
【0026】
非アクティブ状態のユーザー装置200は、学習データの生成ができない。非アクティブ状態は、例えば、ユーザー装置200がRAN(radio access network)ネットワークから切り離されている状態である。ただし、コアネットワークは、非アクティブ状態のユーザー装置200のセッション情報を保持している。非アクティブ状態からアクティブ状態への遷移は、アイドル状態からアクティブ状態への遷移と比べて、シグナリング手順が少ない。
【0027】
アクティブ状態のユーザー装置200は、学習データの生成が可能である。アクティブ状態は、例えば、全てのベアラが確立されている状態である。
【0028】
図2のステップST11において基地局100のプロセッサー101は、開始指示情報を生成する。開始指示情報は、例えば、学習データの生成が可能な状態に遷移するようにユーザー装置200に指示する情報である。学習データの生成が可能な状態とは、例えば、アクティブ状態である。プロセッサー101は、開始指示情報を生成した後、当該開始指示情報をユーザー装置200に送信するように無線I/F105に対して指示する。この送信の指示を受けて無線I/F105は、当該開始指示情報をユーザー装置200に送信する。なお、開始指示情報の送信には、例えば、SIB(system information block)又はページングDCI(downlink control information)を用いる。すなわち、SIB又はページングDCIが開始指示情報を含む。送信された当該開始指示情報は、ユーザー装置200の無線I/F205によって受信される。
【0029】
プロセッサー101は、無線I/F105と協働して、ステップST11の処理を行うことで、学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を端末装置に送信する基地局通信部の一例として機能する。
【0030】
一方、ユーザー装置200のプロセッサー201は、例えば、ユーザー装置200の起動などにともなって
図5の処理を開始している。
図5のステップST31においてプロセッサー201は、ユーザー装置200がアクティブ状態であるか否かを判定する。プロセッサー201は、ユーザー装置200がアクティブ状態でないならば、すなわちアイドル状態又は非アクティブ状態であるならば、ステップST31においてNoと判定してステップST32へと進む。
【0031】
ステップST32においてプロセッサー201は、無線I/F205によって開始指示情報が受信されるのを待ち受けている。プロセッサー201は、開始指示情報が受信されたならば、ステップST32においてYesと判定してステップST33へと進む。なお、
図7では、開始指示情報の送受信を、ステップS1として示している。
【0032】
プロセッサー201は、無線I/F205と協働して、開始指示情報を受信することで学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を基地局から受信する端末通信部の一例として機能する。
【0033】
図5のステップST33においてプロセッサー201は、ユーザー装置200をアイドル状態又は非アクティブ状態からアクティブ状態にする処理を行う。
【0034】
プロセッサー201は、ステップST32及びステップST33の処理を行うことで、学習データの生成が可能な状態に遷移するように指示する情報を受信した場合に端末装置を学習データの生成が可能な状態に遷移させる遷移部の一例として機能する。
【0035】
ステップST34においてプロセッサー201は、無線I/F105によって、ビームスイープ用のビームが受信されたか否かを判定する。プロセッサー201は、ビームが受信されないならば、ステップST34においてNoと判定してステップST35へと進む。なお、
図7では、ビームの送受信を、ステップS2として示している。
【0036】
ビームスイープ用のビームは、学習データを生成するために用いる信号の一例である。
プロセッサー201は、無線I/F205と協働して、ビームスイープ用のビームを受信することで、基地局から学習データを生成するために用いる信号を受信する端末通信部の一例として機能する。
【0037】
ステップST35においてプロセッサー201は、ユーザー装置200がアクティブ状態であるか否かを判定する。プロセッサー201は、ユーザー装置200がアクティブ状態でないならば、ステップST35においてNoと判定してステップST31へと戻る。対して、プロセッサー201は、ユーザー装置200がアクティブ状態であるならば、ステップST35においてYesと判定してステップST34へと戻る。かくして、プロセッサー201は、ビームが受信されるか、ユーザー装置200がアクティブ状態でなくなるまでステップST34及びステップST35を繰り返す待受状態となる。
【0038】
一方、
図2のステップST12において基地局100のプロセッサー101は、フルビームスイープを実行する。ビームスイープは、複数の異なる方向にビームを送信する処理である。なお、ビームを送信する方向には、方向ごとに方向ID(identifier)が定められている。方向IDは、方向ごとにユニークに付与された識別情報である。方向IDは、SSB(Synchronization Signal/PBCH(Physical Broadcast Channel) block) IDなどと呼ばれる場合がある。なお、ステップST12のフルビームスイープは、例えば、SCI-RS(channel state information reference signal)のフルビームスイープである。ビームスイープにおいて送信されるビームは、当該ビームの方向IDを含む。フルビームスイープは、所定の範囲内の全方向にビームを送信するビームスイープである。ここで、全方向とは、方向IDが付与された全ての方向である。
【0039】
プロセッサー101は、無線I/F105と協働して、ステップST12の処理を行うことで、端末装置が学習データを生成するために用いる信号を前記端末装置に送信する基地局通信部の一例として機能する。
【0040】
一方、ユーザー装置200のプロセッサー201は、
図5のステップST34及びステップST35を繰り返す待受状態にあるときにビームが受信されたならば、ステップST34においてYesと判定してステップST36へと進む。
【0041】
ステップST36においてプロセッサー201は、ステップST34で受信された各ビームについて受信強度(RSRP(reference signal received power))などを測定することで学習データを生成する。学習データは、例えば、各ビームの受信強度及びユーザー装置200の位置情報などを含む。なお、プロセッサー201は、例えば、ビームの受信強度を、当該ビームの方向IDと関連付けて学習データに含める。また、プロセッサー201は、最適狭ビームの検知を行う。学習データは、どのビームが最適狭ビームであるかを示す情報を含む。最適狭ビームは、受信強度が最も高いビームである。
【0042】
プロセッサー201は、ステップST34及びステップST36の処理を行うことで、学習データを生成するために用いる信号を受信した場合、当該信号を用いて学習データを生成する生成部の一例として機能する。
【0043】
ステップST37においてプロセッサー201は、ビームスイープに対するフィードバックを行う。すなわち、プロセッサー201は、ステップST36で生成した学習データを基地局100に送信するように無線I/F205に対して指示する。この送信の指示を受けて無線I/F205は、当該学習データを基地局100に送信する。送信された当該学習データは、基地局100の無線I/F105によって受信される。プロセッサー201は、ステップST37の処理の後、ステップST34へと戻る。
【0044】
プロセッサー201は、無線I/F205と協働して、ステップST37の処理を行うことで、学習データを送信する端末通信部の一例として機能する。
【0045】
一方、
図2のステップST13において基地局100のプロセッサー101は、無線I/F105によって学習データが受信されるのを待ち受けている。プロセッサー101は、学習データが受信されたならば、ステップST13においてYesと判定してステップST14へと進む。なお、
図7では、学習データの送受信を、ステップS3として示している。
【0046】
プロセッサー101は、無線I/F105と協働して、ステップST13の処理を行うことで、端末装置から送信される学習データを受信する基地局通信部の一例として機能する。
【0047】
ステップST14においてプロセッサー101は、ステップST13で受信された学習データを用いて機械学習を行う。例えば、プロセッサー101は、ビームの方向及びユーザー装置200の位置情報を説明変数として、ビームの受信強度を目的変数として機械学習を行う。プロセッサー101は、このような機械学習により、ビームの最適な方向を決定するためのAI(artificial intelligence)を生成する。なお、ステップST14の学習は、追加学習であっても良いしそれ以外の学習であっても良い。プロセッサー101は、ステップST14の処理の後、
図2に示す処理を終了する。
【0048】
また、プロセッサー101は、学習データの受信の度に学習を行わなくても良い。例えば、プロセッサー101は、所定の時間ごとに、当該所定の時間が経過する間に受信した学習データを用いて学習を行う。あるいは、プロセッサー101は、学習に用いてない学習データが所定量以上となるまで学習を行わず、所定量以上となった場合に学習に用いていない所定量の学習データを用いて学習を行う。
【0049】
また、プロセッサー101は、
図3の処理では、
図2の処理と同様にステップST12~ステップST14の処理を行う。
【0050】
また、プロセッサー101は、学習済みAIを用いてユーザー装置200と接続する場合、
図4に示す処理を実行する。また、プロセッサー101は、
図2又は
図3の処理に続いてユーザー装置200と接続する場合には
図2又は
図3の処理の後
図4の処理へ進む。
【0051】
また、ユーザー装置200のプロセッサー201は、学習データの送信に続いて基地局100と接続する場合、
図5のステップST37の処理の後、
図6の処理を開始する。
【0052】
図4のステップST21において基地局100のプロセッサー101は、まばらなビームスイープを行う。まばらなビームスイープは、フルビームスイープと異なり、全方向ではなく飛び飛びの方向にビームを送信するビームスイープである。このため、まばらなビームスイープは、フルビームスイープよりも送信するビームの数が少ない。まばらなビームスイープは、SSBビームスイープなどとも呼ばれる。なお、
図7では、SSBビームスイープの送受信を、ステップS4として示している。
【0053】
一方、
図6のステップST41においてユーザー装置200のプロセッサー201は、無線I/F205によってビームスイープ用のビームが受信されるのを待ち受けている。プロセッサー201は、ビームスイープ用のビームが受信されたならば、ステップST41においてYesと判定してステップST42へと進む。
【0054】
ステップST42においてプロセッサー201は、ステップST41で受信された各ビームについて受信強度を測定する。
【0055】
ステップST43においてプロセッサー201は、ビームスイープに対するフィードバックを行う。すなわち、プロセッサー201は、ステップST42で測定した測定結果及びユーザー装置200の位置情報を基地局100に送信するように無線I/F205に対して指示する。この送信の指示を受けて無線I/F205は、当該測定結果及び位置情報を基地局100に送信する。送信された当該測定結果及び位置情報は、基地局100の無線I/F105によって受信される。
【0056】
一方、
図4のステップST22において基地局100のプロセッサー101は、無線I/F105によって測定結果及び位置情報が受信されるのを待ち受けている。プロセッサー101は、測定結果及び位置情報が受信されたならば、ステップST22においてYesと判定してステップST23へと進む。なお、
図7では、測定結果及び位置情報の送受信を、ステップS5として示している。
【0057】
ステップST23においてプロセッサー101は、ステップST22で受信された測定結果及び位置情報と学習済みAIを用いて最適なビームの推論を行う。当該学習済みAIは、例えば、
図2又は
図3のステップST14で学習が行われるAIである。当該学習済みAIは、例えば、当該測定結果及び位置情報を入力として、ユーザー装置200との通信に適したビームがどの方向のビームであるかを示す情報を出力する。当該学習済みAIは、例えば、当該測定結果及び位置情報を入力として、各方向について最適度を出力する。最適度は、ユーザー装置200との通信にどれだけ適しているかを示す値である。当該学習済みAIは、例えば、当該測定結果及び位置情報を入力として、ユーザー装置200との通信に適したビームを上位からk個選択する。なお、kは、1以上の整数である。kは、好ましくは、2以上の整数である。kは、固定であっても良いし固定でなくても良い。当該学習済みAIは、例えば、最適度が所定の値以上であるビームを選択する。この場合に選択されたビームの個数は、kである。当該学習済みAIは、例えば、当該測定結果及び位置情報を入力として、ユーザー装置200との通信に適したビームのうち、最適度が所定の値以上であるものを選択する。当該学習済みAIは、例えば、当該測定結果及び位置情報を入力として、各方向がどの程度ユーザー装置200との通信に適したビームであるかを示す情報を出力する。なお、学習済みAIによって選択されるビームは、例えば、全方向のビームの中から選択される。
【0058】
ステップST24においてプロセッサー101は、Top-kビームスイープを実行する。Top-kビームスイープは、ステップST23において選択されたk個のビームを送信するビームスイープである。
【0059】
一方、
図6のステップST44においてユーザー装置200のプロセッサー201は、無線I/F205によってビームスイープ用のビームが受信されるのを待ち受けている。プロセッサー201は、ビームスイープ用のビームが受信されたならば、ステップST44においてYesと判定してステップST45へと進む。なお、
図7では、Top-kビームスイープの送受信を、ステップS6として示している。
【0060】
ステップST45においてプロセッサー201は、ステップST44で受信された各ビームについて受信強度を測定する。
【0061】
ステップST46においてプロセッサー201は、ビームスイープに対するフィードバックを行う。すなわち、プロセッサー201は、ステップST45で測定した測定結果を基地局100に送信するように無線I/F205に対して指示する。この送信の指示を受けて無線I/F205は、当該測定結果を基地局100に送信する。送信された当該測定結果は、基地局100の無線I/F105によって受信される。
【0062】
ステップST25においてプロセッサー101は、無線I/F105によって測定結果が受信されるのを待ち受けている。プロセッサー101は、測定結果が受信されたならば、ステップST25においてYesと判定してステップST26へと進む。なお、
図7では、測定結果の送受信を、ステップS7として示している。
【0063】
ステップST26においてプロセッサー101は、ステップST23において選択されたk個のビームの中から、ユーザー装置200との通信に使用するビームを決定する。プロセッサー101は、例えば、ステップST25で受信された測定結果を参照して、最も受信強度が高いビームを、ユーザー装置200との通信に最適なビームであるとみなし、ユーザー装置200との通信に使用するビームとして決定する。
【0064】
以上より、プロセッサー101は、ステップST23~ステップST26の処理を行うことで、学習データを用いて機械学習を行った学習済みAIを用いて端末装置との通信方法を決定する決定部の一例として機能する。
【0065】
ステップST27においてプロセッサー101は、ステップST26で決定したビームを用いた情報の送信を開始する。プロセッサー101は、ステップST27の処理の後、
図4の処理を終了する。
【0066】
一方、
図6のステップST47においてユーザー装置200のプロセッサー201は、基地局100から送信される情報の受信を開始する。当該情報は、
図3のステップST27で送信開始された情報である。プロセッサー201は、
図6のステップST47の処理の後、
図6に示す処理を終了する。
【0067】
基地局100とユーザー装置200は、
図4のステップST27及び
図6のステップST47の処理により
図4のステップST26で決定したビームを用いた通信を開始する。なお、
図7では、当該通信を、ステップS8として示している。
【0068】
実施形態の通信システム1によれば、基地局100は、アイドル状態又は非アクティブ状態のユーザー装置200に対して、アクティブ状態に遷移するように指示する。そして、基地局100は、ユーザー装置200が学習データの生成に使用するビームを送信する。これにより、実施形態の通信システム1は、アイドル状態又は非アクティブ状態のユーザー装置200からも学習データを収集することができる。
【0069】
セル内(基地局100の通信範囲内)にアクティブ状態のユーザー装置200の数が少ない場合、機械学習を正しく行えない可能性がある。具体的には学習データ数が少ないことで推論性能が劣化してしまう場合がある。また、ユーザー装置200の位置に依存するようなケース(beam managementなど)の場合、特定の位置に学習が最適化されてしまい汎化性能がなくなってしまう可能性がある。また実施形態の方法を用いずに基地局100側からユーザー装置200の呼び出しを行う場合、initial accessを行う必要があり、Initial accessのためのビーム探索のオーバーヘッドが発生する。
【0070】
実施形態の通信システム1は、基地局100とユーザー装置200との通信に用いる最適なビームの方向を決定するためのAIの学習に、ユーザー装置200で生成した学習データを用いる。これにより、実施形態の通信システム1は、最適なビームの決定がしやすくなる。また、実施形態の通信システム1は、最適なビームの決定の精度が上がる。
【0071】
実施形態の通信システム1によれば、基地局100は、基地局100とユーザー装置200との通信に用いる最適なビームの方向を決定するために、ユーザー装置200で生成した学習データで学習したAIを用いる。これにより、実施形態の通信システム1は、最適なビームの決定がしやすくなる。また、実施形態の通信システム1は、最適なビームの決定の精度が上がる。
【0072】
実施形態の通信システム1によれば、基地局100は、SIB又はページングDCIを用いて開始指示情報を送信する。これにより、実施形態の基地局100は、他の方法より少ない手順でユーザー装置200をアクティブ状態にすることが可能である。
【0073】
上記の実施形態は、以下のような変形も可能である。
上記の実施形態では、基地局100が学習データを用いて機械学習を行う。しかしながら、図示しないサーバーなどが機械学習を行っても良い。この場合、基地局100は、例えばネットワークI/F106及びネットワークNWを介して当該サーバーなどに学習データを送信する。そして、基地局100は、当該学習データを用いて学習した学習済みAIを当該サーバーから受信する。
【0074】
上記の実施形態では、通信システム1は、学習済みAIを用いてビームの方向を決定する。しかしながら、通信システム1は、学習済みAIを用いてビームの方向以外のパラメーターを決定しても良い。
【0075】
上記の実施形態では、学習データは、ビームの受信強度などを示すデータである。しかしながら、学習データは、これ以外のデータであっても良い。
【0076】
開始指示情報は、受信強度を観測する参照信号を指定する情報を含んでも良い。これにより、通信システム1のオーバーヘッドが減少する。
【0077】
ユーザー装置200は、開始指示情報を受信したことに応じて、CSI-RSを受け入れる状態(CSI-RS occasion)に遷移しても良い。この場合、開始指示情報は、CSI-RSを受け入れる状態に遷移することを示す情報である。これにより、通信システム1のオーバーヘッドが減少する。
【0078】
プロセッサー101及びプロセッサー201は、上記実施形態においてプログラムによって実現する処理の一部又は全部を、回路のハードウェア構成によって実現するものであっても良い。
【0079】
実施形態の処理を実現するプログラムは、例えば装置内の非一時的な記憶媒体に記憶された状態で譲渡される。しかしながら、当該装置は、当該プログラムが記憶されない状態で譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に譲渡され、当該装置へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、リムーバブルで非一時的な記憶媒体に記録して、あるいはインターネット又はLAN(local area network)などのネットワークを介したダウンロードによって実現できる。
【0080】
以上、本発明の実施形態を説明したが、例として示したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 通信システム
100 基地局
101,201 プロセッサー
102,202 ROM
103,203 RAM
104,204 補助記憶装置
105,205 無線I/F
106 ネットワークI/F
107,207 バス
200 ユーザー装置
206 タッチパネル