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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051556
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
F24F1/0007 361D
F24F13/22 228
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157782
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯部 達矢
(72)【発明者】
【氏名】杉本 健太
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050AA10
3L050BD05
3L050BE00
(57)【要約】
【課題】空気調和装置において抗菌効果を長持ちさせる。
【解決手段】空気調和装置は、ドレンパン(60)内に配置される抗菌部(70)を備え、ケース(72)は、該ケース(72)の下部に位置する第1収容部(80)と、ケース(72)の上部に位置する第2収容部(90)とを有し、第1収容部(80)は、第1空間(S1)の側方に面する第1面(84,85,86,87)を有し、第2収容部(90)は、第1面の上端からケースの外側に向かって連なり、第2空間(S2)に面する第2面(94,95,96,97)を有し、垂直面に対する前記第2面(94,95,96,97)の角度は、垂直面に対する前記第1面(84,85,86,87)の角度よりも大きい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(31)内に配置される熱交換器(40)と、
前記熱交換器(40)の下側に配置されるドレンパン(60)と、
抗菌剤(71)と、抗菌剤(71)を収容するケース(72)とを有し、前記ドレンパン(60)内に配置される抗菌部(70)とを備え、
前記ケース(72)は、
該ケース(72)の下部に位置するとともに、前記抗菌剤(71)を収容する第1空間(S1)を形成する第1収容部(80)と、
前記ケース(72)の上部に位置するとともに、前記第1空間(S1)と連通し且つ前記抗菌剤(71)を収容する第2空間(S2)を形成する第2収容部(90)とを有し、
前記第1収容部(80)には、前記ケースの内部と外部とを連通する孔(H)が形成され、
前記第1収容部(80)は、前記第1空間(S1)の側方に面する第1面(84,85,86,87)を有し、
前記第2収容部(90)は、前記第1面の上端から前記ケースの外側に向かって連なり、前記第2空間(S2)に面する第2面(94,95,96,97)を有し、
垂直面に対する前記第2面(94,95,96,97)の角度は、垂直面に対する前記第1面(84,85,86,87)の角度よりも大きい
空気調和装置。
【請求項2】
前記第1収容部(80)の表面は、前記ドレンパン(60)に貯留されたドレン水に接触し、
前記第2収容部(90)の表面は、前記ドレンパン(60)に貯留されたドレン水に接触しない、
前記請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第2収容部(90)には、前記第2空間(S2)と前記ドレンパン(60)の内部とを連通する孔(H)が形成されていない
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記第2面(94,95,96,97)は、前記第1面(84,85,86,87)の上端から斜め上方に延びる
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記第2面(94,95,96,97)は、垂直面に対して45°以上をなしている
請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記第1収容部(80)は、前記第1空間(S1)に面する互いに向かい合う2つの前記第1面(84,85,86,87)を有し、
前記第2収容部(90)は、2つの前記第1面(84,85,86,87)のそれぞれに対応する2つの前記第2面(94,95,96,97)を有する
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記第1収容部(80)は、4つの前記第1面(84,85,86,87)を形成する第1周壁(83)を有し、
前記第2収容部(90)は、前記第1周壁(83)の全周から径方向外方に拡がるとともに、4つの前記第1面(84,85,86,87)のそれぞれに対応する4つの前記第2面(94,95,96,97)を形成する第2周壁(93)を有する
請求項6に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記第2収容部(90)は、前記第2空間(S2)の下側に位置する前記第2面(94,95,96,97)としての上側底面(98)と、該上側底面(98)から上方に延びる上側側面(99)とを有する
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記第1面(84,85,86,87)は、下方に向かうにつれて前記ケース(72)の内方に近づくように傾斜している
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記第1収容部(80)は、前記孔(H)が形成された底部(81)を有し、
前記第1収容部(80)の底部(81)の下面には、前記ドレンパン(60)と接触する突起(74)が形成される
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の空気調和機は、ドレンパン内に配置される抗菌部材を備える。抗菌部材には抗菌剤が充填される。抗菌剤がドレンパン内のドレン水に溶出することで、ドレンパンに発生する雑菌やカビの繁殖が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-170478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の抗菌部材は、その内部に充填される抗菌剤の一部がドレン水に浸かるように構成される。これにより抗菌剤は必要量に応じて溶出されるため、比較的長期間に亘って抗菌効果を維持できるが、これでは十分とはいえず抗菌効果のさらなる長寿命化が望まれている。
【0005】
本開示の目的は、空気調和装置において抗菌効果を長持ちさせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
ケーシング(31)内に配置される熱交換器(40)と、
前記熱交換器(40)の下側に配置されるドレンパン(60)と、
抗菌剤(71)と、抗菌剤(71)を収容するケース(72)とを有し、前記ドレンパン(60)内に配置される抗菌部(70)とを備え、
前記ケース(72)は、
該ケース(72)の下部に位置するとともに、前記抗菌剤(71)を収容する第1空間(S1)を形成する第1収容部(80)と、
前記ケース(72)の上部に位置するとともに、前記第1空間(S1)と連通し且つ前記抗菌剤(71)を収容する第2空間(S2)を形成する第2収容部(90)とを有し、
前記第1収容部(80)には、前記ケースの内部と外部とを連通する孔(H)が形成され、
前記第1収容部(80)は、前記第1空間(S1)の側方に面する第1面(84,85,86,87)を有し、
前記第2収容部(90)は、前記第1面の上端から前記ケースの外側に向かって連なり、前記第2空間(S2)に面する第2面(94,95,96,97)を有し、
垂直面に対する前記第2面(94,95,96,97)の角度は、垂直面に対する前記第1面(84,85,86,87)の角度よりも大きい空気調和装置である。
【0007】
第1の態様では、ケース(72)は、第1面(84,85,86,87)と第2面(94,95,96,97)とによって第1空間(S1)よりも第2空間(S2)の方が広がるように、第1収容部(80)と第2収容部(90)とが区画されている。このことによりケース(72)に収容される抗菌剤(71)の量に対して、ドレンパン(60)内の水に浸かる抗菌剤(71)の量を抑えられる結果、抗菌部(70)の殺菌・抗菌効果を長持ちさせることができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、
前記第1収容部(80)の表面は、前記ドレンパン(60)に貯留されたドレン水に接触し、
前記第2収容部(90)の表面は、前記ドレンパン(60)に貯留されたドレン水に接触しない。
【0009】
第2の態様では、第2空間(S2)内にドレンパン(60)内の水が浸入することが抑制される結果、第2収容部(90)の抗菌剤(71)の溶出を抑えることができる。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記第2収容部(90)には、前記第2空間(S2)と前記ドレンパン(60)の内部とを連通する孔(H)が形成されていない。
【0011】
第3の態様では、ドレンパン(60)内の水が第2空間(S2)に直接入ることが抑制される結果、第2収容部(90)内の抗菌剤(71)の溶出を抑えることができる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、
前記第2面(94,95,96,97)は、前記第1面(84,85,86,87)の上端から斜め上方に延びる。
【0013】
第4の態様では、第2面(94,95,96,97)は、第2収容部(90)の抗菌剤(71)を第1収容部(80)へ案内することできる。
【0014】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、
前記第2面(94,95,96,97)は、垂直面に対して45°以上をなしている。
【0015】
第5の態様では、第2収容部(90)の高さを抑えて、ケース(72)のコンパクト化を図ることができる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、
前記第1収容部(80)は、前記第1空間(S1)に面する互いに向かい合う2つの前記第1面(84,85,86,87)を有し、
前記第2収容部(90)は、2つの前記第1面(84,85,86,87)のそれぞれに対応する2つの前記第2面(94,95,96,97)を有する。
【0017】
第6の態様では、第2収容部(90)の容積を大きくできると共に、第2収容部(90)の高さを抑えることができる。
【0018】
第7の態様は、第6の態様において、
前記第1収容部(80)は、4つの前記第1面(84,85,86,87)を形成する第1周壁(83)を有し、
前記第2収容部(90)は、前記第1周壁(83)の全周から径方向外方に拡がるとともに、前記4つの前記第1面(84,85,86,87)のそれぞれに対応する4つの前記第2面(94,95,96,97)を形成する第2周壁(93)を有する。
【0019】
第7の態様では、第2収容部(90)の容積を大きくできると共に、第2収容部(90)の高さを抑えることができる。
【0020】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、
前記第2収容部(90)は、前記第2空間(S2)の下側に位置する前記第2面(94,95,96,97)としての上側底面(98)と、該上側底面(98)から上方に延びる上側側面(99)とを有する。
【0021】
第8の態様では、第2収容部(90)の容積を大きくできる共に、第2収容部(90)の高さを抑えることができる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、
前記第1面(84,85,86,87)は、下方に向かうにつれて前記ケース(72)の内方に近づくように傾斜している。
【0023】
第9の態様では、第1収容部(80)内の抗菌剤(71)は第1面(84,85,86,87)をつたって下方へ滑り落ちやすくなる。
【0024】
第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、
前記第1収容部(80)は、前記孔(H)が形成された底部(81)を有し、
前記第1収容部(80)の底部(81)の下面には、前記ドレンパン(60)と接触する突起(74)が形成される。
【0025】
第10の態様では、ケース(72)をドレンパン(60)内で安定させることができる。突起(74)により、第1収容部(80)の底部(81)の下方に空間が形成されるため底部(81)からも抗菌剤(71)を溶出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略の配管系統図である。
図2図2は、室内機の外観を表す斜視図である。
図3図3は、室内機の内部構造を示す縦断面図である。
図4図4は、室内機の内部構造のうちドレンパン周辺の一部を拡大した縦断面図である。
図5図5は、ドレンパンの斜視図である。
図6図6は、ドレンパンの一部を表す斜視図である。
図7図7は、ケースの外観を表す斜視図である。
図8図8は、ケースの左右方向の中央で切断した縦断面図である。
図9図9は、ケースの前後方向の中央で切断した縦断面図である。
図10図10は、ケースの底面図である。
図11図11は、ケースの背面図である。
図12図12は、ドレン水への溶出により抗菌剤が減少していく様子を示す模式図である。
図13図13は、その他の実施形態に係るケースの左右方向の中央で切断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0028】
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、空気調和装置(10)の概略の配管系統図を示す。空気調和装置(10)は、対象空間の空気の温度を調節する。対象空間は室内空間である。空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを行う。冷房運転では、空気調和装置(10)が室内空間の空気を冷却する。暖房運転では、空気調和装置(10)が室内空間の空気を加熱する。
【0029】
空気調和装置(10)は、冷媒回路(11)を備える。冷媒回路(11)には、冷媒が充填される。冷媒回路(11)は、冷媒を循環させることにより冷凍サイクルを行う。冷媒回路(11)には、可燃性の冷媒が充填されている。本例の冷媒は、強燃性の自然冷媒であるプロパン(R290)である。自然冷媒は、オゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も低く、環境への負荷が少ない冷媒である。
【0030】
空気調和装置(10)は、室外機(20)、室内機(30)、第1連絡配管(12)、第2連絡配管(13)を備える。空気調和装置(10)は、1つの室外機(20)と1つの室内機(30)とを有するペア式である。室外機(20)は、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、膨張弁(23)、四方切換弁(24)、及び室外ファン(25)を備える。室内機(30)は、室内熱交換器(40)及びクロスフローファン(50)を備える。
【0031】
(1-1)室外機
室外機(20)は、室外空間に設置される。
【0032】
圧縮機(21)は、冷媒を圧縮する。圧縮機(21)は回転式の圧縮機である。回転式の圧縮機(21)は、揺動式、ローリングピストン式、スクロール式などで構成される。
【0033】
室外熱交換器(22)は、冷媒と室外空気とを熱交換させる。室外熱交換器(22)はフィンアンドチューブ式である。
【0034】
室外ファン(25)は、室外空気を搬送する。室外ファン(25)により搬送される空気は、室外熱交換器(22)を通過する。室外ファン(25)はプロペラファンである。
【0035】
膨張弁(23)は、冷媒を減圧する。膨張弁(23)は、電子式あるいは感温式の膨張弁である。
【0036】
四方切換弁(24)は、冷媒回路(11)の冷媒の流れを逆転させる。四方切換弁(24)は、図1の実線で示す第1状態と、図1の破線で示す第2状態とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出側と室外熱交換器(22)のガス側とを連通させると同時に、圧縮機(21)の吸入側と室内熱交換器(40)のガス側とを連通させる。第2状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出側と室内熱交換器(40)のガス側とを連通させると同時に、圧縮機(21)の吸入側と室外熱交換器(22)のガス側とを連通させる。
【0037】
(1-2)室内機
室内機(30)は、室内空間に設置される。
【0038】
室内熱交換器(40)は、冷媒と室内空気とを熱交換させる。室内熱交換器(40)はフィンアンドチューブ式である。
【0039】
クロスフローファン(50)は、室内空気を搬送する室内ファンである。クロスフローファン(50)により搬送される空気は、室内熱交換器(40)を通過する。
【0040】
(1-3)第1連絡配管及び第2連絡配管
第1連絡配管(12)と第2連絡配管(13)は、室内機(30)及び室外機(20)を互いに接続する。第1連絡配管(12)はガス管であり、第2連絡配管(13)は、液管である。第1連絡配管(12)は、室内熱交換器(40)のガス端に接続する。第2連絡配管(13)は、室内熱交換器(40)の液端に接続する。
【0041】
(2)室内機の詳細
図2は、室内機(30)を前側から見た斜視図である。図3は、室内機(30)の縦断面図である。以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」及び「右」に関する語句は、室内機(30)を正面から見た場合の方向(図2の矢印で示す方向)を指す。
【0042】
室内機(30)は、壁面に設けられる。室内機(30)は、壁掛け式の空調室内機である。室内機(30)は、ケーシング(31)、室内熱交換器(40)、ドレンパン(60)、及び抗菌部(70)を備える。
【0043】
(2-1)ケーシング
ケーシング(31)は、室内機(30)の外郭を形成している。ケーシング(31)の内部には、室内熱交換器(40)、及びクロスフローファン(50)を収容する内部空間(39)が形成される。
【0044】
図2及び図3に示すように、ケーシング(31)は、左右方向に伸びるに横長の箱状に形成される。ケーシング(31)は、前板部(32)、後板部(33)、上板部(34)、及び下板部(35)を有する。
【0045】
ケーシング(31)は、吸込開口(36)を有する。吸込開口(36)は、ケーシング(31)の上板部(34)に形成される。吸込開口(36)は、ケーシング(31)の長手方向(左右方向)に延びている。吸込開口(36)は、室内空間の空気をケーシング(31)の内部空間(39)に取り込む。
【0046】
ケーシング(31)は、吹出開口(37)を有する。吹出開口(37)は下板部(35)に形成される。吹出開口(37)は、ケーシング(31)の長手方向に延びている。吹出開口(37)は、吹出流路(38)を流れた空気を室内空間へ吹き出す。吹出開口(37)には、2つのフラップ(55)が設けられる。各フラップ(55)は、吹出開口(37)から吹き出される空気の風向を調節する。
【0047】
(2-2)室内熱交換器
室内熱交換器(40)は、伝熱管(27)を流通する冷媒により空気と熱交換を行う。室内熱交換器(40)は、複数のフィン(F)と、複数の伝熱管(27)とを有する。フィン(F)は、薄板状に形成される。複数のフィン(F)は、クロスフローファン(50)の軸心0の方向(左右方向)に沿って等間隔で配置される。複数の伝熱管(27)は、左右方向に延びると共に、複数のフィン(F)を貫通する。伝熱管(27)の内部は、冷媒の流路を形成する。伝熱管(27)は、冷媒回路(11)の一部を構成する。
【0048】
室内熱交換器(40)は、前側熱交換部(41)及び後側熱交換部(42)を含む。室内熱交換器(40)は、前側補助熱交換部(43)及び後側補助熱交換部(44)をさらに含む。前側熱交換部(41)、後側熱交換部(42)、前側補助熱交換部(43)、及び後側補助熱交換部(44)は、互いに別体に構成される。
【0049】
前側熱交換部(41)は、クロスフローファン(50)の前側に配置される。後側熱交換部(42)は、クロスフローファン(50)の上方に配置される。後側熱交換部(42)は、クロスフローファン(50)の上方からクロスフローファン(50)の後方に向かって傾斜している。
【0050】
前側補助熱交換部(43)は、前側熱交換部(41)の前側に配置される。前側補助熱交換部(43)は、前側熱交換部(41)における空気流れの上流側に配置される。
【0051】
後側補助熱交換部(44)は、後側熱交換部(42)の後側に配置される。後側補助熱交換部(44)は、後側熱交換部(42)における空気流れの上流側に配置される。
【0052】
(2-3)ドレンパン
ドレンパン(60)は、熱交換器(40)の下側に配置される。具体的に、ドレンパン(60)は、前側熱交換部(41)及び前側補助熱交換部(43)の下側に配置される。ドレンパン(60)は、前側熱交換部(41)及び前側補助熱交換部(43)で発生した水を貯留する。以下では、ドレンパン(60)に貯留された水をドレン水と呼ぶ場合がある。
【0053】
図4及び図5に示すように、ドレンパン(60)は、左右方向に伸びる横長の箱状に形成される。ドレンパン(60)は、底板(61)、前壁(62)、後壁(63)、右側壁(64)及び左側壁(65)を有する。
【0054】
底板(61)は、第1底板(61a)及び第2底板(61b)を有する。第1底板(61a)及び第2底板(61b)は、概ね矩形にされる。第1底板(61a)は概ね水平な面である。第2底板(61b)は、第1底板(61a)の後端から後方に延びるにつれて上方に傾斜するように形成される。
【0055】
前壁(62)は、第1底板(61a)の前端から上方に延びるにつれて前方へ傾斜するように形成される。後壁(63)は、第2底板(61b)の後端から上方に伸びる。右側壁(64)は、底板(61)の右端に接続される。左側壁(65)は、底板(61)の左端に接続される。
【0056】
ドレンパン(60)には、図示しない第1接続口及び第2接続口が形成される。第1接続口及び第2接続口は、ドレンホースが接続する孔である。第1接続口は、ドレンパン(60)の左方方向の一端に配置され、第2接続口はその他端に配置される。ドレン水は、ドレンホースが接続された第1接続口または第2接続口を介して、ドレンホースに流入する。
【0057】
図6に示すように、ドレンパン(60)には、抗菌部(70)の位置を固定する第1固定部(66)及び第2固定部(67)が形成される。第1固定部(66)は、前壁(62)の左右方向の中央、かつ、上端に形成される。第1固定部(66)は、前壁(62)の上端が凹むように形成される。第1固定部(66)には、抗菌部(70)に設けられる第1舌部(77c)(詳細は後述する)が嵌まる。第2固定部(67)は、前壁(62)の左右方向の中央、かつ、下端に形成される。第2固定部(67)は、前壁(62)の下端から後方に伸びる矩形の第1板(67a)と、該第1板(67a)の後端に接続され、左右方向に伸びる第2板(67b)とを有する。第2固定部(67)には、抗菌部(70)に設けられる第2舌部(77d)(詳細は後述する)が嵌まる。
【0058】
(3)抗菌部
図3図5に示すように抗菌部(70)は、ドレンパン(60)内に配置される。抗菌部(70)は、ドレンパン(60)の前壁(62)寄りに配置される。抗菌部(70)は、抗菌剤(71)と、該抗菌剤(71)を収容するケース(72)とを有する。抗菌剤(71)は、ドレン水に対して抗菌作用を有する。本実施形態では「抗菌」は、殺菌または除菌を含む。ケース(72)は、前側補助熱交換部(43)の下方に位置する。ケース(72)は、樹脂製である。ケース(72)は、収容部(80,90)と蓋部(73)とを有する。収容部(80,90)と蓋部(73)とは後述するヒンジ(75)により互いに接続され、一体に形成される。
【0059】
(3-1)収容部
図7図11に示すように、収容部(80,90)は、第1収容部(80)及び第2収容部(90)を有する。第1収容部(80)は、ケース(72)の下部に位置する。第2収容部(90)は、ケース(72)の上部に位置する。第1収容部(80)及び第2収容部(90)は、ケース(72)を上からみて、第1収容部(80)の面積は、第2収容部(90)の面積よりも小さくなるように形成される。以下、収容部(80,90)について具体的に説明する。
【0060】
(3-1-1)第1収容部
第1収容部(80)は、左右方向にのびる箱状に形成される。第1収容部(80)は、上面が開放されている。第1収容部(80)は、抗菌剤(71)を収容する第1空間(S1)を形成する。第1収容部(80)は、底部(81)と第1周壁(83)とを有する。
【0061】
図10に示すように、底部(81)は、概ね矩形に形成される。底部(81)の下面には、ドレンパン(60)の接触する突起(74)が形成される。突起(74)は、底部(81)の下面の四隅のそれぞれから下方に突出するように形成される。突起(74)が底板(61)に接することで、ケース(72)は、ドレンパン(60)に安定して設置される。突起(74)により底部(81)の下面とドレンパン(60)の底板(61)との間には空間が形成される(図4参照)。
【0062】
図8及び図9に示すように、第1周壁(83)は、第1空間(S1)の側方に面する4つの第1面(84,85,86,87)を有する。4つの第1面(84,85,86,87)は、第1前側面(84)、第1後側面(85)、第1右側面(86)、及び第1左側面(87)である。第1前側面(84)及び第1後側面(85)は、第1空間(S1)に面して互いに向かい合う。第1右側面(86)及び第1左側面(87)は、第1空間(S1)に面して互いに向かい合う。第1前側面(84)及び第1後側面(85)の左右方向の長さは、第1右側面(86)及び第1左側面(87)の前後方向の長さよりも長い。第1前側面(84)、第1後側面(85)、第1右側面(86)、及び第1左側面(87)のそれぞれは、下方に向かうにつれてケース(72)の内方に近づくように傾斜している。
【0063】
第1収容部(80)には、ケース(72)の内部と外部とを連通する孔(H)が形成される。孔(H)は、第1前側面(84)、第1右側面(86)、第1左側面(87)、及び底部(81)に形成される。複数の孔(H)は、第1右側面(86)、第1左側面(87)、及び底部(81)のそれぞれにおいて全面に広がるように形成される。第1前側面(84)には、後述の第2舌部(77d)が形成される中央部分を除いた全面に拡がるように形成される。
【0064】
複数の孔(H)は、2種類の孔径を有する。2種類の孔(H)は、交互に並んで配置される。孔(H)の孔径は、抗菌剤(71)が漏れない程度である。抗菌剤(71)が粒状である場合、孔(H)の孔径は、抗菌剤(71)の最大粒径よりも小さい。ドレン水は、第1前側面(84)、第1右側面(86)、第1左側面(87)、及び底部(81)の孔(H)を介して第1収容部(80)を流出入する。このように、ドレン水が孔(H)を介して第1収容部(80)内に流入することで第1収容部(80)内の抗菌剤(71)は溶出し、抗菌剤(71)が溶け込んだドレン水は、孔(H)を介してドレンパン(60)内へ流出する。
【0065】
(3-1-2)第2収容部
第2収容部(90)は、第1空間(S1)と連通し、且つ、抗菌剤(71)を収容する第2空間(S2)を形成する。第2収容部(90)には、第2空間(S2)とドレンパン(60)の内部とを連通する孔(H)が形成されていない。
【0066】
第2収容部(90)は、第2周壁(93)を有する。第2周壁(93)は、第1周壁(83)の全周から径方向外方に拡がるとともに、4つの第1面(84,85,86,87)のそれぞれに対応する4つの第2面(94,95,96,97)を形成する。第2面(94,95,96,97)は、第1面(84,85,86,87)の上端からケース(72)の外側に向かって連なり、第2空間(S2)に面する。
【0067】
4つの第2面(94,95,96,97)は、第2前側面(94)、第2後側面(95)、第2右側面(96)、及び第2左側面(97)である。第2前側面(94)は、第1前側面(84)の上端から斜め上方に延びる。第2後側面(95)は、第1後側面(85)の上端から斜め上方に延びる。第2右側面(96)は、第1右側面(86)の上端から斜め上方に延びる。第2左側面(97)は、第1左側面(87)の上端から斜め上方に延びる。
【0068】
図8に示すように、第2前側面(94)は、下部第2前側面(94a)と上部第2前側面(94b)とを有する。下部第2前側面(94a)は、第2空間(S2)の下側に位置する第2面(94,95,96,97)である。上部第2前側面(94b)は、下部第2前側面(94a)から上方に延びる。上部第2前側面(94b)の水平面に対する傾きは、下部第2前側面(94a)の水平面に対する傾きよりも大きい。
【0069】
第2後側面(95)は、下部第2後側面(95a)と上部第2後側面(95b)とを有する。下部第2後側面(95a)は、第2空間(S2)の下側に位置する第2面(94,95,96,97)である。上部第2後側面(95b)は、下部第2後側面(95a)から上方に延びる。上部第2後側面(95b)の水平面に対する傾きは、下部第2後側面(95a)の水平面に対する傾きよりも大きい。下部第2前側面(94a)及び下部第2後側面(95a)は、上側底面(98)の一例である。上部第2前側面(94b)及び上部第2後側面(95b)は、上側側面(99)の一例である。
【0070】
図8及び図9に示すように、第2収容部(90)には、フランジ部(92)が形成される。フランジ部(92)は、枠状に形成される。第2収容部(90)の各側面(94,95,96,97)の上端からケース(72)の外側へ延びるように設けられる。フランジ部(92)は、蓋部(73)が接する部分である。
【0071】
図11に示すように、フランジ部(92)には、第2舌部(77d)が設けられる。第2舌部(77d)は、フランジ部(92)の後側部分から下方に延びる板状に形成される。第2舌部(77d)の中央には、下端から上端に向かってスリット(79)が形成される。このスリット(79)は、第2固定部(67)の第1板(67a)が挿入する部分である。
【0072】
図8及び図9に示すように、垂直面に対する第2面(94,95,96,97)の角度は、垂直面に対する第1面(84,85,86,87)の角度よりも大きい。具体的に、下部第2前側面(94a)、下部第2後側面(95a)、第2右側面(96)及び第2左側面(97)は、垂直面に対して45度以上をなしている。より具体的に、下部第2前側面(94a)、下部第2後側面(95a)、第2右側面(96)及び第2左側面(97)の水平面に対する角度は、20度以上かつ45度未満が好ましい。より好ましくは、下部第2前側面(94a)及び下部第2後側面(95a)の水平面に対する角度αは、23度以上24度未満であり、第2右側面(96)及び第2左側面(97)の水平面に対する角度βは、21度以上22度未満である。
【0073】
垂直面に対する角度を小さくすることで、第2収容部(90)の抗菌剤(71)は、第2面(94,95,96,97)を滑り落ちやすくなるが、第2空間(S2)の空間容積を考慮すると、第2収容部(90)の上端の高さ位置が比較的高くなってしまう。ドレンパン(60)の上方には他部品があるため、上記角度α及びβを採用することで、第2空間(S2)の空間容積を確保しつつ、抗菌剤(71)が第2面(94,95,96,97)を滑り落ちやすさの低下が抑制される。
【0074】
(3-2)蓋部
図7及び図8に示すように、蓋部(73)は、ケース(72)の上面の開口を覆うように設けられる。蓋部(73)は、ヒンジ(75)を介して第2周壁(93)に接続され、ケース(72)の開口を開閉する。蓋部(73)は、概ね矩形の上板(76)と、該上板(76)から前方に伸びるフック部(77)とを有する。
【0075】
上板(76)の上面には傾斜面(76a)が形成される。傾斜面(76a)は平坦に形成される。傾斜面(76a)は、水平面に対して傾斜している。傾斜面(76a)は、前方から後方に向かって下方に傾斜する。抗菌部(70)はドレンパン(60)の前寄りに配置されるため、前側補助熱交換部(43)から抗菌部(70)に向かって落下した水は、傾斜面(76a)に付着してドレンパン(60)内に案内される(図3参照)。
【0076】
上板(76)の前側部分には、爪部(76b)が形成される。爪部(76b)は、フランジ部(92)の後側部分を係合するように形成される(図11参照)。爪部(76b)がフランジ部(92)の後側部分を係合することで、蓋部(73)はケース(72)の開口を塞いだ状態を維持する。
【0077】
上板(76)には、複数のヒンジ(75)が設けられる。ヒンジ(75)は肉薄の樹脂で形成される。ヒンジ(75)は、上板(76)の後端とフランジ部(92)の前側部分とを接続する。爪部(76b)から爪部を外してヒンジ(75)を軸に上板(76)を手前に回動させることで、ケース(72)の上面開口が開放される。
【0078】
フック部(77)は、ケース(72)をドレンパン(60)の前壁(62)に固定する部材である。フック部(77)は、蓋部(73)の上板(76)からドレンパン(60)の前壁(62)に向かって前方に伸び、フック部(77)の先端が第1固定部(66)に係合する。フック部(77)は、基部(77a)、アーム部(77b)、第1舌部(77c)を有する。
【0079】
基部(77a)は、蓋部(73)の前側部分から上方に向かって延びる。アーム部(77b)は、基部(77a)の上端からドレンパン(60)の前壁(62)に向かって概ね水平に伸びる。
【0080】
第1舌部(77c)は、アーム部(77b)の後端から下方に延びる。第1舌部(77c)は平板に形成される。第1舌部(77c)は、前壁(62)の前面に接する。第1舌部(77c)とアーム部(77b)との接続部には溝部(78)が形成される。溝部(78)は、第1固定部(66)と嵌め合うように配置される。
【0081】
(4)抗菌部のドレンパンへの固定
抗菌部(70)をドレンパン(60)より上方に持ち上げて、ケース(72)の第1舌部(77c)がドレンパン(60)の第1固定部(66)に、ケースの第2舌部(77d)がドレンパン(60)の第2固定部(67)に一致するように抗菌部(70)を下ろしていく。すると、第1舌部(77c)の基端の溝部(78)が第1固定部(66)の凹所に嵌まると共に、第2舌部(77d)のスリット(79)に第2固定部(67)の第1板(67a)が挿入される。
【0082】
このように、抗菌部(70)はドレンパン(60)内に固定される。なお、第2固定部(67)では、第2板(67b)がストッパの機能をすることで、第2舌部(77d)が第1板(67a)から後方に抜け出ることが抑制される。
【0083】
(5)抗菌剤の溶出
図12に示すように、ドレンパン(60)内にドレン水が貯留すると、ドレン水は、孔(H)を介して第1収容部(80)内に流入する。これにより、第1収容部(80)内の抗菌剤(71)はドレン水に溶出する(図12の細矢印の向き)。第1収容部(80)内の抗菌剤(71)の溶出量が増えるにつれて、第1収容部(80)内の抗菌剤(71)の体積は減少する。これにより、第2収容部(90)内の抗菌剤(71)が第1収容部(80)へ次々に案内されていく。
【0084】
本実施形態では、第2収容部(90)には孔(H)が形成されていない。そのため、ドレンパン(60)内に貯留されたドレン水は第1収容部(80)の表面(第1面(84,85,86,87))には接するが、第2収容部(90)の表面(第2面(94,95,96,97))に接することが抑制される。このことより、第2収容部(90)の抗菌剤(71)にドレン水は付着することが抑制され、第2収容部(90)の抗菌剤(71)が溶出することが抑えられる。
【0085】
(6)特徴
(6-1)特徴1
本実施形態の室内機(30)は、ドレンパン(60)内に配置される抗菌部(70)を備える。抗菌部(70)のケース(72)は、該ケース(72)の下部に位置するとともに、抗菌剤(71)を収容する第1空間(S1)を形成する第1収容部(80)と、ケース(72)の上部に位置するとともに、第1空間(S1)と連通し且つ抗菌剤(71)を収容する第2空間(S2)を形成する第2収容部(90)とを有する。第1収容部(80)には、ケース(72)の内部と外部とを連通する孔(H)が形成され、第1収容部(80)は、第1空間(S1)の側方に面する第1面(84,85,86,87)を有する。第2収容部(90)は、第1面(84,85,86,87)の上端からケース(72)の外側に向かって連なり、第2空間(S2)に面する第2面(94,95,96,97)を有する。垂直面に対する第2面(94,95,96,97)の角度は、垂直面に対する前記第1面(84,85,86,87)の角度よりも大きい。
【0086】
本実施形態によると、ケース(72)内部を上面視して、第1収容部(80)及び第2収容部(90)は、第1空間(S1)よりも第2空間(S2)の方が広がるように形成される。第1収容部(80)に収容できる抗菌剤(71)の量を抑えることができる。その結果、ケース(72)に収容される抗菌剤(71)の量に対して、第1収容部(80)から溶出する抗菌剤(71)の溶出量を抑えることができ、抗菌部(70)の抗菌効果を長持ちさせることができる。
【0087】
加えて、収容部(80,90)は、第1空間(S1)よりも第2空間(S2)の方が広がるように形成されるため、第1収容部(80)よりも第2収容部(90)の方が抗菌剤(71)量を多く収容できる。このことで、抗菌剤(71)の補充回数を低減でき、ケース(72)内の抗菌剤切れが生じることを抑制できると共に、ユーザの抗菌剤(71)補充作業の負担を軽減できる。
【0088】
(6-2)特徴2
本実施形態の室内機(30)では、第1収容部(80)の表面は、ドレンパン(60)に貯留されたドレン水に接触し、第2収容部(90)の表面は、ドレンパン(60)に貯留されたドレン水に接触しない。これにより、ドレンパン(60)内に貯留されたドレン水には、第1空間(S1)の抗菌剤(71)のみが溶出するため、抗菌剤(71)の溶出量を抑えることができる。
【0089】
加えて、一度に比較的多量の抗菌剤(71)をケースに入れても、その分ドレン水に溶け込む溶出量が増加すると、抗菌効果を長持ちさせることができないが、本実施形態では、第2収容部(90)の第1収容部(80)のみの抗菌剤(71)が溶出するため、多量の抗菌剤(71)が溶出してしまうことを抑制できる。
【0090】
(6-3)特徴3
本実施形態の室内機(30)では、第2収容部(90)には、第2空間(S2)とドレンパン(60)の内部とを連通する孔(H)が形成されていない。これにより、ドレンパン(60)内に貯留されたドレン水が第2空間(S2)に直接入ることが抑制されるため、第2収容部(90)内の抗菌剤(71)の溶出を抑えることができる。
【0091】
(6-4)特徴4
本実施形態の室内機(30)では、第2面(94,95,96,97)は、第1面(84,85,86,87)の上端から斜め上方に延びる。これにより、第2収容部(90)の抗菌剤(71)は、第2面(94,95,96,97)上をつたって、第1収容部(80)内へ案内することできる。
【0092】
(6-5)特徴5
本実施形態の室内機(30)では、第2面(94,95,96,97)は、垂直面に対して45°以上をなしている。このことで、第2収容部(90)の高さを抑えて、ケース(72)のコンパクト化を図ることができる。
【0093】
(6-7)特徴7
本実施形態の室内機(30)では、第1収容部(80)は、4つの第1面(84,85,86,87)を形成する第1周壁(83)を有する。第2収容部(90)は、第1周壁(83)の全周から径方向外方に拡がるとともに、4つの第1面(84,85,86,87)のそれぞれに対応する4つの第2面(94,95,96,97)を形成する。
【0094】
本実施形態によると、第2収容部(90)の容積を大きくできると共に、第2収容部(90)の高さを抑えることができる。これにより、第2収容部(90)の上端の高さ位置を高くしなくても、第2収容部(90)内に収容可能な抗菌剤(71)量を多くできる。
【0095】
(6-8)特徴8
本実施形態の室内機(30)では、第2収容部(90)は、第2空間(S2)の下側に位置する第2面(94,95,96,97)としての上側底面(98)と、該上側底面(98)から上方に延びる上側側面(99)とを有する。
【0096】
本実施形態によると、第2収容部(90)の水平方向への広がりを抑えつつ、第2空間(S2)の容積を大きくできる。このことで、ケース(72)を上面視して、ケース(72)のコンパクト化を図ることができる。
【0097】
(6-9)特徴9
本実施形態の室内機(30)では、第1面(84,85,86,87)は、下方に向かうにつれてケース(72)の内方に近づくように傾斜している。このことで、抗菌剤(71)を、第1面(84,85,86,87)をつたって下方へ滑り落ちやすくできる。
【0098】
(6-10)特徴10
本実施形態の室内機(30)では、第1収容部(80)は、孔(H)が形成された底部(81)を有する。第1収容部(80)の底部(81)の下面には、ドレンパン(60)と接触する突起(74)が形成される。これにより、ケース(72)をドレンパン(60)内で安定させることができる。加えて、突起(74)により底部(81)の下方に空間が生じるため、第1収容部(80)の底部(81)からも抗菌剤(71)を溶出させることができる。
【0099】
(7)その他の実施形態
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0100】
図13に示すように、第1収容部(80)は底部(81)を有していなくてもよい。この場合、第1収容部(80)は、第1収容部(80)の前後方向または左右方向の縦断面が三角形に形成される。
【0101】
上記実施形態の「垂直面に対する第2面(94,95,96,97)の角度が、垂直面に対する第1面(84,85,86,87)の角度よりも大きい」を満たす第2面(94,95,96,97)は、第2前側面(94)及び第2後側面(95)、または、第2右側面(96)及び第2左側面(97)であってもよい。
【0102】
上側底面(98)及び上側側面(99)は、第2右側面(96)または第2左側面(97)に設けられていてもよい。
【0103】
第2周壁(93)の第2前側面(94)は、上部第2前側面(94b)を有していなくてもよい。すなわち、第2前側面(94)は、上部第2前側面(94b)と下部第2前側面(94a)とで段状に形成されていなくてもよく、平坦に形成されてもよい。
【0104】
第2周壁(93)の第2後側面(95)は、上部第2後側面(95b)を有していなくてもよい。すなわち、第2後側面(95)は、上部第2後側面(95b)と下部第2後側面(95a)とで段状に形成されていなくてもよく、平坦に形成されてもよい。
【0105】
孔(H)は、第1周壁(83)及び底部(81)の全面に形成されてもよい。これにより、孔(H)の開口面積が増大するため、抗菌剤(71)の溶出量または溶出速度が大きくなり、抗菌効果を高めることができる。
【0106】
孔(H)は、第1周壁(83)及び底部(81)のうちいずれかの面に形成されていてもよい。これにより、孔(H)の開口面積が小さくなるため、抗菌剤(71)の溶出量または溶出速度が抑えられ、抗菌効果を長持ちさせることができる。
【0107】
ドレン水には第1収容部(80)内の抗菌剤(71)が溶出するため、第1収容部(80)内の容積によって抗菌剤(71)の溶出量は異なる。第1収容部(80)の容積に特に限定はないが、ドレンパン内のドレン水に抗菌効果を発揮する程度の濃度を実現できる容積を有していればよい。
【0108】
収容部(80,90)は、第1収容部(80)の表面である第1面(84,85,86,87)内にドレン水が接触し、第2収容部(90)の表面である第2面(94,95,96,97)内にドレン水が接触しないように形成されていればよい。例えば、第2収容部(90)の下端の高さ位置は、ドレンパン(60)内の最大水位より高くてもよい。
【0109】
上記実施形態の抗菌部(70)は室外機(20)に設けられていてもよい。
【0110】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明したように、本開示は、空気調和装置について有用である。
【符号の説明】
【0112】
10 空気調和装置
31 ケーシング
60 ドレンパン
70 抗菌部
71 抗菌剤
72 ケース
74 突起
80 第1収容部
81 底部
83 第1周壁
84,85,86,87 第1面
90 第2収容部
93 第2周壁
94,95,96,97 第2面
98 上側底面
99 上側側面
H 孔
S1 第1空間
S2 第2空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(31)内に配置される熱交換器(40)と、
前記熱交換器(40)の下側に配置されるドレンパン(60)と、
抗菌剤(71)と、抗菌剤(71)を収容するケース(72)とを有し、前記ドレンパン(60)内に配置される抗菌部(70)とを備え、
前記ケース(72)は、
該ケース(72)の下部に位置するとともに、前記抗菌剤(71)を収容する第1空間(S1)を形成する第1収容部(80)と、
前記ケース(72)の上部に位置するとともに、前記第1空間(S1)と連通し且つ前記抗菌剤(71)を収容する第2空間(S2)を形成する第2収容部(90)とを有し、
前記第1収容部(80)には、前記ケースの内部と外部とを連通する孔(H)が形成され、
前記第1収容部(80)は、前記第1空間(S1)の側方に面する第1面(84,85,86,87)を有し、
前記第2収容部(90)は、前記第1面の上端から前記ケースの外側に向かって連なり、前記第2空間(S2)に面する第2面(94,95,96,97)を有し、
鉛直面に対する前記第2面(94,95,96,97)の角度は、鉛直面に対する前記第1面(84,85,86,87)の角度よりも大きく、
前記第1収容部(80)の表面は、前記ドレンパン(60)に貯留されたドレン水に接触し、
前記第2収容部(90)の表面は、前記ドレンパン(60)に貯留されたドレン水に接触しない
空気調和装置。
【請求項2】
前記第2収容部(90)には、前記第2空間(S2)と前記ドレンパン(60)の内部とを連通する孔(H)が形成されていない
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第2面(94,95,96,97)は、前記第1面(84,85,86,87)の上端から斜め上方に延びる
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記第2面(94,95,96,97)は、鉛直面に対して45°以上をなしている
請求項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記第1収容部(80)は、前記第1空間(S1)に面する互いに向かい合う2つの前記第1面(84,85,86,87)を有し、
前記第2収容部(90)は、2つの前記第1面(84,85,86,87)のそれぞれに対応する2つの前記第2面(94,95,96,97)を有する
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記第1収容部(80)は、4つの前記第1面(84,85,86,87)を形成する第1周壁(83)を有し、
前記第2収容部(90)は、前記第1周壁(83)の全周から径方向外方に拡がるとともに、4つの前記第1面(84,85,86,87)のそれぞれに対応する4つの前記第2面(94,95,96,97)を形成する第2周壁(93)を有する
請求項に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記第2収容部(90)は、前記第2空間(S2)の下側に位置する前記第2面(94,95,96,97)としての上側底面(98)と、該上側底面(98)から上方に延びる上側側面(99)とを有する
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記第1面(84,85,86,87)は、下方に向かうにつれて前記ケース(72)の内方に近づくように傾斜している
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記第1収容部(80)は、前記孔(H)が形成された底部(81)を有し、
前記第1収容部(80)の底部(81)の下面には、前記ドレンパン(60)と接触する突起(74)が形成される
請求項1または2に記載の空気調和装置。