(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051564
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】コンクリート充填方法及び柱
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20240404BHJP
E04B 1/30 20060101ALI20240404BHJP
E04C 3/36 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
E04B1/30 C
E04C3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157797
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】有馬 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚子
【テーマコード(参考)】
2E163
2E172
【Fターム(参考)】
2E163FA02
2E163FB09
2E163FB22
2E163FD12
2E163FD54
2E163FF17
2E172AA05
2E172AA17
2E172CA33
2E172DA01
2E172DB03
2E172DE01
2E172DE04
(57)【要約】
【課題】施工のコストの低減を図ることができるコンクリート充填方法及び柱を提供する。
【解決手段】建物1の柱2を構成する鋼管10の内部に、コンクリート20を充填するコンクリート充填方法であって、前記コンクリート20は、上層側の部分よりも下層側の部分の強度が高くなる複数のコンクリート層(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)が形成されるように、前記鋼管10に充填される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の柱を構成する鋼管の内部に、コンクリートを充填するコンクリート充填方法であって、
前記コンクリートは、
上層側の部分よりも下層側の部分の強度が高くなる複数のコンクリート層が形成されるように、前記鋼管に充填される、
コンクリート充填方法。
【請求項2】
前記コンクリートは、
前記鋼管の下部に形成された圧入孔を介して圧入されることで前記鋼管の内部に充填され、
前記コンクリート充填方法は、
前記コンクリート層のうち上層側の部分から順次、前記コンクリートを前記鋼管の内部に圧入するコンクリート圧入工程を具備する、
請求項1に記載のコンクリート充填方法。
【請求項3】
前記コンクリート層は、
上層側から下層側に向かうに従って、硬化速度が速くなるように形成されている、
請求項2に記載のコンクリート充填方法。
【請求項4】
前記コンクリート圧入工程の前に、前記コンクリート層の上方に位置する先行モルタルを、前記鋼管の内部に圧入する先行モルタル圧入工程を具備する、
請求項2に記載のコンクリート充填方法。
【請求項5】
前記コンクリート層の各層の間に位置すると共に、粘性が付与された中間モルタルを、前記コンクリート圧入工程のうち前記中間モルタルの下方において隣接する層の前記コンクリートを圧入する工程の前に、前記鋼管の内部に圧入する中間モルタル圧入工程を具備する、
請求項4に記載のコンクリート充填方法。
【請求項6】
前記先行モルタル及び前記中間モルタルは、
前記コンクリート層のうち下方において隣接する層の前記コンクリートよりも強度が高くなるように形成され、前記柱において梁が接合される接合部に対応する位置に充填される、
請求項5に記載のコンクリート充填方法。
【請求項7】
前記コンクリート層の上方に位置する先行モルタルと、前記コンクリート層の各層の間に位置する中間モルタルと、を前記鋼管の内部に圧入する工程を具備し、
前記先行モルタル及び前記中間モルタルの少なくとも一方に、膨張作用を付与させ、前記コンクリートの天端のレベルの低下を抑制する、
請求項2に記載のコンクリート充填方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のコンクリート充填方法により形成された柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート充填方法及び柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼管の内部にコンクリートを充填することにより柱を施工する方法が知られている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、鋼管の内部にコンクリートを充填するCFT柱の施工方法が記載されている。
【0004】
上記特許文献1に記載されたCFT柱の施工方法では、鋼管柱の下部側からコンクリートを圧入する圧入工法により、鋼管柱の内部にコンクリートを充填させている。このようなCFT柱の施工方法を行う場合、鋼管柱の下層側から上層側まで同じ配合のコンクリートが充填されると考えられる。
【0005】
しかしながら、CFT柱においては、相対的に柱軸力が大きくなる下層側のコンクリートに最も高い強度が求められる。このような下層側で要求される品質のコンクリートを下層側から上層側まで使用した場合、施工のコストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、施工のコストの低減を図ることができるコンクリート充填方法及び柱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、建物の柱を構成する鋼管の内部に、コンクリートを充填するコンクリート充填方法であって、前記コンクリートは、上層側の部分よりも下層側の部分の強度が高くなる複数のコンクリート層が形成されるように、前記鋼管に充填されるものである。
【0010】
請求項2においては、前記コンクリートは、前記鋼管の下部に形成された圧入孔を介して圧入されることで前記鋼管の内部に充填され、前記コンクリート充填方法は、前記コンクリート層のうち上層側の部分から順次、前記コンクリートを前記鋼管の内部に圧入するコンクリート圧入工程を具備するものである。
【0011】
請求項3においては、前記コンクリート層は、上層側から下層側に向かうに従って、硬化速度が速くなるように形成されているものである。
【0012】
請求項4においては、前記コンクリート圧入工程の前に、前記コンクリート層の上方に位置する先行モルタルを、前記鋼管の内部に圧入する先行モルタル圧入工程を具備するものである。
【0013】
請求項5においては、前記コンクリート層の各層の間に位置すると共に、粘性が付与された中間モルタルを、前記コンクリート圧入工程のうち前記中間モルタルの下方において隣接する層の前記コンクリートを圧入する工程の前に、前記鋼管の内部に圧入する中間モルタル圧入工程を具備するものである。
【0014】
請求項6においては、前記先行モルタル及び前記中間モルタルは、前記コンクリート層のうち下方において隣接する層の前記コンクリートよりも強度が高くなるように形成され、前記柱において梁が接合される接合部に対応する位置に充填されるものである。
【0015】
請求項7においては、前記コンクリート層の上方に位置する先行モルタルと、前記コンクリート層の各層の間に位置する中間モルタルと、を前記鋼管の内部に圧入する工程を具備し、前記先行モルタル及び前記中間モルタルの少なくとも一方に、膨張作用を付与させ、前記コンクリートの天端のレベルの低下を抑制するものである。
【0016】
請求項8においては、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のコンクリート充填方法により形成された柱であるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、施工のコストの低減を図ることができる。
【0019】
請求項2においては、工期を短縮することができる。
【0020】
請求項3においては、充填されたコンクリートの沈降を抑制することができる。
【0021】
請求項4においては、コンクリートを圧入する際の抵抗を低減することができる。
【0022】
請求項5においては、各層のコンクリートが互いに混ざることを抑制することができる。
【0023】
請求項6においては、柱において、梁が接合される部分の強度を向上させることができる。
【0024】
請求項7においては、コンクリートが自重で沈降することによるコンクリートの天端のレベルの低下を抑制することができる。
【0025】
請求項8においては、施工のコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンクリート充填方法が使用される建物の柱部分を示した模式図。
【
図2】コンクリート充填方法を示したフローチャート。
【
図3】鋼管にコンクリートを充填している様子を模式的に示した断面図。
【
図4】(a)水セメント比とコンクリートの強度との関係を示したグラフ。(b)鋼管柱内部からノロを採取している様子を示した模式的に示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の一実施形態に係るコンクリート充填方法、及びコンクリート充填方法により形成される建物1について説明する。
【0028】
まず、
図1を用いて施工途中の建物1について説明する。建物1は、マンションやオフィスビルなどの高層ビルである。本実施形態では、建物1を、30階程度の超高層ビルとした例を説明する。なお、以下では、建物1のうち、1階から9階程度を低層階L、10階から19階程度を中層階M、20階以上を高層階Hと称して説明する。なお、
図1は、各階層を模式的に示している。
【0029】
建物1は、鋼管(鋼管柱)10の内部にコンクリート20を充填して柱2を形成するコンクリート充填鋼管構造(CFT構造)の建物である。柱2は、建物1の上下方向の全体に亘って形成されている。柱2の各階には、梁3が接合される。
【0030】
柱2は、鋼管10、コンクリート20及びモルタル30により形成される。以下では、鋼管10、コンクリート20及びモルタル30について説明する。
【0031】
図1に示す鋼管10は、鋼材(鉄材)からなる筒形状の部材である。鋼管10は、長手方向を上下方向へ向けて配置される。鋼管10は、建物1の各階に亘って形成される。鋼管10は、圧入孔11、ノロ採取孔12及び接合部13を具備する。
【0032】
図1に示す圧入孔11は、鋼管10の内部空間に、コンクリート20を圧送(供給)するために形成された孔である。圧入孔11には、鋼管10の内部空間にコンクリート20を圧送するポンプ車の圧送管が接続される。
【0033】
図2に示すノロ採取孔12は、鋼管10の内部空間からノロ20bを採取可能な孔である。ここで、ノロ(モルタル)とは、充填されたコンクリート20のうち、粗骨材20aが除かれた部分である(
図4(b)を参照)。ノロ採取孔12は、鋼管10の側面を貫通するように形成される。ノロ採取孔12の内径寸法は、例えば、10mm~20mmの寸法を採用可能である。
【0034】
ノロ採取孔12は、上下方向に沿って所定間隔を空けて複数(例えば、各階ごとに)設けられる。本実施形態では、各階に、上下方向に間隔を開けた一対のノロ採取孔12を設けている。ノロ採取孔12は、鋼管10の内部の蒸気を抜くための孔(蒸気抜き孔)としても機能する。
【0035】
接合部13は、梁3が接合される部分である。本実施形態に係る鋼管10は、接合部13において、梁3と接続される板状の部材であるダイアフラムが形成されない(ノンダイアフラムの)構成を採用している。
【0036】
ここで、鋼管10に一般的なダイアフラムを設けた場合、鋼管10の内部には、上下に貫通する孔(コンクリート20を通過させる孔)が形成された板状の部分が形成される。本実施形態では、鋼管10にダイアフラムを設けていないため、鋼管10の内部には、上述のような板状の部分は形成されない。なお、ノンダイアフラムの構成に代えて、鋼管10の外側のみにダイアフラムを形成した構成(外ダイアフラム)を採用してもよい。
【0037】
コンクリート20は、粗骨材20a(
図4(b)を参照)、細骨材、セメント及び水を混合した建築材料である。なお、以下では、凝固する前の状態のコンクリート20(フレッシュコンクリート、生コンクリート、レディーミクストコンクリート)を、単に「コンクリート20」と称して説明する。コンクリート20としては、適宜の混和材料を添加することで流動性を向上させた高流動コンクリートを採用可能である。
【0038】
本実施形態では、建物1の階層ごとに、鋼管10の内部に充填されるコンクリート20の品質を異ならせている。具体的には、
図1に示すように、上から順番に、高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23の複数の層が形成されるように、異なる品質のコンクリート20を充填している。以下では、各層のコンクリート20について説明する。
【0039】
高層階用コンクリート21は、建物1の高層階Hに位置するように鋼管10の内部に充填されるものである。高層階用コンクリート21は、強度(コンクリート強度)が、高層階Hにおいて要求される基準の強度(例えば設計基準強度)を満たすように配合設計される。
【0040】
中層階用コンクリート22は、建物1の中層階Mに位置するように鋼管10の内部に充填されるものである。中層階用コンクリート22は、中層階Mにおいて要求される基準の強度を満たすように配合設計される。ここで、中層階Mに使用されるコンクリート20は、高層階Hに使用されるものよりも高い強度が要求される。したがって、中層階用コンクリート22は、高層階用コンクリート21よりも強度が高くなるように配合設計される。
【0041】
低層階用コンクリート23は、建物1の低層階Lに位置するように鋼管10の内部に充填されるものである。低層階用コンクリート23は、低層階Lにおいて要求される基準の強度を満たすように配合設計される。ここで、低層階Lに使用されるコンクリート20は、中層階Mに使用されるものよりも高い強度が要求される。したがって、低層階用コンクリート23は、中層階用コンクリート22よりも強度が高くなるように配合設計される。
【0042】
モルタル30は、細骨材、セメント及び水を混合した建築材料である。本実施形態では、上記柱2の上端部、及びコンクリート20の各層の間に位置するように、鋼管10の内部にモルタル30を充填している。モルタル30は、増粘剤が添加されることで、粘性が付与されている。モルタル30には、先行モルタル31、第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33が含まれる。
【0043】
先行モルタル31は、高層階用コンクリート21の上方に位置するように鋼管10の内部に充填されるものである。先行モルタル31は、鋼管10(柱2)の上端部における接合部13に対応する位置に充填される。先行モルタル31は、高層階用コンクリート21よりも強度が高くなるように配合設計される。
【0044】
第一中間モルタル32は、高層階用コンクリート21と、中層階用コンクリート22と、の間(境界)に位置するように鋼管10の内部に充填されるものである。すなわち、第一中間モルタル32は、中層階用コンクリート22の上方に位置するように充填される。第一中間モルタル32は、鋼管10(柱2)のうち、高層階Hと中層階Mとの境界となる位置の(例えば20階前後の)接合部13に対応する位置に充填される。第一中間モルタル32は、中層階用コンクリート22よりも強度が高くなるように配合設計される。
【0045】
第二中間モルタル33は、中層階用コンクリート22と、低層階用コンクリート23と、の間(境界)に位置するように鋼管10の内部に充填されるものである。すなわち、第二中間モルタル33は、低層階用コンクリート23の上方に位置するように充填される。第二中間モルタル33は、鋼管10(柱2)のうち、中層階Mと低層階Lとの境界となる位置の(例えば10階前後の)接合部13に対応する位置に充填される。第二中間モルタル33は、低層階用コンクリート23よりも強度が高くなるように配合設計される。
【0046】
上述のように、コンクリート20(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)は、高層階側から低層階側に向かうに従って強度が高くなるように形成されている。また、モルタル30(先行モルタル31、第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33)は、下方において隣接するコンクリート20よりも強度が高くなるように形成されている。
【0047】
ここで、コンクリート20やモルタル30の強度は、水セメント比により決定される。すなわち、
図4(a)のグラフに示す水セメント比とノロ(モルタル)の強度との関係のように、水セメント比が小さくなるほど、コンクリート20及びモルタル30の強度は高くなる。
【0048】
また、本実施形態では、高層階側から低層階側に向かうに従って(先行モルタル31、高層階用コンクリート21、第一中間モルタル32、中層階用コンクリート22、第二中間モルタル33及び低層階用コンクリート23の順番で)、硬化速度が速くなるように各コンクリート20及び各モルタル30を形成している。上記硬化速度の調整は、混和材料の添加量の調整や、硬化促進剤の添加により行うことができる。
【0049】
以下では、
図1から
図3までを用いて、鋼管10の内部空間に、コンクリート20及びモルタル30を充填する方法(以下では単に「コンクリートの充填方法」と称する)。本実施形態では、主として、鋼管10の下部の圧入孔11を介してコンクリート20及びモルタル30を鋼管10の内部に圧送し、コンクリート20及びモルタル30を充填する圧入工法を採用している。
【0050】
図1に示すように、コンクリート20及びモルタル30は、圧入孔11に接続されたポンプ車の圧送管から圧送される。コンクリート20及びモルタル30は、アジテータ車(不図示)によって適宜の生コン工場から建物1の施工現場に輸送される。本実施形態では、それぞれ配合が異なる各層のコンクリート20(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)、及び各層のモルタル30(先行モルタル31、第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33)が、アジテータ車により順次輸送される。
【0051】
鋼管10の内部へコンクリート20及びモルタル30が圧入されることで、コンクリート20及びモルタル30が充填される。
図3に示すように、上記充填に伴い、コンクリート20及びモルタル30は、鋼管10の内部空間を上昇する。各層のコンクリート20及びモルタル30は、全ての圧入工程が終了した時点で、各層が計画された位置となるように、予め設定された量が充填される。上記コンクリート20及びモルタル30の量は、鋼管10の内径と、各層の高さ寸法と、に基づいて設定される。各モルタル30の圧入量は、適宜調整可能である。例えば、各モルタル30の圧入量を、計算上の量(鋼管10の内部空間の容積)に対して増加させてもよい。本実施形態では、圧入高さに応じて(高さに比例して)、モルタル30の量が多くなるように圧入量を設定している。具体的には、先行モルタル31>第一中間モルタル32>第二中間モルタル33となるように、高さに比例して各モルタル30の量を増加させている。
【0052】
以下では、コンクリートの充填方法において、作業者が実行する工程について説明する。コンクリートの充填方法の各工程は、1日の間で(施工日を分けずに)行われる。コンクリートの充填方法は、
図2に示すように、コンクリート落とし込み工程(ステップS10)、先行モルタル圧入工程(ステップS11)、高層階用コンクリート圧入工程(ステップS12)、第一中間モルタル圧入工程(ステップS13)、中層階用コンクリート圧入工程(ステップS14)、第二中間モルタル圧入工程(ステップS15)、及び低層階用コンクリート圧入工程(ステップS16)を具備する。
【0053】
コンクリート落とし込み工程(ステップS10)は、鋼管10の内部空間において、圧入孔11よりも下方の部分に、低層階用コンクリート23を充填する工程である。コンクリート落とし込み工程においては、落とし込み工法により低層階用コンクリート23を打設する。低層階用コンクリート23は、圧入孔11を介して打設される。コンクリート落とし込み工程は、低層階用コンクリート23の天端が、概ね圧入孔11の高さに位置するまで実行される。なお、
図1に示す例では、低層階用コンクリート23のうち、コンクリート落とし込み工程により充填されるものを、ハッチングで示している。
【0054】
本実施形態では、コンクリート落とし込み工程においては、圧入ではなく、落とし込み工法によりコンクリート20等の充填を行い、その後の工程では、圧入工法によりコンクリート20等の充填を行う。なお、コンクリート落とし込み工程については、以後の工程(圧入工法の工程)の前日以前に実行してもよい。作業者は、コンクリート落とし込み工程を実行した後、先行モルタル圧入工程(ステップS11)を実行する。
【0055】
先行モルタル圧入工程(ステップS11)は、鋼管10の内部空間に、先行モルタル31を圧入により充填する工程である。先行モルタル圧入工程においては、予め設定された量(鋼管10の上端部における接合部13に対応する量)の先行モルタル31が充填される。作業者は、先行モルタル圧入工程を実行した後、高層階用コンクリート圧入工程(ステップS12)を実行する。
【0056】
高層階用コンクリート圧入工程(ステップS12)は、鋼管10の内部空間に、高層階用コンクリート21を圧入により充填する工程である。高層階用コンクリート圧入工程においては、予め設定された量(高層階Hに対応する量)の高層階用コンクリート21が充填される。作業者は、高層階用コンクリート圧入工程を実行した後、第一中間モルタル圧入工程(ステップS13)を実行する。
【0057】
第一中間モルタル圧入工程(ステップS13)は、鋼管10の内部空間に、第一中間モルタル32を圧入により充填する工程である。第一中間モルタル圧入工程においては、予め設定された量(高層階H及び中層階Mの境界に位置する接合部13に対応する量)の第一中間モルタル32が充填される。作業者は、第一中間モルタル圧入工程を実行した後、中層階用コンクリート圧入工程(ステップS14)を実行する。
【0058】
中層階用コンクリート圧入工程(ステップS14)は、鋼管10の内部空間に、中層階用コンクリート22を圧入により充填する工程である。中層階用コンクリート圧入工程においては、予め設定された量(中層階Mに対応する量)の中層階用コンクリート22が充填される。作業者は、中層階用コンクリート圧入工程を実行した後、第二中間モルタル圧入工程(ステップS15)を実行する。
【0059】
第二中間モルタル圧入工程(ステップS15)は、鋼管10の内部空間に、第二中間モルタル33を圧入により充填する工程である。第二中間モルタル圧入工程においては、予め設定された量(中層階M及び低層階Lの境界に位置する接合部13に対応する量)の第二中間モルタル33が充填される。作業者は、第二中間モルタル圧入工程を実行した後、低層階用コンクリート圧入工程(ステップS16)を実行する。
【0060】
低層階用コンクリート圧入工程(ステップS16)は、鋼管10の内部空間に、残りの低層階用コンクリート23を圧入により充填する工程である。すなわち、低層階用コンクリート圧入工程では、低層階Lにおいて充填される低層階用コンクリート23全体のうち、コンクリート落とし込み工程で充填された量を除く量の低層階用コンクリート23が充填される。低層階用コンクリート圧入工程においては、予め設定された量(低層階Lの残りに対応する量)の低層階用コンクリート23が充填される。低層階用コンクリート圧入工程が完了すると、コンクリートの充填方法の工程は完了する。
【0061】
上述のように各圧入工程を行うことで、鋼管10の内部空間に先に充填されたコンクリート20等は、後に充填されるコンクリート20等の圧入に伴い、上昇していく(
図3を参照)。
【0062】
上述の如きコンクリートの充填方法の工程を実行することで、鋼管10の内部空間には、上から、先行モルタル31、高層階用コンクリート21、第一中間モルタル32、中層階用コンクリート22、第二中間モルタル33、及び低層階用コンクリート23の順番で複数の層が形成される。
【0063】
上記コンクリートの充填方法によれば、高層階側から低層階側に向かうに従って強度が高くなるように複数の層状に形成されたコンクリート20等を、一気に(施工日を分けずに)充填することができる。これにより、工期を短縮することができる。また、最も強度が要求される低層階側の品質のコンクリート20のみを用いる場合とは異なり、必要に応じた強度のコンクリート20等を充填することができ、施工のコストを低減することができる。また、各層に応じたコンクリート20等の強度の調整が容易となり、効率的なコンクリート20等の配合選択が可能となる。
【0064】
ここで、鋼管10に一般的なダイアフラム(通しダイアフラム、内ダイアフラム)を設けた場合には、鋼管10の内部に位置するダイアフラムの一部(上下に貫通する孔が形成された板状の部分)により、鋼管10の内部を通行するコンクリート20が攪拌される。このような攪拌が行われた場合、コンクリート20の層を維持し難くなるおそれがある。本実施形態では、鋼管10にダイアフラムを形成していないので、ダイアフラムによるコンクリート20の攪拌が行われない。このため、圧入工程においてコンクリート20の層を維持することができる。
【0065】
また、本実施形態では、先行モルタル31を先頭にして、コンクリート20等の圧入を行っている。これにより、先行モルタル31が先送りモルタル(コンクリートの通りを滑らかにするために、コンクリートに先立って圧送管に送られるモルタル)の役目を果たし、後から圧入されるコンクリート20等と、鋼管10の内部と、の抵抗を減らすことができる。すなわち、圧入工程においては、コンクリート20のモルタル成分が鋼管10の内周面に付着することで、コンクリート20中の粗骨材20aの割合が多くなり、滑らかにコンクリート20を圧入し難くなる場合がある。本実施形態によれば、先行モルタル31を、鋼管10の内周面に先に付着させることで、コンクリート20のモルタル成分が鋼管10の内周面に付着することを抑制することができる。これにより、コンクリート20等を圧入する際の抵抗を低減し、コンクリート20等を滑らかに圧入することができる。
【0066】
また、本実施形態では、鋼管10にダイアフラムを形成していないので、鋼管10の内部にはコンクリート20の通行を阻害する部分(板状の部分)が形成されない。このため、コンクリート20等を圧入する際の抵抗を低減することができる。
【0067】
上述のように、本実施形態では、鋼管10の内部にコンクリート20等を圧入する際の抵抗を低減することで、圧入時に鋼管10に作用する圧力を低減することができる。これにより、施工時に発生する作用圧力のために(構造耐力以上に)鋼管10の厚さを大きくするようなことを抑制することができる。これにより、材料のコストの低減を図ることができる。
【0068】
また、本実施形態では、各層のコンクリート20の間に、粘性を付与した第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33を設けている。これにより、各層のコンクリート20が互いに混ざることを抑制することができる。また、第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33は、各階の境界(接合部13)に配置されている。これにより、各階の途中で柱2の強度が切り替わることを抑制することができる。
【0069】
ここで、上述のように鋼管10の内部空間にコンクリート20及びモルタル30を充填した際には、充填されたコンクリート20及びモルタル30が自重で沈降し、コンクリート20の天端のレベルが下がる可能性がある。本実施形態では、各モルタル30(先行モルタル31、第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33)に膨張作用を付与して、各モルタル30を膨張させることで、コンクリート20の天端のレベルの低下を抑制することができる。上記膨張作用は、各モルタル30に予め膨張材を混入することで付与することができる。なお、膨張材は、各モルタル30の全てに混入してもよく、各モルタル30(先行モルタル31、第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33)のいずれかに混入してもよい。
【0070】
また、本実施形態では、高層階側から低層階側に向かうに従って、硬化速度が速くなるように、各コンクリート20及び各モルタル30を形成している。これにより、充填されたコンクリート20及びモルタル30の沈降を抑制することができる。特に、本実施形態では、鋼管10にダイアフラムを形成していないので、また、圧入高さに比例して沈降量も大きくなるので、充填されたコンクリート20等が比較的沈み易くなっているが、上述のように硬化速度を設定したことで、コンクリート20等の沈降を抑制することができる。
【0071】
また、コンクリートの充填方法において、作業者は、以下に示す方法で、各層のコンクリート20及びモルタル30を評価し、求められる強度のコンクリート20及びモルタル30が、適切な位置に充填されているかを判定することができる。
【0072】
以下では、
図4(b)に示すように、ノロ20bを用いたコンクリート20の評価方法を説明する。なお、
図4(b)では、コンクリート20に注目し、モルタル30の図示は省略している。当該評価方法は、圧入されたコンクリート20等が、所定の高さ位置(例えば各階)に達したタイミングで行われる。
【0073】
図4(b)に示すように、鋼管10の内部に圧入されたコンクリート20が、ノロ採取孔12の高さまで達した際には、コンクリート20に含まれるノロ20bがノロ採取孔12からある程度漏れ出す。本実施形態では、上記ノロ20bを採取すると共に、採取したノロ20bを分析することで、コンクリート20の判別を行う。
【0074】
ノロ20bを採取する際には、
図4(b)に示す補助工具40を用いてノロを採取する方法を採用可能である。補助工具40は、軸部41及び頭部42を具備する。軸部41は、前後方向に長尺な棒形状の部分である。頭部42は、軸部41の先端部において、当該軸部41に対して拡径する円形板形状の部分である。頭部42の外径は、ノロ採取孔12の内径よりも小さく形成される。
【0075】
補助工具40をノロ採取孔12に挿通させることで、コンクリート20の粗骨材20aがノロ採取孔12を塞ぐことを抑制し、ノロ採取孔12からノロ20bを採取し易くすることができる。また、補助工具40を用いて、ノロ20bを掻き出すことで、より効率的にノロ20bを採取することができる。
【0076】
本実施形態に係るコンクリート20の評価方法では、上記採取したノロ20bの単位水量の推定値を用いて行われる。ノロ20bの単位水量の推定値は、例えば水分を除去したノロ20bの重量を測定し、水分を除去する前のノロ20bの重量との差(ノロ20bに含まれていた水分量)に基づいた算出を行うことで得られる。
【0077】
上記ノロ20bの単位水量の推定値に基づいて、ノロ20b(コンクリート20)の水セメント比を求めることができる。また、水セメント比と、水セメント比とコンクリートの強度との関係を示す
図4(a)のグラフと、を用いることで、上記ノロ20bが含まれていたコンクリート20の強度を得ることができる。
【0078】
上記ノロ20bの強度と、ノロ20bを採取した階層で使用されるコンクリート20の強度(例えばコンクリート20の配合計画書に示された値)と、を比較することで、求められる強度のコンクリート20(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)が、適切な位置に充填されているかの判定を行うことができる。なお、コンクリート20の強度に変えて、単位水量同士を比較することでも、上記判定を行うことができる。上記判定の結果、コンクリート20に問題がある場合には、コンクリート20の圧入を停止すると共に、圧入孔11を開放し、鋼管10からコンクリート20を排出することも可能である。なお、コンクリート落とし込み工程により打設された低層階用コンクリート23については排出が困難である。しかしながら、上記低層階用コンクリート23が前日までに打設されていれば、圧入工法により充填されたコンクリート20等と混ざることはないため、排出されなくても問題はない。
【0079】
なお、上述した例では、コンクリート20のノロ20bを用いた評価方法を説明したが、ノロ20bに代えて、モルタルを用いることでも、モルタル30が適切な位置に充填されているかの判定を行うことができる。
【0080】
以上、コンクリートの充填方法の一例を説明したが、コンクリートの充填方法は、限定されるものではなく、任意の工程を追加又は変更してもよい。
【0081】
以上のように、本発明の一実施形態に係るコンクリートの充填方法は、
建物1の柱2を構成する鋼管10の内部に、コンクリート20を充填するコンクリート充填方法であって、
前記コンクリート20は、
上層側の部分よりも下層側の部分の強度が高くなる複数のコンクリート層(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)が形成されるように、前記鋼管10に充填されるものである。
【0082】
このような構成により、施工のコストの低減を図ることができる。すなわち、上層階から下層階(高層階H側から低層階L側)に向かうに従って強度が高くなるように、複数の層状にコンクリート20を充填している。これにより、最も強度が要求される低層階L側の品質で配合されたコンクリート20のみを用いる場合とは異なり、必要に応じた強度のコンクリート20を鋼管10に充填することができ、施工のコストを低減することができる。また、各層に応じたコンクリート20の強度の調整が容易となり、効率的なコンクリート20の配合選択が可能となる。
【0083】
また、前記コンクリート20は、
前記鋼管10の下部に形成された圧入孔11を介して圧入されることで前記鋼管10の内部に充填され、
前記コンクリート充填方法は、
前記コンクリート層(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)のうち上層側の部分から順次、前記コンクリート20を前記鋼管10の内部に圧入するコンクリート圧入工程(ステップS12、ステップS14及びステップS16)を具備するものである。
【0084】
このような構成により、工期を短縮することができる。すなわち、上記コンクリート圧入工程を行うことで、コンクリート層を構成する各層のコンクリート20(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)を、一気に(施工日を分けずに)充填することができる。
【0085】
また、前記コンクリート層(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)は、
上層側から下層側(高層階H側から低層階L側)に向かうに従って、硬化速度が速くなるように形成されているものである。
【0086】
このような構成により、充填されたコンクリート20の沈降を抑制することができる。
【0087】
また、コンクリートの充填方法は、
前記コンクリート圧入工程(ステップS12)の前に、前記コンクリート層(高層階用コンクリート21)の上方に位置する先行モルタル31を、前記鋼管10の内部に圧入する先行モルタル圧入工程(ステップS11)を具備するものである。
【0088】
このような構成により、コンクリート20を圧入する際の抵抗を低減することができる。すなわち、コンクリート20を圧入する前に、先行モルタル31を圧入することで、コンクリート20のモルタル成分が鋼管10の内周面に付着することを抑制し、コンクリート20等を圧入する際の抵抗を低減することができる。また、上記抵抗を低減したことで、コンクリート20の圧入時に鋼管10に作用する圧力を低減することができる。これにより、施工時に発生する作用圧力のために(構造耐力以上に)鋼管10の厚さを大きくするようなことを抑制することができる。これにより、材料のコストの低減を図ることができる。
【0089】
また、コンクリートの充填方法は、
前記コンクリート層(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)の各層の間に位置すると共に、粘性が付与された中間モルタル(第一中間モルタル32、第二中間モルタル33)を、前記コンクリート圧入工程のうち前記中間モルタル(第一中間モルタル32、第二中間モルタル33)の下方において隣接する層の前記コンクリート20(中層階用コンクリート22、低層階用コンクリート23)を圧入する工程(ステップS14、ステップS16)の前に、前記鋼管10の内部に圧入する中間モルタル圧入工程(ステップS13、ステップS15)を具備するものである。
【0090】
このような構成により、各層のコンクリート20が互いに混ざることを抑制することができる。
【0091】
また、前記先行モルタル31及び前記中間モルタル(第一中間モルタル32、第二中間モルタル33)は、
前記コンクリート層(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)のうち下方において隣接する層の前記コンクリート20よりも強度が高くなるように形成され、前記柱2において梁3が接合される接合部13に対応する位置に充填されるものである。
【0092】
このような構成により、柱2において、梁3が接合される部分の強度を向上させることができる。
【0093】
また、コンクリートの充填方法は、
前記コンクリート層(高層階用コンクリート21)の上方に位置する先行モルタル31と、前記コンクリート層(高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23)の各層の間に位置する中間モルタル(第一中間モルタル32、第二中間モルタル33)と、を前記鋼管10の内部に圧入する工程(ステップS11、ステップS13、ステップS15)を具備し、
前記先行モルタル31及び前記中間モルタル(第一中間モルタル32、第二中間モルタル33)の少なくとも一方に、膨張作用を付与させ、前記コンクリート20の天端のレベルの低下を抑制するものである。
【0094】
このような構成により、コンクリート20が自重で沈降することによるコンクリート20の天端のレベルの低下を抑制することができる。すなわち、先行モルタル31や中間モルタル(第一中間モルタル32、第二中間モルタル33)を膨張させることで、コンクリート20の天端のレベルが下がることを抑制することができる。
【0095】
また、本発明の一実施形態に係る柱2は、
本発明の一実施形態に係るコンクリートの充填方法により形成されたものである。
【0096】
このような構成により、施工のコストの低減を図ることができる。
【0097】
なお、本実施形態に係る高層階用コンクリート21、中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23は、本発明に係るコンクリートの一形態である。
また、本実施形態に係る第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33は、本発明に係る中間モルタルの一形態である。
【0098】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0099】
例えば、本実施形態では、建物1を30階程度の超高層ビルとした例を示したが、このような態様に限定されない。建物1としては、種々の階数のものを採用可能である。また、建物1としては、マンションやオフィスビル等に限定されず、倉庫や店舗等、種々の用途のものを採用可能である。
【0100】
また、本実施形態では、コンクリート20を、高層階用コンクリート21、前記中層階用コンクリート22及び低層階用コンクリート23の3層としたが、このような態様に限定されない。コンクリート20の層は、2層でもよく、4層以上でもよい。
【0101】
また、本実施形態では、各層のコンクリート20が互いに混ざることを抑制するために、中間モルタル(第一中間モルタル32、第二中間モルタル33)に粘性を付与しているが、上記中間モルタルだけでなく、先行モルタル31にも粘性を付与してもよい。
【0102】
また、本実施形態では、コンクリート20の各層の境界に、第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33を充填した例を示したが、このような態様に限定されない。例えば、第一中間モルタル32及び第二中間モルタル33に充填しないようにしてもよい。この場合は、強度が高く設定された低層側のコンクリート20を余分に充填するようにしてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、先行モルタル31を充填した例を示したが、このような態様に限定されない。例えば、先行モルタル31を充填せず、高層階用コンクリート21から圧入を開始するようにしてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、鋼管10にコンクリート20を充填する方法として、圧入工法を採用した例を示したが、このような態様に限られず、鋼管10の上部から挿入されたトレミー管を介してコンクリート20を落とし込む、落とし込み工法も採用可能である。この場合は、鋼管10にモルタル30を充填しなくてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10 鋼管
21 高層階用コンクリート
22 中層階用コンクリート
23 低層階用コンクリート
31 先行モルタル
32 第一中間モルタル
33 第二中間モルタル