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特開2024-51565コラーゲン産生促進剤、皮膚老化予防改善剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051565
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】コラーゲン産生促進剤、皮膚老化予防改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20240404BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240404BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240404BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 31/401 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240404BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20240404BHJP
   C07K 14/78 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q19/00
A61P43/00 111
A61P17/00
A61K31/198
A61P43/00 121
A61K31/401
A61K8/49
A23L33/175 ZNA
C07K14/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157800
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 千奈
(72)【発明者】
【氏名】奥野 凌輔
(72)【発明者】
【氏名】山羽 宏行
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B018MD19
4B018ME10
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD352
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZC52
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA53
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZC52
4C206ZC75
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA50
(57)【要約】
【課題】コラーゲン産生促進剤、皮膚老化予防改善剤を提供する。
【解決手段】本発明のセリン、アルギニン、プロリン及びアラニンは、優れたコラーゲン産生促進作用及び皮膚老化予防改善作用を有していた。よって、セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンを含有するコラーゲン産生促進剤、皮膚老化予防改善剤及びそれらを含有する化粧品、食品、医薬部外品及び医薬品に応用が可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンを含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
【請求項2】
アミノ酸として、セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンのみを含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
【請求項3】
セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンを含有することを特徴とする皮膚老化予防改善剤。
【請求項4】
アミノ酸として、セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンのみを含有することを特徴とする皮膚老化予防改善剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン産生促進剤及び皮膚老化予防改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、哺乳動物組織の約1/3を占める主要な構造タンパク質であり、皮膚、骨、軟骨、腱、靭帯等の、多くのマトリックス組織の必須な成分である。そのため、コラーゲン産生が低下することにより、様々な疾患の原因となることが知られている。
【0003】
セラミドは、スフィンゴ脂質の一種であり、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物群の総称である。セラミドは、細胞膜において高濃度で存在することが知られている。また、セラミドは、角質細胞間脂質の構成成分の一種であり、角化の過程において細胞外に分泌され、皮膚のバリア機能や水分保持能に重要な役割を果たしている。
【0004】
フィラグリンは、ケラトヒアリン顆粒の主成分であり、角質層上層に至る過程でアミノ酸に分解され、角質層の保湿性に重要な役割を果たすNMFの主体となる。角質層におけるNMFの減少は、その保湿性を低下させ乾燥を招く。尋常性魚鱗癬、老人性乾皮症、アトピー性皮膚炎等の角質層中ではアミノ酸が減少していることが知られているが、それらの皮膚ではフィラグリンの発現が低下していることが明らかにされている。したがって、角質層の保湿性維持の目的でNMFの産生を高めるためにはケラチノサイトにおけるフィラグリンの産生促進が重要であると考えられる。
【0005】
皮膚は紫外線の他、乾燥、寒冷、熱、薬物等の様々な物理的及び化学的ストレスに日々曝されている。その結果、皮膚の機能低下が引き起こされ、様々な皮膚の老化現象が顕在化する。皮膚の老化現象には、シワの形成、皮膚のたるみ、はりの低下、バリア機能の低下、角質層の保湿性の低下等がある。シワには、表皮性のシワと真皮性のシワの二種類が存在することが知られている。表皮性のシワは、セラミド及びNMFが減少することで、皮膚が乾燥し、表皮角質中の水分量が低下することで生じるシワである。そのため、表皮性のシワの予防改善には、セラミド及びフィラグリンの産生を促進させることが重要である。また、セラミド及びフィラグリンの産生を促進させることは、バリア機能の低下、角質層の保湿性の低下の予防改善にもなる。一方、真皮性のシワは、紫外線や加齢による真皮線維芽細胞におけるコラーゲン産生能の低下により生じるシワである。また、コラーゲン産生の低下は、皮膚のたるみ、はりの低下も生じさせる。そのため、真皮性のシワ、皮膚のたるみ、はりの低下の予防改善には、コラーゲンの産生を促進させることが重要である。セラミド、フィラグリン、コラーゲンの産生を促進させることは、上記作用により皮膚老化の予防改善に重要である。
【0006】
骨は、骨基質と呼ばれるコラーゲンを主体としたたんぱく質成分と骨塩と呼ばれるカルシウムやリンを主体としたミネラル成分からできている。骨基質であるコラーゲンは、骨の構造をつくり、骨を強くする役割を果たしている。さらに、コラーゲンが十分にないと、カルシウムを多く摂取してもカルシウムが骨に沈着せず、弱い骨となってしまう(非特許文献1)。そのため、コラーゲン産生を促進させることは、骨を丈夫にし、骨粗鬆症の予防改善に重要である。
【0007】
眼球は、眼窩プリーと呼ばれるコラーゲンを主体とした眼窩結合組織で囲まれ、安定して存在している。眼窩プリーは、加齢により菲薄化、断裂等が生じることが知られている。それにより、眼球の位置がずれ、サギングアイ症候群(加齢性斜視)となる(非特許文献2)。そのため、コラーゲン産生を促進させることは、サギングアイ症候群の予防改善に重要である。
【0008】
その他にも、コラーゲンの減少は、関節炎、腱鞘炎、歯肉退縮等の原因となることが知られている。また、創傷の治癒過程において、コラーゲンの産生量が亢進し、創傷の治癒を促進することが知られている。よって、コラーゲンの産生を促進させることは、関節炎、腱鞘炎、歯肉退縮の予防改善及び皮膚の創傷治癒にも有効である。
【0009】
本発明で用いられるセリン、アルギニン、プロリン及びアラニンは、タンパク質の構成アミノ酸であり、ヒトは通常セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンを含むタンパク質を食品から栄養素として摂取している。各アミノ酸は、単独では、セリンは、コラゲナーゼ産生促進剤(特許文献1)、アルギニンは、匂い増強剤(特許文献2)、プロリンは、タンパク質製剤の粘度を低下させるための使用(特許文献3)、アラニンは、抗肥満用組成物(特許文献4)が報告されている。しかし、セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンのみを組み合わせたアミノ酸組成物に関する報告はなく、コラーゲン産生促進剤及び皮膚老化予防改善剤として利用されていることは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10-1414
【特許文献2】特開2018-123252
【特許文献3】特表2013-518852
【特許文献4】特開2021-75577
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】札幌医科大学保健医療学部紀要 No.6(2003)1-8
【非特許文献2】神経眼科 No.32(2015)291-295
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
コラーゲン産生促進作用及び皮膚老化予防改善作用に優れた素材が望まれているが、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような事情により、本発明者らは鋭意検討した結果、セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンの組み合わせに優れたコラーゲン産生促進作用及び皮膚老化予防改善作用を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンを含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
(2)アミノ酸として、セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンのみを含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
(3)セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンを含有することを特徴とする皮膚老化予防改善剤。
(4)アミノ酸として、セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンのみを含有することを特徴とする皮膚老化予防改善剤。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に用いるセリンは、別名として2-アミノ-3-ヒドロキシプロピオン酸で呼ばれるアミノ酸である。本発明に用いるアルギニンは、別名として2-アミノ-5-グアニジノペンタン酸で呼ばれるアミノ酸である。本発明に用いるプロリンは、別名としてピロリジン-2-カルボン酸で呼ばれるアミノ酸である。本発明に用いるアラニンは、別名として2-アミノプロピオン酸、α―アラニンで呼ばれるアミノ酸である。セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンは、D-及びL-の光学異性体いずれを用いてもよい。また、コラーゲン産生促進効果及び皮膚老化予防改善効果を損なわないことを条件として、塩又は誘導体を使用してもよい。塩は、金属塩やアミン塩等があり、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、トリエチルアミン塩、ベンジルアミン塩等が挙げられる。誘導体は、セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンの分子が、アミノ基かカルボニル基、側鎖いずれかにおいて原子団と共有結合したものを指す。前記原子団は、N-フェニルアセチル基、4,4‘-ジメトキシトリチル基等の保護基、メチルエステル、エチルエステル、脂肪族エステル、芳香族エステル等のエステル基が含まれる。
【0016】
本発明のコラーゲン産生促進剤におけるコラーゲンは、皮膚、骨、軟骨、腱、靱帯等を構成するタンパク質のひとつで、細胞外マトリックスの主成分である。コラーゲンは機能や構造により型で分類されており、本発明におけるコラーゲンの型は特に限定されないが、I型、III型、V型のコラーゲンが、好ましくはI型のコラーゲンが、さらに好ましくは、皮膚に存在するI型のコラーゲンがよい。
【0017】
本発明の皮膚老化予防改善剤における皮膚老化は、加齢により、コラーゲン、フィラグリン、セラミドの産生が低下することでもたらされるシワの形成、皮膚のたるみ、はりの低下、バリア機能の低下、角質層の保湿性の低下のことである。
【0018】
本発明におけるセリン、アルギニン、プロリン及びアラニンは、コラーゲン産生を促進すること、及びコラーゲン、フィラグリン、セラミドの低下により生じる皮膚老化を予防改善することにより、シワの形成、皮膚のたるみ、はりの低下、バリア機能の低下、角質層の保湿性の低下、骨粗鬆症、サギングアイ症候群、関節炎、腱鞘炎、歯肉退縮等の疾患の抑制及び皮膚の創傷治癒ができる。
【0019】
本発明は、コラーゲン産生促進効果及び皮膚老化予防改善効果を損なわない範囲内で、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料、酸味料等の成分が含有されていてもよい。
【0020】
本発明は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品のいずれにも用いることができ、その剤形としては、例えば、軟膏、パップ剤、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤、坐剤、注射用溶液、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、錠菓、チョコレート、ガム、飴、飲料等が挙げられる。好ましくは、患部における試料局所濃度を高められるため、外用剤の形態がよい。
【0021】
外用の場合、本発明に用いるセリン、アルギニン、プロリン及びアラニンの含有量は、固形物に換算して各アミノ酸0.0001mM(mmol/L)以上が好ましく、0.001~1000mMがより好ましい。0.0001mM未満では十分な効果は望みにくい。1000mMを越えると、効果の増強は認められにくく不経済である。
【0022】
内用の場合、摂取量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なる。通常、成人1人当たりの1日の摂取量としては、各アミノ酸2mg/kg以上が好ましく、5~50mg/kgがより好ましい。
【0023】
本発明に用いるセリン、アルギニン、プロリン及びアラニンは、アミノ酸全量に対し、セリンを20~40重量%、アルギニンを20~40重量%、プロリンを20~30重量%、アラニンを10~25重量%の割合で組み合わせることが好ましい。また、他のアミノ酸を含まないことが好ましい。
【0024】
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いるコラーゲン産生促進剤の処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。処方例に示す%とは重量%を示す。
【実施例0025】
(処方例1)ローション
処方 含有量(重量%)
1.L-セリン 0.1
2.L-アルギニン 0.1
3.L-プロリン 0.1
4.L-アラニン 0.1
5.1,3-ブチレングリコール 8.0
6.グリセリン 2.0
7.キサンタンガム 0.02
8.クエン酸 0.01
9.クエン酸ナトリウム 0.1
10.エタノール 5.0
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
12.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
13.香料 0.1
14.精製水 残量
[製造方法]成分1~9及び14と、成分10~13をそれぞれ均一に溶解した後、両者を混合し濾過してローションを調製する。
【0026】
(処方例2)クリーム
処方 含有量(重量%)
1.L-セリン 0.5
2.L-アルギニン 0.9
3.L-プロリン 0.6
4.L-アラニン 0.4
5.スクワラン 5.5
6.オリーブ油 3.0
7.ステアリン酸 2.0
8.ミツロウ 2.0
9.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
10.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
11.ベヘニルアルコール 1.5
12.モノステアリン酸グリセリン 2.5
13.香料 0.1
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
15.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
16.1,3-ブチレングリコール 8.5
17.精製水 残量
[製造方法]成分5~12を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1~4及び14~17を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。次いで、油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分13を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0027】
(処方例3)乳液
処方 含有量(重量%)
1.L-セリン 0.003
2.L-アルギニン 0.003
3.L-プロリン 0.002
4.L-アラニン 0.002
5.スクワラン 5.0
6.オリーブ油 5.0
7.ホホバ油 5.0
8.セタノール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.0
10.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
11.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
12.香料 0.1
13.プロピレングリコール 1.0
14.グリセリン 2.0
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
16.精製水 残量
[製造方法]成分5~11を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1~4及び13~16を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分12を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0028】
(処方例4)ゲル剤
処方 含有量(重量%)
1.L-セリン 0.8
2.L-アルギニン 0.8
3.L-プロリン 0.8
4.L-アラニン 0.8
5.エタノール 5.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
8.香料 0.1
9.1,3-ブチレングリコール 5.0
10.グリセリン 5.0
11.キサンタンガム 0.1
12.カルボキシビニルポリマー 0.2
13.水酸化カリウム 0.2
14.精製水 残量
[製造方法]成分5~8と、成分1~4及び9~14をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
【0029】
(処方例5)軟膏
処方 含有量(重量%)
1.L-セリン 0.8
2.L-アルギニン 0.8
3.L-プロリン 0.8
4.L-アラニン 0.6
5.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
6.モノステアリン酸グリセリン 10.0
7.流動パラフィン 5.0
8.セタノール 6.0
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
10.プロピレングリコール 10.0
11.精製水 残量
[製造方法]成分5~9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1~4及び10、11を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0030】
(処方例6)散剤
処方 含有量(重量%)
1.L-セリン 5.0
2.L-アルギニン 5.0
3.L-プロリン 5.0
4.L-アラニン 5.0
5.乾燥コーンスターチ 25.0
6.微結晶セルロース 55.0
[製造方法]成分1~6を混合し、散剤とする。
【0031】
(処方例7)飲料
処方 含有量(重量%)
1.L-セリン 1.6
2.L-アルギニン 0.9
3.L-プロリン 1.2
4.L-アラニン 0.8
5.ステビア 0.05
6.リンゴ酸 5.0
7.アスコルビン酸ナトリウム 1.0
8.香料 0.1
9.精製水 残量
[製造方法]成分1~8を成分9の一部の精製水に撹拌溶解する。次いで、成分9の残りの精製水を加えて混合し、90℃に加熱して50mLのガラス瓶に充填する。
【0032】
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。
【実施例0033】
実験例1 コラーゲン産生促進効果の測定
ヒト皮膚線維芽細胞をφ60mm dishに播種し、コンフルエントになった後に、L-セリン、L-アルギニン、L-プロリン、L-アラニンをそれぞれ終濃度0.1mMになるように添加したアミノ酸不含有培地、又は上記4種のアミノ酸をそれぞれ終濃度0.025mMになるように、4種全てを混合した試料(以下、アミノ酸組成物1と記す)を添加したアミノ酸不含有培地で培養した。コントロールは試料未添加のアミノ酸不含有培地を使用した。24時間培養後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はRNAiso Plus(タカラバイオ)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(NanoDrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT-PCR法により行った。リアルタイムRT-PCR法には、High Capacity RNA-to-cDNA Kit(アプライドバイオシステムズ)及びSYBR Select Master Mix(ライフテクノロジーズ)を用いた。すなわち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:60秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、COL1A1(タイプIコラーゲン) mRNAの発現量を、内部標準であるGAPDH mRNAの発現量に対する割合として求めた。コラーゲン産生促進率を、コントロールのCOL1A1 mRNAの発現量に対する試料添加群のCOL1A1 mRNAの発現量の比率として算出した。尚、各遺伝子の発現量の測定に使用したプライマーは次の通りである。
【0034】
COL1A1用のプライマーセット
AGGACAAGAGGCATGTCTGGTT(配列番号1)
TTGCAGTGGTAGGTGATGTTCTG(配列番号2)
GAPDH用のプライマーセット
TGCACCACCAACTGCTTAGC(配列番号3)
TCTTCTGGGTGGCAGTGATG(配列番号4)
【0035】
実験結果を表1に示した。その結果、本発明のアミノ酸組成物1には、COL1A1発現促進効果が認められた。すなわち、本発明のアミノ酸組成物1は、コラーゲン産生促進作用を有することが示され、皮膚老化予防改善作用が示された。尚、アミノ酸組成物1は、アミノ酸単独で用いるよりも高い効果を有し、4種のアミノ酸を組み合わせることにより優れた効果が示された。
【0036】
【0037】
実験例2 セラミド産生促進効果及びフィラグリン産生促進効果の測定
ヒト皮膚角化細胞をφ60mm dishに播種し、コンフルエントになった後に、L-セリン、L-アルギニン、L-プロリン及びL-アラニンをそれぞれ終濃度1mMになるように4種全てを混合した試料(以下、アミノ酸組成物2と記す)を添加したアミノ酸不含有培地で培養した。コントロールは試料未添加のアミノ酸不含有培地を使用した。6時間培養後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はRNAiso Plus(タカラバイオ)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(NanoDrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT-PCR法により行った。リアルタイムRT-PCR法には、High Capacity RNA-to-cDNA Kit(アプライドバイオシステムズ)及びSYBR Select Master Mix(ライフテクノロジーズ)を用いた。すなわち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:60秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、セラミド合成の律速酵素であるSPT(セリンパルミトイルトランスフェラーゼ) mRNAの発現量又はFLG(フィラグリン) mRNAを、内部標準であるGAPDH mRNAの発現量に対する割合として求めた。セラミド産生促進率を、コントロールのSPT mRNAの発現量に対する試料添加群のSPT mRNAの発現量の比率として算出した。フィラグリン産生促進率を、コントロールのFLG mRNAの発現量に対する試料添加群のFLG mRNAの発現量の比率として算出した。尚、各遺伝子の発現量の測定に使用したプライマーは次の通りである。
【0038】
SPT用のプライマーセット
CAGCCTTGGTAAAGAGTGTG(配列番号5)
ATTTCCATAGATGATGAAGCCC(配列番号6)
FLG用のプライマーセット
GGATCACTTGGATATAGACCACAACA(配列番号7)
TGAGCCAACTTGAATACCATCAGA(配列番号8)
【0039】
実験結果を表2に示した。その結果、本発明のアミノ酸組成物2には、顕著なSPT発現促進効果及びFLG発現促進効果が認められた。すなわち、本発明のアミノ酸組成物2には、セラミド産生促進作用及びフィラグリン産生促進作用が示され、皮膚老化予防改善作用が示された。
【0040】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、セリン、アルギニン、プロリン及びアラニンを含有するコラーゲンの産生促進剤、皮膚老化予防改善剤として利用できる。また、これらを含有する化粧品、食品、医薬部外品、医薬品に利用できる。さらに、線維芽細胞のin vitroでの細胞培養における、コラーゲン産生促進方法又は培地へのコラーゲン産生促進用添加剤、角化細胞のin vitroでの細胞培養における、セラミド及び/又はフィラグリン産生促進方法又は培地へのセラミド及び/又はフィラグリン産生促進用添加剤として利用できる
【配列表】
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