(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051571
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】インナーフィン
(51)【国際特許分類】
F28F 1/40 20060101AFI20240404BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20240404BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20240404BHJP
F02M 26/29 20160101ALI20240404BHJP
【FI】
F28F1/40 N
F28F1/02 A
F28D1/053 A
F02M26/29 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157808
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220217
【氏名又は名称】東京ラヂエーター製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】諏訪下 大輔
【テーマコード(参考)】
3G062
3L103
【Fターム(参考)】
3G062ED08
3L103AA37
3L103BB17
3L103CC02
3L103CC27
3L103DD08
3L103DD32
3L103DD97
(57)【要約】
【課題】熱交換効率が向上されたインナーフィンを提供する。
【解決手段】インナーフィンは、流路方向に延びる複数条の突起が幅方向に連続して構成されている。突起は、流路方向に沿って直線状に延びる、二つの板部の一方との接触部を有する。突起は、流路方向と幅方向に直交する面方向から見て流路方向に沿って周期Tで規則的に変化する波形状である。突起の流路方向に直交する断面の形状が、二つの板部の他方から二つの板部の一方へと立ち上がり接触部に至る第一部と、接触部から二つの板部の他方に向かって立ち下がる第二部とを有する。基準断面と基準断面から周期T/2の部位の断面を除いた部分の突起の断面の形状は、第一部の接触部に至る曲線で構成される部位の曲率と、第二部の接触部から延びる曲線で構成される部位の曲率が異なる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器に組み込まれる対向する二つの板部の間に配置されるインナーフィンであって、
前記インナーフィンは、流路方向に延びる複数条の突起が幅方向に連続して構成されており、
前記突起は、前記流路方向に沿って直線状に延びる、前記二つの板部の一方との接触部を有し、
前記突起は、前記流路方向と前記幅方向に直交する面方向から見て前記流路方向に沿って周期Tで規則的に変化する波形状であり、
前記突起の前記流路方向に直交する断面の形状が、前記二つの板部の他方から前記二つの板部の前記一方へと立ち上がり前記接触部に至る第一部と、前記接触部から前記二つの板部の前記他方に向かって立ち下がる第二部とを有し、
前記第一部と前記第二部の形状が線対称となる前記断面を基準断面と呼ぶとき、
前記基準断面と前記基準断面から周期T/2の部位の断面を除いた部分の前記突起の前記断面の形状は、前記第一部の前記接触部に至る曲線で構成される部位の曲率と、前記第二部の前記接触部から延びる曲線で構成される部位の曲率が異なる、インナーフィン。
【請求項2】
前記基準断面の部位から前記基準断面から周期T/4の部位までの間において、
前記第一部の前記接触部に至る曲線で構成される部位の曲率は、前記流路方向に沿って増大し、
前記第二部の前記接触部から延びる曲線で構成される部位の曲率は、前記流路方向に沿って減少する、請求項1に記載のインナーフィン。
【請求項3】
前記接触部は、前記二つの板部の一方と線接触する、請求項1に記載のインナーフィン。
【請求項4】
前記流路方向からみて隣り合う前記突起と前記突起の間には隙間が設けられている、請求項1に記載のインナーフィン。
【請求項5】
前記突起の前記流路方向および前記幅方向に直交する断面は、曲線により形成された波形状を有している、請求項1に記載のインナーフィン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に組み込まれる対向する二つの板部の間に配置されるインナーフィンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、排気ガスの流れに直交する断面形状が矩形である流路が、長手方向へ進むに従い蛇行するように形成されている、熱交換器に組み込まれる扁平なチューブに内挿されるインナーフィンを開示している。
【0003】
特許文献2は、排気ガスの流れに直交する断面形状が波形である流路が、長手方向へ進むに従い横方向に凹凸状に起伏する蛇腹構造の壁面を有する、熱交換器に組み込まれる扁平なチューブに内挿されるインナーフィンを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-263616号公報
【特許文献2】特開2008-96048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のインナーフィンにおいては、断面形状が矩形の端面がチューブの内壁面に当接する接触部となるので、チューブの内壁面に対する接触部の接触面積が大きく、インナーフィンをチューブの内壁面にろう付けする範囲が広かった。これに対して、特許文献2では、断面形状が波形の屈曲部がチューブの内壁面に当接する接触部となるので、チューブの内壁面に対する接触部の接触面積をろう付けできる程度の接触面積とし、ろう付け範囲を極めて狭い範囲に限定している。しかしながら、特許文献2では、各流路の接触部に近い部分では、排気ガスの流れに直交する断面積が他の部分の断面積よりも小さくなり、他の部分に比べて、排気ガスが流れにくく熱交換率が低くなる。
【0006】
本開示の目的は、熱交換効率が向上されたインナーフィンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、熱交換器に組み込まれる対向する二つの板部の間に配置されるインナーフィンであって、
前記インナーフィンは、流路方向に延びる複数条の突起が幅方向に連続して構成されており、
前記突起は、前記流路方向に沿って直線状に延びる、前記二つの板部の一方との接触部を有し、
前記突起は、前記流路方向と前記幅方向に直交する面方向から見て前記流路方向に沿って周期Tで規則的に変化する波形状であり、
前記突起の前記流路方向に直交する断面の形状が、前記二つの板部の他方から前記二つの板部の前記一方へと立ち上がり前記接触部に至る第一部と、前記接触部から前記二つの板部の前記他方に向かって立ち下がる第二部とを有し、
前記第一部と前記第二部の形状が線対称となる前記断面を基準断面と呼ぶとき、
前記基準断面と前記基準断面から周期T/2の部位の断面を除いた部分の前記突起の前記断面の形状は、前記第一部の前記接触部に至る曲線で構成される部位の曲率と、前記第二部の前記接触部から延びる曲線で構成される部位の曲率が異なる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、熱交換効率が向上されたインナーフィンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るインナーフィンを用いた熱交換器の構成を例示する斜視図である。
【
図2】チューブとインナーフィンの構成を例示する正面図である。
【
図3】インナーフィンの構成例を示す斜視図である。
【
図4】インナーフィンの構成例を示す平面図である。
【
図6】
図5の位置A、Iにおける突起の断面図である。
【
図7】
図5の位置B、Hにおける突起の断面図である。
【
図8】
図5の位置C、Gにおける突起の断面図である。
【
図9】
図5の位置D、Fにおける突起の断面図である。
【
図10】
図5の位置Eにおける突起の断面図である。
【
図11】
図2のインナーフィンの一部を示す図である。
【
図12】
図2における線XIII-XIIIに沿う断面を矢印方向から見た構成を示す切断部端面図である。
【
図13】
図5の位置Aにおけるインナーフィンの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面においては、各要素を認識可能な大きさとするために縮尺が適宜変更されている。図面において、矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。これらの方向は、
図3に示されたインナーフィン10について設定された相対的な方向であり、排気ガスが流れる方向を前方向とする。
【0011】
図1は、本実施形態に係るインナーフィン10を用いたEGR(Exhaust Gas Recirculation)システム用の熱交換器20を例示している。
図1に例示されるように、熱交換器20のシェル21には、複数の扁平なチューブ22が組み込まれている。各チューブ22内には、インナーフィン10が挿入されている。
【0012】
シェル21の両端には、チューブ22に排気ガスを供給する入口ヘッダー23と、チューブ22を通過した排気ガスを導出する出口ヘッダー24とがそれぞれ取り付けられている。シェル21の入口側には、冷却水を供給する入ロパイプ25が接続されている。シェル21の出口側には、冷却水を導出する出ロパイプ26が接続されている。チューブ22に供給された排気ガスが複数のチューブ22に分岐してチューブ22の内部を通過するとともに、冷却水がチューブ22の外側とシェル21との間を流れることにより、排気ガスが冷却水と熱交換によって冷却される。
【0013】
図2に例示されるように、チューブ22は、平板状の上板部221、平板状の下板部222、および上板部221とした下板部222を連結する側板部223を有する。チューブ22の内部にインナーフィン10が設けられている。すなわち、インナーフィン10は、対向する上板部221と下板部222の間に配置されている。チューブ22の内部には、インナーフィン10により、複数の排気ガスが通過する流路224が、チューブ22の長手方向(本例においては、前後方向)に沿って形成されている。
【0014】
図3に例示されるように、インナーフィン10は、流路224が形成される方向(以下、流路方向A1と称する)に延びた、複数条の突起11を有している。複数条の突起11は、幅方向A2(本例においては、左右方向)に連続するように形成されている。
図3においては、流路方向A1に延びた5つの突起11が、上方に突出した状態で、幅方向A2に並んで形成された様子を示している。インナーフィン10は、一枚のSUS(ステンレス鋼)製などの板材をプレス成形などにより加工することにより形成される。
【0015】
各突起11は、上端において、チューブ22と接触する接触部111を有する。接触部111は、流路方向A1に沿って直線状に延びている。接触部111は、
図2に例示されるように、チューブ22の上板部221にろう付けされる。また、各突起11は、下端において、チューブ22と接触する接触部112を有する。接触部112は、流路方向A1に沿って直線状に延びている。接触部112は、
図2に例示されるように、チューブ22の下板部222にろう付けされる。このように突起11の接触部111および接触部112がチューブ22にろう付けされることにより、チューブ22の長手方向に沿って延びて、チューブ22の幅方向(本例においては、左右方向)に連続して並んだ複数の流路224が形成される。
【0016】
図4に例示されるように、各突起11は、流路方向A1と幅方向A2に直交する面方向(本例においては、上方)から見て流路方向に沿って周期Tで規則的に変化する波形状を有する。
【0017】
以下、
図5~
図10を用いて、突起11の波形状について詳細に説明する。
図5は
図4のV部の拡大図である。
図6~
図10は、
図5に示される周期T内の各位置A~Iにおける突起11の流路方向A1に直交する断面の形状を例示している。具体的には、
図6は、位置A,Iにおける突起11の断面の形状を例示している。
図7は、位置B,Hにおける突起11の断面の形状を例示している。
図8は、位置C,Gにおける突起11の断面の形状を例示している。
図9は、位置D,Fにおける突起11の断面の形状を例示している。
図10は、位置Eにおける突起11の断面の形状を例示している。なお、位置A~Iは、T/8ずつ異なった位置を示している。
【0018】
図6に例示されるように、突起11の断面形状は、第一部113と第二部114とを有する。第一部113は、チューブ22の下板部222の内壁面222Aから上板部221の内壁面221Aへと立ち上がり接触部111に至る。第二部114は、接触部111からチューブ22の下板部222の内壁面222Aに向かって立ち下がる。
【0019】
第一部113は、接触部111に至る曲線で構成される部位1131を有する。部位1131は、第一曲率半径R1を有する。部位1131の第一曲率半径R1、すなわち部位1131の曲率は、流路方向A1に沿って、周期Tで規則的に変化する。
【0020】
具体的には、
図6から
図10に示されるように、位置Aから位置Eまでの間では、部位1131は、第一曲率半径R1が流路方向A1に沿って減少する、すなわち、曲率が流路方向A1に沿って増大するように形成される。一方、位置Eから位置Iまでの間では、
図10から
図6に示されるように、部位1131は、第一曲率半径R1が流路方向A1に沿って増大する、すなわち、曲率が流路方向A1に沿って減少するように形成される。
【0021】
第二部114は、接触部111から延びる曲線で構成される部位1141を有する。部位1141は、第二曲率半径R2を有する。部位1141の第二曲率半径R2、すなわち部位1131の曲率は、流路方向A1に沿って、周期Tで規則的に変化する。
【0022】
具体的には、部位1141は、
図6から
図10に示されるように、位置Aから位置Eまでの間では、第二曲率半径R2が流路方向A1に沿って増大する、すなわち、曲率が流路方向A1に沿って減少するように形成される。一方、位置Eから位置Iまでの間では、
図10から
図6に示されるように、第二曲率半径R2が流路方向A1に沿って減少する、すなわち、曲率が流路方向A1に沿って増大するように形成される。
【0023】
第一部113と第二部114の形状は、
図8に例示されるように、位置C,Gにおいて、線対称となり、第一曲率半径R1と第二曲率半径R2は、同じ値を有する。位置Cにおける突起11の断面を基準断面と呼ぶとき、基準断面と位置Gにおける突起11の断面を除いた部分の突起11の断面の形状は、
図6,7,9,10に例示されるように、第一部113の部位1131の曲率と、第二部114の部位1141の曲率が異なる。
【0024】
例えば、位置Aと位置Bでは、第一曲率半径R1は、第二曲率半径R2より大きくなる。位置Cにおいて、第一曲率半径R1が第二曲率半径R2と同じになると、位置D、位置Eおよび位置Fでは、第一曲率半径R1は、第二曲率半径R2より小さくなる。そして、位置Gにおいて、第一曲率半径R1が第二曲率半径R2と同じになると、位置Hと位置Iでは、第一曲率半径R1は、第二曲率半径R2より大きくなる。
【0025】
第一曲率半径R1と第二曲率半径R2は、例えば、0.2mm以上に設定される。また、第一曲率半径R1と第二曲率半径R2は、例えば、同一断面において大きい側の曲率半径が小さい側の曲率半径の2倍以下となるように、設定される。例えば、第一曲率半径R1と第二曲率半径R2は、フィンピッチP(
図6)が6mmの場合、一方の曲率半径が0.4mmであり、他方の曲率半径が2.4mmとなるように設定される。なお、フィンピッチPは、隣り合う突起11間の距離である。
【0026】
ここで、チューブ22に対する接触部111のろう付け範囲を狭くするためには、例えば特許文献2のインナーフィンのように、接触部である屈曲部の曲率半径を小さくすることが考えられる。しかしながら、屈曲部付近では、流路方向に直交する断面積が他の部分の断面積よりも小さくなり熱交換率が低くなる。
【0027】
これに対して、本実施形態に係るインナーフィン10によれば、位置C,G以外の位置では、第一部113の部位1131の曲率と、第二部114の部位1141の曲率が異なる。換言すれば、接触部111を含む曲面は単一の曲率半径ではなく、接触部111を挟んで異なる曲率半径を有するように形成されている。したがって、接触部111付近の断面積が他の部分よりも小さくなることを抑制できる。これにより、突起11の断面の全領域において排気ガスが流れやすくなり、インナーフィン10全体としての熱交換効率が向上する。
【0028】
また、接触部111は流路方向A1に沿って直線状に延びているので、例えば板材に複数のインナーフィン10を形成した後に接触部111を切断して各インナーフィン10に切り分ける場合に、接触部111を切断しやすい。また、切り分けられたインナーフィン10の端部は直線状であるので、蛇行する端部を有するインナーフィンと比べて、チューブ22に内挿しやすい。
【0029】
また、本実施形態においては、
図2に例示されるように、接触部111、112は、チューブ22と線接触するように構成されている。具体的には、接触部111は、チューブ22の上板部221の内壁面と線接触する。接触部112は、チューブ22の下板部222の内壁面と線接触する。このような構成によれば、接触部111がチューブ22と面接触する場合に比べて、ろう材の使用量を少なくできる。
【0030】
また、本実施形態においては、
図11に例示されるように、インナーフィン10は、流路方向A1からみて隣り合う突起11と突起11の間には隙間Gが設けられるように構成されている。具体的には、幅方向A2における接触部111から第一部113の最大距離L1がP/2よりも小さくなるように形成される。また、幅方向における接触部111から第二部114の最大距離L2がP/2よりも小さくなるように形成される。このような構成によれば、突起11によってふさがれてない流路方向A1に貫通する流路が設けられるので、熱交換率を高められる。
【0031】
また、本実施形態においては、
図13に例示されるように、突起11の流路方向A1および幅方向A2に直交する断面(本例においては、平面断面)は、曲線により形成された波形状を有するように構成されている。具体的には、突起11の平面断面の形状は、波形状を有する第三部115と波形状を有する第四部116とを有する。第三部115は、突起11の内側(本例においては、左側)に突出する湾曲部115R1と、突起11の外側(本例においては、右側)に突出する湾曲部115R2とを有する。第四部116は、突起11の内側(本例においては、右側)に突出する湾曲部116R1と、突起11の外側(本例においては、左側)に突出する湾曲部116R2とを有する。第三部115の湾曲部115R1,115R2の曲率半径と第四部116の湾曲部116R1,116R2の曲率半径はそれぞれ、例えば1mm以上に設定される。
【0032】
ここで、突起11を流路方向A1に沿って左右に蛇行させることにより、突起11の表面積が増加し、熱交換効率が向上する。しかしながら、突起11内の流路224を流れる排気ガスが、流路224の内側に突出した凸部を越えることで、凹部には戻り方向の渦が発生し、この戻り渦により排気ガスに含まれる煤等が滞留し、壁面に堆積する問題がある。
【0033】
この問題に対して、例えば平面断面の形状を先端が尖った三角波形である蛇腹構造に形成することにより意図的に渦を発生させることが考えられる。しかしながら、本発明者は、このように意図的に渦を発生させるよりも、平面断面の形状を緩やかに曲線からなる波形状とすることにより、煤の滞留が抑制され、煤が流れやすくなることを発見した。
【0034】
すなわち、本実施形態に係るインナーフィン10によれば、突起11の平面断面の形状が湾曲部115R1,115R2,116R1,116R2からなる曲線により形成された波形状であるので、煤の滞留が抑制され、煤が流れやすくなり、煤の付着を防ぐことができる。
【0035】
また、本実施形態においては、
図13に例示されるように、突起11の第一部113は、接触部112に至る曲線で構成される部位1132を有する。部位1132は、第三曲率半径R3を有する。第三曲率半径R3は、第二曲率半径R2と同じ値を有しながら、流路方向A1に沿って、周期Tで規則的に変化する。突起11の第二部114は、接触部112に至る曲線で構成される部位1142を有する。部位1142は、第四曲率半径R4を有する。第四曲率半径R4は、第一曲率半径R1と同じ値を有しながら、流路方向A1に沿って、周期Tで規則的に変化する。このような構成によれば、隣り合う突起11に挟まれた下部空間が広がるので、隣り合う突起11に挟まれた空間の断面の全領域において排気ガスが流れやすくなり、インナーフィン10全体としての熱交換効率が向上する。
【0036】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0037】
上記の実施形態においては、熱交換器20は、排気ガスを冷却水で冷却するEGR(Exhaust Gas Recirculation)システム用の熱交換器である。しかしながら、熱交換器20は、例えば、排気ガスとは異なる流体を冷却する熱交換器として使用されうる。
【0038】
上記の実施形態においては、複数のインナーフィン10は、熱交換器20に組み込まれた複数のチューブ22内にそれぞれ挿入されている。しかしながら、熱交換器20は、例えば、仕切り板とインナーフィン10が交互に積み重ねられた構成を有してもよい。すなわち、熱交換器20は、インナーフィン10が対向する二つの仕切り板(二つの板部の一例)の間に配置された構成も採用しうる。この場合、インナーフィン10の左右方向の両端側には、二つの仕切り板を連結する連結板が形成されうる。
【符号の説明】
【0039】
10:インナーフィン
11:突起
20:熱交換器
21:シェル
22:チューブ
221:上板部
221A:内壁面
222:下板部
222A:内壁面
223:側板部
224:流路
23:入口ヘッダー
24:出口ヘッダー
25:入ロパイプ
26:出ロパイプ
111:接触部
112:接触部
113:第一部
1131:部位
1132:部位
114:第二部
1141:部位
1142:部位
115:第三部
115R1:湾曲部
115R2:湾曲部
116:第四部
116R1:湾曲部
116R2:湾曲部