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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051586
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】信号伝達装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20240404BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240404BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240404BHJP
   H03K 19/0175 20060101ALI20240404BHJP
   H03K 19/0944 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
H04L25/02 303B
H01L27/04 L
H01L27/04 U
H01L21/90 M
H03K19/0175 280
H03K19/0944
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157828
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 亮一
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
5J056
5K029
【Fターム(参考)】
5F033GG01
5F033GG02
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR21
5F033RR22
5F033TT02
5F033TT04
5F033UU04
5F033VV01
5F033VV03
5F033VV08
5F038AZ04
5F038BE07
5F038BG02
5F038BH09
5F038BH15
5F038CA05
5F038CA06
5F038CA10
5F038EZ02
5J056AA11
5J056BB32
5J056CC01
5J056CC03
5J056CC05
5J056CC14
5J056DD13
5J056DD26
5J056DD51
5J056DD52
5J056DD53
5J056FF08
5J056KK01
5J056KK02
5K029AA01
5K029JJ03
(57)【要約】
【課題】エッジ検出型の絶縁通信において出力デジタル信号のレベルの適正化等を図る。
【解決手段】入力デジタル信号(DIN)のレベルにおける第1及び第2エッジの検出を契機に第1及び第2検出パルスの生成を通じて第1及び第2メインパルスを第1及び第2ノード(ND1、ND2)に出力する。第1エッジの後、所定時間継続して第1及び第2エッジが非検出であるとき、周期的に第1更新パルスを第1ノードに対して出力し、且つ、第2エッジの後、所定時間継続して第1及び第2エッジが非検出であるとき、周期的に第2更新パルスを第2ノードに対して出力する。第1絶縁素子(1310)は第1ノードに対する出力信号の和信号にて駆動される。第2絶縁素子(1320)は第2ノードに対する出力信号の和信号にて駆動される。第1及び第2絶縁素子の駆動により生成される第1及び第2受信パルスに基づき出力デジタル信号(DOUT)を生成する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力デジタル信号のレベルが第1レベルから第2レベルへ切り替わる第1エッジ及び前記入力デジタル信号のレベルが前記第2レベルから前記第1レベルへ切り替わる第2エッジを検出するよう構成されたエッジ検出回路と、
前記第1エッジの検出を契機に第1検出パルスを生成し、前記第2エッジの検出を契機に第2検出パルスを生成するよう構成された検出パルス生成回路と、
前記第1検出パルスの生成を契機に第1メインパルスを第1ノードに対して出力し、前記第2検出パルスの生成を契機に第2メインパルスを第2ノードに対して出力するよう構成されたメインパルス出力回路と、
前記第1エッジの後、所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に第1更新パルスを前記第1ノードに対して出力し、且つ、前記第2エッジの後、前記所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に第2更新パルスを前記第2ノードに対して出力するよう構成された更新パルス出力回路と、
前記第1ノードに接続され、前記第1ノードに対する前記メインパルス出力回路の出力信号と前記第1ノードに対する前記更新パルス出力回路の出力信号との第1和信号にて駆動されるよう構成された第1絶縁素子と、
前記第2ノードに接続され、前記第2ノードに対する前記メインパルス出力回路の出力信号と前記第2ノードに対する前記更新パルス出力回路の出力信号との第2和信号にて駆動されるよう構成された第2絶縁素子と、
前記第1絶縁素子の駆動により前記第1絶縁素子にて生成される第1受信パルス及び前記第2絶縁素子の駆動により前記第2絶縁素子にて生成される第2受信パルスに基づき、出力デジタル信号を生成するよう構成された受信回路と、を備える
、信号伝達装置。
【請求項2】
各メインパルスにて各絶縁素子が駆動されるときの各受信パルスの強度は、各更新パルスにて各絶縁素子が駆動されるときの各受信パルスの強度よりも大きい
、請求項1に記載の信号伝達装置。
【請求項3】
前記受信回路は、前記第1受信パルス及び前記第2受信パルスを同時に受けたとき、前記第1受信パルス及び前記第2受信パルスの内、強度が大きい方の受信パルスに基づき前記出力デジタル信号のレベルを決定する
、請求項2に記載の信号伝達装置。
【請求項4】
前記メインパルス出力回路は、前記第1検出パルスの生成を契機に前記第1メインパルスを前記第1ノードに対して出力するよう構成された第1メインパルス用回路と、前記第2検出パルスの生成を契機に前記第2メインパルスを前記第2ノードに対して出力するよう構成された第2メインパルス用回路と、を有し、
前記更新パルス出力回路は、前記第1エッジの後、前記所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に前記第1更新パルスを前記第1ノードに対して出力するよう構成された第1更新パルス用回路と、前記第2エッジの後、前記所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に前記第2更新パルスを前記第2ノードに対して出力するよう構成された第2更新パルス用回路と、を有し、
各メインパルス用回路は、メインパルス用の定電流を用いて充電されるよう構成されたメインパルス用容量を有し、
各更新パルス用回路は、更新パルス用の定電流を用いて充電されるよう構成された更新パルス用容量を有し、
前記メインパルス出力回路は、前記第1メインパルス用回路における前記メインパルス用容量の蓄積電荷を前記第1ノードに向けて放出することで前記第1メインパルスを前記第1ノードに出力し、且つ、前記第2メインパルス用回路における前記メインパルス用容量の蓄積電荷を前記第2ノードに向けて放出することで前記第2メインパルスを前記第2ノードに出力し、
前記更新パルス出力回路は、前記第1更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を前記第1ノードに向けて放出することで前記第1更新パルスを前記第1ノードに出力し、且つ、前記第2更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を前記第2ノードに向けて放出することで前記第2更新パルスを前記第2ノードに出力する
、請求項1に記載の信号伝達装置。
【請求項5】
第1電流は第2電流よりも大きく、
前記第1電流は、前記第1メインパルスが前記第1ノードに出力されるときにおいて前記第1メインパルス用回路における前記メインパルス用容量から前記第1絶縁素子に供給される電流、又は、前記第2メインパルスが前記第2ノードに出力されるときにおいて前記第2メインパルス用回路における前記メインパルス用容量から前記第2絶縁素子に供給される電流であり、
前記第2電流は、前記第1更新パルスが前記第1ノードに出力されるときにおいて前記第1更新パルス用回路における前記更新パルス用容量から前記第1絶縁素子に供給される電流、又は、前記第2更新パルスが前記第2ノードに出力されるときにおいて前記第2更新パルス用回路における前記更新パルス用容量から前記第2絶縁素子に供給される電流である
、請求項4に記載の信号伝達装置。
【請求項6】
各メインパルス用容量の静電容量値が各更新パルス用容量の静電容量値よりも大きく設定されることで、前記第1電流が前記第2電流よりも大きくなる
、請求項5に記載の信号伝達装置。
【請求項7】
各メインパルス用容量を充電するための電源電圧が各更新パルス用容量を充電するための電源電圧よりも大きく設定されることで、前記第1電流が前記第2電流よりも大きくなる
、請求項5に記載の信号伝達装置。
【請求項8】
前記第1更新パルス用回路は、前記第1更新パルスを前記第1ノードに出力する際、前記第1更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を第1電流制限抵抗を介して前記第1ノードに放出し、
前記第2更新パルス用回路は、前記第2更新パルスを前記第2ノードに出力する際、前記第2更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を第2電流制限抵抗を介して前記第2ノードに放出し、
各電流制限抵抗での電圧降下により前記第2電流が前記第1電流より小さくなる
、請求項5に記載の信号伝達装置。
【請求項9】
前記第1更新パルス用回路は、前記第1更新パルスを前記第1ノードに出力する際、前記第1更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を前記第1ノードに向かう電路と他の電路とに分配して放出し、
前記第2更新パルス用回路は、前記第2更新パルスを前記第2ノードに出力する際、前記第2更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を前記第2ノードに向かう電路と更に他の電路とに分配して放出し、
各更新パルス用回路における前記分配により前記第2電流が前記第1電流より小さくなる
、請求項5に記載の信号伝達装置。
【請求項10】
前記第1電流が前記第2電流よりも大きいことにより、各メインパルスにて各絶縁素子が駆動されるときの各受信パルスの強度は、各更新パルスにて各絶縁素子が駆動されるときの各受信パルスの強度よりも大きく、前記受信回路は、前記第1受信パルス及び前記第2受信パルスを同時に受けたとき、前記第1受信パルス及び前記第2受信パルスの内、強度が大きい方の受信パルスに基づき前記出力デジタル信号のレベルを決定する
、請求項5~9の何れかに記載の信号伝達装置。
【請求項11】
前記エッジ検出回路、前記検出パルス生成回路、前記メインパルス出力回路及び前記更新パルス出力回路を含む一次側回路と、前記受信回路を含む二次側回路と、を備え、
各絶縁素子は前記一次側回路及び前記二次側回路間に設けられ、
前記二次側回路内において各絶縁素子により各受信パルスが生成される
、請求項1~9の何れかに記載の信号伝達装置。
【請求項12】
前記入力デジタル信号が前記第1レベルを有するとき、前記第1ノードに対する前記第1更新パルスの出力を抑止するよう構成された第1出力抑止素子と、
前記入力デジタル信号が前記第2レベルを有するとき、前記第2ノードに対する前記第2更新パルスの出力を抑止するよう構成された第2出力抑止素子と、を更に備える
、請求項1~9の何れかに記載の信号伝達装置。
【請求項13】
前記第1出力抑止素子は、前記第1ノード及びグランド間に接続され、且つ、前記入力デジタル信号が前記第1レベルを有するときにオンに制御される第1スイッチング素子にて構成され、
前記第2出力抑止素子は、前記第2ノード及びグランド間に接続され、且つ、前記入力デジタル信号が前記第2レベルを有するときにオンに制御される第2スイッチング素子にて構成される
、請求項12に記載の信号伝達装置。
【請求項14】
前記検出パルス生成回路と前記メインパルス出力回路との間に挿入された遅延回路を更に備え、
前記遅延回路により、前記第1検出パルスが生成されてから所定の第1遅延時間が経過した後に前記メインパルス出力回路から前記第1ノードに対して前記第1メインパルスが出力され、且つ、前記第2検出パルスが生成されてから所定の第2遅延時間が経過した後に前記メインパルス出力回路から前記第2ノードに対して前記第2メインパルスが出力される
、請求項1~9の何れかに記載の信号伝達装置。
【請求項15】
前記第1絶縁素子は、前記第1ノードに接続された第1入力側コイル及び前記第1入力側コイルに磁気結合された第1出力側コイルと、を有し、前記第1絶縁素子の駆動により前記第1出力側コイルに前記第1受信パルスが発生し、
前記第2絶縁素子は、前記第2ノードに接続された第2入力側コイル及び前記第2入力側コイルに磁気結合された第2出力側コイルと、を有し、前記第2絶縁素子の駆動により前記第2出力側コイルに前記第2受信パルスが発生する
、請求項1~9の何れかに記載の信号伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁素子を用いて信号を一次側から二次側に絶縁形式で伝達する信号伝達装置がある。当該信号伝達装置では、入力デジタル信号のレベルが第1レベルから第2レベルに変化したときに第1信号を二次側に送信し、且つ、入力デジタル信号のレベルが第2レベルから第1レベルに変化したときに第2信号を二次側に送信することで、二次側において入力デジタル信号を復元した出力デジタル信号を得ることができる(例えば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-188903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の信号伝達装置において、入力デジタル信号のレベルが長時間にわたり第1レベル又は第2レベルに維持されることがあり、この際、ノイズ等の影響により出力デジタル信号のレベルが本来のレベルからずれることがある。このようなずれを是正して出力デジタル信号のレベルを適正にする技術が求められる(従来の技術には改善の余地がある)。
【0005】
本開示は、出力デジタル信号のレベルの適正化等に寄与する信号伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る信号伝達装置は、入力デジタル信号のレベルが第1レベルから第2レベルへ切り替わる第1エッジ及び前記入力デジタル信号のレベルが前記第2レベルから前記第1レベルへ切り替わる第2エッジを検出するよう構成されたエッジ検出回路と、前記第1エッジの検出を契機に第1検出パルスを生成し、前記第2エッジの検出を契機に第2検出パルスを生成するよう構成された検出パルス生成回路と、前記第1検出パルスの生成を契機に第1メインパルスを第1ノードに対して出力し、前記第2検出パルスの生成を契機に第2メインパルスを第2ノードに対して出力するよう構成されたメインパルス出力回路と、前記第1エッジの後、所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に第1更新パルスを前記第1ノードに対して出力し、且つ、前記第2エッジの後、前記所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に第2更新パルスを前記第2ノードに対して出力するよう構成された更新パルス出力回路と、前記第1ノードに接続され、前記第1ノードに対する前記メインパルス出力回路の出力信号と前記第1ノードに対する前記更新パルス出力回路の出力信号との第1和信号にて駆動されるよう構成された第1絶縁素子と、前記第2ノードに接続され、前記第2ノードに対する前記メインパルス出力回路の出力信号と前記第2ノードに対する前記更新パルス出力回路の出力信号との第2和信号にて駆動されるよう構成された第2絶縁素子と、前記第1絶縁素子の駆動により前記第1絶縁素子にて生成される第1受信パルス及び前記第2絶縁素子の駆動により前記第2絶縁素子にて生成される第2受信パルスに基づき、出力デジタル信号を生成するよう構成された受信回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、出力デジタル信号のレベルの適正化等に寄与する信号伝達装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、信号伝達装置の基本構成を示す図である。
図2図2は、トランスチップの基本構造を示す図である。
図3図3は、2チャンネル型のトランスチップとして用いられる半導体装置の斜視図である。
図4図4は、図3に示す半導体装置の平面図である。
図5図5は、図3の半導体装置において低電位コイルが形成された層を示す平面図である。
図6図6は、図3の半導体装置において高電位コイルが形成された層を示す平面図である。
図7図7は、図6に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
図8図8は、図7に示す領域XIIIの拡大図(分離構造)を示す図である。
図9図9は、トランスチップのレイアウト例を模式的に示す図である。
図10図10は、応用構成に係る信号伝達装置の構成図である。
図11図11は、図10の信号伝達装置の内部構成図である。
図12図12は、図10の信号伝達装置における幾つかの信号波形を示す図である。
図13図13は、図10の信号伝達装置においてハイレベル用のリフレッシュ動作が行われるときの波形図である。
図14図14は、図10の信号伝達装置においてローレベル用のリフレッシュ動作が行われるときの波形図である。
図15図15は、図10の信号伝達装置に係り、第1衝突ケースの説明図である。
図16図16は、図10の信号伝達装置に係り、第2衝突ケースの説明図である。
図17図17は、図10の信号伝達装置に係り、トランスがパルス駆動されたときに生じる受信パルスを示す図である。
図18図18は、本開示の第1実施形態に属する実施例EX1_1に係り、信号伝達装置の一部回路図である。
図19図19は、本開示の第1実施形態に属する実施例EX1_2に係り、信号伝達装置の一部回路図である。
図20図20は、本開示の第1実施形態に属する実施例EX1_3に係り、信号伝達装置の一部回路図である。
図21図21は、本開示の第1実施形態に属する実施例EX1_4に係り、信号伝達装置の一部回路図である。
図22図22は、本開示の第1実施形態に属する実施例EX1_5に係り、信号伝達装置の一部回路図である。
図23図23は、本開示の第1実施形態に属する実施例EX1_6に係り、信号伝達装置の一部回路図である。
図24図24は、本開示の第2実施形態に係り、信号伝達装置の一部回路図である。
図25図25は、本開示の第2実施形態との対比に供される参考構成に係る信号波形図である。
図26図26は、本開示の第2実施形態に係る信号波形図である。
図27図27は、本開示の第3実施形態に係る信号伝達装置の内部構成図である。
図28図28は、本開示の第3実施形態に係る信号波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<信号伝達装置(基本構成)>
図1は、信号伝達装置の基本構成を示す図である。本構成例の信号伝達装置200は、一次回路系200p(VCC1-GND1系)と二次回路系200s(VCC2-GND2系)との間を絶縁しつつ、一次回路系200pから二次回路系200sにパルス信号を伝達し、二次回路系200sに設けられたスイッチ素子(不図示)のゲートを駆動する半導体集積回路装置(いわゆる絶縁ゲートドライバIC)である。例えば、信号伝達装置200は、コントローラチップ210と、ドライバチップ220と、トランスチップ230と、を単一のパッケージに封止して成る。
【0010】
コントローラチップ210は、電源電圧VCC1(例えばGND1基準で最大7V)の供給を受けて動作する半導体チップである。コントローラチップ210には、例えば、パルス送信回路211と、バッファ212及び213が集積されている。
【0011】
パルス送信回路211は、入力パルス信号INに応じて送信パルス信号S11及びS21を生成するパルスジェネレータである。より具体的に述べると、パルス送信回路211は、入力パルス信号INがハイレベルである旨を通知するときには、送信パルス信号S11のパルス駆動(単発または複数発の送信パルス出力)を行い、入力パルス信号INがローレベルである旨を通知するときには、送信パルス信号S21のパルス駆動を行う。すなわち、パルス送信回路211は、入力パルス信号INの論理レベルに応じて、送信パルス信号S11及びS21のいずれか一方をパルス駆動する。
【0012】
バッファ212は、パルス送信回路211から送信パルス信号S11の入力を受けて、トランスチップ230(具体的にはトランス231)をパルス駆動する。
【0013】
バッファ213は、パルス送信回路211から送信パルス信号S21の入力を受けて、トランスチップ230(具体的にはトランス232)をパルス駆動する。
【0014】
ドライバチップ220は、電源電圧VCC2(例えばGND2基準で最大30V)の供給を受けて動作する半導体チップである。ドライバチップ220には、例えば、バッファ221及び222と、パルス受信回路223と、ドライバ224が集積されている。
【0015】
バッファ221は、トランスチップ230(具体的にはトランス231)に誘起される受信パルス信号S12を波形整形してパルス受信回路223に出力する。
【0016】
バッファ222は、トランスチップ230(具体的にはトランス232)に誘起される受信パルス信号S22を波形整形してパルス受信回路223に出力する。
【0017】
パルス受信回路223は、バッファ221及び222を介して入力される受信パルス信号S12及びS22に応じてドライバ224を駆動することにより出力パルス信号OUTを生成する。より具体的に述べると、パルス受信回路223は、受信パルス信号S12のパルス駆動を受けて出力パルス信号OUTをハイレベルに立ち上げる一方、受信パルス信号S22のパルス駆動を受けて出力パルス信号OUTをローレベルに立ち下げるようにドライバ224を駆動する。すなわち、パルス受信回路223は、入力パルス信号INの論理レベルに応じて出力パルス信号OUTの論理レベルを切り替える。なお、パルス受信回路223としては、例えば、RSフリップフロップを好適に用いることができる。
【0018】
ドライバ224は、パルス受信回路223の駆動制御に基づいて出力パルス信号OUTを生成する。
【0019】
トランスチップ230は、トランス231及び232を用いてコントローラチップ210とドライバチップ220との間を直流的に絶縁しつつ、パルス送信回路211から入力される送信パルス信号S11及びS21をそれぞれ受信パルス信号S12及びS22としてパルス受信回路223に出力する。なお、本明細書中において、「直流的に絶縁する」とは、絶縁すべき対象物が導体では接続されていないということである。
【0020】
より具体的に述べると、トランス231は、一次側コイル231pに入力される送信パルス信号S11に応じて、二次側コイル231sから受信パルス信号S12を出力する。一方、トランス232は、一次側コイル232pに入力される送信パルス信号S21に応じて、二次側コイル232sから受信パルス信号S22を出力する。
【0021】
このように、絶縁間通信に用いられるスパイラルコイルの特性上、入力パルス信号INは、2本の送信パルス信号S11及びS21(=ライズ信号及びフォール信号に相当)に分離された後、2つのトランス231及び232を介して一次回路系200pから二次回路系200sに伝達される。
【0022】
なお、本構成例の信号伝達装置200は、コントローラチップ210及びドライバチップ220とは別に、トランス231及び232のみを搭載するトランスチップ230を独立に有しており、これら3つのチップを単一のパッケージに封止して成る。
【0023】
このような構成とすることにより、コントローラチップ210、及び、ドライバチップ220については、いずれも一般の低耐圧~中耐圧プロセス(数V~数十V耐圧)で形成することができるので、専用の高耐圧プロセス(数kV耐圧)を用いる必要がなくなり、製造コストを低減することが可能となる。
【0024】
なお、信号伝達装置200は、例えば、車両に搭載される車載機器の電源装置またはモータ駆動装置などで好適に利用することができる。上記の車両には、エンジン車のほか、電動車(BEV[battery electric vehicle]、HEV[hybrid electric vehicle」、PHEV/PHV(plug-in hybrid electric vehicle/plug-in hybrid vehicle]、又は、FCEV/FCV(fuel cell electric vehicle/fuel cell vehicle]などのxEV)も含まれる。
【0025】
<トランスチップ(基本構造)>
次に、トランスチップ230の基本構造について説明する。図2は、トランスチップ230の基本構造を示す図である。本図のトランスチップ230において、トランス231は、上下方向に対向する一次側コイル231pと二次側コイル231sを含む。トランス232は、上下方向に対向する一次側コイル232pと二次側コイル232sを含む。
【0026】
一次側コイル231p及び232pは、いずれも、トランスチップ230の第1配線層(下層)230aに形成されている。二次側コイル231s及び232sは、いずれも、トランスチップ230の第2配線層(本図では上層)230bに形成されている。なお、二次側コイル231sは、一次側コイル231pの直上に配置され、一次側コイル231pに対向している。また、二次側コイル232sは、一次側コイル232pの直上に配置され、一次側コイル232pに対向している。
【0027】
一次側コイル231pは、内部端子X21に接続された第1端を始点として、内部端子X21の周囲を時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が内部端子X22に接続されている。一方、一次側コイル232pは、内部端子X23に接続された第1端を始点として、内部端子X23の周囲を反時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が内部端子X22に接続されている。内部端子X21、X22及びX23は、図示の順で直線的に配列されている。
【0028】
内部端子X21は、導電性の配線Y21及びビアZ21を介して、第2層230bの外部端子T21に接続されている。内部端子X22は、導電性の配線Y22及びビアZ22を介して、第2層230bの外部端子T22に接続されている。内部端子X23は、導電性の配線Y23及びビアZ23を介して、第2層230bの外部端子T23に接続されている。なお、外部端子T21~T23は、直線的に並べて配置されており、コントローラチップ210とのワイヤボンディングに用いられる。
【0029】
二次側コイル231sは、外部端子T24に接続された第1端を始点として、外部端子T24の周囲を反時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が外部端子T25に接続されている。一方、二次側コイル232sは、外部端子T26に接続された第1端を始点として、外部端子T26の周囲を時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が外部端子T25に接続されている。なお、外部端子T24、T25及びT26は、図示の順で直線的に並べて配置されており、ドライバチップ220とのワイヤボンディングに用いられる。
【0030】
二次側コイル231s及び232sは、それぞれ、磁気結合によって一次側コイル231p及び232pに交流接続されると共に、一次側コイル231p及び232pから直流絶縁されている。すなわち、ドライバチップ220は、トランスチップ230を介してコントローラチップ210に交流接続されると共に、トランスチップ230によりコントローラチップ210から直流絶縁されている。
【0031】
<トランスチップ(2チャンネル型)>
図3は、2チャンネル型のトランスチップとして用いられる半導体装置5を示す斜視図である。図4は、図3に示す半導体装置5の平面図である。図5は、図3に示す半導体装置5において低電位コイル22(=トランスの一次側コイルに相当)が形成された層を示す平面図である。図6は、図3に示す半導体装置5において高電位コイル23(=トランスの二次側コイルに相当)が形成された層を示す平面図である。図7は、図6に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。図8は、図7に示す領域XIIIの拡大図であって、分離構造130を示す図である。
【0032】
図3図7を参照して、半導体装置5は、直方体形状の半導体チップ41を含む。半導体チップ41は、シリコン、ワイドバンドギャップ半導体および化合物半導体のうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
ワイドバンドギャップ半導体は、シリコンのバンドギャップ(約1.12eV)を超える半導体からなる。ワイドバンドギャップ半導体のバンドギャップは、2.0eV以上であることが好ましい。ワイドバンドギャップ半導体は、SiC(炭化シリコン)であってもよい。化合物半導体は、III-V族化合物半導体であってもよい。化合物半導体は、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)、GaN(窒化ガリウム)およびGaAs(ヒ化ガリウム)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0034】
半導体チップ41は、この形態では、シリコン製の半導体基板を含む。半導体チップ41は、シリコン製の半導体基板およびシリコン製のエピタキシャル層を含む積層構造を有するエピタキシャル基板であってもよい。半導体基板の導電型は、n型またはp型であってもよい。エピタキシャル層は、n型またはp型であってもよい。
【0035】
半導体チップ41は、一方側の第1主面42、他方側の第2主面43、及び、第1主面42並びに第2主面43を接続するチップ側壁44A~44Dを有している。第1主面42及び第2主面43は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という)において、四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0036】
チップ側壁44A~44Dは、第1チップ側壁44A、第2チップ側壁44B、第3チップ側壁44Cおよび第4チップ側壁44Dを含む。第1チップ側壁44Aおよび第2チップ側壁44Bは、半導体チップ41の長辺を形成している。第1チップ側壁44Aおよび第2チップ側壁44Bは、第1方向Xに沿って延び、第2方向Yに対向している。第3チップ側壁44Cおよび第4チップ側壁44Dは、半導体チップ41の短辺を形成している。第3チップ側壁44Cおよび第4チップ側壁44Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。チップ側壁44A~44Dは、研削面からなる。
【0037】
半導体装置5は、半導体チップ41の第1主面42の上に形成された絶縁層51をさらに含む。絶縁層51は、絶縁主面52および絶縁側壁53A~53Dを有している。絶縁主面52は、平面視において第1主面42に整合する四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。絶縁主面52は、第1主面42に対して平行に延びている。
【0038】
絶縁側壁53A~53Dは、第1絶縁側壁53A、第2絶縁側壁53B、第3絶縁側壁53Cおよび第4絶縁側壁53Dを含む。絶縁側壁53A~53Dは、絶縁主面52の周縁から半導体チップ41に向けて延び、チップ側壁44A~44Dに連なっている。絶縁側壁53A~53Dは、具体的には、チップ側壁44A~44Dに対して面一に形成されている。絶縁側壁53A~53Dは、チップ側壁44A~44Dに面一な研削面を形成している。
【0039】
絶縁層51は、最下絶縁層55、最上絶縁層56および複数(この形態では11層)の層間絶縁層57を含む多層絶縁積層構造からなる。最下絶縁層55は、第1主面42を直接被覆する絶縁層である。最上絶縁層56は、絶縁主面52を形成する絶縁層である。複数の層間絶縁層57は、最下絶縁層55および最上絶縁層56の間に介在する絶縁層である。最下絶縁層55は、この形態では、酸化シリコンを含む単層構造を有している。最上絶縁層56は、この形態では、酸化シリコンを含む単層構造を有している。最下絶縁層55の厚さおよび最上絶縁層56の厚さは、それぞれ1μm以上3μm以下(たとえば2μm程度)であってもよい。
【0040】
複数の層間絶縁層57は、最下絶縁層55側の第1絶縁層58および最上絶縁層56側の第2絶縁層59を含む積層構造をそれぞれ有している。第1絶縁層58は、窒化シリコンを含んでいてもよい。第1絶縁層58は、第2絶縁層59に対するエッチングストッパ層として形成されている。第1絶縁層58の厚さは、0.1μm以上1μm以下(たとえば0.3μm程度)であってもよい。
【0041】
第2絶縁層59は、第1絶縁層58の上に形成されている。第1絶縁層58とは異なる絶縁材料を含む。第2絶縁層59は、酸化シリコンを含んでいてもよい。第2絶縁層59の厚さは、1μm以上3μm以下(たとえば2μm程度)であってもよい。第2絶縁層59の厚さは、第1絶縁層58の厚さを超えていることが好ましい。
【0042】
絶縁層51の総厚さDTは、5μm以上50μm以下であってもよい。絶縁層51の総厚さDT及び層間絶縁層57の積層数は任意であって、実現すべき絶縁耐圧(絶縁破壊耐量)に応じて調整される。また、最下絶縁層55、最上絶縁層56および層間絶縁層57の絶縁材料は任意であり、特定の絶縁材料に限定されない。
【0043】
半導体装置5は、絶縁層51に形成された第1機能デバイス45を含む。第1機能デバイス45は、1つ又は複数(この形態では複数)の変圧器21(先出のトランスに相当)を含む。つまり、半導体装置5は、複数の変圧器21を含むマルチチャネル型デバイスである。複数の変圧器21は、絶縁側壁53A~53Dから間隔を空けて絶縁層51の内方部に形成されている。複数の変圧器21は、第1方向Xに間隔を空けて形成されている。
【0044】
複数の変圧器21は、具体的には、平面視において絶縁側壁53C側から絶縁側壁53D側に向けてこの順に形成された第1変圧器21A、第2変圧器21B、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dを含む。複数の変圧器21A~21Dは、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第1変圧器21Aの構造を例にとって説明する。第2変圧器21B、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dの構造の説明については、第1変圧器21Aの構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0045】
図5図7を参照して、第1変圧器21Aは、低電位コイル22および高電位コイル23を含む。低電位コイル22は、絶縁層51内に形成されている。高電位コイル23は、法線方向Zに低電位コイル22と対向するように絶縁層51内に成されている。低電位コイル22および高電位コイル23は、この形態では、最下絶縁層55および最上絶縁層56に挟まれた領域(つまり複数の層間絶縁層57)に形成されている。
【0046】
低電位コイル22は、絶縁層51内において最下絶縁層55(半導体チップ41)側に形成されており、高電位コイル23は、絶縁層51内において低電位コイル22に対して最上絶縁層56(絶縁主面52)側に形成されている。つまり、高電位コイル23は、低電位コイル22を挟んで半導体チップ41に対向している。低電位コイル22および高電位コイル23の配置箇所は任意である。また、高電位コイル23は、1層以上の層間絶縁層57を挟んで低電位コイル22に対向していればよい。
【0047】
低電位コイル22及び高電位コイル23の間の距離(つまり層間絶縁層57の積層数)は、低電位コイル22及び高電位コイル23の間の絶縁耐圧及び電界強度に応じて適宜調整される。低電位コイル22は、この形態では、最下絶縁層55側から数えて3層目の層間絶縁層57に形成されている。高電位コイル23は、この形態では、最上絶縁層56側から数えて1層目の層間絶縁層57に形成されている。
【0048】
低電位コイル22は、層間絶縁層57において第1絶縁層58及び第2絶縁層59を貫通して埋め込まれている。低電位コイル22は、第1内側末端24、第1外側末端25、ならびに、第1内側末端24および第1外側末端25の間を螺旋状に引き回された第1螺旋部26を含む。第1螺旋部26は、平面視において楕円形状(長円形状)に延びる螺旋状に引き回されている。第1螺旋部26の最内周縁を形成する部分は、平面視において楕円形状の第1内側領域66を区画している。
【0049】
第1螺旋部26の巻回数は、5以上30以下であってもよい。第1螺旋部26の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1螺旋部26の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第1螺旋部26の幅は、螺旋方向に直交する方向の幅によって定義される。第1螺旋部26の第1巻回ピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1巻回ピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第1巻回ピッチは、第1螺旋部26において螺旋方向に直交する方向に隣り合う2つの部分の間の距離によって定義される。
【0050】
第1螺旋部26の巻回形状及び第1内側領域66の平面形状は任意であり、図5などに示される形態に限定されない。第1螺旋部26は、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に巻回されていてもよい。第1内側領域66は、第1螺旋部26の巻回形状に応じて、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に区画されていてもよい。
【0051】
低電位コイル22は、チタン、窒化チタン、銅、アルミニウム及びタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。低電位コイル22は、バリア層および本体層を含む積層構造を有していてもよい。バリア層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。バリア層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。本体層は、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0052】
高電位コイル23は、層間絶縁層57において第1絶縁層58及び第2絶縁層59を貫通して埋め込まれている。高電位コイル23は、第2内側末端27、第2外側末端28、ならびに、第2内側末端27および第2外側末端28の間を螺旋状に引き回された第2螺旋部29を含む。第2螺旋部29は、平面視において楕円形状(長円形状)に延びる螺旋状に引き回されている。第2螺旋部29の最内周縁を形成する部分は、この形態では、平面視において楕円形状の第2内側領域67を区画している。第2螺旋部29の第2内側領域67は、法線方向Zに第1螺旋部26の第1内側領域66に対向している。
【0053】
第2螺旋部29の巻回数は、5以上30以下であってもよい。第1螺旋部26の巻回数に対する第2螺旋部29の巻回数は、昇圧すべき電圧値に応じて調整される。第2螺旋部29の巻回数は、第1螺旋部26の巻回数を超えていることが好ましい。むろん、第2螺旋部29の巻回数は、第1螺旋部26の巻回数未満であってもよいし、第1螺旋部26の巻回数と等しくてもよい。
【0054】
第2螺旋部29の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2螺旋部29の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第2螺旋部29の幅は、螺旋方向に直交する方向の幅によって定義される。第2螺旋部29の幅は、第1螺旋部26の幅と等しいことが好ましい。
【0055】
第2螺旋部29の第2巻回ピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2巻回ピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第2巻回ピッチは、第2螺旋部29において螺旋方向に直交する方向に隣り合う2つの部分の間の距離によって定義される。第2巻回ピッチは、第1螺旋部26の第1巻回ピッチと等しいことが好ましい。
【0056】
第2螺旋部29の巻回形状及び第2内側領域67の平面形状は任意であり、図6などに示される形態に限定されない。第2螺旋部29は、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に巻回されていてもよい。第2内側領域67は、第2螺旋部29の巻回形状に応じて、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に区画されていてもよい。
【0057】
高電位コイル23は、低電位コイル22と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。つまり、高電位コイル23は、低電位コイル22と同様に、バリア層および本体層を含むことが好ましい。
【0058】
図4を参照して、半導体装置5は、複数(本図では12個)の低電位端子11、及び、複数(本図では12個)の高電位端子12を含む。複数の低電位端子11は、対応する変圧器21A~21Dの低電位コイル22にそれぞれ電気的に接続されている。複数の高電位端子12は、対応する変圧器21A~21Dの高電位コイル23にそれぞれ電気的に接続されている。
【0059】
複数の低電位端子11は、絶縁層51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の低電位端子11は、具体的には、複数の変圧器21A~21Dから第2方向Yに間隔を空けて絶縁側壁53B側の領域に形成され、第1方向Xに間隔を空けて配列されている。
【0060】
複数の低電位端子11は、第1低電位端子11A、第2低電位端子11B、第3低電位端子11C、第4低電位端子11D、第5低電位端子11Eおよび第6低電位端子11Fを含む。複数の低電位端子11A~11Fは、この形態では、2個ずつそれぞれ形成されている。複数の低電位端子11A~11Fの個数は任意である。
【0061】
第1低電位端子11Aは、平面視において第2方向Yに第1変圧器21Aに対向している。第2低電位端子11Bは、平面視において第2方向Yに第2変圧器21Bに対向している。第3低電位端子11Cは、平面視において第2方向Yに第3変圧器21Cに対向している。第4低電位端子11Dは、平面視において第2方向Yに第4変圧器21Dに対向している。第5低電位端子11Eは、平面視において第1低電位端子11Aおよび第2低電位端子11Bの間の領域に形成されている。第6低電位端子11Fは、平面視において第3低電位端子11Cおよび第4低電位端子11Dの間の領域に形成されている。
【0062】
第1低電位端子11Aは、第1変圧器21A(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第2低電位端子11Bは、第2変圧器21B(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第3低電位端子11Cは、第3変圧器21C(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第4低電位端子11Dは、第4変圧器21D(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。
【0063】
第5低電位端子11Eは、第1変圧器21A(低電位コイル22)の第1外側末端25および第2変圧器21B(低電位コイル22)の第1外側末端25に電気的に接続されている。第6低電位端子11Fは、第3変圧器21C(低電位コイル22)の第1外側末端25および第4変圧器21D(低電位コイル22)の第1外側末端25に電気的に接続されている。
【0064】
複数の高電位端子12は、複数の低電位端子11から間隔を空けて絶縁層51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の高電位端子12は、具体的には、複数の低電位端子11から第2方向Yに間隔を空けて絶縁側壁53A側の領域に形成され、第1方向Xに間隔を空けて配列されている。
【0065】
複数の高電位端子12は、平面視において対応する変圧器21A~21Dに近接する領域にそれぞれ形成されている。高電位端子12が変圧器21A~21Dに近接するとは、平面視において高電位端子12および変圧器21の間の距離が、低電位端子11および高電位端子12の間の距離未満であることを意味する。
【0066】
複数の高電位端子12は、具体的には、平面視において第1方向Xに沿って複数の変圧器21A~21Dと対向するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。複数の高電位端子12は、さらに具体的には、平面視において高電位コイル23の第2内側領域67および隣り合う高電位コイル23の間の領域に位置するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。これにより、複数の高電位端子12は、平面視において第1方向Xに複数の変圧器21A~21Dと一列に並んで配列されている。
【0067】
複数の高電位端子12は、第1高電位端子12A、第2高電位端子12B、第3高電位端子12C、第4高電位端子12D、第5高電位端子12Eおよび第6高電位端子12Fを含む。複数の高電位端子12A~12Fは、この形態では、2個ずつそれぞれ形成されている。複数の高電位端子12A~12Fの個数は任意である。
【0068】
第1高電位端子12Aは、平面視において第1変圧器21A(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第2高電位端子12Bは、平面視において第2変圧器21B(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第3高電位端子12Cは、平面視において第3変圧器21C(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第4高電位端子12Dは、平面視において第4変圧器21D(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第5高電位端子12Eは、平面視において第1変圧器21Aおよび第2変圧器21Bの間の領域に形成されている。第6高電位端子12Fは、平面視において第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dの間の領域に形成されている。
【0069】
第1高電位端子12Aは、第1変圧器21A(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第2高電位端子12Bは、第2変圧器21B(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第3高電位端子12Cは、第3変圧器21C(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第4高電位端子12Dは、第4変圧器21D(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。
【0070】
第5高電位端子12Eは、第1変圧器21A(高電位コイル23)の第2外側末端28および第2変圧器21B(高電位コイル23)の第2外側末端28に電気的に接続されている。第6高電位端子12Fは、第3変圧器21C(高電位コイル23)の第2外側末端28および第4変圧器21D(高電位コイル23)の第2外側末端28に電気的に接続されている。
【0071】
図5図7を参照して、半導体装置5は、絶縁層51内にそれぞれ形成された第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33及び第2高電位配線34を含む。この形態では、複数の第1低電位配線31、複数の第2低電位配線32、複数の第1高電位配線33および複数の第2高電位配線34が形成されている。
【0072】
第1低電位配線31および第2低電位配線32は、第1変圧器21Aの低電位コイル22および第2変圧器21Bの低電位コイル22を同電位に固定している。また、第1低電位配線31および第2低電位配線32は、第3変圧器21Cの低電位コイル22および第4変圧器21Dの低電位コイル22を同電位に固定している。第1低電位配線31および第2低電位配線32は、この形態では、変圧器21A~21Dの全ての低電位コイル22を同電位に固定している。
【0073】
第1高電位配線33および第2高電位配線34は、第1変圧器21Aの高電位コイル23および第2変圧器21Bの高電位コイル23を同電位に固定している。また、第1高電位配線33および第2高電位配線34は、第3変圧器21Cの高電位コイル23および第4変圧器21Dの高電位コイル23を同電位に固定している。第1高電位配線33および第2高電位配線34は、この形態では、変圧器21A~21Dの全ての高電位コイル23を同電位に固定している。
【0074】
複数の第1低電位配線31は、対応する低電位端子11A~11Dおよび対応する変圧器21A~21D(低電位コイル22)の第1内側末端24にそれぞれ電気的に接続されている。複数の第1低電位配線31は、同様の構造を有している。以下では、第1低電位端子11Aおよび第1変圧器21Aに接続された第1低電位配線31の構造を例にとって説明する。他の第1低電位配線31の構造の説明については、第1変圧器21Aに接続された第1低電位配線31の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0075】
第1低電位配線31は、貫通配線71、低電位接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、1つまたは複数(この形態では複数)のパッドプラグ電極76、および、1つまたは複数(この形態では複数)の基板プラグ電極77を含む。
【0076】
貫通配線71、低電位接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77は、低電位コイル22等と同一の導電材料によってそれぞれ形成されていることが好ましい。つまり、貫通配線71、低電位接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層をそれぞれ含むことが好ましい。
【0077】
貫通配線71は、絶縁層51において複数の層間絶縁層57を貫通し、法線方向Zに沿って延びる柱状に延びている。貫通配線71は、この形態では、絶縁層51において最下絶縁層55および最上絶縁層56の間の領域に形成されている。貫通配線71は、最上絶縁層56側の上端部、および、最下絶縁層55側の下端部を有している。貫通配線71の上端部は、高電位コイル23と同一の層間絶縁層57に形成され、最上絶縁層56によって被覆されている。貫通配線71の下端部は、低電位コイル22と同一の層間絶縁層57に形成されている。
【0078】
貫通配線71は、この形態では、第1電極層78、第2電極層79、および、複数の配線プラグ電極80を含む。貫通配線71では、第1電極層78、第2電極層79および配線プラグ電極80が低電位コイル22等と同一の導電材料によってそれぞれ形成されている。つまり、第1電極層78、第2電極層79および配線プラグ電極80は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層をそれぞれ含む。
【0079】
第1電極層78は、貫通配線71の上端部を形成している。第2電極層79は、貫通配線71の下端部を形成している。第1電極層78は、アイランド状に形成され、法線方向Zに低電位端子11(第1低電位端子11A)に対向している。第2電極層79は、アイランド状に形成され、法線方向Zに第1電極層78に対向している。
【0080】
複数の配線プラグ電極80は、第1電極層78および第2電極層79の間の領域に位置する複数の層間絶縁層57にそれぞれ埋設されている。複数の配線プラグ電極80は、互いに電気的に接続されるように最下絶縁層55から最上絶縁層56に向けて積層され、かつ、第1電極層78および第2電極層79を電気的に接続している。複数の配線プラグ電極80は、第1電極層78の平面積および第2電極層79の平面積未満の平面積をそれぞれ有している。
【0081】
なお、複数の配線プラグ電極80の積層数は、複数の層間絶縁層57の積層数に一致している。この形態では、6個の配線プラグ電極80が各層間絶縁層57内に埋設されているが、各層間絶縁層57内に埋設される配線プラグ電極80の個数は任意である。もちろん、複数の層間絶縁層57を貫通する1つまたは複数の配線プラグ電極80が形成されていてもよい。
【0082】
低電位接続配線72は、低電位コイル22と同一の層間絶縁層57内において第1変圧器21A(低電位コイル22)の第1内側領域66に形成されている。低電位接続配線72は、アイランド状に形成され、法線方向Zに高電位端子12(第1高電位端子12A)に対向している。低電位接続配線72は、配線プラグ電極80の平面積を超える平面積を有していることが好ましい。低電位接続配線72は、低電位コイル22の第1内側末端24に電気的に接続されている。
【0083】
引き出し配線73は、層間絶縁層57内において半導体チップ41および貫通配線71の間の領域に形成されている。引き出し配線73は、この形態では、最下絶縁層55から数えて1層目の層間絶縁層57内に形成されている。引き出し配線73は、一方側の第1端部、他方側の第2端部、ならびに、第1端部および第2端部を接続する配線部を含む。引き出し配線73の第1端部は、半導体チップ41および貫通配線71の下端部の間の領域に位置している。引き出し配線73の第2端部は、半導体チップ41および低電位接続配線72の間の領域に位置している。配線部は、半導体チップ41の第1主面42に沿って延び、第1端部および第2端部の間の領域を帯状に延びている。
【0084】
第1接続プラグ電極74は、層間絶縁層57内において貫通配線71および引き出し配線73の間の領域に形成され、貫通配線71および引き出し配線73の第1端部に電気的に接続されている。第2接続プラグ電極75は、層間絶縁層57内において低電位接続配線72および引き出し配線73の間の領域に形成され、低電位接続配線72および引き出し配線73の第2端部に電気的に接続されている。
【0085】
複数のパッドプラグ電極76は、最上絶縁層56内において低電位端子11(第1低電位端子11A)および貫通配線71の間の領域に形成され、低電位端子11および貫通配線71の上端部にそれぞれ電気的に接続されている。複数の基板プラグ電極77は、最下絶縁層55内において半導体チップ41および引き出し配線73の間の領域に形成されている。基板プラグ電極77は、この形態では、半導体チップ41および引き出し配線73の第1端部の間の領域に形成され、半導体チップ41および引き出し配線73の第1端部にそれぞれ電気的に接続されている。
【0086】
図6及び図7を参照して、複数の第1高電位配線33は、対応する高電位端子12A~12Dおよび対応する変圧器21A~21D(高電位コイル23)の第2内側末端27にそれぞれ電気的に接続されている。複数の第1高電位配線33は、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第1高電位端子12A及び第1変圧器21Aに接続された第1高電位配線33の構造を例にとって説明する。他の第1高電位配線33の構造の説明については、第1変圧器21Aに接続された第1高電位配線33の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0087】
第1高電位配線33は、高電位接続配線81、および、1つまたは複数(この形態では複数)のパッドプラグ電極82を含む。高電位接続配線81およびパッドプラグ電極82は、低電位コイル22等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。つまり、高電位接続配線81およびパッドプラグ電極82は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層を含むことが好ましい。
【0088】
高電位接続配線81は、高電位コイル23と同一の層間絶縁層57内において高電位コイル23の第2内側領域67に形成されている。高電位接続配線81は、アイランド状に形成され、法線方向Zに高電位端子12(第1高電位端子12A)に対向している。高電位接続配線81は、高電位コイル23の第2内側末端27に電気的に接続されている。高電位接続配線81は、平面視において低電位接続配線72から間隔を空けて形成され、法線方向Zに低電位接続配線72には対向していない。これにより、低電位接続配線72と高電位接続配線81の間の絶縁距離が増加し、絶縁層51の絶縁耐圧が高められている。
【0089】
複数のパッドプラグ電極82は、最上絶縁層56内において高電位端子12(第1高電位端子12A)および高電位接続配線81の間の領域に形成され、高電位端子12及び高電位接続配線81にそれぞれ電気的に接続されている。複数のパッドプラグ電極82は、平面視において高電位接続配線81の平面積未満の平面積をそれぞれ有している。
【0090】
図7を参照して、低電位端子11および高電位端子12の間の距離D1は、低電位コイル22および高電位コイル23の間の距離D2を超えていることが好ましい(D2<D1)。距離D1は、複数の層間絶縁層57の総厚さDTを超えていることが好ましい(DT<D1)。距離D1に対する距離D2の比D2/D1は、0.01以上0.1以下であってもよい。距離D1は、100μm以上500μm以下であることが好ましい。距離D2は、1μm以上50μm以下であってもよい。距離D2は、5μm以上25μm以下であることが好ましい。距離D1および距離D2の値は任意であり、実現すべき絶縁耐圧に応じて適宜調整される。
【0091】
図6及び図7を参照して、半導体装置5は、平面視において変圧器21A~21Dの周囲に位置するように絶縁層51内に埋設されたダミーパターン85を含む。
【0092】
ダミーパターン85は、高電位コイル23および低電位コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21A~21Dから独立している。つまり、ダミーパターン85は、変圧器21A~21Dとしては機能しない。ダミーパターン85は、変圧器21A~21Dにおいて低電位コイル22および高電位コイル23の間の電界を遮蔽し、高電位コイル23に対する電界集中を抑制するシールド導体層として形成されている。ダミーパターン85は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電位コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。ダミーパターン85のライン密度が高電位コイル23のライン密度と等しいとは、ダミーパターン85のライン密度が高電位コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0093】
絶縁層51の内部におけるダミーパターン85の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。ダミーパターン85は、法線方向Zに関して低電位コイル22に対して高電位コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。なお、法線方向Zに関してダミーパターン85が高電位コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、ダミーパターン85および高電位コイル23の間の距離が、ダミーパターン85および低電位コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0094】
この場合、高電位コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。法線方向Zに関して、ダミーパターン85及び高電位コイル23の間の距離を小さくするほど、高電位コイル23に対する電界集中を抑制できる。ダミーパターン85は、高電位コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。この場合、高電位コイル23に対する電界集中を更に適切に抑制できる。ダミーパターン85は、電気的状態が異なる複数のダミーパターンを含む。ダミーパターン85は高電位ダミーパターンを含んでもよい。
【0095】
絶縁層51の内部における高電位ダミーパターン86の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。高電位ダミーパターン86は、法線方向Zに関して低電位コイル22に対して高電位コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。法線方向Zに関して高電位ダミーパターン86が高電位コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、高電位ダミーパターン86および高電位コイル23の間の距離が、高電位ダミーパターン86及び低電位コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0096】
ダミーパターン85は、変圧器21A~21Dの周囲に位置するように絶縁層51内に電気的に浮遊状態に形成された浮遊ダミーパターンを含む。
【0097】
浮遊ダミーパターンは、この形態では、平面視において高電位コイル23の周囲の領域を部分的に被覆し、かつ、部分的に露出させるように密なライン状に引き回されている。浮遊ダミーパターンは、有端状に形成されていてもよいし、無端状に形成されてもよい。
【0098】
絶縁層51の内部における浮遊ダミーパターンの深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。
【0099】
浮遊ラインの個数は任意であり、緩和すべき電界に応じて調整される。浮遊ダミーパターンは、複数の浮遊ラインから構成されていてもよい。
【0100】
図7を参照して、半導体装置5は、デバイス領域62において半導体チップ41の第1主面42に形成された第2機能デバイス60を含む。第2機能デバイス60は、半導体チップ41の第1主面42の表層部、および/または、半導体チップ41の第1主面42の上の領域を利用して形成され、絶縁層51(最下絶縁層55)によって被覆されている。図7では、第2機能デバイス60が第1主面42の表層部に示された破線によって簡略化して示されている。
【0101】
第2機能デバイス60は、低電位配線を介して低電位端子11に電気的に接続され、高電位配線を介して高電位端子12に電気的に接続されている。低電位配線は、第2機能デバイス60に接続されるように絶縁層51内に引き回されている点を除いて、第1低電位配線31(第2低電位配線32)と同様の構造を有している。高電位配線は、第2機能デバイス60に接続されるように絶縁層51内に引き回されている点を除いて、第1高電位配線33(第2高電位配線34)と同様の構造を有している。第2機能デバイス60に係る低電位配線および高電位配線の具体的な説明は省略される。
【0102】
第2機能デバイス60は、受動デバイス、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、第2機能デバイス60は、受動デバイス、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの任意の2種以上のデバイスが選択的に組み合わされた回路網を含んでいてもよい。回路網は、集積回路の一部または全部を形成していてもよい。
【0103】
受動デバイスは、半導体受動デバイスを含んでいてもよい。受動デバイスは、抵抗及びコンデンサのいずれか一方または双方を含んでいてもよい。半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、PINダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファーストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体スイッチングデバイスは、BJT[Bipolar Junction Transistor]、MISFET[Metal Insulator Field Effect Transistor]、IGBT[Insulated Gate Bipolar Junction Transistor]およびJFET[Junction Field Effect Transistor]のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0104】
図5図7を参照して、半導体装置5は、絶縁層51内に埋設されたシール導体61をさらに含む。シール導体61は、平面視において絶縁側壁53A~53Dから間隔を空けて絶縁層51内に壁状に埋設され、絶縁層51をデバイス領域62および外側領域63に区画している。シール導体61は、外側領域63からデバイス領域62への水分の進入及びクラックの進入を抑制する。
【0105】
デバイス領域62は、第1機能デバイス45(複数の変圧器21)、第2機能デバイス60、複数の低電位端子11、複数の高電位端子12、第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33、第2高電位配線34およびダミーパターン85を含む領域である。外側領域63は、デバイス領域62外の領域である。
【0106】
シール導体61は、デバイス領域62から電気的に切り離されている。シール導体61は、具体的には、第1機能デバイス45(複数の変圧器21)、第2機能デバイス60、複数の低電位端子11、複数の高電位端子12、第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33、第2高電位配線34およびダミーパターン85から電気的に切り離されている。シール導体61は、さらに具体的には、電気的に浮遊状態に固定されている。シール導体61は、デバイス領域62に繋がる電流経路を形成しない。
【0107】
シール導体61は、平面視において、絶縁側壁53~53Dに沿う帯状に形成されている。シール導体61は、この形態では、平面視において、四角環状(具体的には長方形環状)に形成されている。これにより、シール導体61は、平面視において四角形状(具体的には長方形状)のデバイス領域62を区画している。また、シール導体61は、平面視においてデバイス領域62を取り囲む四角環状(具体的には長方形環状)の外側領域63を区画している。
【0108】
シール導体61は、具体的には、絶縁主面52側の上端部、半導体チップ41側の下端部、ならびに、上端部および下端部の間を壁状に延びる壁部を有している。シール導体61の上端部は、この形態では、絶縁主面52から半導体チップ41側に間隔を空けて形成され、絶縁層51内に位置している。シール導体61の上端部は、この形態では、最上絶縁層56によって被覆されている。シール導体61の上端部は、1つまたは複数の層間絶縁層57によって被覆されていてもよい。シール導体61の上端部は、最上絶縁層56から露出していてもよい。シール導体61の下端部は、半導体チップ41から上端部側に間隔を空けて形成されている。
【0109】
このように、シール導体61は、この形態では、複数の低電位端子11および複数の高電位端子12に対して半導体チップ41側に位置するように絶縁層51内に埋設されている。また、シール導体61は、絶縁層51内において第1機能デバイス45(複数の変圧器21)、第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33、第2高電位配線34およびダミーパターン85に絶縁主面52に平行な方向に対向している。シール導体61は、絶縁層51内において、第2機能デバイス60の一部に絶縁主面52に平行な方向に対向していてもよい。
【0110】
シール導体61は、複数のシールプラグ導体64、および、1つまたは複数(この形態では複数)のシールビア導体65を含む。シールビア導体65の個数は任意である。複数のシールプラグ導体64のうちの最上のシールプラグ導体64は、シール導体61の上端部を形成している。複数のシールビア導体65は、シール導体61の下端部をそれぞれ形成している。シールプラグ導体64およびシールビア導体65は、低電位コイル22と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。つまり、シールプラグ導体64およびシールビア導体65は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層を含むことが好ましい。
【0111】
複数のシールプラグ導体64は、複数の層間絶縁層57にそれぞれ埋め込まれ、平面視においてデバイス領域62を取り囲む四角環状(具体的には長方形環状)にそれぞれ形成されている。複数のシールプラグ導体64は、互いに接続されるように最下絶縁層55から最上絶縁層56に向かって積層されている。複数のシールプラグ導体64の積層数は、複数の層間絶縁層57の積層数に一致している。むろん、複数の層間絶縁層57を貫通する1つまたは複数のシールプラグ導体64が形成されていてもよい。
【0112】
複数のシールプラグ導体64の集合体により1つの環状のシール導体61が形成されるのであれば、複数のシールプラグ導体64の全てが環状に形成される必要はない。たとえば、複数のシールプラグ導体64の少なくとも1つが有端状に形成されていてもよい。また、複数のシールプラグ導体64の少なくとも1つが複数の有端帯状部分に分割されていてもよい。ただし、デバイス領域62への水分及びクラックの進入のリスクを鑑みると、複数のシールプラグ導体64は、無端状(環状)に形成されていることが好ましい。
【0113】
複数のシールビア導体65は、最下絶縁層55において半導体チップ41およびシールプラグ導体64の間の領域にそれぞれ形成されている。複数のシールビア導体65は、半導体チップ41から間隔を空けて形成され、シールプラグ導体64に接続されている。複数のシールビア導体65は、シールプラグ導体64の平面積未満の平面積を有している。単一のシールビア導体65が形成されている場合、単一のシールビア導体65は、シールプラグ導体64の平面積以上の平面積を有していてもよい。
【0114】
シール導体61の幅は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。シール導体61の幅は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。シール導体61の幅は、シール導体61が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。
【0115】
図7及び図8を参照して、半導体装置5は、半導体チップ41及びシール導体61の間に介在し、シール導体61を半導体チップ41から電気的に切り離す分離構造130を更に含む。分離構造130は、絶縁体を含むことが好ましい。分離構造130は、この形態では、半導体チップ41の第1主面42に形成されたフィールド絶縁膜131からなる。
【0116】
フィールド絶縁膜131は、酸化膜(酸化シリコン膜)及び窒化膜(窒化シリコン膜)のうちの少なくとも一方を含む。フィールド絶縁膜131は、半導体チップ41の第1主面42の酸化によって形成された酸化膜の一例としてのLOCOS(local oxidation of silicon)膜からなることが好ましい。フィールド絶縁膜131の厚さは、半導体チップ41およびシール導体61を絶縁できる限り任意である。フィールド絶縁膜131の厚さは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。
【0117】
分離構造130は、半導体チップ41の第1主面42に形成され、平面視においてシール導体61に沿う帯状に延びている。分離構造130は、この形態では、平面視において四角環状(具体的には長方形環状)に形成されている。分離構造130は、シール導体61の下端部(シールビア導体65)が接続された接続部132を有している。接続部132は、シール導体61の下端部(シールビア導体65)が半導体チップ41側に向けて食い込んだアンカー部を形成していてもよい。むろん、接続部132は、分離構造130の主面に対して面一に形成されていてもよい。
【0118】
分離構造130は、デバイス領域62側の内端部130A、外側領域63側の外端部130B、ならびに、内端部130Aおよび外端部130Bの間の本体部130Cを含む。内端部130Aは、平面視において第2機能デバイス60が形成された領域(つまり、デバイス領域62)を区画している。内端部130Aは、半導体チップ41の第1主面42に形成された絶縁膜(図示せず)と一体的に形成されていてもよい。
【0119】
外端部130Bは、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dから露出し、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dに連なっている。外端部130Bは、より具体的には、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dに対して面一に形成されている。外端部130Bは、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dおよび絶縁層51の絶縁側壁53A~53Dとの間で面一な研削面を形成している。むろん、他の形態において、外端部130Bは、チップ側壁44A~44Dから間隔を空けて第1主面42内に形成されていてもよい。
【0120】
本体部130Cは、半導体チップ41の第1主面42に対してほぼ平行に延びる平坦面を有している。本体部130Cは、シール導体61の下端部(シールビア導体65)が接続された接続部132を有している。接続部132は、本体部130Cにおいて内端部130A及び外端部130Bから間隔を空けた部分に形成されている。分離構造130は、フィールド絶縁膜131の他、種々の形態を採り得る。
【0121】
図7を参照して、半導体装置5は、シール導体61を被覆するように絶縁層51の絶縁主面52の上に形成された無機絶縁層140をさらに含む。無機絶縁層140は、パッシベーション層と称されてもよい。無機絶縁層140は、絶縁主面52の上から絶縁層51及び半導体チップ41を保護する。
【0122】
無機絶縁層140は、この形態では、第1無機絶縁層141及び第2無機絶縁層142を含む積層構造を有する。第1無機絶縁層141は、酸化シリコンを含んでいてもよい。第1無機絶縁層141は、不純物無添加の酸化シリコンであるUSG(undoped silicate glass)を含むことが好ましい。第1無機絶縁層141の厚さは、50nm以上5000nm以下であってもよい。第2無機絶縁層142は、窒化シリコンを含んでいてもよい。第2無機絶縁層142の厚さは、500nm以上5000nm以下であってもよい。無機絶縁層140の総厚さを大きくすることにより、高電位コイル23上の絶縁耐圧を高めることができる。
【0123】
第1無機絶縁層141がUSGからなり、第2無機絶縁層142が窒化シリコンからなる場合、USGの絶縁破壊電圧(V/cm)は窒化シリコンの絶縁破壊電圧(V/cm)を超える。したがって、無機絶縁層140を厚化する場合、第2無機絶縁層142よりも厚い第1無機絶縁層141が形成されることが好ましい。
【0124】
第1無機絶縁層141は、酸化シリコンの一例としてのBPSG(boron doped phosphor silicate glass)およびPSG(phosphorus silicate glass)のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。ただし、この場合、酸化シリコン内に不純物(ホウ素又はリン)が含まれるため、高電位コイル23上の絶縁耐圧を高める上では、USGからなる第1無機絶縁層141が形成されることが特に好ましい。むろん、無機絶縁層140は、第1無機絶縁層141および第2無機絶縁層142のいずれか一方からなる単層構造を有していてもよい。
【0125】
無機絶縁層140は、シール導体61の全域を被覆し、シール導体61外の領域に形成された複数の低電位パッド開口143及び複数の高電位パッド開口144を有している。複数の低電位パッド開口143は、複数の低電位端子11をそれぞれ露出させている。複数の高電位パッド開口144は、複数の高電位端子12をそれぞれ露出させている。無機絶縁層140は、低電位端子11の周縁部に乗り上げたオーバラップ部を有していてもよい。無機絶縁層140は、高電位端子12の周縁部に乗り上げたオーバラップ部を有していてもよい。
【0126】
半導体装置5は、無機絶縁層140の上に形成された有機絶縁層145を更に含む。有機絶縁層145は、感光性樹脂を含んでいてもよい。有機絶縁層145は、ポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。有機絶縁層145は、この形態では、ポリイミドを含む。有機絶縁層145の厚さは、1μm以上50μm以下であってもよい。
【0127】
有機絶縁層145の厚さは、無機絶縁層140の総厚さを超えていることが好ましい。さらに、無機絶縁層140および有機絶縁層145の総厚さは、低電位コイル22及び高電位コイル23の間の距離D2以上であることが好ましい。この場合、無機絶縁層140の総厚さは2μm以上10μm以下であることが好ましい。また、有機絶縁層145の厚さは5μm以上50μm以下であることが好ましい。これらの構造によれば、無機絶縁層140及び有機絶縁層145の厚化を抑制できると同時に、無機絶縁層140及び有機絶縁層145の積層膜により高電位コイル23上の絶縁耐圧を適切に高めることができる。
【0128】
有機絶縁層145は、低電位側の領域を被覆する第1部分146及び高電位側の領域を被覆する第2部分147を含む。第1部分146は、無機絶縁層140を挟んでシール導体61を被覆している。第1部分146は、シール導体61外の領域において複数の低電位端子11(低電位パッド開口143)をそれぞれ露出させる複数の低電位端子開口148を有している。第1部分146は、低電位パッド開口143の周縁(オーバラップ部)に乗り上がったオーバラップ部を有していてもよい。
【0129】
第2部分147は、第1部分146から間隔を空けて形成されており、第1部分146との間から無機絶縁層140を露出させている。第2部分147は、複数の高電位端子12(高電位パッド開口144)をそれぞれ露出させる複数の高電位端子開口149を有している。第2部分147は、高電位パッド開口144の周縁(オーバラップ部)に乗り上がったオーバラップ部を有していてもよい。
【0130】
第2部分147は、変圧器21A~21Dおよびダミーパターン85を一括して被覆している。第2部分147は、具体的には、複数の高電位コイル23、複数の高電位端子12、第1高電位ダミーパターン87、第2高電位ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121を一括して被覆している。
【0131】
本発明の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。前述の実施形態では、第1機能デバイス45および第2機能デバイス60が形成された例について説明した。しかし、第1機能デバイス45を有さずに、第2機能デバイス60だけを有する形態が採用されてもよい。この場合、ダミーパターン85は取り除かれてもよい。この構造によれば、第2機能デバイス60について、第1実施形態において述べた効果(ダミーパターン85に係る効果を除く)と同様の効果を奏することができる。
【0132】
つまり、低電位端子11および高電位端子12を介して第2機能デバイス60に電圧が印加された場合において、高電位端子12およびシール導体61の間の不所望な導通を抑制できる。また、低電位端子11および高電位端子12を介して第2機能デバイス60に電圧が印加された場合において、低電位端子11およびシール導体61の間の不所望な導通を抑制できる。
【0133】
また、前述の実施形態では、第2機能デバイス60が形成された例について説明した。しかし、第2機能デバイス60は必ずしも必要ではなく、取り除かれてもよい。
【0134】
また、前述の実施形態では、ダミーパターン85が形成された例について説明した。しかし、ダミーパターン85は必ずしも必要ではなく、取り除かれてもよい。
【0135】
また、前述の実施形態では、第1機能デバイス45が、複数の変圧器21を含むマルチチャネル型からなる例について説明した。しかし、単一の変圧器21を含むシングルチャネル型からなる第1機能デバイス45が採用されてもよい。
【0136】
<トランス配列>
図9は、2チャンネル型のトランスチップ300(先出の半導体装置5に相当)におけるトランス配列の一例を模式的に示す平面図(上面図)である。本図のトランスチップ300は、第1トランス301と、第2トランス302と、第3トランス303と、第4トランス304と、第1ガードリング305と、第2ガードリング306と、パッドa1~a8と、パッドb1~b8と、パッドc1~c4と、パッドd1~d4と、を有する。
【0137】
トランスチップ300において、第1トランス301を形成する二次側コイルL1sの一端には、パッドa1及びb1が接続されており、二次側コイルL1sの他端には、パッドc1及びd1が接続されている。第2トランス302を形成する二次側コイルL2sの一端には、パッドa2及びb2が接続されており、二次側コイルL2sの他端には、パッドc1及びd1が接続されている。
【0138】
また、第3トランス303を形成する二次側コイルL3sの一端には、パッドa3及びb3が接続されており、二次側コイルL3sの他端には、パッドc2及びd2が接続されている。第4トランス304を形成する二次側コイルL4sの一端には、パッドa4及びb4が接続されており、二次側コイルL4sの他端には、パッドc2及びd2が接続されている。
【0139】
なお、第1トランス301を形成する一次側コイル、第2トランス302を形成する一次側コイル、第3トランス303を形成する一次側コイル、及び、第4トランス304を形成する一次側コイルは、いずれも本図に明示されていない。ただし、一次側コイルは、それぞれ、基本的に二次側コイルL1s~L4sと同様の構成を有しており、二次側コイルL1s~L4sとそれぞれ対向する形で、二次側コイルL1s~L4sそれぞれの直下に配置されている。
【0140】
すなわち、第1トランス301を形成する一次側コイルの一端には、パッドa5及びb5が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc3及びd3が接続されている。また、第2トランス302を形成する一次側コイルの一端には、パッドa6及びb6が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc3及びd3が接続されている。
【0141】
また、第3トランス303を形成する一次側コイルの一端には、パッドa7及びb7が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc4及びd4が接続されている。また、第4トランス304を形成する一次側コイルの一端には、パッドa8及びb8が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc4及びd4が接続されている。
【0142】
ただし、上記のパッドa5~a8、パッドb5~b8、パッドc3並びにc4、及び、パッドd3並びにd4については、不図示のビアを介してトランスチップ300の内部から表面まで引き出されている。
【0143】
上記複数のパッドのうち、パッドa1~a8は、それぞれ、第1の電流供給用パッドに相当し、パッドb1~b8は、それぞれ、第1の電圧測定用パッドに相当する。また、パッドc1~c4は、それぞれ、第2の電流供給用パッドに相当し、パッドd1~d4は、それぞれ、第2の電圧測定用パッドに相当する。
【0144】
従って、本構成例のトランスチップ300であれば、その不良品検査時に各コイルの直列抵抗成分を正確に測定することができる。従って、各コイルの断線が生じている不良品をリジェクトすることはもちろん、各コイルの抵抗値異常(例えば、コイル同士の中途短絡)が生じている不良品についても、これを適切にリジェクトすることが可能となり、延いては、不良品の市場流出を未然に防止することが可能となる。
【0145】
なお、上記の不良品検査を通過したトランスチップ300については、上記複数のパッドを一次側チップ及び二次側チップ(例えば先出のコントローラチップ210及びドライバチップ220)との接続手段として用いればよい。
【0146】
具体的に述べると、パッドa1並びにb1、パッドa2並びにb2、パッドa3並びにb3、及び、パッドa4及びb4は、それぞれ、二次側チップの信号入力端または信号出力端に接続すればよい。また、パッドc1並びにd1、及び、パッドc2及びd2は、それぞれ、二次側チップのコモン電圧印加端(GND2)に接続すればよい。
【0147】
一方、パッドa5並びにb5、パッドa6並びにb6、パッドa7並びにb7、及び、パッドa8及びb8は、それぞれ、一次側チップの信号入力端または信号出力端に接続すればよい。また、パッドc3並びにd3、及び、パッドc4及びd4は、それぞれ、一次側チップのコモン電圧印加端(GND1)に接続すればよい。
【0148】
ここで、第1トランス301~第4トランス304は、図9に示すように、それぞれの信号伝達方向毎にカップリングして並べられている。本図に即して述べると、例えば一次側チップから二次側チップに向けて信号を伝達する第1トランス301と第2トランス302が第1ガードリング305によって第1のペアとされている。また、例えば二次側チップから一次側チップに向けて信号を伝達する第3トランス303と第4トランス304が第2ガードリング306によって第2のペアとされている。
【0149】
このようなカップリングを行った理由は、第1トランス301~第4トランス304をそれぞれ形成する一次側コイルと二次側コイルをトランスチップ300の基板上下方向に積み重ねる形で積層形成した場合において、一次側コイルと二次側コイルとの間で耐圧を確保するためである。ただし、第1ガードリング305、及び、第2ガードリング306については、必ずしも必須の構成要素ではない。
【0150】
なお、第1ガードリング305及び第2ガードリング306は、それぞれ、パッドe1及びe2を介して、接地端などの低インピーダンス配線に接続すればよい。
【0151】
また、トランスチップ300において、パッドc1及びd1は、二次側コイルL1sと二次側コイルL2sとの間で共有されている。また、パッドc2及びd2は、二次側コイルL3sと二次側コイルL4sとの間で共有されている。また、パッドc3及びd3は、一次側コイルL1pと一次側コイルL2pとの間で共有されている。また、パッドc4及びd4は、対応するそれぞれの一次側コイルとの間で共有されている。このような構成とすることにより、パッド数を削減して、トランスチップ300の小型化を図ることが可能となる。
【0152】
また、図9に示したように、第1トランス301~第4トランス304をそれぞれ形成する一次側コイルと二次側コイルは、トランスチップ300の平面視において、長方形状(または角を丸めたトラック状)となるように巻き回すことが望ましい。このような構成とすることにより、一次側コイルと二次側コイルが互いに重複する部分の面積が大きくなり、トランスの伝達効率を高めることが可能となる。
【0153】
もちろん、本図のトランス配列はあくまでも一例であり、コイルの個数、形状、配置、及び、パッドの配置は任意である。また、これまでに説明してきたチップ構造及びトランス配列などについては、半導体チップ上にコイルを集積化した半導体装置全般に適用することが可能である。
【0154】
<信号伝達装置(応用構成)>
図10に信号伝達装置1000の構成図を示す。信号伝達装置1000は応用構成に係る信号伝達装置であって、上述の信号伝達装置200(図1等参照)の構成を利用することで形成されて良い。信号伝達装置1000は信号伝達装置200の一形態であると考えても良い。
【0155】
尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“2130”によって参照されるメインパルス用回路は(図18参照)、メインパルス用回路2130と表記されることもあるし、回路2130と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0156】
幾つかの用語及び表現について説明を加える。レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の注目した信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。任意の注目した信号について、当該信号がハイレベルであるとき、当該信号の反転信号はローレベルをとり、当該信号がローレベルであるとき、当該信号の反転信号はハイレベルをとる。ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる任意の信号について、当該信号のレベルがハイレベルとなる期間をハイレベル期間と称し、当該信号のレベルがローレベルとなる期間をローレベル期間と称する。ハイレベル又はローレベルの電圧レベルをとる任意の電圧についても同様である。
【0157】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。また、特に記述なき限り、任意のMOSFETにおいて、バックゲートはソースに短絡されていると考えて良い。
【0158】
任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。また、任意のトランジスタについて、トランジスタがオン状態となっている期間をオン期間と称することがあり、トランジスタがオフ状態となっている期間をオフ期間と称することがある。
【0159】
任意の回路素子、配線(ライン)、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
【0160】
図10に示す如く、信号伝達装置1000は一次側回路1100及び二次側回路1200を備える。信号伝達装置1000には複数の絶縁素子を有する絶縁素子群1300が設けられる。一次側回路1100と二次側回路1200とは互いに絶縁されている(直流的にも交流的にも絶縁されている)。絶縁素子群1300における各絶縁素子は、一次側回路1100及び二次側回路1200間に設けられる。各絶縁素子は、一次側回路1100にて生成された信号を絶縁形式で二次側回路1200に伝達することができる。以下のように考えることもできる。各絶縁素子は一次側回路1100及び二次側回路1200に亘って設けられ、一次側回路1100と二次側回路1200とは直流的に絶縁されており且つ原則として交流的にも絶縁されているが、絶縁素子においてのみ交流的に接続される。
【0161】
一次側回路1100及び二次側回路1200は、夫々、図1の一次回路系200p及び二次回路系200sに対応する。一次側回路1100は一次回路系200pの一形態であって、二次側回路1200は二次回路系200sの一形態であると考えて良い。一次側回路1100をコントローラチップ210(図1等参照)にて形成することができ、二次側回路1200をドライバチップ220(図1等参照)にて形成することができる。絶縁素子群1300をトランスチップ230(図1等参照)にて形成することができる。
【0162】
一次側回路1100におけるグランドをグランドGND1と称する。グランドGND1は、一次側回路1100における基準電位を有する。一次側回路1100における基準電位を有する導体部がグランドGND1である。一次側回路1100に関し、特に基準を設けずに示される電圧はグランドGND1から見た電位を表す。一次側回路1100に対して電源電圧VCC1(図1も参照)が供給される。一次側回路1100は、グランドGND1の電位を基準に電源電圧VCC1に基づいて駆動する。
【0163】
二次側回路1200におけるグランドをグランドGND2と称する。グランドGND2は、二次側回路1200における基準電位を有する。二次側回路1200における基準電位を有する導体部がグランドGND2である。二次側回路1200に関し、特に基準を設けずに示される電圧はグランドGND2から見た電位を表す。二次側回路1200に対して電源電圧VCC2(図1も参照)が供給される。二次側回路1200は、グランドGND2の電位を基準に電源電圧VCC2に基づいて駆動する。グランドGND1及びGND2は互いに絶縁されている(直流的にも交流的にも絶縁されている)。
【0164】
図11に信号伝達装置1000の内部構成例を示す。一次側回路1100は、エッジ検出回路1110、検出パルス生成回路1120、メインパルス出力回路1130、更新パルス出力回路1140及び更新判定回路1150を備える。二次側回路1200は受信回路1210を備える。図11の構成例において、絶縁素子群1300は第1絶縁素子としてのトランス1310及び第2絶縁素子としてのトランス1320を備える。
【0165】
回路1110~1150は、図1のパルス送信回路211並びにバッファ212及び213の各機能を内包する。回路1110~1150にて形成されるブロックは、パルス送信回路211並びにバッファ212及び213にて形成されるブロックの一形態であると考えて良い。受信回路1200は図1のバッファ221及び222、パルス受信回路223並びにドライバ224の各機能を内包する。受信回路1200は、バッファ221及び222、パルス受信回路223並びにドライバ224にて形成されるブロックの一形態であると考えて良い。
【0166】
トランス1310、1320は、夫々、上述のトランス231、232(図1等参照)と同じ構造を有する。トランス1310はトランス231そのものであって且つトランス1320はトランス232そのものであると解して良い。従って、トランス1310に設けられる一次側コイル1311及び二次側コイル1312は、夫々、図1等に示される一次側コイル231p及び二次側コイル231sに相当する。同様に、トランス1320に設けられる一次側コイル1321及び二次側コイル1322は、夫々、図1等に示される一次側コイル232p及び二次側コイル232sに相当する。一次側コイル1311及び二次側コイル1312は互いに磁気結合されている。一次側コイル1321及び二次側コイル1322は互いに磁気結合されている。尚、一次側コイルを入力側コイルと称しても良く、二次側コイルを出力側コイルと称しても良い。
【0167】
エッジ検出回路1110に対して信号DINが入力される。信号DINはローレベル又はハイレベルを有するデジタル信号(入力デジタル信号)である。信号DINにおけるローレベルは実質的にグランドGND1の電位を有する。信号DINは上述の信号IN(図1等参照)に相当し、信号INの一形態であると解して良い。
【0168】
また、受信回路1210からは信号DOUTが出力される。信号DOUTはローレベル又はハイレベルを有するデジタル信号(出力デジタル信号)である。信号DOUTにおけるローレベルは実質的にグランドGND2の電位を有する。信号DOUTは上述の信号OUT(図1等参照)に相当し、信号OUTの一形態であると解して良い。
【0169】
エッジ検出回路1110は信号DINにおけるライズエッジ及びフォールエッジを検出し、ライズエッジの検出結果を示す信号SR1を生成及び出力すると共にフォールエッジの検出結果を示す信号SF1を生成及び出力する。エッジ検出回路1110は信号DINにおけるライズエッジ及びフォールエッジを個別に検出する。即ち、エッジ検出回路1110は回路1110R及び1110Fを備える。回路1110Rは信号DINに基づき信号DINにおけるライズエッジを検出することで信号SR1を生成及び出力する。回路1110Fは信号DINに基づき信号DINにおけるフォールエッジを検出することで信号SF1を生成及び出力する。
【0170】
尚、ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる任意の注目信号(デジタル信号)について、注目信号のレベルのローレベルからハイレベルの切り替わりがライズエッジであり、注目信号のレベルのハイレベルからローレベルの切り替わりがフォールエッジである。ライズエッジが生じるタイミングをライズエッジタイミングと称し、フォールエッジが生じるタイミングをフォールエッジタイミングと称する。
【0171】
検出パルス生成回路1120に対してエッジ検出回路1110からの信号SR1及びSF1が入力される。検出パルス生成回路1120は、信号SR1に応じて信号SR2を生成及び出力する回路1120Rと、信号SF1に応じて信号SF2を生成及び出力する回路1120Fと、を備える。
【0172】
信号SR1には信号DINのライズエッジタイミングを示す情報が含まれており、当該情報に基づき回路1120Rは信号SR2中にライズ検出パルスを含める。即ち、回路1120Rは、回路1110Rにてライズエッジが検出されたことを契機にライズ検出パルス(第1検出パルス)を生成及び出力する。信号SF1には信号DINのフォールエッジタイミングを示す情報が含まれており、当該情報に基づき回路1120Fは信号SF2中にフォール検出パルスを含める。即ち、回路1120Fは、回路1110Fにてフォールエッジが検出されたことを契機にフォール検出パルス(第2検出パルス)を生成及び出力する。
【0173】
より詳細には、回路1120Rは信号SR2のレベルを原則としてローレベルに設定し、ライズエッジの検出を契機に所定の微小時間だけ信号SR2のレベルをハイレベルに設定することによりライズ検出パルスを出力する。同様に、回路1120Fは信号SF2のレベルを原則としてローレベルに設定し、フォールエッジの検出を契機に所定の微小時間だけ信号SF2のレベルをハイレベルに設定することによりフォール検出パルスを出力する。
【0174】
図12に、更新パルス出力回路1140が作動しないときにおける信号伝達装置1000内の幾つかの信号波形を示す。図12では、上から下に向けて、信号DIN、SR2、SF2、SR3、SF3、DOUTの波形が順番に示される。ライズ検出パルスは適宜記号“PLSDET_R”にて参照され、フォール検出パルスは適宜記号“PLSDET_F”にて参照される。信号SR2において各ライズエッジタイミングにてライズ検出パルス(PLSDET_R)が発生し、信号SF2において各フォールエッジタイミングにてフォール検出パルス(PLSDET_F)が発生する。
【0175】
メインパルス出力回路1130に対して検出パルス生成回路1120からの信号SR2及びSF2が入力される。メインパルス出力回路1130は、信号SR2に応じた信号SR3を出力する回路1130Rと、信号SF2に応じた信号SF3を出力する回路1130Fと、を備える。信号SR3はノードND1に対して出力され、信号SF3はノードND2に対して出力される。
【0176】
回路1130Rは、信号SR2におけるライズ検出パルスを受けてライズメインパルスを出力する。ライズメインパルスは適宜記号“PLSMAIN_R”にて参照される(図12参照)。ライズメインパルスは信号SR3中に生じるパルスであり、ノードND1に対して出力される。即ち、回路1130Rはライズ検出パルスの生成を契機に(換言すればライズエッジの検出を契機に)、ライズメインパルス(第1メインパルス)をノードND1に対して出力する。回路1130Rは、回路1120Rからライズ検出パルスを受けるごとに、ライズ検出パルスを受けたタイミングにてライズメインパルスをノードND1に対して出力する。
【0177】
回路1130Fは、信号SF2におけるフォール検出パルスを受けてフォールメインパルスを出力する。フォールメインパルスは適宜記号“PLSMAIN_F”にて参照される(図12参照)。フォールメインパルスは信号SF3中に生じるパルスであり、ノードND2に対して出力される。即ち、回路1130Fはフォール検出パルスの生成を契機に(換言すればフォールエッジの検出を契機に)、フォールメインパルス(第2メインパルス)をノードND2に対して出力する。回路1130Fは、回路1120Fからフォール検出パルスを受けるごとに、フォール検出パルスを受けたタイミングにてフォールメインパルスをノードND2に対して出力する。
【0178】
尚、図12では、図示の簡略化上、各メインパルスが矩形波形状を有するものとして描かれているが、実際のメインパルスの波形形状はトランス(1310、1320)のインダクタンス等の影響により、矩形波形状とは異なり得る(メインパルスの波形を含む後述の他の図面においても同様)。
【0179】
トランス1310はノードND1に接続される。具体的には、一次側コイル1311の第1端がノードND1に接続され、一次側コイル1311の第2端はグランドGND1に接続される。トランス1320はノードND2に接続される。具体的には、一次側コイル1321の第1端がノードND2に接続され、一次側コイル1321の第2端はグランドGND1に接続される。ノードND1、ND2は、夫々、上述の外部端子T21、T23に相当する(図2等参照)。一次側コイル1311及び1321の各第2端が上述の外部端子T22(図2等参照)に接続されることでグランドGND1に接続される。
【0180】
トランス1310において、二次側コイル1312の第1端は受信回路1210に接続され、二次側コイル1312の第2端はグランドGND2に接続される。トランス1320において、二次側コイル1322の第1端は受信回路1210に接続され、二次側コイル1322の第2端はグランドGND2に接続される。図2等との関係について述べると、二次側コイル1312の第1端は外部端子T24に接続され、二次側コイル1322の第1端は外部端子T26に接続される。二次側コイル1312及び1322の各第2端が外部端子T25に接続されることでグランドGND2に接続される。
【0181】
トランス1310はノードND1に供給されるパルスにて駆動される(即ちパルス駆動される)。トランス1310がノードND1に供給されるパルスにて駆動されることによって二次側コイル1312に誘起される信号SRRが受信回路1210に入力される。信号SRRは、グランドGND2から見て二次側コイル1312の第1端に生じる信号である。トランス1320はノードND2に供給されるパルスにて駆動される(即ちパルス駆動される)。トランス1320がノードND2に供給されるパルスにて駆動されることによって二次側コイル1322に誘起される信号SFFが受信回路1210に入力される。信号SFFは、グランドGND2から見て二次側コイル1322の第1端に生じる信号である。
【0182】
受信回路1210は信号SRR及び信号SFFに基づき信号DOUTを生成及び出力する。信号DOUTは信号DINを復調した信号に相当する。ここでは、信号DINがハイレベルを有するときには信号DOUTもハイレベルを有するように、且つ、信号DINがローレベルを有するときには信号DOUTもローレベルを有するように、信号DOUTが生成及び出力されるものとする。受信回路1210は、一定強度以上の強度を持つ信号SRRを受けたとき、信号DOUTにライズエッジを生じさせる又は信号DOUTをハイレベルに維持して良い。受信回路1210は、一定強度以上の強度を持つ信号SFFを受けたとき、信号DOUTにフォールエッジを生じさせる又は信号DOUTをローレベルに維持して良い。尚、図12では、信号DINのライズエッジと同時に信号DOUTにもライズエッジが生じるかのように図示されているが、実際には、信号DINのライズエッジタイミングから若干の遅延を経て信号DOUTにライズエッジが生じる。フォールエッジについても同様であり、信号DIN及びDOUTの波形が示される後述の他の図面(図13及び図14等)についても同様である。
【0183】
エッジ検出型の絶縁通信において、入力デジタル信号(ここではDIN)が長時間に亘ってハイレベルに維持される場合、出力デジタル信号(ここでは後述のDOUT)もハイレベルで維持されるべきである。但し、入力デジタル信号が長時間に亘ってハイレベルに維持される期間において、ノイズ等の影響により出力デジタル信号のレベルが誤ってローレベルに遷移する可能性がある。この場合において、何ら手当てを施さなければ、本来、ハイレベルを有するべき出力デジタル信号がローレベルに維持されたままとなる。入力デジタル信号が長時間に亘ってローレベルに維持される場合も同様である。このような事態を防止又は軽減するために、信号伝達装置1000はリフレッシュ動作を実行可能に形成されている。
【0184】
信号DINにおいてライズエッジ又はフォールエッジが検出された後、所定時間TREF継続してライズエッジ及びフォールエッジの何れもが検出されないときに、リフレッシュ動作が開始される。信号DINがハイレベルを有するときのリフレッシュ動作では、ノードND1に対して周期的に更新パルスを出力することでトランス1310を駆動し、これによって、信号DINが現在ハイレベルを有する旨の情報を受信回路1210に伝達する。信号DINがローレベルを有するときのリフレッシュ動作では、ノードND2に対して周期的に更新パルスを出力することでトランス1320を駆動し、これによって、信号DINが現在ローレベルを有する旨の情報を受信回路1210に伝達する。受信回路1210は受けた情報に基づき信号DOUTのレベルを決定及び制御する。リフレッシュ動作の開始後、信号DINにおいてライズエッジ又はフォールエッジが検出された時点でリフレッシュ動作が終了する(即ち、リフレッシュ動作の実行が停止される)。
【0185】
リフレッシュ動作は、更新パルス出力回路1140及び更新判定回路1150を用いて実現される。尚、更新パルス、更新判定を、リフレッシュパルス、リフレッシュ判定に読み替えても良い。
【0186】
更新判定回路1150に対して検出パルス生成回路1120からの信号SR2及びSF2が入力される。更新判定回路1150は更新判定フラグを有する。更新判定フラグの初期値は“0”である。更新判定回路1150は、エッジ検出回路1110にてライズエッジ又はフォールエッジが検出された後、所定時間TREF継続してライズエッジ及びフォールエッジの何れもが検出されないとき、自身が管理する更新判定フラグに“1”を代入する。その後、エッジ検出回路1110にてライズエッジ又はフォールエッジが検出されると、更新判定回路1150は、更新判定フラグに“0”を代入する。更新判定フラグが“1”を有している期間においてのみ、更新判定回路1150は更新パルス出力回路1140にリフレッシュ動作を行わせる。
【0187】
具体的には例えば、更新判定回路1150は、信号SR2及びSF2の論理和信号を生成するOR回路と、論理和信号がローレベルで維持される時間を計測するタイマと、有する(不図示)。当該タイマにて計測された時間が所定時間TREFに達すると、更新判定フラグに“1”が代入される。その後、上記論理和信号がハイレベルとなった時点で更新判定フラグに“0”が代入される。
【0188】
更新判定回路1150には信号DINも入力される。リフレッシュ動作にはハイレベル用のリフレッシュ動作とローレベル用のリフレッシュ動作がある。更新判定回路1150は、更新判定フラグが“1”である場合において、信号DINがハイレベルを有するときには更新パルス出力回路1140にハイレベル用のリフレッシュ動作を行わせ、信号DINがローレベルを有するときには更新パルス出力回路1140にローレベル用のリフレッシュ動作を行わせる。
【0189】
更新パルス出力回路1140は、更新判定回路1150の制御の下、リフレッシュ動作を行う。更新パルス出力回路1140には、ハイレベル用のリフレッシュ動作を行うための回路1140Rと、ローレベル用のリフレッシュ動作を行うための回路1140Fと、が設けられる。回路1140Rの出力信号を記号“SR4”にて参照し、回路1140Fの出力信号を記号“SF4”にて参照する。信号SR4はノードND1に対して出力され、信号SF4はノードND2に対して出力される。
【0190】
回路1140Rは、ハイレベル用のリフレッシュ動作において周期的にハイレベル用の更新パルスを出力する、即ち、所定の間隔にてハイレベル用の更新パルスを繰り返し出力する。ハイレベル用の更新パルスは信号SR4中に生じるパルスであり、従ってノードND1に対して出力される。故に、回路1140Rは、信号DINにおいてライズエッジが検出された後、所定時間TREF継続して(換言すれば所定時間TREF以上継続して)ライズエッジ及びフォールエッジの何れもが検出されないときにハイレベル用のリフレッシュ動作を実行し、ハイレベル用のリフレッシュ動作において周期的にハイレベル用の更新パルスをノードND1に対して出力する。
【0191】
回路1140Fは、ローレベル用のリフレッシュ動作において周期的にローレベル用の更新パルスを出力する、即ち、所定の間隔にてローレベル用の更新パルスを繰り返し出力する。ローレベル用の更新パルスは信号SF4中に生じるパルスであり、従ってノードND2に対して出力される。故に、回路1140Fは、信号DINにおいてフォールエッジが検出された後、所定時間TREF継続して(換言すれば所定時間TREF以上継続して)ライズエッジ及びフォールエッジの何れもが検出されないときにローレベル用のリフレッシュ動作を実行し、ローレベル用のリフレッシュ動作において周期的にローレベル用の更新パルスをノードND2に対して出力する。
【0192】
図13にハイレベル用のリフレッシュ動作が行われるときの幾つかの信号波形を示す。図13では、上から下に向けて、信号DIN、SR2、SF2、SR3、SF3、SR4、SF4、DOUTの波形が順番に示される(後述の図14でも同様)。ハイレベル用の更新パルスは適宜記号“PLSU_H”にて参照される。図14にローレベル用のリフレッシュ動作が行われるときの幾つかの信号波形を示す。ローレベル用の更新パルスは適宜記号“PLSU_L”にて参照される。
【0193】
ハイレベル用のリフレッシュ動作において更新パルスPLSU_Hが出力される周期と、ローレベル用のリフレッシュ動作において更新パルスPLSU_Lが出力される周期とは、一致していても良いし、相違していても良い。
【0194】
尚、図13及び図14では、図示の簡略化上、各更新パルスが矩形波形状を有するものとして描かれているが、実際の更新パルスの波形形状はトランス(1310、1320)のインダクタンス等の影響により、矩形波形状とは異なり得る。
【0195】
ノードND1には信号SR3及びSR4が加わる。即ち、ノードND1には信号SR3及びSR4の和信号が加わる。故に、トランス1310はノードND1に加わる和信号にて駆動されることになる。詳細には、ノードND1に対して回路1130Rからライズメインパルス(PLSMAIN_R)が出力されるとき又は回路1140Rからハイレベル用の更新パルス(PLSU_H)が出力されるとき、二次側コイル1312に受信パルス(第1受信パルス)が誘起されて当該受信パルスが信号SRRに含められる。二次側コイル1312に誘起される受信パルスは第1受信情報を表す。即ち、トランス1310はパルス駆動されることで第1受信情報を絶縁形式で二次側回路1200に伝達する。トランス1310のパルス駆動とは、ノードND1に加わるパルス(ライズメインパルス又はハイレベル用の更新パルス)にてトランス1310が駆動されることを指す。第1受信情報は信号DINがハイレベルであることを指し示す。詳細には、第1受信情報は、信号DINがローレベルからハイレベルに切り替わったこと、又は、信号DINがハイレベルに維持されていることを指し示す。受信回路1210は、信号SRRにおける受信パルスを受けると、信号DOUTにライズエッジを生じさせる又は信号DOUTをハイレベルに維持する。
【0196】
ノードND2には信号SF3及びSF4が加わる。即ち、ノードND2には信号SF3及びSF4の和信号が加わる。故に、トランス1320はノードND2に加わる和信号にて駆動されることになる。詳細には、ノードND2に対して回路1130Fからフォールメインパルス(PLSMAIN_F)が出力されるとき又は回路1140Fからローレベル用の更新パルス(PLSU_L)が出力されるとき、二次側コイル1322に受信パルス(第2受信パルス)が誘起されて当該受信パルスが信号SFFに含められる。二次側コイル1322に誘起される受信パルスは第2受信情報を表す。即ち、トランス1320はパルス駆動されることで第2受信情報を絶縁形式で二次側回路1200に伝達する。トランス1320のパルス駆動とは、ノードND2に加わるパルス(フォールメインパルス又はローレベル用の更新パルス)にてトランス1320が駆動されることを指す。第2受信情報は信号DINがローレベルであることを指し示す。詳細には、第2受信情報は、信号DINがハイレベルからローレベルに切り替わったこと、又は、信号DINがローレベルに維持されていることを指し示す。受信回路1210は、信号SFFにおける受信パルスを受けると、信号DOUTにフォールエッジを生じさせる又は信号DOUTをローレベルに維持する。
【0197】
リフレッシュ動作により信号DOUTのレベルの維持(適正なレベルでの維持)又は誤り訂正が図られるが、メインパルス及び更新パルスの衝突に対する手当てが必要となる。即ち例えば、ハイレベル用のリフレッシュ動作(図13参照)の実行中に信号DINにフォールエッジが生じたとき、場合によっては、ノードND1に対する更新パルス(PLSU_H)の出力とノードND2に対するフォールメインパルス(PLSMAIN_F)の出力とが同時期に生じることで、トランス1310及び1320が同時期にパルス駆動されることがある。このとき、二次側コイル1312及び1322において同時に受信パルスが誘起され、信号DOUTのレベルをどのように決定するかが問題になることがある。当該問題を解決できる技術が信号伝達装置1000に盛り込まれている。尚、以下に示す複数の実施形態の内、任意の2以上の実施形態を組み合わせることも可能である。
【0198】
<第1実施形態>
信号伝達装置1000の第1実施形態を説明する。第1実施形態では、メインパルスの強度を更新パルスの強度より高めることで、上記衝突の問題を解消する。
【0199】
メインパルス及び更新パルスが衝突するケースとして、以下の第1衝突ケースと第2衝突ケースがある。
【0200】
図15に第1衝突ケースの概要を示す。第1衝突ケースでは、ローレベル用のリフレッシュ動作(図14参照)の実行中に信号DINにライズエッジが生じることで、ノードND1に対するライズメインパルス(PLSMAIN_R)の出力とノードND2に対するローレベル用の更新パルス(PLSU_L)の出力とが同時期に生じる。
【0201】
図16に第2衝突ケースの概要を示す。第2衝突ケースでは、ハイレベル用のリフレッシュ動作(図13参照)の実行中に信号DINにフォールエッジが生じることで、ノードND1に対する更新パルス(PLSU_H)の出力とノードND2に対するフォールメインパルス(PLSMAIN_F)の出力とが同時期に生じる。
【0202】
ライズメインパルス(PLSMAIN_R)にてトランス1310が駆動されることで二次側コイル1312に生じる受信パルスを適宜記号“RPMAIN1”にて参照し、受信パルスRPMAIN1の強度を適宜記号“INTMAIN1”にて参照する。
フォールメインパルス(PLSMAIN_F)にてトランス1320が駆動されることで二次側コイル1322に生じる受信パルスを適宜記号“RPMAIN2”にて参照し、受信パルスRPMAIN2の強度を適宜記号“INTMAIN2”にて参照する。
【0203】
ハイレベル用の更新パルス(PLSU_H)にてトランス1310が駆動されることで二次側コイル1312に生じる受信パルスを適宜記号“RPU1”にて参照し、受信パルスRPU1の強度を適宜記号“INTU1”にて参照する。
ローレベル用の更新パルス(PLSU_L)にてトランス1320が駆動されることで二次側コイル1322に生じる受信パルスを適宜記号“RPU2”にて参照し、受信パルスRPU2の強度を適宜記号“INTU2”にて参照する。
【0204】
第1実施形態では、強度INTMAIN1及びINTMAIN2が強度INTU1及びINTU2よりも大きくなるよう、メインパルス出力回路1130及び更新パルス出力回路1140が形成される。図17にトランス1310がパルス駆動されたときに信号SRR中に生じる受信パルスを示す。トランス1320がパルス駆動されたときの信号SFFについても同様である。受信パルスの強度とは受信パルスの振幅を表すと解して良い。但し、トランス(1310、1320)のパルス駆動の後、受信パルスの振幅は徐々に減衰してゆくため、受信パルスの強度とは受信パルスの最大振幅又は受信パルスの最大瞬時値を指すと解しても良い。
【0205】
受信回路1210は、二次側コイル1312からの受信パルスである第1受信パルスと二次側コイル1322からの受信パルスである第2受信パルスとを同時に受けたとき、第1受信パルス及び第2受信パルスの内、強度が大きい方の受信パルスに基づき信号DOUTのレベルを決定する。受信回路1210に対して第1受信パルス及び第2受信パルスが同時に入力されたとき、受信回路1210にとって第1受信パルス及び第2受信パルスは同相信号に相当し、受信回路1210は、それらの同相成分を除去する機能を持つ。このため、受信回路1210に対して第1受信パルス及び第2受信パルスが同時に入力されたとき、それらの内、強度の大きい方の受信パルスが有効とされ、且つ、より強度の小さい方の受信パルスが無効とされる。受信回路1210は、有効な受信パルスに基づき信号DOUTのレベルを決定する。
【0206】
図15の第1衝突ケースでは、二次側コイル1312及び1322に同時期に受信パルスが生じるが、二次側コイル1312に生じる受信パルスの強度INTMAIN1が、二次側コイル1322に生じる受信パルスの強度INTU2よりも大きい。このため、第1衝突ケースにおいて受信回路1210は、二次側コイル1312に生じる受信パルスを有効とする一方で二次側コイル1322に生じる受信パルスを無効とし、二次側コイル1312に生じる受信パルスに基づき信号DOUTのレベルをハイレベルに設定する。このとき、信号DOUTにライズエッジが生じる場合もあるし、信号DOUTがハイレベルに維持される場合もある。
【0207】
図16の第2衝突ケースでは、二次側コイル1312及び1322に同時期に受信パルスが生じるが、二次側コイル1322に生じる受信パルスの強度INTMAIN2が、二次側コイル1312に生じる受信パルスの強度INTU1よりも大きい。このため、第2衝突ケースにおいて受信回路1210は、二次側コイル1322に生じる受信パルスを有効とする一方で二次側コイル1312に生じる受信パルスを無効とし、二次側コイル1322に生じる受信パルスに基づき信号DOUTのレベルをローレベルに設定する。このとき、信号DOUTにフォールエッジが生じる場合もあるし、信号DOUTがローレベルに維持される場合もある。
【0208】
第1実施形態の如く、メインパルスの強度を更新パルスの強度より高めることで上記衝突の問題が解消され、信号DOUTのレベルを適正とすることができる。
【0209】
以下に第1実施形態に属する実施例EX1_1~EX1_6を示す。実施例EX1_1~EX1_6にて、強度INTMAIN1及びINTMAIN2を強度INTU1及びINTU2よりも大きくするための構成を例示する。第1実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0210】
[実施例EX1_1]
実施例EX1_1を説明する。図18に実施例EX1_1に係る信号伝達装置1000の一部回路を示す。実施例EX1_1に係る一次側回路1100には回路2130及び2140が2つずつ設けられる。2つの回路2130は互いに同じ構成を有し、且つ、2つの回路2140は互いに同じ構成を有する。各回路2130はメインパルス用回路であり、各回路2140は更新パルス用回路である。2つのメインパルス回路2130の内、一方はノードND1に接続され、他方はND2に接続される。2つのメインパルス回路2130の内、ノードND1に接続される方の回路2130を特に記号“2130R”にて参照し、ノードND2に接続される方の回路2130を特に記号“2130F”にて参照する。2つの更新パルス回路2140の内、一方はノードND1に接続され、他方はND2に接続される。2つの更新パルス回路2140の内、ノードND1に接続される方の回路2140を特に記号“2140R”にて参照し、ノードND2に接続される方の回路2140を特に記号“2140F”にて参照する。回路2130R、2130F、2140R、2140Fを、夫々、図11の回路1130R、1130F、1140R、1140Fとして用いることができる。
【0211】
各メインパルス用回路2130は、トランジスタM11~M13、定電流源CC11及びコンデンサC11を備える。各更新パルス用回路2140は、トランジスタM21~M23、定電流源CC21及びコンデンサC21を備える。トランジスタM11~M13及びM21~M23はPチャネル型のMOSFETである。
【0212】
各メインパルス用回路2130及び各更新パルス回路2140において、トランジスタM11、M12、M21及びM22の各ソースは内部電源電圧VREGが加わる端子に接続される。一次側回路1100に設けられた図示されないレギュレータが電源電圧VCC1に基づき内部電源電圧VREGを生成する。内部電源電圧VREGは所定の正の直流電圧である。電源電圧VCC1そのものが内部電源電圧VREGであっても良い。
【0213】
各メインパルス用回路2130において、トランジスタM11のゲート及びドレインとトランジスタM12のゲートとが互いに接続され、トランジスタM11のドレインとグランドGND1との間に定電流源CC11が接続される。各メインパルス用回路2130において、定電流源CC11は内部電源電圧VREGに基づく定電流(メインパルス用の定電流)を生成し、生成した定電流がトランジスタM11のドレイン電流として流れるよう動作する。各メインパルス用回路2130において、トランジスタM12のドレインとトランジスタM13のソースとはノードND11にて接続される。トランジスタM11及びM12にて形成されるカレントミラー回路の作用により、トランジスタM11のドレイン電流に比例する電流がトランジスタM12のドレイン電流として流れる。但し、各メインパルス用回路2130において、ノードND11の電圧が内部電源電圧VREGに達するとトランジスタM12のドレイン電流の流れは停止する。メインパルス用回路2130RにおけるトランジスタM13のドレインはノードND1に接続され、メインパルス用回路2130FにおけるトランジスタM13のドレインはノードND2に接続される。
【0214】
各更新パルス用回路2140において、トランジスタM21のゲート及びドレインとトランジスタM22のゲートとが互いに接続され、トランジスタM21のドレインとグランドGND1との間に定電流源CC21が接続される。各更新パルス用回路2140において、定電流源CC21は内部電源電圧VREGに基づく定電流(更新パルス用の定電流)を生成し、生成した定電流がトランジスタM21のドレイン電流として流れるよう動作する。各更新パルス用回路2140において、トランジスタM22のドレインとトランジスタM23のソースとはノードND21にて接続される。トランジスタM21及びM22にて形成されるカレントミラー回路の作用により、トランジスタM21のドレイン電流に比例する電流がトランジスタM22のドレイン電流として流れる。但し、各更新パルス用回路2140において、ノードND21の電圧が内部電源電圧VREGに達するとトランジスタM22のドレイン電流の流れは停止する。更新パルス用回路2140RにおけるトランジスタM23のドレインはノードND1に接続され、更新パルス用回路2140FにおけるトランジスタM23のドレインはノードND2に接続される。
【0215】
各メインパルス用回路2130においてノードND11及びグランドGND1間にコンデンサC11が接続される(即ち、コンデンサC11の一端はノードND11に接続され、コンデンサC11の他端はグランドGND1に接続される)。このため、各メインパルス用回路2130において、トランジスタM13のオフ期間では、コンデンサC11の両端間電圧が内部電源電圧VREGに達するまでトランジスタM12のドレイン電流にてコンデンサC11が充電される。
【0216】
各更新パルス用回路2140においてノードND21及びグランドGND1間にコンデンサC21が接続される(即ち、コンデンサC21の一端はノードND21に接続され、コンデンサC21の他端はグランドGND1に接続される)。このため、各更新パルス用回路2140において、トランジスタM23のオフ期間では、コンデンサC21の両端間電圧が内部電源電圧VREGに達するまでトランジスタM22のドレイン電流にてコンデンサC21が充電される。
【0217】
メインパルス用回路2130RにおいてトランジスタM13のゲートには信号SR2に基づくゲート信号GM13が供給される。メインパルス用回路2130FにおいてトランジスタM13のゲートには信号SF2に基づくゲート信号GM13が供給される。各トランジスタM13は、ゲート信号GM13のローレベル期間においてオン状態となり、ゲート信号GM13のハイレベル期間においてオフ状態となる。各メインパルス用回路2130はゲート信号GM13を原則としてハイレベルとする。但し、メインパルス用回路2130Rは、検出パルス生成回路1120からライズ検出パルス(PLSDET_R図12等参照)が出力されたとき、ライズ検出パルスを受けて所定の微小なオン時間(例えば数ナノ秒)だけ回路2130R内のトランジスタM13のゲート信号GM13をローレベルとする。メインパルス用回路2130Fは、検出パルス生成回路1120からフォール検出パルス(PLSDET_F図12等参照)が出力されたとき、フォール検出パルスを受けて所定の微小なオン時間(例えば数ナノ秒)だけ回路2130F内のトランジスタM13のゲート信号GM13をローレベルとする。
【0218】
各更新パルス用回路2140においてトランジスタM23のゲートにはゲート信号GM23が供給される。各トランジスタM23は、ゲート信号GM23のローレベル期間においてオン状態となり、ゲート信号GM23のハイレベル期間においてオフ状態となる。各更新パルス用回路2140はゲート信号GM23を原則としてハイレベルとする。但し、更新パルス用回路2140Rは、ハイレベル用のリフレッシュ動作においてハイレベル用の更新パルスをノードND1に出力すべきタイミングにおいてのみ、所定の微小なオン時間(例えば数ナノ秒)だけ回路2140R内のトランジスタM23のゲート信号GM23をローレベルとする。更新パルス用回路2140Fは、ローレベル用のリフレッシュ動作においてローレベル用の更新パルスをノードND2に出力すべきタイミングにおいてのみ、所定の微小なオン時間(例えば数ナノ秒)だけ回路2140F内のトランジスタM23のゲート信号GM23をローレベルとする。
【0219】
尚、各回路2130及び各回路2140においてコンデンサC11及びC21の両端間電圧が0Vから内部電源電圧VREGにまで上昇するために必要な時間は、トランジスタM13がオンとされる間隔及びトランジスタM23がオンとされる間隔と比べて十分に短いものとする。故に、各回路2130にてトランジスタM13がターンオンされる直前においてコンデンサC11の両端間電圧は内部電源電圧VREGと一致し、その時点のコンデンサC11の蓄積電荷量はコンデンサC11の最大蓄積電荷量と一致する。同様に、各回路2140にてトランジスタM23がターンオンされる直前においてコンデンサC21の両端間電圧は内部電源電圧VREGと一致し、その時点のコンデンサC21の蓄積電荷量はコンデンサC21の最大蓄積電荷量と一致する。
【0220】
実施例EX1_1では、コンデンサC11がメインパルス用容量として機能し、コンデンサC21が更新パルス用容量として機能する。
【0221】
メインパルス用回路2130Rは、回路2130R内のトランジスタM13のオン期間において回路2130R内のメインパルス用容量(C11)の蓄積電荷をノードND1に向けて放出することでライズメインパルスをノードND1に出力する(換言すれば一次側コイル1311に出力する)。メインパルス用回路2130Fは、回路2130F内のトランジスタM13のオン期間において回路2130F内のメインパルス用容量(C11)の蓄積電荷をノードND2に向けて放出することでフォールメインパルスをノードND2に出力する(換言すれば一次側コイル1321に出力する)。
【0222】
更新パルス用回路2140Rは、回路2140R内のトランジスタM23のオン期間において回路2140R内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷をノードND1に向けて放出することでハイレベル用の更新パルスをノードND1に出力する(換言すれば一次側コイル1311に出力する)。更新パルス用回路2140Fは、回路2140F内のトランジスタM23のオン期間において回路2140F内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷をノードND2に向けて放出することでローレベル用の更新パルスをノードND2に出力する(換言すれば一次側コイル1321に出力する)。
【0223】
ここで、メインパルス用容量(C11)が有する静電容量値は、更新パルス用容量(C21)が有する静電容量値よりも大きく設定される。このため、メインパルス用容量(C11)の最大蓄積電荷量は更新パルス用容量(C21)の最大蓄積電荷量よりも大きくなり、結果、メインパルス用供給電流(第1電流)は更新パルス用供給電流(第2電流)よりも大きくなる。そうすると、上述の如く、強度INTMAIN1及びINTMAIN2が強度INTU1及びINTU2よりも大きくなる。
【0224】
メインパルス用供給電流の例は、ライズメインパルスがノードND1に出力されるときにおいて、メインパルス用回路2130R内のメインパルス用容量からトランス1310(一次側コイル1311)に供給される電流である。メインパルス用供給電流の他の例は、フォールメインパルスがノードND2に出力されるときにおいて、メインパルス用回路2130F内のメインパルス用容量からトランス1320(一次側コイル1321)に供給される電流である。メインパルスを出力するためのトランジスタM13のオン時間は微小であるため、メインパルス用供給電流は概ねコンデンサC11の蓄積電荷量のみで決まる。
【0225】
更新パルス用供給電流の例は、ハイレベル用の更新パルスがノードND1に出力されるときにおいて、更新パルス用回路2140R内の更新パルス用容量からトランス1310(一次側コイル1311)に供給される電流である。更新パルス用供給電流の他の例は、ローレベル用の更新パルスがノードND2に出力されるときにおいて、更新パルス用回路2140F内の更新パルス用容量からトランス1320(一次側コイル1321)に供給される電流である。更新パルスを出力するためのトランジスタM23のオン時間は微小であるため、更新パルス用供給電流は概ねコンデンサC21の蓄積電荷量のみで決まる。
【0226】
[実施例EX1_2]
実施例EX1_2を説明する。実施例EX1_1を以下のように変形しても良い。当該変形において、各回路2130からコンデンサC11を削除すると共に各回路2140からコンデンサC21を削除し、その上で各回路2130のトランジスタM13のサイズを各回路2140のトランジスタM23のサイズよりも大きくする。図19は、当該変形が施された実施例EX1_2に係る信号伝達装置1000の一部回路図である。
【0227】
図19において、C11aはノードND11及びグランドGND1間に生じる寄生容量を表し、C21aはノードND21及びグランドGND1間に生じる寄生容量を表す。寄生容量C11aは回路2130R及び2130Fの夫々において生じ、寄生容量C21aは回路2140R及び2140Fの夫々において生じる。
【0228】
各回路2130において寄生容量C11aはトランジスタM13に付加される寄生容量(詳細にはトランジスタM13のソース及びグランド間GND1の寄生容量)を含む。各回路2140において寄生容量C21aはトランジスタM23に付加される寄生容量(詳細にはトランジスタM23のソース及びグランド間GND1の寄生容量)を含む。実施例EX1_2では、上述の如く、各回路2130のトランジスタM13のサイズが各回路2140のトランジスタM23のサイズよりも大きい。
【0229】
このため、トランジスタM13に付加される寄生容量はトランジスタM23に付加される寄生容量よりも大きく、結果、寄生容量C11aが有する静電容量値は寄生容量C21aが有する静電容量値よりも大きくなる。実施例EX1_2では、寄生容量C11aがメインパルス用容量として機能し、寄生容量C21aが更新パルス用容量として機能する。つまり、実施例EX1_2では、実施例EX1_1から見て、メインパルス用容量がコンデンサC11から寄生容量C11aに置換され且つ更新パルス用容量がコンデンサC21から寄生容量C21aに置換されている。これらの置換を除き、実施例EX1_2に係る信号伝達装置1000は実施例EX1_1に係る信号伝達装置1000と同様である。
【0230】
[実施例EX1_3]
実施例EX1_3を説明する。実施例EX1_1を以下のように変形しても良い。当該変形において、各回路2130からコンデンサC11を削除すると共に各回路2140からコンデンサC21を削除し、その上で各回路2130のトランジスタM12のサイズを各回路2140のトランジスタM22のサイズよりも大きくする。図20は、当該変形が施された実施例EX1_3に係る信号伝達装置1000の一部回路図である。
【0231】
図20において、C11bはノードND11及びグランドGND1間に生じる寄生容量を表し、C21bはノードND21及びグランドGND1間に生じる寄生容量を表す。寄生容量C11bは回路2130R及び2130Fの夫々において生じ、寄生容量C21bは回路2140R及び2140Fの夫々において生じる。
【0232】
各回路2130において寄生容量C11bはトランジスタM12に付加される寄生容量(詳細にはトランジスタM12のドレイン及びグランド間GND1の寄生容量)を含む。各回路2140において寄生容量C21bはトランジスタM22に付加される寄生容量(詳細にはトランジスタM22のドレイン及びグランド間GND1の寄生容量)を含む。実施例EX1_3では、上述の如く、各回路2130のトランジスタM12のサイズが各回路2140のトランジスタM22のサイズよりも大きい。
【0233】
このため、トランジスタM12に付加される寄生容量はトランジスタM22に付加される寄生容量よりも大きく、結果、寄生容量C11bが有する静電容量値は寄生容量C21bが有する静電容量値よりも大きくなる。実施例EX1_3では、寄生容量C11bがメインパルス用容量として機能し、寄生容量C21bが更新パルス用容量として機能する。つまり、実施例EX1_3では、実施例EX1_1から見て、メインパルス用容量がコンデンサC11から寄生容量C11bに置換され且つ更新パルス用容量がコンデンサC21から寄生容量C21bに置換されている。これらの置換を除き、実施例EX1_3に係る信号伝達装置1000は実施例EX1_1に係る信号伝達装置1000と同様である。
【0234】
[実施例EX1_4]
実施例EX1_4を説明する。図21は実施例EX1_4に係る信号伝達装置1000の一部回路図である。実施例EX1_4は、各更新パルス用回路2140に供給される内部電源電圧が内部電源電圧VREGから内部電源電圧VREG’に変更されている点において実施例EX1_1と相違し、その他の点において実施例EX1_1と同様である。上記の相違点により、実施例EX1_4に係る各更新パルス用回路2140においてトランジスタM21及びM22の各ソースは、内部電源電圧VREGではなく内部電源電圧VREG’が加わる端子に接続される。
【0235】
このため、実施例EX1_4において、各コンデンサC11の充電電圧は内部電源電圧VREGである一方で、各コンデンサC21の充電電圧は内部電源電圧VREG’である。即ち、実施例EX1_4では、対応するトランジスタM13のオフ期間において各コンデンサC11の両端間電圧は内部電源電圧VREGまで高まり、対応するトランジスタM23のオフ期間において各コンデンサC21の両端間電圧は内部電源電圧VREG’まで高まる。
【0236】
ここで内部電源電圧VREG’は内部電源電圧VREGよりも低い正の直流電圧である。信号伝達装置1000において、内部電源電圧VREGを降圧することで内部電源電圧VREG’を生成して良い。尚、上述したように内部電源電圧VREGは電源電圧VCC1そのものであり得る。
【0237】
実施例EX1_4においてコンデンサC11及びC21の静電容量値が互いに等しいことを想定する。この想定の下、内部電源電圧VREG’が内部電源電圧VREGよりも低いが故に、メインパルス用容量(C11)の最大蓄積電荷量は更新パルス用容量(C21)の最大蓄積電荷量よりも大きくなる。そうすると、実施例EX1_1と同様に、メインパルス用供給電流(第1電流)は更新パルス用供給電流(第2電流)よりも大きくなり、結果として、強度INTMAIN1及びINTMAIN2が強度INTU1及びINTU2よりも大きくなる。
【0238】
実施例EX1_4において、実施例EX1_1と同様に、メインパルス用容量が有する静電容量値を更新パルス用容量が有する静電容量値よりも大きく設定しても良い。実施例EX1_4において、メインパルス用容量は寄生容量C11a又はC11bであっても良いし、更新パルス用容量は寄生容量C21a又はC21bであっても良い(図19図20参照)。
【0239】
[実施例EX1_5]
実施例EX1_5を説明する。実施例EX1_1を以下のように変形しても良い。図22は、当該変形が施された実施例EX1_5に係る信号伝達装置1000の一部回路図である。当該変形において、更新パルス用回路2140RにおけるトランジスタM23のドレインを電流制限抵抗R21を介してノードND1に接続し且つ更新パルス用回路2140FにおけるトランジスタM23のドレインを電流制限抵抗R22を介してノードND2に接続する。電流制限抵抗R21及びR22の追加を除き、実施例EX1_5に係る信号伝達装置1000は実施例EX1_1に係る信号伝達装置1000と同様である。電流制限抵抗R21及びR22は更新パルス出力回路1140(図11参照)の構成要素に含まれる。電流制限抵抗R21、R22は、夫々、更新パルス用回路2140R、2140Fの構成要素であると解されても良い。
【0240】
上述したように、更新パルス用回路2140Rは、回路2140R内のトランジスタM23のオン期間において回路2140R内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷をノードND1に向けて放出することでハイレベル用の更新パルスをノードND1に出力する(換言すれば一次側コイル1311に出力する)。但し、実施例EX1_5に係る更新パルス用回路2140Rは、ハイレベル用の更新パルスをノードND1に出力する際、回路2140R内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷を電流制限抵抗R21を介してノードND1に放出(即ち一次側コイル1311に供給)することになる。
【0241】
上述したように、更新パルス用回路2140Fは、回路2140F内のトランジスタM23のオン期間において回路2140F内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷をノードND2に向けて放出することでローレベル用の更新パルスをノードND2に出力する(換言すれば一次側コイル1321に出力する)。但し、実施例EX1_5に係る更新パルス用回路2140Fは、ローレベル用の更新パルスをノードND2に出力する際、回路2140F内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷を電流制限抵抗R22を介してノードND2に放出(即ち一次側コイル1321に供給)することになる。
【0242】
実施例EX1_5においてコンデンサC11及びC21の静電容量値が互いに等しいことを想定する。そうすると、コンデンサC11の最大蓄積電荷量とコンデンサC21の最大蓄積電荷量とは等しくなる。但し、ハイレベル用の更新パルスがノードND1に出力されるとき、回路2140RからノードND1(従って一次側コイル1311)に供給される電流は、電流制限抵抗R21での電圧降下に相当分だけ低下する。同様に、ローレベル用の更新パルスがノードND2に出力されるとき、回路2140FからノードND2(従って一次側コイル1321)に供給される電流は、電流制限抵抗R22での電圧降下に相当分だけ低下する。つまり、電流制限抵抗(R21、R22)での電圧降下により、更新パルス用供給電流(第2電流)はメインパルス用供給電流(第1電流)よりも小さくなる。結果として、強度INTMAIN1及びINTMAIN2が強度INTU1及びINTU2よりも大きくなる。
【0243】
実施例EX1_5において、実施例EX1_1と同様に、メインパルス用容量が有する静電容量値を更新パルス用容量が有する静電容量値よりも大きく設定しても良い。実施例EX1_5において、メインパルス用容量は寄生容量C11a又はC11bであっても良いし、更新パルス用容量は寄生容量C21a又はC21bであっても良い(図19図20参照)。
【0244】
[実施例EX1_6]
実施例EX1_6を説明する。実施例EX1_1を以下のように変形しても良い。図23は、当該変形が施された実施例EX1_6に係る信号伝達装置1000の一部回路図である。当該変形において信号伝達装置1000に対して分流回路2200R及び2200Fが追加される。分流回路2200R及び2200Fの追加を除き、実施例EX1_6に係る信号伝達装置1000は実施例EX1_1に係る信号伝達装置1000と同様である。分流回路2200R及び2200Fは更新パルス出力回路1140(図11参照)の構成要素に含まれる。分流回路2200R、2200Fは、夫々、更新パルス用回路2140R、2140Fの構成要素であると解されても良い。
【0245】
分流回路2200Rは、トランジスタ2211、インバータ2212及び抵抗2213を有する。分流回路2200Fは、トランジスタ2221、インバータ2222及び抵抗2223を有する。トランジスタ2211及び2221はNチャネル型のMOSFETである。
【0246】
抵抗2213の第1端はノードND1に接続され、抵抗2213の第2端はトランジスタ2211のドレインに接続される。トランジスタ2211のソースはグランドに接続される。インバータ2212は回路2140RにおけるトランジスタM23のゲートに接続される。インバータ2212は、回路2140RにおけるトランジスタM23のゲート信号GM23の反転信号をトランジスタ2211のゲートに供給する。トランジスタ2211のゲートにハイレベルの信号が供給されたときトランジスタ2211はオンとなり、トランジスタ2211のゲートにローレベルの信号が供給されたときトランジスタ2211はオフとなる。故に、回路2140RにおけるトランジスタM23のゲート信号GM23がローレベル、ハイレベルを有するとき、夫々、トランジスタ2211はオン、オフとなる。従って、回路2140R内のトランジスタM23がオンであればトランジスタ2211もオンであり、回路2140R内のトランジスタM23がオフであればトランジスタ2211もオフである。
【0247】
抵抗2223の第1端はノードND2に接続され、抵抗2223の第2端はトランジスタ2221のドレインに接続される。トランジスタ2221のソースはグランドに接続される。インバータ2222は回路2140FにおけるトランジスタM23のゲートに接続される。インバータ2222は、回路2140FにおけるトランジスタM23のゲート信号GM23の反転信号をトランジスタ2221のゲートに供給する。トランジスタ2221のゲートにハイレベルの信号が供給されたときトランジスタ2221はオンとなり、トランジスタ2221のゲートにローレベルの信号が供給されたときトランジスタ2221はオフとなる。故に、回路2140FにおけるトランジスタM23のゲート信号GM23がローレベル、ハイレベルを有するとき、夫々、トランジスタ2221はオン、オフとなる。従って、回路2140F内のトランジスタM23がオンであればトランジスタ2221もオンであり、回路2140F内のトランジスタM23がオフであればトランジスタ2221もオフである。
【0248】
上述したように、更新パルス用回路2140Rは、回路2140R内のトランジスタM23のオン期間において回路2140R内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷をノードND1に向けて放出することでハイレベル用の更新パルスをノードND1に出力する(換言すれば一次側コイル1311に出力する)。但し、実施例EX1_6では、ハイレベル用の更新パルスがノードND1に出力される際、トランジスタ2211がオンとされることから、回路2140R内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷がノードND1及び一次側コイル1311に向かう電路と、抵抗2213及びトランジスタ2211を経由する他の電路と、に分配されて放出される。
【0249】
上述したように、更新パルス用回路2140Fは、回路2140F内のトランジスタM23のオン期間において回路2140F内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷をノードND2に向けて放出することでローレベル用の更新パルスをノードND2に出力する(換言すれば一次側コイル1321に出力する)。但し、実施例EX1_6では、ローレベル用の更新パルスがノードND2に出力される際、トランジスタ2221がオンとされることから、回路2140F内の更新パルス用容量(C21)の蓄積電荷がノードND2及び一次側コイル1321に向かう電路と、抵抗2223及びトランジスタ2221を経由する他の電路と、に分配されて放出される。
【0250】
実施例EX1_6においてコンデンサC11及びC21の静電容量値が互いに等しいことを想定する。そうすると、コンデンサC11の最大蓄積電荷量とコンデンサC21の最大蓄積電荷量とは等しくなる。但し、ハイレベル用の更新パルスがノードND1に出力されるとき、回路2140RからノードND1(従って一次側コイル1311)に供給される電流は、トランジスタ2211を通過する電流分だけ低下する。同様に、ローレベル用の更新パルスがノードND2に出力されるとき、回路2140FからノードND2(従って一次側コイル1321)に供給される電流は、トランジスタ2221を通過する電流分だけ低下する。つまり、更新パルス用容量の蓄積電荷の上記他の電路への分配により、更新パルス用供給電流(第2電流)はメインパルス用供給電流(第1電流)よりも小さくなる。結果として、強度INTMAIN1及びINTMAIN2が強度INTU1及びINTU2よりも大きくなる。
【0251】
上記他の電路の形成位置は変更可能である。例えば、図23の構成を基準に、抵抗2213の第1端の接続位置をノードND1から回路2140R内のノードND21に変更して良く、同様に、抵抗2223の第1端の接続位置をノードND2から回路2140F内のノードND21に変更して良い。
【0252】
実施例EX1_6において、実施例EX1_1と同様に、メインパルス用容量が有する静電容量値を更新パルス用容量が有する静電容量値よりも大きく設定しても良い。実施例EX1_6において、メインパルス用容量は寄生容量C11a又はC11bであっても良いし、更新パルス用容量は寄生容量C21a又はC21bであっても良い(図19図20参照)。
【0253】
<第2実施形態>
信号伝達装置1000の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なる方法を用いて上記衝突の問題を解消する。
【0254】
図24に第2実施形態に係る信号伝達装置1000の一部回路を示す。第1実施形態に係る信号伝達装置1000を基準として、第2実施形態に係る信号伝達装置1000にはスイッチング素子2310及び2320が追加される。スイッチング素子2310及び2320の追加を除き、第2実施形態に係る信号伝達装置1000は第1実施例形態に係る信号伝達装置1000(例えば、実施例EX1_1~EX1_6の何れかに係る信号伝達装置1000)と同様であって良い。図24では、例として、実施例EX1_1に係る信号伝達装置1000(図18)に対して、スイッチング素子2310及び2320が追加される構成が示される。
【0255】
スイッチング素子2310はノードND1及びグランドGND1間に接続される。スイッチング素子2320はノードND2及びグランドGND1間に接続される。スイッチング素子2310及び2320は信号DINに応じてオン又はオフに制御される。
【0256】
具体的には、スイッチング素子2310は信号DINのハイレベル期間においてオフであり、信号DINのローレベル期間においてオンである。スイッチング素子2310がオンであるとき、ノードND1及びグランドGND1間がスイッチング素子2310により短絡される。故に、スイッチング素子2310は、信号DINのローレベル期間においてノードND1に対するハイレベル用の更新パルスの出力を抑止する素子(第1出力抑制阻止)として機能し、信号DINのローレベル期間においてノードND1に対するライズメインパルスの出力も抑止する。
【0257】
また、スイッチング素子2320は信号DINのローレベル期間においてオフであり、信号DINのハイレベル期間においてオンである。スイッチング素子2320がオンであるとき、ノードND2及びグランドGND1間がスイッチング素子2320により短絡される。故に、スイッチング素子2320は、信号DINのハイレベル期間においてノードND2に対するローレベル用の更新パルスの出力を抑止する素子(第2出力抑制阻止)として機能し、信号DINのハイレベル期間においてノードND2に対するフォールメインパルスの出力も抑止する。
【0258】
スイッチング素子2310及び2320を任意の種類のトランジスタにて構成することができる。図24の例では、スイッチング素子2310及び2320としてNチャネル型のトランジスタを用いる。スイッチング素子2310としてのトランジスタ、スイッチング素子2320としてのトランジスタを、以下、夫々、トランジスタ2310、2320と称する。
【0259】
トランジスタ2310のドレインはノードND1に接続され、トランジスタ2310のソースはグランドGND1に接続される。トランジスタ2310のゲートには信号DINの反転信号が入力される。故に、トランジスタ2310は、信号DINのハイレベル期間においてオフとなり、信号DINのローレベル期間においてオンとなる。
【0260】
トランジスタ2320のドレインはノードND2に接続され、トランジスタ2320のソースはグランドGND1に接続される。トランジスタ2320のゲートには信号DINが入力される。故に、トランジスタ2320は、信号DINのハイレベル期間においてオンとなり、信号DINのローレベル期間においてオフとなる。
【0261】
第2実施形態によれば、メインパルスと更新パルスとの同時出力が抑制されるため、信号DOUTのレベルを適正とすることができる。
【0262】
図25に参考構成に係る信号波形を示す。図26に第2実施形態に係る信号波形を示す。参考構成にはスイッチング素子2310及び2320が設けられていないものとする。図25及び図26の夫々において、上から下に向けて、信号DIN、信号SRR(二次側コイル1312の両端間に加わる信号)、信号SFF(二次側コイル1322の両端間に加わる信号)の波形が示される(図11参照)。図25及び図26の夫々において、信号SRRに含まれる波形2331は信号DINのライズエッジに基づくライズメインパルスの受信波形に相当し、信号SRRに含まれる波形2332はハイレベル用の更新パルスの受信波形に相当し、信号SFFに含まれる波形2333は信号DINのフォールエッジに基づくフォールメインパルスの受信波形に相当する。
【0263】
図25及び図26の各波形例において、信号DINのフォールエッジとハイレベル用の更新パルスの出力とが略同時に発生することが想定されている。参考構成に対応する図25の例では、信号DINのフォールエッジに基づく受信波形2333とハイレベル用の更新パルスに基づく受信波形2332とが、同程度の強度を持って受信回路1210に入力される。このため、信号DOUTのレベルを正しく決定することが難しくなる。他方、第2実施形態によれば、信号DINにフォールエッジが生じた直後から信号SRRの強度(振幅)が十分に小さくなるため、信号DOUTのレベルを正しく決定することが可能となる。ライズメインパルスとローレベル用の更新パルスとの衝突に関しても同様である。
【0264】
<第3実施形態>
信号伝達装置1000の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、第1及び第2実施形態とは異なる方法を用いて上記衝突の問題を解消する。
【0265】
図27に第3実施形態に係る信号伝達装置1000の内部構成例を示す。図11に示した上述の信号伝達装置1000に対して遅延回路1160を追加することで、第3実施形態に係る信号伝達装置1000が形成される。遅延回路1160は検出パルス生成回路1120とメインパルス出力回路1130との間に挿入される。
【0266】
遅延回路1160は検出パルス生成回路1120からの信号SR2及びSF2を受ける。遅延回路1160は、信号SR2を所定の遅延時間TDLY1だけ遅延させた後の信号である信号SR2’をメインパルス出力回路1130(詳細には回路1130R)に出力する。遅延回路1160は、信号SF2を所定の遅延時間TDLY2だけ遅延させた後の信号である信号SF2’をメインパルス出力回路1130(詳細には回路1130F)に出力する。遅延時間TDLY1及びTDLY2は同じであるが、異なっていても良い。
【0267】
信号SR2及びSF2を遅延させるための回路構成は任意である。例えば、信号SR2をRCフィルタ等を用いて遅延させた後、波形整形を経て信号SR2’を生成しても良いし、信号SR2を受けるインバータの直列回路により信号SR2’を生成しても良い。信号SF2及びSF2’についても同様である。
【0268】
図28に第3実施形態に係る信号伝達装置1000内の幾つかの信号波形を示す。図28では、上から下に向けて、信号DIN、SR2、SR2’、SR3、SF2、SF2’、SF3、DOUTの波形が順番に示される。
【0269】
信号DINのライズエッジに応答して信号SR2及びSR2’の双方にライズ検出パルス(PLSDET_R)が含められる。但し、信号SR2に含まれるライズ検出パルスの発生タイミングから見て、信号SR2’に含まれるライズ検出パルスの発生タイミングは遅延時間TDLY1だけ遅い。このため、信号SR3に含まれるライズメインパルス(PLSMAIN_R)の発生タイミングは、信号SR2中のライズ検出パルス(PLSDET_R)の発生タイミングから遅延時間TDLY1だけ遅れる。
【0270】
信号DINのフォールエッジに応答して信号SF2及びSF2’の双方にフォール検出パルス(PLSDET_F)が含められる。但し、信号SF2に含まれるフォール検出パルスの発生タイミングから見て、信号SF2’に含まれるフォール検出パルスの発生タイミングは遅延時間TDLY2だけ遅い。このため、信号SF3に含まれるフォールメインパルス(PLSMAIN_F)の発生タイミングは、信号SF2中のフォール検出パルス(PLSDET_F)の発生タイミングから遅延時間TDLY2だけ遅れる。
【0271】
回路1130Rは、信号SR2’におけるライズ検出パルス(PLSDET_R)を受けてライズメインパルス(PLSMAIN_R)をノードND1へ出力する。即ち、回路1130Rは、検出パルス生成回路1120にてライズ検出パルスが生成されてから遅延時間TDLY1が経過した後に、ノードND1に対してライズメインパルスを出力する。回路1130Rは、遅延回路1160からライズ検出パルスを受けるごとに、ライズ検出パルスを受けたタイミングにてライズメインパルスをノードND1に対して出力する。
【0272】
回路1130Fは、信号SF2’におけるフォール検出パルス(PLSDET_F)を受けてフォールメインパルス(PLSMAIN_F)をノードND2へ出力する。即ち、回路1130Fは、検出パルス生成回路1120にてフォール検出パルスが生成されてから遅延時間TDLY2が経過した後に、ノードND2に対してフォールメインパルスを出力する。回路1130Fは、遅延回路1160からフォール検出パルスを受けるごとに、フォール検出パルスを受けたタイミングにてフォールメインパルスをノードND2に対して出力する。
【0273】
ローレベル用のリフレッシュ動作(図14参照)が行われているときにおいて信号DINにライズエッジが生じたケースを考える。当該ケースでは、信号DINのライズエッジに応答してライズメインパルスがノードND1に出力される前に、信号SR2及びSF2の論理和信号がハイレベルとなることで上述の更新判定フラグに“0”が代入されるため、ローレベル用のリフレッシュ動作が停止する。従って、図15に示したような、ライズメインパルス(PLSMAIN_R)とローレベル用の更新パルス(PLSU_L)との衝突は発生しない。
【0274】
ハイレベル用のリフレッシュ動作(図13参照)が行われているときにおいて信号DINにフォールエッジが生じたケースを考える。当該ケースでは、信号DINのフォールエッジに応答してフォールメインパルスがノードND2に出力される前に、信号SR2及びSF2の論理和信号がハイレベルとなることで上述の更新判定フラグに“0”が代入されるため、ハイレベル用のリフレッシュ動作が停止する。従って、図16に示したような、フォールメインパルス(PLSMAIN_F)とハイレベル用の更新パルス(PLSU_H)との衝突は発生しない。
【0275】
第3実施形態によれば、メインパルスと更新パルスとの同時出力が抑制されるため、信号DOUTのレベルを適正とすることができる。
【0276】
<第4実施形態>
信号伝達装置1000の第4実施形態を説明する。第4実施形態では、上述した各技術に対する応用技術、変形技術又は補足事項等を説明する。第4実施形態に示した事項を第1、第2又は第3実施形態に適用することもできる。
【0277】
信号伝達装置1000において絶縁素子群1300に含まれる各絶縁素子は、一次側回路1100内の信号を二次側回路1200へ絶縁形式で伝達できる絶縁素子であれば良く、絶縁素子の種類は問わない。
【0278】
例えば図11の構成では、第1及び第2絶縁素子としてのトランス1310及び1320が用いられているが、第1及び第2絶縁素子として第1及び第2フォトカプラ(不図示)が用いられても良い。この場合、各フォトカプラは一次側回路1100内に設けられる発光素子及び二次側回路1200内に設けられる受光素子を有する。
第1フォトカプラの発光素子はノードND1及びグランドGND1間に接続され、ノードND1に供給された信号に応じて発光する。第1フォトカプラの発光素子の発光強度はノードND1に供給される信号の強度に比例する。第1フォトカプラの受光素子は第1フォトカプラの発光素子の発光強度に応じた信号を信号SRRとして発生し、受光回路1210に与える。受信回路1210は、一定強度以上の強度を持つ信号SRRを受けたとき、信号DOUTにライズエッジを生じさせる又は信号DOUTをハイレベルに維持して良い。
第2フォトカプラの発光素子はノードND2及びGND2間に接続され、ノードND2に供給された信号に応じて発光する。第2フォトカプラの発光素子の発光強度はノードND2に供給される信号の強度に比例する。第2フォトカプラの受光素子は第2フォトカプラの発光素子の発光強度に応じた信号を信号SFFとして発生し、受光回路1210に与える。受信回路1210は、一定強度以上の強度を持つ信号SFFを受けたとき、信号DOUTにフォールエッジを生じさせる又は信号DOUTをローレベルに維持して良い。
【0279】
或いは例えば、第1及び第2絶縁素子として第1及び第2通信用コンデンサ(不図示)が用いられても良い。この場合、各通信用コンデンサは一次側回路1100内に設けられる一次側電極及び二次側回路1200内に設けられる二次側電極を有する。
第1通信用コンデンサの一次側電極はノードND1に接続され、第1通信用コンデンサの二次側電極は受信回路1210に接続される。ノードND1における電位変化が第1通信用コンデンサの二次側電極にも生じ、第1通信用コンデンサの二次側電極の電位を持つ信号が信号SRRとして受信回路1210に伝達される。受信回路1210は、グランドGND2から見た信号SRRの電圧が一定電圧以上であれば、信号DOUTにライズエッジを生じさせる又は信号DOUTをハイレベルに維持して良い。
第2通信用コンデンサの一次側電極はノードND2に接続され、第2通信用コンデンサの二次側電極は受信回路1210に接続される。ノードND2における電位変化が第2通信用コンデンサの二次側電極にも生じ、第2通信用コンデンサの二次側電極の電位を持つ信号が信号SFFとして受信回路1210に伝達される。受信回路1210は、グランドGND2から見た信号SFFの電圧が一定電圧以上であれば、信号DOUTにフォールエッジを生じさせる又は信号DOUTをローレベルに維持して良い。
【0280】
信号伝達装置1000を任意の用途に利用できる。例えば、パワートランジスタのゲートに対してゲート信号を供給する装置として信号伝達装置1000を利用できる。この場合、信号伝達装置1000は、一次側に設けられたホスト装置(不図示)からのゲート制御信号を信号DINとして受け、得られた信号DOUTを二次側に設けられたパワートランジスタのゲートに供給すれば良い。三相分のハーフブリッジ回路を用いて三相モータを駆動するシステムに信号伝達装置1000が適用されても良い。この際、三相分のハーフブリッジ回路内の各パワートランジスタに対しゲート信号を供給する装置として信号伝達装置1000を利用できる。
【0281】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係は上述したものの逆とされ得る。
【0282】
各実施形態に示されたFET(電界効果トランジスタ)のチャネルの種類は例示である。上述の主旨を損なわない形で、任意のFETのチャネルの種類はPチャネル型及びNチャネル型間で変更され得る。
【0283】
不都合が生じない限り、上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタを、不都合が生じない限り、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0284】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0285】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0286】
本開示の一側面に係る信号伝達装置(1100;図11参照)は、入力デジタル信号(DIN)のレベルが第1レベル(ローレベル)から第2レベル(ハイレベル)へ切り替わる第1エッジ(ライズエッジ)及び前記入力デジタル信号のレベルが前記第2レベルから前記第1レベルへ切り替わる第2エッジ(フォールエッジ)を検出するよう構成されたエッジ検出回路(1110)と、前記第1エッジの検出を契機に第1検出パルス(ライズ検出パルス)を生成し、前記第2エッジの検出を契機に第2検出パルス(フォール検出パルス)を生成するよう構成された検出パルス生成回路(1120)と、前記第1検出パルスの生成を契機に第1メインパルス(ライズメインパルス)を第1ノード(ND1)に対して出力し、前記第2検出パルスの生成を契機に第2メインパルス(フォールメインパルス)を第2ノード(ND2)に対して出力するよう構成されたメインパルス出力回路(1130)と、前記第1エッジの後、所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に第1更新パルス(ハイレベル用の更新パルス)を前記第1ノードに対して出力し、且つ、前記第2エッジの後、前記所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に第2更新パルス(ローレベル用の更新パルス)を前記第2ノードに対して出力するよう構成された更新パルス出力回路(1140)と、前記第1ノードに接続され、前記第1ノードに対する前記メインパルス出力回路の出力信号と前記第1ノードに対する前記更新パルス出力回路の出力信号との第1和信号にて駆動されるよう構成された第1絶縁素子(1310)と、前記第2ノードに接続され、前記第2ノードに対する前記メインパルス出力回路の出力信号と前記第2ノードに対する前記更新パルス出力回路の出力信号との第2和信号にて駆動されるよう構成された第2絶縁素子(1320)と、前記第1絶縁素子の駆動により前記第1絶縁素子にて生成される第1受信パルス(SRR中の受信パルス)及び前記第2絶縁素子の駆動により前記第2絶縁素子にて生成される第2受信パルス(SFF中の受信パルス)に基づき、出力デジタル信号(DOUT)を生成するよう構成された受信回路(1210)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0287】
これにより、入力デジタル信号のレベルが長時間にわたり第1レベル又は第2レベルに維持されていたとしても、出力デジタル信号のレベルを適正に維持することができる又は出力デジタル信号の誤り訂正が可能なる。
【0288】
尚、本開示の一側面に係る信号伝達装置において、第1レベルがローレベルであって且つ第2レベルがハイレベルであっても良いし、第1レベルがハイレベルであって且つ第2レベルがローレベルであっても良い。
【0289】
上記第1の構成に係る信号伝達装置において(図15及び図16参照)、各メインパルスにて各絶縁素子が駆動されるときの各受信パルスの強度(INTMAIN1、INTMAIN2)は、各更新パルスにて各絶縁素子が駆動されるときの各受信パルスの強度(INTU1、INTU2)よりも大きい構成(第2の構成)であっても良い。
【0290】
これにより、メインパルスを出力すべきタイミングと更新パルスを出力すべきタイミングとが重なり合う状況において、出力デジタル信号が不適正になることが抑制される。
【0291】
上記第2の構成に係る信号伝達装置において、前記受信回路は、前記第1受信パルス及び前記第2受信パルスを同時に受けたとき、前記第1受信パルス及び前記第2受信パルスの内、強度が大きい方の受信パルスに基づき前記出力デジタル信号のレベルを決定する構成(第3の構成)であっても良い。
【0292】
これにより、メインパルスを出力すべきタイミングと更新パルスを出力すべきタイミングとが重なり合う状況において、出力デジタル信号が不適正になることが抑制される。
【0293】
上記第1の構成に係る信号伝達装置において(図11図18参照)、前記メインパルス出力回路は、前記第1検出パルスの生成を契機に前記第1メインパルスを前記第1ノードに対して出力するよう構成された第1メインパルス用回路(1130R、2130R)と、前記第2検出パルスの生成を契機に前記第2メインパルスを前記第2ノードに対して出力するよう構成された第2メインパルス用回路(1130F、2130F)と、を有し、前記更新パルス出力回路は、前記第1エッジの後、前記所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に前記第1更新パルスを前記第1ノードに対して出力するよう構成された第1更新パルス用回路(1140R、2140R)と、前記第2エッジの後、前記所定時間継続して前記第1エッジ及び前記第2エッジの何れもが検出されないとき、周期的に前記第2更新パルスを前記第2ノードに対して出力するよう構成された第2更新パルス用回路(1140F、2140F)と、を有し、各メインパルス用回路は、メインパルス用の定電流(CC11)を用いて充電されるよう構成されたメインパルス用容量(例えばC11)を有し、各更新パルス用回路は、更新パルス用の定電流(CC21)を用いて充電されるよう構成された更新パルス用容量(例えばC21)を有し、前記メインパルス出力回路は、前記第1メインパルス用回路における前記メインパルス用容量の蓄積電荷を前記第1ノードに向けて放出することで前記第1メインパルスを前記第1ノードに出力し、且つ、前記第2メインパルス用回路における前記メインパルス用容量の蓄積電荷を前記第2ノードに向けて放出することで前記第2メインパルスを前記第2ノードに出力し、前記更新パルス出力回路は、前記第1更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を前記第1ノードに向けて放出することで前記第1更新パルスを前記第1ノードに出力し、且つ、前記第2更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を前記第2ノードに向けて放出することで前記第2更新パルスを前記第2ノードに出力する構成(第4の構成)であっても良い。
【0294】
これにより、入力デジタル信号のレベルが長時間にわたり第1レベル又は第2レベルに維持されていたとしても、出力デジタル信号のレベルを適正に維持することができる又は出力デジタル信号の誤り訂正が可能なる。
【0295】
上記第4の構成に係る信号伝達装置において、第1電流(メインパルス用供給電流)は第2電流(更新パルス用供給電流)よりも大きく、前記第1電流は、前記第1メインパルスが前記第1ノードに出力されるときにおいて前記第1メインパルス用回路における前記メインパルス用容量から前記第1絶縁素子に供給される電流、又は、前記第2メインパルスが前記第2ノードに出力されるときにおいて前記第2メインパルス用回路における前記メインパルス用容量から前記第2絶縁素子に供給される電流であり、前記第2電流は、前記第1更新パルスが前記第1ノードに出力されるときにおいて前記第1更新パルス用回路における前記更新パルス用容量から前記第1絶縁素子に供給される電流、又は、前記第2更新パルスが前記第2ノードに出力されるときにおいて前記第2更新パルス用回路における前記更新パルス用容量から前記第2絶縁素子に供給される電流である構成(第5の構成)であっても良い。
【0296】
これにより、メインパルスを出力すべきタイミングと更新パルスを出力すべきタイミングとが重なり合う状況において、出力デジタル信号が不適正になることが抑制される。
【0297】
上記第5の構成に係る信号伝達装置において(図18~図20参照)、各メインパルス用容量の静電容量値が各更新パルス用容量の静電容量値よりも大きく設定されることで、前記第1電流が前記第2電流よりも大きくなる構成(第6の構成)であっても良い。
【0298】
上記第5の構成に係る信号伝達装置において(図21参照)、各メインパルス用容量を充電するための電源電圧(VREG)が各更新パルス用容量を充電するための電源電圧(VREG’)よりも大きく設定されることで、前記第1電流が前記第2電流よりも大きくなる構成(第7の構成)であっても良い。
【0299】
上記第5の構成に係る信号伝達装置において(図22参照)、前記第1更新パルス用回路は、前記第1更新パルスを前記第1ノードに出力する際、前記第1更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を第1電流制限抵抗(R21)を介して前記第1ノードに放出し、前記第2更新パルス用回路は、前記第2更新パルスを前記第2ノードに出力する際、前記第2更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を第2電流制限抵抗(R22)を介して前記第2ノードに放出し、各電流制限抵抗での電圧降下により前記第2電流が前記第1電流より小さくなる構成(第8の構成)であっても良い。
【0300】
上記第5の構成に係る信号伝達装置において(図23参照)、前記第1更新パルス用回路は、前記第1更新パルスを前記第1ノードに出力する際、前記第1更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を前記第1ノードに向かう電路と他の電路(例えば抵抗2213及びトランジスタ2211を経由する電路)とに分配して放出し、前記第2更新パルス用回路は、前記第2更新パルスを前記第2ノードに出力する際、前記第2更新パルス用回路における前記更新パルス用容量の蓄積電荷を前記第2ノードに向かう電路と更に他の電路(例えば抵抗2223及びトランジスタ2221を経由する電路)とに分配して放出し、各更新パルス用回路における前記分配により前記第2電流が前記第1電流より小さくなる構成(第9の構成)であっても良い。
【0301】
上記第5~第9の構成の何れかに係る信号伝達装置において(図15及び図16参照)、前記第1電流が前記第2電流よりも大きいことにより、各メインパルスにて各絶縁素子が駆動されるときの各受信パルスの強度(INTMAIN1、INTMAIN2)は、各更新パルスにて各絶縁素子が駆動されるときの各受信パルスの強度(INTU1、INTU2)よりも大きく、前記受信回路は、前記第1受信パルス及び前記第2受信パルスを同時に受けたとき、前記第1受信パルス及び前記第2受信パルスの内、強度が大きい方の受信パルスに基づき前記出力デジタル信号のレベルを決定する構成(第10の構成)であっても良い。
【0302】
これにより、メインパルスを出力すべきタイミングと更新パルスを出力すべきタイミングとが重なり合う状況において、出力デジタル信号が不適正になることが抑制される。
【0303】
上記第1~第10の構成の何れかに係る信号伝達装置において、前記エッジ検出回路、前記検出パルス生成回路、前記メインパルス出力回路及び前記更新パルス出力回路を含む一次側回路(1100)と、前記受信回路を含む二次側回路(1200)と、を備え、各絶縁素子は前記一次側回路及び前記二次側回路間に設けられ、前記二次側回路内において各絶縁素子により各受信パルスが生成される構成(第11の構成)であっても良い。
【0304】
上記第1~第11の構成の何れかに係る信号伝達装置において(図24参照)、前記入力デジタル信号が前記第1レベルを有するとき、前記第1ノードに対する前記第1更新パルスの出力を抑止するよう構成された第1出力抑止素子(2310)と、前記入力デジタル信号が前記第2レベルを有するとき、前記第2ノードに対する前記第2更新パルスの出力を抑止するよう構成された第2出力抑止素子(2320)と、を更に備える構成(第12の構成)であっても良い。
【0305】
これにより、メインパルスと更新パルスとの同時出力が抑制されるため、出力デジタル信号が不適正になることが抑制される。
【0306】
上記第12の構成に係る信号伝達装置において、前記第1出力抑止素子は、前記第1ノード及びグランド間に接続され、且つ、前記入力デジタル信号が前記第1レベルを有するときにオンに制御される第1スイッチング素子(2310)にて構成され、前記第2出力抑止素子は、前記第2ノード及びグランド間に接続され、且つ、前記入力デジタル信号が前記第2レベルを有するときにオンに制御される第2スイッチング素子(2320)にて構成される構成(第13の構成)であっても良い。
【0307】
上記第1~第13の構成の何れかに係る信号伝達装置において(図27参照)、前記検出パルス生成回路と前記メインパルス出力回路との間に挿入された遅延回路(1160)を更に備え、前記遅延回路により、前記第1検出パルスが生成されてから所定の第1遅延時間(TDLY1)が経過した後に前記メインパルス出力回路から前記第1ノードに対して前記第1メインパルスが出力され、且つ、前記第2検出パルスが生成されてから所定の第2遅延時間(TDLY2)が経過した後に前記メインパルス出力回路から前記第2ノードに対して前記第2メインパルスが出力される構成(第14の構成)であっても良い。
【0308】
これにより、メインパルスと更新パルスとの同時出力が抑制されるため、出力デジタル信号が不適正になることが抑制される。
【0309】
上記第1~第14の構成の何れかに係る信号伝達装置において、前記第1絶縁素子は、前記第1ノードに接続された第1入力側コイル(1311)及び前記第1入力側コイルに磁気結合された第1出力側コイル(1312)と、を有し、前記第1絶縁素子の駆動により前記第1出力側コイルに前記第1受信パルスが発生し、前記第2絶縁素子は、前記第2ノードに接続された第2入力側コイル(1321)及び前記第2入力側コイルに磁気結合された第2出力側コイル(1322)と、を有し、前記第2絶縁素子の駆動により前記第2出力側コイルに前記第2受信パルスが発生する構成(第15の構成)であっても良い。
【符号の説明】
【0310】
5 半導体装置
11、11A~11F 低電位端子
12、12A~12F 高電位端子
21、21A~21D 変圧器(トランス)
22 低電位コイル(一次側コイル)
23 高電位コイル(二次側コイル)
24 第1内側末端
25 第1外側末端
26 第1螺旋部
27 第2内側末端
28 第2外側末端
29 第2螺旋部
31 第1低電位配線
32 第2低電位配線
33 第1高電位配線
34 第2高電位配線
41 半導体チップ
42 第1主面
43 第2主面
44A~44D チップ側壁
45 第1機能デバイス
51 絶縁層
52 絶縁主面
53A~53D 絶縁側壁
55 最下絶縁層
56 最上絶縁層
57 層間絶縁層
58 第1絶縁層
59 第2絶縁層
60 第2機能デバイス
61 シール導体
62 デバイス領域
63 外側領域
64 シールプラグ導体
65 シールビア導体
66 第1内側領域
67 第2内側領域
71 貫通配線
72 低電位接続配線
73 引き出し配線
74 第1接続プラグ電極
75 第2接続プラグ電極
76 パッドプラグ電極
77 基板プラグ電極
78 第1電極層
79 第2電極層
80 配線プラグ電極
81 高電位接続配線
82 パッドプラグ電極
85 ダミーパターン
86 高電位ダミーパターン
87 第1高電位ダミーパターン
88 第2高電位ダミーパターン
89 第1領域
90 第2領域
91 第3領域
92 第1接続部
93 第1パターン
94 第2パターン
95 第3パターン
96 第1外周ライン
97 第2外周ライン
98 第1中間ライン
99 第1接続ライン
100 スリット
130 分離構造
140 無機絶縁層
141 第1無機絶縁層
142 第2無機絶縁層
143 低電位パッド開口
144 高電位パッド開口
145 有機絶縁層
146 第1部分
147 第2部分
148 低電位端子開口
149 高電位端子開口
200 信号伝達装置
200p 一次回路系
200s 二次回路系
210 コントローラチップ(第1チップ)
211 パルス送信回路(パルスジェネレータ)
212、213 バッファ
220 ドライバチップ(第2チップ)
221、222 バッファ
223 パルス受信回路(RSフリップフロップ)
224 ドライバ
230 トランスチップ(第3チップ)
230a 第1配線層(下層)
230b 第2配線層(上層)
231、232 トランス
231p、232p 一次側コイル
231s、232s 二次側コイル
300 トランスチップ
301 第1トランス
302 第2トランス
303 第3トランス
304 第4トランス
305 第1ガードリング
306 第2ガードリング
a1~a8 パッド(第1の電流供給用パッドに相当)
b1~b8 パッド(第1の電圧測定用パッドに相当)
c1~c4 パッド(第2の電流供給用パッドに相当)
d1~d4 パッド(第2の電圧測定用パッドに相当)
e1、e2 パッド
L1p、L2p 一次側コイル
L1s、L2s、L3s、L4s 二次側コイル
T21、T22、T23、T24、T25、T26 外部端子
X 第1方向
X21、X22、X23 内部端子
Y 第2方向
Y21、Y22、Y23 配線
Z 法線方向
Z21、Z22、Z23 ビア
1000 信号伝達装置
1100 一次側回路
1200 二次側回路
1300 絶縁素子群
1110 エッジ検出回路
1110R、1110F 回路
1120 検出パルス生成回路
1120R、1120F 回路
1130 メインパルス出力回路
1130R、1130F 回路(メインパルス用回路)
1140 更新パルス出力回路
1140R、1140F 回路(更新パルス用回路)
1150 更新判定回路
1160 遅延回路
1210 受信回路
1310、1320 トランス
1311、1321 一次側コイル
1312、1322 二次側コイル
DIN 信号(入力デジタル信号)
DOUT 信号(出力デジタル信号)
R1~SR4、SF1~SF4 信号
ND1、ND2 ノード
PLSDET_R ライズ検出パルス
PLSDET_F フォール検出パルス
PLSMAIN_R ライズメインパルス
PLSMAIN_F フォールメインパルス
PLSU_H ハイレベル用の更新パルス
PLSU_L ローレベル用の更新パルス
2130 メインパルス用回路
2140 更新パルス用回路
M11~M13、M21~M23 トランジスタ
CC11、CC21 定電流源
C11、C21 コンデンサ
C11a、C11b、C21a、C21b 寄生容量
R21、R22 抵抗
2200R、2200F 分流回路
2211、2221 トランジスタ
2212、2222 インバータ
2213、2223 抵抗
2310、2320 スイッチング素子(トランジスタ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28