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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051597
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/02 20060101AFI20240404BHJP
   A45D 24/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A46B9/02
A45D24/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157849
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敬
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA11
3B202AB02
3B202BA00
3B202EA01
3B202EB14
3B202EB19
3B202EC06
3B202EC07
3B202ED05
3B202ED06
3B202EE01
3B202EF02
3B202EG01
3B202GB06
(57)【要約】
【課題】異なるフィット感をもたせることが可能なブラシを提供する。
【解決手段】ブラシ面11から突出する複数の第1ピン12及び複数の第2ピン13を有し、前記複数の第1ピン12の突出端12Eによって構成される第1仮想線S1,S3の曲率半径R1,R3と、前記複数の第2ピン13の突出端13Eによって構成される第2仮想線S2,S4の曲率半径R2,R4とは異なっている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ面から突出する複数の第1ピン及び複数の第2ピンを有し、
前記複数の第1ピンの突出端によって構成される第1仮想線の曲率半径と、前記複数の第2ピンの突出端によって構成される第2仮想線の曲率半径とは異なっている、ブラシ。
【請求項2】
前記第1ピンの突出端は、前記第2ピンの突出端よりも突出方向先端側に位置し、
前記第1ピンは、前記第2ピンよりも撓みやすい、請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
前記第1仮想線の曲率半径は、前記第2仮想線の曲率半径よりも小さい、請求項2に記載のブラシ。
【請求項4】
前記第1ピンの突出端は、前記第2ピンの突出端よりも突出方向先端側に位置し、
前記第1ピンと前記第2ピンとは実質的に同じ材質であり、
前記第1ピンは、前記第2ピンよりも細い、請求項1に記載のブラシ。
【請求項5】
前記ブラシ面は、凸部及び凹部を有し、
前記第1ピンの長さ寸法と前記第2ピンの長さ寸法とは同じであり、
前記第1ピンは、前記凸部から突出し、
前記第2ピンは、前記凹部から突出している、請求項1に記載のブラシ。
【請求項6】
前記凸部及び前記凹部はそれぞれ第1方向に直線状に延びるとともに、前記第1方向と直交する第2方向に交互に配置されている、請求項5に記載のブラシ。
【請求項7】
前記第1ピン及び前記第2ピンは、前記ブラシ面において第1方向及び前記第1方向と直交する第2方向に並んで配置され、
前記第1仮想線及び前記第2仮想線のうち前記第1方向に延びた第1仮想線及び第2仮想線の前記第1方向における中央部は、前記第1方向における両端部よりも後側に凹んでいる、請求項1に記載のブラシ。
【請求項8】
前記第1ピン及び前記第2ピンは、前記ブラシ面において第1方向及び前記第1方向と直交する第2方向に並んで配置され、
前記第1仮想線及び第2仮想線のうち前記第2方向に延びた第1仮想線及び第2仮想線の前記第2方向における中央部は、前記第2方向における両端部よりも先端側に突出している、請求項1に記載のブラシ。
【請求項9】
ブラシ面から突出する複数の第1ピン及び複数の第2ピンを有し、
前記第1ピンの突出端は、前記第2ピンの突出端よりも突出方向先端側に位置し、
前記第1ピンは、前記第2ピンよりも撓みやすい、ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の頭髪や動物の毛などをブラッシングするために用いられるブラシが知られている(例えば下記特許文献1に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-81854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなブラシにおいて、多様なフィット感を実現したいという要望があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、多様なフィット感をもたせることが可能なブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のブラシは、ブラシ面から突出する複数の第1ピン及び複数の第2ピンを有し、前記複数の第1ピンの突出端によって構成される第1仮想線の曲率半径と、前記複数の第2ピンの突出端によって構成される第2仮想線の曲率半径とは異なっているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1ピンの突出端が頭皮とフィットしやすい形状と、第2ピンの突出端が頭皮とフィットしやすい形状とは異なるから、多様なフィット感を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例におけるブラシを示す正面図
図2】ブラシを示す側面図
図3】ブラシを示す平面図
図4】ブラシを示す断面図であって、図1のA-A位置における断面に相当する断面図
図5】ブラシを示す断面図であって、図4のB-B位置における断面に相当する断面図
図6】ブラシを示す断面図であって、図4のC-C位置における断面に相当する断面図
図7】ブラシを置き台にセットする様子を示す斜視図
図8】ブラシを置き台にセットした状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
【0010】
本発明のブラシにおいて、前記第1ピンの突出端は、前記第2ピンの突出端よりも突出方向先端側に位置し、前記第1ピンは、前記第2ピンよりも撓みやすいものとしてもよい。このような構成によれば、第1ピンはブラッシングの対象となる部位の形状にあわせて撓みやすいから、対象となる部位にフィットしやすい。第2ピンはブラッシングの対象となる部位に強く当てやすいから、対象となる部位をマッサージしやすい。したがって、フィット感を良くしつつ、マッサージも好適に行うことができる。
【0011】
また、本発明のブラシにおいて、前記第1仮想線の曲率半径は、前記第2仮想線の曲率半径よりも小さいものとしてもよい。このような構成によれば、第1ピンの突出端は、第2ピンの突出端よりも対象となる部位の形状にフィットしやすいから、フィット感を良くできる。
【0012】
また、本発明のブラシにおいて、前記第1ピンの突出端は、前記第2ピンの突出端よりも突出方向先端側に位置し、前記第1ピンと前記第2ピンとは実質的に同じ材質であり、前記第1ピンは、前記第2ピンよりも細いものとしてもよい。実質的とは、当該発明の効果を奏するのであれば、多少の成分の差があっても同じであることを意味する。このような構成によれば、第1ピンはブラッシングの対象となる部位の形状にあわせて撓みやすいから、対象となる部位にフィットしやすい。第2ピンはブラッシングの対象となる部位に強く当てやすいから、対象となる部位をマッサージしやすい。したがって、フィット感を良くしつつ、マッサージも好適に行うことができる。
【0013】
また、本発明のブラシにおいて、前記ブラシ面は、凸部及び凹部を有し、前記第1ピンの長さ寸法と前記第2ピンの長さ寸法とは同じであり、前記第1ピンは、前記凸部から突出し、前記第2ピンは、前記凹部から突出しているものとしてもよい。このような構成によれば、同じ長さ寸法の第1ピン及び第2ピンを用いて、第1ピンの突出端の位置と第2ピンの突出端の位置とを変えることができる。
【0014】
また、本発明のブラシにおいて、前記凸部及び前記凹部はそれぞれ第1方向に直線状に延びるとともに、前記第1方向と直交する第2方向に交互に配置されているものとしてもよい。このような構成によれば、直線状に延びた凹部を伝って水が流れやすいから、ブラシ面の水切りをよくできる。したがって、ブラシを衛生的に使用できる。
【0015】
また、本発明のブラシにおいて、前記第1ピン及び前記第2ピンは、前記ブラシ面において第1方向及び前記第1方向と直交する第2方向に並んで配置され、前記第1仮想線及び前記第2仮想線のうち前記第1方向に延びた第1仮想線及び第2仮想線の前記第1方向における中央部は、前記第1方向における両端部よりも後側に凹んでいるものとしてもよい。このような構成によれば、第1ピンの突出端及び第2ピンの突出端を、人の頭部にフィットしやすくできる。
【0016】
また、本発明のブラシにおいて、前記第1ピン及び前記第2ピンは、前記ブラシ面において第1方向及び前記第1方向と直交する第2方向に並んで配置され、前記第1仮想線及び第2仮想線のうち前記第2方向に延びた第1仮想線及び第2仮想線の前記第2方向における中央部は、前記第2方向における両端部よりも先端側に突出しているものとしてもよい。このような構成によれば、第1ピンの突出端及び第2ピンの突出端を、人の襟足にフィットしやすくできる。
【0017】
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1図8を参照しつつ詳細に説明する。本実施例におけるブラシ10は、主に人の頭髪のブラッシングに用いられる。ブラシ10は、図1に示すように、ブラシ面11から前側に突出する複数の第1ピン12及び複数の第2ピン13を有している。
【0018】
以下、各構成部材において、第1ピン12及び第2ピン13の突出方向先端側を前側、その反対側を後側、図1の上側を上側、下側を下側、ブラシ面11を正面から見たときの右側を右側、左側を左側として説明する。各図においてX軸の正方向側は右側、X軸の負方向側は左側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、Z軸の正方向側は前側、Z軸の負方向側は後側を示す。X軸は、左右方向と平行である。Y軸は、上下方向と平行である。Z軸は、第1ピン12及び第2ピン13の中心軸と平行である。
【0019】
ブラシ面11は、図1に示すように、正面側から見ると、ハート形状をなしている。ブラシ10のうちブラシ面11を除く部位は、把持部15である(図2及び図3参照)。ブラシ10は、把持部15を手で把持して移動させ、頭髪等をブラッシングする。把持部15は、例えばABS樹脂によって形成されている。
【0020】
ブラシ面11には、複数の水抜き穴27,28,29が開口している。水抜き穴27,28,29はそれぞれブラシ10の内部空間に通じている。水抜き穴27,28は、正面側から見ると、ブラシ面11の外周縁に沿って細長く延びている。水抜き穴27は、ブラシ面11の上側領域に左右一対設けられている。左右の水抜き穴27は、ブラシ面11の左右の角部に沿って湾曲している。水抜き穴28は、ブラシ面11の下側領域に左右一対設けられている。左右の水抜き穴28は、ブラシ面11の左右の縁に沿って斜めに延びている。水抜き穴29は、ブラシ面11の下端に1つ設けられている。水抜き穴29は、ブラシ面11の左右方向における中心に位置している。水抜き穴27,28,29は、ブラシ面11の左右方向中心を基準に左右対称である。
【0021】
ブラシ10の上下方向の最大寸法Hは、ブラシ10の左右方向の最大寸法Wよりも若干大きい。ブラシ10の長手方向は上下方向であり、ブラシ10の短手方向は左右方向である。図3に示すように、ブラシ10の右側面の前後方向の寸法DRは、左側面の前後方向の寸法DLよりも大きい。ブラシ10は、把持部15の左右の側面を親指と他の指とで挟んで把持できる。
【0022】
把持部15は、正面側及び背面側から見ると、ブラシ面11と同様、ハート形状をなしている。把持部15は、連続した湾曲面によって形成されている。把持部15の上面14の左右方向における中心は下側に凹んでいる。把持部15の左右方向の寸法は、下端に向かって小さくなっている。
【0023】
第1ピン12及び第2ピン13は、互いに平行である。図2及び図3に示すように、第1ピン12の突出端12Eの位置と、第2ピン13の突出端13Eの位置とは、前後方向において異なっている。各第1ピン12の突出端12Eは、側面視において上下に隣接する第2ピン13の突出端13E(図2参照)、及び平面視において左右に隣接する第2ピン13の突出端13E(図3参照)よりも前側に位置している。
【0024】
第1ピン12及び第2ピン13はそれぞれ、ブラシ面11から突出端12E,13Eに向かって先細りの円錐形状をなしている。第1ピン12の径寸法φ1及び第2ピン13の径寸法φ2はそれぞれ、ブラシ面11から突出端12E,13Eに向かって小さくなっている(図1参照)。第1ピン12の突出端12E及び第2ピン13の突出端13Eにはそれぞれ、半球形状の突起16が設けられている。
【0025】
第1ピン12は、図1及び図3に示すように、第2ピン13よりも細い。第1ピン12の後端における直径φ1は0.5mm以上、0.9mm未満であると好ましく、0.78mm以上、0.82mm以下であるとより好ましい。第1ピン12の後端における直径φ1は、0.8mmであると良い。第2ピン13の後端における直径φ2は0.9mm以上、1.5mm以下であると好ましく、0.98mm以上、1.02mm以下であるとより好ましい。第2ピン13の後端における直径φ2は、1.0mmであると良い。第1ピン12は、第2ピン13よりも撓みやすい。第1ピン12は、小さい軸力によって倒れやすいから、頭皮の洗浄に適している。第2ピン13は、大きい軸力を受けても倒れにくいから、頭皮のマッサージや、髪を梳かすことに適している。
【0026】
第1ピン12及び第2ピン13は、図1に示すように、ブラシ面11において上下方向(第1方向)及び左右方向(第2方向)に一定の間隔で並んで配置されている。
【0027】
第1ピン12の突出端12Eは、正面側から見ると、図1に示すように、上下方向に延びた複数の仮想直線V1上に配置されている。第2ピン13の突出端13Eは、正面側から見ると、上下方向に延びた複数の仮想直線V2上に配置されている。仮想直線V1及び仮想直線V2は平行である。仮想直線V1と仮想直線V2とは左右方向に交互に配置されている。1つの仮想直線V1は、ブラシ10の左右方向における中心に位置している。仮想直線V1は、左右に隣接する仮想直線V2の左右方向における中心に位置している。仮想直線V1同士及び仮想直線V2同士はそれぞれ、左右方向に等間隔で配置されている。第1ピン12と第2ピン13とは縦1列ずつ左右方向に等間隔で交互に並んでいる。
【0028】
第1ピン12の突出端12Eは、正面側から見ると、図1に示すように、左右方向に延びた複数の仮想直線V3上に配置されている。第2ピン13の突出端13Eは、正面側から見ると、左右方向に延びた複数の仮想直線V4上に配置されている。仮想直線V3及び仮想直線V4は平行である。仮想直線V3と仮想直線V4とは上下方向に交互に配置されている。仮想直線V3は、上下に隣接する仮想直線V4の上下方向における中心に位置している。仮想直線V3同士及び仮想直線V4同士は、上下方向に等間隔で配置されている。第1ピン12と第2ピン13とは横1列ずつ上下方向に等間隔で交互に並んでいる。
【0029】
図4に示すように、第1ピン12の長さ寸法L1と第2ピン13の長さ寸法L2とは同じである。「同じ」とは、公差(±0.2mm)を考慮した範囲内で同じという意味である。第1ピン12の長さ寸法L1は、第1ピン12の下端から突出端12Eまでの中心軸の長さ寸法である。第2ピン13の長さ寸法L2は、第2ピン13の下端から突出端13Eまでの中心軸の長さ寸法である。第1ピン12及び第2ピン13の長さ寸法L1,L2は、把持部15の前後方向の最大寸法DCよりも小さい(図3参照)。第1ピン12及び第2ピン13の長さ寸法L1,L2は、10mm以上30mm以下であることが好ましく、16mm以上18mm以下であることはより好ましい。第1ピン12及び第2ピン13の長さ寸法L1,L2は、17mmであると良い。
【0030】
第1ピン12は、図4に示すように、ブラシ面11の凸部17から突出している。第2ピン13は、ブラシ面11の凹部18から突出している。凸部17及び凹部18は、ブラシ面11の左端近傍から右端近傍まで左右方向に交互に並んでいる。各凸部17の左右方向の寸法は、凸部先端17Eに向かって小さくなってる。第1ピン12の中心軸は、凸部先端17Eを通っている。凸部17の左右の側面は、凹部18を形成している。各凹部18の左右方向の寸法は、凹部後端18Eに向かって小さくなっている。第2ピン13の中心軸は、凹部後端18Eを通っている。
【0031】
凸部17及び凹部18は、図1に示すように、それぞれブラシ面11の上端近傍から下端近傍まで上下方向に直線状に延びている。凸部先端17Eは、図5に示すように、緩く湾曲している。凸部先端17Eの上下方向の中央部は、上下方向の両端部より後側に凹んでいる。凹部後端18Eは、図6に示すように、凸部先端17Eよりも緩く湾曲している(図5参照)。凹部後端18Eの上下方向の中央部は、上下方向の両端部よりも少し後側に凹んでいる。
【0032】
上下方向に並んだ第1ピン12の突出端12Eは、図5及び図6に示すように、上下方向に延びた第1仮想線S1を形成している。第1仮想線S1は、上下方向に並んだ第1ピン12の突出端12Eを繋いだ仮想の線である。第1仮想線S1は湾曲している。
【0033】
上下方向に並んだ第2ピン13の突出端13Eは、図5及び図6に示すように、上下方向に延びた第2仮想線S2を形成している。第2仮想線S2は、上下方向に並んだ第2ピン13の突出端13Eを繋いだ仮想の線である。第2仮想線S2は湾曲している。
【0034】
第1仮想線S1及び第2仮想線S2は、図5及び図6に示すように、頭部にフィットしやすい湾曲形状である。具体的には、第1仮想線S1及び第2仮想線S2は、後側に凹んだ湾曲形状をなしている。第1仮想線S1及び第2仮想線S2の上下方向の中央部は、上下方向における両端部よりも後側に位置している。第1仮想線S1及び第2仮想線S2の上下方向の中心は各仮想線S1,S2において最も後側に位置している。
【0035】
第1仮想線S1の曲率半径R1は、第2仮想線S2の曲率半径R2よりも小さい。第2仮想線S2は、第1仮想線S1よりも平坦面に近い形状である。第1仮想線S1は、凸部先端17Eと平行である。第2仮想線S2は、凹部後端18Eと平行である。
【0036】
第1仮想線S1の曲率半径R1は、80mm以上300mm以下であると好ましい。第1仮想線S1の曲率半径R1は、ブラシ面11の左右方向中心において最も小さく、ブラシ面11の左右方向両端において最も大きい。ブラシ面11の左右方向中心における第1仮想線S1の曲率半径R1は133mmである。ブラシ面11の左右方向両端における第1仮想線S1の曲率半径R1は256mmである。
【0037】
第2仮想線S2の曲率半径R2は、301mm以上2000mm以下であると好ましい。第2仮想線S2の曲率半径R2は、ブラシ面11の左右方向中心部において最も小さく、ブラシ面11の左右方向両端部において最も大きい。ブラシ面11の左右方向中心の左右近傍における第2仮想線S2の曲率半径R2は413mmである。ブラシ面11の左右方向両端近傍における第2仮想線S2の曲率半径R2は1457mmである。
【0038】
左右方向に並んだ第1ピン12の突出端12Eは、図4に示すように、左右方向に延びた第1仮想線S3を形成している。第1仮想線S3は、左右方向に並んだ第1ピン12の突出端12Eを繋いだ仮想の線である。第1仮想線S3は、湾曲している。
【0039】
左右方向に並んだ第2ピン13の突出端13Eは、図4に示すように、左右方向に延びた第2仮想線S4を形成している。第2仮想線S4は、左右方向に並んだ第2ピン13の突出端13Eを繋いだ仮想の線である。第2仮想線S4は、湾曲している。
【0040】
第1仮想線S3及び第2仮想線S4は、図4に示すように、襟足にフィットしやすい湾曲形状である。具体的には、第1仮想線S3及び第2仮想線S4は、前側に膨らんだ湾曲形状をなしている。第1仮想線S3及び第2仮想線S4の左右方向における中央部は、左右方向における両端部よりも前側に位置している。第1仮想線S3及び第2仮想線S4は、左右方向の中心を基準に左右対称である。
【0041】
第1仮想線S3の曲率半径R3は、第2仮想線S4の曲率半径R4よりも小さい。第2仮想線S4は、第1仮想線S3よりも平坦面に近い形状である。XZ平面において凸部先端17Eを繋ぐ仮想線は第1仮想線S3と平行であり、凹部後端18Eを繋ぐ仮想線は第2仮想線S4と平行である。
【0042】
第1仮想線S3の曲率半径R3は、100mm以上300mm以下であると好ましい。第1仮想線S3の曲率半径R3は、ブラシ面11の上下方向中心近傍において最も大きく、ブラシ面11の下端近傍において最も小さい。ブラシ面11の上下方向中心近傍の第1仮想線S3の曲率半径R3は241mmである。ブラシ面11の下端近傍の第1仮想線S3の曲率半径R3は163mmである。
【0043】
第2仮想線S4の曲率半径R4は、170mm以上1000mm以下であると好ましい。ブラシ面11の下端における第2仮想線S4の曲率半径R4は862mmであり最も大きい。ブラシ面11の下端より一列上の第2ピン13によって形成される第2仮想線S4の曲率半径R4は174mmであり最も小さい。
【0044】
全ての第1ピン12の突出端12Eは、球面状に湾曲した第1仮想面を形成している。第1仮想面は、全ての第1仮想線S1,S3を含んでいる。全ての第2ピン13の突出端13Eは、第2仮想面を形成している。第2仮想面は、第1仮想面よりも緩い球面状をなして湾曲している。第2仮想面は、全ての第2仮想線S2,S4を含んでいる。
【0045】
ブラシ10は、図4に示すように、第1パーツ21、第2パーツ22及び第3パーツ23を組み付けて形成されている。第1パーツ21は、ブラシ面11を形成している。第1パーツ21は、ブラシ面11、第1ピン12及び第2ピン13を一体に有している。第1パーツ21の後面は、ブラシ面11と同じ凹凸形状をなしている。具体的には、第1パーツ21の後面には、ブラシ面11と同様の凸部及び凹部が形成されている。
【0046】
第2パーツ22は、前面側が開放された容器状をなしている。第2パーツ22の前面側は、第1パーツ21によって塞がれている。第2パーツ22および第1パーツ21の内側は空洞になっている。第3パーツ23は、第2パーツ22の外面の全体を覆っている。第3パーツ23の外面は、意匠面を形成している。
【0047】
ブラシ10は、図7及び図8に示すように、置き台24を備えている。置き台24は、台部25と枠部26とを有している。台部25と枠部26とは一体に形成されている。台部25の下面は、水平である。枠部26は、把持部15の外周縁に沿った形状をなしている。ブラシ10は、図7の矢印に示すように、後側から枠部26に嵌合される。枠部26は、把持部15の外周縁に係止する。枠部26は、左右方向から見ると台部25から斜め前方に立ち上がっている。枠部26の上端は、枠部26の下端よりも前側に位置している。ブラシ10を置き台24に置いた状態において、ブラシ面11は、斜め下側を向いた状態に保持される。ブラシ10を使用する場合、図8に示す状態から把持部15を把持して、ブラシ10を斜め後側に持ち上げる。これによって、ブラシ10は置き台24から離れ、ブラッシングに用いられる。
【0048】
ブラシ10は、洗髪の際に使用できる。この場合、ブラシ10の内部に水が浸入することがある。ブラシ10の内部に入った水は、ブラシ10を置き台24に置いたときに、第1パーツ21の後面の凹部を伝って流下し、ブラシ面11の下側領域に設けられた水抜き穴28,29から排水される。このとき、ブラシ面11の上側領域に設けられた左右の水抜き穴27からブラシ10の内部に空気が流入しやすいから、排水機能を向上できる。また、多数の水抜き穴27,28,29によってブラシ10の内部とブラシ10の外部とが通じているから、ブラシ10の内部に外気が流れ込みやすい。これによって、ブラシ10の内部を乾燥しやすくできる。
【0049】
本実施例に係るブラシ10の使用例を説明する。把持部15を把持し、ブラシ10を頭部に当てる。最初に、第1ピン12の突出端12Eが頭部に当たる。第1ピン12は、使用者それぞれの頭部の形状にあわせて弾性的に撓み、頭部にフィットする。さらにブラシ10を強く頭部に押し付けると、第2ピン13の突出端13Eが頭部に当たる。このとき、第2仮想線S2の曲率半径R2は、第1仮想線S1の曲率半径R1よりも大きいから、ブラシ面11の上下方向両端部に位置する第2ピン13の突出端13Eは強く頭部に当たり過ぎない。一方、ブラシ面11の上下方向中央部に位置する第2ピン13の突出端13Eは、頭部に強く当てることができる。これによって、頭皮を好適にマッサージできる。また、ブラシ10を適宜動かすことによって、頭髪を梳かして整えることができる。第2ピン13は撓みにくいから、絡まった髪の間に通しやすい。したがって、好適に髪を梳かすことができる。
【0050】
把持部15を把持し、ブラシ10を襟足に当てる。ブラシ10を襟足に当てる場合、ブラシ10は、上下方向を襟足の左右方向に向けて当てられる。第1ピン12は、襟足の形状にあわせて弾性的に撓み、襟足にフィットする。さらにブラシ10を強く襟足に押し付けると、第2ピン13の突出端13Eが襟足に当たる。このとき、ブラシ面11の左右両縁部に位置する第1ピン12及び第2ピン13、言い換えると襟足の上下両側に位置する第1ピン12及び第2ピン13の突出端12E,13Eは引っ込んでいるから、襟足の上下に強く当たりすぎることを防止できる。
【0051】
上記のように構成された実施例によれば、以下の効果を奏する。ブラシ10は、ブラシ面11から前側に突出する複数の第1ピン12及び複数の第2ピン13を有している。複数の第1ピン12の突出端12Eによって構成される第1仮想線S1の曲率半径R1,R3と、複数の第2ピン13の突出端13Eによって構成される第2仮想線S2の曲率半径R2,R4とは異なっている。この構成によれば、第1ピン12の突出端12Eが頭皮とフィットしやすい形状と、第2ピン13の突出端13Eが頭皮とフィットしやすい形状とは異なるから、多様なフィット感を実現できる。
【0052】
また、第1ピン12の突出端12Eは、第2ピン13の突出端13Eよりも前側に位置している。第1ピン12と第2ピン13とは同じ材質である。第1ピン12及び第2ピン13は、例えば熱可塑性エラストマー樹脂(TPE)によって形成されている。第1ピン12は、第2ピン13よりも細く、第1ピン12は、第2ピン13よりも撓みやすい。この構成によれば、第1ピン12はブラッシングの対象となる部位の形状にあわせて撓みやすいから、対象となる部位にフィットしやすい。第2ピン13はブラッシングの対象となる部位に強く当てやすいから、対象となる部位をマッサージしやすい。したがって、フィット感を良くしつつ、マッサージも好適に行うことができる。また、第1ピン12は、ブラシ面11の左右方向寸法が最大である部位において、第2ピン13よりも左右方向の両外側に配置されている。この構成により、ブラシ面11を左右方向に動かして髪を梳く際に、撓みやすい第1ピン12が第2ピン13よりも先に肌に接触しやすいから、使用者に不快感を与えにくい。
【0053】
また、ブラシ面11は、凸部17及び凹部18を有している。第1ピン12の長さ寸法L1と第2ピン13の長さ寸法L2とは同じである。第1ピン12は、凸部17から前側に突出している。第2ピン13は、凹部18から前側に突出している。この構成によれば、同じ長さ寸法の第1ピン12及び第2ピン13を用いて、第1ピン12の突出端12Eの位置と、第2ピン13の突出端13Eの位置とを変えることができる。
【0054】
また、凸部17及び凹部18はそれぞれ上下方向に直線状に延びるとともに、上下方向と直交する左右方向に交互に形成されている。この構成によれば、直線状に延びた凹部18を伝って水が流れやすいから、ブラシ面11の水切りをよくできる。したがって、ブラシ10を衛生的に使用できる。
【0055】
また、第1ピン12及び第2ピン13は、ブラシ面11において上下方向及び左右方向に並んで配置されている。上下方向に延びた第1仮想線S1及び第2仮想線S2の上下方向における中央部は、上下方向における両端部よりも後側に凹んでいる。この構成によれば、第1ピン12の突出端12E及び第2ピン13の突出端13Eを、人の頭部にフィットしやすくできる。
【0056】
また、左右方向に延びた第1仮想線S3及び第2仮想線S4の左右方向における中央部は、左右方向における両端部よりも前側に突出している。この構成によれば、第1ピン12の突出端12E及び第2ピン13の突出端13Eを、襟足にフィットしやすくできる。
【0057】
また、第1仮想線S1の曲率半径R1は、第2仮想線S2の曲率半径R2よりも小さい。この構成によれば、第1ピン12の突出端12Eは、第2ピン13の突出端13Eよりも対象物の形状にフィットしやすいからフィット感を良くできる。
【0058】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例において第1仮想線S1,S3は一列に並んだ第1ピン12の突出端12Eによって形成されている。これに限らず、第1仮想線は、一列に並んだ全ての第1ピンのうち半分以上の第1ピンの突出端によって形成されてもよい。
(2)上記実施例において第2仮想線S2,S4は一列に並んだ第2ピン13の突出端13Eによって形成されている。これに限らず、第2仮想線は、一列に並んだ全ての第2ピンのうち半分以上の第2ピンの突出端によって形成されてもよい。
(3)上記実施例において第1ピン12は、凸部17から突出し、第2ピン13は、凹部18から突出している。これに限らず、ピンは、凹凸のないブラシ面に突出させてもよい。この場合、長さ寸法が異なるピンを用いても良い。
(4)上記実施例においてブラシ10は第1ピン12と第2ピン13とを有している。これに加えて、ブラシは、第1ピン及び第2ピンとは前端の位置が異なる他のピンを有していても良い。
(5)上記実施例において第1仮想線S1の曲率半径R1は、第2仮想線S2の曲率半径R2よりも小さい。これに限らず、第1仮想線の曲率半径と第2仮想線の曲率半径とは同じであってもよいし、第1仮想線の曲率半径は、第2仮想線の曲率半径より大きくてもよい。
(6)上記実施例においてブラシ10のうちブラシ面11を除く部分は把持部15である。これに限らず、ブラシは、把持部として柄を備えていても良い。
(7)上記実施例では、第1仮想線S1,S3及び第2仮想線S2,S4の湾曲形態を例示した。これに限らず、第1仮想線及び第2仮想線の湾曲形態は変更できる。例えば、第1仮想線及び第2仮想線の湾曲形態は、上記実施例で示した場合とは逆側に凹んだり膨らんだりしてもよい。
(8)上記実施例においてブラシ10は、人の頭髪のブラッシングに用いられる。これに限らず、ブラシは、動物の毛のブラッシング等に用いられるものであってもよい。
(9)上記実施例において第1ピン12と第2ピン13とは縦1列ずつ左右方向に等間隔で交互に並び、横1列ずつ上下方向に等間隔で交互に並んでいる。これに限らず、第1ピン及び第2ピンの並び方は適宜変更してよく、例えば左右方向または上下方向に2列ずつ並べたり間隔を変えたりしてよい。
(10)上記実施例において第1ピン12の後端における直径φ1と第2ピン13の後端における直径φ2とは異なっている。これに限らず、第1ピン12は第2ピン13よりも撓みやすくなるように、第1ピン12および/または第2ピン13の材質や硬度を適宜変更しても良い。
【符号の説明】
【0059】
L1…第1ピンの長さ寸法
L2…第2ピンの長さ寸法
S1…第1方向に延びた第1仮想線
S2…第1方向に延びた第2仮想線
S3…第2方向に延びた第1仮想線
S4…第2方向に延びた第2仮想線
R1,R3…第1仮想線の曲率半径
R2,R4…第2仮想線の曲率半径
10…ブラシ
11…ブラシ面
12…第1ピン
12E…第1ピンの突出端
13…第2ピン
13E…第2ピンの突出端
17…凸部
18…凹部
図1
図2
図3
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図5
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図8