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特開2024-516超音波探傷検査システムおよび超音波探傷検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000516
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】超音波探傷検査システムおよび超音波探傷検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20231225BHJP
   G01N 29/44 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
G01N29/06
G01N29/44
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095580
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0075107
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン エナービリティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジューン スン
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、ジュン ウー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジュン ミン
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AC05
2G047BA03
2G047BC07
2G047EA13
2G047GG20
2G047GG24
2G047GG33
2G047GG36
2G047GH06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】超音波探傷検査における結果の客観性を確保し、ヒューマンエラーを防止して検査エラーを最小限にできる検査方法を提供する。
【解決手段】ディープラーニングまたはマシンラーニング技術を利用した超音波探傷検査システムおよび超音波探傷検査方法に関するもので、超音波探傷検査システムは、検査対象に超音波を送信し、前記検査対象から反射されてくる超音波信号を収集して信号データを生成する超音波探傷装置、前記信号データを前処理する信号データの前処理部、前処理された前記信号データに基づいて欠陥候補群を選別する欠陥候補群の選別部、前記欠陥候補群に含まれる信号データに基づいてイメージデータを生成するイメージデータ生成部、および前記イメージデータに基づいて前記欠陥候補群の欠陥の有無を最終的に判定する欠陥判断部を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に超音波を送信し、前記検査対象から反射されてくる超音波信号を収集して信号データを生成する超音波探傷装置;
前記信号データを前処理する信号データの前処理部;
前処理された前記信号データに基づいて欠陥候補群を選別する欠陥候補群の選別部;
前記欠陥候補群に含まれる信号データに基づいてイメージデータを生成するイメージデータ生成部;および
前記イメージデータに基づいて前記欠陥候補群の欠陥の有無を最終的に判定する欠陥判断部を含む、
超音波探傷検査システム。
【請求項2】
前記信号データの前処理部は、
前記信号データからノイズを除去し、
前記信号データから極点を抽出し、
前記極点に基づいて前記信号データを一定の大きさの複数のクラスターに分割する、
請求項1に記載の超音波探傷検査システム。
【請求項3】
前記欠陥候補群の選別部は、
前記複数のクラスターのそれぞれを入力とするディープラーニングアルゴリズムに基づいて、各クラスターに属する信号データに欠陥が含まれているかどうかを判断し、
欠陥が含まれていると判断されるクラスターを欠陥候補群として選別する、
請求項2に記載の超音波探傷検査システム。
【請求項4】
前記ディープラーニングアルゴリズムは、
VAE(variational auto encoder)またはResNet(Residual neural network)である、
請求項3に記載の超音波探傷検査システム。
【請求項5】
前記イメージデータ生成部は、
前記信号データに基づいて、前記検査対象に対するB-ScanのイメージデータおよびC-Scanのイメージデータを生成する、
請求項1に記載の超音波探傷検査システム。
【請求項6】
前記イメージデータ生成部は、
前記欠陥候補群に含まれる信号データに基づいて、前記検査対象から前記欠陥候補群が含まれた領域に対するB-ScanのイメージデータおよびC-Scanのイメージデータを生成する、
請求項5に記載の超音波探傷検査システム。
【請求項7】
前記欠陥判断部は、
前記イメージデータを入力とするディープラーニングアルゴリズムに基づき、前記欠陥候補群のそれぞれに対して欠陥があるかどうかを判断する、
請求項1に記載の超音波探傷検査システム。
【請求項8】
前記ディープラーニングアルゴリズムは、
YOLO(you only look once)アルゴリズムまたはFaster R-CNNアルゴリズムである、
請求項7に記載の超音波探傷検査システム。
【請求項9】
前記欠陥判断部は、
前記欠陥候補群のそれぞれに対して欠陥があるかどうか、および欠陥がある場合には当該欠陥を囲むバウンディングボックス(bounding box)を出力する、
請求項7に記載の超音波探傷検査システム。
【請求項10】
超音波探傷システムによる超音波探傷検査方法において、
検査対象に超音波を送信し、前記検査対象から反射されてくる超音波信号を収集して信号データを生成する動作;
前記信号データを前処理する動作;
前処理された前記信号データに基づいて欠陥候補群を選別する動作;および
前記欠陥候補群に含まれる信号データに基づいてイメージデータを生成する動作;および
前記イメージデータに基づいて前記欠陥候補群の欠陥の有無を最終的に判定する動作を含む、
超音波探傷検査方法。
【請求項11】
前記信号データを前処理する動作は、
前記信号データからノイズを除去する動作;
前記信号データから極点を抽出する動作;および
前記極点に基づいて前記信号データを一定の大きさの複数のクラスターに分割する動作を含む、
請求項10に記載の超音波探傷検査方法。
【請求項12】
前記前処理された前記信号データに基づいて欠陥候補群を選別する動作は、
前記複数のクラスターのそれぞれを入力とするディープラーニングアルゴリズムに基づいて、各クラスターに属する信号データに欠陥が含まれているかどうかを判断する動作を含む、
請求項11に記載の超音波探傷検査方法。
【請求項13】
前記ディープラーニングアルゴリズムは、
VAE(variational auto encoder)またはResNet(Residual neural network)である、
請求項12に記載の超音波探傷検査方法。
【請求項14】
前記イメージデータを生成する動作は、
前記信号データに基づいて、前記検査対象に対するB-ScanのイメージデータおよびC-Scanのイメージデータを生成する動作を含む、
請求項10に記載の超音波探傷検査方法。
【請求項15】
前記イメージデータを生成する動作は、
前記欠陥候補群に含まれる信号データに基づいて、前記検査対象から前記欠陥候補群が含まれた領域に対するB-ScanのイメージデータおよびC-Scanのイメージデータを生成する動作を含む、
請求項14に記載の超音波探傷検査方法。
【請求項16】
前記イメージデータに基づいて、前記欠陥候補群の欠陥の有無を最終的に判定する動作は、
前記イメージデータを入力とするディープラーニングアルゴリズムに基づいて、前記欠陥候補群のそれぞれに対して欠陥があるかどうかを判断する動作を含む、
請求項10に記載の超音波探傷検査方法。
【請求項17】
前記ディープラーニングアルゴリズムは、
YOLO(you only look once)アルゴリズムまたはFaster R-CNNアルゴリズムである、
請求項16に記載の超音波探傷検査方法。
【請求項18】
前記イメージデータに基づいて、前記欠陥候補群の欠陥の有無を最終的に判定する動作は、
前記欠陥候補群のそれぞれに対して欠陥があるかどうか、および欠陥がある場合には当該欠陥を囲むバウンディングボックス(bounding box)を出力する動作を含む、
請求項16に記載の超音波探傷検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の多様な実施例は、ディープラーニングまたはマシンラーニング技術を利用した超音波探傷検査システムおよび超音波探傷検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、新再生エネルギー分野の風力発電システムは先端新素材が適用され、未来の有望な巨大産業として脚光を浴びている。このような複合材料は応用範囲が広く、先導的技術革新を通じて他の産業への波及効果が非常に大きいだけでなく、技術的優位を確保することも難しい大型産業である。
【0003】
特に、回転するブレードの自体重量は高価な発電設備の効率を大幅に左右する核心的な要素であるため、かつてはガラス繊維の複合体を主に使用したが、大型化の傾向によって、価格的には高いが、ガラス繊維に比べて重さが約40%程度軽くて軽量化が可能な炭素繊維の複合体を使用して風力ブレードを製作している。
【0004】
材料の軽量特性で発電機の容量を大型化できる踏み台になりうるし、これにより風力ブレードに関連する全体市場は今後10年間で4~5倍成長することと展望している。
【0005】
一方、複合材ブレードは、材料および製造工法によってデボンディング(debonding)、層間剥離(delamination)、亀裂(crack)など多様な内部損傷が発生する可能性があり、これは肉眼で判別しにくいため、損傷を探知する技術が必要である。
【0006】
このような欠陥は、初期には構造的な影響を与えないほど小さなサイズであるが、反復荷重と衝撃荷重を受けながら亀裂などが伝播/進行され、時間が経つにつれてブレード構造の安全性にも影響を及ぼすほど大きくなり、結局、大きな事故につながることがありうる。したがって、初期の欠陥段階で検査し、マニュアルに従った修理をすれば、大きな事故を未然に防止でき、事故による経済的被害も減らすことができる。
【0007】
ブレード構造の安全性の検査方法としては、超音波を使用して検査対象をスキャンし、獲得されたスキャンデータに基づいて検査者が検査対象の欠陥の有無を判断する超音波探傷検査方法が主に利用されているが、このような検査方法は、検査者の熟練度または主観的な意見によって検査結果が変わることがありうるため、検査結果に対する連続性と客観性の確保が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した問題を解消するためには、超音波探傷検査における結果の客観性を確保し、ヒューマンエラーを防止して検査エラーを最小限にできる検査方法が必要である。
【0009】
本開示では、熟練した検査者によって欠陥と判定されたデータを利用して人工知能を学習させ、学習された人工知能を利用して検査対象の欠陥を客観的に判断できる超音波探傷検査システムおよび超音波探傷検査方法を提供する。
【0010】
本開示で成し遂げようとする技術的課題は、以上で言及したことに限定されず、言及されていない他の技術的課題も、以下の記載から本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の多様な実施例によれば、超音波探傷検査システムは、検査対象に超音波を送信し、前記検査対象から反射されてくる超音波信号を収集して信号データを生成する超音波探傷装置、前記信号データを前処理する信号データの前処理部、前処理された前記信号データに基づいて欠陥候補群を選別する欠陥候補群の選別部、前記欠陥候補群に含まれる信号データに基づいてイメージデータを生成するイメージデータ生成部および前記イメージデータに基づいて欠陥候補群の欠陥の有無を最終的に判定する欠陥判断部とを含むことができる。
【0012】
本開示の多様な実施例によれば、前記信号データの前処理部は、前記信号データからノイズを除去し、前記信号データから極点を抽出し、前記極点に基づいて前記信号データを一定の大きさの複数のクラスターに分割することができる。
【0013】
本開示の多様な実施例によれば、前記欠陥候補群の選別部は、前記複数のクラスターのそれぞれを入力とするディープラーニングアルゴリズムに基づいて、各クラスターに属する信号データに欠陥が含まれているかどうかを判断し、欠陥が含まれていると判断されるクラスターを欠陥候補群として選別することができる。
【0014】
本開示の多様な実施例によれば、前記ディープラーニングアルゴリズムは、VAE(variational auto encoder)またはResNet(Residual neural network)でありうる。
【0015】
本開示の多様な実施例によれば、前記イメージデータ生成部は、前記信号データに基づいて、前記検査対象に対するB-ScanイメージデータおよびC-Scanイメージデータを生成することができる。
【0016】
本開示の多様な実施例によれば、前記イメージデータ生成部は、前記欠陥候補群に含まれる信号データに基づいて、前記検査対象において前記欠陥候補群が含まれた領域に対するB-ScanイメージデータおよびC-Scanイメージデータを生成することができる。
【0017】
本開示の多様な実施例によれば、前記欠陥判断部は、前記イメージデータを入力とするディープラーニングアルゴリズムに基づいて、前記欠陥候補群のそれぞれに対して欠陥があるかどうかを判断できる。
【0018】
本開示の多様な実施例によれば、前記ディープラーニングアルゴリズムは、YOLO(you only look once)アルゴリズムまたはFaster R-CNNアルゴリズムでありうる。
【0019】
本開示の多様な実施例によれば、前記欠陥判断部は、前記欠陥候補群のそれぞれに対して欠陥の有無、および欠陥である場合、当該欠陥を囲むバウンディングボックス(bounding box)を出力することができる。
【0020】
本開示の多様な実施例によれば、超音波探傷システムによる超音波探傷検査方法は、検査対象に超音波を送信し、前記検査対象から反射されてくる超音波信号を収集して信号データを生成する動作、前記信号データを前処理する動作、前処理された前記信号データに基づいて欠陥候補群を選別する動作、前記欠陥候補群に含まれる信号データに基づいてイメージデータを生成する動作およびイメージデータに基づいて前記欠陥候補群の欠陥の有無を最終的に判定する動作とを含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の実施例は、学習された人工知能を利用して超音波探傷検査を行うことによって、検査結果の客観性を確保でき、ヒューマンエラーを防止することができる。
【0022】
本開示の実施例は、シグナルモデルとイメージモデルを一緒に適用したアンサンブルモデルを通じて、自動評価の時に欠陥抽出の性能を改善し、欠陥の分析結果に対する信頼性を改善することができる。
【0023】
本開示により奏される効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及していない他の効果も、以下の記載から本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の多様な実施例による超音波探傷検査システムを図示した図面である。
図2】超音波探傷装置10の探傷方法の一例を図示した図面である。
図3】ResNetの最も簡単な構造を示す一例である。
図4a】イメージデータ生成部で生成したイメージデータの例を図示した図面である。
図4b】イメージデータ生成部で生成したイメージデータの例を図示した図面である。
図5】一つの実施例によるFaster R-CNNの構造を図示した図面である。
図6】本開示の多様な実施例による超音波探傷検査システムを利用した超音波探傷検査方法を図示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の利点および特徴、そしてそれらを達成する装置および方法は、添付される図面とともに、詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本開示は以下で記載した実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され、実施例は単に本開示が完全であるようにし、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に開示の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本開示は請求項の範疇によって定義されるだけである。また、明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0026】
一つの構成要素が他の構成要素と「接続された(connected to)」または「カップリングされた(coupled to)」と記載されたものは、他の構成要素と直接接続される場合、またはカップリングされる場合、または途中で異なる構成要素を介在する場合のすべてを含む。反面、一つの構成要素が他の構成要素と「直接接続された(directly connected to)」、または「直接カップリングされた(directly coupled to)」と記載されたものは、途中で他の構成要素を介在していないことを示す。「および/または」は、言及されたアイテムのそれぞれ、および一つ以上のすべての組み合わせを含む。
【0027】
本明細書で使用された用語は、実施例を説明するためのものであり、本開示を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文言で特に言及しない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子において、一つ以上の異なる構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0028】
たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために使われるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されないのはもちろんである。これらの用語は、ただ一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。
【0029】
したがって、以下で言及される第1構成要素は、本開示の技術的思想の中で第2構成要素でありうることは言うまでもない。他の定義がなければ、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む。)は、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者に共通して理解できる意味で使用できる。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明らかにあるいは特別に定義されていない限り、理想的または過度に解釈されない。
【0030】
実施例で使用される「部」あるいは「モジュール」という用語は、ソフトウエアまたはFPGA、ASICのようなハードウエアの構成要素を意味し、「部」あるいは「モジュール」は何らかの役割を果たす。しかし、「部」あるいは「モジュール」は、ソフトウエアまたはハードウエアに限定される意味ではない。「部」あるいは「モジュール」は、アドレッシングの可能な保存媒体にあるように構成することもでき、一つまたはそれ以上のプロセッサを再生させるように構成することもできる。したがって、一つの例として、「部」あるいは「モジュール」には、ソフトウエアの構成要素、オブジェクト指向のソフトウエアの構成要素、クラスの構成要素およびタスクの構成要素などの構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチンおよびプログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウエア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレーおよび変数を含むことができる。構成要素と「部」あるいは「モジュール」で提供される機能は、より小さな数の構成要素および「部」あるいは「モジュール」に結合されたり、追加の構成要素と「部」あるいは「モジュール」にさらに分離されることができる。
【0031】
本開示のいくつかの実施例に関して説明される方法またはアルゴリズムの段階は、プロセッサによって実行されるハードウエアモジュール、ソフトウエアモジュール、またはその二つの結合で具現することができる。ソフトウエアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、着脱型ディスク、CD-ROM、または当業界に知られている任意の他の形態の記憶媒体に常駐することもできる。例示的な記憶媒体はプロセッサにカップリングされ、そのプロセッサは記憶媒体から情報を判読でき、保存媒体に情報を貯蔵することができる。他の方法としては、記憶媒体はプロセッサと一体型であることもありうる。プロセッサおよび記憶媒体は、エーシック(ASIC)内に常駐することもできる。ASICはユーザーの端末機内に常駐することもできる。
【0032】
図1は、本開示の多様な実施例による超音波探傷検査システムを図示した図面である。
【0033】
図1を参照すると、本開示の様々な実施例による超音波探傷検査システム100は、超音波探傷装置10、信号データの前処理部20、欠陥候補群の選別部30、イメージデータ生成部40および欠陥判断部50を含むことができる。
【0034】
超音波探傷装置10は、探触子を通じて超音波信号を検査対象に送信し、返送される超音波信号を感知して信号データ(signal data)を生成することができる。生成された信号データは、信号データの前処理部20および/またはイメージデータ生成部40に伝達することができる。
【0035】
一つの実施例によれば、超音波探傷装置10は、縦波の超音波を使用することができ、持続時間の短い超音波パルスを繰り返し発生させて反射されて戻ってくるパルス信号を解析するパルス反射法を利用することができる。
【0036】
図2は、超音波探傷装置10の探傷方法の一例を図示した図面である。
【0037】
図2に図示したように、超音波探傷装置10は、探触子210を利用して既に設定された検査経路220にしたがって検査対象200をスキャンすることができ、探触子210または別途の受信部で受信した検査対象200から反射されてきた信号を感知して信号データを生成することができる。
【0038】
ここで、信号データはA-Scanデータとも称することができ、信号データは検査対象から反射された超音波信号の大きさを時間に対して変化する超音波の振幅で表すことができ、これをグラフの平面に表示する場合、X軸は進行時間を表し、Y軸は反射された超音波信号の振幅サイズを表す信号波形で表示されることができる。
【0039】
本開示では、欠陥の存在を判断するためにディープラーニングアルゴリズムを適用することを提案し、ディープラーニングアルゴリズムを適用するためには互いに異なるデータを一定の入力データに加工しなければならないが、このような加工は信号データの前処理部20で遂行できる。
【0040】
信号データの前処理部20は、優先的に超音波探傷装置10から受信した信号データに含まれているノイズを除去することができる。信号データから欠陥候補群を選別するためには信号の極点抽出が重要であり、ノイズを除去する場合、明確かつ正確に極点を抽出できる。一つの実施例によれば、信号データの前処理部20は、パイソンライブラリ(Python Library)の一つであるWavelet Denoisingを利用して信号データからノイズを除去することができる。Wavelet Denoisingは、ウェーブレット(Wavelet)を分解して汎用の臨界値を計算した後、臨界値の係数を使用して再構成する過程を通じてデータ内に存在するノイズを除去することができる。
【0041】
信号データの前処理部20は、信号データからノイズを除去した後、振幅が臨界値より高いピーク(peak)を検出し、検出された各ピーク間の最小距離のパラメータを調節して極点を自動的に抽出する、極点の抽出機能を遂行することができる。
【0042】
一つの実施例によれば、検査対象の表面はコーティング(coating)されており、内部の端部がボンディング(bonding)になっている場合、当該部分は不連続部となっており、反射される信号が大きいことがありうる。すなわち、不連続部には極点が形成される場合があり、特に上述した不連続部は他の極点に比べてピーク値が高い値で現れることがありうる。そうすれば、信号データからコーティングによる不連続部とボンディングによる不連続部を探し、当該部分を開始地点と終了地点としたデータを生成するためにクラスタリングを進めることができる。そうすれば、一つのクラスターは、一つの地点において厚さ方向に検査対象の情報を含むことになりうる。
【0043】
最後に、信号データの前処理部20は、それぞれのクラスターが同じ大きさになるよう調整することができる。一つの実施例によれば、それぞれのクラスターが持つデータの個数は同一になるよう調整できる。
【0044】
信号データの前処理部20は、前処理された信号データを欠陥候補群の選別部30に伝達することができる。
【0045】
欠陥候補群の選別部30は、超音波探傷装置10から提供される信号データに基づいて、検査対象内に存在する欠陥候補群を選別することができる。ここで、欠陥候補群は、欠陥が存在する可能性のある検査対象内の位置または信号データを示すことでありうる。一つの実施例によれば、上述した信号データの前処理部20によって信号データが複数のクラスターに分類される場合、欠陥候補群の選別部30は各クラスターで欠陥が存在するかどうかを判断でき、欠陥候補群は欠陥が存在しうるクラスターの集合でありうる。
【0046】
一つの実施例によれば、欠陥候補群の選別部30は、信号データの前処理部20で前処理された信号データを入力として使用する人工知能またはディープラーニングアルゴリズムに基づいて欠陥候補群を選別することができる。
【0047】
欠陥候補群の選別部30は、人工知能アルゴリズムとして、VAE(variational auto encoder)または畳み込み神経網アルゴリズムであるResNet(Residual neural network)を使用することができる。
【0048】
VAEは、非指導学習の異常探知アルゴリズムでありうる。VAEは、入力される信号データが持っている次元を縮小して確率分布を作り、作られた確率分布を通じてサンプリングを進めて再びデータを作り出す動作を遂行することができる。VAEは、伝達関数が共に学習されながらデータを伝達するため、多様でかつ似たような結果値を生成することが可能である。ここにスライディングウィンドウ(sliding window)の概念を適用すれば、時系列のデータ分析が可能になる。ここで、ウィンドウの大きさは、上述した一つのクラスターのサイズと同一でありうるし、一つの実施例においては500に指定されうる。
【0049】
一つの実施例によれば、VAEは非指導学習に基づいて学習を行うことができ、非指導学習は欠陥候補群があるかどうかを示す結果値を含んでおらず、実際の信号データだけで学習させる方法でありうる。
【0050】
ResNetは、VG-19人工知能アルゴリズムに基づいて畳み込み層(convolutional layer)などを追加して、隠れたノードの数をより多く作りながら、すなわち神経網(neural network)をより深くしながら、ノードとノードとの間にショートカット(shortcut)310の連結を追加したネットワークでありうる。
【0051】
図3は、ResNetの最も簡単な構造を示した一例であり、深さが深いResNetは、図3に示された構造を直列に連結し続けて具現することができる。
【0052】
ResNet構造は、傾きの消失や過適合などの既存の人工知能ネットワークまたはディープラーニングネットワークが持っていた問題を解消し、層の深さを大きくするほど学習効率を増加させることができる。ResNetは、出力値(H(x))と入力値(x)との間の差である残差(F(x))を学習するという意味で名付けられた神経網でありうるし、学習を通じて残差(F(x))を0にしようとするものでありうる。
【0053】
ResNetは、指導学習に基づいて学習でき、指導学習は学習データと共に、学習データに含まれている欠陥候補群の情報も一緒に報知しながら神経網を学習させることでありうる。
【0054】
再び、図1を参照すれば、欠陥候補群の選別部30は、前処理された信号データを入力として、欠陥があると予想される信号データを示す欠陥候補群を選別してイメージデータ生成部40に伝達することができる。他の実施例によれば、欠陥候補群の選別部30は、欠陥があると選別された信号データ自体をイメージデータ生成部40に伝達することができる。
【0055】
イメージデータ生成部40は、欠陥候補群の選別部30から受信した欠陥候補群の信号データに基づいてイメージデータを生成することができる。イメージデータは、従来、超音波探傷で使用していたB-Scanおよび/またはC-Scanと称されていたイメージでありうるし、このようなイメージデータを生成する方法もまた、従来のB-Scanおよび/またはC-Scanを生成する方法を借用することができる。ただし、検査対象の全体に対してイメージデータを生成する必要はなく、欠陥候補群の選別部30で欠陥があるものと選別された信号データと関連した部分に対してのみイメージデータを生成することで十分でありうる。
【0056】
図4aおよび図4bは、イメージデータ生成部40で生成したイメージデータの例を図示した図面である。
【0057】
図4aを参照すれば、B-Scan410のイメージは、検査対象の側面から見る一つの断面415のイメージでありうる。図4aに図示されたB-Scan410を参照すれば、検査対象の表面411と背面412において、媒質の変更によって反射波が大きく生成されうる。また、内部欠陥413がある部分で反射波が生成されることがあり、検査対象の表面411によって生成される最初の反射波と内部欠陥413から出る反射波との時間差によって欠陥の位置を感知し、感知した欠陥の位置を示してB-Scan410のイメージを生成することができる。
【0058】
図4bを参照すれば、C-Scan420のイメージは、検査対象の上から見る一つの断面425のイメージでありうる。図4bに図示したC-Scan420において、内部欠陥413の位置は、図2に図示した検査経路220による時間と、検査対象の表面411による反射波と、内部欠陥413による反射波との時間差に基づいて獲得することができる。C-Scan420のイメージは、上面から見た場合、特定の断面に現れる欠陥の位置を図示することができる。
【0059】
もう一度、図1を参照すれば、イメージデータ生成部40で生成されたイメージは欠陥判断部50に伝達することができる。
【0060】
欠陥判断部50は、イメージデータ生成部40から提供されるイメージに基づいて、検査対象の欠陥候補群に欠陥があるかどうかを最終的に判断することができる。
【0061】
一つの実施例によれば、欠陥判断部50は、イメージデータ生成部40から提供されるイメージデータを入力として使用する人工知能またはディープラーニングアルゴリズムに基づいて欠陥を最終的に判断することができる。
【0062】
一つの実施例によれば、欠陥判断部50は、人工知能アルゴリズムでイメージ内からオブジェクトを区別するのに有効なYOLO(you only look once)アルゴリズムまたはFaster R-CNNアルゴリズムを使用することができる。
【0063】
YOLOアルゴリズムは、一つのイメージから特徴を抽出し、境界ボックスを作ることおよびクラスを分類することを同時に進めるため、迅速に欠陥を判断することができる。
【0064】
Faster R-CNNは、イメージ内から特徴を抽出してオブジェクトを探知する第1段階と、探知されたオブジェクトの欠陥有無の確率およびオブジェクトに対するボックス座標を算出して最終的に欠陥の有無を判読する第2段階で構成された、二つの段階のオブジェクト探知アルゴリズムでありうる。
【0065】
図5は、一つの実施例のよるFaster R-CNNの構造を図示した図面である。
【0066】
一つの実施例によれば、Faster R-CNNの第1段階は、ResNet510に基づいて特徴を抽出し、オブジェクトを探知することができる。Faster R-CNNの第2段階は、RPN(region proposal network)520とRoIプーリング(region of interest pooling)530とで具現されて算出されたオブジェクトの候補領域が、欠陥クラスまたはバックグラウンドノイズクラスに属する確率を決定し、臨界値に基づいて各オブジェクトクラスを決定すること、すなわち欠陥を判読することができる。
【0067】
欠陥判断部50は、探知と判読の過程を経た結果物として、バウンディングボックス(bounding box)を出力することができる。バウンディングボックスは、欠陥判断部50に入力されたイメージに表示され、欠陥部位を画面に表示することができる。
【0068】
欠陥判断部50は、Faster R-CNNのようなディープラーニングアルゴリズムに基づいて欠陥を探知して判読し、このようなディープラーニングアルゴリズムの性能を改善するためには効果的な学習が必要になることがある。欠陥判断部50で採用したディープラーニングアルゴリズムを学習させるために、欠陥と判定された信号データをイメージデータに変換し、変換されたイメージデータに欠陥部位に対する情報を含ませるために、データラベリング(data labeling、 annotation)を遂行することができる。すなわち、欠陥判断部50で採用したディープラーニングアルゴリズムは、欠陥をオブジェクトとして含んでいるイメージデータに欠陥の位置に関する情報を含め、再加工したイメージデータを基にして学習する指導学習に基づいて学習を行うことができる。このような学習を通じて、欠陥判断部50で採用したディープラーニングアルゴリズムの性能が改善されうる。
【0069】
上述したように、本開示で提案する超音波探傷検査システム100は、信号データに基づいて欠陥候補群を選別し、選別した欠陥候補群に対するイメージデータを基盤にして最終的に欠陥を判断する、この段階の動作を通じて検査対象に欠陥があるかどうかを判読できる。また、本開示で提案する超音波探傷検査システム100は、人工知能に基づいて欠陥検出を試みることで性能の改善を獲得することができる。
【0070】
図6は、本開示の多様な実施例による超音波探傷検査システムを利用した超音波探傷検査方法を図示したフローチャートである。
【0071】
図6を参照すれば、本開示の様々な実施例による超音波探傷検査システムを利用した超音波探傷検査方法は、信号データを収集する動作S10、収集した信号データを前処理する動作S20、前処理された信号データに基づいて欠陥候補群を導出する動作S30、導出された欠陥候補群に基づいてイメージデータを生成する動作S40、およびイメージデータに基づいて欠陥を判定する動作S50とを含むことができる。
【0072】
本開示の多様な実施例によれば、動作S10において、超音波探傷検査システム100は、超音波探傷装置10を利用して検査対象200に超音波を照射し、検査対象200から反射されてきた信号を感知して獲得することができる。一つの実施例によれば、超音波探傷装置10は、持続時間の短い超音波パルスを繰り返し発生させて検査対象200に照射し、検査対象200から反射されて戻ってくるパルス信号を感知して信号データを獲得することができる。
【0073】
動作S20において、超音波探傷検査システム100は、動作S10で獲得した信号データを前処理することができる。前処理動作は、信号データに含まれているノイズを除去する動作、ノイズが除去された信号データから極点を抽出する動作、そして抽出した極点に基づいて信号データを複数のクラスターに分割する動作を含むことができる。この場合、複数のクラスターは、次の段階でディープラーニングアルゴリズムに入力されなければならない入力データとして互いに同じ大きさになるよう調整されうる。
【0074】
動作S30において、超音波探傷検査システム100は、前処理された信号データに基づいて欠陥候補群を導出することができる。一つの実施例によれば、超音波探傷検査システム100は、動作S20で生成した複数のクラスターのそれぞれに対して欠陥が存在するかどうかを判断し、欠陥が存在すると判断されたクラスターは欠陥候補群に含めることができる。したがって、欠陥候補群は、欠陥が存在する可能性のあるクラスターの集合でありうる。
【0075】
一つの実施例によれば、超音波探傷検査システム100は、動作S20で前処理された信号データを入力として使用する人工知能またはディープラーニングアルゴリズムに基づいて欠陥候補群を選別することができる。超音波探傷検査システム100は、VAE(variational auto encoder)または畳み込み神経網アルゴリズムであるResNet(Residual neural network)をディープラーニングアルゴリズムとして使用することができる。超音波探傷検査システム100が使用できるディープラーニングアルゴリズムはこれに限定されるものではなく、他の既存のディープラーニングアルゴリズムを使用することも可能である。
【0076】
超音波探傷検査システム100における欠陥候補群の導出に使われるディープラーニングアルゴリズムは、実際に使用される前に学習を進行してディープラーニングアルゴリズムを最適化させることができ、この場合における学習は専門家によって欠陥があると指摘された信号データを利用して遂行できる。
【0077】
超音波探傷検査システム100は、動作S30の結果、欠陥が含まれていると判断される欠陥候補群を導き出すことができる。ここで、欠陥候補群は欠陥が含まれていると予想されるクラスターの集合でありうる。
【0078】
動作S40において、超音波探傷検査システム100は、動作S30で獲得した欠陥候補群に基づいてイメージデータを生成することができる。イメージデータは、従来の超音波探傷で使用していたB-Scanおよび/またはC-Scanと称したイメージでありうるし、このようなイメージデータを生成する方法もまた、従来のB-Scanおよび/またはC-Scanを生成する方法を借用することができる。ただし、一つの実施例によれば、検査対象の全体に対してイメージデータを生成する必要はなく、動作S30で欠陥があるものと選別された信号データと関連した部分に対してのみイメージデータを生成することで十分でありうる。
【0079】
動作S50において、超音波探傷検査システム100は、生成されたイメージデータに基づいて欠陥を判定することができる。一つの実施例によれば、超音波探傷検査システム100は、動作S40で生成したイメージデータを入力として使用する人工知能またはディープラーニングアルゴリズムに基づいて欠陥を最終的に判断することができる。
【0080】
一つの実施例によれば、超音波探傷検査システム100は、ディープラーニングアルゴリズムでイメージ内からオブジェクトを区別するのに有効な、YOLO(you only look once)アルゴリズムまたはFaster R-CNNアルゴリズムを使用することができる。
【0081】
超音波探傷検査システム100は、動作S50の結果として導出されたオブジェクトとオブジェクトクラスが欠陥であるかどうか、それともバックグラウンドノイズであるかどうかを示す情報、およびバウンディングボックス(bounding box)を提供することができる。オブジェクトクラスが欠陥であると判断した場合、バウンディングボックスはそのオブジェクトを囲む長方形のボックスを意味することができる。
【0082】
本開示は、図面で図示された実施例を参考に説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形および均等な他の実施例が可能であるという点を理解するだろう。したがって、本開示の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0083】
100:超音波探傷検査システム
10:超音波探傷装置
20:信号データの前処理部
30:欠陥候補群の選別部
40:イメージデータ生成部
50:欠陥判断部
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6