(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051601
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】緩衝部材及び建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/36 20060101AFI20240404BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E06B7/36 F
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157854
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】四國 康則
(72)【発明者】
【氏名】畑村 周
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA01
2E014FA05
(57)【要約】
【課題】可動扉において対象物に接触した際に安全性を向上させることができる緩衝部材及び建具を提供する。
【解決手段】第1建具又は第1建具に対して相対的に水平方向に移動する移動扉に形成された第2建具に設けられ、前記第2建具が開口を開放する第1方向に対して略直交する前記第1建具又は第2建具の側面となる第1端面において上下方向に延びる基礎部と、平面視して前記第1端面から突出すると共に、前記第1建具又は前記第2建具に向かって突出し前記第2建具の前記第1方向への移動時において前記第1建具と前記第2建具との間に対象物が存在した場合に前記対象物に接触して圧縮されて弾性変形する緩衝部とを備える、緩衝部材である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1建具又は第1建具に対して相対的に水平方向に移動する移動扉に形成された第2建具に設けられ、前記第2建具が開口を開放する第1方向に対して略直交する前記第1建具又は前記第2建具の側面となる第1端面において上下方向に延びる基礎部と、
平面視して前記第1端面から突出すると共に、前記第1建具又は前記第2建具に向かって突出し前記第2建具の前記第1方向への移動時において前記第1建具と前記第2建具との間に対象物が存在した場合に前記対象物に接触して圧縮されて弾性変形する緩衝部と、を備える、
緩衝部材。
【請求項2】
前記緩衝部は、上下方向に沿った内部空間が形成された中空部材である、
請求項1に記載の緩衝部材。
【請求項3】
前記緩衝部は、平面視して前記第1建具又は前記第2建具に向かうほど厚みが増大するように形成されている、
請求項2に記載の緩衝部材。
【請求項4】
前記緩衝部は、平面視して前記基礎部に比して前記第1方向と反対の第2方向に突出する、
請求項1に記載の緩衝部材。
【請求項5】
前記緩衝部は、前記第1端面に略直交し前記第2建具に対向する第2端面と前記第1端面とにより形成される角部を覆うように形成されている、
請求項4に記載の緩衝部材。
【請求項6】
第1建具と、
第1建具に対して相対的に水平方向に移動する移動扉に形成された第2建具と、
前記第1建具又は前記第2建具に設けられ、前記第2建具が開口を開放する方向の第1方向に対して略直交する前記第1建具又は前記第2建具の側面となる第1端面において上下方向に延びる基礎部と、平面視して前記第1端面から突出すると共に、前記第1建具又は前記第2建具に向かって突出し前記第2建具の前記第1方向への移動時において前記第1建具と前記第2建具との間に対象物が存在した場合に前記対象物に接触して圧縮されて弾性変形する緩衝部とにより構成される緩衝部材と、を備える、
建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝部材及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
水平方向に移動自在に開閉する可動扉を備えた自動開閉ドアが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された自動開閉ドアは、開口を覆う水平方向に移動自在な可動扉と、開口に隣接する方立や戸袋等の固定側の建具を備え、建具には、可動扉との間の隙間を狭めるための上下方向に延びる緩衝部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された緩衝部材は、可動扉の移動時において人の指等の対象物が接触して弾性変形した際に緩衝部材が外れ、対象物が方立や戸袋等に形成されている角部に接触する虞がある。
【0005】
本発明は、可動扉において対象物に接触した際に安全性を向上させることができる緩衝部材及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1建具又は第1建具に対して相対的に水平方向に移動する移動扉に形成された第2建具に設けられ、前記第2建具が開口を開放する第1方向に対して略直交する前記第1建具又は第2建具の側面となる第1端面において上下方向に延びる基礎部と、平面視して前記第1端面から突出すると共に、前記第1建具又は前記第2建具に向かって突出し前記第2建具の前記第1方向への移動時において前記第1建具と前記第2建具との間に対象物が存在した場合に前記対象物に接触して圧縮されて弾性変形する緩衝部と、を備える、緩衝部材である。
【0007】
本発明の前記緩衝部は、上下方向に沿った内部空間が形成された中空部材であってもよい。
【0008】
本発明の前記緩衝部は、平面視して前記第1建具又は前記第2建具に向かうほど厚みが増大するように形成されていてもよい。
【0009】
本発明の前記緩衝部は、平面視して前記基礎部に比して前記第1方向と反対の第2方向に突出していてもよい。
【0010】
本発明の前記緩衝部は、前記第1端面に略直交し前記第2建具に対向する第2端面と前記第1端面とにより形成される角部を覆うように形成されていてもよい。
【0011】
本発明は、第1建具と、第1建具に対して相対的に水平方向に移動する移動扉に形成された第2建具と、前記第1建具又は前記第2建具に設けられ、前記第2建具が開口を開放する方向の第1方向に対して略直交する前記第1建具又は前記第2建具の側面となる第1端面において上下方向に延びる基礎部と、平面視して前記第1端面から突出すると共に、前記第1建具又は前記第2建具に向かって突出し前記第2建具の前記第1方向への移動時において前記第1建具と前記第2建具との間に対象物が存在した場合に前記対象物に接触して圧縮されて弾性変形する緩衝部とにより構成される緩衝部材とを備える建具である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、可動扉において対象物に接触した際に安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る建具の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び
図2に示されるように、建具1は、扉状に形成されている第1建具2と、第1建具2に対して相対的に水平方向(図のX方向)に移動する可動扉に形成されている第2建具3とを備えている。建具1は、例えば、第1建具2が固定され、第2建具3が自動的に開閉する自動扉に形成されている。第2建具3は、閉状態において建物等に設けられた矩形の開口(不図示)を覆い、開状態において開口を開放する。第1建具2と第2建具3とは、正面視して(図のY方向に見て)第2建具3の閉状態において、第1建具2の水平方向一方側(図の+X方向側)の端部と、第2建具3の水平方向他方側(図の-X方向側)の端部同士が前後方向(図のY方向)に重なるように配置されている。
【0015】
第1建具2は、例えば、正面視して矩形の板状体に形成されている。第1建具2は、矩形の第1板状部60と、第1板状部60の上下左右の周囲を囲む矩形の枠状に形成された第1枠部5を備えている。第1枠部5は、第1建具2に必ずしも設けられていなくてもよく、第1建具2は、第1板状部60により形成されていてもよい。第1板状部60は、例えば、ガラス板である。第1板状部60は、他の素材により形成されていてもよい。第1板状部60は、格子状に形成されていてもよい。
【0016】
第2建具3は、例えば、正面視して矩形の板状体に形成されている。第2建具3は、矩形の第2板状部61と、第2板状部61の上下左右の周囲を囲む矩形の枠状に形成された第2枠部6を備えている。第2枠部6は、第2建具3に必ずしも設けられていなくてもよく、第2建具3は、第2板状部61により形成されていてもよい。第2板状部61は、例えば、ガラス板である。第2板状部61は、他の素材により形成されていてもよい。第2板状部61は、格子状に形成されていてもよい。
【0017】
第1枠部5の水平方向一方側の端部には、上下方向(図のZ方向)に沿って形成された第1縦枠10が設けられている。第1枠部5が設けられていない場合、第1縦枠10は、第1板状部60の水平方向一方側の側面を含む端部であってもよい。第1縦枠10は、平面視して矩形断面の管状部材により形成されている。
【0018】
第1縦枠10は、水平方向一方側の側面となる第1端面11を有する。第1端面11は、第1建具2の水平方向一方側に配置され、第2建具3が開口を開放する第1方向(図の-X方向)に対して略直交するように形成された側面である。第1端面11には、上下方向に沿って開口11Hが形成されている。開口11Hには、後述の緩衝部材100が取り付けられている。第1縦枠10は、第1端面11と略直交する第1方向と反対の第2方向(図の+X方向)に略直交する第2端面13及び第3端面14とを有する。第2端面13は、第2建具3に対向している。
【0019】
第1縦枠10は、水平方向他方側の側面となる第4端面12を有する。第4端面12は、第2端面13及び第3端面14に略直交して形成されている。第4端面12には、上下方向に沿って開口12Hが形成されている。第4端面12は、第1板状部60の水平方向一方側の第1側面60Aに取り付けられている。第1側面60Aは、開口12Hに嵌め込まれている。第4端面12と開口12Hとの間の隙間は、弾性部材により形成されたパッキン(不図示)が嵌め込まれていてもよいし、充填材(不図示)が充填されていてもよい。
【0020】
第2枠部6の水平方向他方側の端部には、上下方向(図のZ方向)に沿って形成された第2縦枠20が設けられている。第2枠部6が設けられていない場合、第2縦枠20は、第2板状部61の水平方向他方側の側面を含む端部であってもよい。第2縦枠20は、平面視して矩形断面の管状部材により形成されている。第2縦枠20は、第1縦枠10と同様の構成を備えている。第2縦枠20の構成については、説明を省略する。第2縦枠20は、第1縦枠10と同様に緩衝部材100を備えている。
【0021】
緩衝部材100は、少なくとも第1建具2に設けられている。緩衝部材100は、ゴム等の弾性部材により形成されている。緩衝部材100は、例えば、第1縦枠10の第1端面11に設けられた基礎部110と、基礎部110に設けられた緩衝部101とを備えている。基礎部110は、例えば、第1端面11において上下方向に延びて形成されている。基礎部110は、第1端面11の開口11Hを塞ぐ上下方向に延びる帯状に形成されている。
【0022】
基礎部110には、開口11Hに係合する一対の爪部113,114が形成されている。爪部113,114は、開口11Hの端部を挟持するように第1方向側に突出して形成されている。基礎部110は、第1端面11に接着剤、両面テープ等の固定手段を用いて直接的に貼り付けられていてもよい。基礎部110は、第2建具3側に延び緩衝部101が取り付けられた取付部111が形成されている。
【0023】
緩衝部101は、基礎部110に比して弾性変形し易い柔らかい素材により形成されている。緩衝部101は、平面視して第1端面11に比して第2方向に突出して形成されている。また、緩衝部101は、第2建具3側に向かって突出して形成されている。緩衝部101は、第2建具3の第1方向への移動時において第1建具2と第2建具3との間に人の指等の対象物が存在した場合に対象物に接触して第1方向に対して圧縮されて弾性変形する。緩衝部101は、上下方向に沿った内部空間104が形成された中空部材に形成されている。
【0024】
緩衝部101は、例えば、矩形断面の中空部材に形成されている。緩衝部101は、半円形や台形等、他の断面形状に形成されていてもよい。緩衝部101は、基礎部110から第2方向側に突出し第2建具3に向かって湾曲する湾曲部103が形成されている。緩衝部101は、湾曲部103に連続し第2建具3側に膨出する膨出部102が形成されている。膨出部102は、第2建具3に接触する手前まで膨出して形成されている。膨出部102は、対象物に接触した際に、緩衝部101を第1建具2と第2建具3との間に案内するように弾性変形させる。
【0025】
緩衝部101は、第2建具3の第1方向への移動時において第1建具2と第2建具3との間に対象物が存在して対象物に接触した際に第1方向に対して圧縮されて弾性変形し、対象物に対する衝撃を抑制することができる。
【0026】
緩衝部101は、平面視して基礎部110から離れるほど、即ち第2建具3に向かうほど厚みが増大するように形成されている。これにより、緩衝部101は、対象物と接触した際に基礎部110側から弾性変形し第1建具2と第2建具3との間の隙間に入り込むように弾性変形することができる。緩衝部101は、第1縦枠10の第1端面11に略直交し第2建具3に対向する第2端面13と第1端面11とにより形成される角部を覆うように形成されている。これにより、緩衝部101は、対象物と接触して弾性変形する際に第1縦枠10の角部が対象物と接触することを防止することができる。
【0027】
緩衝部101は、第1端面11に接触する第1接触部107と第2端面13側に接触する第2接触部106とにより角部に接触するL断面形状の接触部105を備えている。これにより、第2建具3の第1方向への移動時において第1建具2と第2建具3との間に人の指等の対象物が存在した場合に、接触部105と膨出部102とで対象物に対する衝撃を抑制することができる。また、接触部105が基礎部110に比して弾性変形し易い柔らかい素材により形成されることにより、接触部105の角部による対象物に対する衝撃を抑制することができる。
【0028】
第2接触部106には、第2建具3側に突出する突出部109が形成されている。突出部109は、第1建具2と第2建具3との間の隙間を埋めるように形成されている。突出部109は、建具1が閉状態のときに第2縦枠20に接触し、建具1の気密性を向上させることができる。突出部109は、第2接触部106に必ずしも設けられていなくてもよい。
【0029】
緩衝部材100は、建具1と別体の部品として構成されていてもよい。緩衝部材100は、第1建具2と、第1建具2に対して相対的に水平方向に移動する移動扉に形成された第2建具3とを備える建具1において、少なくとも第1建具に設けられる。緩衝部材100は、基礎部110と緩衝部101とを備える。基礎部110は、第2建具が開口を開放する方向の第1方向に対して略直交する第1建具の側面となる第1端面において上下方向に延びるように形成されている。緩衝部101は、平面視して第1端面11に比して第1方向と反対の第2方向に突出するように形成され、対象物に接触した際に弾性変形する。
【0030】
上述したように緩衝部材100及び建具1によれば、第1建具2に対して第2建具3が相対的に移動する際に対象物が緩衝部101に接触した場合、緩衝部101が弾性変形することにより対象物への衝撃を抑制することができる。
【0031】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、建具1は、自動扉以外の手動により開閉する扉を備える建具であってもよい。建具1は、2枚以上の可動扉を有する引き違い戸に構成されていてもよい。建具1において、第1建具2は、固定扉以外に戸袋、方立、可動扉であってもよい。
【0032】
また、本実施形態では、基礎部110は第1枠部5及び第2枠部6に形成された開口に取り付けられているが、緩衝部材100の第1枠部5及び第2枠部6への取付方法は問わない。第1枠部5及び第2枠部6に開口を形成せずに、接着剤、両面テープ等の固定手段を用いて直接的に貼り付けられていてもよく、もしくは、ネジ等の取付部材を介して枠部に取り付けられてもよい。また、第1枠部5及び第2枠部6側に係合部を形成し、緩衝部材100側に係合部に係合する被係合部を形成し、緩衝部材100を第1枠部5及び第2枠部に取り付けてもよい。固定手段は、上記の方法を適宜組み合わせてもよく、緩衝部材100を第1枠部5及び第2枠部に確実に固定できればどのようなものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 建具、2 第1建具、3 第2建具、5 第1枠部、6 第2枠部、10 第1縦枠、11 第1端面、11H 開口、12 第4端面、12H 開口、13 第2端面、14 第3端面、20 第2縦枠、60 第1板状部、60A 第1側面、61 第2板状部、100 緩衝部材、101 緩衝部、102 膨出部、103 湾曲部、104 内部空間、105 接触部、106 第2接触部、107 第1接触部、109 突出部、110 基礎部、111 取付部、113,114 爪部