(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051623
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】複合型不織布ワイパー
(51)【国際特許分類】
A47L 13/16 20060101AFI20240404BHJP
D04H 5/03 20120101ALI20240404BHJP
【FI】
A47L13/16 A
D04H5/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157892
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 生弥
【テーマコード(参考)】
3B074
4L047
【Fターム(参考)】
3B074AA01
3B074AA02
3B074AA08
3B074AB01
3B074AC03
4L047AA08
4L047AA14
4L047AA17
4L047AA18
4L047AA21
4L047AA23
4L047AB01
4L047AB04
4L047AB06
4L047BA04
4L047BA08
4L047CA02
4L047CA05
4L047CA19
4L047CB07
4L047CC14
(57)【要約】
【課題】表裏のいずれも視認性が高く、吸水性能及び耐摩耗性に優れ、水中における繊維脱落も少ない複合型不織布ワイパーを提供する。
【解決手段】有色のスパンボンド不織布の上にパルプ繊維ウェブを積層し一体化した、複合型不織布のワイパーであって、複合型不織布の坪量が45.0g/m2以上85.0g/m2以下、スパンボンド不織布の割合が15重量%以上30重量%以下、パルプ繊維ウェブの割合が70重量%以上85重量%以下であり、スパンボンド不織布の色を色空間で表現したとき、L*=65以下、a*=-30以上-10以下、b*=-30以下、C*=30以上、であり、複合型不織布におけるパルプ繊維ウェブの面は、L*=80以下、a*=-20以上-7以下、b*=-13以下、C*=30以上、であり、パルプ繊維ウェブの面とスパンボンド不織布の面との色差ΔE*ab=10以下である、複合型不織布ワイパーを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色のスパンボンド不織布の上にパルプ繊維ウェブを積層し一体化した、複合型不織布のワイパーであって、
前記複合型不織布の坪量が45.0g/m2以上85.0g/m2以下、前記スパンボンド不織布の割合が15重量%以上30重量%以下、前記パルプ繊維ウェブの割合が70重量%以上85重量%以下であり、
前記スパンボンド不織布の色を色空間(CIELAB)で表現したとき、L*=65以下、a*=-30以上-10以下、b*=-30以下、C*=30以上、であり、
前記複合型不織布における前記パルプ繊維ウェブの面を色空間(CIELAB)で表現したとき、L*=80以下、a*=-20以上-7以下、b*=-13以下、C*=30以上、であり、
前記複合型不織布における、前記パルプ繊維ウェブの面と前記スパンボンド不織布の面との色差ΔE*ab=10以下であることを特徴とする、複合型不織布ワイパー。
【請求項2】
前記複合型不織布の吸水速度が2.5秒以下、単位面積当たりの吸水量(T.W.A.)が300g/m2以上、Wetテーバー値が6回以上であることを特徴とする、請求項1に記載の複合型不織布ワイパー。
【請求項3】
前記スパンボンド不織布は、紡糸された樹脂繊維を接続する複数の融着点を含み、前記融着点の1個当たりの面積が0.10mm2以上0.50mm2以下、前記スパンボンド不織布における前記融着点の面積率が7%以上20%以下、前記スパンボンド不織布における単位面積当たりの前記融着点の個数が10個/cm2以上150個/cm2以下であり、
前記スパンボンド不織布がナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンからなる群から選択された1種類以上の合成繊維を含み、
前記パルプ繊維ウェブがラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルース及びダグラスファーからなる群から選択された1種類以上の針葉樹晒クラフトパルプの繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合型不織布ワイパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色付きの不織布を含む複合型不織布ワイパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品の製造、加工、処理、調理用機械、装置、器具の表面又は作業者の手を清拭するときに、異物混入防止の観点から、カウンタークロス等に色付きワイパーを使用することがある。
【0003】
一方で、水性、油性の液体の吸液性に富むパルプ繊維と、強度に優れる合成繊維を使ったスパンボンド不織布とを水流交絡し、強度と吸液性を両立させたシートを製造する技術が知られている(なお、パルプ繊維ウェブは、一般的な湿式抄紙法や湿式抄紙で抄造したシート、乾式エアレイドにて供給することができる)。
【0004】
上記の技術を用いた複合型の不織布は、強度と吸液性、保液性を両立しており、食品の製造、加工、処理、調理用機械、装置、器具の表面又は作業者の手の清拭等、多種の場面で使用することができる。
【0005】
そのような色付きの複合型不織布ワイパーの先行技術文献として、例えば、特許文献1には、合成樹脂繊維によるスパンボンド不織布とパルプ繊維とが絡合されたパルプ混合のスパンレース不織布であり、坪量が40~70g/m2であり、スパンボンド不織布の目付量が10~25g/m2であり、パルプ繊維の割合が60~80質量%、スパンボンド不織布の割合が20~40質量%であり、スパンボンド不織布を構成する合成樹脂繊維が、着色料が練りこまれて色付けされた着色繊維であり、かつ、パルプ繊維とスパンボンド不織布を構成する着色繊維の色が異なる不織布ダスターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のパルプ繊維とスパンボンド不織布の複合型不織布を、食品混入時の視認性を高めるために着色しようとしたとき、パルプ繊維かスパンボンド不織布のどちらかに着色を行うことが考えられる。
パルプ繊維への着色は吸液性が高い為、着色剤が清掃対象へ移行しやすい(色移りしやすい)懸念があり、スパンボンド不織布への着色が色移行性の観点から適している。
【0008】
しかし、スパンボンド不織布を着色し、パルプ繊維と複合一体化したとき、色移行性は問題ないが、色の表裏差が生じる(スパンボンド不織布面が濃く、パルプ繊維面が薄い)。複合型不織布の使用時には、パルプ繊維等が複合型不織布から脱落して、紙粉が発生することがあるが、色の表裏差があると、特に色の薄い方の面での紙粉の発生が見つけにくいことがある。また、色の発色が不十分では商品価値の点から見劣りする。
表裏の色差の解決のために、スパンボンド不織布の割合に対するパルプ繊維の割合を低くすることが考えられるが、今度は吸水性能及び耐摩耗強度に劣り、水中で繊維が脱落しやすくなる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、表裏のいずれも視認性が高く、吸水性能及び耐摩耗性に優れ、水中における繊維脱落も少ない複合型不織布ワイパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は鋭意検討を行い、有色のスパンボンド不織布の上にパルプ繊維ウェブを積層し一体化した、複合型不織布のワイパーにおいて、複合型不織布の坪量並びに不織布及びパルプ繊維ウェブの割合を所定の数値範囲内に調整し、かつ、スパンボンド不織布と複合型不織布のパルプ繊維ウェブの面におけるそれぞれの色空間の各指数、並びに複合型不織布におけるパルプ繊維ウェブの面とスパンボンド不織布の面との色差を、いずれも所定の数値範囲内に調整することで、表裏のいずれも視認性が高く、吸水性能及び耐摩耗性に優れ、水中における繊維脱落も少ない複合型不織布ワイパーとすることができ、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0011】
(1)本発明の第1の態様は、有色のスパンボンド不織布の上にパルプ繊維ウェブを積層し一体化した、複合型不織布のワイパーであって、前記複合型不織布の坪量が45.0g/m2以上85.0g/m2以下、前記スパンボンド不織布の割合が15重量%以上30重量%以下、前記パルプ繊維ウェブの割合が70重量%以上85重量%以下であり、前記スパンボンド不織布の色を色空間(CIELAB)で表現したとき、L*=65以下、a*=-30以上-10以下、b*=-30以下、C*=30以上、であり、前記複合型不織布における前記パルプ繊維ウェブの面を色空間(CIELAB)で表現したとき、L*=80以下、a*=-20以上-7以下、b*=-13以下、C*=30以上、であり、前記複合型不織布における、前記パルプ繊維ウェブの面と前記スパンボンド不織布の面との色差ΔE*ab=10以下であることを特徴とする、複合型不織布ワイパーである。
【0012】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の複合型不織布ワイパーであって、前記複合型不織布の吸水速度が2.5秒以下、単位面積当たりの吸水量(T.W.A.)が300g/m2以上、Wetテーバー値が6回以上であることを特徴とするものである。
【0013】
(3)本発明の第3の態様は、(1)に記載の複合型不織布ワイパーであって、前記スパンボンド不織布は、紡糸された樹脂繊維を接続する複数の融着点を含み、前記融着点の1個当たりの面積が0.10mm2以上0.50mm2以下、前記スパンボンド不織布における前記融着点の面積率が7%以上20%以下、前記スパンボンド不織布における単位面積当たりの前記融着点の個数が10個/cm2以上150個/cm2以下であり、前記スパンボンド不織布がナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンからなる群から選択された1種類以上の合成繊維を含み、前記パルプ繊維ウェブがラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルース及びダグラスファーからなる群から選択された1種類以上の針葉樹晒クラフトパルプの繊維を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表裏のいずれも視認性が高く、吸水性能及び耐摩耗性に優れ、水中における繊維脱落も少ない複合型不織布ワイパーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0016】
<複合型不織布ワイパー>
本実施形態に係る複合型不織布ワイパーは、有色のスパンボンド不織布の上にパルプ繊維ウェブを積層し一体化した、複合型不織布のワイパーである。
【0017】
スパンボンド不織布は、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンからなる群から選択された1種類以上の合成繊維を含むことが好ましいが、中でもポリプロピレンを含むことが好ましい。
【0018】
なお、スパンボンド不織布は紡糸された樹脂繊維を接続する複数の融着点を含むことが好ましい。また、融着点の1個当たりの面積が0.10mm2以上0.50mm2以下であることが好ましく、スパンボンド不織布における融着点の面積率が7%以上20%以下であることが好ましく、スパンボンド不織布における単位面積当たりの融着点の個数が10個/cm2以上150個/cm2以下であることが好ましい。融着点に関する面積、面積率、個数がいずれも上記の数値範囲内であることにより、水中における繊維脱落が少ない複合型不織布ワイパーとすることができる。
なお、融着点の形状は円形、楕円形、多角形等、一般的な形状であれば特に限定されない。
【0019】
パルプ繊維ウェブは、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルース及びダグラスファーからなる群から選択された1種類以上の針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の繊維を含むことが好ましい。
なお、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)以外に、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等、一般的なパルプ繊維も含んでいてもよいが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)及び広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を含むことが好ましい。また、パルプ繊維におけるNBKPとLBKPの含有割合は50:50以上100:0以下が好ましく、70:30以上100:0以下がより好ましく、90:10以上100:0以下が更に好ましく、100:0が最も好ましい。
【0020】
本実施形態に係る複合型不織布において、スパンボンド不織布の割合は15重量%以上30重量%以下、パルプ繊維ウェブの割合は70重量%以上85重量%以下である。それぞれの割合が上記の数値範囲内であることにより、吸水性能及び耐摩耗性に優れ、水中における繊維脱落も少ない複合型不織布ワイパーとすることができる。
なお、スパンボンド不織布の割合の下限値は、20重量%以上が好ましく、更には、23重量%がより好ましい。また、上限値は、29重量%以下が好ましく、更には28重量%以下がより好ましい。また、パルプ繊維ウェブの割合の下限値は、71重量%以上が好ましく、更には72重量%以上がより好ましい。また、上限値は、80重量%以下が好ましく、77重量%以下がより好ましい。
【0021】
(物性)
本実施形態に係る複合型不織布の坪量は、下限値は45.0g/m2以上であり、好ましくは、49.0g/m2以上であり、より好ましくは53g/m2以上である。また、上限値は85.0g/m2以下であり、好ましくは66.0g/m2以下であり、より好ましくは、62.0g/m2以下である。坪量が上記の数値範囲内であることにより、吸水性能及び耐摩耗性に優れる複合型不織布ワイパーとすることができる。
なお、複合型不織布の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定される。
【0022】
また、複合型不織布の吸水速度は2.5秒以下であることが好ましく、2.0秒以下であることがより好ましい。吸水速度が上記の数値範囲内であることにより、吸水性能に優れる複合型不織布ワイパーとすることができる。
吸水速度は点滴吸水度とも呼ばれ、JIS L 1907に規定される滴下法に準拠し、0.1mLの水滴が試験片の表面に達したときから、試験片の鏡面反射が消えるまでの時間(秒)を測定する。
【0023】
さらに、複合型不織布の単位面積当たりの吸水量(T.W.A.)が300g/m2以上であることが好ましく、320g/m2以上であることがより好ましい。吸水量が上記の数値範囲内であることにより、吸水性能に優れる複合型不織布ワイパーとすることができる。
複合型不織布の吸水量(T.W.A.:Total Water Absorbance)の測定方法は、まずワイパー(複合型不織布)を76mm×76mmの正方形に切断して試料を作製し、試料の乾燥重量を測定する。次に、この試料を蒸留水中に2分間浸漬した後、水蒸気飽和状態の容器中で、試料の1つの角部を上側の頂部とし、この頂部と隣接する2つの角部とを支持して展伸した状態で吊るし、30分放置して水切り後の重量を測定する。最後に、得られた測定値から、試料1m2あたりの保水量=吸水量(g/m2)を求める。
【0024】
そして、複合型不織布のWetテーバー値が6回以上であることが好ましく、10回以上であることがより好ましい。Wetテーバー値が上記の数値範囲内であることにより、耐摩耗性に優れる複合型不織布ワイパーとすることができる。
Wetテーバー(値)は、JIS L 1096に規定されたテーバー試験機を用いて、回転する水平円盤に水で湿潤させた試料を取り付けて、砥粒結合体で成形された一対の摩擦輪(H-18)を規定荷重(4.9N)のもとに加えて、耐摩耗性を調べる。判定は、摩耗による複合型不織布の穴が13mmとなるまでの円盤の回転数で判定する。
【0025】
(色)
本実施形態に係る複合型不織布ワイパーに含まれるスパンボンド不織布は、色付きであるが、色は視認性の観点から青色であることが好ましい。
【0026】
また、スパンボンド不織布の色を色空間(CIELAB)で表現したとき、L*=65以下、a*=-30以上-10以下、b*=-30以下、C*=30以上、である。スパンボンド不織布における色空間の各指数が上記の数値範囲内であることにより、視認性に優れる複合型不織布ワイパーとすることができる。
【0027】
さらに、複合型不織布におけるパルプ繊維ウェブの面を色空間(CIELAB)で表現したとき、L*=80以下、a*=-20以上-7以下、b*=-13以下、C*=30以上、である。パルプ繊維ウェブの面における色空間の各指数が上記の数値範囲内であることにより、視認性における表裏差が少ない複合型不織布ワイパーとすることができる。
【0028】
そして、複合型不織布における、パルプ繊維ウェブの面とスパンボンド不織布の面との色差ΔE*ab=10以下である。色差が上記の数値範囲内であることにより、視認性における表裏差が少ない複合型不織布ワイパーとすることができる。
【0029】
なお、色の評価には色差計PF7000(日本電色工業(株)製)を用い、スパンボンド不織布は一体化前のものを16枚重ねて測定し、複合型不織布は一体化後のものを4枚重ねて測定する。
【0030】
<複合型不織布ワイパーの製造方法>
本実施形態に係る複合型不織布ワイパーの製造方法としては、特に制限はなく、公知の不織布ワイパーの製造方法により製造することができる。
そのような製造方法としては、例えば、(1)複合型不織布の製造、(2)裁断、(3)包装、といった手順が挙げられるが、その他の手順が追加されてもかまわない。
【0031】
なお、(1)の複合型不織布の製造において、有色のスパンボンド不織布の上にパルプ繊維ウェブを積層した後に一体化する方式は、スパンレース方式等の一般的な方式であってもよいが、吸水性能及び耐摩耗性の観点から、水流交絡であることが好ましい。水流交絡による一体化の工程に関しては、例えば、特許第6758116号公報に詳細に記載されている。
また、(1)の複合型不織布の製造において、フォーミングセクションはエアレイド方式が好ましく、ドライヤーセクションはスルーエアードライヤーが好ましい。エアレイド方式は、湿式(パルプ繊維シート)に比べ、パルプ間の結合が少ない為、水流交絡処理やスパンレース処理でパルプ繊維が散らばり、スパンボンド層が表面に露出しやすい為、色の表裏差を小さくすることができる。
【0032】
なお、製造した複合型不織布ワイパーの厚さは、特に限定されないが、0.25mm/プライ以上0.45mm/プライ以下であることが好ましく、0.30mm/プライ以上0.40mm/プライ以下であることがより好ましい。厚さはピーコック紙厚計にて、37.85gf/m2にて測定する。
【0033】
以上より、本実施形態に係る発明によれば、表裏のいずれも視認性が高く、吸水性能及び耐摩耗性に優れ、水中における繊維脱落も少ない複合型不織布ワイパーを提供することができる。
【実施例0034】
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0035】
表1に示す各条件において、実施例1~5及び比較例1~6のそれぞれの複合型不織布ワイパーを作製した後、以下の評価を行った。なお、いずれの実施例及び比較例も、合成繊維としてポリプロピレンを含むスパンボンド不織布の上に、パルプ繊維ウェブを積層して、水流交絡により一体化した複合型不織布を原反とし、スパンボンド不織布の色は青色とした。
【0036】
1.使用感(拭き取りやすさ)
ワイパーで汚れ等の対象物を拭き取ったときの拭き取りやすさを、5段階で評価した。
各評価は、使用上で柔軟性、吸水能力ともに問題なく、拭き心地がよいものを「3」、これよりやや優れているものを「4」、優れているものを「5」、これよりやや劣るものを「2」、劣るものを「1」とした。
【0037】
2.吸水性能
ワイパーで水分を拭き取ったときの吸水能力を、5段階で評価した。
各評価は、使用上で吸水能力(吸水速度、吸水量)が問題ないものを「3」、これよりやや優れているものを「4」、優れているものを「5」、これよりやや劣るものを「2」、劣るものを「1」とした。
【0038】
3.強度(脱落紙粉)
ワイパーで拭き取りを行ったときの脱落した紙粉量を、5段階で評価した。
各評価は、使用上で脱落した紙粉量が問題ないものを「3」、これよりやや少ないものを「4」、少ないものを「5」、これよりやや多いものを「2」、多いものを「1」とした。
【0039】
4.強度(破れやすさ)
ワイパーで拭き取りを行ったときの破れやすさを、5段階で評価した。
各評価は、使用上で破れやすさが問題ないものを「3」、これよりやや破れにくいものを「4」、破れにくいものを「5」、これよりやや破れやすいものを「2」、破れやすいものを「1」とした。
【0040】
5.色(青さ)
ワイパーのパルプ繊維ウェブの面の色を評価し、青色と白色どちらを強く感じるか20人にアンケートを実施した。
各評価は、青色を強く感じると答えた人が15人以上17人以下のものを「3」、18人以上19人以下のものを「4」、20人のものを「5」、10人以上14人以下のものを「2」、9人以下のものを「1」とした。
【0041】
表1に、実施例1~5及び比較例1~6の条件及び評価結果を示す。各評価が3以上である場合は、製品として可である。
【表1】
【0042】
以上より、本実施例によれば表裏のいずれも視認性が高く、吸水性能及び耐摩耗性に優れ、水中における繊維脱落も少ない複合型不織布ワイパーが得られることが少なくとも確認された。