(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051626
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ストッパー付き吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157895
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB23
3E084KB01
3E084LB01
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】押圧ヘッドの意図しない押し下げを阻止するためのストッパーに、該押圧ヘッドの押し込みを規制する構成と共に、タオル掛け等に吊り下げ可能な構成を付与したストッパー付き吐出器を提供すること。
【解決手段】キャップ2と、キャップ2の天壁23に設けられた環状体24と、押圧ヘッド31と、押圧ヘッド31の押し込みを規制するストッパー4と、を備え、ストッパー4はC字形状をなす本体部分41と、本体部分41の外周壁に軸部42を介して支持される板状部材43と、を有し、キャップ2は、軸部42の通過を可能とする切り欠き部6と、板状部材43を切り欠き部6に沿って差し込んだまま軸部42の軸心の周りに、本体部分41を板状部材43とともに回動させることにより、ストッパー4をキャップ2の周壁に固定する差し込み経路5と、を有し、本体部分41は、ストッパー4をキャップ2の周壁に固定した際に吊り下げ支持部を構成すること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口頚部に装着され、容器内を密封保持するキャップと、該キャップの天壁に設けられた環状体と、押し込み動作を繰り返すことにより該口頚部の内側に吊り下げ保持されたポンプ機構を駆動させて容器内の内容物をノズルを通して吐出させる押圧ヘッドと、該環状体の胴体部分に着脱自在に装着され、上端面を該押圧ヘッドの下端に当接させるとともに下端面を該キャップの天壁に当接させることによって該押圧ヘッドの押し込みを規制するストッパーと、を備えた吐出器であって、
前記ストッパーは、前記上端面、前記下端面を有し、前記環状体の胴体部分を弾性変形を伴って挟持可能な一対のアームを備えたC字形状をなす本体部分と、該本体部分の外周壁に軸部を介して支持される板状部材と、を有し、
前記キャップは、該キャップの周壁を切り欠いて形成され、前記軸部の通過を可能とする切り欠き部と、前記板状部材を、該キャップの天壁に形成された開放端から該切り欠き部に沿って差し込むとともにその差し込み姿勢を維持したまま前記軸部の軸心の周りに、前記本体部分を前記板状部材とともに回動させることにより、前記ストッパーを該キャップの周壁に固定する差し込み経路と、を有し、
前記本体部分は、前記ストッパーが前記キャップの周壁に固定された際に、前記容器を前記押圧ヘッドと共に吊り下げる吊り下げ支持部を構成することを特徴とするストッパー付き吐出器。
【請求項2】
前記差し込み経路は、前記キャップの周壁に沿う壁面に、前記本体部分を前記板状部材とともに回動させて前記ストッパーを前記キャップの周壁に固定する際に、該板状部材の両端部がそれぞれ傾斜面およびその傾斜面につづく頂面を乗り越えてアンダーカット嵌合する2つの突起を有することを特徴とする請求項1に記載のストッパー付き吐出器。
【請求項3】
前記板状部材の両端部がそれぞれアンダーカット嵌合した際に、前記2つの突起のうち、前記キャップの天壁に近接する突起は、下方位置に該板状部材の端部を上下おいて挟持するもう1の突起を有することを特徴とする請求項2に記載のストッパー付き吐出器。
【請求項4】
前記ストッパーは、前記一対のアームにより前記環状体の胴体部分を挟持した状態では、容器の平面視で該本体部分がC字形状に視認される向きにおかれ、該ストッパーがキャップの周壁に固定された状態では、容器の側面視で該本体部分がC字形状に視認される向きにおかれるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のストッパー付き吐出器。
【請求項5】
前記一対のアームは、その相互間に、前記ストッパーがキャップの周壁に固定された状態で前記軸部の軸心よりも下方に位置する開口部を有するものであることを特徴とする請求項4に記載のストッパー付き吐出器。
【請求項6】
前記キャップは、前記切り欠き部を取り囲む周壁外面部に当接部を有し、前記本体部分は、その外周壁に、前記ストッパーが該キャップに固定された際に該当接部に当接して該ストッパーを安定した固定姿勢に維持する固定部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のストッパー付き吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状物からなる内容物をノズルを通して吐出させる押圧ヘッドを備え、該押圧ヘッドの押し下げを規制するストッパー付き吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプーやコンディショナー、化粧品等の液状物からなる内容物の容器として、押圧ヘッドを備えた吐出器を有するものが広く利用されている。前記吐出器は、ポンプ機構を有し、押圧ヘッドを下方に押し下げることによって、中空ステムを介してポンプ機構を駆動させて、容器内の内容物を吸引するとともに加圧、圧縮して、押圧ヘッドに設けたノズルから吐出できるように構成されている。
このような容器では、押圧ヘッドを押し下げることで、簡単に内容物がノズルを通して吐出されるため、流通時や取扱時等において該押圧ヘッドが意図せず押し下げられることを阻止するためのストッパーが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなポンプ機構を備えた吐出器は、シャンプーやコンディショナー等、浴室において使用されることが多く、浴室内の湿気によって底部にカビが発生するなど、汚れが発生しやすい点に問題があった。また、近年、入浴をシャワーのみで済ます消費者の割合も増えており、シャンプー、コンディショナー、洗顔料等を、浴室内のタオル掛けなどに引っ掛けて、手の届く範囲に保管したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明では、押圧ヘッドの意図しない押し下げを阻止するためのストッパーに、該押圧ヘッドの押し込みを規制する構成と共に、タオル掛け等に吊り下げ可能な構成を付与したストッパー付き吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために開発した本発明のストッパー付き吐出器は、容器の口頚部に装着され、容器内を密封保持するキャップと、該キャップの天壁に設けられた環状体と、押し込み動作を繰り返すことにより該口頚部の内側に吊り下げ保持されたポンプ機構を駆動させて容器内の内容物をノズルを通して吐出させる押圧ヘッドと、該環状体の胴体部分に着脱自在に装着され、上端面を該押圧ヘッドの下端に当接させるとともに下端面を該キャップの天壁に当接させることによって該押圧ヘッドの押し込みを規制するストッパーと、を備えた吐出器であって、
前記ストッパーは、前記上端面、前記下端面を有し、前記環状体の胴体部分を弾性変形を伴って挟持可能な一対のアームを備えたC字形状をなす本体部分と、該本体部分の外周壁に軸部を介して支持される板状部材と、を有し、
前記キャップは、該キャップの周壁を切り欠いて形成され、前記軸部の通過を可能とする切り欠き部と、前記板状部材を、該キャップの天壁に形成された開放端から該切り欠き部に沿って差し込むとともにその差し込み姿勢を維持したまま前記軸部の軸心の周りに、前記本体部分を前記板状部材とともに回動させることにより、前記ストッパーを該キャップの周壁に固定する差し込み経路と、を有し、
前記本体部分は、前記ストッパーが前記キャップの周壁に固定された際に、前記容器を前記押圧ヘッドと共に吊り下げる吊り下げ支持部を構成することを特徴とする。
【0007】
なお、本発明のストッパー付き吐出器において、前記差し込み経路は、前記キャップの周壁に沿う壁面に、前記本体部分を前記板状部材とともに回動させて前記ストッパーを前記キャップの周壁に固定する際に、該板状部材の両端部がそれぞれ傾斜面およびその傾斜面につづく頂面を乗り越えてアンダーカット嵌合する2つの突起を有することが好ましい。
【0008】
また、本発明のストッパー付き吐出器において、前記板状部材の両端部がそれぞれアンダーカット嵌合した際に、前記2つの突起のうち、前記キャップの天壁に近接する突起は、下方位置に該板状部材の端部を上下おいて挟持するもう1の突起を有することが好ましい。
【0009】
また、本発明のストッパー付き吐出器において、前記ストッパーは、前記一対のアームにより前記環状体の胴体部分を挟持した状態では、容器の平面視で該本体部分がC字形状に視認される向きにおかれ、該ストッパーがキャップの周壁に固定された状態では、容器の側面視で該本体部分がC字形状に視認される向きにおかれるものであることが好ましい。
【0010】
また、本発明のストッパー付き吐出器において、前記一対のアームは、その相互間に、前記ストッパーがキャップの周壁に固定された状態で前記軸部の軸心よりも下方に位置する開口部を有するものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明のストッパー付き吐出器において、前記キャップは、前記切り欠き部を取り囲む周壁外面部に当接部を有し、前記本体部分は、その外周壁に前記ストッパーが該キャップに固定された際に該当接部に当接して該ストッパーを安定した固定姿勢に維持する固定部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のストッパー付き吐出器によれば、押圧ヘッドの押し込みを規制するストッパーを、吐出器の使用に際して取り外し、該ストッパーの外周壁に設けた板状部材を、キャップの周壁に設けた差し込み経路に差し込むとともに、ストッパーと共に回動させることで、該ストッパーをキャップの周壁に固定して、容器を押圧ヘッドと共に吊り下げる吊り下げ支持部を構成することができる。
【0013】
また、本発明によれば、前記ストッパーの本体部分がC字形状をなし、上記したように回動しながらキャップの周壁に固定されることで、使用開始前(押圧ヘッドの押し下げ規制状態)においては、一対のアームによってキャップの天壁に設けられた環状体の胴体部分に挟持するように、本体部分が容器の平面視においてC字形状に視認される向きにおかれるのに対し、使用開始時(キャップの周壁に固定された状態)においては、本体部分が容器の側面視において、C字形状に視認される向きにおかれることになる。
そのため、使用にあたって取り外したストッパーを、キャップの周壁に固定することで、該本体部分(C字形状)が、タオル掛け等の棒状部材に引っ掛けるための吊り下げ支持部を構成し、該吊り下げ支持部をフックとして利用し、浴室等において吐出器を吊り下げて使用することで、新たにパーツを追加する必要がなく、コストや使用材料の増加を抑制することができる。
【0014】
また、本発明のストッパー付き吐出器によれば、前記差し込み経路の、前記キャップの周壁に沿う壁面に傾斜面を有する2つの突起を設け、ストッパーをキャップの周壁に固定する際に、回動させた該ストッパーの板状部材の両端部をそれぞれ、前記突起の傾斜面およびその傾斜面につづく頂面を乗り越えてアンダーカット嵌合させることで、板状部材をキャップの差し込み経路内にしっかりと固定することができ、使用に際して、ストッパーがキャップから脱落するのを抑制することができる。なお、この板状部材のキャップの差し込み経路内への固定は、前記2つの突起のうちのキャップの天壁に近接する側の突起の下方位置に、もう1つの突起を設け、回動させた板状部材の両端部を上下において挟持することでより一層、強固なものにすることができる。
【0015】
さらに、本発明のストッパー付き吐出器によれば、ストッパーの本体部分の外周壁に、突起やリブ等からなる固定部を設け、該ストッパーの板状部材を差し込み経路内に差し込む際に、該固定部を、キャップの周壁に設けた切り欠き部を取り囲む周壁外面部に設けた、例えばフラット面からなる当接部に当接させながら、該板状部材を押し上げることができるので、スムーズな差し込み操作を行うことができるとともに、ストッパーを安定した固定姿勢に維持することができ、ストッパーがキャップから脱落するのを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明にしたがうストッパー付き吐出器の、使用開始前における一実施形態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図2】
図1のストッパー付き吐出器について、
図1(a)のA-A位置を断面で示した側面図である。
【
図3】(a)は
図1のストッパー付き吐出器について、ストッパーを取り外した状態を示す平面図、(b)は側面図、(c)は取り外したストッパーの平面図、(d)はストッパーの側面図である。
【
図4】(a)はストッパーの一実施形態を示した斜視図であり、(b)はキャップの一実施形態を示した斜視図である。
【
図5】
図4(b)のB,B,C,C部の切断断面を示した斜視図である。
【
図6】
図1のストッパー付き吐出器について、ストッパーの板状部材をキャップの外筒に設けた差し込み経路内に差し込んだ状態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は差し込み経路内の板状部材の状態を示した図である。
【
図7】
図6の状態からストッパーを回動させて、該ストッパーをキャップの外筒に固定した状態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は差し込み経路内の板状部材の状態を示した図である。
【
図8】ストッパー付き吐出器の吊り下げ状態示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にしたがうストッパー付き吐出器の、使用開始前における一実施形態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図であり、
図2は、
図1のストッパー付き吐出器について、
図1(a)のA-A位置を断面で示した側面図であり、
図3(a)は
図1のストッパー付き吐出器について、ストッパーを取り外した状態を示す平面図、(b)は側面図、(c)は取り外したストッパーの平面図、(d)はストッパーの側面図であり、
図4(a)はストッパーの一実施形態を示した斜視図であり、(b)はキャップの一実施形態を示した斜視図であり、
図5は、
図4(b)のB,B,C,C部の切断断面を示した斜視図である。
【0018】
図1~5における符号1は、内容物を収容する容器、2は、容器1の口頚部11にねじ止めされ容器1内を密封保持するキャップ、符号3は、キャップ2の中央部を挿通し、口頚部11の内側に吊り下げ保持されたポンプ機構3である。
【0019】
容器1は、内側に内容物の充填空間を有し、頂部に筒状の口頚部11が設けられている。容器1は、合成樹脂等の素材を用いて、押出ブロー成形や二軸延伸ブロー成形によって製造することができるが、素材の材質についてはとくに限定されない。また、本実施形態では、円筒状の容器1を一例として示しているが、容器の形状は、内容物の種類や容器のデザイン、用途等に基づいて適宜変更することができ、図示した形状に限定されない。
【0020】
キャップ2は、内筒21と外筒22とを有し、該内筒21と外筒22は上端部に設けた天壁23を介して一体に構成されている。内筒21は、内周壁に雌ネジ21aを有し、容器1の口頚部11の外周壁に設けられた雄ネジ11aに螺合する他、アンダーカット嵌合することで着脱可能に装着される。キャップ2は、天壁23から起立する環状体24が一体に設けられている。また、キャップ2は、合成樹脂製等の素材を用いて製造することができるが、素材の材質についてはとくに限定されない。また、本実施形態では、円筒状のものを一例として示しているが、図示した形状に限定されない。
【0021】
キャップ2の裏面には、天壁23および環状体24をそれぞれ通り抜けて起立する中空ステム34につながり、容器1の口頚部11の内側に吊り下げ保持されたポンプ機構3が配置されている。ポンプ機構3は、押圧ヘッド31を有し、押圧ヘッド31を繰り返し押し込むことにより、ポンプ機構3を、中空ステム34を介して駆動させ、容器1内に収容された内容物を、吸引管32を介して吸引すると共に、加圧、圧縮して押圧ヘッド31のノズル33から吐出されるようになっている。また、ポンプ機構3は、キャップ2にアンダーカット嵌合等によって固定保持されている。
【0022】
符号4は、キャップ2の環状体24の胴体部分に着脱自在に配置されるストッパーである。該ストッパー4は、
図1(b)に示すように上端面4aが押圧ヘッド31の下端に当接し、下端面4bがキャップ2の天壁23に当接することで押圧ヘッド31の下方への押し込みを規制して、流通時や使用開始前において容器内の内容物の意図しない吐出を阻止することができる。
【0023】
ストッパー4は、
図3(c)、(d)および
図4(a)に示すように容器1の平面視でC字形状をなす本体部分41と、本体部分41の外周壁に突設された円筒状の軸部42と、該軸部42に支持される矩形状の板状部材43と、軸部42を隔てて位置し、本体部分41の全長に亘って延びる1または複数本(
図2では2本)の縦リブからなる固定部44と、を有している。なお、軸部42および板状部材43は、図示の形状に限定されるものではなく、適宜、変更することができる。また、固定部44は、本実施形態では縦リブによって構成されているが、後述するように、ストッパー4をキャップ2の周壁に固定した際に、切り欠き部6を取り囲む周壁外面部に設けられた当接部7に当接することができればどのような形状であっても良く、突起やフラット面等とすることもできる。
【0024】
ストッパー4の本体部分41は、弾性変形可能な一対のアーム48a、48bを備え、該アーム48a、48bの相互間に開口部45が形成され、該開口部45を介してキャップ2の環状体24の胴体部分に嵌め入れ、または引き抜くことで着脱することができる。本体部分41は、弾性変形可能な材料によって構成され、合成樹脂からなることが好ましく、本実施形態では、各構成部材が一体で成形されているが、該構成部材は、それぞれ別体で構成することもできる。ストッパー4の開口部45は、
図3(c)の平面図等から明らかなように、軸部42の軸心Lから周方向にズレて配置され、後述するようにストッパー4を、側面視でC字形状となる向きでキャップ2の周壁に固定した際に、開口部45が、軸部42の軸心Lよりも下方(容器の底部側)に位置するように構成されている。
【0025】
さらに、本実施形態では、ストッパー4の本体部分41の外周壁に、後述するように本体部分41を手指で摘まんで回動させる際の滑り止めや、引き抜く際の摘み部として縦リブ46が設けられている。
【0026】
符号5は、キャップ2の外筒22の周壁に設けられ、前記ストッパー4の板状部材43を、天壁23側から差し込むための凹部からなる差し込み経路であり、6は、板状部材43を差し込み経路5に沿って差し込んだ際に、軸部42が通り抜けるための切り欠き部であり、7は、切り欠き部6を取り囲む周壁外面部に設けられた当接部である。本実施形態では、当接部7が、フラット面からなるが、上述したようにストッパー4をキャップ2の周壁に固定した際に、ストッパー4の固定部44と当接することができればどのような形状であっても良く、例えば、当接部7を縦リブとし、ストッパー4の固定部44をフラット面とすることや、当接部7と固定部44とを共に縦リブによって構成するなど、適宜、選択することができる。また、本実施形態では、当接部7が、外筒22の周壁面に一体に形成されているが、外筒22と別体で構成することもできる。
【0027】
差し込み経路5は、
図5の切断断面図に示したように、キャップ2の周壁に沿う壁面(内壁面)に3つの突起51、52、53を有する。突起51よび突起52は、傾斜面51a、52aを有する断面三角形からなり対角位置に設けられている。突起53は、角形形状からなり、突起51および突起52のうち、天壁23に近接する側、本実施形態では突起51の下方に位置し、上端面が突起52の上端面と面一になるように形成されている。
【0028】
切り欠き部6は、キャップ2の軸線に沿った方向に延びる切り欠き部分6aと、該切り欠き部分6aの下端から、キャップ2の周方向に延びる切り欠き延長部分6bと、を有する。切り欠き延長部分6bは、キャップ2の形成に際して金型の取り外しの都合上、設けられたものであり、金型の取り外しに支障がなければ設けなくてもよい。
【0029】
図6は、
図1のストッパー付き吐出器について、ストッパー4の板状部材43をキャップ2の外筒22に設けた差し込み経路5内に差し込んだ状態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は差し込み経路5内の板状部材43の状態を示した図であり、
図7は、
図6の状態からストッパー4を回動させて、該ストッパー4をキャップ2の周壁に固定した状態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図で、(c)は差し込み経路5内の板状部材43の状態を示した図であり、
図8は、ストッパー付き吐出器の吊り下げ状態を示した図である。
【0030】
図6および
図7にしたがってストッパー4を、キャップ2(外筒22)の周壁に固定する方法について説明する。
使用開始にあたり、キャップ2の環状体24より取り外したストッパー4の板状部材43を、
図6に示すように軸部42が切り欠き部6に沿うように、天壁23に形成された開放端から板状部材43を差し込む。これにより、矩形状からなる板状部材43は、
図6(c)に示すように、2つの長辺43a、43bが差し込み経路5の壁面に設けられた突起51、52、53に沿って(突起51,53と突起52との間)差し込まれることになる。
【0031】
また、ストッパー4の板状部材43を差し込み経路5に差し込む際、本体部分41の外周壁に設けた2本の縦リブからなる固定部44が、キャップ2のフラット面からなる当接部7に当接する。そのため、固定部44を当接部7に当接させながら、スムーズに板状部材43を下方に押し下げることができると共に、ストッパー4を安定した固定姿勢に維持することができ、また、後述するようにストッパー4の本体部分41を回動する際にも安定して回動させることができる。
【0032】
板状部材43を差し込み経路5内に差し込んだまま、ストッパー4の本体部分41を、軸部42の軸心まわりに回動させると、
図7(c)に示すように差し込み経路5内の板状部材43が点線で示す位置から矢印で示す方向に回動することになる。なお、本体部分41は、開口部45が下向きとなる方向に回動させる。
【0033】
このとき、板状部材43の2つの長辺43a、43bは、端部がそれぞれ、差し込み経路5の壁面に設けられた突起51,52に当接するが、該長辺43a、43bは、突起51、52の傾斜面51a、52aおよびその傾斜面51a、52aにつづく頂面を乗り越えてアンダーカット嵌合されると共に、板状部材43の一方の長辺43bが突起53の上端面に当接し、突起51および突起53によって上下から挟持される。これにより、
図7に示すようにストッパー4を、キャップ2(外筒22)の周壁に固定することができる。なお、本実施形態では、板状部材43を反時計回りに90°回動させて、ストッパー4をキャップ2の周壁に固定する構造のものを一例として示したが、板状部材43の回動角度は適宜変更することができる。
【0034】
ストッパー4は、
図1に示す使用開始前においては、本体部分41が、容器1の平面視でC字形状をなす向きにおかれて使用されるが、
図7に示す使用開始後(キャップ2への固定時)においては、上記したように本体部分41を回動させることで、容器1の側面視でC字形状をなす向きにおかれ、吊り下げ支持部を構成することになる。そのため、本体部分41は、
図8に示すように開口部45を構成する一対のアーム48a、48bを弾性変形させて、タオル掛け等の棒状部材8に上方から挟持させて引っ掛けてフックとして利用することができ、浴室等において押圧ヘッド31とともに容器1を吊り下げて使用することができる。このとき、開口部45は、軸部42の軸心Lからズレて配置されているため、ストッパー4をキャップ2の周壁に固定した際に、軸心Lよりも下方に位置することになり、本体部分41による支持部分が長くなって、容器1を安定して吊り下げ支持することができ、容器1の棒状部材8からの脱落を防止することができる。
【0035】
また、本体部分41の内周面には、複数の凸部47(本実施形態においては5個)を設けることが好ましく、該凸部47によって棒状部材8に引っ掛けた際の本体部分41の回転を抑制する(滑り止め)ことができ、容器1の棒状部材8からの脱落を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のストッパー付き吐出器は、液状やクリーム状、粘稠状等の飲食品や化粧品、医薬品、洗剤等を充填する容器として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 容器
11 口頚部
11a 雄ネジ
2 キャップ
21 内筒
21a 雌ネジ
22 外筒
23 天壁
24 環状体
3 ポンプ機構
31 押圧ヘッド
32 吸引管
33 ノズル
34 中空ステム
4 ストッパー
4a 上端面
4b 下端面
41 本体部分
42 軸部
43 板状部材
43a、43b 長辺
44 固定部
45 開口部
46 縦リブ
47 凸部
48a、48b アーム
5 差し込み経路
51 突起
52 突起
53 突起
6 切り欠き部
6a 切り欠き部分
6b 切り欠き延長部分
7 当接部
8 棒状部材