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特開2024-51641鋳型用混練砂の製造装置、鋳型製造設備、鋳型用混練砂の製造方法、鋳型製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051641
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】鋳型用混練砂の製造装置、鋳型製造設備、鋳型用混練砂の製造方法、鋳型製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 5/04 20060101AFI20240404BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20240404BHJP
   B01F 35/213 20220101ALI20240404BHJP
   B01F 35/222 20220101ALI20240404BHJP
   B01F 35/83 20220101ALI20240404BHJP
   B22C 5/00 20060101ALI20240404BHJP
   B22C 1/16 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B22C5/04 D
B01F23/53
B01F35/213
B01F35/222
B01F35/83
B22C5/00 Z
B22C1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157917
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000165000
【氏名又は名称】群栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】矢嶌 有基
(72)【発明者】
【氏名】金井 寿文
(72)【発明者】
【氏名】君島 康之
(72)【発明者】
【氏名】竹下 幸佑
【テーマコード(参考)】
4E092
4E093
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4E092AA14
4E092AA15
4E092AA18
4E092AA24
4E092AA26
4E092AA27
4E092AA30
4E092AA45
4E092AA50
4E093BA05
4G035AB46
4G035AE03
4G035AE13
4G037BA05
4G037BB01
4G037BB06
4G037BC02
4G037BD04
4G037EA03
(57)【要約】
【課題】本発明は混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の供給量と、あらかじめ設定した供給量との差異を確実に低減できる鋳型用混練砂の製造技術を提供する。
【解決手段】本発明の鋳型用混練砂の製造装置1は、粘結剤を混練機10に供給する粘結剤供給ポンプ3(粘結剤供給部)と;硬化剤を混練機10に供給する硬化剤供給ポンプ7(硬化剤供給部)と;粘結剤および硬化剤を混練機10に供給しながら、混練機10に供給されている粘結剤の流量値Qに基づいて粘結剤供給ポンプ3の出力値R(制御条件Cの一例)を補正し、かつ、粘結剤および硬化剤を混練機10に供給しながら混練機10に供給されている硬化剤の流量値Qに基づいて硬化剤供給ポンプ7の出力値R(制御条件Cの一例)を補正する制御部11と;を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練機で混合する、鋳型用混練砂の製造装置であって、
前記粘結剤を前記混練機に供給する粘結剤供給部と、
前記硬化剤を前記混練機に供給する硬化剤供給部と、
前記粘結剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記粘結剤の流量値Qに基づいて前記粘結剤供給部の制御条件Cを補正し、かつ、前記硬化剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記硬化剤の流量値Qに基づいて前記硬化剤供給部の制御条件Cを補正する制御部と、
を備えた、製造装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記粘結剤の供給流量の設定値Pおよび前記硬化剤の供給流量の設定値Pを記録する記憶手段と、
前記設定値Pと前記流量値Qの差異および前記設定値Pと前記流量値Qの差異をそれぞれ判定する処理手段と、
を有し、
前記制御部は、前記処理手段の判定結果に基づいて前記制御条件Cおよび前記制御条件Cを補正する、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
下記の条件1および条件2のいずれか一方または両方が満足されるとき、
前記流量値Qおよび前記流量値Qが、前記粘結剤を前記混練機に供給するための粘結剤供給ポンプの揚程および前記硬化剤を前記混練機に供給するための硬化剤供給ポンプの揚程によってそれぞれ変動しないように、前記制御部が前記制御条件Cおよび前記制御条件Cを補正する、請求項1に記載の製造装置。
条件1:前記混練機への前記粘結剤の供給口と、前記粘結剤が貯留されている粘結剤タンク内の液面との間に高低差があること。
条件2:前記混練機への前記硬化剤の供給口と、前記硬化剤が貯留されている硬化剤タンク内の液面との間に高低差があること。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の製造装置を備えた、鋳型製造設備。
【請求項5】
粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練機で混合する、鋳型用混練砂の製造方法であって、
前記粘結剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記粘結剤の流量値Qに基づいて、前記粘結剤を前記混練機に供給するための制御条件Cを補正し、かつ、前記硬化剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記硬化剤の流量値Qに基づいて、前記硬化剤を前記混練機に供給するための制御条件Cを補正することを含む、製造方法。
【請求項6】
前記粘結剤の供給流量の設定値Pと前記流量値Qの差異および前記硬化剤の供給流量の設定値Pと前記流量値Qの差異をそれぞれ判定すること;および、
前記差異の判定結果に基づいて前記制御条件Cおよび前記制御条件Cを補正すること、
をさらに含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
下記の条件1および条件2のいずれか一方または両方を満足するとき、
前記流量値Qおよび前記流量値Qが、前記粘結剤を前記混練機に供給するための粘結剤供給ポンプの揚程および前記硬化剤を前記混練機に供給するための硬化剤供給ポンプの揚程によってそれぞれ変動しないように、前記制御条件Cおよび前記制御条件Cを補正する、請求項5に記載の製造方法。
条件1:前記混練機への前記粘結剤の供給口と、前記粘結剤が貯留されている粘結剤タンク内の液面との間に高低差があること。
条件2:前記混練機への前記硬化剤の供給口と、前記硬化剤が貯留されている硬化剤タンク内の液面との間に高低差があること。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の製造方法で得られた鋳型用混練砂を用いることを含む、鋳型製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型用混練砂の製造装置、鋳型製造設備、鋳型用混練砂の製造方法、鋳型製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練機で混合することで鋳型用混練砂を製造することがある。自硬性鋳型製造法においては、鋳型用混練砂を所望の形状に造形した後に硬化反応を起こすことで鋳型が得られる。
鋳型用混練砂の製造において、硬化剤、粘結剤の各供給量の管理は重要である。例えば、硬化剤、粘結剤の各供給量が所望の設定値より低下すると、鋳型の強度低下の原因となる。そこで、従来、硬化剤、粘結剤の各供給量の管理のために電磁弁リターン方式が採用されてきた(例えば、特許文献1)。電磁弁リターン方式においては、硬化剤や粘結剤の供給量が設定値となるまでは混練機に供給せずに、硬化剤等を貯留タンクに戻して循環させる制御が電磁弁によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6744136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電磁弁リターン方式による制御においては、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の各供給量の管理に依然として課題がある。硬化剤、粘結剤の各供給量は、例えば、ポンプの揚程の影響を受けることがあるからである。揚程による流量の変動の対策として、電磁弁を混練機の供給口付近の高さに配置することも考えられる。しかし、供給液を電磁弁の位置から貯留タンクに戻すための配管が長くなることは、生産管理の理由から好ましくない。また、配管が長くなると、装置の設置場所の制限も増える。
【0005】
揚程の影響の他にも、混練機の供給口のノズルの詰りやホースの屈曲の変化により、粘結剤の供給配管、硬化剤の供給配管の内部抵抗が変化することで、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の各供給量が変動することはあり得る。
【0006】
特許文献1では、硬化剤の粘度や物性の変化に対応するために、硬化剤供給手段で供給された硬化剤の量を示す測定結果R等に基づいて硬化剤供給手段の新たな制御条件CA2を取得することが提案されている。
しかし、特許文献1の測定結果Rは、硬化剤の設定供給量Qおよびこれに対応した硬化剤供給手段の制御条件CA1に基づいて重量測定や液面センサーによって間接的に測定した値である。そのため、混練機に実際に供給されている硬化剤および粘結剤の各供給量と所望の値に設定したはずの各供給量との間に差異が生じる。
【0007】
本発明は、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の供給量と、あらかじめ設定した供給量との差異を確実に低減できる鋳型用混練砂の製造技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練機で混合する、鋳型用混練砂の製造装置であって;前記粘結剤を前記混練機に供給する粘結剤供給部と;前記硬化剤を前記混練機に供給する硬化剤供給部と;前記粘結剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記粘結剤の流量値Qに基づいて前記粘結剤供給部の制御条件Cを補正し、かつ、前記硬化剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記硬化剤の流量値Qに基づいて前記硬化剤供給部の制御条件Cを補正する制御部と;を備えた、製造装置が提供される。
【0009】
本発明の他の一態様によれば、粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練機で混合する、鋳型用混練砂の製造方法であって;前記粘結剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記粘結剤の流量値Qに基づいて、前記粘結剤を前記混練機に供給するための制御条件Cを補正し、かつ、前記硬化剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記硬化剤の流量値Qに基づいて、前記硬化剤を前記混練機に供給するための制御条件Cを補正することを含む、製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の供給量と、あらかじめ設定した供給量との差異を確実に低減できる鋳型用混練砂の製造技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、鋳型用混練砂の製造装置の一例を模式的に示す系統図である。
図2図2は、鋳型用混練砂の製造方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、いくつかの実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の開示は、実施形態の代表例の説明に関するものであり、本発明は以下の開示に限定されるものではない。
【0013】
1.鋳型用混練砂の製造装置
本発明の一実施形態は、粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練機で混合する、鋳型用混練砂の製造装置に関する。鋳型用混練砂の製造装置は、粘結剤を混練機に供給する粘結剤供給部と、硬化剤を混練機に供給する硬化剤供給部とを備える。
そして、本実施形態に係る鋳型用混練砂の製造装置は、粘結剤を混練機に供給しながら、混練機に供給されている粘結剤の流量値Qに基づいて粘結剤供給部の制御条件Cを補正し、かつ、硬化剤を混練機に供給しながら、混練機に供給されている硬化剤の流量値Qに基づいて硬化剤供給部の制御条件Cを補正する制御部を備えることを特徴とする。
【0014】
かかる制御部を備えた製造装置によれば、混練機には実測値としての流量値(Q,Q)に基づいて粘結剤および硬化剤をそれぞれ供給するための制御条件(C,C)を該制御部によって補正できる。よって、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の供給量と、あらかじめ設定した供給量との差異を確実に低減できる。
【0015】
制御部は、典型的には、粘結剤を混練機に供給するための粘結剤供給ポンプおよび硬化剤を混練機に供給するための硬化剤供給ポンプと電気的に接続され得る。ここでいう「電気的な接続」とは、電気信号による情報通信のための接続を意味する。「接続」は、有線接続でも無線接続でもよい。
【0016】
制御条件Cは、混練機に粘結剤を供給するための制御条件である。制御条件Cの変更や補正によって、混練機に実際に供給される粘結剤の流量値が変更され得る。同様に、制御条件Cは、混練機に硬化剤を供給するための制御条件である。制御条件Cの変更や補正によって、混練機に実際に供給される硬化剤の流量値が変更され得る。
【0017】
制御条件C、制御条件Cの具体例は特に限定されるものではないが、典型的には、ポンプの出力値(R、R)である。以下に開示する本実施形態においては、制御条件Cの一例として、供給ポンプの出力値Rを採用する。また、制御条件Cの一例として、硬化剤を混練機に供給するための硬化剤供給ポンプの出力値Rを採用する。ただし、制御条件C、制御条件Cは、各ポンプの出力値R、出力値Rに限定されるものではない。
【0018】
以下、鋳型用混練砂の製造装置の一例について図1を参照しながら説明する。
図1に例示した鋳型用混練砂の製造装置1は、粘結剤タンク2と、粘結剤供給ポンプ3と、粘結剤用流量計4と、粘結剤用電磁弁5と、硬化剤タンク6と、硬化剤供給ポンプ7と、硬化剤用流量計8と、硬化剤用電磁弁9と、混練機10と、制御部11と、粘結剤ラインL1と、第1の循環ラインL2と、硬化剤ラインL3と、第2の循環ラインL4を備える。
【0019】
製造装置1においては、少なくとも粘結剤供給ポンプ3が粘結剤供給部に含まれ得る。さらに、粘結剤タンク2、粘結剤用流量計4、粘結剤用電磁弁5、粘結剤ラインL1および第1の循環ラインL2が粘結剤供給部に含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0020】
同様に製造装置1においては、少なくとも硬化剤供給ポンプ7が硬化剤供給部に含まれ得る。さらに、硬化剤タンク6、硬化剤用流量計8、硬化剤用電磁弁9、硬化剤ラインL3および第2の循環ラインL4が硬化剤供給部に含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0021】
(粘結剤供給部)
粘結剤ラインL1は第1の端部が粘結剤タンク2の排出口と接続され、第2の端部が混練機10への供給口と接続されている。粘結剤ラインL1には、粘結剤供給ポンプ3、粘結剤用流量計4、粘結剤用電磁弁5がこの順に設けられている。粘結剤ラインL1によって、粘結剤タンク2内の粘結剤が混練機10に供給される。
【0022】
粘結剤タンク2内には、粘結剤が貯留されている。粘結剤タンク2は、該タンク内の残量を計測するための液面センサーや該タンク内の残量表示機能を備えてもよいが、これらは必須ではない。
【0023】
粘結剤としては、例えば、フルフリルアルコール、フラン樹脂、フェノール樹脂等の酸硬化性樹脂;アルカリフェノール樹脂等のエステル硬化性樹脂;水ガラスが挙げられる。
ただし、粘結剤はこれらの例示に限定されるものではない。粘結剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
粘結剤供給ポンプ3は、粘結剤タンク2内の粘結剤を混練機10に供給する。粘結剤供給ポンプ3は、制御部11と電気的に接続されている。粘結剤供給ポンプ3は、制御部11から受信した電気的な信号に基づいて混練機10への粘結剤の供給量を変更できる。粘結剤供給ポンプ3はその出力値Rを変更することで、混練機10への粘結剤の供給量を変更できる。
【0025】
粘結剤用流量計4は、粘結剤ラインL1から混練機10に実際に供給されている粘結剤の流量値Qを測定する。流量値Qの単位は体積である。
粘結剤用流量計4は、制御部11と電気的に接続されている。粘結剤用流量計4は流量値Qを制御部11に送信できる。
【0026】
粘結剤用電磁弁5は、制御部11と電気的に接続されている。粘結剤用電磁弁5は、典型的には三方弁である。混練機10に粘結剤を供給するときは、粘結剤用電磁弁5は、粘結剤ラインL1内の粘結剤が混練機10に流れるように制御する。
混練機10に粘結剤を供給しないとき、粘結剤ラインL1内に混入したエアーを第1の循環ラインL2で排出するために粘結剤用電磁弁5を用いてもよい。
混練機10に粘結剤を供給しないとき、粘結剤ラインL1内の粘結剤が第1の循環ラインL2を介して粘結剤タンク2に戻るように粘結剤用電磁弁5を制御してもよいが、このことは必須ではない。
【0027】
(硬化剤供給部)
硬化剤ラインL3は第1の端部が硬化剤タンク6の排出口と接続され、第2の端部が混練機10への供給口と接続されている。硬化剤ラインL3には、硬化剤供給ポンプ7、硬化剤用流量計8、硬化剤用電磁弁9がこの順に設けられている。硬化剤ラインL3によって、硬化剤タンク6内の硬化剤が混練機10に供給される。
【0028】
硬化剤タンク6内には、硬化剤が貯留されている。硬化剤タンク6は、該タンク内の残量を計測するための液面センサーや該タンク内の残量表示機能を備えてもよいが、これらは必須ではない。
【0029】
硬化剤は粘結剤の硬化反応の触媒または硬化反応の反応物(原料)であればよく、特に限定されるものではない。
硬化剤としては、例えば、硫酸、リン酸、スルホン酸、カルボン酸等の酸触媒;加水分解度および相溶性の大小によって硬化速度を調節できる有機エステルが挙げられる。
ただし、硬化剤はこれらの例示に限定されるものではない。硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
酸触媒に関し、スルホン酸としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸が挙げられる。カルボン酸としては、例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、安息香酸が挙げられる。
ただし、酸触媒はこれらの例示に限定されるものではない。酸触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
硬化剤供給ポンプ7は、硬化剤タンク6内の硬化剤を混練機10に供給する。硬化剤供給ポンプ7は、制御部11と電気的に接続されている。硬化剤供給ポンプ7は、制御部11から受信した電気的な信号に基づいて混練機10への硬化剤の供給量を変更できる。硬化剤供給ポンプ7はその出力値Rを変更することで、混練機10への硬化剤の供給量を変更できる。
【0032】
硬化剤用流量計8は、硬化剤ラインL3から混練機10に実際に供給されている硬化剤の流量値Qを測定する。流量値Qの単位は体積である。
硬化剤用流量計8は、制御部11と電気的に接続されている。硬化剤用流量計8は流量値Qを制御部11に送信できる。
【0033】
硬化剤用電磁弁9は、制御部11と電気的に接続されている。硬化剤用電磁弁9は、典型的には三方弁である。混練機10に硬化剤を供給するときは、硬化剤用電磁弁9は、硬化剤ラインL3内の硬化剤が混練機10に流れるように制御する。
混練機10に硬化剤を供給しないとき、硬化剤ラインL3内に混入したエアーを第2の循環ラインL4で排出するために硬化剤用電磁弁9を用いてもよい。
混練機10に硬化剤を供給しないとき、硬化剤ラインL3内の硬化剤が第2の循環ラインL4を介して硬化剤タンク6に戻るように硬化剤用電磁弁9を制御してもよいが、このことは必須ではない。
【0034】
(混練機)
混練機は、粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混合するためのものである。例えば、混練機は、スクリューを備えた混練室を有し得る。かかる混練機の場合、スクリューの回転によって粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練室内で混合できる。混練機は、鋳型用混練砂を単位時間当たりに一定量ずつ型枠に供給するものであってもよい。
【0035】
製造装置1においては、別途、耐火性粒状材料が混練機10内に供給されている。そのため、混練機10は、粘結剤タンク2から供給された粘結剤、硬化剤タンク6から供給された硬化剤を耐火性粒状材料と混合できる。
【0036】
耐火性粒状材料としては、例えば、種々の天然砂、人工砂が挙げられる。天然砂としては、例えば、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、非晶質シリカ、アルミナ砂、ムライト砂が挙げられる。使用済みの耐火性粒状材料を回収したもの(回収砂)や再生処理したもの(再生砂)も使用され得る。
ただし、耐火性粒状材料はこれらの例示に限定されるものではない。耐火性粒状材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
混練機10は、粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混合して得られた鋳型用混練砂を吐出するための吐出口を有する。混練機から鋳型用混練砂を吐出するための吐出口には、鋳型用混練砂が流れる鋳型用混練砂ラインが接続される(図示略)。鋳型用混練砂ラインは、鋳型製造設備の後段側(二次側)と接続されてもよく、一時的に鋳型用混練砂が貯留される回収タンクと接続されてもよい。該回収タンクは、混練機から鋳型用混練砂を吐出するための吐出口と鋳型用混練砂ラインによって接続され得る。
【0038】
本実施形態においては、粘結剤および硬化剤を混練機に供給しながら、混練機への実測値としての供給流量値(Q,Q)および設定値(P,P)に基づいてポンプの出力値(R,R)を制御部において管理できる。実測値と設定値の間に差異がある場合、各ポンプの出力値(R,R)が補正される。この補正によって実測値と設定値の差異が少なくなるまで、鋳型用混練砂の成分組成は所望の組成比になりにくい。
よって、実測値としての供給流量値(Q,Q)および設定値(P,P)の差異が少なくなるまで回収タンクに一時的に鋳型用混練砂を貯留することは、原料(例えば、耐火性粒状材料)を無駄にしないように再利用するためには有用である。
【0039】
(制御部)
図1に示す製造装置1において、制御部11は、粘結剤供給ポンプ3、粘結剤用流量計4、粘結剤用電磁弁5、硬化剤供給ポンプ7、硬化剤用流量計8および硬化剤用電磁弁9と電気的に接続されている。制御部11はこれらの電気的に接続された各構成要素との間で電気信号による情報通信を行う。
【0040】
制御部11は、粘結剤の供給流量の設定値Pおよび硬化剤の供給流量の設定値Pを記録する記憶手段と;該設定値Pおよび該設定値Pにそれぞれ対応した出力値Rおよび出力値Rを粘結剤供給ポンプ3および硬化剤供給ポンプ7にそれぞれ指示する命令手段と;該設定値Pと流量値Qの差異および該設定値Pと流量値Qの差異をそれぞれ判定する処理手段と;を有する。
該記憶手段および該処理手段を有した制御部11によれば、該処理手段の判定結果に基づいて出力値Rおよび出力値Rを補正できる。
【0041】
制御部11によれば、命令手段によって、補正後の出力値(R,R)を粘結剤供給ポンプ3および硬化剤供給ポンプ7それぞれ指示できる。制御部11においては、例えば以下の処理、制御が、粘結剤および硬化剤を混練機10に供給しながら実行され得る。
・粘結剤について、粘結剤用流量計4の実測値の流量値Qが粘結剤の供給流量の設定値Pより小さいとき、粘結剤供給ポンプ3の出力値Rを大きくする補正。
・粘結剤について、粘結剤用流量計4の実測値の流量値Qが粘結剤の供給流量の設定値Pより大きいとき、粘結剤供給ポンプ3の出力値Rを小さくする補正。
・硬化剤について、硬化剤用流量計8の実測値の流量値Qが硬化剤の供給流量の設定値Pより小さいとき、硬化剤供給ポンプ7の出力値Rを大きくする補正。
・硬化剤について、硬化剤用流量計8の実測値の流量値Qが硬化剤の供給流量の設定値Pより大きいとき、硬化剤供給ポンプ7の出力値Rを小さくする補正。
【0042】
制御部におけるポンプの出力値(R,R)の決定は、当業者に知られた方法で適宜実行され得る。例えば、検量線によってポンプの出力値を決定することは、本技術分野で広く行われている。該検量線は、あるポンプの第一出力yにおける吐出量xと、そのポンプの第二出力yにおける吐出量xとを取得したとき、(x,y)、(x,y)の少なくとも2点をx-y座標系にプロットすることで得られる。第二出力yは第一出力yより大きい値である。該検量線によれば、所望の流量値xに対応する出力値yを決定できる。第一出力yはポンプの最小出力、第二出力yはポンプの最大出力であり得る。
【0043】
記憶手段、命令手段、処理手段は、専用のハードウエアによって実現されるものであってもよい。記憶手段、命令手段、処理手段は、メモリおよび中央演算装置(CPU)によって構成されてもよい。メモリ、CPUの場合、記憶手段、命令手段、処理手段の各機能を実現するためのプログラムの実行によって、それらの機能がそれぞれ実現されてもよい。
【0044】
制御部には、周辺機器として、入力装置、表示装置等が接続されていてもよい。入力装置としては、例えば、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボード等の入力デバイスが挙げられる。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、CRT等の表示デバイスが挙げられる。
【0045】
ただし、制御部は、粘結剤および硬化剤を混練機に供給しながら、混練機に実際に供給されている粘結剤および硬化剤の各流量値(Q,Q)に基づいて、粘結剤供給部および硬化剤供給部の制御条件(C,C)を補正する処理機能がインストールされていれば、特に限定されるものではない。
【0046】
本発明者の知見によれば、タンク内の液面およびポンプの揚程を考慮したとき、混練機10における実際の粘結剤および硬化剤の各供給流量値(Q,Q)は、設定値(P,P)から変動することがしばしばある。
【0047】
一例において、下記の条件1および条件2のいずれか一方または両方が満足され得る。
条件1:混練機への粘結剤の供給口と、粘結剤が貯留されている粘結剤タンク内の液面との間に高低差があること。
条件2:混練機への硬化剤の供給口と、硬化剤が貯留されている硬化剤タンク内の液面との間に高低差があること。
この場合、流量値Qおよび流量値Qが粘結剤供給ポンプの揚程および硬化剤供給ポンプの揚程によってそれぞれ変動しないように、制御部11が出力値Rおよび出力値Rを補正することは有益である。
揚程を考慮したかかる補正によれば、各ポンプと混練機の供給口の間に高低差がある場合であっても、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の供給量とあらかじめ設定した供給量との差異を確実に低減できる。
【0048】
条件1に関し、混練機への粘結剤の供給口は、粘結剤が貯留されている粘結剤タンク内の液面より高い位置にあってもよく、該液面より低い位置にあってもよい。同様に、条件2に関し、混練機への硬化剤の供給口は、硬化剤が貯留されている硬化剤タンク内の液面より高い位置にあってもよく、該液面より低い位置にあってもよい。
【0049】
鋳型用混練砂の製造装置は、鋳型製造設備に好適に適用され得る。鋳型製造設備は、上述の製造装置を備えたものである。鋳型製造設備は、鋳型用混練砂の製造装置の他に、一般的な鋳型製造設備における種々の装置をさらに備えることがあり得る。
【0050】
2.鋳型用混練砂の製造方法
本発明の他の実施形態は、粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練機で混合する、鋳型用混練砂の製造方法に関する。本実施形態に係る鋳型用混練砂の製造方法は、粘結剤を混練機に供給しながら、混練機に供給されている粘結剤の流量値Qに基づいて、粘結剤を混練機に供給するための制御条件Cを補正し、かつ、硬化剤を混練機に供給しながら、混練機に供給されている硬化剤の流量値Qに基づいて、硬化剤を混練機に供給するための制御条件Cを補正することを含むことを特徴とする。
【0051】
かかる特徴を備えた製造方法によれば、混練機には実測値としての流量値(Q,Q)に基づいて粘結剤および硬化剤をそれぞれ供給するための制御条件(C,C)を補正できる。よって、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の供給量と、あらかじめ設定した供給量との差異を確実に低減できる。
【0052】
鋳型用混練砂の製造方法においても、制御条件C、制御条件Cの具体例は特に限定されるものではないが、典型的には、ポンプの出力値である。以下に開示する本実施形態においても、制御条件Cの一例として、粘結剤供給ポンプの出力値Rを採用する。また、制御条件Cの一例として、硬化剤供給ポンプの出力値Rを採用する。ただし、制御条件C、制御条件Cは、各ポンプの出力値R、出力値Rに限定されるものではない。
【0053】
以下、鋳型用混練砂の製造方法の一例について図2を参照しながら説明する。
図2に例示した製造方法では、まず、粘結剤の混練機への供給量の設定値P、硬化剤の混練機への供給量の設定値Pをそれぞれ入力する(ステップS1)。設定値P,設定値Pは、混練機への耐火性粒状材料の供給量を考慮して所望の値に設定できる。
例えば、図1の製造装置1を用いる場合、制御部11に設定値P,設定値Pを入力できる。設定値P,設定値Pは制御部11の記憶手段に記録される。
【0054】
次に、設定値P,設定値Pに応じた出力値をポンプに指示する(ステップS2)。
例えば、図1の製造装置1を用いる場合、制御部11の命令手段が記憶手段に記録された設定値Pを参照する。命令手段は、該設定値Pに応じた出力値Rを粘結剤供給ポンプ3に指示する。また、制御部11の命令手段は、記憶手段に記録された設定値Pを参照する。命令手段は、該設定値Pに応じた出力値Rを硬化剤供給ポンプ7に指示する。
【0055】
次に、粘結剤および硬化剤の混練機への供給を開始する(ステップS3)。
例えば、図1の製造装置1を用いる場合、粘結剤および硬化剤が混練機10にそれぞれ供給されるように、制御部11の命令手段が粘結剤用電磁弁5および硬化剤用電磁弁9に制御信号をそれぞれ送信する。
【0056】
次に、粘結剤および硬化剤を混練機に供給しながら、混練機に実際に供給されている粘結剤および硬化剤の流量値Q,流量値Qをそれぞれ測定する(ステップS4)。
例えば、図1の製造装置1を用いる場合、粘結剤ラインL1から混練機10に実際に供給されている粘結剤の流量値Qが粘結剤用流量計4によって測定される。流量値Qは制御部11に送信される。また、硬化剤ラインL3から混練機10に実際に供給されている硬化剤の流量値Qが硬化剤用流量計8によって測定される。流量値Qは制御部11に送信される。
【0057】
次に、あらかじめ設定した硬化剤および粘結剤の所望の各供給量の設定値(P,P)と、混練機に実際に供給されている各供給流量値(Q,Q)の間に差異がないかどうか判定する(ステップS5)。
例えば、図1の製造装置1を用いる場合、制御部11の処理手段において、粘結剤用流量計4の実測値の流量値Qと粘結剤の供給流量の設定値Pの差異の有無や程度(差分)が評価される。また、制御部11の処理手段において、硬化剤用流量計8の実測値の流量値Qと硬化剤の供給流量の設定値Pの差異の有無や程度(差分)が評価される。
【0058】
ステップS5で、硬化剤および粘結剤の各供給量の設定値(P,P)と、混練機に実際に供給されている各供給流量値(Q,Q)の間にそれぞれ差異があると判断した場合、ステップS51およびステップS52をこの順で実行する。このとき、該差異の判定結果に基づいて粘結剤供給ポンプ3の出力値Rおよび硬化剤供給ポンプ7の出力値Rをそれぞれ補正できる。
【0059】
例えば、設定値(P,P)と実際の供給流量値(Q,Q)の間の差分に基づいてポンプへの出力値(R,R)を補正できる(ステップS51)。続いて、補正した出力値をポンプに指示できる(ステップS52)。その後、ステップS3、ステップS4およびステップS5を繰り返す。
【0060】
例えば、図1の製造装置1を用いる場合、ステップS51においては制御部11によって粘結剤および硬化剤を混練機10に供給しながら、以下の補正が実行され得る。
・粘結剤について、粘結剤用流量計4の実測値の流量値Qが粘結剤の供給流量の設定値Pより小さいとき、粘結剤供給ポンプ3の出力値Rを大きくする補正。
・粘結剤について、粘結剤用流量計4の実測値の流量値Qが粘結剤の供給流量の設定値Pより大きいとき、粘結剤供給ポンプ3の出力値Rを小さくする補正。
・硬化剤について、硬化剤用流量計8の実測値の流量値Qが硬化剤の供給流量の設定値Pより小さいとき、硬化剤供給ポンプ7の出力値Rを大きくする補正。
・硬化剤について、硬化剤用流量計8の実測値の流量値Qが硬化剤の供給流量の設定値Pより大きいとき、硬化剤供給ポンプ7の出力値Rを小さくする補正。
【0061】
ステップS51およびステップS52は、粘結剤および硬化剤を混練機に供給しながら、実行される。つまり、ステップS51およびステップS52を実行している間は、硬化剤および粘結剤の混練機への供給は継続される。設定値(P,P)と実際の供給流量値(Q,Q)の間の差分を確実に低減するためである。
【0062】
ステップS51およびステップS52を実行している間は、設定値(P,P)と実際の供給流量値(Q,Q)の間に差異がある。そのため、混練機から排出される鋳型用混練砂の成分組成は所望の組成比になりにくい。このとき、供給流量値(Q,Q)および設定値(P,P)の差異が少なくなるまで回収タンクに一時的に鋳型用混練砂を貯留することは、原料(例えば、耐火性粒状材料)を無駄にしないように再利用するためには有用である。
【0063】
ステップS5で、硬化剤および粘結剤の各設定値(P,P)と、混練機に実際に供給されている各供給流量値(Q,Q)の間にそれぞれ差異がないと判断した場合、ステップS6およびステップS7をこの順で実行することで、所望の組成比の鋳型用混練砂が得られる。
【0064】
混練機に別途供給される耐火性粒状材料を硬化剤および粘結剤と混合することで、粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を含む鋳型用混練砂が混練機から排出される(ステップS6、ステップS7)。
【0065】
一例において、下記の条件1および条件2のいずれか一方または両方が、満足され得る。
条件1:混練機への粘結剤の供給口と、粘結剤が貯留されている粘結剤タンク内の液面との間に高低差があること。
条件2:混練機への硬化剤の供給口と、硬化剤が貯留されている硬化剤タンク内の液面との間に高低差があること。
このとき、流量値Qおよび流量値Qが、粘結剤を混練機に供給するための粘結剤供給ポンプの揚程および硬化剤を混練機に供給するための硬化剤供給ポンプの揚程によってそれぞれ変動しないように、出力値Rおよび出力値Rを補正することは有益である。
揚程を考慮したかかる補正によれば、各ポンプと混練機の供給口の間に高低差がある場合であっても、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の供給量とあらかじめ設定した供給量との差異を確実に低減できる。
【0066】
条件1に関し、混練機への粘結剤の供給口は、粘結剤が貯留されている粘結剤タンク内の液面より高い位置にあってもよく、該液面より低い位置にあってもよい。同様に、条件2に関し、混練機への硬化剤の供給口は、硬化剤が貯留されている硬化剤タンク内の液面より高い位置にあってもよく、該液面より低い位置にあってもよい。
【0067】
一例において、混練機10に粘結剤を供給しないときは、粘結剤ラインL1内に混入したエアーを粘結剤用電磁弁5の制御によって第1の循環ラインL2を用いて排出してもよい。同様に、混練機10に硬化剤を供給しないときは、硬化剤ラインL3内に混入したエアーを硬化剤用電磁弁9の制御によって第2の循環ラインL4を用いて排出してもよい。
【0068】
鋳型用混練砂の製造方法は、鋳型製造方法に好適に適用され得る。鋳型製造方法は、上述の製造方法で得られた鋳型用混練砂を用いることを含む。鋳型製造方法は、一般的な鋳型製造方法における種々の手法をさらに備えることがあり得る。
【0069】
3.作用効果および利点
以上説明した実施形態においては、混練機に実際に供給されている粘結剤および硬化剤の各供給流量値(Q,Q)に基づいて、粘結剤供給ポンプおよび硬化剤供給ポンプの出力値(R,R)を補正する。かかる本実施形態によれば、混練機には実測値に基づいてそれぞれ補正された量の粘結剤および硬化剤を供給できる。よって、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の供給量と、あらかじめ設定した供給量との差異を確実に低減できる。
【0070】
混練機10における粘結剤および硬化剤の実測値としての供給流量値(Q,Q)は、重量測定や液面センサーによって間接的に測定した体積値ではなく、混練機への実際の供給量を直接的に測定した体積値である。供給流量値(Q,Q)および設定値(P,P)はいずれも体積を単位とする流量値であるから、差分をそのまま評価することで、実際の供給量を管理できる。
【0071】
粘結剤供給ポンプおよび硬化剤供給ポンプの供給量として入力される設定値(P,P)は、混練機に実際に供給されている供給流量値(Q,Q)に基づいて補正されるため、各タンク内の液面と混練機の揚程差の影響を受けない値となり得る。そして、従来の電磁弁リターン方式と異なる点として、重量による管理を省略できる。重量による管理においては、ポンプの揚程の影響を受けることで流量値が変動しやすい。加えて、粘結剤および硬化剤の供給をそれぞれ止めたうえで、人的な作業で該管理が行われるため、非効率的である。
対して本実施形態によれば、制御部による全自動的な管理も実現可能であるから、省人化に寄与し得る。
【0072】
4.変形例
以上、具体的な実施形態を説明したが、これらは代表例として提示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載された各実施形態は、発明の効果が奏される範囲内で、様々に変形することができ、かつ、実施可能な範囲内で、他の実施形態により説明された特徴と組み合わせることができる。
【0073】
例えば、制御条件C、制御条件Cは、各ポンプの出力値R、出力値Rに限定されるものではない。出力値R、出力値Rは実施形態の説明のために採用したものである。制御条件C、制御条件Cは、供給量の変更に寄与する条件であればよく、種々の置換があり得る。
【0074】
図1に示す例では、粘結剤タンク2の数は一つであるが、他の例において粘結剤タンクは複数でもよい。同様に図1に示す例では、硬化剤タンク6の数は一つであるが、他の例において硬化剤タンクは複数でもよい。
【0075】
図1に示す例では、粘結剤用電磁弁5は粘結剤用流量計4の二次側の粘結剤ラインL1に設けられているが、他の例において粘結剤用電磁弁5は粘結剤用流量計4の一次側に設けられていてもよい。同様に、図1に示す例では、硬化剤用電磁弁9は硬化剤用流量計8の二次側の硬化剤ラインL3に設けられているが、他の例において硬化剤用電磁弁9は硬化剤用流量計8の一次側に設けられていてもよい。
【0076】
上述の実施形態では、粘結剤用電磁弁5および硬化剤用電磁弁9の一例として三方弁を説明したが、粘結剤用電磁弁5および硬化剤用電磁弁9は三方弁に限定されるものではなく、種々の置換があり得る。
【0077】
図1に示す例では、制御部11は粘結剤タンク2および硬化剤タンク6と電気的に接続されていないが、他の例において制御部11は、粘結剤タンク2および硬化剤タンク6と電気的に接続されてもよい。この場合には、粘結剤タンク2および硬化剤タンク6から各タンク内の残量等の情報が制御部11に送信され得る。
【0078】
上述の実施形態では、検量線によってポンプの出力値を決定することを一例として説明したが、ポンプの出力値の決定手法は検量線による方法に限定されるものではない。
【0079】
本項で例示したこれらの変形例は種々の変更の一例である。本明細書に開示の実施形態は、発明の目的を実現可能な範囲内であればその他の種々の変更および変形を許容する。
【0080】
5.実施形態のまとめ
本発明の好ましい実施形態は以下の[1]~[8]に記載の態様を包含するが、これらに限定されるものではない。
[1]粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練機で混合する、鋳型用混練砂の製造装置であって;前記粘結剤を前記混練機に供給する粘結剤供給部と;前記硬化剤を前記混練機に供給する硬化剤供給部と;前記粘結剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記粘結剤の流量値Qに基づいて前記粘結剤供給部の制御条件Cを補正し、かつ、前記硬化剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記硬化剤の流量値Qに基づいて前記硬化剤供給部の制御条件Cを補正する制御部と;を備えた、製造装置。
[2]前記制御部は;前記粘結剤の供給流量の設定値Pおよび前記硬化剤の供給流量の設定値Pを記録する記憶手段と;前記設定値Pと前記流量値Qの差異および前記設定値Pと前記流量値Qの差異をそれぞれ判定する処理手段と、を有し;前記制御部は、前記処理手段の判定結果に基づいて前記制御条件Cおよび前記制御条件Cを補正する、[1]に記載の製造装置。
[3]下記の条件1および条件2のいずれか一方または両方を満足し;前記流量値Qおよび前記流量値Qが、前記粘結剤を前記混練機に供給するための粘結剤供給ポンプの揚程および前記硬化剤を前記混練機に供給するための硬化剤供給ポンプの揚程によってそれぞれ変動しないように、前記制御部が前記制御条件Cおよび前記制御条件Cを補正する、[1]または[2]に記載の製造装置。
条件1:前記混練機への前記粘結剤の供給口と、前記粘結剤が貯留されている粘結剤タンク内の液面との間に高低差があること。
条件2:前記混練機への前記硬化剤の供給口と、前記硬化剤が貯留されている硬化剤タンク内の液面との間に高低差があること。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の製造装置を備えた、鋳型製造設備。
[5]粘結剤、硬化剤および耐火性粒状材料を混練機で混合する、鋳型用混練砂の製造方法であって;前記粘結剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記粘結剤の流量値Qに基づいて、前記粘結剤を前記混練機に供給するための制御条件Cを補正し、かつ、前記硬化剤を前記混練機に供給しながら、前記混練機に供給されている前記硬化剤の流量値Qに基づいて、前記硬化剤を前記混練機に供給するための制御条件Cを補正することを含む、製造方法。
[6]前記粘結剤の供給流量の設定値Pと前記流量値Qの差異および前記硬化剤の供給流量の設定値Pと前記流量値Qの差異をそれぞれ判定すること;および;前記差異の判定結果に基づいて前記制御条件Cおよび前記制御条件Cを補正すること;をさらに含む、[5]に記載の製造方法。
[7] 下記の条件1および条件2のいずれか一方または両方を満足するとき;前記流量値Qおよび前記流量値Qが、前記粘結剤を前記混練機に供給するための粘結剤供給ポンプの揚程および前記硬化剤を前記混練機に供給するための硬化剤供給ポンプの揚程によってそれぞれ変動しないように、前記制御条件Cおよび前記制御条件Cを補正する、[5]または[6]に記載の製造方法。
条件1:前記混練機への前記粘結剤の供給口と、前記粘結剤が貯留されている粘結剤タンク内の液面との間に高低差があること。
条件2:前記混練機への前記硬化剤の供給口と、前記硬化剤が貯留されている硬化剤タンク内の液面との間に高低差があること。
[8][5]~[7]のいずれかに記載の製造方法で得られた鋳型用混練砂を用いることを含む、鋳型製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、混練機に実際に供給される硬化剤および粘結剤の供給量と、あらかじめ設定した供給量との差異を確実に低減できる鋳型用混練砂の製造技術が提供される。
【符号の説明】
【0082】
1 鋳型用混練砂の製造装置
2 粘結剤タンク
3 粘結剤供給ポンプ(粘結剤供給部)
4 粘結剤用流量計
5 粘結剤用電磁弁
6 硬化剤タンク
7 硬化剤供給ポンプ(硬化剤供給部)
8 硬化剤用流量計
9 硬化剤用電磁弁
10 混練機
11 制御部
図1
図2