(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051667
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B65D47/08 130
B65D47/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157952
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084BA02
3E084CB02
3E084CC03
3E084DB09
3E084DB13
3E084DC03
3E084FA02
3E084FC07
3E084GA06
3E084GB06
3E084HA03
3E084HA07
3E084HB02
3E084HC03
3E084HD04
3E084JA20
3E084LA18
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】 射出成形でヒンジキャップを一体成形する際に、ゲートから離れた上蓋の薄肉部にヒケが発生しないようにしたヒンジキャップを提供すること。
【解決手段】 容器Aに装着されるキャップ本体Bと、キャップ本体BにヒンジCを介して取り付けられる上蓋Dとを備えるヒンジキャップであって、キャップ本体Bは、容器Aの口部1に装着される装着部3と、装着部3の内縁から内方に延設され、口部1の開口を封鎖する上壁4と、上壁4を貫通する注出口4aと、注出口4aから上壁4の上面に立設される注出筒5とを備え、上蓋Dは、頂壁40と、頂壁40の下面から垂設され、注出筒5を密封する密封筒42と、頂壁40の下面から密封筒42の外周側に薄肉部52が凹設されるリング状部43とを備え、リング状部43は、ヒンジC側のみに肉付け部53を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して取り付けられる上蓋とを備えるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、容器の口部に装着される装着部と、装着部の内縁から内方に延設され、口部の開口を封鎖する上壁と、上壁を貫通する注出口と、注出口から上壁の上面に立設される注出筒とを備え、
上蓋は、頂壁と、頂壁の下面から垂設され、注出筒を密封する密封筒と、頂壁の下面から密封筒の外周側に薄肉部が凹設されるリング状部とを備え、
リング状部は、ヒンジ側のみに肉付け部を有することを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
肉付け部は、頂壁の下面と面一に形成されることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
肉付け部は、所定の幅でリング状部を密封筒からヒンジ方向に横切るように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着されるヒンジキャップに関し、特に、上蓋を計量化したヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器本体に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して取り付けられる上蓋とを備え、閉蓋時に、キャップ本体の注出筒に上蓋の密封筒を嵌入し、密封するヒンジキャップが知られている。
従来のヒンジキャップでは、上蓋の頂壁と側周壁の肉厚は、ともに1.5mm以上あり、成形時の合成樹脂の流動性は、頂壁と側周壁で同程度となり、頂壁のヒケを抑制していたが、上蓋の頂壁が厚くなるため、ヒンジキャップの軽量化が望まれていた。
【0003】
このため、上蓋の頂壁の肉厚を側周壁よりも薄くするとともに、頂壁の密封筒の外周側に下面から凹部を凹設し、薄肉部としたヒンジキャップが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のヒンジキャップでは、射出成形でキャップ本体と上蓋をヒンジを介して一体成形する際に、通常、ゲートがキャップ本体側にあり、ゲートから合成樹脂を射出した場合、上蓋の密封筒の外周側に凹設される凹部が頂壁の他の部分に比べ薄肉となるため、薄肉部分で合成樹脂の流動性が低くなり、ゲートから流れはじめた合成樹脂は、ヒンジから離れた密封筒付近に到達しにくくなり、密封筒の頂壁の上面、特に薄肉部の内側周にヒケが発生し易く、頂壁に孔が空く場合もあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、射出成形でヒンジキャップを一体成形する際に、ゲートから離れた上蓋の薄肉部にヒケが発生しないようにしたヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して取り付けられる上蓋とを備えるヒンジキャップであって、キャップ本体は、容器の口部に装着される装着部と、装着部の内縁から内方に延設され、口部の開口を封鎖する上壁と、上壁を貫通する注出口と、注出口から上壁の上面に立設される注出筒とを備え、上蓋は、頂壁と、頂壁の下面から垂設され、注出筒を密封する密封筒と、頂壁の下面から密封筒の外周側に薄肉部が凹設されるリング状部とを備え、リング状部は、ヒンジ側のみに肉付け部を有することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ヒンジキャップの実施形態として、肉付け部は、頂壁の下面と面一に形成されることを特徴とする構成を採用し、肉付け部は、所定の幅でリング状部を密封筒からヒンジ方向に横切るように形成されることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジキャップは、上記構成を採用することにより、肉付け部を介してヒンジから離れた密封筒に合成樹脂が到達し易くなり、ヒケの発生を抑制することができ、頂壁に孔が空くのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例であるヒンジキャップの開蓋状態を示す図であり、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【
図2】
図1(a)で示すキャップ本体を中心Oから径方向に切断した側面断面を示す拡大図であり、(a)はO-X1線(ヒンジの中央から0°地点)拡大断面図、(b)はO-X2線(ヒンジの中央から45°地点)拡大断面図、(c)はO-X3線(ヒンジの中央から60°地点)拡大断面図、(d)はO-X4線(ヒンジの中央から95°地点)の拡大断面図である。
【
図3】
図1(b)で示すヒンジキャップの金型成形時の上蓋の要部断面拡大図である。
【
図4】本発明の実施例であるヒンジキャップの閉蓋状態を示す図であり、(a)は嵌挿棒部押し上げ前の側面断面図、(b)は嵌挿棒部押し上げた後、容器にセットした時の側面断面図である。
【
図5】本発明の実施例であるヒンジキャップを装着した容器からヒンジキャップを分別する途中過程を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のヒンジキャップについて、実施例に示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図4でみて、左方向を「注出側」とし、右方向を「背面側」とし、上方向を「上」とし、下方向を「下」とする。
【実施例0012】
図1および
図4において、Aは容器、Bは容器Aに装着されるキャップ本体、Dはキャップ本体BにヒンジCを介して開閉可能に取り付けられる上蓋である。
容器Aは、上部に口部1を有し、口部1の外周面上部には、嵌合突条2が設けられ、嵌合突条2の外周上部は、傾斜面2aとなっている。
【0013】
キャップ本体Bは、
図1および
図4に示すように、容器Aの口部1に嵌着される装着部3と、装着部3の内縁から内方に延設され、口部1の開口を封鎖する上壁4と、上壁4を貫通する注出口4aと、注出口4aからわずかに拡径した径で上壁4の上面に立設される注出筒5と、上壁4の下面の注出口4aから垂設される支持筒部E1と、支持筒部E1内周下端に破断可能な破断部E2を介して連設されて縦方向に延びる嵌挿棒部E3とを備えている。
注出筒5は、内容液を注ぎ易くするために、本実施例では、注出側は、背面側(ヒンジC側)よりも高く形成され、リップ部5aは、ラッパ状に広がっている。
【0014】
装着部3は、容器Aの口部1上面と当接する基壁部6と、基壁部6の内周側から垂設される内筒7と、基壁部6の外周側から垂設される外周壁部8とから構成されており、外周壁部8には、背面側上端にヒンジCが連設され、内周下部に容器Aの口部1の嵌合突条2と係合する係合突部9が設けられている。
【0015】
基壁部6は、背面側の中央から左右に所定の範囲で上壁4の上面と面一の高さに切り込まれた切り欠き部10を残して円弧状に形成され、上蓋Dと係合する蓋係合部11が立設され、切り欠き部10内には、蓋係合部11の両端部から等間隔の隙間を開けて複数配設される背面側突部12が突設されている。
蓋係合部11の外周には係止突条13が設けられている。
【0016】
外周壁部8の上部には、注出側に、ほぼ180°の円弧範囲で円弧状に上から距離αの深さで外周から凹設された段凹部15が設けられ、残りの背面側は、上面8aが上壁4の上面および切り欠き部10底面と面一の高さとなり、外周上端にヒンジCが連設される。
段凹部15は、上面8aから距離α下がった平坦面15aと、平坦面15aの内周縁から内側上方に傾斜する傾斜面15bと、平坦面15aの端部の両側から上面8aのそれぞれの両側に向って傾斜する傾斜側面15cとが形成されている。
【0017】
図1(a)に示すように、外周壁部8のヒンジCの左近傍には、外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部16が下端部に薄肉底壁を残して上面8aから切り込まれている。
外周壁部8内周の係合突部9の外周切り込み部16に対応する位置には、図示しないが内周切り込み部が縦方向に刻設され、該部分の外周壁部8は内外から切り込まれ、薄肉となる縦方向引き裂きラインを構成する縦弱化部17が形成される。
【0018】
外周壁部8の背面側の外周切り込み部16よりヒンジC側では、端面16aの内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点として円周方向に延びて上面8a右端側の段凹部15の傾斜側面15cまで、スリット溝18が上面8aから凹設され、また、外周壁部8の外周切り込み部16のヒンジCと反対側の上面8aは、外周壁部8上部と基壁部6下部とが一体に連結した肉厚部19となっている。
【0019】
図1および
図2(a)に示すように、スリット溝18の底面20は、端面16a側からヒンジC(背面側)の中央部(
図1(a)のO-X1線)までが底面20aとして、上面8aから距離βと一番深く凹設され、
図2(b)に示すように、ヒンジCの中央部から右側に向かって45°付近(
図1(a)のO-X2線)が底面20bとなり、さらに、
図2(c)に示すように、ヒンジCの中央部から右側に向かって60°付近(
図1(a)のO-X3線)が底面20cとなり、上面8aからの高さが距離βから徐々に浅くなるように形成され、最後は、
図2(d)に示すように、ヒンジCの中央部から右側に向かって95°付近(
図1(a)のO-X4線)の段凹部15の傾斜側面15cを切り欠いて距離αの平坦面15a端部まで連なるよう形成されている。
【0020】
底面20の内周側は、
図1に示すように、端面16a側からヒンジCの中央部までの外周壁部8と基壁部6の下方の壁部分を連結する薄肉の下横弱化部21となり、ヒンジCの中央部から95°付近まで、上方に傾斜する底面20の内周縁から内側上方に向かって傾斜する円弧状の連結部22が設けられている。
また、外周壁部8の背面側のスリット溝18より外側部は、スリット溝18の底面20から上面8aまで立設する背面外壁部23となり、背面外壁部23の外周上端の所定の位置にヒンジCが連設される。
【0021】
外周壁部8の内周上部には、左側から背面側中央まで、
図1および
図2(a)に示すように、下横弱化部21より上部から内側上方に傾斜して、容器Aに装着時に嵌合突条2の傾斜面2aに当接する当接面部24が形成され、背面側中央から右側に、
図1および
図2(b)に示すように、傾斜する底面20の高さから上に、外側の連結部22の外側面と平行に内側上方に傾斜するとともに容器Aに装着時に嵌合突条2の傾斜面2aから離れるように形成される平行面25が設けられ、平行面25と連結部22外面との間は薄肉となって傾斜連結弱化部26が形成され、注出側には、段凹部15の範囲で
図1および
図2(d)に示すように、基壁部6の下面外周縁に下から上向き凹部27が凹設され、上向き凹部27と段凹部15の傾斜面15bとの間は薄肉となって上横弱化部28が形成される。
また、下横弱化部21、傾斜連結弱化部26および上横弱化部28は、順に連続するように形成され、周方向引き裂きラインを構成している。
【0022】
外周壁部8の外周の注出側には、段凹部15の平坦面15aから下方に所定の範囲切り込まれた指掛け凹部29が凹設されている。
【0023】
支持筒部E1は、
図1および
図4に示すように、上壁4の下面の注出口4a縁から垂設される筒周壁30と、筒周壁30の内周下端に設けられ、内方を開口した内向きのフランジ状底壁31とから構成され、筒周壁30には、通液孔である側孔部32が複数開口され、フランジ状底壁31の内周には、破断部E2が連設されている。
【0024】
嵌挿棒部E3は、支持筒部E1のフランジ状底壁31の内周に破断部E2を介して連結されて垂直状態で支持されるとともに、下方に延びる大径の嵌挿部35と、嵌挿部35の上方に縮径されて延びる挿入部36と、嵌挿部35の下部に形成される係止凹部37とから構成されている。
また、嵌挿棒部E3は、後述する上蓋Dの密封筒42の内方に嵌挿され、挿入部36の上面が上蓋Dの頂壁40に当接し、嵌挿部35の下端部が密封筒42下端と同じか、わずかに下方に出る(少なくとも密封筒42内を塞ぐ)高さで形成されている。
【0025】
上蓋Dは、
図1および
図4に示すように、キャップ本体Bの外周壁部8の外周上端に、ヒンジCを介して回動自在に取着されており、頂壁40と、頂壁40の周縁から垂設される側周壁41と、頂壁40の下面の所定の個所から垂設され、注出筒5を密封する密封筒42とが設けられ、頂壁40の密封筒42の外周側には、大部分が下面から凹設されて肉抜きされるとともに、該部分が変形可能なリング状部43が設けられている。
【0026】
側周壁41の下端部内周には、蓋係合部11と係合して閉蓋状態を維持する係合凹部45が周設されている。
係合凹部45は、内向き面に、蓋係合部11の係止突条13と係合する係止部46が設けられ、下向き面45aは、蓋係合部11の上面および背面側突部12の上面と当接するようになっている。
また、側周壁41の係合凹部45より内側に、注出側中央部付近および背面側の背面側突部12と当接する範囲を除いて、閉蓋時に蓋係合部11の内周上部と当接して側周壁41が外側に広がらないようにする係止凸片47が複数配設されている。
【0027】
側周壁41下面の注出側外周縁には、閉蓋時にキャップ本体Bの外周壁部8の段凹部15を覆うように、段凹部15の平坦面15aに、下端が近接あるいは当接するように形成された円弧状の被覆壁48が垂設されている。
側周壁41の外周には、注出側の下端部(被覆壁48外周を含めて)に、周方向に円弧状の摘み部49が形成され、背面側の下端部にヒンジCが連設されている。
【0028】
密封筒42は、内周下部に、内方に嵌挿棒部E3の嵌挿部35の外周面が嵌挿され摺動するとともに、係止凹部37に嵌って係止する係止突部50が突設されている。
また、密封筒42の外周には、
図4に示すように、閉蓋時に注出筒5の内周面に挿入されて密封状態とする通常のシール部aが形成されるとともに、密封筒42の下部外周側が縮径されて下部シール筒42aが設けられ、下部シール筒42aは、閉蓋時において、上壁4の注出口4aの内周面に近接あるいは当接するように形成されており、下部シール筒42aと注出口4aの内周面とで、仮シール部bが形成される。
【0029】
リング状部43は、ヒンジC側を除き頂壁40の下面から所定の深さで凹設される薄肉部52と、リング状部43のヒンジC側のみに、頂壁40の下面と面一に形成される肉付け部53とから構成されている。なお、肉付け部53は、頂壁40の下面と厳密に面一である必要はなく、頂壁40の下面よりも盛り上がっていてもよいし、頂壁40の下面よりも窪んでいてもよい。
肉付け部53は、
図1(a)に示すように、幅γ(本実施例では3mm)でリング状部43を密封筒42からヒンジC方向に横切るように形成されており、肉付け部53の幅γは、密封筒42の外径以下で、2mm~7mmが望ましい。
【0030】
本実施例のヒンジキャップに、使用前の不正開封を防止するために、図示していないが、キャップ本体Bと上蓋Dとの間にシュリンクラベルや封緘部材等が設けられていてもよい。
【0031】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、
図1に示す開蓋状態で金型をセットし、ゲート(
図1に示すGの個所)から合成樹脂を流して一体成形する。
一体成形する際に、従来であれば、一番最後に合成樹脂が到達するのがゲートGから離れた上蓋Dの密封筒42であり、さらに密封筒42の外周側で頂壁40の下面から所定の深さで薄肉部52が凹設され、薄肉部52のために頂壁40の肉厚が薄くなっているので、該部分での合成樹脂の流動性が低くなる。
そのため、特に、薄肉部52の内側の頂壁40上面にヒケが発生し易くなり、孔が空く場合もあった。
【0032】
本実施例では、リング状部43のヒンジC側に3mmの幅γでリング状部43を密封筒42からヒンジC方向に横切るように肉付け部53が設けられているので、
図3に示すように、肉付け部53から薄肉部52の内側に合成樹脂の流動性を損ねず流すことができ、頂壁40上面にヒケが発生するのを抑制することができ、孔が空くこともなく、きれいに成形することができる。
【0033】
成形されたヒンジキャップは、上蓋DをヒンジCを介して回動し、キャップ本体Bに被せ、
図4(a)に示すように、閉蓋される。
その際、上蓋Dの密封筒42の外周面下部が、キャップ本体Bの注出筒5の下部内周面に密着してシール部aとなる。
また、上蓋Dの側周壁41の係合凹部45とキャップ本体Bの蓋係合部11が係合し、閉蓋が維持される。
【0034】
閉蓋後に、本発明のヒンジキャップは、
図4(a)に示す状態で、キャップ本体Bおよび上蓋Dを動かないように適当な方法で固定し、図示しない治具を用いて嵌挿棒部E3を突き上げる。
そうすると、嵌挿棒部E3を支持筒部E1に連設する破断部E2が破断され、嵌挿棒部E3が上昇し、嵌挿棒部E3の挿入部36が上蓋Dの密封筒42内に案内され、次いで、嵌挿部35が密封筒42内の係止突部50に摺接しながら嵌入されていく。
最後は、
図4(b)に示すように、挿入部36の上面が密封筒42内の頂壁40に当接して嵌挿棒部E3の突き上げが止められるとともに、密封筒42の係止突部50に嵌挿部35の係止凹部37が嵌合して係止され、密封筒42内が塞がれる。
【0035】
これにより、使用の際に、密封筒42内に液体が入って溜まることを防止でき、また、嵌挿棒部E3が支持筒部E1のフランジ状底壁31から離脱した痕として、フランジ状底壁31の内側が開口する。
また、嵌挿棒部E3が密封筒42内に嵌挿されて留まるので、密封筒42が内側に潰れることを抑制でき、密封筒42の保形成がよくなり、閉蓋時の注出筒5との密着を維持することができる。
【0036】
本実施例のヒンジキャップは、閉蓋して密封した後、密封したシールのリーク検査を行った際、キャップ本体Bの支持筒部E1の下方からエアーを流し、支持筒部E1の筒周壁30の側孔部32およびフランジ状底壁31の開口を通して注出口4aに向けて流し、キャップ本体Bの注出筒5と上蓋Dの密封筒42とのシールに不良があった場合、注出筒5より外方に漏れたエアーが、上蓋Dの係合凹部45の下向き面45aと当接するキャップ本体Bの基壁部6の背面側突部12を除いた切り欠き部10の間からエアーが流れ、係合凹部45の内向き面と背面側突部12の外側面との間から外にエアーが出て判るので、シール不良を判定し易くなっている。
【0037】
次に、閉蓋したヒンジキャップは、内容液が充填された容器Aの口部1に打栓して装着される。
打栓工程は、装着部3の内筒7と外周壁部8との間に形成された環状溝に容器Aの口部1を当てがい、上蓋Dの上から押圧力が加えられ、外周壁部8の係合突部9が口部1の嵌合突条2を乗り越えて嵌合し、容器Aの口部1が内筒7の外周と外周壁部8の内周、および基壁部6とによって挟持されて装着される。
【0038】
また、閉蓋した状態で、倒立落下した際に、上蓋Dの頂壁40に衝撃力が加えられた場合でも、上蓋Dが受ける衝撃をリング状部43が吸収し、密封筒42を注出筒5に対して押し込んだり、引き離したりしないので、密封筒42とキャップ本体Bの注出筒5との密着に影響を及ぼさず、密封筒42と注出筒5との密着が外れたり、密封筒42と注出筒5が互いに傷付け合ったりすることを防止できる。
【0039】
容器A内の内容液を使用する際には、キャップ本体Bの外周壁部8の注出側の指掛け凹部29に手指を入れ、上蓋Dの摘み部49に掛けて持ち上げると、上蓋Dの密封筒42とキャップ本体Bの注出筒5とのシールが外れるとともに上蓋Dの側周壁41とキャップ本体Bの基壁部6との係合が外され、上蓋Dが開蓋され、容器Aを注出側に傾けると、容器A内の内容液をキャップ本体Bの支持筒部E1の筒周壁30の側孔部32およびフランジ状底壁31の開口を通し、注出口4aに流し、注出筒5から注出することができる。
【0040】
本実施例のヒンジキャップは、上蓋Dの側周壁41下面の注出側外周縁に被覆壁48が設けられているので、閉蓋中にキャップ本体Bの外周壁部8の段凹部15を隠し、また、開蓋の際には、上蓋Dの内方に接触することを防止しているので、キャップ内が清潔に保たれる。
【0041】
上蓋Dをキャップ本体Bに再び閉蓋することで、上蓋Dの密封筒42は、外周がキャップ本体Bの注出筒5の内周に密着してシールが形成され、容器A内を密封することができ、ヒンジキャップは、繰り返し上蓋Dを開閉して使用することができる。
【0042】
本実施例のヒンジキャップは、キャップ本体Bの外周壁部8の注出側に平坦面15aおよび傾斜面15bを形成した段凹部15を設けているので、内容液の使用中に容器Aを傾けた方向の注出筒5のリップ部5aから内容液が下の段凹部15に垂れても、傾斜面15bの傾斜により平坦面15aに流れ、また、平坦面15aが凹凸のない平面であるためティッシュ等で簡単に汚れを拭き取ることができる。
【0043】
次に、容器A内の内容液を全部使用した後、ヒンジキャップを分別廃棄する態様について説明する。
その際には、ヒンジキャップを開蓋し、上蓋Dを指で把持して外方に引っ張ると、ヒンジCを介して外周壁部8のヒンジCとの連設部となる背面外壁部23が引っ張られ、連なる外周壁部8の背面側を引っ張り、変形させていく。
外周壁部8の背面側の引っ張りにより、外周切り込み部16で形成される縦弱化部17が破断されていく。
【0044】
さらに上蓋Dを引っ張ると、縦弱化部17に連設する端面16a側から下横弱化部21が周方向に切断されていき、次いで連続する傾斜連結弱化部26が破断し始める。
下横弱化部21が切断され、傾斜連結弱化部26の破断が進行すると、
図5に示すように、上蓋Dおよびそれに連なるキャップ本体Bの下横弱化部21および傾斜連結弱化部26で区画され、破断された外周壁部8の下側がキャップ本体Bから離されていく。
【0045】
次に、傾斜連結弱化部26が完全に破断すると、連続する上横弱化部28が右側端より破断されていき、最後は、段凹部15を通過して、肉厚部19で止められる。
さらに、破断された外周壁部8を引っ張ると、連結している外周壁部8の肉厚部19が外側に引っ張られ、キャップ本体Bの外周壁部8の係合突部9と容器Aの口部1の嵌合突条2との嵌合が外され、そのまま上方に上げると、肉厚部19で連設されている外周壁部8の上側およびその内方が持ち上げられキャップ本体Bが容器Aの口部1から外されるので、ヒンジキャップと容器Aとを分別廃棄することができる。
【0046】
本実施例のヒンジキャップは、傾斜連結弱化部26を切断する際に、底面20の傾斜に合わせて下から上の傾斜がついているので、外周壁部8の下部を引っ張る力が上向きとなって力が掛かり易く、また、傾斜連結弱化部26を形成する内周の平行面25が容器Aの嵌合突条2の傾斜面2aより離れていくので、切断する抵抗が少なくなり、破断し易くなっている。
また、注出側の上横弱化部28を切断する際に、該部分の内周面の上向き凹部27が容器Aの嵌合突条2の傾斜面2aより完全に離れるので、さらに、切断する抵抗が少なくなり、破断し易くなっている。
本発明のヒンジキャップは、ヒンジを介してキャップ本体と上蓋を一体成形をする際に、キャップ本体に設けたゲートから一番離れた上蓋の頂壁に下面から薄肉部を凹設しても、合成樹脂の流動性を損ねず流すことができ、頂壁上面に発生するヒケを抑制することができ、きれいに成形することができるので、食品等を収納する容器のヒンジキャップとして好適である。