(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051675
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】防除システム
(51)【国際特許分類】
A01M 7/00 20060101AFI20240404BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20240404BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240404BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20240404BHJP
B64D 1/18 20060101ALI20240404BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20240404BHJP
【FI】
A01M7/00 H
B64C13/18 Z
B64C39/02
B64D47/08
B64D1/18
B64F1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157961
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】石井 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 英希
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121CB09
2B121CB23
2B121CB35
2B121CB37
2B121EA21
2B121FA04
(57)【要約】
【課題】従来、圃場を自律飛行して防除作業を行う防除システムがある。然しながら、圃場で生育中の植物の被害状況を確認して防除作業を行うものではなく、薬剤の浪費や作業効率に問題があった。そこで、圃場で生育中の植物の被害状況を確認して防除作業を行うことにより薬剤の浪費や作業効率の問題を解決した防除システムを提供する。
【解決手段】小型航空機3が圃場Fを所定の経路Lに沿って自律飛行してカメラにて圃場Fを撮影して圃場F全体の画像データを取得し、管理サーバ1にて該画像データを画像解析して被害状況に応じて圃場Fをブロック分けして薬剤散布量マップを作成し、該薬剤散布量マップに基づいて散布量を調節しながら圃場Fに薬剤散布する防除システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型航空機(3)が圃場(F)を所定の経路(L)に沿って自律飛行してカメラにて圃場(F)を撮影して圃場(F)全体の画像データを取得し、管理サーバ(1)にて該画像データを画像解析して被害状況に応じて圃場(F)をブロック分けして薬剤散布量マップを作成し、該薬剤散布量マップに基づいて散布量を調節しながら圃場(F)に薬剤散布することを特徴とする防除システム。
【請求項2】
管理サーバ(1)が作成した薬剤散布量マップを手動操作にて修正可能であることを特徴とする請求項1に記載の防除システム。
【請求項3】
小型航空機(3)と管理サーバ(1)は相互通信して、小型航空機(3)から圃場(F)全体の画像データを管理サーバ(1)に送信し、管理サーバ(1)から薬剤散布量マップを小型航空機(3)に送信し、小型航空機(3)に装備した防除装置にて薬剤散布することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防除システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の栽培作物に害を及ぼすジャンボタニシ等を防除する防除システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場を自律飛行して防除作業を行う防除システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、圃場で生育中の植物の被害状況を確認して防除作業を行うものではなく、薬剤の浪費や作業効率に問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圃場で生育中の植物の被害状況を確認して防除作業を行うことにより薬剤の浪費や作業効率の問題を解決した防除システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、小型航空機3が圃場Fを所定の経路Lに沿って自律飛行してカメラにて圃場Fを撮影して圃場F全体の画像データを取得し、管理サーバ1にて該画像データを画像解析して被害状況に応じて圃場Fをブロック分けして薬剤散布量マップを作成し、該薬剤散布量マップに基づいて散布量を調節しながら圃場Fに薬剤散布する防除システムである。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、小型航空機3が圃場Fを所定の経路Lに沿って自律飛行してカメラにて圃場Fを撮影して圃場F全体の画像データを取得し、管理サーバ1にて該画像データを画像解析して被害状況に応じて圃場Fをブロック分けして薬剤散布量マップを作成し、該薬剤散布量マップに基づいて散布量を調節しながら圃場Fに薬剤散布するので、薬剤の浪費を防ぎ、薬剤散布の作業効率も良い。
【0008】
請求項2記載の発明は、管理サーバ1が作成した薬剤散布量マップを手動操作にて修正可能である請求項1に記載の防除システムである。
【0009】
請求項3記載の発明は、小型航空機3と管理サーバ1は相互通信して、小型航空機3から圃場F全体の画像データを管理サーバ1に送信し、管理サーバ1から薬剤散布量マップを小型航空機3に送信し、小型航空機3に装備した防除装置にて薬剤散布する請求項1または請求項2に記載の防除システムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態にかかる防除システムの構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の、畦道から薬剤散布を行う別実施形態を示す模式図である。
【
図5】同上乗用型田植機の前輪部分の正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、防除システムの一例としてのジャンボタニシを防除する防除システムの構成を示す模式図である。防除システムは、管理サーバ1の地図データベースにユーザが所有する圃場Fを登録し防除作業を管理するシステムである。
【0012】
防除システムは、地上基地Bに設置した地図データベースと防除管理データベース等の各種データベースを含む制御部と無線通信装置を装備した管理サーバ1(タブレット等の携帯端末を管理サーバとして用いても良い)と、カメラと防除装置とGPSと制御部と無線通信装置を搭載したドローン3(小型ヘリコプタ等の如何なる小型航空機でも良い)からなる。
【0013】
管理サーバ1は、ドローン3と無線通信装置にて相互通信可能である。
【0014】
ジャンボタニシを防除する場合、田植作業を終えて所定日を経過した圃場Fにて、防除作業を行う。
【0015】
管理サーバ1は、地図データベースに登録されたユーザが所有する圃場Fをドローン3が飛行する経路Lを算出して、地図データベースに経路Lを付加し、ドローン3に該経路Lを付加した地図データを送信する。
【0016】
先ず、自律飛行するドローン3は、該管理サーバ1から送信された経路Lが付加された地図データを制御部に記憶し、圃場にてGPSにより測位衛星4からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら該経路Lに沿って自律飛行して自動的にカメラにて圃場Fの撮影をし、地図データに圃場F全体の画像データを付加して管理サーバ1に送信する。
【0017】
すると、管理サーバ1は、該送信されてきた圃場F全体の画像をモニタに
図1のような画面として表示する。
【0018】
そして、
図1に示すように、管理サーバ1は、該送信されてきた圃場F全体の画像データを画像解析し、小ブロックに区分けし、稲の茎葉が食害を受けている場所を食害の程度に応じて食害大と認識した場合に薬剤散布量が多い部分、食害中と認識した場合に薬剤散布量が標準部分、食害小と認識した場合に薬剤散布量が少ない部分として3段階に小ブロック単位でモニタに
図2のような画面として濃淡表示する。
【0019】
そこで、作業者は、食害の程度を
図1のような画面にて確認し、薬剤散布量が
図2のような画面の表示で良いか確認する。
【0020】
そして、
図2のような画面で表示された薬剤散布量を修正したい場合は、修正するブロックをタップして修正することができ、薬剤散布をしない部位もタップすることにより所望量の薬剤散布を行うように修正できる。
【0021】
このようにして、圃場Fの小ブロック単位で薬剤散布量が決定された薬剤散布量マップが完成する。
【0022】
そして、ドローン3の防除装置の薬剤タンクに薬剤を供給する。なお、防除装置は、散布量を3段階に調節できるノズルが装備されている。
【0023】
次に、管理サーバ1は、前記の地図データベースにドローン3が飛行する経路Lを付加した地図データに小ブロック単位で薬剤散布量が決定された薬剤散布量マップを付加してドローン3に送信する。
【0024】
自律飛行するドローン3は、該管理サーバ1から送信された経路L及び薬剤散布量マップが付加された地図データを制御部に記憶し、圃場にてGPSにより測位衛星4からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら該経路Lに沿って自律飛行し、薬剤散布量マップの薬剤散布量が多い部分、薬剤散布量が標準部分、薬剤散布量が少ない部分の3段階のデータに応じて、小ブロック単位で散布量を3段階に調節しながらノズルから薬剤を散布する。
【0025】
そして、圃場F全体の薬剤散布が終了すると、散布終了を管理サーバ1に送信して、基地に戻る。
【0026】
以上要するに、ドローン3が圃場Fを所定の経路Lに沿って自律飛行してカメラにて圃場Fを撮影して圃場F全体の画像データを取得し、管理サーバ1にて該画像データを画像解析して被害状況に応じて圃場Fをブロック分けして薬剤散布量マップを作成し、ドローン3が該薬剤散布量マップに基づいて散布量を調節しながら圃場Fに薬剤散布するので、薬剤の浪費を防ぎ、薬剤散布の作業効率も良い。
【0027】
なお、上記では、防除装置が散布量を3段階に調節できるノズルを装備し、薬剤散布量の調節で薬剤散布量マップの小ブロック単位で散布量を3段階に調節しながら薬剤を散布する例を示したが、防除装置の散布量を一定にして、薬剤散布量マップの薬剤散布量が多い部分、薬剤散布量が標準部分、薬剤散布量が少ない部分の3段階のデータに応じて、ドローン3の飛行速度を3段階に調節して小ブロック単位の散布量を調節しても良い。
【0028】
即ち、薬剤散布量が多い部分はドローン3の飛行速度を遅くし、薬剤散布量が標準部分はドローン3の飛行速度を標準速度とし、薬剤散布量が少ない部分はドローン3の飛行速度を速くする。
【0029】
また、防除装置の散布量及びドローン3の飛行速度を一定にして、薬剤散布量マップの薬剤散布量が多い部分、薬剤散布量が標準部分、薬剤散布量が少ない部分の3段階のデータに応じて、ドローン3の飛行回数を3段階に調節して小ブロック単位の散布量を調節しても良い。
【0030】
即ち、薬剤散布量が多い部分はドローン3を薬剤散布しながら3回飛行させ、薬剤散布量が標準部分はドローン3を薬剤散布しながら2回飛行させ、薬剤散布量が少ない部分はドローン3を薬剤散布しながら1回飛行させる。
【0031】
<他の実施形態>
【0032】
(1)薬剤散布装置付き田植機にて田植作業を行う際に、昨年度の上記のようにして作成した圃場Fの薬剤散布量マップに基づいて、田植作業と同時に薬剤散布を行っても良い。
【0033】
即ち、管理サーバ1は、地図データベースに田植機が走行する経路を付加した地図データに小ブロック単位で薬剤散布量が決定された薬剤散布量マップを付加して田植機に送信する。
【0034】
田植機は、該管理サーバ1から送信された経路及び薬剤散布量マップが付加された地図データを制御部に記憶し、圃場にてGPSにより測位衛星4からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら該経路に沿って自律走行して田植作業を行いながら、薬剤散布量マップの薬剤散布量が多い部分、薬剤散布量が標準部分、薬剤散布量が少ない部分の3段階のデータに応じて、小ブロック単位で散布量を3段階に調節しながら薬剤を散布する。
【0035】
なお、昨年度に薬剤散布装置付き田植機にて田植作業と同時に薬剤散布量を調節しながら行った薬剤散布調節データに基づいて本年度に薬剤散布を自動調節しても良い。
【0036】
(2)
図2は、圃場Fを前記第1実施形態のドローン3を用いた手法にて畦道に面した大ブロック単位で薬剤散布量マップを作成し、畦道から作業者が薬剤散布機5で薬剤散布を行う実施形態を示す。
【0037】
即ち、作業者は、畦道を歩きながら背中に背負った薬剤散布機5で圃場Fに薬剤を散布する。
【0038】
その時、作業者は、GPSを搭載したタブレットやスマホ等の携帯端末を携帯している。そして、携帯端末には、地図データに大ブロック単位の薬剤散布量マップを付加した地図データが記録されている。
【0039】
そして、携帯端末は、作業者の現在位置と大ブロック単位の薬剤散布量マップをモニタに表示し、作業者が携帯端末のモニタを見て現在位置と散布している圃場Fの現在場所の散布量を認識できる。
【0040】
更に、薬剤散布機5の散布ノズル6の先端には、3色のLEDライト7が設けられており、携帯端末が大ブロック単位の薬剤散布量マップに対応して現散布位置の散布量に応じて3色のLEDライト7の制御部に散布量大の場合は赤色を点灯させる送信をし、散布量標準の場合は黄色を点灯させる送信をし、散布量小の場合は青色を点灯させる送信をする。
【0041】
従って、畦道を歩きながら薬剤散布作業を行っている作業者は、携帯端末のモニタを見て現在位置と散布している圃場Fの現在散布場所の散布量を認識して、散布量を調節でき、更には、薬剤散布を行っている圃場Fの薬剤散布機5の散布ノズル6先端のLEDライト7を見て、即座に、圃場Fの現在場所の散布量を認識して散布量を調節できて作業効率が良い。
【0042】
(3)
図3~
図6は、圃場の肥沃度を検出し、肥沃度に応じて施肥量を自動調節する施肥装置付き乗用型田植機の実施形態を示す。
【0043】
施肥装置付き乗用型田植機50は、走行車体51の後側に昇降リンク装置52を介して苗植付部53が昇降可能に装着され、走行車体51の後部上側に施肥装置54の本体部分が設けられている。なお、乗用型田植機50の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0044】
走行車体51は、駆動輪である左右一対の前輪55,55及び左右一対の後輪56,56を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース57が配置され、そのミッションケース57の左右側方に前輪ファイナルケース58,58が設けられ、該左右前輪ファイナルケース58,58の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪55,55が各々取り付けられている。
【0045】
また、ミッションケース57の背面部にメインフレーム59の前端部が固着されており、そのメインフレーム59の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース60,60がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース60,60から外向きに突出する後輪車軸に後輪56,56が取り付けられている。
【0046】
エンジン61は機体前部に搭載されており、該エンジン61の回転動力が、ベルト伝動装置及びHSTを介してミッションケース57に伝達される。
【0047】
ミッションケース57に伝達された回転動力は、該ケース57内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
【0048】
そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース58,58に伝達されて前輪55,55を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース60,60に伝達されて後輪56,56を駆動する。
【0049】
また、外部取出動力は、走行車体51の後部に設けた植付クラッチケースに伝達され、それから植付伝動軸によって苗植付部53へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置54へ伝動される。
【0050】
走行車体51後部には、リヤカバー62で覆われており、その上に座席63が設置されている。
【0051】
座席63の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー64があり、その上方に前輪55,55を操向操作するハンドル65が設けられている。
【0052】
リヤカバー62及びフロントカバー64の下端左右両側は水平状のフロアステップ66になっている。フロアステップ66は一部格子状になっており、該ステップ66を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ66上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップとなっている。
【0053】
走行車体51前部には、フロント支柱の基部が固定され、該フロント支柱の上端部にGPS受信機67が設けられている。
【0054】
苗植付部53は8条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース70、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口71aに供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口71aに供給する苗送りベルトにより苗を下方に移送する苗載台71、苗取出口71aに供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置72を備えている。
【0055】
苗植付部53の下部には中央にセンターフロート75、その左右両側に内サイドフロート76a、その外側に外サイドフロート76bが設けられている。これらフロート75,76a,76bを圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート75,76a,76bが泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置72により苗が植付けられる。
【0056】
各フロート75,76a,76bは圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート75の前部の上下動が迎角制御センサにより検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部53を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0057】
施肥装置54は、肥料ホッパ80に貯留されている粒状の肥料を繰出部81によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース82でフロート75,76a,76bの左右側に取り付けた施肥ガイド83まで導き、施肥ガイド83の前側に設けた作溝体84によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。
【0058】
ブロア用電動モータで駆動するブロア85で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ86を経由して施肥ホース82に吹き込まれ、施肥ホース82内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0059】
施肥装置54は、圃場の肥沃度に応じて施肥量を自動調節する可変施肥機である。
【0060】
即ち、繰り出し量調整モータ87が座席63右側方で肥料ホッパ80前側の離接する繰出部81間に配置され、繰出部81の駆動部を変速して繰出部81の肥料繰出し量を変更する。
【0061】
そして、
図5及び
図6に示すように、左右前輪55,55のスポーク55aの外端部の内側にホルダ88をボルトにて取り付けて、該ホルダ88に電線を連結したステンレス製のプレート91を各々設けて、該プレート91が前輪55の内側面から内側にオフセットした状態で設けられている。
【0062】
従来は、電極であるプレート91が前輪55の外側方に設けられており、前輪55が外側をホイルキャップ55bで覆われていることも関係して、浅い圃場ではタイヤ55cを泥土が乗り越えてこないと左右プレート91間に泥土が介在することができず土壌(泥土)の電気抵抗を適切に検出することができなかった。
【0063】
本実施形態では、左右プレート91は、左右前輪55,55の内側にオフセットした状態で対向して設けられているので、左右プレート91の土壌(泥土)の電気抵抗を適切に検出して、肥沃度の検出が適正に行える。
【0064】
なお、従来周知の手法にて、肥沃度の低い土壌の電気抵抗は大きく、肥沃度の高い土壌の電気抵抗は小さいことにより肥沃度を検出する。
【0065】
検出された肥沃度に応じて、機体に設けた制御装置が繰り出し量調整モータ87を制御して繰出部81の駆動部を変速して繰出部81の肥料繰出し量を変更する。即ち、肥沃度の低い土壌では施肥量を多くし、肥沃度の高い土壌では施肥量を少なくして、圃場全体の肥沃度が均一になるようにする。
【0066】
また、
図3に示すように、苗植付部53下部の前側には、整地レーキ92が昇降アクチュエータとしての電動モータ93にて上下位置調節自在に設けられている。
【0067】
そして、制御装置は、各フロート75,76a,76bの後部枢支軸を上下移動させて植付深さを調節する植付け深さ調節に連動して電動モータ93を作動させて整地レーキ92を上下位置調節する。
【0068】
即ち、植付け深さを深く調節すると、制御装置は、深さ量に比例して電動モータ93を作動させて整地レーキ92を上方位置に調節する(深くするほど、上方位置に調節する)。
【0069】
従って、植付け深さを深くした時の整地レーキ92の効きすぎによる圃場の凹みを防止することができる。
【0070】
また、センターフロート75の前方位置には、圃場の硬軟を検出する硬軟センサ94が左右後輪56,56間の後方に配置されている。
【0071】
センターフロート75は、左右後輪56,56間の後方に位置し、センターフロート75の前端は、センターフロート75の左右両側に位置する左右後輪56,56の走行跡を整地する左右内サイドフロート76a,76a前端よりも前方に位置して、センターフロート75の全長は、左右内サイドフロート76a,76aの全長よりも長い。
【0072】
従って、センターフロート75は、硬軟センサ94の跡を整地する。
【0073】
また、センターフロート75の前端が左右内サイドフロート76a,76a前端よりも前方に位置して、センターフロート75の全長が左右内サイドフロート76a,76aの全長よりも長いので、苗植付部53を昇降制御するセンサとして機能するセンターフロート75の接地面積を大きく確保できて整地性が向上する。
【0074】
そして、硬軟センサ94が所定値以上に硬い圃場であることを検出した場合には、制御装置は、電動モータ93を作動させて整地レーキ92を設定高さよりも下方位置に調節し、左右後輪56,56が持ち上げた泥の塊を適正に整地するようにする。
【0075】
また、硬軟センサ94が所定値以上に軟らかい圃場であることを検出した場合には、制御装置は、電動モータ93を作動させて整地レーキ92を設定高さよりも上方位置に調節し、整地レーキ92の効きすぎによる圃場の凹みを防止する。
【0076】
また、制御装置は、記憶部に圃場Fの地図データを記憶し、GPS受信機67にて測位衛星からの電波を受信して機体の現在位置を算出するが、機体が圃場Fの畦際に沿って畦際植付けをしている場合は、電動モータ93を作動させて整地レーキ92を設定高さよりも下方位置に調節し、畦際旋回で乱れている畦際の土塊を適切に整地するようにする。
【0077】
なお、制御装置は、一定回数以上の旋回を行った進行方向に対して所定角以上の異なる方向への進行を検出すると、畦際植付けと認識して、電動モータ93を作動させて整地レーキ92を設定高さよりも下方位置に調節し、畦際旋回で乱れている畦際の土塊を適切に整地するようにする。
【0078】
また、制御装置は、機体を進行させて田植作業を所定距離または所定時間行うと、電動モータ93を作動させて整地レーキ92を非作業高さ(非接地高さ)まで上昇させ、所定距離または所定時間経過後に電動モータ93を作動させて整地レーキ92を設定高さの作業状態(整地状態)に復帰させる。
【0079】
従って、機体を進行させて田植作業を行っていると整地レーキ92に夾雑物が付着または前側に夾雑物が溜まって整地性能が落ちるので、整地レーキ92を非作業位置まで上昇させることにより、整地レーキ92に夾雑物が付着または前側に夾雑物が溜まる状態を解消でき、良好な整地作業が行える。
【0080】
また、整地レーキ92は、整地抵抗により付勢スプリングの付勢力に抗して所定角傾斜自在に構成し、該整地レーキ92の傾斜角度を検出するレーキ傾斜検出センサを設けている。
【0081】
制御装置は、レーキ傾斜検出センサが整地レーキ92の所定角度以上の付勢スプリングの付勢力に抗した角傾斜角度を検出すると、苗植付部53の昇降制御の制御感度を硬い側に補正し、各フロート75,76a,76bの整地性を向上させて、左右後輪56,56の走行跡を適切に整地するようにする。
【0082】
また、制御装置は、硬軟センサ94が所定値以上に硬い圃場であることを検出し、レーキ傾斜検出センサが整地レーキ92の所定角度以上の付勢スプリングの付勢力に抗した角傾斜角度を検出すると、電動モータ93を作動させて整地レーキ92を設定高さよりも上方位置に調節し、整地レーキ92が設定の傾斜角度になるようにし、整地レーキ92の効きすぎによる圃場の凹みを防止する。
【0083】
更に、上記電動モータ93を作動させて整地レーキ92を設定高さよりも上方位置に調節し、整地レーキ92が設定の傾斜角度になるようにしても、尚且つ、整地レーキ92が設定の傾斜角度にならないことをレーキ傾斜検出センサが検出した場合には、苗植付部53の昇降制御の制御感度を硬い側に補正し、苗植付部53の土壌への沈み込みを防止することで、各フロート75,76a,76bが圃場Fに凹みを形成することを防止する。
【符号の説明】
【0084】
1 管理サーバ
3 小型航空機(ドローン)
F 圃場
L 経路