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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051688
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】建具及びカバー部材
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/70 20060101AFI20240404BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20240404BHJP
   E06B 1/34 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E06B1/70 A
E06B3/46
E06B1/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157979
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】堀内 誠司
(72)【発明者】
【氏名】原野 勝二
(72)【発明者】
【氏名】後藤 千明
(72)【発明者】
【氏名】荒木 一
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
【Fターム(参考)】
2E011MA02
2E014AA03
2E014FB01
(57)【要約】
【課題】カバー部材に傷が付いても目立たなくすることができる建具を提供する。
【解決手段】建物の開口部を遮蔽する遮蔽体を支持する枠体の下枠と、少なくとも下枠に、見込み方向に間隔をあけて装着されるカバー部材と、を備える。下枠は、室内の床面の高さ位置よりも低い位置に配置された上面部と、上面部よりも上側に延び床面の高さ位置以下の位置に上端が位置し、見込み方向に間隔をあけて配置された突起部と、上面部と突起部によって形成され上面部を底面とする溝部と、を有する。カバー部材は、溝部に装着されたときに、床面を含む移動面の一部を形成する上壁部と、上壁部における見込み方向の両側からそれぞれ下側に延びる側壁部と、を有する。上壁部の上面は、見付け方向に延びる凸条部と凹条部が見込み方向に交互に配置されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部を遮蔽する遮蔽体を支持する枠体の下枠と、
少なくとも前記下枠に、見込み方向に間隔をあけて装着されるカバー部材と、
を備え、
前記下枠は、
室内の床面の高さ位置よりも低い位置に配置された上面部と、
前記上面部よりも上側に延び前記床面の高さ位置以下の位置に上端が位置し、前記見込み方向に間隔をあけて配置された突起部と、
前記上面部と前記突起部によって形成され前記上面部を底面とする溝部と、
を有し、
前記カバー部材は、
前記溝部に装着されたときに、前記床面を含む移動面の一部を形成する上壁部と、
前記上壁部における前記見込み方向の両側からそれぞれ下側に延びる側壁部と、
を有し、
前記上壁部の上面は、見付け方向に延びる凸条部と凹条部が前記見込み方向に交互に配置されている、建具。
【請求項2】
前記凸条部は、前記見付け方向と直交する断面において、上側が凸となる円弧状に湾曲し、
前記凹条部は、前記見付け方向と直交する断面において、下側が凸となる円弧状に湾曲している、
請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記カバー部材のうち、屋外側に位置する少なくとも1つは、前記上壁部の前記上面が前記屋外側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜している、
請求項1または2に記載の建具。
【請求項4】
前記カバー部材のうち少なくとも1つは、前記下枠に着脱可能である、
請求項1または2に記載の建具。
【請求項5】
前記遮蔽体は、内障子及び外障子を含み、
突起部は、前記内障子を移動可能に支持する内レールと、前記外障子を移動可能に支持する外レールと、を含む、
請求項1または2に記載の建具。
【請求項6】
前記遮蔽体は、内障子及び外障子を含み、
前記内障子及び前記外障子は、それぞれ下框と戸車とを有し、
前記カバー部材は、
前記見込み方向について前記戸車と離れて配置され、
高さ方向について前記下框よりも下側に離れて配置されている、
請求項1または2に記載の建具。
【請求項7】
請求項1または2に記載の建具における前記下枠に装着され、
前記溝部に装着されたときに、前記床面を含む移動面の一部を形成する上壁部と、
前記上壁部における前記見込み方向の両側からそれぞれ下側に延びる側壁部と、
を有し、
前記上壁部の上面は、見付け方向に延びる凸条部と凹条部が前記見込み方向に交互に配置されている、カバー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具及びカバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
室内から室外のテラス等に出入り可能なテラスタイプの引違いサッシを含む建具において、カバー部材を設けて車椅子も移動できるようにバリアフリー化した建具が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-014675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された建具は、カバー部材の上面がフラットな水平面とされた平坦部である。カバー部材における平坦部の上面に傷が付くと目立ちやすいという問題が生じる。
【0005】
本開示は、以上のような点を考慮してなされたもので、室内から屋外に出入り可能とするカバー部材に傷が付いても目立たなくすることができる建具を提供することを目的とする。本開示の別の目的は、室内から屋外に出入り可能とし、傷が付いても目立たなくすることができるカバー部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、建物の開口部を遮蔽する遮蔽体を支持する枠体の下枠と、少なくとも前記下枠に、見込み方向に間隔をあけて装着されるカバー部材と、を備え、前記下枠は、室内の床面の高さ位置よりも低い位置に配置された上面部と、前記上面部よりも上側に延び前記床面の高さ位置以下の位置に上端が位置し、前記見込み方向に間隔をあけて配置された突起部と、前記上面部と前記突起部によって形成され前記上面部を底面とする溝部と、を有し、前記カバー部材は、前記溝部に装着されたときに、前記床面を含む移動面の一部を形成する上壁部と、前記上壁部における前記見込み方向の両側からそれぞれ下側に延びる側壁部と、を有し、前記上壁部の上面は、見付け方向に延びる凸条部と凹条部が前記見込み方向に交互に配置されている、建具である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の建具における引き違い窓を屋外側から見た正面図である。
図2図1に示す第1実施形態の引き違いサッシにおける要部の部分縦断面図である。
図3図2の下枠を抜き出した図である。
図4図3における室内側を拡大した図である。
図5図3における屋外側を拡大した図である。
図6図3の下枠にカバー部材を装着前の図である。
図7】カバー部材の上壁部に形成されたローレット部の見付け方向と直交する断面図である。
図8】カバー部材の上壁部に形成されたローレット部の見付け方向と直交する断面図である。
図9】第2実施形態の建具における要部の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の建具及びカバー部材の実施の形態を、図1から図9を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0009】
図1に示すように、建具1は、既設住宅の室内と屋外とを区画する外壁20の開口部21に設けられている。開口部21は、外壁20を見込み方向に貫通して設けられている。開口部21は、外壁20に垂直な方向から見て略矩形状で、図2に示すように、下辺が室内の床面23の高さ位置まで開口して、人が出入り可能な大きさに形成される。
【0010】
建具1は、上枠2と下枠3と左右の縦枠4とで四角形枠状に形成された枠体5内に、開口部21を開閉するための内障子7と外障子8が見込み方向に納められている。内障子7と外障子8は、遮蔽体に対応する。建具1は、引き違いサッシを有する。内障子7は室内側に、外障子8は屋外側にそれぞれ設けられて、開口部21を横開きに開閉する。内障子7と外障子8は、それぞれ上框10と下框11と左右の縦框12、13とで四角形枠状に形成されている。内障子7と外障子8の内部には、例えばペアガラス等の複層ガラス9が納められている。内障子7の召内框7Aにおける下部の室内側には、下部ピース7Bが設けられている。下部ピース7Bは、召内框7Aを室内側から覆う。
【0011】
内障子7の下框11は、断面略コの字状のパネル受け部26Aを有している。パネル受け部26Aの下側には、戸車保持部27Aが連結されている。戸車保持部27Aは、戸車17Aを保持している。戸車17Aは、後述する内レール16に案内されている。
【0012】
外障子8の下框11は、断面略コの字状のパネル受け部26Bを有している。パネル受け部26Bの下側には、戸車保持部27Bが連結されている。戸車保持部27Bは、戸車17Bを保持している。戸車17Bは、後述する外レール15に案内されている。
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態の建具1は、サッシ下枠構造30を有する。サッシ下枠構造30は、下枠3と、複数のカバー部材40、50、60と、を備える。下枠3は、室内側に配置された内側下枠111と、屋外側に配置された外側下枠112と、内側下枠111及び外側下枠112を連結するブリッジ113と、を有する。ブリッジ113は、断熱のために熱伝導率が低い樹脂材料やゴム等で形成されている。下枠3は、図3に示すように、上面部31と、複数の突起部32と、複数の溝部33、34、35とを有する。溝部33、34は、内側下枠111に配置されている。溝部35は、外側下枠112に配置されている。上面部31の高さ位置は、室内の床面23の高さ位置よりも低い。外側下枠112んこ屋外側の端部における下端には、排水弁114が設けられている。排水弁114の詳細は省略するが、排水弁114は、例えば、外側下枠112における開口部を閉塞するとともに、屋外側に回動したときに開口部を開放する弁体を用いることができる。弁体を用いることによって、風圧等の屋外側から室内側に向かう力が作用しても、弁体が開口部を閉塞した状態を維持できるとともに、結露水等の水が開口部を介して弁体を屋外側に押圧したときに、開口部が開放され、水を開口部から排水できる。
【0014】
突起部32は、見込み方向に間隔をあけて複数配置されている。突起部32は、上面部31から上側に延びている。突起部32は、床面23の高さ位置以下の位置に上端が位置する。突起部32は、係合片81と、突出片82と、嵌合片83と、内レール16と、外レール15と、を含む。係合片81と、突出片82と、嵌合片83と、内レール16と、外レール15は、突起部32に対応する。
【0015】
係合片81は、複数の突起部32のうち最も室内側に位置する。図4に示すように、係合片81は、屋外側における上端に係合爪81aを有する。係合爪81aは、下側に臨む係合面を有する。突出片82は、係合片81よりも屋外側に間隔をあけて配置されている。突出片82は、上面部31よりも上側に傾斜片82aを有する。傾斜片82aは、上側に向かうにつれて室内側に向かう方向に傾斜している。
【0016】
嵌合片83は、突出片82よりも屋外側に間隔をあけて配置されている。嵌合片83は、上面部31よりも上側に延出片83aを有する。延出片83aは、嵌合片83の上端から室内側に延びる。内レール16は、嵌合片83よりも屋外側に間隔をあけて配置されている。内レール16は、上端で内障子7の戸車17Aを下側から見付け方向に移動可能に支持し、戸車17Aの見付け方向の移動を案内する。内レール16は、アタッチメント16Aを介して、上端で戸車17Aを下側から移動可能に支持する。内レール16は、アタッチメント16Aの上端が後述する移動面23Aの一部を形成するが、以下ではアタッチメント16Aの上端が移動面23Aの一部を形成する場合も内レール16が上端において戸車17Aを下側から移動可能に支持するとして説明する。
【0017】
図5に示すように、外レール15は、内レール16よりも屋外側に間隔をあけて配置されている。外レール15は、上端で外障子8の戸車17Bを下側から見付け方向に移動可能に支持し、戸車17Bの見付け方向の移動を案内する。外レール15は、アタッチメント15Aを介して、上端で戸車17Bを下側から移動可能に支持する。外レール15は、アタッチメント15Aの上端が後述する移動面23Aの一部を形成するが、以下ではアタッチメント15Aの上端が移動面23Aの一部を形成する場合も外レール15が上端において戸車17Bを下側から移動可能に支持するとして説明する。
【0018】
上面部31における見込み方向の外レール15と内レール16の間の上側には、連結部31Aが連結されている。連結部31Aは、下枠3の一部を構成する。連結部31Aは、突出片84、85、86を有する。最も室内側に位置する突出片84は、上側に延びている。突出片84における上下方向の中途には、屋外側に突出する段部84aが設けられている。突出片85は、突出片84よりも屋外側に間隔をあけて配置されている。突出片85は、上側に延びている。突出片85における上下方向の中途には、室内側に突出する段部85aが設けられている。最も屋外側に位置する突出片86は、突出片85よりも屋外側に間隔をあけて配置されている。突出片86は、上側に延びている。突出片86における上下方向の中途には、室内側に突出する段部86aが設けられている。
【0019】
溝部33は、上面部31と、突起部32を構成する係合片81及び突出片82と、によって形成される。溝部33は、上面部31を底面とする。溝部34は、上面部31と、突起部32を構成する突出片82及び内レール16と、によって形成される。溝部34は、上面部31を底面とする。溝部35は、上面部31と、突起部32を構成する内レール16及び外レール15と、によって形成される。溝部35は、上面部31を底面とする。
【0020】
カバー部材40は、下枠3における溝部33に装着される。カバー部材40は、下枠3に装着されたときに、下枠3に固定される。図4に示すように、カバー部材40は、上壁部41と、側壁部42、43と、突出片44と、を有する。
【0021】
上壁部41は、上側に位置する。上壁部41は、水平に配置される。上壁部41の上面41aは、図2及び図3に示すように、床面23を含む移動面23Aの一部を形成する。カバー部材40が下枠3に装着されたときに、図4に示す上面41aの高さ位置は、床面23の高さ位置よりも低い。移動面23Aは、例えば、車椅子等を用いて室内の床面23と屋外との間を移動する際に、前輪及び後輪が接地する箇所である。移動面23Aは、必ずしも水平面と平行な面一な面である必要はなく、移動時に大きな衝撃が生じない微小な段差を形成する上面41aを含む。図2及び図3においては、水平面と平行に移動面23Aを示している。
【0022】
図7に示すように、上壁部41における上面41aは、ローレット部70を有している。ローレット部70は、凸条部71と、凹条部72と、を有する。凸条部71及び凹条部72は、見付け方向に延びる。凸条部71と凹条部72とは、見込み方向に交互に配置されている。上面41aは、凸条部71の上端で形成されている。断面において凸条部71は、上側が凸となる円弧状に湾曲している。断面において凹条部72は、下側が凸となる円弧状に湾曲している。
【0023】
上面41aにローレット部70が設けられず平滑面であった場合、上面41aに生じた傷が目立ちやすくなる。凹凸形状が連続するローレット部70が上面41aに設けられている場合には、上面41aに達した光が屈折によって乱反射するため、傷を目立たなくすることができる。上面41aには、アルマイト皮膜・塗膜が成膜されているが、例えば、塵となるJIS試験にも用いられる関東ローム層7種の砂粒の最大粒子径は、7種の20%未満でありアルマイト皮膜・塗膜の厚さよりも大きい0.075mmである。砂粒によって上面41aに生じた傷は、アルマイト皮膜・塗膜の素地まで達する虞がある。凸条部71は、上側が凸となる円弧状に湾曲しているため、凸条部71に達した砂粒は堆積しないかぎり凹条部72に落下して収容されることによって傷が生じづらくなる。
【0024】
交差する傾斜面で凸条部と凹条部が形成されている場合、凸条部の上端がエッジとなり傷が生じやすくなるとともに、凹条部での塵となる砂粒の収容力が低下する。断面において凸条部71は、上側が凸となる円弧状に湾曲しており、上端がエッジではないため傷が生じづらくなる。断面において凹条部72は、下側が凸となる円弧状に湾曲しており、断面積が大きいため塵となる砂粒の収容力が大きいとともに、容易に清掃して砂粒を除去することが可能になる。
【0025】
凸条部71の上端から凹条部72の下端までの深さDとしては、0.2mm以上、2.0mm以下であることが好ましい。関東ローム層7種の砂粒の最大粒子径が0.075mmであることを考慮すると、深さDが0.2mm未満の場合には、堆積した砂粒を凹条部72に十分に収容できない可能性がある。深さDが2.0mmを超えた場合には、砂粒の収容力が過剰になる可能性があるとともに、建材アルミの製法の主力である押出成形が困難になる可能性がある。深さDが2.0mmを超えた場合には、上壁部41の最小厚さTが薄くなり、強度確保のために必要な0.9mmを維持できない。深さDを0.2mm以上、2.0mm以下とすることによって、砂粒の収容力、押出成形の維持及び上壁部41の強度を確保することができる。
【0026】
凸条部71の見込み方向のピッチPとしては、凹条部72の断面積が大きくなり、砂粒の収容力が向上することを考慮すると、1.0mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。
【0027】
側壁部42及び側壁部43は、上壁部41における見込み方向の両側から下側に延びる。側壁部42は、上壁部41における見込み方向の室内側の端部から下側に延びる。側壁部42は、下端に係合爪42aを有する。係合爪42aは、上側に臨む係合面を有する。係合爪42aの係合面は、下枠3の係合片81における係合爪81aの係合面に下側から係合する。側壁部43は、上壁部41における見込み方向の屋外側の端部から下側に延びる。側壁部43は、下枠3の突出片82に屋外側から係合する。突出片44は、上壁部41における見込み方向の中途の位置から下側に延びる。突出片44は、下端に傾斜片44aを有する。突出片44は、傾斜片44aよりも上側において、突出片82における傾斜片82aよりも上側に室内側から係合する。突出片44は、傾斜片44aが突出片82における傾斜片82aに下側から係合する。
【0028】
カバー部材40は、係合爪42aの係合面が係合爪81aの係合面に下側から係合し、傾斜片44aが傾斜片82aに下側から係合することによって、下枠3に対して上下方向に位置決めされる。側壁部43が突出片82に屋外側から係合し、突出片44が突出片82における傾斜片82aよりも上側に室内側から係合することによって、カバー部材40は、下枠3に対して見込み方向に位置決めされる。カバー部材40は、図6に矢印で示すように、下枠3に対して上側から装着することによって、図3及び図4に示すように、見込み方向及び上下方向に位置決めされて固定される。
【0029】
カバー部材50は、下枠3における溝部34に着脱可能に装着される。カバー部材50は、カバー部材40よりも屋外側に配置される。図4に示すように、カバー部材50は、上壁部51と、側壁部52、53と、を有する。
【0030】
上壁部51は、上側に位置する。上壁部51は、図8に示すように、上面51aが屋外側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜している。上面51aが屋外側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜することによって、上面51aに水が排水されやすくなり、溜まりづらくなる。上面51aが屋外側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜することによって、清潔な状態を継続することができる。上面51aは、床面23及び上面41aとともに移動面23Aの一部を形成する。上面51aにおける室内側の端部の高さ位置は、床面23の高さ位置と同一である。上壁部51における上面51aは、上述したローレット部70を有している。上面51aが傾斜するカバー部材50における凹条部72の深さDは、見込み方向で隣り合う凸条部71同士の中心位置における上面51aから凹条部72の下端までの距離である。
【0031】
側壁部52及び側壁部53は、上壁部51における見込み方向の両側から下側に延びる。側壁部52は、上壁部51における見込み方向の室内側の端部から下側に延びる。側壁部52は、下端から屋外側に延びる延出片52aと、延出片52aの先端から下側に延びる嵌合片52bと、嵌合片52bの下端から屋外側に延びる延出片52cと、を有する。延出片52aは、下枠3の延出片83aに上側から接する。嵌合片52bは、下枠3の嵌合片83に屋外側から接する。延出片52cは、下枠3の上面部31に上側から接する。側壁部53は、上壁部51における見込み方向の屋外側の端部から下側に延びる。側壁部53は、下端から屋外側に延びる延出片53aを有する。延出片53aは、下枠3の上面部31に上側から接するとともに、先端が内レール16に室内側から接する。
【0032】
カバー部材50は、嵌合片52b及び延出片53aが嵌合片83及び内レール16に見込み方向の内側から嵌め合わされることによって、下枠3に対して見込み方向に位置決めされる。カバー部材50は、延出片52aが延出片83aに上側から接し、延出片52cが上面部31に上側から接し、延出片53aが上面部31に上側から接することによって、図6に矢印で示すように、上側から装着されたときに下枠3に装着される。カバー部材50は、矢印で示すように、上側に移動させることによって、嵌合片52b及び延出片53aが嵌合片83及び内レール16からの嵌め合わせが解除されて下枠3から取り外される。カバー部材50は、下枠3に対して着脱可能である。カバー部材50を下枠3に対して取り外すことによって、カバー部材50を容易に清掃することが可能になる。
【0033】
カバー部材50は、見込み方向について戸車17Aよりも室内側に離れて配置されている。カバー部材50は、高さ方向について内障子7の下框11よりも下側に離れて配置されている。カバー部材50が戸車17Aよりも室内側に離れて配置され、下框11よりも下側に離れて配置されることによって、内障子7の開閉時にカバー部材50は接触しない。内障子7とカバー部材50が接触しないことによって、車椅子等の移動毎にカバー部材50を脱着する必要がなくなる。
【0034】
カバー部材60は、下枠3における溝部35に着脱可能に装着される。カバー部材60は、カバー部材50よりも屋外側に配置される。図5に示すように、カバー部材60は、上壁部61と、側壁部62、63と、突出片64、65と、を有する。
【0035】
上壁部61は、上側に位置する。上壁部61は、図8に示すように、上面61aが屋外側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜している。上面61aが屋外側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜することによって、上面61aに水が排水されやすくなり、溜まりづらくなる。上面61aが屋外側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜することによって、清潔な状態を継続することができる。上面61aは、床面23、上面41a及び上面51aとともに、移動面23Aの一部を形成する。上面61aにおける室内側の端部の高さ位置は、床面23の高さ位置と同一である。上壁部61における上面61aは、上述したローレット部70を有している。上面61aが傾斜するカバー部材60における凹条部72の深さDは、見込み方向で隣り合う凸条部71同士の中心位置における上面61aから凹条部72の下端までの距離である。
【0036】
側壁部62及び側壁部63は、上壁部61における見込み方向の両側から下側に延びる。側壁部62は、上壁部61における見込み方向の室内側の端部から下側に延びる。側壁部62は、下枠3の突出片84に室内側から接する。側壁部63における下側の端部は、下枠3の段部86aに上側から接するとともに、段部86aよりも上側の突出片86に室内側から接する。
【0037】
突出片64は、上壁部61における側壁部62よりも屋外側の位置において上壁部61から下側に延びる。突出片64は、下枠3の突出片84に屋外側から接するとともに、下端が段部84aに上側から接する。側壁部62と突出片64との間には、高さ方向に延び下側に開口する隙間66が形成される。隙間66には、突出片84の上側が嵌まり合う。
【0038】
突出片65は、上壁部61における見込み方向の側壁部63と突出片64との間の位置から下側に延びる。突出片65は、下枠3の突出片85における上側に室内側から接するとともに、下端が下枠3の段部85aに上側から接する。
【0039】
カバー部材60は、側壁部63が突出片86に室内側から接し、突出片65が突出片85に室内側から接し、側壁部62と突出片64との間の隙間66に突出片84が嵌まり合うことによって、下枠3に対して見込み方向に位置決めされる。カバー部材60は、隙間66に突出片84が嵌まり合うことによって、下枠3に対して保持される。カバー部材60は、側壁部63の下端が段部86aに上側から接し、突出片64の下端が段部84aに上側から接し、突出片65の下端が段部85aに上側から接することによって、図6に矢印で示すように、上側から装着されたときに下枠3に装着される。カバー部材60は、矢印で示すように、上側に移動させることによって、隙間66への突出片84の嵌め合わせが解除されて下枠3から取り外される。カバー部材60は、下枠3に対して着脱可能である。カバー部材60を下枠3に対して取り外すことによって、カバー部材60を容易に清掃することが可能になる。
【0040】
カバー部材60は、見込み方向について戸車17A及び戸車17Bと離れて配置されている。カバー部材60は、高さ方向について内障子7及び外障子8の下框11よりも下側に離れて配置されている。カバー部材60が戸車17A及び戸車17Bと離れて配置され、内障子7及び外障子8の下框11よりも下側に離れて配置されることによって、内障子7及び外障子8の開閉時にカバー部材60は接触しない。内障子7及び外障子8とカバー部材60が接触しないことによって、車椅子等の移動毎にカバー部材60を脱着する必要がなくなる。
【0041】
以上説明したように、実施形態の建具1におけるサッシ下枠構造30を用いたときには、カバー部材40、50、60が、凸条部71と凹条部72が見込み方向に交互に配置されたローレット部70を有しているため、室内から屋外に出入り可能とするカバー部材40、50、60に傷が付いても目立たなくすることができる。
【0042】
[第2実施形態]
第2実施形態の建具1について、図9を参照して説明する。図9において、図1から図8に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
第2実施形態の建具1におけるサッシ下枠構造30は、図9に示すように、屋外に設置された屋外構造物100に装着されたカバー部材90を有する。屋外構造物100は、例えば、バルコニー、テラス、駐車場である。屋外構造物100は、本体部101と、下枠3Aと、を有する。下枠3Aは、本体部101の室内側に固定されている。
【0044】
下枠3Aは、下枠3よりも屋外側に位置する。下枠3Aは、上面部131と、突起部32を構成する係合片181及び突出片182と、溝部36を有する。上面部131の高さ位置は、室内の床面23の高さ位置よりも低い。係合片181は、複数の突起部32のうち最も屋外側に位置する。係合片181は、室内側における上端に係合爪181aを有する。係合爪181aは、下側に臨む係合面を有する。突出片182は、係合片181よりも室内側に間隔をあけて配置されている。突出片182は、上面部131よりも上側に傾斜片182aを有する。傾斜片182aは、上側に向かうにつれて屋外側に向かう方向に傾斜している。
【0045】
溝部36は、上面部131と、突起部32を構成する外レール15と、によって形成される。溝部36は、上面部31を底面とする。
【0046】
カバー部材90は、下枠3Aにおける溝部36に装着される。カバー部材90は、下枠3Aに装着されたときに、下枠3Aに固定される。カバー部材90は、上壁部91と、側壁部92、93と、突出片94と、を有する。
【0047】
上壁部91は、上側に位置する。上壁部91は、水平に配置される。上壁部91の上面91aは、移動面23Aの一部を形成する。カバー部材90が下枠3Aに装着されたときに、上面91aの高さ位置は、床面23の高さ位置よりも低い。上壁部91における上面91aは、図7に示すように、上述したローレット部70を有している。
【0048】
側壁部92及び側壁部93は、上壁部91における見込み方向の両側から下側に延びる。側壁部92は、上壁部91における見込み方向の屋外側の端部から下側に延びる。側壁部92は、下端に係合爪92aを有する。係合爪92aは、上側に臨む係合面を有する。係合爪92aの係合面は、下枠3Aの係合片181における係合爪181aの係合面に下側から係合する。側壁部93は、上壁部91における見込み方向の室内側の端部から下側に延びる。側壁部93は、下枠3Aの突出片182に室内側から係合する。突出片94は、上壁部91における見込み方向の中途の位置から下側に延びる。突出片94は、下端に傾斜片94aを有する。突出片94は、傾斜片94aよりも上側において、突出片182における傾斜片182aよりも上側に屋外側から係合する。突出片94は、傾斜片94aが突出片182における傾斜片182aに下側から係合する。
【0049】
カバー部材90は、係合爪92aの係合面が係合爪181aの係合面に下側から係合し、傾斜片94aが傾斜片182aに下側から係合することによって、下枠3Aに対して上下方向に位置決めされる。側壁部93が突出片182に室内側から係合し、突出片94が突出片182における傾斜片182aよりも上側に屋外側から係合することによって、カバー部材90は、下枠3Aに対して見込み方向に位置決めされる。カバー部材90は、下枠3Aに対して上側から装着することによって、見込み方向及び上下方向に位置決めされて固定される。
【0050】
実施形態の建具1を用いたときには、カバー部材90が、凸条部71と凹条部72が見込み方向に交互に配置されたローレット部70を有しているため、屋外に設置されたカバー部材90に傷が付いても目立たなくすることができる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0052】
例えば、実施形態で例示したカバー部材の数は一例であり、5つ以上設置される構成であってもよい。実施形態では、カバー部材40の上面41a、91aが水平面と平行である構成を例示したが、上面51a、61aと同様に、屋外側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜する構成であってもよい。
【0053】
実施形態で例示したカバー部材40、90は、下枠3、3Aにそれぞれ固定される構成を例示したが、カバー部材50、60と同様に、下枠3、3Aにそれぞれ着脱可能に装着される構成であってもよい。
【0054】
実施形態では、遮蔽体として内障子7と外障子8を例示したが、この構成に限定されない。遮蔽体は、シャッターであってもよいし、内障子7と外障子8に加えてシャッターが設けられる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…建具、3、3A…下枠、5…枠体、7…内障子、8…外障子、20…外壁、21…開口部、23…床面、23A…移動面、30…サッシ下枠構造、31…上面部、32…突起部、33、34、35、36…溝部、40、50、60、90…カバー部材、41、51、61…上壁部、41a、51a、61a、91a…上面、42、43、52、53、62、63…側壁部、70…ローレット部、71…凸条部、72…凹条部、100…屋外構造物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9