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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005169
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】建設機械の表示制御装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240110BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E02F9/20 H
E02F9/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105238
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】乕田 雅明
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA06
2D003DA04
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作者が必要なタイミングで操作パターンの変更を直感的に認識できる建設機械の表示制御装置を提供する。
【解決手段】第1表示部(DpA)に、建設機械の状態量を表すメータ(Ic1,Ic2,Ic3)を表示させ、第1表示部の下方に配置した第2表示部に、建設機械の原動機の回転数(Ic4)と、建設機械の稼働時間(Ic5)と、建設機械の現在の操作パタ-ン情報(Ic6)を表示させる建設機械の表示制御装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の操作装置の操作パターンを切り換えるための情報を切り換え操作に従い表示装置の表示部に表示させる建設機械の表示制御装置であって、前記表示部は、第1表示部と前記第1表示部の下方に配置された第2表示部を備え、 前記表示制御装置は、前記第1表示部に、前記建設機械の状態量を表すメータを表示させ、前記第2表示部に、前記建設機械の原動機の回転数と、前記建設機械の稼働時間と、前記建設機械の現在の操作パタ-ン情報を表示させる建設機械の表示制御装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記第1表示部の上方に配置された第3表示部を備え、前記表示装置は、前記第3表示部に、異常を検知した前記建設機械の機器に対応する機器アイコンと、前記建設機械に設定した機能に対応する第1機能アイコンを表示させ、前記第2表示部に前記第1機能アイコンと異なる、前記建設機械に設定した機能に対応する第2機能アイコンを表示させる請求項1記載の建設機械の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を、前記第2機能アイコンを表示させる位置からずらした位置に表示させる請求項2記載の建設機械の表示装置。
【請求項4】
前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を、前記第2機能アイコンを表示させる位置から側方にずらした位置に表示させる請求項3記載の建設機械の表示装置。
【請求項5】
前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を、前記第2機能アイコンを表示させる位置から下方にずらした位置に表示させる請求項4記載の建設機械の表示装置。
【請求項6】
前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を前記原動機の回転数に隣接して表示させる請求項1から5記載の何れか1項に記載の建設機械の表示制御装置。
【請求項7】
前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を、前記原動機の回転数と前記建設機械の稼働時間の間に表示させる請求項6記載の建設機械の表示装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の操作パターン切替装置として、操作パターン切替スイッチのなから選択した操作パターンに対応する表示器(表示装置)に配置された表示灯を点灯させることによって、操作者に現在建設機械に設定されている操作パターンを認知させる建設機械の操作パターン切替装置が知られている。(特許文献1参照)
【0003】
建設機械の表示装置は、ラジエータ水温、燃料量、及び稼動時間等などの稼動に係わる状態量の他、バッテリ、ラジエータ水温、シートベルト未装着等の異常警告だけでなく、走行モータの現在の段数、オートアイドル、など各種機能が有効であることを報知する表示をする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-270363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建設機械の表示装置の表示は、運転の始動時、運転中、運転終了前で操作者の表示の認識に対する優先度が異なる。
【0006】
例えば、操作パターンについては、エンジンを始動させて、エンジン回転数を目標のエンジン回転数まで上げ、操作レバーを動かした後は、操作者は、操作パターンよりは、状態量や警告等の表示を優先てきに認識すべきであり、先行技術は、運転の一連の流れの中で操作者が優先して認識すべき表示を考慮して操作パターンを認知させる表示を行っていない。
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、その課題は、運転の一連の流れの中で、優先して認識すべき表示を認識し易くしながら、操作者が必要なタイミングで操作パターンの変更を直感的に認識できる建設機械の表示制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様に係る建設機械の表示制御装置は、建設機械の操作装置の操作パターンを切り換えるための情報を切り換え操作に従い表示装置の表示部に表示させる建設機械の表示制御装置であって、前記表示部は、第1表示部と前記第1表示部の下方に配置された第2表示部を備え、前記表示制御装置は、前記第1表示部に、前記建設機械の状態量を表すメータを表示させ、前記第2表示部に、前記建設機械の原動機の回転数と、前記建設機械の稼働時間と、前記建設機械の現在の操作パターン情報を表示させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転の一連の流れの中で、優先して認識すべき表示を認識し易くしながら、操作者が必要なタイミングで操作パターンの変更を直感的に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの制御システムの模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの表示装置のホーム画面の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの表示装置のホーム画面の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの表示装置の操作部の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの表示装置の設定メニュー画面の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの表示装置の操作パターン設定画面の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの表示装置の操作パターン設定画面の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの表示装置の操作パターン設定変更後のホーム画面の一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの表示制御装置の制御フローのフローチャート図である。
図11】本発明の一実施形態の変形例に係る油圧ショベルの表示装置のホーム画面の一例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態の変形例に係る油圧ショベルの表示装置のホーム画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る建設機械の表示制御装置を有する建設機械の代表例として油圧ショベル100を例に挙げ図1及び図2を参照しつつ詳細に説明する。なお上部旋回体300に作業装置400が配置されている方向を前方としその反対方向を後方とする。
【0012】
油圧ショベル100は、自走可能な下部走行体200と、下部走行体200上に旋回可能に支持された上部旋回体300と、上部旋回体300の前方に上下に回動可能に支持された作業装置400と制御システム500を備えて構成されている。
【0013】
作業装置400は、上部旋回体300の先端部に水平方向に回動するように支持されたスイングポスト410と、スイングポスト410に上下に回動可能に支持されたブーム420と、ブーム420の先端に上下に回動可能に装着されたアーム430と、アーム430の先端に回動可能に装着されたバケット450と、上部旋回体300の下方に設置され、スイングポスト410を水平方向に回動させるスイングシリンダ(図示せず)と、ブーム420の前方かつ下方に設置された、ブーム420を動かすブームシリンダ460と、ブーム420の上方に設置され、アーム430を動かすアームシリンダ470と、アーム430の前方に設置され、バケットリンク440を介してバケット450を動かすバケットシリンダ480により構成されている。
【0014】
下部走行体200は、センターフレーム210とセンターフレーム210に左右対称に対をなし前後方向に延びるサイドフレーム211a,211bを有しており、左側方のサイドフレーム211aの後端には左走行モータ(図示せず)により駆動する駆動輪212aが設置され、前方に向け複数の遊動輪213aが配置されており、そして駆動輪212aと遊動輪213aは、履帯214aが巻装され、右側方のサイドフレーム211bの後端には右走行モータ(図示せず)により駆動する駆動輪212b(図示せず)が設置され、前方に向け複数の遊動輪213b(図示せず)が配置されており、そして駆動輪212bと遊動輪213bは、履帯214bが巻装され、センターフレーム210前方には、排土装置220が装着されている。
【0015】
上部旋回体300は、後端に設置されたカウンタウエイト310と、カウンタウエイト310から前方に延設された機体フレーム320と、機体フレーム320の先端に設置されたスイングポスト410とカウンタウエイト310の間に配置された運転席330と、運転席330の後部に配置された座席331の下方に設置された機関室340から構成されている。
【0016】
運転席330は、操作装置332と、座席331と、座席331の下方の機関室340の前方の壁面から前方に向けて延び機体フレーム320の上方に形成されされた床材333から形成される。
【0017】
機関室340には、エンジン(図示せず)と、エンジンにより駆動し、ブームシリンダ460やアームシリンダ470等の油圧ショベル100を動かす複数のアクチュエータに作動油を圧送する可変容量ポンプ511と、床材333の下方に配置され、複数のアクチュエータを制御するコントロールバルブ514、とコントロールバルブ514に入力される制御信号圧(パイロット圧)及び可変容量ポンプ511の流量を制御するレギュレータ511aに入力されるパイロット圧の1次圧を生成するパイロットポンプ512等の複数の機器が配置されている。
【0018】
操作装置332は、操作方向および操作量を電気信号として出力することにより、制御装置540を介して各アクチュエータを操作することができる。
【0019】
操作装置332は、運転席330の前方に左右に列設され、床材333から突設された左走行レバー332a及び右走行レバー332bと、座席331の左右に配置されたコンソールボックスに立設された左操作レバー332cと、右操作レバー332d等から構成されている。
【0020】
左操作レバー332cと、右操作レバー332dは、ブーム操作、アーム操作、バケット操作及び旋回操作操作がそれぞれ割り振られており、それらの操作割り付けの組み合わせ(操作パターン)は4種類存在し、操作者は、右操作レバー332dの前方に配置された表示装置334を操作することにより、操作パターンを任意に選択することができる。
【0021】
続いて、図2を用いて油圧ショベル100の制御システム500について説明する。
【0022】
制御システム500は、油圧回路510と、検知装置520と、設定スイッチ530と、制御装置540と、操作装置332と、表示装置334から構成されている。
【0023】
油圧回路510は、可変容量ポンプ511から延設される高圧の作動油配管を実線で表し、パイロットポンプ512から延設される低圧の作動油(パイロット圧)配管を点線で表す。
【0024】
油圧回路510は、可変容量ポンプ511から延びるセンターバイパス流路513と、センターバイパス流路513から延びる油路とそれぞれ接続する各アクチュエータを制御する方向切換弁から構成されるコントールバルブ514からなり、油圧回路510は、方向切換弁のスプールの摺動位置にかかわらずセンターバイパス流路513からタンク515につながる流路は形成されないいわゆるクローズドセンター回路であるが、これに限定されるものではない。
【0025】
コントールバルブ514は、アームシリンダ470を制御する方向切換弁514aと、旋回モータ516を制御する方向切換弁514bと、左右の走行モータと、ブームシリンダ460と、バケットシリンダ480等の複数の他のアクチュエータをそれぞれ制御する複数の他の方向切換弁からなり、複数の他のアクチュエータと複数の他の方向切換弁については、油圧回路510には、記載を省略している。またコントールバルブ514を構成する方向切換弁のパイロット圧の入力ポートには電磁比例弁517を介してパイロットポンプ512と連結している。
【0026】
方向切換弁514aのパイロット圧の入力ポート514a1,514a2には、左操作レバー332c又は右操作レバー332dの操作の方向と操作量(傾倒量)に応じて電磁比例弁517a1,電磁比例弁517a2から減圧されたパイロット圧が入力されることによって方向切換弁514aのスプールが摺動し、対応するスプールの開口量に応じた油がアームシリンダのロッド側又はボトム側に流れ、アームにダンプ動作又はクラウド動作を行わせる。
【0027】
方向切換弁514bのパイロット圧の入力ポート514b1,514b2には、左操作レバー332c又は右操作レバーの方向と操作量に応じて電磁比例弁517b1,電磁比例弁517b2から減圧したパイロット圧が入力されることによって方向切換弁515bのスプールが摺動し、対応するスプールの開口量に応じた油が旋回モータ516に流れ、上部旋回体300は、左又は右に旋回する。
【0028】
ブームシリンダ460と、バケットシリンダ480についても、左操作レバー332c又は右操作レバーの操作の方向と操作量(傾倒量)に応じて上げ動作又は、下げ動作、ダンプ動作又はクラウド動作を行う。
【0029】
検知装置520は、エンジン冷却水の温度を検知する水温センサ521と、作動油の温度を検知する作動油センサ522と、バッテリの電流、電圧及び温度を検知するバッテリセンサ523と、シートベルとの装着の有無を検知するシートベルトセンサ524を含み、油圧ショベルの機器の状態を検知するものであり、検知装置の出力信号は、制御装置540に入力される。
【0030】
設定スイッチ530は、走行モータの1速2速を選択する走行スイッチ531と、エンジン回転を低下させ低燃費のモードに設定するエコモードスイッチ532を含み油圧ショベルの設定を簡易に切り換えるものである。そして設定スイッチ530の信号は、制御装置540に入力される。
【0031】
操作装置332は、左走行レバー332a及び右走行レバー332bと、左操作レバー332cと、右操作レバー332d等から構成されており、操作装置332から出力される信号は、制御装置540に入力される。
【0032】
制御装置540は、ECU(
電子制御ユニット)であり、デジタル入力信号の信号レベルの変換を行う入力バッファ及びアナログ入力信号のデジタル変換を行うADコンバータと、各種入力信号から制御量の演算を行うマイコンからなる演算部541と、マイコンの出力信号に従いアクチュエータを駆動させる駆動信号の形態に変換させる出力ドライバと通信ドライバ,通信レシーバ等から構成される。
【0033】
制御装置540に入力される信号は、制御装置540に向かう矢印が先端にある一点鎖線で表現され、制御装置540から出力される信号は、信号が入力される機器に向かう矢印が先端にある一点鎖線で表現される。
【0034】
演算部541は、記憶部542と、実行処理部543と、設定変更処理部544を有する。
【0035】
記憶部542には、検知装置520の異常検知判定のための閾値情報のほか、エンジン回転数に対する複数の制御モード(機能)と、左操作レバー332cと右操作レバー332dの操作に対して操作信号が入力されるアーム、バケット、ブーム及び旋回動作を制御するコントロールバルブ514の電磁比例弁517の組み合わせ、つまり左操作レバー332cと、右操作レバー332dの操作によるアーム、バケット、ブーム及び旋回の操作の組み合わせ(操作パターン)の情報と現在設定されている操作パターン等が記憶されている。
【0036】
記憶部542に記憶されているエンジン回転数に対する複数の制御モード(機能)としては、エンジン回転数を下げ燃費を優先したエコモードと、操作装置332が一定時間操作されないことを条件にエンジン回転数をローアイドル状態とするオートアイドル機能と、乗降遮断レバーを上げた状態で一定時間経過経過した場合にエンジンを自動停止するオートストップ機能がある。
【0037】
記憶部542に記憶されている操作パターンは、Aパターン、Bパターン、Cパターン及びDパターンの4つの組み合わせである。
【0038】
Aパターンは、左操作レバー332cの前方傾倒操作にアームダンプ、後方傾倒操作にアームクラウド、左方傾倒操作に左旋回、右方傾倒操作に右旋回が割り付けられている。そして右操作レバー332dの前方傾倒操作にブーム下げ、後方傾倒操作にブーム上げ、左方傾倒操作にバケットクラウド、右方傾倒操作にバケットダンプが割り付けられている。
【0039】
Bパターンは、左操作レバー332cの前方傾倒操作に右旋回、後方傾倒操作に右旋回、左方傾倒操作にアームダンプ、右方傾倒操作にアームクラウドが割り付けられている。そして右操作レバー332dの前方傾倒操作にブーム下げ、後方傾倒操作にブーム上げ、左方傾倒操作にアームクラウド、右方傾倒操作にアームダンプが割り付けられている。
【0040】
Cパターンは、左操作レバー332cの前方傾倒操作にブーム下げ、後方傾倒操作にブーム上げ、左方傾倒操作にバケットダンプ、右方傾倒操作にバケットアームが割り付けられている。そして右操作レバー332dの前方傾倒操作にアームダンプ、後方傾倒操作にアームクラウド、左方傾倒操作に左旋回、右方傾倒操作に右旋回が割り付けられている。
【0041】
Dパターンは、左操作レバー332cの前方傾倒操作にブーム下げ、後方傾倒操作にブーム上げ、左方傾倒操作にバケットダンプ、右方傾倒操作にバケットアームが割り付けられている。そして右操作レバー332dの前方傾倒操作にアームクラウド、後方傾倒操作にアームダンプ、左方傾倒操作に左旋回、右方傾倒操作に右旋回が割り付けられている。
【0042】
実行処理部543は、記憶部542の閾値情報と検知装置520の入力信号に基づき機器の異常判定を行い、機器の異常信号を表示装置334に出力させる。
【0043】
実行処理部543は、操作装置332の出力信号にもとづきコントロールバルブ514の電磁比例弁517に信号を出力させる。特に左操作レバー332cと、右操作レバー332dの出力信号に対しては、現在設定されている操作パターンに基づき電磁比例弁517に信号を出力させる。
【0044】
実行処理部543は、走行スイッチ531で走行2速を選択されると、走行モータの斜板を傾斜させる信号を走行モータの斜板変更手段(図示せず)に出力させ、表示装置334に走行2速が設定された信号を出力する。
【0045】
エコモードスイッチ532が押下されると、エンジンECU(図示せず)にエコモードとして記憶されたエンジン回転数設定指令信号を出力させ、表示装置334にエコモードが設定された信号を出力させる。
【0046】
実行処理部543は、操作装置332の出力信号にもとづき、電磁比例弁518に信号を出力させる。電磁比例弁518によって減圧されたパイロット圧は、レギュレータ511aに入力され、可変容量ポンプ511の吐出する作動油の流量を制御する。つまり操作装置332の操作量の減少に伴い、可変容量ポンプ511の流量は減少し、操作装置332の操作量の増加に伴い可変容量ポンプ511の流量は増加する。
【0047】
設定変更処理部544は、表示装置334の操作パターンの変更操作によって表示装置334から発信させる操作パターン変更信号により、記憶部542に記憶されている現在設定されている操作パターンを変更された操作パターンに更新する。
【0048】
設定変更処理部544は、表示装置334により、オートアイドル機能、オートストップ機能を有効にする操作により、記憶部542に記憶されているこれらの機能を無効状態から有効状態に更新する。
【0049】
オートアイドル機能、オートストップ機能を有効にすると実行処理部543は、所定の条件を満たすことによりこれらの機能を実行する。
【0050】
表示装置334は、表示部334aと、制御部334bと、操作部334cから構成されている。
【0051】
表示部334aは、液晶ディスプレイであるがこれに限定されるものでなく、有機ELディスプレイであってもよい。
【0052】
制御部334bは、ECU(電子制御ユニット)であり、表示部334aに画像を表示させる制御を実行し、操作部334cの操作を反映させた画像の表示だけでなく、制御装置540の出力信号に基づく画像表示の制御を実行している。
【0053】
操作部334cは、ジョグダイヤルであるが、これに限定されるものでなくタッチパネル方式の操作や押しボタン方式の操作具であってもよい。
【0054】
続いて本発明に係る建設機械の表示制御装置の表示制御について図3図4を参照しつつ詳細に説明する。なお図面中の点線は表示画面の領域を表すためのものであり実際の表示装置334に表示されるわけでない。
【0055】
図3は、表示部333aに表示されるホーム画面Dp1である。
【0056】
ホーム画面Dp1は、第1表示部DpAと、第2表示部DpBと、第3表示部DpCから構成されている。
【0057】
第1表示部DpAは、画面中心部に位置し、燃料の残量をバーの高さで表示する燃料メータIc1と、作動油の温度を回動する針の位置で表示する作動油温度メータIc2と、冷却水の温度を回動する針の位置で表示する冷却水温メータIc3が画面左端から右端にかけて並んで表示される。この結果、操作者が油圧ショベル100で作業中に、油圧ショベルの燃料残量、作動油温度及び冷却状態なの状態量を簡易に確認できる。
【0058】
第2表示部DpBは、第1表示部DpAの下方に位置し、画面の下部に位置する。第2表示部DpBの左下端には、エンジン回転数Ic4が表示され、右下端には、アワメータIc5が表示されている。エンジン回転数Ic4の右隣りには、現在の操作パターンを表すアイコンIc6(Ic6A)が表示されている。操作者は、油圧ショベル100のキーオン直後、エンジン回転数Ic4を見ながらアクセルボリュームを高回転数側に回しながら操作パターンを視認できるため、誤操作を防止することができる。また操作パターンは、操作中には、特に認識する優先度の低い表示なので、操作パターンが画面下部にあることにより、作業中に優先度の高い表示の視認性を妨げることがない。
【0059】
なお第2表示部DpBのエンジン回転数Ic4上方には、後述するオートアイドル機能を有効にした際に現れるアイコンの表示スペースとオートストップ機能を有効にした際に現れるアイコンの表示スペースを設けており、アイコンIc6はこれらのスペースから側方かつ下方にずらした位置で表示されている。
【0060】
アイコンIc6は、操作レバーのシンボルとしての円と円を中心として上方下方左右側方に配置された矢印のアイコンとその隣に配置された操作パターンを表すアルファベットのアイコンから形成されているがこれに限定されるものでなくアルファベットのアイコンのみでもよい。
【0061】
第3表示部DpCは、第1表示部DpAの上方に位置し、画面の上部に位置する。第3表示部DpCの右端上部には、走行モータの1速2速の何れかを表すアイコンIc7(Ic71)が表示される。Ic71は、ウサギの形状のアイコンで現在走行モータが2速であることを表示しているが、走行モータが1速の場合は、カメの形状のアイコンが現れる。アイコンIc7の左隣には、後述するエコモードが有効である時に現れるアイコンを表示するスペースが設けられている。つまり第3表示部DpCの右端上部のスペースは、油圧ショベル100の機能を有効にした際、有効にした機能を表すアイコンを表示するスペースであり、第2表示部DpCは、画面の中で視認しやすい位置にあることから、使用頻度の多い油圧ショベル100の機能を有効にした際、有効にした機能を表すアイコンを表示する。特に本実施形態では、設定スイッチ530に割り振られた機能が表示される。
【0062】
第3表示部DpCの左端上部には、異常のある油圧ショベル100の機器のアイコンを表示するスぺースが配置されている。
【0063】
第3表示部DpCには、有効にした機能を表すアイコンと異常のある油圧ショベル100の機器のアイコンを左右に分けて表示しているが左右の位置を入れ替えて表示してもよく、これらのアイコンを上下に分けて表示してもよく、空いているスペースに告知すべき警告をアイコンやテキストで表示してもよい。これらの構成によれば操作者が操作中にもっとも優先的に認知すべき表示を認識し易く表示することができる。
【0064】
ホーム画面Dp2は、ホーム画面Dp1に、油圧ショベル100の機器の異常を表すアイコンと追加的に有効にした油圧ショベル100の機能を表すアイコンを表示した画面である。
【0065】
バッテリ、エンジン冷却水及びシートベルの未装着の信号が表示装置334に入力されると、ホーム画面Dp2の第3表示部DpCの左端上部のスペースには、左からバッテリ異常を示すアイコンIc8と、エンジン冷却水異常を示すアイコンIc9と、シートベルの未装着を示すアイコンIc10が表示される。アイコンIc8、Ic9及びIc10は、機器の異常の危険度に応じて赤色または黄色に設定してもよい。
【0066】
エコモードスイッチ532が押下されると、走行モータの1速2速の何れかを表すアイコンIc7の隣にエコモードが設定されたことを示すアイコンIc11が表示される。アイコンIc7とIc11は、機器の異常を表すアイコンIc8、Ic9及びIc10と区別するために緑色に設定してもよい。
【0067】
表示装置334により、オートデセル機能とオートストップ機能が設定されると、ホーム画面Dp2の第2表示部DpBの左端上部のスペースには、オートデセル機能が設定されたことを示すアイコンIc12とオートストップ機能が設定されたことを示すアイコンIc13を表示する。
【0068】
第2表示部DpBには、アイコンIc7とIc11は、表示されることがなく、第3表示部DpCには、アイコンIc12とIc13は表示されることはない。第2表示部DpAには、第3表示部DpCに表示される油圧ショベル100の機能に対応するアイコンは、表示されず、第3表示部DpCに表示されない油圧ショベル100の機能に対応するアイコンすなわち第3表示部DpCに表示されるアイコンと異なるアイコンが表示される。この構成によれば運転中に認識する優先度の低いアイコンを画面下部に集めることにより、運転の一連の流れの中で、
優先して認識すべき表示を認識し易くしながら、操作者が必要なタイミングで操作パターンの変更を直感的に認識できる。
【0069】
続いて図3図5図9を用いて操作パターンの変更方法について説明する。
【0070】
操作パターンの変更は、表示部334aに表示される画面を操作部334cで操作することにより行われる。
【0071】
図5は、操作部334cであるジョグダイヤルの模式図である。操作部334cは、操作ダイヤル334c1と、決定ボタン334c2と、ホームボタン334c3と、設定メニューボタン334c4を有している。
【0072】
表示部334aにホーム画面Dp1が表示されている時に、設定メニューボタン334c4を押下するとホーム画面Dp1は、設定メニュー画面Dp3に遷移する。
【0073】
図6は、表示部333aに表示される設定画面Dp3である。設定メニュー画面Dp3は、ホーム画面Dp1の第2表示部DpBのあった位置に各種設定もしくは、油圧ショベル100の機器情報を確認するための設定アイコンが表示される第4表示部DpDが配置されている。
【0074】
第4表示部DpDには、より詳細機能の設定を行うための画面に遷移するためのアイコンIc14、機器のエラーの来歴を確認ための画面に遷移するためのアイコンIc15、オートアイドル機能を有効にするための画面に遷移するためのアイコンIc16、オートストップ機能を有効にするための画面に遷移するためのアイコンIc17と、操作パターンを選択するための画面に遷移するためのアイコンIc18が表示されている。
【0075】
第4表示部DpDに表示されたアイコンの何れか一つのアイコンは常にハイライトされており、操作ダイヤル334c1を回転させることにより、ハイライトさせるアイコンを選択することができ、決定ボタン334c2を押下することより、設定メニュー画面Dp3からアイコンに設定されている画面に遷移させることができ、図6では、アイコンIc18がハイライトされており、決定ボタン334c2を押下すると、設定メニュー画面Dp3から操作パターン設定画面Dp4に遷移される。
【0076】
図7および図8は、表示部333aに表示される操作パターン設定画面Dp4である。
【0077】
操作パターン設定画面Dp4は、上部には、画面の説明のテキストIc19が表示され、その下方には、上方から下方にかけて、操作パターンを示すアイコンIc20,Ic21,Ic22,Ic23が並べられている。操作パターンを示すアイコンは丸の形状と操作パターンを表すアルファベットで形成されており、現在の操作パターンのアイコンの丸の部分が黒色になっている。
【0078】
図7では現在の操作パターンは、Aパターンに設定されており、操作ダイヤル334c1を回転させることによって、変更するパターンのアイコンをハイライトさせ、決定ボタン334c2を押下することにより、ハイライトされたアイコンの丸部分は黒くなり、変更前のアイコンの丸部分は白くなる。図8では、Bパターンに設定されている。
【0079】
図8の操作パターン設定画面Dp4が表示部333aに表示された状態でホームボタン334c3を押下すると操作パターン設定画面Dp4は、ホーム画面Dp5に遷移する。
【0080】
ホーム画面Dp5のアイコンIc6は、操作パターンがBパターンを示すIc6Bとなる。
【0081】
なお操作パターンを変更する際、乗降遮断レバーを上げた状態(操作装置332を操作不能状態)にしなければ、操作パターンの変更を受け付けなくすることもでき、その場合は、設定画面Dp3でアイコンIc18を選択することができない。これにより安全に操作パターンを変更できるだけでなく、操作パターン変更直後は、操作不能状態であることから、操作者は、現在設定された操作パターンを認識しやすくなる。
【0082】
図10を用いて制御フローについて説明する。図10は制御方法に係るフローチャートである。
【0083】
オートデセル及びオートストップを設定すると(S1)ホーム画面Dp1の第2表示部DpBにアイコンIc12,IC13を表示させる。(S2)
【0084】
エコモードスイッチ532が押下されると(S3)ホーム画面Dp1の第3表示部DpCにアイコンIc11を表示させる。(S4)
【0085】
制御装置540が、バッテリ異常、冷却水異常及びシートベルト非装着を検知した場合(S5:YESの場合)ホーム画面Dp1の第3表示部DpCにアイコンIc8,Ic9,Ic10を表示させる。(S6)
【0086】
制御装置540が、バッテリ異常、冷却水異常及びシートベルト非装着を検知しない場合(S5:NOの場合)ホーム画面Dp1は、S4の表示状態を維持させる。
【0087】
制御装置540は、上記ステップS1~S6の処理を繰り返して実行する。図10に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0088】
図11を用いて、本発明の実施形態の変形例について説明する。
【0089】
図11の変形例のホーム画面Dp6は、第3表示部DpCに機器の異常を知らせるアイコンIc8,Ic9,Ic10の表示と共に何かしらの異常が発生したことを知らせるアイコンIc24と共にテキスト「エラー発生中」Ic25を表示させる。
【0090】
本発明の実施形態の他の変形例として、第1表示部DpAと第2表示部DpBの間に、油圧ショベル100の周囲の監視画像を映す領域を設けてもよい。その際、第1表示部DpAと第3表示部DpCの領域を狭くしてもよい。
【0091】
続いて図12を用いて、本発明の他の実施形態について説明する。
【0092】
図12は、表示部333aに表示されるホーム画面Dp7であり、Ic6が表示される位置が異なる点以外は、実施形態と同一である。Ic6が表示される位置が、エンジン回転数Ic4の上方でかつIc12、Ic13の側方にずれた位置に表示される。Ic6は、Ic13の右側方に表示されているが、第2表示部の右側方側に表示されていてもよく、いずれにしても運転の一連の流れの中で、優先して認識すべき表示を認識し易くしながら、操作者が必要なタイミングで操作パターンの変更を直感的に認識できる。
【0093】
上述の本実施形態及び他の実施形態に係る建設機械の表示制御装置は、以下のように特定することができる。
【0094】
〈付記1〉建設機械の操作装置の操作パターンを切り換えるための情報を切り換え操作に従い表示装置の表示部に表示させる建設機械の表示制御装置であって、前記表示部は、第1表示部と前記第1表示部の下方に配置された第2表示部を備え、前記表示制御装置は、前記第1表示部に、前記建設機械の状態量を表すメータを表示させ、前記第2表示部に、前記建設機械の原動機の回転数と、前記建設機械の稼働時間と、前記建設機械の現在の操作パターン情報を表示させる建設機械の表示制御装置。
【0095】
〈付記2〉前記表示部は、前記第1表示部の上方に配置された第3表示部を備え、前記表示装置は、前記第3表示部に、異常を検知した前記建設機械の機器に対応する機器アイコンと、前記建設機械に設定した機能に対応する第1機能アイコンを表示させ、前記第2表示部に前記第1機能アイコンと異なる、前記建設機械に設定した機能に対応する第2機能アイコンを表示させる付記1記載の建設機械の表示制御装置。
【0096】
〈付記3〉前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を、前記第2機能アイコンを表示させる位置からずらした位置に表示させる付記1又は付記2記載の建設機械の表示制御装置。
【0097】
〈付記4〉前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を、前記第2機能アイコンを表示させる位置から側方にずらした位置に表示させる付記1から付記3記載の何れかに記載の建設機械の表示制御装置。
【0098】
〈付記5〉前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を、前記第2機能アイコンを表示させる位置から下方にずらした位置に表示させる付記1から付記4記載の何れかに記載の建設機械の表示制御装置。
【0099】
〈付記6〉前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を前記原動機の回転数に隣接して表示させる付記1から付記5記載の何れかに記載の建設機械の表示制御装置。
【0100】
〈付記7〉前記表示制御装置は、前記操作パターン情報を、前記原動機の回転数と前記建設機械の稼働時間の間に表示させる付記1から付記6記載の何れかに記載の建設機械の表示制御装置。
【0101】
上記で説明した他の実施形態、変形例又は実施形態で説明した種々の構成は、適宜組み合わせて採用可能である。
【0102】
以上では、建設機械として、油圧ショベルを例に挙げて説明したが、建設機械は油圧ショベルに限定されず、ホイルローダーや、コンパクトトラックローダなどの他の建設機械であってもよく、さらに原動機としてエンジンを挙げて説明したが電動モータでもよくその場合は、建設機械の表示制御装置は、表示装置の表示部にエンジン回転数に替え電動モータの回転数を表示してもよい。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で拡張又は、変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、建設機械の表示制御装置に関するものであり産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0105】
DpA 第1表示部DpB 第2表示部Ic1 燃料メータ(メータ)Ic2 作動油温度メータ(メータ)Ic3 冷却水温メータ(メータ)Ic4 エンジンの回転数(原動機の回転数)Ic5 アワメータ(稼働時間)Ic6 操作パターンを表すアイコン(操作パタ-ン情報)


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12