(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051695
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像表示システム、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A61B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157989
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518110280
【氏名又は名称】株式会社ロッケン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】坂本 泰一
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】ジャケ クレモン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ステフェン
(72)【発明者】
【氏名】ピト ヘクトル
(72)【発明者】
【氏名】ボシェ エドガル
(72)【発明者】
【氏名】エン トマ
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 亮介
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XD40
4C117XE13
4C117XE46
4C117XG03
4C117XG14
4C117XK09
4C117XK19
4C117XR09
(57)【要約】
【課題】生体組織を表す3次元画像の生成に用いられ得る2次元画像が取得された、拍動の周期におけるタイミングを示す情報を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて得られた断面画像を取得し、取得した断面画像を解析して、当該断面画像における前記内腔の断面の重心位置を算出し、前記センサの移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行し、前記センサの移動方向における位置ごとに、算出した重心位置と、前記スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、取得した断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアを導出する制御部を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて得られた断面画像を取得し、取得した断面画像を解析して、当該断面画像における前記内腔の断面の重心位置を算出し、前記センサの移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行し、前記センサの移動方向における位置ごとに、算出した重心位置と、前記スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、取得した断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアを導出する制御部を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアに応じて、取得した断面画像を選択するかどうかを決定し、前記複数の位置のうち少なくとも幾つかの位置について得られた選択画像群から、前記生体組織を表す3次元画像を生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが設定範囲内である場合は、取得した断面画像を選択し、得られた選択画像を前記3次元画像の生成又は更新に利用し、当該拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、当該断面画像を選択しない請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが設定範囲内である場合は、取得した断面画像を選択し、得られた選択画像を前記3次元画像の生成又は更新に利用し、当該拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工し、得られた加工画像を前記3次元画像の生成又は更新に利用する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記設定範囲を変更する操作を受け付けると、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像を前記3次元画像の更新に利用し、当該拍動スコアが前記変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工して得られた画像を前記3次元画像の更新に利用する請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記設定範囲を順次変更し、前記設定範囲を変更する度に、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像を前記3次元画像の更新に利用し、当該拍動スコアが前記変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工して得られた画像を前記3次元画像の更新に利用する請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、取得した断面画像と、前記設定範囲とを学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルから出力された加工後の断面画像を前記加工画像として得る請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記学習済みモデルとして、人工知能を用いたモジュールにより生成又は更新されたモデルを用いる請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記3次元画像を表示するディスプレイと
を備える画像表示システム。
【請求項10】
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて得られた断面画像と、当該断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアとを取得し、取得した拍動スコアが設定範囲内である場合は、当該断面画像を選択し、当該拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工し、前記センサの移動方向における複数の位置について得られた選択画像群及び加工画像群から、前記生体組織を表す3次元画像を生成する制御部を備える画像処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記設定範囲を変更する操作を受け付けると、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した拍動スコアが変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像を前記3次元画像の更新に利用し、当該拍動スコアが前記変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工して得られた画像を前記3次元画像の更新に利用する請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記設定範囲を順次変更し、前記設定範囲を変更する度に、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した拍動スコアが変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像を前記3次元画像の更新に利用し、当該拍動スコアが前記変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工して得られた画像を前記3次元画像の更新に利用する請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、取得した断面画像と、前記設定範囲とを学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルから出力された加工後の断面画像を加工画像として得る請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記学習済みモデルとして、人工知能を用いたモジュールにより生成又は更新されたモデルを用いる請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記3次元画像を表示するディスプレイと
を備える画像表示システム。
【請求項16】
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて互いに異なる時刻に得られ、それぞれの断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアが互いに異なる複数の断面画像を取得し、取得した複数の断面画像のうち前記拍動スコアが設定範囲内の断面画像を選択し、前記センサの移動方向における複数の位置について得られた選択画像群から、前記生体組織を表す3次元画像を生成する制御部を備える画像処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記設定範囲を変更する操作を受け付けると、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した複数の断面画像のうち前記拍動スコアが変更後の設定範囲内の断面画像を前記3次元画像の更新に利用する請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記設定範囲を順次変更し、前記設定範囲を変更する度に、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した複数の断面画像のうち前記拍動スコアが変更後の設定範囲内の断面画像を前記3次元画像の更新に利用する請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項19】
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて得られた断面画像を取得し、
取得した断面画像を解析して、当該断面画像における前記内腔の断面の重心位置を算出し、
前記センサの移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行し、前記センサの移動方向における位置ごとに、算出した重心位置と、前記スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、取得した断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアを導出する画像処理方法。
【請求項20】
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて得られた断面画像を取得する処理と、
取得した断面画像を解析して、当該断面画像における前記内腔の断面の重心位置を算出する処理と、
前記センサの移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行する処理と、
前記センサの移動方向における位置ごとに、算出した重心位置と、前記スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、取得した断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアを導出する処理と
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像表示システム、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から特許文献3には、US画像システムを用いて心腔又は血管の3次元画像を生成する技術が記載されている。「US」は、ultrasoundの略語である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0215238号明細書
【特許文献2】米国特許第6385332号明細書
【特許文献3】米国特許第6251072号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
心腔内、心臓血管、及び下肢動脈領域などに対してIVUSを用いる画像診断が広く行われている。「IVUS」は、intravascular ultrasoundの略語である。IVUSとはカテーテル長軸に対して垂直平面の2次元画像を提供するデバイス又は方法のことである。
【0005】
現状として、術者はIVUSの2次元画像を順次観察しながら、頭の中で立体構造を想像して施術を行う必要があり、特に若年層の医師、又は経験の浅い医師にとって障壁がある。そのような障壁を取り除くために、IVUSの2次元画像から心腔又は血管などの生体組織の構造を表現する3次元画像を自動生成し、生成した3次元画像を術者に向けて表示することが考えられる。
【0006】
心腔又は血管などの生体組織は、心臓の拍動の影響によって、大きさ及び形状が経時的に変化する。3次元画像の生成に用いられるIVUSの2次元画像は、全てが拍動の周期における同じタイミングで取得されるわけではないから、結果として凹凸のある3次元画像が描画されることになってしまう。術者にとって、そのような3次元画像から生体組織の構造を正確に把握することは難しい。
【0007】
本開示の目的は、生体組織を表す3次元画像の生成時における拍動の影響を低減させるか、又はそのような3次元画像の生成に用いられ得る2次元画像が取得された、拍動の周期におけるタイミングを示す情報を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の幾つかの態様を以下に示す。
【0009】
[1]
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて得られた断面画像を取得し、取得した断面画像を解析して、当該断面画像における前記内腔の断面の重心位置を算出し、前記センサの移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行し、前記センサの移動方向における位置ごとに、算出した重心位置と、前記スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、取得した断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアを導出する制御部を備える画像処理装置。
【0010】
[2]
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアに応じて、取得した断面画像を選択するかどうかを決定し、前記複数の位置のうち少なくとも幾つかの位置について得られた選択画像群から、前記生体組織を表す3次元画像を生成する[1]に記載の画像処理装置。
【0011】
[3]
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが設定範囲内である場合は、取得した断面画像を選択し、得られた選択画像を前記3次元画像の生成又は更新に利用し、当該拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、当該断面画像を選択しない[2]に記載の画像処理装置。
【0012】
[4]
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが設定範囲内である場合は、取得した断面画像を選択し、得られた選択画像を前記3次元画像の生成又は更新に利用し、当該拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工し、得られた加工画像を前記3次元画像の生成又は更新に利用する[2]に記載の画像処理装置。
【0013】
[5]
前記制御部は、前記設定範囲を変更する操作を受け付けると、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像を前記3次元画像の更新に利用し、当該拍動スコアが前記変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工して得られた画像を前記3次元画像の更新に利用する[4]に記載の画像処理装置。
【0014】
[6]
前記制御部は、前記設定範囲を順次変更し、前記設定範囲を変更する度に、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像を前記3次元画像の更新に利用し、当該拍動スコアが前記変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工して得られた画像を前記3次元画像の更新に利用する[4]に記載の画像処理装置。
【0015】
[7]
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、取得した断面画像と、前記設定範囲とを学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルから出力された加工後の断面画像を前記加工画像として得る[4]から[6]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0016】
[8]
前記制御部は、前記学習済みモデルとして、人工知能を用いたモジュールにより生成又は更新されたモデルを用いる[7]に記載の画像処理装置。
【0017】
[9]
[2]から[8]のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記3次元画像を表示するディスプレイと
を備える画像表示システム。
【0018】
[10]
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて得られた断面画像と、当該断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアとを取得し、取得した拍動スコアが設定範囲内である場合は、当該断面画像を選択し、当該拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工し、前記センサの移動方向における複数の位置について得られた選択画像群及び加工画像群から、前記生体組織を表す3次元画像を生成する制御部を備える画像処理装置。
【0019】
[11]
前記制御部は、前記設定範囲を変更する操作を受け付けると、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した拍動スコアが変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像を前記3次元画像の更新に利用し、当該拍動スコアが前記変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工して得られた画像を前記3次元画像の更新に利用する[10]に記載の画像処理装置。
【0020】
[12]
前記制御部は、前記設定範囲を順次変更し、前記設定範囲を変更する度に、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した拍動スコアが変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像を前記3次元画像の更新に利用し、当該拍動スコアが前記変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像を加工して得られた画像を前記3次元画像の更新に利用する[10]に記載の画像処理装置。
【0021】
[13]
前記制御部は、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した拍動スコアが前記設定範囲外である場合は、取得した断面画像と、前記設定範囲とを学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルから出力された加工後の断面画像を加工画像として得る[10]から[12]のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【0022】
[14]
前記制御部は、前記学習済みモデルとして、人工知能を用いたモジュールにより生成又は更新されたモデルを用いる[13]に記載の画像処理装置。
【0023】
[15]
[10]から[14]のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記3次元画像を表示するディスプレイと
を備える画像表示システム。
【0024】
[16]
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて互いに異なる時刻に得られ、それぞれの断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアが互いに異なる複数の断面画像を取得し、取得した複数の断面画像のうち前記拍動スコアが設定範囲内の断面画像を選択し、前記センサの移動方向における複数の位置について得られた選択画像群から、前記生体組織を表す3次元画像を生成する制御部を備える画像処理装置。
【0025】
[17]
前記制御部は、前記設定範囲を変更する操作を受け付けると、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した複数の断面画像のうち前記拍動スコアが変更後の設定範囲内の断面画像を前記3次元画像の更新に利用する[16]に記載の画像処理装置。
【0026】
[18]
前記制御部は、前記設定範囲を順次変更し、前記設定範囲を変更する度に、前記センサの移動方向における位置ごとに、取得した複数の断面画像のうち前記拍動スコアが変更後の設定範囲内の断面画像を前記3次元画像の更新に利用する[16]に記載の画像処理装置。
【0027】
[19]
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて得られた断面画像を取得し、
取得した断面画像を解析して、当該断面画像における前記内腔の断面の重心位置を算出し、
前記センサの移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行し、前記センサの移動方向における位置ごとに、算出した重心位置と、前記スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、取得した断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアを導出する画像処理方法。
【0028】
[20]
生体組織の内腔を移動するセンサの移動方向における位置ごとに、前記センサを用いて得られた断面画像を取得する処理と、
取得した断面画像を解析して、当該断面画像における前記内腔の断面の重心位置を算出する処理と、
前記センサの移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行する処理と、
前記センサの移動方向における位置ごとに、算出した重心位置と、前記スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、取得した断面画像における前記内腔の拡縮を数値で表す拍動スコアを導出する処理と
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、生体組織を表す3次元画像の生成時における拍動の影響を低減させるか、又はそのような3次元画像の生成に用いられ得る2次元画像が取得された、拍動の周期におけるタイミングを示す情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の実施形態に係る画像表示システムの斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るプローブ及び駆動ユニットの斜視図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る断面画像と選択画像と拍動スコアとの例を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るセンサを用いて得られた断面画像と、学習済みモデルによる分類後の断面画像との例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る画像表示システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態に係る画像表示システムの動作の具体例を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の実施形態に係る画像表示システムの動作の第1変形例を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態に係るセンサを用いて得られた断面画像と、学習済みモデルによる加工後の断面画像との例を示す図である。
【
図10】本開示の実施形態に係る画像表示システムの動作の第2変形例を示すフローチャートである。
【
図11】本開示の実施形態に係る複数の断面画像と、選択画像との例を示す図である。
【
図12】本開示の実施形態に係る画像表示システムの動作の第3変形例を示すフローチャートである。
【
図13】本開示の実施形態に係る画像表示システムの動作の第4変形例を示すフローチャートである。
【
図14】本開示の実施形態に係る画像表示システムの動作の第5変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の一実施形態について、図を参照して説明する。
【0032】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0033】
図1を参照して、本実施形態に係る画像表示システム10の構成を説明する。
【0034】
画像表示システム10は、画像処理装置11、ケーブル12、駆動ユニット13、キーボード14、マウス15、及びディスプレイ16を備える。
【0035】
画像処理装置11は、本実施形態では画像診断に特化した専用のコンピュータであるが、PCなどの汎用のコンピュータでもよい。「PC」は、personal computerの略語である。
【0036】
ケーブル12は、画像処理装置11と駆動ユニット13とを接続するために用いられる。
【0037】
駆動ユニット13は、
図2に示すプローブ20に接続して用いられ、プローブ20を駆動する装置である。駆動ユニット13は、MDUとも呼ばれる。「MDU」は、motor drive unitの略語である。プローブ20は、IVUSに適用される。プローブ20は、IVUSカテーテル又は画像診断用カテーテルとも呼ばれる。
【0038】
キーボード14、マウス15、及びディスプレイ16は、任意のケーブルを介して、又は無線で画像処理装置11と接続される。ディスプレイ16は、例えば、LCD、有機ELディスプレイ、又はHMDである。「LCD」は、liquid crystal displayの略語である。「EL」は、electro luminescentの略語である。「HMD」は、head-mounted displayの略語である。
【0039】
画像表示システム10は、オプションとして、接続端子17及びカートユニット18を更に備える。
【0040】
接続端子17は、画像処理装置11と外部機器とを接続するために用いられる。接続端子17は、例えば、USB端子である。「USB」は、Universal Serial Busの略語である。外部機器は、例えば、磁気ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、又は光ディスクドライブなどの記録媒体である。
【0041】
カートユニット18は、移動用のキャスタ付きのカートである。カートユニット18のカート本体には、画像処理装置11、ケーブル12、及び駆動ユニット13が設置される。カートユニット18の最上部のテーブルには、キーボード14、マウス15、及びディスプレイ16が設置される。
【0042】
図2を参照して、本実施形態に係るプローブ20及び駆動ユニット13の構成を説明する。
【0043】
プローブ20は、駆動シャフト21、ハブ22、シース23、外管24、超音波振動子25、及び中継コネクタ26を備える。
【0044】
駆動シャフト21は、生体の体腔内に挿入されるシース23と、シース23の基端に接続した外管24とを通り、プローブ20の基端に設けられたハブ22の内部まで延びている。駆動シャフト21は、信号を送受信する超音波振動子25を先端に有してシース23及び外管24内に回転可能に設けられる。中継コネクタ26は、シース23及び外管24を接続する。
【0045】
ハブ22、駆動シャフト21、及び超音波振動子25は、それぞれが一体的に軸方向に進退移動するように互いに接続される。そのため、例えば、ハブ22が先端側に向けて押される操作がなされると、駆動シャフト21及び超音波振動子25は、矢印で示す方向と反対に、シース23の内部を先端側へ移動する。例えば、ハブ22が基端側に引かれる操作がなされると、駆動シャフト21及び超音波振動子25は、矢印で示す方向に、シース23の内部を基端側へ移動する。
【0046】
駆動ユニット13は、スキャナユニット31、スライドユニット32、及びボトムカバー33を備える。
【0047】
スキャナユニット31は、プルバックユニットとも呼ばれる。スキャナユニット31は、ケーブル12を介して画像処理装置11と接続する。スキャナユニット31は、プローブ20と接続するプローブ接続部34と、駆動シャフト21を回転させる駆動源であるスキャナモータ35とを備える。
【0048】
プローブ接続部34は、プローブ20の基端に設けられたハブ22の差込口36を介して、プローブ20と着脱自在に接続する。ハブ22の内部では、駆動シャフト21の基端が回転自在に支持されており、スキャナモータ35の回転力が駆動シャフト21に伝えられる。また、ケーブル12を介して駆動シャフト21と画像処理装置11との間で信号が送受信される。画像処理装置11では、駆動シャフト21から伝わる信号に基づき、生体管腔の断層画像の生成、及び画像処理が行われる。
【0049】
スライドユニット32は、スキャナユニット31を進退自在に載せており、スキャナユニット31と機械的かつ電気的に接続している。スライドユニット32は、プローブクランプ部37、スライドモータ38、及びスイッチ群39を備える。
【0050】
プローブクランプ部37は、プローブ接続部34よりも先端側でこれと同軸的に配置して設けられており、プローブ接続部34に接続されるプローブ20を支持する。
【0051】
スライドモータ38は、軸方向の駆動力を生じさせる駆動源である。スライドモータ38の駆動によってスキャナユニット31が進退動し、それに伴って駆動シャフト21が軸方向に進退動する。スライドモータ38は、例えば、サーボモータである。
【0052】
スイッチ群39には、例えば、スキャナユニット31の進退操作の際に押されるフォワードスイッチ及びプルバックスイッチ、並びに画像描写の開始及び終了の際に押されるスキャンスイッチが含まれる。ここでの例に限定されず、必要に応じて種々のスイッチがスイッチ群39に含まれる。
【0053】
フォワードスイッチが押されると、スライドモータ38が正回転し、スキャナユニット31が前進する。一方、プルバックスイッチが押されると、スライドモータ38が逆回転し、スキャナユニット31が後退する。
【0054】
スキャンスイッチが押されると画像描写が開始され、スキャナモータ35が駆動するとともに、スライドモータ38が駆動してスキャナユニット31の前進と後退とが繰り返される。術者などのユーザは、事前にプローブ20をスキャナユニット31に接続しておき、画像描写開始とともに駆動シャフト21が回転しつつ軸方向先端側への移動と軸方向基端側への移動とを繰り返すようにする。スキャナモータ35及びスライドモータ38は、スキャンスイッチが再度押されると停止し、画像描写が終了する。
【0055】
ボトムカバー33は、スライドユニット32の底面及び底面側の側面全周を覆っており、スライドユニット32の底面に対して近接離間自在である。
【0056】
図3から
図5を参照して、本実施形態の概要を説明する。
【0057】
画像処理装置11は、生体組織60の内腔61を移動するセンサ71の移動方向における位置ごとに、センサ71を用いて得られた断面画像54を取得する。センサ71が超音波振動子25である場合、センサ71は回転しながら超音波信号の送受信を繰り返し、1枚(1フレーム分)の断面画像54は、1度の超音波送受信により得られる数百本のラインデータにより構成される。画像処理装置11は、センサ71の移動方向における位置ごとに、取得した断面画像54を解析して、当該断面画像54における内腔61の断面の重心位置を算出する。画像処理装置11は、センサ71の移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行する。スムージングは、例えば、取得した断面画像54のX軸を縦軸、センサ71の移動方向を横軸とした二次元座標系において、算出した重心位置の断面画像54におけるX座標値を、センサ71の移動方向における少なくとも拍動の1周期の時間に相当する移動距離分について移動平均化することで実行される。画像処理装置11は、センサ71の移動方向における位置ごとに、算出した実際の断面画像54の重心位置(例えばX座標値)と、スムージングの結果として得られた重心位置(例えばX座標値)との差を評価することで、取得した断面画像54における内腔61の拡縮を数値で表す拍動スコア90を導出する。拍動スコア90は、本実施形態では自然数であるが、整数でもよいし、又は実数でもよい。ディスプレイ16は、センサ71の移動方向における位置ごとに、画像処理装置11により導出された拍動スコア90を表示してもよい。例えば、拍動は、プローブ20が配置されている内腔61を画成する内腔壁を、重心位置を中心とした放射方向において不均一に変形させるとともに、周期的に略同一の変形(拡大又は縮小)を生じさせる。このため、内腔61の断面画像における重心の位置は拍動の1周期の中で都度変動する。一方で、スムージングの結果として得られた重心位置は、拍動の1周期における中間期間、すなわち内腔61が拡大も縮小もしていない中間状態における重心位置と見做せる。このため、センサ71の移動方向における位置ごとに、算出した実際の断面画像54の重心位置と、スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、取得した断面画像54における内腔61の拡縮を数値で表す拍動スコア90を導出することができる。なお、算出した重心位置の断面画像54におけるY座標値と、センサ71の移動方向における複数の位置における当該Y座標値をスムージングした結果との差を評価することで、拍動スコア90を導出してもよい。また、算出した重心位置の断面画像54におけるXY座標値と、センサ71の移動方向における複数の位置における当該XY座標値をスムージングした結果との差を評価することで、拍動スコア90を導出してもよい。この場合、スムージングは、取得した断面画像54のX座標を第1軸、取得した断面画像54のY座標を第2軸、センサ71の移動方向を第3軸とした三次元座標系において、算出した重心位置の断面画像54におけるXY座標値を、センサ71の移動方向における少なくとも拍動の1周期の時間に相当する移動距離分について三次元的に移動平均化することで実行される。
【0058】
画像処理装置11は、上述した体腔内の軸方向における断面画像取得及び拍動スコア取得の処理を複数回繰り返すことにより、センサ71の移動方向における位置ごとに、複数の断面画像54及び複数の拍動スコア90を取得する。次いで、画像処理装置11は、センサ71の移動方向における位置ごとに、導出した複数の拍動スコア90に応じて、取得した複数の断面画像54のうち、どれを選択するかどうかを決定する。画像処理装置11は、センサ71の移動方向における複数の位置のうち少なくとも幾つかの位置について得られた選択画像群から、生体組織60を表す3次元画像53を生成する。ディスプレイ16は、画像処理装置11により生成された3次元画像53を表示する。なお、一度の断面画像取得処理の後、拍動スコア90を評価し、拍動スコア90が条件を満たす画像のみを選択し、それ以外を使わずに3次元画像53を生成することもできる。
【0059】
本実施形態によれば、3次元画像53の生成に用いる2次元画像群を、各2次元画像における内腔61の拡縮を数値で表す拍動スコア90に応じて選択することで、拍動の周期における同じタイミングで取得された2次元画像群を選択しやすくなる。結果として、3次元画像53の生成時における拍動の影響を低減させることができる。すなわち、3次元画像53として、拍動の影響による凹凸のほとんどない画像を生成することが可能になる。したがって、術者が3次元画像53から生体組織60の構造を正確に把握しやすくなる。
【0060】
本実施形態によれば、3次元画像53の生成に用いられ得る2次元画像について拍動スコア90を導出することで、当該2次元画像が取得された、拍動の周期におけるタイミングを示す情報を提供することもできる。例えば、ある2次元画像について、拍動スコア90を表示することで、その2次元画像が内腔61の拡大時に取得されたものなのか、それとも内腔61の縮小時に取得されたものなのかを術者などのユーザに通知することができる。あるいは、画像処理装置11が3次元画像53を生成する代わりに、他の装置が3次元画像53を生成し、画像処理装置11は拍動スコア90を当該他の装置に通知することで、当該他の装置が3次元画像53として、拍動の影響による凹凸のほとんどない画像を生成することが可能になる。
【0061】
生体組織60は、例えば、血管、又は心臓などの臓器を含む。生体組織60は、解剖学的に単一の器官又はその一部のみに限らず、複数の器官を跨いで内腔を有する組織も含む。そのような組織の一例として、具体的には、下大静脈の上部から右心房を抜けて上大静脈の下部に至る血管系組織の一部が挙げられる。
【0062】
本実施形態では、画像処理装置11は、センサ71を用いて得られた断面画像54のデータセットである断層データ51を参照して、生体組織60を表す3次元データ52を生成及び更新する。画像処理装置11は、3次元データ52を3次元画像53としてディスプレイ16に表示させる。すなわち、画像処理装置11は、断層データ51を参照して、3次元画像53をディスプレイ16に表示させる。
【0063】
画像処理装置11は、3次元画像53において生体組織60の内腔61を露出させる開口を3次元データ52に形成してもよい。画像処理装置11は、開口の位置に応じて、3次元画像53を画面に表示する際の視点を調整してもよい。視点とは、3次元空間に配置される仮想のカメラの位置のことである。
【0064】
センサ71は、カテーテル70に備えられている。カテーテル70は、本実施形態ではプローブ20、すなわち、IVUSカテーテルであるが、OFDIカテーテル又はOCTカテーテルでもよい。「OFDI」は、optical frequency domain imagingの略語である。「OCT」は、optical coherence tomographyの略語である。すなわち、センサ71は、本実施形態では超音波振動子25であり、生体組織60の内腔61で超音波を送信して断層データ51を取得するが、生体組織60の内腔61で光を放射して断層データ51を取得してもよい。光を照射する場合は、カテーテル70の先端に光の照射と受光とを行う送受信部として、光ファイバの先端部を設けることが考えられる。
【0065】
図3において、Z方向は、センサ71の移動方向に相当するが、便宜上、Z方向は、生体組織60の内腔61の長手方向に相当するとみなしてもよい。Z方向に直交するX方向、並びにZ方向及びX方向に直交するY方向は、それぞれ生体組織60の内腔61の短手方向に相当するとみなしてもよい。
【0066】
本実施形態では、画像処理装置11は、断面画像54としてのIVUSの2次元画像が得られる度に、得られた2次元画像に含まれる、内腔61を表す画素群を内腔61の断面として検出する。内腔61を表す画素は、例えば、
図4に示すように、学習済みモデル56を用いて識別される。画像処理装置11は、検出した断面の重心位置を算出する。重心位置を算出する手法としては、例えば、国際公開第2021/200294号に開示されているものと同様の手法が用いられる。画像処理装置11は、Z方向に沿って存在する複数の断面の重心位置の算出結果に対してスムージングを実行する。スムージングを実行する手法としては、例えば、国際公開第2021/200294号に開示されているものと同様の手法が用いられる。画像処理装置11は、得られた2次元画像について、算出した重心位置と、スムージングの結果として得られた重心位置との間の距離を拍動スコア90として算出する。画像処理装置11は、算出した拍動スコア90が予め定められた範囲内であるか、又は予め定められた値と一致する場合に、その2次元画像を、3次元画像53の生成又は更新に利用する断面画像55として選択する。画像処理装置11は、選択した断面画像55を用いて、3次元画像53を描画する。
【0067】
本実施形態では、画像処理装置11は、学習済みモデル56を用いて、各断面画像54に含まれる複数の画素を2つ以上のクラスに分類する。これら2つ以上のクラスには、生体組織60を表す画素に対応する生体組織クラス80、内腔61を流れる血液に含まれる血球を表す画素に対応する血球クラス81、及びカテーテル70以外のカテーテル、又はガイドワイヤなどの、内腔61に挿入される医療器具62を表す画素に対応する医療器具クラス82が含まれる。ステントなどの留置物を表す画素に対応する留置物クラスが更に含まれてもよい。石灰又はプラークなどの病変を表す画素に対応する病変クラスが更に含まれてもよい。各クラスは、細分化されてもよい。例えば、医療器具クラス82は、カテーテルクラス、ガイドワイヤクラス、及びその他の医療器具クラスに分かれていてもよい。
【0068】
学習済みモデル56は、事前に機械学習を行うことによって、サンプルとなる2次元画像から、各クラスに該当する領域を検出できるように調教されている。学習済みモデル56は、断面画像54が入力されると、入力された断面画像54の各画素に生体組織クラス80、血球クラス81、及び医療器具クラス82のいずれかの分類を付与した断面画像57を分類結果として出力する。本実施形態では、血球クラス81に分類された画素が内腔61を表す画素として扱われるが、医療器具クラス82に分類された画素など、生体組織クラス80を除く他のクラスに分類された画素が更に内腔61を表す画素として扱われてもよい。
【0069】
本実施形態では、画像処理装置11は、それぞれ断面画像55として選択した画像群に含まれる、生体組織クラス80に分類した画素群を積層して3次元化することで、3次元画像53を生成する。画像処理装置11は、それぞれ断面画像55として選択した画像群に含まれる、医療器具クラス82に分類した画素群を積層して3次元化することで、医療器具62の3次元画像を更に生成してもよい。あるいは、画像処理装置11は、それぞれ断面画像55として選択した画像群に含まれる、医療器具クラス82に分類した画素群の座標をつなぐ線状の3次元モデルを医療器具62の3次元画像として更に生成してもよい。
【0070】
図5を参照して、画像処理装置11の構成を説明する。
【0071】
画像処理装置11は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、入力部44と、出力部45とを備える。
【0072】
制御部41は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのプログラマブル回路、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部41は、画像処理装置11を含む画像表示システム10の各部を制御しながら、画像処理装置11の動作に関わる処理を実行する。
【0073】
記憶部42は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。記憶部42は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部42には、断層データ51など、画像処理装置11の動作に用いられるデータと、3次元データ52及び3次元画像53など、画像処理装置11の動作によって得られたデータとが記憶される。記憶部42には、
図3に示した断面画像54,55を記憶するための領域が設定される。
【0074】
通信部43は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、Ethernet(登録商標)などの通信規格に対応した有線LANインタフェース、IEEE802.11などの通信規格に対応した無線LANインタフェース、又はIVUSの信号を受信及びA/D変換する画像診断用インタフェースである。「LAN」は、local area networkの略語である。「IEEE」は、Institute of Electrical and Electronics Engineersの略称である。「A/D」は、analog to digitalの略語である。通信部43は、画像処理装置11の動作に用いられるデータを受信し、また画像処理装置11の動作によって得られるデータを送信する。本実施形態では、通信部43に含まれる画像診断用インタフェースに駆動ユニット13が接続される。
【0075】
入力部44は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、USBインタフェース、HDMI(登録商標)インタフェース、又はBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に対応したインタフェースである。「HDMI(登録商標)」は、High-Definition Multimedia Interfaceの略語である。入力部44は、画像処理装置11の動作に用いられるデータを入力する操作などのユーザの操作を受け付ける。本実施形態では、入力部44に含まれるUSBインタフェース、又は近距離無線通信に対応したインタフェースにキーボード14及びマウス15が接続される。タッチスクリーンがディスプレイ16と一体的に設けられている場合、入力部44に含まれるUSBインタフェース又はHDMI(登録商標)インタフェースにディスプレイ16が接続されてもよい。
【0076】
出力部45は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、USBインタフェース、HDMI(登録商標)インタフェース、又はBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に対応したインタフェースである。出力部45は、画像処理装置11の動作によって得られるデータを出力する。本実施形態では、出力部45に含まれるUSBインタフェース又はHDMI(登録商標)インタフェースにディスプレイ16が接続される。
【0077】
画像処理装置11の機能は、本実施形態に係る画像処理プログラムを、制御部41としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、画像処理装置11の機能は、ソフトウェアにより実現される。画像処理プログラムは、画像処理装置11の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを画像処理装置11として機能させる。すなわち、コンピュータは、画像処理プログラムに従って画像処理装置11の動作を実行することにより画像処理装置11として機能する。
【0078】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0079】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0080】
画像処理装置11の一部又は全ての機能が、制御部41としてのプログラマブル回路又は専用回路により実現されてもよい。すなわち、画像処理装置11の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0081】
図6を参照して、本実施形態に係る画像表示システム10の動作を説明する。画像表示システム10の動作は、本実施形態に係る画像処理方法に相当する。
【0082】
図6のフローの開始前に、ユーザによって、プローブ20がプライミングされる。その後、プローブ20が駆動ユニット13のプローブ接続部34及びプローブクランプ部37に嵌め込まれ、駆動ユニット13に接続及び固定される。そして、プローブ20が血管又は心臓などの生体組織60内の目的部位まで挿入される。
【0083】
ステップS101において、スイッチ群39に含まれるスキャンスイッチが押され、更にスイッチ群39に含まれるプルバックスイッチが押されることで、いわゆるプルバック操作が行われる。プローブ20は、生体組織60の内部で、プルバック操作によって軸方向に後退する超音波振動子25により超音波を送信する。超音波振動子25は、生体組織60の内部を移動しながら放射線状に超音波を送信する。超音波振動子25は、送信した超音波の反射波を受信する。プローブ20は、超音波振動子25により受信した反射波の信号を画像処理装置11に入力する。画像処理装置11の制御部41は、入力された信号を処理して生体組織60の断面画像54を順次生成することで、複数の断面画像54を含む断層データ51を取得する。
【0084】
具体的には、プローブ20は、生体組織60の内部で超音波振動子25を周方向に回転させながら、かつ軸方向に移動させながら、超音波振動子25により、回転中心から外側に向かう複数方向に超音波を送信する。プローブ20は、生体組織60の内部で複数方向のそれぞれに存在する反射物からの反射波を超音波振動子25により受信する。プローブ20は、受信した反射波の信号を、駆動ユニット13及びケーブル12を介して画像処理装置11に送信する。画像処理装置11の通信部43は、プローブ20から送信された信号を受信する。通信部43は、受信した信号をA/D変換する。通信部43は、A/D変換した信号を制御部41に入力する。制御部41は、入力された信号を処理して、超音波振動子25の超音波の送信方向に存在する反射物からの反射波の強度値分布を算出する。制御部41は、算出した強度値分布に相当する輝度値分布を持つ2次元画像を生体組織60の断面画像54として順次生成することで、断面画像54のデータセットである断層データ51を取得する。制御部41は、取得した断層データ51を記憶部42に記憶させる。
【0085】
本実施形態において、超音波振動子25が受信する反射波の信号は、断層データ51の生データに相当し、画像処理装置11が反射波の信号を処理して生成する断面画像54は、断層データ51の加工データに相当する。
【0086】
本実施形態の一変形例として、画像処理装置11の制御部41は、プローブ20から入力された信号をそのまま断層データ51として記憶部42に記憶させてもよい。あるいは、制御部41は、プローブ20から入力された信号を処理して算出した反射波の強度値分布を示すデータを断層データ51として記憶部42に記憶させてもよい。すなわち、断層データ51は、生体組織60の断面画像54のデータセットに限られず、超音波振動子25の各移動位置における生体組織60の断面を何らかの形式で表すデータであればよい。
【0087】
本実施形態の一変形例として、周方向に回転しながら複数方向に超音波を送信する超音波振動子25の代わりに、複数の超音波振動子を周方向に並べた所謂アレイ型を用いることで、回転することなく複数方向に超音波を送信するようにしてもよい。
【0088】
本実施形態の一変形例として、画像処理装置11が生体組織60の断面画像54のデータセットを生成する代わりに、他の装置が同様のデータセットを生成し、画像処理装置11はそのデータセットを当該他の装置から取得してもよい。すなわち、画像処理装置11の制御部41が、IVUSの信号を処理して生体組織60の断面画像54を生成する代わりに、他の装置が、IVUSの信号を処理して生体組織60の断面画像54を生成し、生成した断面画像54を画像処理装置11に入力してもよい。
【0089】
ステップS102において、画像処理装置11の制御部41は、ステップS101で取得した断層データ51に基づいて生体組織60の3次元データ52を生成する。すなわち、制御部41は、センサ71によって取得された断層データ51に基づいて3次元データ52を生成する。ここで、既に生成済みの3次元データ52が存在する場合、全ての3次元データ52を一から生成し直すのではなく、更新された断層データ51が対応する箇所のデータのみを更新することが好ましい。その場合、3次元データ52を生成する際のデータ処理量を削減し、後のステップS103における3次元画像53のリアルタイム性を向上させることができる。
【0090】
具体的には、画像処理装置11の制御部41は、センサ71としての超音波振動子25の移動方向における位置ごとに、記憶部42に記憶された断層データ51に含まれる生体組織60の断面画像54を解析して、当該断面画像54における内腔61の断面の重心位置を算出する。制御部41は、超音波振動子25の移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行する。制御部41は、超音波振動子25の移動方向における位置ごとに、算出した重心位置と、スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、当該断面画像54における内腔61の拡縮を数値で表す拍動スコア90を導出する。制御部41は、超音波振動子25の移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコア90に応じて、当該断面画像54を選択するかどうかを決定する。より具体的には、制御部41は、導出した拍動スコア90が設定範囲内である場合は、当該断面画像54を、3次元画像53の生成に利用する断面画像55として選択する。一方、制御部41は、当該拍動スコア90が設定範囲外である場合は、当該断面画像54を選択しない。設定範囲は、一定の幅を持った数値範囲でもよいし、又は1つの数値でもよい。制御部41は、超音波振動子25の移動方向における複数の位置のうち少なくとも幾つかの位置について得られた選択画像群を積層して3次元化することで、生体組織60の3次元データ52を生成する。3次元化の手法としては、サーフェスレンダリング又はボリュームレンダリングなどのレンダリング手法、並びにそれに付随した、環境マッピングを含むテクスチャマッピング、及びバンプマッピングなどの種々の処理のうち任意の手法が用いられる。制御部41は、生成した3次元データ52を記憶部42に記憶させる。
【0091】
最新の断面画像54が取得されたときに断面画像55が選択される動作の具体例を
図7に示す。この図に示したステップS201において、画像処理装置11の制御部41は、最新の断面画像54における内腔61の断面の重心位置を算出する。ステップS202において、制御部41は、最新の断面画像54と、最新の断面画像54が得られたときよりも前に、超音波振動子25が別の位置にあるときに得られた1つ以上の他の断面画像54とを含む複数の断面画像54における内腔61の断面の重心位置の算出結果に対してスムージングを実行する。ステップS201及びステップS202の処理については、例えば、国際公開第2021/200294号に開示されているものと同様の手法が用いられる。ステップS203において、制御部41は、ステップS201で算出した重心位置と、ステップS202におけるスムージングの結果として得られた重心位置との間の距離を拍動スコア90として算出する。ステップS204において、制御部41は、ステップS203で算出した拍動スコア90が設定範囲内であるかどうかを判定する。ステップS204で拍動スコア90が設定範囲内であると判定された場合は、ステップS205において、制御部41は、最新の断面画像54を断面画像55として選択する。ステップS204で拍動スコア90が設定範囲外であると判定された場合は、
図7に示した動作が終了する。
【0092】
画像処理装置11の制御部41は、ステップS101で取得した断層データ51に含まれる断面画像54の画素群を2つ以上のクラスに分類する。これら2つ以上のクラスには、生体組織クラス80と、血球クラス81と、医療器具クラス82とが含まれ、留置物クラス、又は病変クラスが更に含まれてもよい。分類方法としては、任意の方法を用いてよいが、本実施形態では、
図4に示したように、学習済みモデル56によって断面画像54の画素群を分類する方法が用いられる。そのため、ステップS201において、制御部41は、血球クラス81に分類された画素群など、内腔61を表す画素群を内腔61の断面として検出する。
【0093】
ステップS103において、画像処理装置11の制御部41は、ステップS102で生成した3次元データ52を3次元画像53としてディスプレイ16に表示させる。この時点では、制御部41は、3次元画像53を表示させる角度を任意の角度に設定してよい。
【0094】
具体的には、画像処理装置11の制御部41は、記憶部42に記憶された3次元データ52から3次元画像53を生成する。3次元画像53は、3次元空間において生体組織60を表す組織オブジェクト、及び当該3次元空間において医療器具62を表す医療器具オブジェクトなどの3次元オブジェクト群を含む。すなわち、制御部41は、記憶部42に記憶された生体組織60のデータから生体組織60の3次元オブジェクトを生成し、記憶部42に記憶された医療器具62のデータから医療器具62の3次元オブジェクトを生成する。制御部41は、生成した3次元画像53を、出力部45を介してディスプレイ16に表示させる。
【0095】
ステップS104において、ユーザの変更操作として、3次元画像53を表示させる角度を設定する操作があれば、ステップS105の処理が実行される。ユーザの変更操作がなければ、ステップS106の処理が実行される。
【0096】
ステップS105において、画像処理装置11の制御部41は、3次元画像53を表示させる角度を設定する操作を、入力部44を介して受け付ける。制御部41は、3次元画像53を表示させる角度を、設定された角度に調整する。そして、ステップS103において、制御部41は、ステップS105で設定された角度で3次元画像53をディスプレイ16に表示させる。
【0097】
具体的には、画像処理装置11の制御部41は、ディスプレイ16に表示されている3次元画像53をユーザがキーボード14、マウス15、又はディスプレイ16と一体的に設けられたタッチスクリーンを用いて回転させる操作を、入力部44を介して受け付ける。制御部41は、3次元画像53をディスプレイ16に表示させる角度を、ユーザの操作に応じてインタラクティブに調整する。あるいは、制御部41は、3次元画像53を表示させる角度の数値をユーザがキーボード14、マウス15、又はディスプレイ16と一体的に設けられたタッチスクリーンを用いて入力する操作を、入力部44を介して受け付ける。制御部41は、3次元画像53をディスプレイ16に表示させる角度を、入力された数値に合わせて調整する。
【0098】
ステップS106において、断層データ51の更新があれば、ステップS107及びステップS108の処理が実行される。断層データ51の更新がなければ、ステップS104において、ユーザの変更操作の有無が再度確認される。
【0099】
ステップS107において、画像処理装置11の制御部41は、ステップS101の処理と同様に、プローブ20から入力された信号を処理して生体組織60の断面画像54を新たに生成することで、少なくとも1つの新たな断面画像54を含む断層データ51を取得する。
【0100】
ステップS108において、画像処理装置11の制御部41は、ステップS107で取得した断層データ51に基づいて生体組織60の3次元データ52を更新する。すなわち、制御部41は、センサ71によって取得された断層データ51に基づいて3次元データ52を更新する。ステップS108においては、更新された断層データ51が対応する箇所のデータのみを更新することが好ましい。その場合、3次元データ52を生成する際のデータ処理量を削減し、後のステップS103において、3次元画像53のリアルタイム性を向上させることができる。
【0101】
具体的には、画像処理装置11の制御部41は、超音波振動子25の移動方向における位置ごとに、記憶部42に記憶された断層データ51に含まれる生体組織60の断面画像54を解析して、当該断面画像54における内腔61の断面の重心位置を算出する。制御部41は、超音波振動子25の移動方向における複数の位置について得られた算出結果に対してスムージングを実行する。制御部41は、超音波振動子25の移動方向における位置ごとに、算出した重心位置と、スムージングの結果として得られた重心位置との差を評価することで、当該断面画像54における内腔61の拡縮を数値で表す拍動スコア90を導出する。制御部41は、超音波振動子25の移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコア90に応じて、当該断面画像54を選択するかどうかを決定する。より具体的には、制御部41は、導出した拍動スコア90が設定範囲内である場合は、当該断面画像54を、3次元画像53の更新に利用する断面画像55として選択する。一方、制御部41は、当該拍動スコア90が設定範囲外である場合は、当該断面画像54を選択しない。制御部41は、超音波振動子25の移動方向における複数の位置のうち少なくとも幾つかの位置について得られた選択画像群を積層して3次元化することで、生体組織60の3次元データ52を更新する。3次元化の手法としては、ステップS102と同様の手法が用いられる。制御部41は、更新した3次元データ52を記憶部42に記憶させる。
【0102】
最新の断面画像54が取得されたときに断面画像55が選択される動作の具体例については再び
図7を参照されたい。最新の断面画像54が得られたときよりも前に、超音波振動子25が同じ位置にあるときに得られた断面画像54が既に断面画像55として選択されており、かつステップS204で拍動スコア90が設定範囲内であると判定された場合は、ステップS205において、制御部41は、その選択済みの断面画像54に代えて、最新の断面画像54を断面画像55として選択する。
【0103】
ステップS108の後、再びステップS103において、画像処理装置11の制御部41は、ステップS108で更新した3次元データ52を3次元画像53としてディスプレイ16に表示させる。
【0104】
最新の断面画像54が取得されたときに断面画像55が選択される動作の第1変形例を
図8に示す。この図に示したステップS211からステップS215の処理については、
図7に示したステップS201からステップS205の処理と同様であるため、説明を省略する。ステップS214で拍動スコア90が設定範囲外であると判定された場合は、ステップS216において、画像処理装置11の制御部41は、最新の断面画像54を加工し、得られた加工画像を断面画像55として選択する。断面画像54を加工する方法としては、拍動スコア90が設定範囲に近づくように断面画像54を加工する方法、好ましくは拍動スコア90が設定範囲内に収まるように断面画像54を加工する方法が用いられる。そのような方法として、例えば、
図9に示すように、学習済みモデル58を用いて断面画像54を加工することが考えられる。
【0105】
図9に示した例では、画像処理装置11の制御部41は、ステップS203で算出した拍動スコア90が設定範囲外である場合は、最新の断面画像54と、設定範囲とを学習済みモデル58に入力し、学習済みモデル58から出力された加工後の断面画像59を加工画像として得る。この加工画像は、3次元画像53の生成又は更新のための断面画像55として利用される。学習済みモデル58は、事前に機械学習を行うことによって、サンプルとなる2次元画像から、拍動スコア90が設定範囲に近づくように、好ましくは拍動スコア90が設定範囲内に収まるように偽装した2次元画像を生成できるように調教されている。学習済みモデル58は、例えば、人工知能を用いたモジュールにより生成又は更新される。このような人工知能としては、例えば敵対的生成ネットワークが挙げられる。
【0106】
上述したように、画像処理装置11の制御部41は、センサ71の移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコア90が設定範囲内である場合は、取得した断面画像54を選択し、当該拍動スコア90が設定範囲外である場合は、当該断面画像54を加工し、得られた選択画像又は加工画像を3次元画像53の生成又は更新に利用してもよい。
【0107】
この変形例によれば、センサ71の移動方向における複数の位置のうち1つ又は幾つかの位置についてしか選択画像群が得られない場合でも、残りの位置について加工画像群が得られるため、3次元画像53の生成時に、3次元画像53の一部が欠けてしまうという状況を回避することができる。3次元画像53の更新時にも、3次元画像53の一部が更新されず、古い情報が残り続けてしまうという状況を回避することができる。
【0108】
画像処理装置11の制御部41は、設定範囲を変更する操作を受け付けてもよい。制御部41は、そのような操作を受け付けると、センサ71の移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコア90が変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像54を3次元画像53の更新に利用し、当該拍動スコア90が変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像54を加工して得られた画像を3次元画像53の更新に利用する。
【0109】
画像処理装置11の制御部41は、設定範囲を順次変更してもよい。制御部41は、設定範囲を変更する度に、センサ71の移動方向における位置ごとに、導出した拍動スコア90が変更後の設定範囲内である場合は、取得した断面画像54を3次元画像53の更新に利用し、当該拍動スコア90が変更後の設定範囲外である場合は、当該断面画像54を加工して得られた画像を3次元画像53の更新に利用する。例えば、設定範囲を小さい値から大きい値に徐々に変更することを繰り返すことにより、画面上で拍動を再現することができる。
【0110】
画像処理装置11の制御部41は、設定範囲の変更に備えて、センサ71の移動方向における位置ごとに、一定数の断面画像54を記憶部42に保存しておいてもよい。すなわち、制御部41は、最新の断面画像54を取得したときに、その断面画像54を3次元画像53の生成又は更新に利用する断面画像55として選択したかどうかに関わらず、記憶部42に保存してもよい。制御部41は、センサ71の移動方向における同じ位置について、一定数の断面画像54を既に記憶部42に保存している場合は、最も古い断面画像54を削除してもよい。制御部41は、センサ71の移動方向における同じ位置について、最新の断面画像54と拍動スコア90が同じ又は近い断面画像54を既に記憶部42に保存している場合は、その古い断面画像54を削除してもよい。
【0111】
最新の断面画像54が取得されたときに断面画像55が選択される動作の第2変形例を
図10に示す。この図に示したステップS221からステップS223の処理については、
図7に示したステップS201からステップS203の処理と同様であるため、説明を省略する。
図10に示した動作は、ステップS102の処理には適用されず、ステップS108の処理のみに適用される。ステップS224において、画像処理装置11の制御部41は、最新の断面画像54を、最新の断面画像54が得られたときの超音波振動子25の移動方向における位置に対応するバケットB[i]に追加する。
図11に示すように、バケットB[i]には、最新の断面画像54が得られたときよりも前に、超音波振動子25が同じ位置にあるときに得られた1つ以上の他の断面画像54が既に格納されている。画像処理装置11の記憶部42には、各バケットに相当する記憶領域が設定される。各バケットの容量は、任意に設定されてよいが、例えば、画像4枚分である。画像がバケットB[i]に追加される際にバケットB[i]の容量に空きがなければ、最も古い画像が削除されてよい。画像がバケットB[i]に追加される際に、その画像と拍動スコア90が同じ又は近い画像が既にバケットB[i]に保存されている場合は、その古い画像が削除されてよい。画像がバケットB[i]に追加される際に、その画像に紐付けて、ステップS203で算出された拍動スコア90が更に保存されてもよい。各バケットには、学習済みモデル56による分類前の断面画像54が蓄積されてもよいし、又は分類後の断面画像57が蓄積されてもよい。ステップS225において、制御部41は、バケットB[i]内の複数の断面画像54のうち、対応する拍動スコア90が設定範囲内の断面画像54を断面画像55として選択する。バケットB[i]内の複数の断面画像54の中に、対応する拍動スコア90が設定範囲内の断面画像54がない場合は、
図7に示した例と同様に、何も選択しなくてもよいし、又は
図8に示した例と同様に、最新の断面画像54を加工してもよい。
【0112】
上述したように、画像処理装置11の制御部41は、センサ71の移動方向における位置ごとに、センサ71を用いて互いに異なる時刻に得られ、それぞれの断面画像54における内腔61の拡縮を数値で表す拍動スコア90が互いに異なる複数の断面画像54を取得してもよい。制御部41は、センサ71の移動方向における位置ごとに、取得した複数の断面画像54のうち拍動スコア90が設定範囲内の断面画像54を選択してもよい。制御部41は、センサ71の移動方向における複数の位置について得られた選択画像群から3次元画像53を生成してもよい。
【0113】
この変形例によれば、3次元画像53の生成に用いる2次元画像群を、各2次元画像における内腔61の拡縮を数値で表す拍動スコア90に応じて選択することで、拍動の周期における同じタイミングで取得された2次元画像群を選択しやすくなる。結果として、3次元画像53の生成時における拍動の影響を低減させることができる。すなわち、3次元画像53として、拍動の影響による凹凸のほとんどない画像を生成することが可能になる。したがって、術者が3次元画像53から生体組織60の構造を正確に把握しやすくなる。
【0114】
画像処理装置11の制御部41は、設定範囲を変更する操作を受け付けてもよい。制御部41は、そのような操作を受け付けると、センサ71の移動方向における位置ごとに、取得した複数の断面画像54のうち拍動スコア90が変更後の設定範囲内の断面画像54を3次元画像53の更新に利用する。
【0115】
画像処理装置11の制御部41は、設定範囲を順次変更してもよい。制御部41は、設定範囲を変更する度に、センサ71の移動方向における位置ごとに、取得した複数の断面画像54のうち拍動スコア90が変更後の設定範囲内の断面画像54を3次元画像53の更新に利用する。例えば、設定範囲を小さい値から大きい値に徐々に変更することを繰り返すことにより、画面上で拍動を再現することができる。
【0116】
本実施形態の一変形例として、画像処理装置11の制御部41は、専用の学習済みモデルを用いて、拍動スコア90を導出してもよい。専用の学習済みモデルは、事前に機械学習を行うことによって、外部のセンサを用いて心電図波形又は動脈圧波形を測定した結果と、センサ71の移動方向における複数の位置のそれぞれについて取得された断面画像54とが入力されると、当該断面画像54に対応する拍動スコア90を出力するように調教されている。この変形例では、当該断面画像54における内腔61の断面の重心位置を算出する処理は不要となる。
【0117】
本実施形態の一変形例として、画像処理装置11の制御部41は、外部のセンサを用いて心電図波形又は動脈圧波形を測定した結果のみから、センサ71の移動方向における複数の位置のそれぞれについて取得した断面画像54における内腔61の拡縮を数値で表す拍動スコア90を導出してもよい。この変形例でも、当該断面画像54における内腔61の断面の重心位置を算出する処理は不要となる。
【0118】
本実施形態の一変形例として、画像処理装置11の制御部41は、拍動スコア90を導出する代わりに、拍動スコア90を外部から取得してもよい。以下に説明するように、この変形例は、
図7、
図8、及び
図10に示した例に適用することができる。
【0119】
最新の断面画像54が取得されたときに断面画像55が選択される動作の第3変形例を
図12に示す。この図に示したステップS231において、画像処理装置11の制御部41は、他の装置により導出された拍動スコア90を当該他の装置から取得する。ステップS232及びステップS233の処理については、
図7に示したステップS204及びステップS205の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0120】
最新の断面画像54が取得されたときに断面画像55が選択される動作の第4変形例を
図13に示す。この図に示したステップS241の処理については、
図12に示したステップS231の処理と同様であるため、説明を省略する。ステップS242からステップS244の処理については、
図8に示したステップS214からステップS216の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0121】
最新の断面画像54が取得されたときに断面画像55が選択される動作の第5変形例を
図14に示す。この図に示したステップS251の処理については、
図12に示したステップS231の処理と同様であるため、説明を省略する。ステップS252及びステップS253の処理については、
図10に示したステップS224及びステップS225の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0122】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の2つ以上のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の2つ以上のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0123】
10 画像表示システム
11 画像処理装置
12 ケーブル
13 駆動ユニット
14 キーボード
15 マウス
16 ディスプレイ
17 接続端子
18 カートユニット
20 プローブ
21 駆動シャフト
22 ハブ
23 シース
24 外管
25 超音波振動子
26 中継コネクタ
31 スキャナユニット
32 スライドユニット
33 ボトムカバー
34 プローブ接続部
35 スキャナモータ
36 差込口
37 プローブクランプ部
38 スライドモータ
39 スイッチ群
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
44 入力部
45 出力部
51 断層データ
52 3次元データ
53 3次元画像
54 断面画像
55 断面画像
56 学習済みモデル
57 断面画像
58 学習済みモデル
59 断面画像
60 生体組織
61 内腔
62 医療器具
70 カテーテル
71 センサ
80 生体組織クラス
81 血球クラス
82 医療器具クラス
90 拍動スコア