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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005170
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240110BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105239
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山内 祥平
(72)【発明者】
【氏名】坂田 淳哉
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA01
2D003BA06
2D003CA02
2D003DA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業性を妨げることなく簡易に操作目的にあった操作性に変更することのできる建設機械を提供する。
【解決手段】作業機操作により操作されるアクチュエータ(460,480)の操作応答性を上げる第1制御を実行させるスイッチ(332d1)が旋回操作及び作業機操作が割り振られた1対の操作レバー(332c,332d)に装着されている建設機械。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回操作及び作業機操作が割り振られた1対の操作レバーと、前記作業機操作により操作されるアクチュエータの操作応答性を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置に前記アクチュエータの操作応答性を上げる第1制御を実行させるスイッチが前記操作レバーに装着されている建設機械。
【請求項2】
前記スイッチが前記操作レバーの一方側に配置されている請求項1記載の建設機械。
【請求項3】
前記旋回操作が前記操作レバーの他方側に配置されている請求項2記載の建設機械。
【請求項4】
前記スイッチがモーメンタリ動作方式の押しボタンスイッチである請求項3記載の建設機械。
【請求項5】
前記スイッチは、前記操作レバーの把持部に装着されている請求項4記載の作業機械。
【請求項6】
前記スイッチが、前記操作レバーの把持部の上端部に装着されている請求項5記載の建設機械。
【請求項7】
前記制御装置が1対の前記操作レバーに対して前記旋回操作及び前記作業機操作の割り付けを変更する第2制御を実行し、
前記スイッチが、前記旋回操作が割り付けられていない方の操作レバーに装着されている請求項1記載の建設機械。
【請求項8】
前記制御装置が1対の前記操作レバーに対して前記旋回操作及び前記作業機操作の割り付けを変更する第2制御を実行し、 前記スイッチが1対の前記操作レバーに別個に装着されており、前記制御装置は、前記スイッチが前記操作レバーに操作が割り付けられているアクチュエータに対して前記第1制御を実行させる請求項1記載の建設機械。
【請求項9】
前記制御装置は、前記第1制御の実行と共に、前記アクチュエータに作動油を圧送するポンプに対して、吐出量を増加させる第3制御を実行させる請求項1から請求項8記載の何れか1項に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
操作量に応じた電気操作信号を出力する複数の操作装置からの電気操作信号に対して油圧アクチュエータ各々についての制御特性に係わる設定データに基づき制御信号をそれぞれ生成して油圧アクチュエータへの圧油の流れをそれぞれ制御する複数の制御弁に出力する制御手段を有する建設機械において、油圧アクチュエータ各々についての制御特性に係わる設定データを表示装置から変更することができる建設機械が知られている。(特許文献1参照)
【0003】
建設機械において、バケットにダンプ及びクラウド動作を繰り返し行わせることによって、バケットの土を払って落とすような動作をさせる場合がある。このような動作は、操作に対するアクチュエータの応答性が高いことが求められる。又法面の整地作業中の転圧作業や杭打ち作業のようにブームの上げ下げ、またはアームのクラウド及びダンプ動作を繰り返し行わせる場合も操作に対してアクチュエータの応答性が高いことが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-332563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バケットの土を払って落とすような動作については、掘削作業の合間に行う場合もある。また転圧作業については、敷き均し作業と共に行われ、杭打ち作業も旋回操作などの他の動作共に行われることもある。
【0006】
例えば、引例のように表示装置から、バケットの土を払って落とすような動作や転圧作業及び杭打ち作業に最適な設定を行ったとして、掘削作業などと交互に行う場合など、作業内容を変更するたびに表示装置から都度設定を変更した場合、作業性が悪化するという問題も生じる。また仮に交互に行う掘削作業を特殊な作業に最適な設定のまま実行すると著しく作業性を損なう。
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、その課題は、作業性を妨げることなく簡易に操作目的にあった操作性に変更することのできる作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様である建設機械は、旋回操作及び作業機操作が割り振られた1対の操作レバーと、前記作業機操作により操作されるアクチュエータの操作応答性を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置に前記アクチュエータの操作応答性を上げる第1制御を実行させるスイッチが前記操作レバーに装着されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業性を妨げることなく簡易に操作目的にあった操作性に変更することのできる作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの操作レバーの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの制御システムの模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係るバケットシリンダの作動速度と操作量の関係を模式的に表したグラフである。
図5】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの制御装置の制御フローのフローチャート図である。
図6】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの操作レバーの斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの制御システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る建設機械の代表例として油圧ショベル100を例に挙げ添付図面を参照しつつ本発明にかかる第1の実施形態について詳細に説明する。なお上部旋回体300に作業装置400が配置されている方向を前方としその反対方向を後方とする。
【0012】
油圧ショベル100は、自走可能な下部走行体200と、下部走行体200上に旋回可能に支持された上部旋回体300と、上部旋回体300の前方に上下に回動可能に支持された作業装置400と制御システム500を備えて構成されている。
【0013】
作業装置400は、上部旋回体300の先端部に水平方向に回動するように支持されたスイングポスト410と、スイングポスト410に上下に回動可能に支持されたブーム420と、ブーム420の先端に上下に回動可能に装着されたアーム430と、アーム430の先端に回動可能に装着されたバケット450と、上部旋回体300の下方に設置され、スイングポスト410を水平方向に回動させるスイングシリンダ(図示せず)と、ブーム420の前方かつ下方に設置された、ブーム420を動かすブームシリンダ460と、ブーム420の上方に設置され、アーム430を動かすアームシリンダ470と、アーム430の前方に設置され、バケットリンク440を介してバケット450を動かすバケットシリンダ480により構成されている。
【0014】
下部走行体200は、センターフレーム210とセンターフレーム210に左右対称に対をなし前後方向に延びるサイドフレーム211a,211bを有しており、左側方のサイドフレーム211aの後端には左走行モータ(図示せず)により駆動する駆動輪212aが設置され、前方に向け複数の遊動輪213aが配置されており、そして駆動輪212aと遊動輪213aは、履帯214aが巻装され、右側方のサイドフレーム211bの後端には右走行モータ(図示せず)により駆動する駆動輪212b(図示せず)が設置され、前方に向け複数の遊動輪213b(図示せず)が配置されており、そして駆動輪212bと遊動輪213bは、履帯214bが巻装され、センターフレーム210前方には、排土装置220が装着されている。
【0015】
上部旋回体300は、後端に設置されたカウンタウエイト310と、カウンタウエイト310から前方に延設された機体フレーム320と、機体フレーム320の先端に設置されたスイングポスト410とカウンタウエイト310の間に配置された運転席330と、運転席330の後部に配置された座席331の下方に設置された機関室340から構成されている。
【0016】
運転席330は、操作装置332と、座席331と、座席331の下方の機関室340の前方の壁面から前方に向けて延び機体フレーム320の上方に形成された床材333から形成される。
【0017】
機関室340には、エンジン(図示せず)と、エンジンにより駆動し、ブームシリンダ460やアームシリンダ470等の油圧ショベル100を動かす複数のアクチュエータに作動油を圧送する可変容量ポンプ511と、床材333の下方に配置され、複数のアクチュエータを制御するコントロールバルブ514、とコントロールバルブ514に入力される制御信号圧(パイロット圧)及び可変容量ポンプ511の流量を制御するレギュレータ511aに入力されるパイロット圧の1次圧を生成するパイロットポンプ512等の複数の機器が配置されている。
【0018】
操作装置332は、操作方向および操作量を電気信号として出力することにより、制御装置520を介して各アクチュエータを操作することができる。
【0019】
操作装置332は、運転席330の前方に左右に列設され、床材333から突設された左走行レバー332a及び右走行レバー332bと、座席331の左右に配置されたコンソールボックスに立設された左操作レバー332cと、右操作レバー332d等から構成されている。
【0020】
左操作レバー332cと、右操作レバー332dは、ブーム操作、アーム操作、バケット操作及び旋回操作操作がそれぞれ割り振られており、それらの操作割り付けの組み合わせ(操作パターン)は4種類存在し、操作者は、右操作レバー332dの前方に配置された表示装置334を操作することにより、操作パターンを任意に選択することができる。
【0021】
図2で示すように右操作レバー332dの把持部の上端部後方(操作者側)には、左操作レバー332cと、右操作レバー332dの操作に対する作業機アクチュエータ(ブームシリンダ460、アームシリンダ470及びバケットシリンダ480)の操作応答性をあげるためのスイッチ332d1及びホーン吹鳴させるためのホーンスイッチ332d2が内側から外側に向けて並んで装着されている。ここでは、外側に装着されたスイッチは、ホーンスイッチであるが他の機能が割り付けられたスイッチであってもよい。
【0022】
スイッチ332d1は、モーメンタリ動作方式の押しボタンスイッチであり、スイッチ332d1は、操作レバー上端の左端にあることから、不意に建設機械の周囲にいる人間にホーンで警告を知らせる際に妨げにならず、右操作レバー332dを操作しながらスイッチ332d1を押下し続けることができるためバケットの土を払って落とすような動作や転圧作業及び杭打ち作業を行う際、簡易な操作で操作に対する作業機アクチュエータの応答性を向上させることができる。
【0023】
実施形態では、スイッチ332d1は、モーメンタリ動作方式の押しボタンスイッチであるがこれに限定されるものでなくオルタネイト動作方式の押しボタンスイッチでもよく、装着位置も把持部の上端部に限定されず、把持部の前面部に装着してもよい。また右操作レバー332dでなく、左走行レバー332aに装着してもよい。
【0024】
続いて、図3を用いて油圧ショベル100の制御システム500について説明する。
【0025】
制御システム500は、油圧回路510と、制御装置520と、スイッチ332d1と、表示装置334から構成されている。
【0026】
油圧回路510は、可変容量ポンプ511から延設される高圧の作動油配管を実線で表し、パイロットポンプ512から延設される低圧の作動油(パイロット圧)配管を点線で表す。
【0027】
油圧回路510は、電磁比例弁518によって減圧されたパイロット圧をレギュレータ511aに入力することにより吐出流量を制御する可変容量ポンプ511から延びるセンターバイパス流路513と、センターバイパス流路513から延びる油路とそれぞれ接続する各アクチュエータを制御する方向切換弁から構成されるコントールバルブ514からなり、油圧回路510は、方向切換弁のスプールの摺動位置にかかわらずセンターバイパス流路513からタンク515につながる流路は形成されないいわゆるクローズドセンター回路であるが、これに限定されるものではない。
【0028】
コントールバルブ514は、ブームシリンダ460を制御する方向切換弁514aと、バケットシリンダ480を制御する方向切換弁514bと、左右の走行モータと、アームシリンダ470と、旋回モータ(図示せず)等の複数の他のアクチュエータをそれぞれ制御する複数の他の方向切換弁からなり、複数の他のアクチュエータと複数の他の方向切換弁については、油圧回路510には、記載を省略している。またコントールバルブ514を構成する方向切換弁のパイロット圧の入力ポートには制御装置520より制御される電磁比例弁517から吐出されるパイロット圧が入力される。
【0029】
方向切換弁514aのパイロット圧の入力ポート514a1,514a2には、左操作レバー332c又は右操作レバー332dの操作の方向と操作量(傾倒量)に応じて電磁比例弁517a1,電磁比例弁517a2から出力されたパイロット圧が入力されることによって方向切換弁514aのスプールが摺動し、対応するスプールの開口量に応じた油がブームシリンダ460のロッド側又はボトム側に流れ、ブーム420を昇降させる。
【0030】
方向切換弁514bのパイロット圧の入力ポート514b1,514b2には、左操作レバー332c又は右操作レバー332dの方向と操作量に応じて電磁比例弁517b1,電磁比例弁517b2から出力したパイロット圧が入力されることによって方向切換弁514bのスプールが摺動し、対応するスプールの開口量に応じた油がバケットシリンダ480のロッド側又はボトム側に流れ、バケット450にクラウド動作又はダンプ動作をさせる。
【0031】
アームシリンダ470についても、左操作レバー332c又は右操作レバーの操作の方向と操作量(傾倒量)に応じてダンプ動作又はクラウド動作を行う。
【0032】
旋回モータについても、左操作
レバー332c又は右操作レバーの操作の方向と操作量(傾倒量)に応じて上部旋回体300を左旋回又は右旋回させる。
【0033】
操作装置332は、左走行レバー332a及び右走行レバー332bと、左操作レバー332cと、右操作レバー332d等から構成されており、操作装置332から出力される信号は、制御装置520に入力される。
【0034】
スイッチ332d1は、押下されている間は、信号を制御装置520に発信し続ける。
【0035】
制御装置520は、ECU(電子制御ユニット)であり、デジタル入力信号の信号レベルの変換を行う入力バッファ及びアナログ入力信号のデジタル変換を行うADコンバータと、各種入力信号から制御量の演算を行うマイコンからなる演算部521と、マイコンの出力信号に従いアクチュエータを駆動させる駆動信号の形態に変換させる出力ドライバと通信ドライバ,通信レシーバ等から構成される。
【0036】
制御装置520に入力される信号は、制御装置520に向かう矢印が先端にある一点鎖線で表現され、制御装置520から出力される信号は、信号が入力される機器に向かう矢印が先端にある一点鎖線で表現される。
【0037】
演算部521は、記憶部522と、実行処理部523を有する。
【0038】
記憶部522には、操作装置332から出力される操作信号(操作レバーの操作量)と電磁比例弁517に入力される信号(コントロールバルブ514のスプールの開口量すなわちアクチュエータの作動速度)の操作応答性マップと、操作装置332から出力される操作信号(操作レバーの操作量)と電磁比例弁518入力される信号(可変容量ポンプ511の吐出流量)の吐出流量マップと、左操作レバー332cと右操作レバー332dの操作に対して操作信号が入力されるアーム、バケット、ブーム及び旋回動作を制御するコントロールバルブ514の電磁比例弁517の組み合わせ、つまり左操作レバー332cと、右操作レバー332dの操作によるアーム、バケット、ブーム及び旋回の操作の組み合わせ(操作パターン)の情報と現在設定されている操作パターン等が記憶されている。
【0039】
記憶部522に記憶されている操作応答性マップは、通常操作で使われる左走行レバー332a,右走行レバー332bの操作及び左操作レバー332cと右操作レバー332dに操作パターンごとに割り付けられた操作に設定された定常操作マップと、操作装置332操作の中で、旋回操作を除く作業機械400の操作(ブーム操作,バケット操作,アーム操作)に対して操作に対するアクチュエータ(ブームシリンダ460,アームシリンダ470,バケットシリンダ480)の操作応答性を高めた増速操作マップから構成されている。
【0040】
記憶部522に記憶されている操作パターンは、Aパターン、Bパターン、Cパターン及びDパターンの4つの組み合わせである。
【0041】
Aパターンは、左操作レバー332cの前方傾倒操作にアームダンプ、後方傾倒操作にアームクラウド、左方傾倒操作に左旋回、右方傾倒操作に右旋回が割り付けられている。そして右操作レバー332dの前方傾倒操作にブーム下げ、後方傾倒操作にブーム上げ、左方傾倒操作にバケットクラウド、右方傾倒操作にバケットダンプが割り付けられている。
【0042】
Bパターンは、左操作レバー332cの前方傾倒操作に右旋回、後方傾倒操作に右旋回、左方傾倒操作にアームダンプ、右方傾倒操作にアームクラウドが割り付けられている。そして右操作レバー332dの前方傾倒操作にブーム下げ、後方傾倒操作にブーム上げ、左方傾倒操作にアームクラウド、右方傾倒操作にアームダンプが割り付けられている。
【0043】
Cパターンは、左操作レバー332cの前方傾倒操作にブーム下げ、後方傾倒操作にブーム上げ、左方傾倒操作にバケットダンプ、右方傾倒操作にバケットアームが割り付けられている。そして右操作レバー332dの前方傾倒操作にアームダンプ、後方傾倒操作にアームクラウド、左方傾倒操作に左旋回、右方傾倒操作に右旋回が割り付けられている。
【0044】
Dパターンは、左操作レバー332cの前方傾倒操作にブーム下げ、後方傾倒操作にブーム上げ、左方傾倒操作にバケットダンプ、右方傾倒操作にバケットアームが割り付けられている。そして右操作レバー332dの前方傾倒操作にアームクラウド、後方傾倒操作にアームダンプ、左方傾倒操作に左旋回、右方傾倒操作に右旋回が割り付けられている。
【0045】
実行処理部523は、操作装置332の操作に発信する操作信号から記憶部522に記憶されている操作パターンと操作応答性マップを参照して、コントロールバルブ514の電磁比例弁517に信号を出力させアクチュエータを動かす。
【0046】
例えば、Aパターンが設定されている場合に、右操作レバー332dを左右に傾倒させると、実行処理部523は、定常操作マップを参照してバケットシリンダ480を動かしバケットにクラウド及びダンプ動作を繰り返し行わせる。
【0047】
さらにスイッチ332d1を押下しながら、右操作レバー332dを左右に傾倒させると、実行処理部523は、増速操作マップを参照してバケットシリンダ480を動かしバケット450にクラウド及びダンプ動作を繰り返し行わせる。
【0048】
図4は、定常操作マップと増速操作マップに基づく操作量とバケットシリンダ480の作動速度の関係について比較したものであるが、増速操作マップの方が操作量に対してバケットシリンダ480の作動速度の立ち上がり高くアクチュエータの操作応答性が高い。本件発明に係る制御に基づくバケット操作がバケットの土を払って落とすような動作について適しているといえる。
【0049】
さらにスイッチ332d1を押下しながら、右操作レバー332dを前後に傾倒させると、実行処理部523は、増速操作マップを参照してブームシリンダ460を動かしブーム420に対してスイッチ332d1を押下せずに行った操作に比べ高速に上下動作を繰り返し行わせることができる。すなわち本件発明に係る制御は、杭打ちや転圧操作に適したものといえる。
【0050】
さらにスイッチ332d1を押下しながら、左操作レバー332cを前後に傾倒させると、実行処理部523は、増速操作マップを参照してアームシリンダ470を動かしアーム430に対してスイッチ332d1を押下せずに行った操作に比べ高速にクラウド動作及びダンプ動作を繰り返し行わせることができる。すなわち本件発明に係る制御は、転圧操作時の敷き均し作業に適したものといえる。
【0051】
図5を用いて制御フローについて説明する。図5は制御方法に係るフローチャートである。
【0052】
Aパターンの設定状態でスイッチ332d1を指で押し続ける。(S1)右操作レバー332dを左方に傾倒させる。(S2)増速マップに基づきバケットはクラウド動作を行う。(S3)
【0053】
右操作レバー332dを右方に傾倒させる。(S4)増速マップに基づきバケットは、ダンプ動作を行う。(S5)
【0054】
スイッチ332d1から指を離した場合(S6:YESの場合)バケットの土払い動作を終了させる。
【0055】
スイッチ332d1を指で押し続けた場合(S6:NOの場合)S2~S6の処理を繰り返して実行し、バケットの土払い動作を続行する。
【0056】
図10に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0057】
続いて本発明の実施形態の変形例について説明する。
【0058】
記憶部522に記憶されている吐出流量マップは、通常の操作時に使う定常吐出量マップの他に、定常吐出量マップと比べ操作レバーの操作量に対する可変容量ポンプ511の吐出流量が大きく設定された増量吐出量マップを有している。
【0059】
Aパターンが設定されている場合に、スイッチ332d1を押下しながら、右操作レバー332dを前後に傾倒させると、実行処理部523は、増量吐出量マップを参照して、操作量に応じた可変容量ポンプ511の吐出流量を設定し、同時に、増速操作マップを参照して、ブームシリンダ480を動かし、ブーム420に対してスイッチ332d1を押下せずに行った操作に比べ、より高速に上下動作を繰り返し行わせることができる。すなわち本件発明に係る制御は、杭打ちや転圧操作に適したものといえる。
【0060】
続いて図1図6及び図7を用いて、本発明の第2の実施形態について説明するが、第1の実施形態と共通の部分については、説明を省略する。
【0061】
図6で示すように、右操作レバー332dの把持部の上端部後方(操作者側)には、右操作レバー332dの操作に対する作業機アクチュエータの操作応答性をあげるためのスイッチ332d1が装着されており、左操作レバー332cの上端部後方(操作者側)には、左操作レバー332cの操作に対応する作業機アクチュエータの操作応答性をあげるためのスイッチ332c1が装着されている。
【0062】
Aパターンが設定されている状態で、スイッチ332d1を押下しながら右操作レバー332dを前後に傾倒させると、実行処理部523は、増速操作マップを参照して、ブームシリンダ460を動かし、ブーム420に対してスイッチ332d1を押下せずに行った操作に比べ、高速に上下動作を繰り返し行わせることができる。すなわち本件発明に係る制御は、杭打ちや転圧操作に適したものといえる。
【0063】
さらにスイッチ332c1を押下しながら、左操作レバー332cを前後に傾倒させると、実行処理部523は、増速操作マップを参照してアームシリンダ470を動かしアーム430に対してスイッチ332d1を押下せずに行った操作に比べ高速にクラウド動作及びダンプ動作を繰り返し行わせることができる。すなわち本件発明に係る制御は、転圧操作時の敷き均し作業に適したものといえる。
【0064】
表示装置334を操作することにより、操作パターンをAパターンからDパターンに変更すると、実行処理部523は、操作装置332の操作に発信する操作信号からDパターンについての操作応答性マップを参照して、コントロールバルブ514の電磁比例弁517に信号を出力させアクチュエータを動かす。
【0065】
続いてDパターンに設定が変更されている状態で、スイッチ332d1を押下しながら右操作レバー332dを前後に傾倒させると、実行処理部523は、増速操作マップを参照して、アームシリンダ470を動かし、アーム430に対してスイッチ332d1を押下せずに行った操作に比べ高速にクラウド動作及びダンプ動作を繰り返し行わせることができる。
【0066】
さらにスイッチ332c1を押下しながら、左操作レバー332cを前後に傾倒させると、実行処理部523は、増速操作マップを参照してブームシリンダ480を動かし、ブーム420に対してスイッチ332c1を押下せずに行った操作に比べ、高速に上下動作を繰り返し行わせることができる。
【0067】
すなわち本件発明の構成によれば、操作が割り付けられているアクチュエータに対応する操作レバーに対して作業機アクチュエータの操作応答性をあげるためのスイッチが装着されていることから簡易に操作目的にあった操作性に変更することのできる作業機械を提供することができる。
【0068】
続いて図1図6及び図7を用いて、本発明の第3の実施形態について説明するが、第1と第2の実施形態と共通の部分については、説明を省略する。
【0069】
図6で示すように、右操作レバー332dの把持部の上端部後方(操作者側)には、スイッチ332d1が装着されており、左操作レバー332cの上端部後方(操作者側)には、スイッチ332c1が装着されているが、作業機アクチュエータの操作応答性をあげるためのスイッチは、旋回操作が割り付けられていない方の操作レバーに装着されている。
【0070】
表示装置334によりAパターンが設定されている場合は、旋回操作は左操作レバー332cに割り付けられているため、作業機アクチュエータの操作応答性をあげるためのスイッチは、ブーム操作が割り付けられている右操作レバー332dに装着されているスイッチ332d1となる。
【0071】
表示装置334によりBパ
ターンが設定されている場合は、旋回操作は左操作レバー332cに割り付けられているため、作業機アクチュエータの操作応答性をあげるためのスイッチは、ブーム操作が割り付けられている右操作レバー332dに装着されているスイッチ332d1となる。
【0072】
表示装置334によりCパターンが設定されている場合は、旋回操作は右操作レバー332dに割り付けられているため、作業機アクチュエータの操作応答性をあげるためのスイッチは、ブーム操作が割り付けられている左操作レバー332cに装着されているスイッチ332c1となる。
【0073】
表示装置334によりDパターンが設定されている場合は、旋回操作は右操作レバー332dに割り付けられているため、作業機アクチュエータの操作応答性をあげるためのスイッチは、ブーム操作が割り付けられている左操作レバー332cに装着されているスイッチ332c1となる。
【0074】
操作パターンの変更と共に、操作応答性をあげるための機能を旋回操作が割り付けられていない方の操作レバー(ブーム操作の操作が割り付けられた操作レバー)に装着されスイッチに割り付けることにより、操作パターン変更が行われたとしても、簡易に操作目的にあった操作性に変更することができる。
【0075】
本発明の実施形態にかかる発明は、以下のように特定することができる。
【0076】
〈付記1〉旋回操作及び作業機操作が割り振られた1対の操作レバーと、前記作業機操作により操作されるアクチュエータの操作応答性を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置に前記アクチュエータの操作応答性を上げる第1制御を実行させるスイッチが前記操作レバーに装着されている建設機械。
【0077】
〈付記2〉前記スイッチが前記操作レバーの一方側に配置されている付記1記載の建設機械。
【0078】
〈付記3〉前記旋回操作が前記操作レバーの他方側に配置されている付記1又は付記2記載の建設機械。
【0079】
〈付記4〉前記スイッチがモーメンタリ動作方式の押しボタンスイッチである付記1から付記3記載の何れかに記載の建設機械。
【0080】
〈付記5〉前記スイッチは、前記操作レバーの把持部に装着されている付記1から付記4記載の何れかに記載の建設機械。
【0081】
〈付記6〉前記スイッチが、前記操作レバーの把持部の上端部に装着されている付記1から付記5記載の何れかに記載の建設機械。
【0082】
〈付記7〉前記制御装置が1対の前記操作レバーに対して前記旋回操作及び前記作業機操作の割り付けを変更する第2制御を実行し、前記スイッチが、前記旋回操作が割り付けられていない方の操作レバーに装着されている付記1から付記6記載の何れかに記載の建設機械。
【0083】
〈付記8〉前記制御装置が1対の前記操作レバーに対して前記旋回操作及び前記作業機操作の割り付けを変更する第2制御を実行し、前記スイッチが1対の前記操作レバーに別個に装着されており、前記制御装置は、前記スイッチが前記操作レバーに操作が割り付けられているアクチュエータに対して前記第1制御を実行させる付記1から付記7記載の何れかに記載の建設機械。
【0084】
〈付記9〉前記制御装置は、前記第1制御の実行と共に、前記アクチュエータに作動油を圧送するポンプに対して、吐出量を増加させる第3制御を実行させる付記1から付記2記載の何れかに記載の建設機械。
【0085】
上記で説明した第1,第2,第3の実施形態、又は変形例で説明した種々の構成は、適宜組み合わせて採用可能である。
【0086】
以上では、建設機械として、油圧ショベルを例に挙げて説明したが、建設機械は油圧ショベルに限定されず、クローラクレーンやラフテレーンクレーンなどの他の建設機械であってもよく、さらに原動機としてエンジンを挙げて説明したが電動モータでもよい。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で拡張又は、変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、建設機械に関するものであり産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0089】
332c 操作レバー(左操作レバー)332d 操作レバー(右操作レバー)332d1 スイッチ460 アクチュエータ(ブームシリンダ)480 アクチュエータ(バケットシリンダ)520 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7