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特開2024-51711交通支援システム、交通支援方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051711
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】交通支援システム、交通支援方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158016
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小森 賢二
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181DD02
5H181DD04
5H181EE12
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
5H181MB02
5H181MB12
(57)【要約】
【課題】より適切な交通支援によって安全性をより向上させる。
【解決手段】監視対象エリアに設置され、監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置と、センサ装置の検出結果に基づいて監視対象エリアの状況を管理する管理部と、移動体の行動に関する情報を監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させる提示制御部とを備え、移動体は監視対象エリア内の道路を移動する車両と、道路に存在する横断歩道を通行して道路を横断する交通参加者とを含み、情報提示装置は横断歩道の通行方向の両側のうち少なくとも一方に設けられた第1発光部を含み、提示制御部は、監視対象エリアの状況に基づき、道路に混雑している車線と混雑していない車線とが含まれる場合であって、且つ、混雑している車線側から横断歩道を通行して道路を横断する交通参加者が存在する場合に、横断が終了するまで第1発光部を発光させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置と、
前記センサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理する管理部と、
前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させる提示制御部と、を備え、
前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、
前記情報提示装置は、前記横断歩道の通行方向の両側のうち少なくとも一方に設けられた第1発光部を含み、
前記提示制御部は、前記監視対象エリアの状況に基づき、前記道路に混雑している車線と混雑していない車線とが含まれる場合であって、且つ、前記混雑している車線側から前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第1発光部を発光させる、
交通支援システム。
【請求項2】
前記提示制御部は、前記混雑している車線側から前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ前記混雑していない車線から横断歩道に接近する車両が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第1発光部を発光させる、
請求項1に記載の交通支援システム。
【請求項3】
前記提示制御部は、前記横断歩道の通行方向の両側のうち前記混雑していない車線側に設けられた前記第1発光部を発光させる、
請求項1に記載の交通支援システム。
【請求項4】
前記混雑している車線は、前記車線を走行する車両の速度が所定速度以下の車線を含む、
請求項1に記載の交通支援システム。
【請求項5】
前記提示制御部は、前記横断歩道と前記混雑している車線に存在する車両との距離に基づいて、前記第1発光部の点灯と点滅とを切り替える、
請求項1に記載の交通支援システム。
【請求項6】
前記第1発光部は、前記横断歩道の両側の少なくとも一方に存在する前記車両を停止させるための停止線に設けられる、
請求項1に記載の交通支援システム。
【請求項7】
監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置と、
前記センサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理する管理部と、
前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させる提示制御部と、を備え、
前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、
前記情報提示装置は、前記横断歩道に対応付けられた位置に設けられた第2発光部を含み、
前記提示制御部は、前記監視対象エリアの状況に基づき、所定の時間帯に前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ前記横断歩道に接近する車両が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第2発光部を発光させる、
交通支援システム。
【請求項8】
前記提示制御部は、前記横断歩道に接近する車両と前記横断歩道との接近度合が大きいほど前記第2発光部における点灯時または点滅時の光量を小さくする、
請求項7に記載の交通支援システム。
【請求項9】
コンピュータが、
監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理し、
前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、
前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、
前記情報提示装置は、前記横断歩道の通行方向の両側の少なくとも一方に設けられた第1発光部を含み、
前記監視対象エリアの状況に基づき、前記道路に混雑している車線と混雑していない車線とが含まれる場合であって、且つ、前記混雑している車線側から前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第1発光部を発光させる、
交通支援方法。
【請求項10】
コンピュータが、
監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理し、
前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、
前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、
前記情報提示装置は、前記横断歩道に対応付けられた位置に設けられた第2発光部を含み、
前記監視対象エリアの状況に基づき、所定の時間帯に前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ前記横断歩道に接近する車両が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第2発光部を発光させる、
交通支援方法。
【請求項11】
コンピュータに、
監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理させ、
前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、
前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、
前記情報提示装置は、前記横断歩道の通行方向の両側の少なくとも一方に設けられた第1発光部を含み、
前記監視対象エリアの状況に基づき、前記道路に混雑している車線と混雑していない車線とが含まれる場合であって、且つ、前記混雑している車線側から前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第1発光部を発光させる、
プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理させ、
前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、
前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、
前記情報提示装置は、前記横断歩道に対応付けられた位置に設けられた第2発光部を含み、
前記監視対象エリアの状況に基づき、所定の時間帯に前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ前記横断歩道に接近する車両が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第2発光部を発光させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通支援システム、交通支援方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて安全予防技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。これに関連して、交差点へ進入する車両や歩行者をセンサで感知すると交差する対面車線上の停止線または横断歩道に埋設した発光式道路鋲の点滅状態または発光色状態を変更する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-172927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、安全予防に関する技術においては、横断歩道付近の状況の変化に応じたより細かな発光制御が行われていなかった。そのため、道路を通行する移動体に対して適切な交通支援が行われず、十分な安全性が確保できない可能性があるというのが課題であった。
【0005】
本願は、上記課題の解決のため、より適切な交通支援によって安全性をより向上させることができる交通支援システム、交通支援方法、およびプログラムを提供することを目的の一つする。そして、延いては交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る交通支援システム、交通支援方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):本発明の一態様に係る交通支援システムは、監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置と、前記センサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理する管理部と、前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させる提示制御部と、を備え、前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、前記情報提示装置は、前記横断歩道の通行方向の両側のうち少なくとも一方に設けられた第1発光部を含み、前記提示制御部は、前記監視対象エリアの状況に基づき、前記道路に混雑している車線と混雑していない車線とが含まれる場合であって、且つ、前記混雑している車線側から前記道横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第1発光部を発光させる、交通支援システムである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記提示制御部は、前記混雑している車線側から前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ前記混雑していない車線から横断歩道に接近する車両が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第1発光部を発光させるものである。
【0008】
(3):上記(1)の態様において、前記提示制御部は、前記横断歩道の通行方向の両側のうち前記混雑していない車線側に設けられた前記第1発光部を発光させるものである。
【0009】
(4):上記(1)の態様において、前記混雑している車線は、前記車線を走行する車両の速度が所定速度以下の車線を含むものである。
【0010】
(5):上記(1)の態様において、前記提示制御部は、前記横断歩道と前記混雑している車線に存在する車両との距離に基づいて、前記第1発光部の点灯と点滅を切り替えるものである。
【0011】
(6):上記(1)の態様において、前記第1発光部は、前記横断歩道の両側の少なくとも一方に存在する前記車両を停止させるための停止線に設けられるものである。
【0012】
(7):本発明の他の一態様に係る交通支援システムは、監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置と、前記センサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理する管理部と、前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させる提示制御部と、を備え、前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、前記情報提示装置は、前記横断歩道に対応付けられた位置に設けられた第2発光部を含み、前記提示制御部は、前記監視対象エリアの状況に基づき、所定の時間帯に前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ前記横断歩道に接近する車両が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第2発光部を発光させる、交通支援システムである。
【0013】
(8):上記(7)の態様において、前記提示制御部は、前記横断歩道に接近する車両と前記横断歩道との接近度合が大きいほど前記第2発光部における点灯時または点滅時の光量を小さくするものである。
【0014】
(9):本発明の他の一態様に係る交通支援方法は、コンピュータが、監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理し、前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、前記情報提示装置は、前記横断歩道の通行方向の両側の少なくとも一方に設けられた第1発光部を含み、前記監視対象エリアの状況に基づき、前記道路に混雑している車線と混雑していない車線とが含まれる場合であって、且つ、前記混雑している車線側から前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第1発光部を発光させる、交通支援方法である。
【0015】
(10):本発明の他の一態様に係る交通支援方法は、コンピュータが、監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理し、前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、前記情報提示装置は、前記横断歩道に対応付けられた位置に設けられた第2発光部を含み、前記監視対象エリアの状況に基づき、所定の時間帯に前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ前記横断歩道に接近する車両が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第2発光部を発光させる、交通支援方法である。
【0016】
(11):本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理させ、前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、前記情報提示装置は、前記横断歩道の通行方向の両側の少なくとも一方に設けられた第1発光部を含み、前記監視対象エリアの状況に基づき、前記道路に混雑している車線と混雑していない車線とが含まれる場合であって、且つ、前記混雑している車線側から前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第1発光部を発光させる、プログラムである。
【0017】
(12):本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理させ、前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、前記情報提示装置は、前記横断歩道に対応付けられた位置に設けられた第2発光部を含み、前記監視対象エリアの状況に基づき、所定の時間帯に前記横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ前記横断歩道に接近する車両が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第2発光部を発光させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
上記(1)~(12)の態様によれば、より適切な交通支援によって安全性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る交通支援システム1の概略構成の一例を示す図である。
図2】センサ装置100の構成の一例を示す図である。
図3】情報提示装置200の構成の一例を示す図である。
図4】交通支援装置300の構成の一例を示す図である。
図5】交通支援システム1における情報提示の第1の実施例を示す図である。
図6】交通支援システム1における情報提示の第2の実施例を示す図である。
図7】第1の提示制御処理の一例を示すフローチャートである。
図8】第2の提示制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の交通支援システム、交通支援方法、およびプログラムの実施形態について説明する。なお、実施形態の交通支援システムにおける移動体とは、二輪、三輪、または四輪等の車両、自転車、人(歩行者)等の道路を通行する物体(移動体)全般を含む。車両は、人(運転者)が搭乗し、路面を移動可能なあらゆる車両を含み、例えば、一人乗りの車両(マイクロモビリティ)等を含む。以下の説明において、車両は、四輪車両であるものとして説明する。また、以下では、左側通行の法規が適用される場合について説明するが、右側通行の法規が適用される場合、左右を逆に読み替えればよい。
【0021】
[システム構成]
図1は、実施形態に係る交通支援システム1の概略構成の一例を示す図である。図1に示す交通支援システム1は、例えば、センサ装置100と、情報提示装置200と、交通支援装置300とを備える。これらは、例えば、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。ネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局等を含む。また、ネットワークNWは、少なくとも一部が有線または無線で接続される。交通支援システム1には、センサ装置100、情報提示装置200、交通支援装置300のそれぞれが、一以上含まれてよい。
【0022】
センサ装置100は、監視対象エリアに設置され、エリア内に存在する物体(例えば、エリア内を移動する移動体を含む)を検出する。監視対象エリアとは、例えば、車両400や、歩行者、自転車等の交通参加者等の移動体が通行するような道路を含むエリアである。道路には、例えば交通信号機が設置されていない横断歩道や停止線が路面に描画された道路等が含まれる。センサ装置100は、監視対象エリアが道路等の場合に、道路に沿って所定間隔等で複数設置されてよい。また、センサ装置100には、光学式センサと、電波式センサとが含まれてよい。光学式センサは、例えばカメラ装置であり、具体的には、ステレオカメラや単眼カメラ、魚眼カメラ、赤外線カメラ、等が含まれる。電波式センサには、レーダ装置やLIDER(Light Detection and Ranging)、TOF(Time Of Flight)カメラ等が含まれる。レーダ装置は、センサ装置100の周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。LIDARは、センサ装置100の周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDARは、発光から受光までの時間に基づいて、センサ装置100から対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。監視対象エリアに道路が含まれる場合、センサ装置100は、例えば道路の上方から道路を含む領域を撮像するように設置される。設置される複数のセンサ装置100のそれぞれのセンサ範囲(カメラ装置であれば画角(撮影範囲))は、少なくとも一部が重複していてもよく、重複していなくてもよい。
【0023】
情報提示装置200は、監視対象エリア付近に設置され、監視対象エリアを通行する移動体(車両、歩行者、自転車等)に情報(例えば、移動体の行動に関する情報)を提示する。移動体の行動に関する情報には、例えば移動体に減速を促すための情報や、移動体に物体との接触を回避させるための情報、更には移動体の周辺に他の移動体が存在することを通知するための情報等が含まれる。また、情報提示装置200は、例えば、発光部の発光状態(例えば、点灯、点滅、色、光の強さ(光量))を制御することで周辺状況に関する情報等を提供する。また、情報提示装置200は、発光部に加えて(または代えて)、ディスプレイやスピーカを設けて、画像を表示したり、音声を出力させてもよい。
【0024】
交通支援装置300は、ネットワークNWを介して、センサ装置100から得られる情報に基づいて、監視対象エリアの状況を監視し、監視結果に基づく情報を情報提示装置200により出力させる。交通支援装置300は、例えば、クラウドコンピューティングシステムに組み込まれたサーバ装置や記憶装置に実現されてもよい。この場合、クラウドコンピューティングシステムにおける複数のサーバ装置や記憶装置によって、交通支援装置300の機能が実現されてもよい。
【0025】
次に、センサ装置100、情報提示装置200、および交通支援装置300のそれぞれの機能構成について具体的に説明する。
【0026】
[センサ装置]
図2は、センサ装置100の構成の一例を示す図である。なお、図2の例では、センサ装置100がカメラ装置である場合の構成を示している。センサ装置100は、例えば、通信部110と、撮像部120と、制御部130とを備える。
【0027】
通信部110は、ネットワークNWを介して、交通支援装置300、その他の外部装置と通信する。例えば、通信部110は、撮像部120により撮像された画像データを交通支援装置に送信する。また、通信部110は、交通支援装置300から受信した情報を、周辺に存在する情報提示装置200や周囲の車両等に送信してもよい。
【0028】
撮像部120は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。撮像部120は、監視対象エリアを含む領域を所定周期や所定のタイミングで繰り返し撮像する。撮像部120の画角(撮影領域)は固定である。撮像部120は、ステレオカメラであってもよく、単眼カメラや魚眼カメラ、赤外線カメラ等であってもよい。
【0029】
なお、センサ装置100が電波式センサの場合、撮像部120に代えて(または加えて)、レーダ装置やLIDAR、TOFカメラ等が設けられる。また、センサ装置100には、周囲の音を収音するマイクが設けられてよい。
【0030】
制御部130は、センサ装置100の各構成全体を制御する。例えば、制御部130は、撮像部120により撮影された画像(以下、カメラ画像と称する)と、撮像日時情報と、センサ装置100を識別する識別情報(例えば、センサID)とを含むセンサデータを、ネットワークNWを介して交通支援装置に送信する。センサデータには、カメラ画像に加えて(または代えて)、レーダ装置やLIDAR、マイク等の各種センサによって得られる情報が含まれてよい。
【0031】
[情報提示装置]
図3は、情報提示装置200の構成の一例を示す図である。情報提示装置200は、例えば、通信部210と、発光部220と、制御部230とを備える。
【0032】
通信部210は、ネットワークNWを介して、交通支援装置300、その他の外部装置と通信する。例えば、通信部210は、交通支援装置300から送信された各種情報を受信する。
【0033】
発光部220は、監視対象エリアの道路に設けられた停止線や横断歩道等の路面標示に対応付けられた位置に設けられる。例えば、発光部220は、停止線や横断歩道の少なくとも一部に設けられてもよく、横断歩道の通行方向(道路の横断方向)の両側のうち少なくとも一方に設けられてもよく、停止線や横断歩道付近(所定距離以内)の位置に設けられてもよい。発光部220は、例えば、一以上の発光体によって点灯または点滅を行う。発光体は、例えばLED(Light Emitting Diode)であるが、これに限定されず、制御信号に基づいて点灯や点滅が可能な発光物であればよい。また、発光部220は、予め決められた色で発光してもよく、制御部230により指示された色で発光してもよい。
【0034】
制御部230は、情報提示装置200の各構成全体を制御する。例えば、制御部230は、交通支援装置300からの指示(制御情報)に基づいて、発光部220における点灯、点滅、色、強さ(光量)等を制御する。なお、発光部220に加えて(または代えて)、ディスプレイやスピーカを備える場合には、交通支援装置300からの指示に基づき、それぞれに対する出力制御を行ってもよい。
【0035】
[交通支援装置]
図4は、交通支援装置300の構成の一例を示す図である。交通支援装置300は、例えば、通信部310と、取得部320と、解析部330と、管理部340と、提示制御部350と、記憶部360とを備える。取得部320と、解析部330と、管理部340と、提示制御部350とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0036】
記憶部360は、上記の各種記憶装置、或いはSSD、EEPROM、ROM、またはRAM等により実現されてもよい。記憶部360は、例えば、インフラ設備情報362、プログラム、その他の各種情報等が格納される。
【0037】
インフラ設備情報362には、例えば、センサ装置100のセンサIDまたは情報提示装置200の識別情報(情報提示装置ID)に、設置位置と、設置した向き(画角(撮影範囲)、表示面方向)と、種類情報とがそれぞれ対応付けられている。例えばセンサ装置100の場合、種類情報には、ステレオカメラ、単眼カメラ、魚眼カメラ、赤外線カメラ、TOFカメラ、レーダ装置やLIDAR、マイク等を識別する識別情報が含まれる。また、情報提示装置200の場合、種類情報には、例えば、発光部、ディスプレイ、スピーカを識別する識別情報が含まれる。
【0038】
通信部310は、サーバ側通信制御部520の制御により、ネットワークNWを介して、センサ装置100、情報提示装置200、その他の外部装置(車両等の移動体を含む)と通信する。
【0039】
取得部320は、センサ装置100や他の外部装置からの情報を取得する。例えば、取得部320は、センサ装置100からセンサデータを取得する。また、取得部320は、監視対象エリアの天候や季節等に関する情報等を外部装置等から取得してもよい。取得したデータは、記憶部360に格納されてもよい。
【0040】
解析部330は、取得部320により取得されたセンサデータを解析する。例えば、解析部330は、センサデータに画像データが含まれる場合に、画像データを解析する。例えば、解析部330は、画像データを俯瞰図座標系に座標変換し、変換した座標系に基づいて周知の手法(二値化処理、輪郭抽出処理、画像強調処理、特徴量抽出処理、パターンマッチング処理等)で画像認識処理を行って、センサ装置100の周辺状況を認識する。また、解析部330は、座標変換を行わずに上述の画像解析処理を行ってもよい。
【0041】
例えば、解析部330は、画像データの解析によって得られる特徴情報と、物体ごとに予め決められた特徴情報とのマッチング結果(合致度合)に基づいて、画像データに含まれる物体を特定する。合致度合は、例えば、特徴情報に含まれる複数の特徴要素のうち、一致する要素がどのぐらいあるかによって導出されてもよく、特徴要素ごとまたは特徴情報全体の類似度によって導出されてもよい。また、合致度合は、例えば、それぞれの要素ごとの差分の合計に基づいて導出されてもよい。また、合致度合は、機械学習(ニューラルネットワーク)や深層学習(ディープラーニング)等のAI(人工知能:Artificial Intelligence)による機能を用いて、比較される二つの情報から導出されてもよく、他の手法を用いて導出されてもよい。
【0042】
また、解析部330は、監視対象エリア内の物体の位置、種類、速度等を認識してもよい。物体には、例えば、車両400や歩行者、自転車等の移動体が含まれる。また物体には、道路構造物等が含まれてもよい。道路構造物には、例えば、道路標識や交通信号機、縁石、中央分離帯、ガードレール、フェンス、壁、踏切、路面に描画された横断歩道、停止線(一時停止線)等が含まれる。また、物体には、また、物体には、自車両Mの走行の障害となる障害物が含まれてもよい。
【0043】
また、解析部330は、監視対象エリア内に存在する移動体の位置(相対位置)、速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、移動体の代表点(重心や駆動軸中心等)を原点とした絶対座標系の位置として認識される。物体の「状態」とは、例えば、移動体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば横断歩道を通行している、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。また、解析部330は、監視対象エリアに含まれる移動体を特定するための形状等の特徴情報を解析してもよい。また解析部330は、移動体の所定区間における走行時間を計測してもよい。
【0044】
また、解析部330は、移動体の形状等の特徴情報の合致度合に基づいて、複数のセンサ装置100から取得したそれぞれのセンサデータに含まれる移動体を同定する。特徴情報には、形状の他、模様(外部から視認可能な記号、数字等を含む)、色等が含まれてよい。例えば、解析部330は、合致度合が閾値以上の移動体を同一物体として同定し、その移動体には共通の識別情報を付与し、合致度合が閾値未満の移動体には、他と異なる識別情報を付与する。これにより、管理部340は、付与された識別情報に基づいて移動体ごとに移動状況を管理することができる。
【0045】
管理部340は、解析部330の解析結果等に基づいて、監視対象エリアの状況(例えば、移動体の移動状況)を管理する。例えば、管理部340は、エリア内に存在する横断歩道を通行して道路を横断する(またはしようとしている)交通参加者(歩行者や自転車)が存在するか否かや、横断歩道に接近している車両が存在するか否かを判定する。また、管理部340は、監視対象エリアにおける混雑状況(渋滞の有無等)、天候等を管理する。
【0046】
提示制御部350は、監視対象エリアの状況に基づいて、当該エリアに設置された情報提示装置200を介して、監視対象エリアを移動する移動体に情報を提供する。提供する情報には、例えば、情報提示装置200の発光体の点灯、点滅、光量等の発光状態の制御によって、車両に対して横断歩道を通行している交通参加者が存在することを通知する情報や、横断歩道を通行する交通参加者に対して車両が接近していることを通知する情報が含まれる。また、提供する情報には、画像や音声による情報が含まれてよい。
【0047】
[情報提示例]
次に、交通支援システム1における情報提示の実施例について具体的に説明する。
【0048】
<第1の実施例>
図5は、交通支援システム1における情報提示の第1の実施例を示す図である。図5の例では、片側1車線(車線L1、L2)の対面通行可能な道路RD1を含む領域をカメラ等で撮像可能なセンサ装置100-1、100-2と、道路RD1の路面に描画された横断歩道CW1および道路RD1のそれぞれの車線L1、L2の進行方向に対して横断歩道CW1から所定距離手前に設けられた停止線SL1、SL2とが示されている。図5の例では、横断歩道CW1付近に、交通信号機は設置されていない。
【0049】
また、図5の例において、停止線SL1、SL2のそれぞれの少なくとも一部には、情報提示装置200の発光部220-1、220-2が設けられている。発光部220-1、220-2は、横断歩道CWの通行方向の両側のうち少なくとも一方(図5の例では両方)に設けられた「第1発光部」の一例である。なお、発光部220は、停止線SL1、SL2の描画領域内に発光が視認できるように埋設されていてもよく、停止線SL1、SL2付近(所定距離以内)に設けられていてもよい。また、図5の例において、車両400-1は、車線L1を横断歩道CW1に向かって走行し、車両400-2~400-4は、車線L2に存在するものとする。
【0050】
センサ装置100-1は、少なくとも横断歩道CW1、停止線SL1、および横断歩道CW1から所定距離離れた車線L1を含むエリア(監視対象エリア)を撮像する。センサ装置100-2は、少なくとも横断歩道CW1、停止線SL2、および横断歩道CW1から所定距離離れた車線L2を含むエリアを撮像する。各センサ装置100-1、100-2の設置位置やセンサ範囲は、予め交通支援装置300のインフラ設備情報362に格納され、管理部340により管理されている。
【0051】
図5の例において、センサ装置100-1、100-2は、所定周期または所定のタイミングで固定された撮像範囲を撮像し、撮像した画像データを含むセンサデータを交通支援装置300に送信する。交通支援装置300は、取得部320により取得されたそれぞれのセンサデータを解析部330に解析させる。管理部340は、センサ装置100-1、100-2により撮像されたセンサデータの解析結果に基づいて、歩行者P1の位置、移動方向、および速度と、横断歩道CW1の位置との関係から、歩行者P1が横断歩道CW1を通行して道路RD1を横断していることを認識する。この場合、管理部340は、横断歩道CW1の周辺状況に応じて、提示制御部350に発光部220-1、220-2の発光制御を実行させる。
【0052】
例えば、管理部340は、解析部330の解析結果として得られる車両400-1~400-4のそれぞれの速度や位置関係から車線L2の混雑状況を監視する。例えば、車両400-1~400-4の速度(同一車線を走行する車両の平均速度)が所定速度以下(例えば、約20kph以下)である場合に、その車線が混雑していると判定する。「混雑している」とは、例えば、道路が渋滞していることに加え、路上駐車等により、通行しにくい状態であることや横断歩道付近に死角ができやすい状態であること等が含まれてよい。
【0053】
また、管理部340は、速度による判定に加えて、車両400-2~400-4における平均車間距離(横断歩道区間は除外してもよい)が所定距離未満である場合に混雑していると判定してもよい。また、管理部340は、上述した車両の速度や平均車間距離の大きさに応じて混雑度合を導出し、混雑度合が閾値以上の場合に混雑していると判定してもよい。この場合、速度や車間距離が小さくなるほど混雑度合が大きくなる。図5の例において、管理部340は、車線L1が混雑しておらず、車線L2が混雑していると判定したものとする。
【0054】
例えば、車線L2が混雑している状況下において、歩行者P1が車線L2側から横断歩道CW1内を通行して道路RD1を横断している場合、提示制御部350は、歩行者P1の横断が終了するまで発光部220の発光させる制御を情報提示装置200に実行させる。この場合、提示制御部350は、発光部220-1、220-2のうち、混雑していない車線L1に対応する位置(車線L1側)に設けられた発光部220-1を点灯または点滅させる。また、提示制御部350は、混雑している車線L2側から横断歩道CW1を通行して道路を横断する歩行者P1が存在する場合であって、且つ、混雑していない車線L1から、横断歩道CW1に接近する(横断歩道CW1から所定距離に存在する)車両400-1が存在する場合に、発光部220-1を点灯または点滅させてもよい。これにより、より適切なタイミングで周囲の移動体に注意喚起を促すことができ、移動体同士の接触を回避させ易くすることができる。
【0055】
なお、提示制御部350は、車両400-1から見て横断歩道CW1の死角を作り易い位置に存在する車両400-3(渋滞側の車両)の状態に基づいて、発光部220-1の発光状態を調整してもよい。例えば、提示制御部350は、横断歩道と車両400-3との距離に基づいて、発光部220-1の点灯と点滅とを切り替える。この場合、提示制御部350は、横断歩道CW1付近(所定距離以内)に車両400-3が存在する場合に、発光部220-1を点滅させる制御を行い、横断歩道CW1付近に車両400-3が存在しない場合に、発光部220-1を点灯させる制御を行う。上記の所定距離は、固定距離でもよく、道路形状や混雑度合、車両400-3の形状(大型車両、普通自動車)、天候、時間帯等によって調整される可変距離でもよい。
【0056】
また、提示制御部350は、横断歩道CW1付近の車両400-3と、横断歩道CW1との距離に応じて、点滅周期を調整してもよく、発光させる色を調整してもよく、光量を調整してもよい。この場合、提示制御部350は、距離が近いほど、より強調表示できるように点滅周期を早くしたり、より強調した色にしたり、光量を大きく(より明るく)する。また、提示制御部350は、天候や時間帯(昼間、夜間)等に応じて、点滅周期や色、光量を調整し、車両400-1の乗員から視認し易くしてもよい。
【0057】
このように、横断歩道CW1を通行して道路RD1を横断する交通参加者が存在する場合に、車両Mが混雑していない側の車線(図中、車線L1)の停止線SL1を発光させることで、横断歩道CW1を通行する交通参加者(歩行者P1)が存在することを、横断歩道CW1に接近する車両400-1に通知することができる。そのため、横断する歩行者P1の位置と車両400-1の位置との間に存在する車両400-3によって、車両400-1から歩行者P1が認識できない場合であっても、車両400-1の乗員は停止線SL1の発光により早いタイミングで認識することができ、車両400-1の減速や停止等の運転操作を実行することができる。また、歩行者P1にとっても、停止線SL1の点滅によって、視認できていない車両400-1(横断歩道に接近している車両)の存在を把握することができるため、早めに注意喚起を促し、接触回避等の行動を取り易くさせることができる。
【0058】
なお、第1の実施例において、提示制御部350は、時間帯や天候等に応じて、停止線SL1に設けられた発光部220-1の点滅に加えて、周囲が暗い状況である場合に混雑している車線L2側の停止線SL2に設けられた発光部220-2を発光させてもよい。この場合、提示制御部350は、例えば発光部220-1の発光状態よりも目立たない発光状態(例えば、光量を小さくする、点滅周期を遅くする等)になるように制御してもよい。
【0059】
<第2の実施例>
図6は、交通支援システム1における情報提示の第2の実施例を示す図である。図6の例では、図5と同様の道路RD1において、車両400-5は車線L1を横断歩道CW1に向かって速度V1で走行し、車両400-6は、車線L2を横断歩道CW1に向かって速度V2で走行している場面を示している。また、図6の例において、発光部220-1、220-2に加えて、横断歩道CW1の少なくとも一部(例えば、道路の横方向(図中Y軸方向に沿って描画された線)に情報提示装置200の発光部220-3、220-4が設けられている。発光部220-3、220-4は、横断歩道CW1に対応付けられた位置に設けられた「第2発光部」の一例である。なお、第2の実施例では、発光部220-1、220-2が設けられていなくてもよい。
【0060】
第2の実施例において、提示制御部350は、所定の時間帯に横断歩道CW1を通行して道路RD1を横断する交通参加者(歩行者P1)が存在する場合であって、且つ、横断歩道CW1に接近する車両400が存在する場合に、車両400と横断歩道CW1との距離に応じて発光部220-3、220-4の発光状態を制御する。所定の時間帯とは、例えば、横断歩道CW1の周囲が暗くなる時間帯(例えば夜間)であり、固定の時間帯でもよく、季節や天候に応じて設定される可変の時間帯でもよい。
【0061】
例えば、提示制御部350は、横断歩道CW1に接近する車両400と横断歩道CW1との接近度合が大きいほど発光部220-3,220-4における点灯時または点滅時の光量を小さくする。例えば、車両400-5と横断歩道CW1との距離D1が小さくなるほど、接近度合が大きくなる。例えば、提示制御部350は、距離D1が所定距離未満となった場合(言い換えると、接近度合が閾値以上となった場合)に、発光部220-3、220-4を所定の光量で点滅または点灯させる発光制御を開始し、その後、車両400-5が横断歩道CW1に近づくほど(距離D1が小さくなるほど)、段階的に光量を小さくする(減光する)発光制御を行う。そして、歩行者P1(交通参加者)の横断が終了した場合、または、車両400-5が停止した場合に、提示制御部350は、発光部220-3、220-4の発光を終了させる。
【0062】
なお、提示制御部350は、距離D1が小さくなるほど(接近度合が大きくなるほど)、点滅周期を遅くしたり、車両400-5の速度V1が速いほど点滅周期を早めるように発光状態を制御してもよい。これにより、周囲の車両の状況に応じて、車両400-5や歩行者P1に、より適切な注意喚起を促すことができる。特に、交通信号機のない横断歩道は夜間において視認しにくいため、発光部220の発光により車両400-5の乗員に対して横断歩道CW1や歩行者P1の存在を知らせることができる。歩行者P1にも夜間で周囲の状況が視認しにくい見えない状況で車両400-5が近づいていることをより正確に把握することができる。
【0063】
なお、図6に示すように、異なる車線から横断歩道CW1に接近する複数の車両400-5、400-6が存在する場合、提示制御部350は、車両400-5と横断歩道CW1との距離D1および車両400-6と横断歩道CW1との距離D2のうち、長い方の距離(図6の例では距離D1)を基準に発光部220-3、220-4の発光状態を制御してもよい。また、提示制御部350は、距離D1と車両400-5の速度V1とに基づき車両400-5が横断歩道CW1に到達するまでの時間を導出すると共に、距離D2と車両400-6の速度V2とに基づき車両400-6が横断歩道CW1に到達するまでの時間を導出し、それぞれの時間を比較し、長い方の時間に対応する車両を基準に発光部220-3、220-4の発光状態を制御してもよい。
【0064】
また、提示制御部350は、車両400-5に近い位置にある発光部220-3については、距離D1を基準とした発光制御を行い、車両400-6に近い位置にある発光部220-4については、距離D2を基準とした発光制御を行ってもよい。これにより、歩行者P1は、どの方向からどの程度車両が近づいているかを発光部220-3、220-4のそれぞれの発光状態から、より正確に把握することができる。また、提示制御部350は、停止線SL1に設けられた発光部220-1と停止線SL2に設けられた発光部220-2とを、発光部220-3、220-4の発光状態に応じて発光させてもよい。また、提示制御部350は、時間帯や天候、周辺状況等によって、発光部220の発光させる色を調整してもよい。これにより、発光部220の発光状態を周辺状況に応じてより適切に制御することができる。
【0065】
なお、上述の実施例では、複数のセンサ装置100-1、100-2からのセンサデータを用いた例について説明したが、センサ範囲の広い一つのセンサ装置100のセンサデータを用いて同様の処理を行ってもよい。また、図5図6の例において、車線L1およびL2は対向車線であったが、同一方向に進行可能な2車線以上の道路であっても、上述した処理と同様の処理が実行されてよい。また、第1および第2実施例は、同時に実行されてよい。また、提示制御部350は、発光部220-1~220-4の発光状態に応じて、音声(警告音等)を情報提示装置200のスピーカから出力させてもよく、画像を情報提示装置200のディスプレイに表示させてもよい。
【0066】
[処理フロー]
次に、実施形態の交通支援システム1により実行される処理の流れについて説明する。なお、以下の説明では、交通支援システム1で実行される処理のうち、主に発光部による提示制御(発光制御)処理を中心として説明する。また、後述する各処理は、所定周期または所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。
【0067】
図7は、第1の提示制御処理の一例を示すフローチャートである。図7の例において、提示制御部350は、混雑している車線側からの横断歩行者(道路を横断する交通参加者の一例)が存在するか否かを判定する(ステップS100)。横断歩行者が存在すると判定した場合、提示制御部350は、歩行者が横断する横断歩道に接近する車両が存在するか否かを判定する(ステップS102)。この車両は、例えば、混雑している車線の対向車線を走行する車両(対向車両)である。
【0068】
横断歩道に接近する車両が存在すると判定した場合、提示制御部350は、混雑している車線の車両が横断歩道付近に存在するか否かを判定する(ステップS104)。混雑している車線の車両が横断歩道付近に存在すると判定された場合、提示制御部350は、横断歩道に接近する車両の走行車線の停止線(横断歩道の手前の停止線)に設けられた発光部220の点滅を開始する制御を行う(ステップS106)。また、混雑している車線の車両が横断歩道付近に存在しないと判定された場合、提示制御部350は、横断歩道に接近する車両の走行車線の停止線に設けられた発光部220の点灯を開始する制御を行う(ステップS108)。
【0069】
ステップS106またはステップS108の処理後、提示制御部350は、横断歩行者の道路横断が終了したか否かを判定する(ステップS110)。横断が終了していないと判定された場合は、ステップS104の処理に戻る。また、横断が終了したと判定された場合、提示制御部350は、発光部220の点灯または点滅を終了し(ステップS112)、本フローチャートの処理は、終了する。
【0070】
また、ステップS100の処理において、混雑している車線側からの横断歩行者が存在しないと判定された場合、または、ステップS102の処理において、横断歩道に接近する車両が存在しない場合、本フローチャートの処理は、終了する。
【0071】
図8は、第2の提示制御処理の一例を示すフローチャートである。図8の例において、提示制御部350は、夜間に横断歩道を通行して道路を横断する横断歩行者(夜間の横断歩行者)が存在するか否かを判定する(ステップS120)。夜間の横断歩行者が存在すると判定した場合、提示制御部350は、横断歩道に接近する車両が存在するか否かを判定する(ステップS122)。横断歩道に接近する車両が存在すると判定された場合、提示制御部350は、車両と横断歩道との距離に応じて横断歩道に設けられた発光部220を段階的に発光させる制御を行う(ステップS124)。次に、管理部340は、横断歩行者の道路の横断が終了したか否か、または、接近していた車両が停止したか否かを判定する(ステップS126)。横断歩行者の道路の横断が終了していない、且つ、接近していた車両が停止していないと判定された場合、ステップS124の処理に戻る。また、道路の横断が終了した、または、接近していた車両が停止したと判定した場合、提示制御部350は、発光部220の発光を終了させる(ステップS128)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0072】
また、ステップS120の処理において、夜間の横断歩行者が存在しないと判定された場合、または、ステップS122の処理において、横断歩道に接近する車両が存在しないと判定された場合、本フローチャートの処理は、終了する。なお、上述した第1の点灯制御および第2の点灯制御は、同時に実行されてよい。
【0073】
<変形例>
上述した交通支援装置300の構成のうち少なくとも一部は、センサ装置100や情報提示装置200に設けられていてもよい。また、センサ装置100や情報提示装置200の構成のうち少なくとも一部は、交通支援装置300に含まれていてもよい。例えば、センサ装置100および情報提示装置200が交通支援装置300に含まれる場合、提示制御部350が、制御部130、230の機能を有する。
【0074】
以上説明した実施形態によれば、交通支援システム1において、監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置100と、センサ装置100の検出結果に基づいて監視対象エリアの状況を管理する管理部340と、移動体の行動に関する情報を監視対象エリアに設置された情報提示装置200に提示させる提示制御部350とを備え、移動体は、監視対象エリア内の道路を移動する車両と、横断歩道を通行して道路を横断する交通参加者とを含み、情報提示装置200は、横断歩道の通行方向の両側のうち少なくとも一方(例えば、横断歩道の手前に存在する車両を停止させるための停止線)に設けられた第1発光部を含み、提示制御部350は、監視対象エリアの状況に基づき、道路に混雑している車線と混雑していない車線とが含まれる場合であって、且つ、混雑している車線側から横断歩道を通行して道路を横断する交通参加者が存在する場合に、横断が終了するまで第1発光部を発光させることにより、より適切な交通支援によって安全性をより向上させることができる。
【0075】
また、実施形態によれば、上述したセンサ装置100と、管理部340と、提示制御部350とを備え、情報提示装置200は、横断歩道に設けられた第2発光部を含み、提示制御部350は、監視対象エリアの状況に基づき、所定の時間帯に前記横断歩道を通行して道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ横断歩道に接近する車両が存在する場合に、横断が終了するまで第2発光部を発光させることにより、より適切な交通支援によって安全性をより向上させることができる。したがって、交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0076】
例えば、実施形態によれば、監視対象エリアに設けられた複数のセンサ装置100を連携して移動体の追跡や状況把握をより正確に行うことができる。また、実施形態によれば、所定のエリアに設置されたカメラ等のインフラ設備を有効に活用して、インフラ協調型の交通支援システムを提供することができる。
【0077】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理し、
前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、
前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、
前記情報提示装置は、前記横断歩道の通行方向の両側のうち少なくとも一方に設けられた第1発光部を含み、
前記監視対象エリアの状況に基づき、前記道路に混雑している車線と混雑していない車線とが含まれる場合であって、且つ、前記混雑している車線側から前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第1発光部を発光させる、
交通支援システム。
【0078】
また、上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
監視対象エリアに設置され、前記監視対象エリアを移動する移動体を含む物体を検出するセンサ装置の検出結果に基づいて前記監視対象エリアの状況を管理し、
前記状況に基づいて前記移動体の行動に関する情報を前記監視対象エリアに設置された情報提示装置に提示させ、
前記移動体は、前記監視対象エリア内の道路を移動する車両と、前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者とを含み、
前記情報提示装置は、前記横断歩道に対応付けられた位置に設けられた第2発光部を含み、
前記監視対象エリアの状況に基づき、所定の時間帯に前記道路に存在する横断歩道を通行して前記道路を横断する交通参加者が存在する場合であって、且つ前記横断歩道に接近する車両が存在する場合に、前記横断が終了するまで前記第2発光部を発光させる、
交通支援システム。
【0079】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 交通支援システム
100 センサ装置
110、210、310 通信部
120 撮像部
130、230 制御部
200 情報提示装置
220 発光部
300 交通支援装置
320 取得部
330 解析部
340 管理部
350 提示制御部
360 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8