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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051713
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】航空機の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/24 20060101AFI20240404BHJP
   B64C 27/26 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B64C27/24
B64C27/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158019
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】真塩 享
(72)【発明者】
【氏名】中井 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 崇紘
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回転停止状態のロータにおいて発生する力を用いて、機体に作用する力を制御する方法を提供する。
【解決手段】航空機10の制御装置は、前翼18及び後翼20においてリフトが発生する状態において、ブレード26の各々のピッチ、及び、VTOLロータ12の各々の停止回転角度を制御して、VTOLロータ12の回転を停止させた状態でVTOLロータ12の各々において発生する力を制御することにより、機体16に力を作用させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が1以上のブレードを有し、回転シャフトを中心に回転することによりリフトを発生する複数のロータと、
機体が対気速度を有する場合に、リフトを発生する1又は複数の固定翼と、
を有する航空機の制御装置であって、
前記固定翼においてリフトが発生する状態において、前記ブレードの各々のピッチ、及び、前記ロータの各々の停止回転角度を制御して、前記ロータの回転を停止させた状態で前記ロータの各々において発生する力を制御することにより、前記機体に力を作用させる、航空機の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の航空機の制御装置において、
前記航空機は、
前記ロータである1又は複数のインナロータと、
前記ロータである1又は複数のアウタロータと、
を有し、
前記機体の重心から前記インナロータまでの距離は、前記重心から前記アウタロータまでの距離よりも短く、
前記機体の重心周りにモーメントを発生させる場合、前記アウタロータにおいて発生する力により前記機体に作用させる前記モーメントを、前記インナロータにおいて発生する力による前記機体に作用させる前記モーメントよりも大きくする、航空機の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の航空機の制御装置において、
前記航空機は、
前記機体の重心よりも前方に設けられ、前記固定翼である前翼と、
前記機体の重心よりも後方に設けられ、前記固定翼である後翼と、
前記前翼よりも前方に設けられ、前記アウタロータである1又は複数の第1ロータと、
前記機体の前後方向において前記前翼と前記重心との間に設けられ、前記インナロータである1又は複数の第2ロータと、
前記機体の前後方向において前記重心と前記後翼との間に設けられ、前記インナロータである1又は複数の第3ロータと、
前記後翼よりも後方に設けられ、前記アウタロータである1又は複数の第4ロータと、
を有する、航空機の制御装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の航空機の制御装置において、
前記ロータの各々において発生する力を変化させる場合、前記ブレードの各々のピッチの制御により前記ロータの各々において発生する力を変化させた後に、前記ロータの各々の停止回転角度の制御により前記ロータの各々において発生する力を変化させる、航空機の制御装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の航空機の制御装置において、
前記機体に作用するドラッグの低減を優先する省エネルギモードが選択される場合、前記ロータの各々の停止回転角度、及び、前記ブレードの各々のピッチを制御して、他のモードが選択される場合に比べて、前記ロータの各々において発生するドラッグを低減させる、航空機の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、航空機の制御装置が開示されている。当該航空機は、リフトを発生させる翼とは別に、回転することによりリフトを発生させるロータを有する。当該制御装置は、巡航時において、ロータのブレードの位置を最適にする。これにより、巡航時における翼上の気流の乱れが最小にされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0079501号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転停止状態のロータにおいて発生する力を用いて、機体に作用する力を制御するにあたり、より良い制御が求められる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、各々が1以上のブレードを有し、回転シャフトを中心に回転することによりリフトを発生する複数のロータと、機体が対気速度を有する場合に、リフトを発生する1又は複数の固定翼と、を有する航空機の制御装置であって、当該制御装置は、前記固定翼においてリフトが発生する状態において、前記ブレードの各々のピッチ、及び、前記ロータの各々の停止回転角度を制御して、前記ロータの回転を停止させた状態で前記ロータの各々において発生する力を制御することにより、前記機体に力を作用させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、ロータが回転停止状態において、ロータにおいて発生する力を用いて、機体に作用する力を制御するにあたり、より良い制御を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、航空機の模式図である。
図2図2は、電力供給システムの構成を示す図である。
図3図3は、制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
[航空機の構成]
図1は、航空機10の模式図である。本実施形態の航空機10は、電動垂直離着陸機(eVTOL機)である。本実施形態の航空機10は、複数のVTOLロータ12と、複数のクルーズロータ14とを有する。VTOLロータ12が回転することにより、機体16を上方に移動させるリフトを発生させる。クルーズロータ14が回転することにより、機体16を前方に移動させるスラストを発生させる。
【0010】
航空機10は、機体16を有する。機体16には、コックピット、キャビン等が設けられる。コックピットには、パイロットが搭乗し、航空機10の操縦をする。キャビンには、搭乗者等が搭乗する。航空機10は、パイロットが搭乗せずに、自動で操縦されてもよい。
【0011】
航空機10は、固定翼である前翼18及び後翼20を有する。前翼18は、機体16の重心Gよりも前方に設けられる。後翼20は、機体16の重心Gよりも後方に設けられる。機体16が対気速度を有する場合、前翼18及び後翼20の迎え角が制御されることにより、前翼18及び後翼20においてリフトが発生する。
【0012】
前翼18及び後翼20の少なくとも一方に、不図示のエルロン、エレベータ及びラダーが設けられる。エルロンが操作されることにより、機体16の重心G周りにロールモーメントが作用する。エレベータが操作されることにより、機体16の重心G周りにピッチモーメントが作用する。ラダーが操作されることにより、機体16の重心G周りにヨーモーメントが作用する。
【0013】
航空機10は、8つのVTOLロータ12を有する。8つのVTOLロータ12とは、ロータ12FLa、ロータ12FLb、ロータ12RLa、ロータ12RLb、ロータ12FRa、ロータ12FRb、ロータ12RRa及びロータ12RRbである。VTOLロータ12の各々は、本発明のロータに相当する。
【0014】
ロータ12FLa、ロータ12FLb、ロータ12RLa及びロータ12RLbは、ブーム22Lに取り付けられる。ブーム22Lは、前後方向に延びる。ブーム22Lは、前翼18と後翼20とに取り付けられる。ブーム22Lは、重心Gに対して左方に設けられる。すなわち、ロータ12FLa、ロータ12FLb、ロータ12RLa及びロータ12RLbは、重心Gに対して左方に配置される。
【0015】
ロータ12FLaは、前翼18よりも前方に設けられる。ロータ12FLbは、機体16の前後方向において、前翼18と重心Gとの間に設けられる。ロータ12RLbは、機体16の前後方向において、重心Gと後翼20との間に設けられる。ロータ12RLaは、後翼20よりも後方に設けられる。重心Gからロータ12FLbまでの距離は、重心Gからロータ12FLaまでの距離よりも短い。重心Gからロータ12RLbまでの距離は、重心Gからロータ12RLaまでの距離よりも短い。
【0016】
ロータ12FLaは、本発明のアウタロータ及び第1ロータに相当する。ロータ12FLbは、本発明のインナロータ及び第2ロータに相当する。ロータ12RLbは、本発明のインナロータ及び第3ロータに相当する。ロータ12RLaは、本発明のアウタロータ及び第4ロータに相当する。
【0017】
ロータ12FRa、ロータ12FRb、ロータ12RRa及びロータ12RRbは、ブーム22Rに取り付けられる。ブーム22Rは、前後方向に延びる。ブーム22Rは、前翼18と後翼20とに取り付けられる。ブーム22Rは、重心Gに対して右方に設けられる。すなわち、ロータ12FRa、ロータ12FRb、ロータ12RRa及びロータ12RRbは、重心Gに対して右方に配置される。
【0018】
ロータ12FRaは、前翼18よりも前方に設けられる。ロータ12FRbは、機体16の前後方向において、前翼18と重心Gとの間に設けられる。ロータ12RRbは、機体16の前後方向において、重心Gと後翼20との間に設けられる。ロータ12RRaは、後翼20よりも後方に設けられる。重心Gからロータ12FRbまでの距離は、重心Gからロータ12FRaまでの距離よりも短い。重心Gからロータ12RRbまでの距離は、重心Gからロータ12RRaまでの距離よりも短い。
【0019】
ロータ12FRaは、本発明のアウタロータ及び第1ロータに相当する。ロータ12FRbは、本発明のインナロータ及び第2ロータに相当する。ロータ12RRbは、本発明のインナロータ及び第3ロータに相当する。ロータ12RRaは、本発明のアウタロータ及び第4ロータに相当する。
【0020】
図1において、ブーム22L及びブーム22Rは、機体16の前後方向に直線的に延びる形状である。しかし、ブーム22L及びブーム22Rは、機体16の左右方向において外側に向かって凸の円弧状に形成されてもよい。ブーム22Lが、機体16の左右方向において外側に向かって凸の円弧状に形成される場合、ロータ12FLbは、機体16の左右方向においてロータ12FLaよりも左側(外側)に位置する。ブーム22Rが、機体16の左右方向において外側に向かって凸の円弧状に形成される場合、ロータ12FRbは、機体16の左右方向においてロータ12FRaよりも右側(外側)に位置する。
【0021】
VTOLロータ12の各々は、回転シャフト24を有する。回転シャフト24は、機体16の上下方向に延びる。回転シャフト24は、機体16の上下方向に対して数度の角度(カント)が付けられていてもよい。
【0022】
VTOLロータ12の各々は、3枚のブレード26を有する。VTOLロータ12のブレード26の枚数は3枚に限らなくてもよい。VTOLロータ12のブレード26の枚数は、1枚以上であればよい。
【0023】
VTOLロータ12が回転シャフト24を中心として回転することにより、ブレード26においてリフトが発生する。VTOLロータ12は、回転数、及び、ブレード26のピッチが制御されることにより、VTOLロータ12において発生するリフトの大きさが制御される。主に、垂直離陸時、垂直離陸から巡航への移行時、巡航から垂直着陸への移行時、垂直着陸時、空中停止時等において、VTOLロータ12は回転し、リフトを発生させる。
【0024】
航空機10を上方から見た状態で、ロータ12FLa、ロータ12RLa、ロータ12FRb及びロータ12RRbは左回転する。航空機10を上方から見た状態で、ロータ12FRa、ロータ12RRa、ロータ12FLb及びロータ12RLbは右回転する。なお、各VTOLロータ12の回転方向は上述の方向に限らなくてもよい。
【0025】
機体16が対気速度を有する場合、VTOLロータ12が回転停止状態であっても、VTOLロータ12においてリフトが発生する。VTOLロータ12は、停止回転角度、及び、ブレード26のピッチが制御されることにより、VTOLロータ12において発生するリフトの大きさが制御される。VTOLロータ12は、停止回転角度、及び、ブレード26のピッチが制御されることにより、VTOLロータ12において発生するドラッグの大きさが制御される。例えば、巡航時において、VTOLロータ12が回転停止状態で、VTOLロータ12において発生するリフト及びドラッグの大きさが制御される。なお、巡航時に限らず、垂直離陸から巡航への移行時、巡航から垂直着陸への移行時等において、VTOLロータ12が回転停止状態で、VTOLロータ12において発生するリフト及びドラッグの大きさが制御されてもよい。また、機体16が対気速度を有し、前翼18及び後翼20においてリフトが発生する場合に、VTOLロータ12が回転停止状態で、VTOLロータ12において発生するリフト及びドラッグの大きさが制御されてもよい。
【0026】
8つのVTOLロータ12の各々において発生するリフト及びドラッグの大きさが制御されることにより、機体16の重心G周りにロールモーメント、ピッチモーメント、及び、ヨーモーメントを作用させる。
【0027】
重心Gに対して左方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるリフトの合計と、重心Gに対して右方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるリフトの合計との間に差を生じさせることにより、機体16の重心G周りにロールモーメントが作用する。
【0028】
重心Gに対して左方に配置された4つVTOLロータ12とは、ロータ12FLa、ロータ12FLb、ロータ12RLa及びロータ12RLbを示す。重心Gに対して右方に配置された4つVTOLロータ12とは、ロータ12FRa、ロータ12FRb、ロータ12RRa及びロータ12RRbを示す。
【0029】
重心Gに対して前方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるリフトの合計と、重心Gに対して後方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるリフトの合計との間に差を生じさせることにより、機体16の重心G周りにピッチモーメントが作用する。
【0030】
重心Gに対して前方に配置された4つのVTOLロータ12とは、ロータ12FLa、ロータ12FLb、ロータ12FRa及びロータ12FRbを示す。重心Gに対して後方に配置された4つのVTOLロータ12とは、ロータ12RLa、ロータ12RLb、ロータ12RRa及びロータ12RRbを示す。
【0031】
重心Gに対して左方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるドラッグの合計と、重心Gに対して右方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるドラッグの合計との間に差を生じさせることにより、機体16の重心G周りにヨーモーメントが作用する。
【0032】
航空機10は、2つのクルーズロータ14を有する。2つのクルーズロータ14とは、ロータ14L及びロータ14Rである。
【0033】
ロータ14L及びロータ14Rは、機体16の後部に取り付けられる。ロータ14Lは、機体16の中心線Aに対して左方に配置される。ロータ14Rは、機体16の中心線Aに対して右方に配置される。
【0034】
クルーズロータ14の回転シャフト(不図示)は、機体16の前後方向に延びる。クルーズロータ14の回転シャフトは、前後方向に対して数度の角度(カント)が付けられていてもよい。クルーズロータ14の各々は、1枚以上のブレード(不図示)を有する。
【0035】
クルーズロータ14は、回転シャフトを中心として回転することにより、ブレードにおいてスラストが発生する。クルーズロータ14は、回転数、及び、ブレードのピッチが制御されることにより、スラストの大きさが制御される。主に、垂直離陸から巡航への移行時、巡航時、巡航から垂直着陸への移行時等において、クルーズロータ14は回転し、スラストを発生させる。
【0036】
[電力供給システムの構成]
図2は、電力供給システム28の構成を示す図である。
【0037】
VTOLロータ12の各々に対して、駆動機構として、VTOLモータ30、インバータ32及びピッチ駆動機構34が設けられる。
【0038】
VTOLモータ30は、インバータ32によりPWM制御される。これにより、VTOLロータ12の回転数が制御される。ピッチ駆動機構34は、VTOLロータ12のブレード26のピッチを変化させる。
【0039】
また、VTOLモータ30がPWM制御されることにより、VTOLロータ12の停止回転角度が制御される。VTOLロータ12は、回転停止状態において所定の回転角度を維持する。停止回転角度は、維持される所定の回転角度を示す。VTOLロータ12が停止回転角度において停止した状態を維持するために、インバータ32はVTOLモータ30を制御して、外力に対する釣り合いトルクを出力させる。
【0040】
VTOLモータ30には、電力供給ユニット36から出力される数百ボルトの比較的高い電圧の電力が供給される。ピッチ駆動機構34には、電力供給ユニット36から出力された電力が、DC/DCコンバータ38において数十ボルトの比較的低い電圧に降圧されて供給される。
【0041】
クルーズロータ14の各々に対して、駆動機構として、クルーズモータ40、インバータ42及びピッチ駆動機構44が設けられる。
【0042】
クルーズモータ40は、インバータ42によりPWM制御される。これにより、クルーズロータ14の回転数が制御される。ピッチ駆動機構44は、クルーズロータ14のブレードのピッチを変化させる。
【0043】
クルーズモータ40には、電力供給ユニット36から出力される数百ボルトの比較的高い電圧の電力が供給される。ピッチ駆動機構44には、電力供給ユニット36から出力された電力が、DC/DCコンバータ46において数十ボルトの比較的低い電圧に降圧されて供給される。
【0044】
電力供給ユニット36は、不図示のエンジン、ジェネレータ、パワーコントロールユニット及びバッテリ等を有する。エンジンによりジェネレータが駆動され、ジェネレータは発電を行う。パワーコントロールユニットは、ジェネレータが発電した交流の電力を直流の電力に変換して出力する。バッテリは、パワーコントロールユニットから出力される電力の一部を蓄電する。VTOLモータ30、クルーズモータ40等における消費電力に対して、ジェネレータが発電する電力が不足する場合等において、バッテリは電力を出力する。
【0045】
電力供給ユニット36は、エンジン、ジェネレータ及びパワーコントロールユニットを有し、バッテリを有さなくてもよい。電力供給ユニット36は、バッテリを有し、エンジン、ジェネレータ及びパワーコントロールユニットを有さなくてもよい。
【0046】
インバータ32、ピッチ駆動機構34、インバータ42及びピッチ駆動機構44は、制御装置48により制御される。
【0047】
[制御装置の構成]
図3は、制御装置48のブロック図である。制御装置48は、演算部50及び記憶部52を有する。
【0048】
演算部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサである。演算部50は、リフト指令値算出部54、ロールモーメント指令値算出部56、ピッチモーメント指令値算出部58、ヨーモーメント指令値算出部60、モード選択部62、スラスト指令値算出部64、割当指令値算出部66、舵面制御指令値生成部68、舵面制御部70、VTOLロータ指令値生成部72、VTOLモータ制御部74、ピッチ制御部76、クルーズロータ指令値生成部78、クルーズモータ制御部80及びピッチ制御部82を有する。
【0049】
リフト指令値算出部54、ロールモーメント指令値算出部56、ピッチモーメント指令値算出部58、ヨーモーメント指令値算出部60、モード選択部62、スラスト指令値算出部64、割当指令値算出部66、舵面制御指令値生成部68、舵面制御部70、VTOLロータ指令値生成部72、VTOLモータ制御部74、ピッチ制御部76、クルーズロータ指令値生成部78、クルーズモータ制御部80及びピッチ制御部82は、記憶部52に記憶されているプログラムが演算部50によって実行されることによって実現される。
【0050】
リフト指令値算出部54、ロールモーメント指令値算出部56、ピッチモーメント指令値算出部58、ヨーモーメント指令値算出部60、モード選択部62、スラスト指令値算出部64、割当指令値算出部66、舵面制御指令値生成部68、舵面制御部70、VTOLロータ指令値生成部72、VTOLモータ制御部74、ピッチ制御部76、クルーズロータ指令値生成部78、クルーズモータ制御部80及びピッチ制御部82の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。
【0051】
リフト指令値算出部54、ロールモーメント指令値算出部56、ピッチモーメント指令値算出部58、ヨーモーメント指令値算出部60、モード選択部62、スラスト指令値算出部64、割当指令値算出部66、舵面制御指令値生成部68、舵面制御部70、VTOLロータ指令値生成部72、VTOLモータ制御部74、ピッチ制御部76、クルーズロータ指令値生成部78、クルーズモータ制御部80及びピッチ制御部82の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0052】
記憶部52は、コンピュータ可読記憶媒体である、不図示の揮発性メモリ及び不図示の不揮発性メモリにより構成される。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)等である。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。データ等が、例えば、揮発性メモリに記憶される。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば、不揮発性メモリに記憶される。記憶部52の少なくとも一部が、上述したプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。
【0053】
リフト指令値算出部54は、リフト指令値を算出する。リフト指令値は、例えば、パイロットによる操作入力部の操作量に応じて決定される。操作入力部とは、例えば、操縦桿、ペダル、レバー等である。操作入力部の操作量と、リフト指令値とは一対一で対応しなくてもよい。操作入力部の操作範囲、操作入力部の操作速度、機体16の高度等に応じて、操作入力部の操作量に対するリフト指令値が異なってもよい。機体16の高度は、例えば、地面距離計(不図示)が検出した地面と機体16との間の距離に基づいて推定される。機体16の高度は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)から受信した信号に基づいて推定される。
【0054】
パイロットによる操作入力部に対する操作の入力がない場合、操作入力部の操作量に関係なく、リフト指令値が自動的に決定され、ホバリングをしてもよい。また、航空機10が自動操縦される場合、予め設定された飛行経路に応じて、操作入力部の操作量に関係なく、リフト指令値が自動的に決定されてもよい。
【0055】
ロールモーメント指令値算出部56は、ロールモーメント指令値を算出する。ロールモーメント指令値は、パイロットによる操作入力部の操作量に応じて決定される。操作入力部の操作量と、ロールモーメント指令値とは一対一で対応しなくてもよい。操作入力部の操作範囲、操作入力部の操作速度、機体16の高度等に応じて、操作入力部の操作量に対するロールモーメント指令値が異なってもよい。機体16の角速度は、例えば、ジャイロセンサ(不図示)により検出される。
【0056】
パイロットによる操作入力部に対する操作の入力がない場合、操作入力部の操作量に関係なく、ロールモーメント指令値が自動的に決定され、ホバリングをしてもよい。また、航空機10が自動操縦される場合、予め設定された飛行経路に応じて、操作入力部の操作量に関係なく、ロールモーメント指令値が自動的に決定されてもよい。
【0057】
ピッチモーメント指令値算出部58は、ピッチモーメント指令値を算出する。ピッチモーメント指令値は、例えば、パイロットによる操作入力部の操作量に応じて決定される。操作入力部の操作量と、ピッチモーメント指令値とは一対一で対応しなくてもよい。操作入力部の操作範囲、操作入力部の操作速度、機体16の高度等に応じて、操作入力部の操作量に対するピッチモーメント指令値が異なってもよい
【0058】
パイロットによる操作入力部に対する操作の入力がない場合、操作入力部の操作量に関係なく、ピッチモーメント指令値が自動的に決定され、ホバリングをしてもよい。また、航空機10が自動操縦される場合、予め設定された飛行経路に応じて、操作入力部の操作量に関係なく、ピッチモーメント指令値が自動的に決定されてもよい。
【0059】
ヨーモーメント指令値算出部60は、ヨーモーメント指令値を算出する。ヨーモーメント指令値は、例えば、パイロットによる操作入力部の操作量に応じて決定される。操作入力部の操作量と、ヨーモーメント指令値とは一対一で対応しなくてもよい。操作入力部の操作範囲、操作入力部の操作速度、機体16の高度等に応じて、操作入力部の操作量に対するヨーモーメント指令値が異なってもよい。
【0060】
パイロットによる操作入力部に対する操作の入力がない場合、操作入力部の操作量に関係なく、ヨーモーメント指令値が自動的に決定され、ホバリングをしてもよい。また、航空機10が自動操縦される場合、予め設定された飛行経路に応じて、操作入力部の操作量に関係なく、ヨーモーメント指令値が自動的に決定されてもよい。
【0061】
モード選択部62は、通常モード又は省エネルギモードを選択する。通常モード又は省エネルギモードの選択は、例えば、パイロットによるスイッチ(不図示)の操作に基づいて選択されてもよい。通常モード又は省エネルギモードの選択は、例えば、燃料の残量等に基づいて、自動的に選択されてもよい。
【0062】
通常モードが選択される場合、例えば、巡航時において、VTOLロータ12の停止回転角度、及び、ブレード26のピッチが制御されることにより、機体16に作用するリフト及びモーメントの大きさが制御される。省エネルギモードが選択される場合、例えば、巡航時において、VTOLロータ12の停止回転角度、及び、ブレード26のピッチが制御されることにより、通常モードが選択される場合に比べて、機体16に作用するドラッグの大きさが小さく制御される。なお、VTOLロータ12の停止回転角度、及び、ブレード26のピッチが制御されることにより、機体16に作用するリフト及びモーメントの大きさが制御される場合であっても、前翼18及び後翼20の舵面制御により、機体16に作用するリフト及びモーメントが制御されてもよい。
【0063】
スラスト指令値算出部64は、スラスト指令値を算出する。スラスト指令値は、例えば、パイロットによる操作入力部の操作量に応じて決定される。操作入力部の操作量と、スラスト指令値とは一対一で対応しなくてもよい。操作入力部の操作範囲、操作入力部の操作速度、機体16の高度等に応じて、操作入力部の操作量に対するスラスト指令値が異なってもよい。機体16の対気速度は、例えば、対気速度センサ(不図示)により検出される。
【0064】
パイロットによる操作入力部に対する操作の入力がない場合、スラスト指令値が自動的に決定され、航空機10は一定の速度で飛行をしてもよい。また、航空機10が自動操縦される場合、予め設定された飛行経路に応じて、操作入力部の操作量に関係なく、スラスト指令値が自動的に決定されてもよい。
【0065】
割当指令値算出部66は、リフト指令値、ロールモーメント指令値、ピッチモーメント指令値及びヨーモーメント指令値の各々について、割当指令値を算出する。割当指令値とは、各々の指令値のうち、前翼18及び後翼20の舵面制御に割り当てる分の指令値と、VTOLロータ12の制御に割り当てる分の指令値とを示す。通常モード及び省エネルギモードのうち選択されたモードに応じて、割当指令値が算出されてもよい。各々の指令値の大きさに応じて、割合指令値の算出が行われてもよい。
【0066】
舵面制御指令値生成部68は、前翼18及び後翼20の舵面制御に割り当てられた割当指令値に基づいて、エルロン、エレベータ及びラダーの駆動指令値を生成する。舵面制御部70は、当該駆動指令値に基づいて、エルロン、エレベータ及びラダーを駆動する駆動機構を制御する。
【0067】
モード選択部62において通常モードが選択される場合、VTOLロータ指令値生成部72は、VTOLロータ12の制御に割り当てられた割当指令値に基づいて、VTOLモータ30の駆動指令値を生成する。VTOLロータ指令値生成部72は、VTOLロータ12の制御に割り当てられた割当指令値に基づいて、VTOLロータ12のブレード26の駆動指令値を生成する。
【0068】
モード選択部62において省エネルギモードが選択される場合、VTOLロータ指令値生成部72は、VTOLロータ12において発生するドラッグが、通常モードが選択されている場合に比べて小さくなるように、VTOLモータ30の停止回転位置、及び、ブレード26にピッチを設定する。VTOLロータ指令値生成部72は、設定した、VTOLモータ30の停止回転位置、及び、ブレード26にピッチに基づいて、VTOLモータ30の駆動指令値、及び、ピッチ駆動機構34の駆動指令値を生成する。VTOLロータ指令値生成部72は、VTOLロータ12において発生するドラッグが最小となるように、VTOLモータ30の停止回転位置、及び、ブレード26にピッチを設定してもよい。
【0069】
VTOLモータ制御部74は、VTOLモータ30の駆動指令に基づいて、インバータ32を制御する。ピッチ制御部76は、VTOLロータ12のブレード26の駆動指令値に基づいて、ピッチ駆動機構34を制御する。
【0070】
クルーズロータ指令値生成部78は、スラスト指令値に基づいて、クルーズモータ40の駆動指令値を生成する。クルーズロータ指令値生成部78は、スラスト指令値に基づいて、クルーズロータ14のブレードの駆動指令値を生成する。クルーズモータ制御部80は、クルーズモータ40の駆動指令に基づいて、インバータ42を制御する。ピッチ制御部82は、クルーズロータ14のブレードの駆動指令値に基づいて、ピッチ駆動機構44を制御する。
【0071】
上記では、スラスト指令値算出部64において算出されたスラスト指令値が、直接、クルーズロータ指令値生成部78に入力される。クルーズロータ指令値生成部78は、スラスト指令値に基づいて、クルーズモータ40の駆動指令値を生成する。
【0072】
これに対して、スラスト指令値も、リフト指令値、ロールモーメント指令値、ピッチモーメント指令値及びヨーモーメント指令値と同様に、割当指令値算出部66に入力されてもよい。この場合、割当指令値算出部66は、リフト指令値、ロールモーメント指令値、ピッチモーメント指令値、ヨーモーメント指令値及びスラスト指令値の各々について、割当指令値を算出する。クルーズロータ指令値生成部78は、クルーズロータ14に割り当てられた指令値に基づいて、クルーズモータ40の駆動指令値を生成してもよい。
【0073】
[回転停止時にVTOLロータにおいて発生する力について]
前述のように、本実施形態の航空機10では、VTOLロータ12が回転停止した状態で、VTOLロータ12の停止回転角度、及び、ブレード26のピッチが制御される。これにより、VTOLロータ12の各々において発生するリフトの大きさが制御される。その結果、機体16に作用するリフトの大きさ、及び、機体16の重心G周りに作用するモーメントの大きさが制御される。
【0074】
機体16の重心G周りにモーメントを作用させる場合、制御装置48は、重心Gから遠い位置に設けられたアウタロータにおける力により発生するモーメントを、重心Gから近い位置に設けられたインナロータにおける力により発生するモーメントよりも大きくする。アウタロータにおいて発生する力と、インナロータにおいて発生する力とが同じである場合、アウタロータにおいて発生する力により機体16の重心G周りに作用するモーメントは、インナロータにおいて発生する力により機体16の重心G周りに作用するモーメントよりも大きい。そのため、制御装置48は、アウタロータ及びインナロータにおいて発生する力を抑えつつ、機体16の重心G周りに作用させるモーメントを確保できる。
【0075】
機体16の重心G周りにロールモーメントを作用させる場合、制御装置48は、重心Gに対して左方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるリフトの合計と、重心Gに対して右方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるリフトの合計との間に差を生じさせる。この場合、制御装置48は、アウタロータにおいて発生するリフトにより機体16の重心G周りに作用させるロールモーメントの大きさを、インナロータにおいて発生するリフトにより機体16の重心G周りに作用させるロールモーメントの大きさよりも大きくする。このとき、制御装置48は、各アウタロータにおいて発生するリフトの大きさの合計を、各インナロータにおいて発生するリフトの大きさの合計よりも大きくしてよい。
【0076】
機体16の重心G周りにピッチモーメントを作用させる場合、制御装置48は、重心Gに対して前方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるリフトの合計と、重心Gに対して後方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるリフトの合計との間に差を生じさせる。この場合、制御装置48は、アウタロータにおいて発生するリフトにより機体16の重心G周りに作用させるピッチモーメントの大きさを、インナロータにおいて発生するリフトにより機体16の重心G周りに作用させるピッチモーメントの大きさよりも大きくする。このとき、制御装置48は、各アウタロータにおいて発生するリフトの大きさの合計を、各インナロータにおいて発生するリフトの大きさの合計よりも大きくしてよい。
【0077】
機体16の重心G周りにヨーモーメントを作用させる場合、制御装置48は、重心Gに対して左方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるドラッグの合計と、重心Gに対して右方に配置された4つのVTOLロータ12の各々におけるドラッグの合計との間に差を生じさせる。この場合、制御装置48は、アウタロータにおいて発生するドラッグにより機体16の重心G周りに作用させるヨーモーメントの大きさを、インナロータにおいて発生するドラッグにより機体16の重心G周りに作用させるヨーモーメントの大きさよりも大きくする。このとき、制御装置48は、各アウタロータにおいて発生するリフトの大きさの合計を、各インナロータにおいて発生するリフトの大きさの合計よりも大きくしてよい。
【0078】
[VTOLロータの停止回転角度制御とブレードのピッチ制御について]
VTOLロータ12が回転停止状態で、VTOLロータ12の各々において発生するリフト及びドラッグは、VTOLロータ12の停止回転位置、及び、ブレード26のピッチにより制御させる。
【0079】
VTOLロータ12の各々において発生するリフト及びドラッグを指令値に向けて変化させる場合、制御装置48は、ブレード26のピッチを制御してリフト及びドラッグを変化させた後に、VTOLロータ12の停止回転位置を制御してリフト及びドラッグを変化させる。
【0080】
VTOLロータ12の停止回転位置は、インバータ32がVTOLモータ30を制御して、VTOLモータ30に外力に対する釣り合いトルクを出力させることにより維持される。VTOLロータ12の停止回転位置が変更される場合、外力とVTOLモータ30のトルクとの釣り合いが解除される必要がある。外力とVTOLモータ30のトルクとの釣り合いの解除に比べて、ブレード26のピッチの変更の方が応答速度が速い。これにより、VTOLロータ12の各々において発生するリフト及びドラッグの変更の応答速度が向上する。
【0081】
[作用効果]
本実施形態の航空機10では、機体16が対気速度を有する場合、VTOLロータ12が回転停止状態で、VTOLロータ12においてリフト及びドラッグを発生させることができる。
【0082】
また、本実施形態の航空機10では、制御装置48は、VTOLロータ12の停止回転角度、及び、ブレード26のピッチを制御して、VTOLロータ12が回転停止状態でVTOLロータ12の各々において発生する力を制御することにより、機体16に力を作用させる。これにより、VTOLロータ12が回転停止状態であっても、VTOLロータ12の各々において発生する力により、機体16に力を作用させることができる。
【0083】
また、本実施形態の航空機10では、機体16の重心G周りにモーメントを発生させる場合、制御装置48は、アウタロータにおいて発生する力により機体16の重心G周りに作用させるモーメントを、インナロータにおいて発生する力による機体16の重心G周りに作用させるモーメントよりも大きくする。これにより、制御装置48は、アウタロータ及びインナロータにおいて発生する力を抑えつつ、機体16の重心G周りに作用させるモーメントを確保できる。
【0084】
また、本実施形態の航空機10では、制御装置48は、ブレード26のピッチを制御してリフト及びドラッグを変化させた後に、VTOLロータ12の停止回転位置を制御してリフト及びドラッグを変化させる。これにより、制御装置48は、VTOLロータ12の各々において発生するリフト及びドラッグを変化させる場合において、応答速度を向上できる。
【0085】
また、本実施形態の航空機10では、機体16に作用するドラッグの低減を優先する省エネルギモードが選択される場合、制御装置48は、VTOLロータ12の各々の停止回転角度、及び、ブレード26の各々のピッチを制御して、他のモードが選択される場合に比べて、VTOLロータ12の各々において発生するドラッグを低減させる。これにより、航空機10は、消費エネルギを低減できる。
【0086】
[変形例]
第1実施形態の航空機10のVTOLロータ12は、回転することにより、機体16を上方に移動させるリフトを発生させる。VTOLロータ12に代えて、機体16に対するロータの向きを変更可能なチルトロータが用いられてもよい。機体16に対するチルトロータの向きが所定角度である場合、チルトロータは、回転することにより、機体16を上方に移動させるリフトを発生させる。
【0087】
第1実施形態の航空機10のVTOLロータ12は、機体16の前後方向において複数(第1実施形態では4つ)のVTOLロータ12が並べられる。これに代えて、航空機10のVTOLロータ12は、機体16の左右方向において複数のVTOLロータ12が並べられてもよい。また、航空機10のVTOLロータ12は、機体16の上下方向において複数のVTOLロータ12が並べられてもよい。
【0088】
第1実施形態では、VTOLモータ30にVTOLロータ12が接続されている。これに対して、VTOLモータ30とVTOLロータ12との間にギヤボックスが設けられてもよい。ギヤボックスは、VTOLモータ30の回転をVTOLロータ12に変速して伝える変速機である。同様に、クルーズモータ40とクルーズロータ14との間にギヤボックスが設けられてもよい。
【0089】
〔実施形態から得られる発明〕
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0090】
各々が1以上のブレード(26)を有し、回転シャフト(24)を中心に回転することによりリフトを発生する複数のロータ(12)と、機体(16)が対気速度を有する場合に、リフトを発生する1又は複数の固定翼(18、20)と、を有する航空機(10)の制御装置(48)であって、当該制御装置は、前記固定翼においてリフトが発生する状態において、前記ブレードの各々のピッチ、及び、前記ロータの各々の停止回転角度を制御して、前記ロータの回転を停止させた状態で前記ロータの各々において発生する力を制御することにより、前記機体に力を作用させる。これにより、ロータを回転停止させた状態においても、ロータの各々において発生する力により、機体に力を作用させることができる。
【0091】
上記の航空機の制御装置において、前記航空機は、前記ロータである1又は複数のインナロータ(12FLb、12RLb、12FRb、12RRb)と、前記ロータである1又は複数のアウタロータ(12FLa、12RLa、12FRa、12RRa)と、を有し、前記機体の重心(G)から前記インナロータまでの距離は、前記重心から前記アウタロータまでの距離よりも短く、前記制御装置は、前記機体の重心周りにモーメントを発生させる場合、前記アウタロータにおいて発生する力により前記機体に作用させる前記モーメントを、前記インナロータにおいて発生する力による前記機体に作用させる前記モーメントよりも大きくしてもよい。これにより、制御装置は、求められるモーメントの大きさに対して、ロータにおいて発生させる力を小さくできる。
【0092】
上記の航空機の制御装置において、前記航空機は、前記機体の重心よりも前方に設けられ、前記固定翼である前翼(18)と、前記機体の重心よりも後方に設けられ、前記固定翼である後翼(20)と、前記前翼よりも前方に設けられ、前記アウタロータである1又は複数の第1ロータ(12FLa、12FRa)と、前記機体の前後方向において前記前翼と前記重心との間に設けられ、前記インナロータである1又は複数の第2ロータ(12FLb、12FRb)と、前記機体の前後方向において前記重心と前記後翼との間に設けられ、前記インナロータである1又は複数の第3ロータ(12RLb、12RRb)と、前記後翼よりも後方に設けられ、前記アウタロータである1又は複数の第4ロータ(12RLa、12RRa)と、を有してもよい。これにより、制御装置は、求められるモーメントの大きさに対して、ロータにおいて発生させる力を小さくできる。
【0093】
上記の航空機の制御装置において、前記ロータの各々において発生する力を変化させる場合、前記制御装置は、前記ブレードの各々のピッチの制御により前記ロータの各々において発生する力を変化させた後に、前記ロータの各々の停止回転角度の制御により前記ロータの各々において発生する力を変化させてもよい。これにより、制御装置は、ロータの各々において発生する力を変化させる場合において、応答速度を向上できる。
【0094】
上記の航空機の制御装置において、前記機体に作用するドラッグの低減を優先する省エネルギモードが選択される場合、前記ロータの各々の停止回転角度、及び、前記ブレードの各々のピッチを制御して、他のモードが選択される場合に比べて、前記ロータの各々において発生するドラッグを低減させてもよい。これにより、航空機は、消費エネルギを低減できる。
【0095】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0096】
10…航空機 12…VTOLロータ(ロータ)
12FLa…ロータ(アウタロータ、第1ロータ)
12FLb…ロータ(インナロータ、第2ロータ)
12RLa…ロータ(アウタロータ、第4ロータ)
12RLb…ロータ(インナロータ、第3ロータ)
12FRa…ロータ(アウタロータ、第1ロータ)
12FRb…ロータ(インナロータ、第2ロータ)
12RRa…ロータ(アウタロータ、第4ロータ)
12RRb…ロータ(インナロータ、第3ロータ)
18…前翼(固定翼) 20…後翼(固定翼)
24…回転シャフト 26…ブレード
48…制御装置
図1
図2
図3