(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051722
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20240404BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20240404BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B05B11/00 101D
B05B11/00 101E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158030
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PC06
3E014PC20
3E014PD11
3E014PE15
3E014PE30
3E014PF05
(57)【要約】
【課題】 内容器の交換をより簡単な着脱操作で行えるようにした二重容器を創出することを課題とする。
【解決手段】 外容器10と、内容液を充填し前記外容器10内に収納される内容器20と、前記内容器20に装着されて前記内容液を吐出する吐出器と、前記外容器10の上部に立設された短筒部13に対して周方向に回転可能に嵌合された肩パーツ40と、を有して構成される二重容器であって、前記肩パーツ40を一方に回転させると、前記肩パーツ40に設けられた嵌合部材45が前記吐出器を係止することで前記外容器10内からの前記内容器20の離脱を規制するロック状態に設定され、前記肩パーツ40を他方に回転させると、前記嵌合部材45による前記吐出器に対する係止が解除されて前記外容器10内からの前記内容器20の離脱を許容する非ロック状態に設定される構成とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器(10)と、内容液を充填し前記外容器(10)内に収納される内容器(20)と、前記内容器(20)に装着されて前記内容液を吐出する吐出器と、前記外容器(10)の上部に立設された短筒部(13)に対して周方向に回転可能に嵌合された肩パーツ(40)と、を有して構成される二重容器であって、
前記肩パーツ(40)を一方に回転させると、前記肩パーツ(40)に設けられた嵌合部材(45)が前記吐出器を係止することで前記外容器(10)内からの前記内容器(20)の離脱を規制するロック状態に設定され、前記肩パーツ(40)を他方に回転させると、前記嵌合部材(45)による前記吐出器の係止が解除されて前記外容器(10)内からの前記内容器(20)の離脱を許容する非ロック状態に設定されることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
外容器(10)側の短筒部(13)の内周面には、径方向内側に突設されると共に周方向の両端に立設されたストッパ壁(15)を有する押さえ部(14)が配置されるロック領域(L)と、前記押さえ部(14)に対して周方向に隣接して配置される非ロック領域(UL)とが設けられ、
肩パーツ(40)には、前記非ロック領域(UL)内で且つ前記周方向の両端に立設されたストッパ壁(15)間を周方向に移動可能に設けられたストッパ片(44)と、前記ロック領域(L)及び前記非ロック領域(UL)内を周方向に移動可能に配置された複数の嵌合部材(45)が設けられている請求項1記載の二重容器。
【請求項3】
容器軸(O)において直交する2つの仮想線をX軸とY軸とする座標平面を、前記X軸及び前記Y軸で区分けして第1象限(α1)、第2象限(α2)、第3象限(α3)及び第4象限(α4)の4つの領域と規定したときに、
ストッパ片(44)が肩パーツ(40)の下面で且つ軸対称となるY軸上又はX軸上の2箇所の位置に配置され、複数の嵌合部材(45)が肩パーツ(40)の下面で且つ軸対称となる前記第1象限(α1)及び前記第3象限(α3)内又は前記第2象限(α2)及び前記第4象限(α4)内に配置されている請求項2記載の二重容器。
【請求項4】
嵌合部材(45)は、肩パーツ(40)の下面から下方に延びる垂下片部(45a)と該垂下片部(45a)から径方向内側に突出する凸片部(45b)とを有し、径方向に弾性変形可能な状態で一体に形成されている請求項2又は3記載の二重容器。
【請求項5】
吐出器が、内容器(20)の口筒部(26)に装着されるネジキャップ(31)と、押下可能に設けられた押下ヘッド(33)と、該押下ヘッド(33)を押下したときに前記内容液を圧縮するシリンダ部材(32)と、圧縮された内容液を外部に向けて噴射するノズル部(34)とを有するポンプ部材(30)である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
外容器の内部に、化粧水などの内容液が充填された内容器を交換可能に収納し、この内容器の上部に取り付けられたポンプを操作することによって内容液を吐出できるようにした二重容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の二重容器では、内容器の交換を行うには同文献中の「作用」の欄にも記載されているように、複雑な着脱操作が必要であることから、より簡単な操作で内容器の交換を行えるようにすることが望まれている。
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、内容器の交換をより簡単な着脱操作で行えるようにした二重容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の第1の手段は、
外容器と、内容液を充填し前記外容器内に収納される内容器と、前記内容器に装着されて前記内容液を吐出する吐出器と、前記外容器の上部に立設された短筒部に対して周方向に回転可能に嵌合された肩パーツと、を有して構成される二重容器であって、前記肩パーツを一方に回転させると、前記肩パーツに設けられた嵌合部材が前記吐出器を係止することで前記外容器内からの前記内容器の離脱を規制するロック状態に設定され、前記肩パーツを他方に回転させると、前記嵌合部材による前記吐出器に対する係止が解除されて前記外容器内からの前記内容器の離脱を許容する非ロック状態に設定されることを特徴とする、と云うものである。
【0006】
第1の手段では、肩パーツを周方向の一方又は他方に回転させるだけで、二重容器の状態をロック状態又は非ロック状態に設定することができるため、外容器内からの内容器の離脱の規制と外容器内からの内容器の取り出しを容易に切り替えることができる。
【0007】
また本発明の第2の手段は、上記第1の手段に、外容器側の短筒部の内周面には、径方向内側に突設されると共に周方向の両端に立設されたストッパ壁を有する押さえ部が配置されるロック領域と、前記押さえ部に対して周方向に隣接して配置された非ロック領域とが設けられ、
肩パーツには、前記非ロック領域内で且つ前記周方向の両端に立設されたストッパ壁間を周方向に移動可能に設けられたストッパ片と、前記ロック領域及び前記非ロック領域内を周方向に移動可能に配置された複数の嵌合部材が設けられている、との手段を加えたものである。
上記第2の手段では、肩パーツを周方向の一方に回転させてストッパ片を一方のストッパ壁に当接させると、複数の嵌合部材が非ロック領域内に配置されて、吐出器を備えた内容器の着脱を許容する非ロック状態に設定することができ、また肩パーツを周方向の他方に回転させてストッパ片を他方のストッパ壁に当接させると、複数の嵌合部材がロック領域内に配置されて、吐出器を備えた内容器を係止し外容器内からの離脱を規制するロック状態に設定することができる。
【0008】
また本発明の第3の手段は、上記第2の手段に、容器軸において直交する2つの仮想線をX軸とY軸とする座標平面を、前記X軸及び前記Y軸で区分けして第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限の4つの領域と規定したときに、
ストッパ片が肩パーツの下面で且つ軸対称となるY軸上又はX軸上の2箇所の位置に配置され、複数の嵌合部材が肩パーツの下面で且つ軸対称となる前記第1象限及び前記第3象限内又は前記第2象限及び前記第4象限内に配置されている、との手段を加えたものである。
上記第3の手段では、各象限は周方向に1/4周(90度)毎に区分けされているので、肩パーツを周方向に正逆1/4周分回転させることによりロック状態又は非ロック状態に切り替えることができる。
【0009】
また本発明の第4の手段は、上記第2又は第3手段に、嵌合部材は、肩パーツの下面から下方に延びる垂下片部と該垂下片部から径方向内側に突出する凸片部とを有し、径方向に弾性変形可能な状態で一体に形成されている、との手段を加えたものである。
上記第4の手段では、嵌合部材が径方向に弾性変形することにより、非ロック状態においては吐出器を備えた内容器の着脱を確実に許容することができ、ロック状態においては吐出器を備えた内容器の離脱を規制することができる。
【0010】
また本発明の第5の手段は、上記第1又は第2手段に、吐出器が、内容器の口筒部に装着されるネジキャップと、押下可能に設けられた押下ヘッドと、該押下ヘッドを押下したときに前記内容液を圧縮するシリンダ部材と、圧縮された内容液を外部に向けて噴射するノズル部とを有するポンプ部材である、との手段を加えたものである。
上記第5の手段では、ポンプ部材を備えた内容器の、外容器への着脱を可能とする二重容器とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、肩パーツを時計回り方向転又は反時計周り方向に回転させるという簡単な操作により、外容器に対する内容器の脱着を容易に行うことができる。
また肩パーツを回転させてロック状態に設定することにより、外容器内からの内容器の離脱を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例を示す二重容器の半断面図である。
【
図2】(a)は外容器の平面図、(b)は外容器を正面側から示す半断面図、(c)は外容器の底面図である。
【
図3】(a)は内容器の平面図、(b)は内容器を正面側から示す部分断面図である。
【
図4】(a)は肩パーツの半断面図、(b)は肩パーツの底面図である。
【
図5】(a)は非ロック状態における肩パーツと外容器との関係を示す平面図、(b)は(a)中のVa―Va線矢視方向から示す半断面図である。
【
図6】(a)はロック状態における肩パーツと外容器との関係を示す平面図、(b)は(a)中のVIa―VIa線矢視方向から示す半断面図である。
【
図7】(a)は非ロック状態における肩パーツ、外容器及びネジキャップの各関係を示す平面図、(b)は(a)中のVIIa―VIIa線矢視方向から示す半断面図である。
【
図8】(a)はロック状態における肩パーツ、外容器及びネジキャップの各関係を示す平面図、(b)は(a)中のVIIIa―VIIIa線矢視方向から示す半断面図である。
【
図9】外容器内への内容器の装着時(又は離脱時)の様子を示す二重容器の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施例を示す二重容器の半断面図、
図2(a)は外容器の平面図、
図2(b)は外容器を正面側から示す半断面図、
図2(c)は外容器の底面図、
図3(a)は内容器の平面図、
図3(b)は内容器を正面側から示す部分断面図、
図4(a)は肩パーツの半断面図、
図4(b)は肩パーツの底面図である。
尚、以下の説明において径方向とは容器軸Oに対して直交する方向を、周方向とは容器軸Oを中心として周回する方向を、高さ方向とは容器軸Oに沿う方向を意味する。
【0014】
図1に示すように、二重容器1は、外容器10と、外容器10内に収納される内容器20と、内容器20と螺合可能なネジキャップ31を備えて内容液を吐出するポンプ部材(吐出器)30と、着脱操作用の肩パーツ40と、ポンプ部材30及び肩パーツ40を覆うオーバーキャップ50とを有し、これらはすべて合成樹脂材料を用いて形成されている、尚、オーバーキャップ50は必須な部材ではなく、オーバーキャップ50を有しない構成とすることもできる。
【0015】
図2(a)(b)(c)に示すように、外容器10は容器軸Oを中心軸とし、円筒状の外容器本体11により形成されている。外容器本体11の上部には外周面にアンダーカット部を形成する凸部12が周設された円筒状の短筒部13が立設されている。短筒部13の内周面の下端側で軸対称となる両位置には、径方向に円弧状に突出する一対の押さえ部14が周方向に1/4周(90度)の範囲(以下、「ロック領域L」という)に渡って形成され、一対の押さえ部14の周方向の両端には短筒部13と同じ高さ寸法を有するストッパ壁15が夫々立設されている。一対の押さえ部14の径方向内側(容器軸O側)の空間がポンプ部材30の通過が可能な上側開口部17であり、周方向に隣接する一方の押さえ部14と他方の押さえ部14との間(ロック領域Lとロック領域Lとの間)には上側開口部17に連続する非ロック領域ULが設けられている。
【0016】
また外容器10の上端側の内周面で且つ軸対称なる両位置には、径方向内側に突出する一対の位置決め凸部16が夫々突設されている。外容器本体11の下端には、開放端かなる底側開口部19が設けられている。
【0017】
尚、外容器本体11の外周面には、文字、図形、記号又は立体的な形状若しくは色彩又はこれらの結合からなる加飾が施され、化粧用の二重容器1としての商品価値が高めるようにした構成が好ましい。あるいは、外容器本体11を透明又は半透明な樹脂で成形し、外容器10内に収納されている内容器20の外周面に形成されている文字、図形、記号又は立体的な形状若しくは色彩又はこれらの結合からなる加飾を、外容器本体11を透して視認できるようにした構成であっても良い。
【0018】
図3(a)(b)に示すように、内容器20は底部21の上に胴部22が連設され、更にその上部にはくびれ部23を挟んで上胴部24が連設され、更に上胴部24の上部には縮形状の肩部25を介して口筒部26が立設されている。上胴部24の軸対称となる両位置には外容器10側の位置決め凸部16と係合可能な位置決め凹部27が凹設され、口筒部26の外周面には雄ネジ28が形成されている。
【0019】
ポンプ部材30は、口筒部26の外周面に螺合するネジキャップ31と、内部にピストン部材(図示略)が配置されたシリンダ部材32を備えていると共に、内部には内容器20内に充填された内容液を流通可能な導入路(図示略)が容器軸Oに沿って形成されている。
【0020】
ネジキャップ31は上筒部31Aとその下端に上筒部31Aよりも大きな径を有して形成された下筒部31Bと備えて一体に構成され、上筒部31Aには押下ヘッド33が装着されている。また下筒部31Bの内周面には、内容器20側の口筒部26の外周面に形成された雄ネジ28に螺合可能な雌ネジ31aが形成されている。
【0021】
押下ヘッド33の側面には、上記導入路内に導入した内容液を外部に噴出させるノズル部34が設けられている。また押下ヘッド33の外径は、ネジキャップ31の上筒部31Aの内径よりも小さい。これにより、押下ヘッド33がネジキャップ31の上筒部31Aの内側において容器軸Oに沿って上下に移動可能に構成されている。
【0022】
ポンプ部材30は、シリンダ部材32内で上方付勢された図示しないピストン部材が押下ヘッド33の下降と共に摺動下降することによりシリンダ部材32内の内容液を圧縮し、ノズル部34から外部に向けて噴射できるように構成されている。また押下ヘッド33及び上記ピストン部材の復帰動作によってシリンダ部材32内を負圧とすることにより、内容器20内に充填されている内容液をシリンダ部材32内に導入することが可能となっている。このようなポンプ部材30は、ネジキャップ31を介して内容器20の口筒部26に装着されている。
【0023】
図4(a)に示すように、肩パーツ40は短円筒状の外筒部41と、その上部に内フランジ部42を介してそれよりも短径状の内筒部43が一体に連設されている。外筒部41の内周面には、外容器10の外周面に周設された凸部12に係合可能な周凸部41aが形成されている。内筒部43の外周面にはオーバーキャップ50に係合可能な環状凸部43aが形成されている。
【0024】
ここで、
図4(b)に示すように、便宜的に容器軸Oにおいて直交する2つの仮想線をX軸とY軸とする座標平面を、X軸とY軸で区分けし、第1象限α1、第2象限α2、第3象限α3及び第4象限α4の4つの領域に規定して説明する。
本実施例において、一対のストッパ片44は、内フランジ部42の内周側の下面で且つ軸対称となるY軸上の2箇所の位置に垂下設されている。そして、複数(本実施例では4つ)の嵌合部材45は、内フランジ部42の内周側の下面で且つ第1象限α1と第3象限α3の領域内に、ストッパ片44から周方向に所定の間隔を有して垂下設されている。尚、第2象限α2及び第4象限α4には嵌合部材45は形成されていない。
尚、一対のストッパ片44をX軸上の2箇所の位置に垂下設し、複数(本実施例では4つ)の嵌合部材45を第2象限α2及び第4象限α4の領域内に配置した構成であっても良い。
【0025】
嵌合部材45は、内フランジ部42の下面から下方に延びる垂下片部45aと垂下片部45aから径方向内側に突出する凸片部45bとを有し、径方向に弾性変形可能な状態で一体に形成されている。また嵌合部材45は外筒部41の高さ寸法と同じか、それよりも若干長めの寸法を有して形成されているが、一対のストッパ片44は外筒部41の高さ寸法よりも短い寸法で形成されている。
【0026】
肩パーツ40は、周凸部41aを外容器10の短筒部13の外周面に周設された凸部12に係合させることにより外容器10の上部に対し、周方向に回転可能な状態で嵌合されている。すなわち、肩パーツ40側のストッパ片44と外容器10側の押さえ部14との間には高さ方向に隙間余裕が形成され、且つストッパ片44の外周面と短筒部13の内周面との間には径方向に僅かな隙間余裕が形成されており(
図6(a)参照)、また嵌合部材45は押さえ部14から径方向内側に僅かに離れた位置にあり(
図6(b)参照)、肩パーツ40は外容器10の上部に一定の範囲内において周方向に回転可能な状態に設定されている。
【0027】
図5(a)は非ロック状態における肩パーツと外容器との関係を示す平面図、
図5(b)は
図5(a)中のVa―Va線矢視方向から示す半断面図、
図6(a)はロック状態における肩パーツと外容器との関係を示す平面図、
図6(b)は
図6(a)中のVIa―VIa線矢視方向から示す半断面図である。尚、
図5(a)及び
図6(a)では、肩パーツ40側の部材を破線で示している。
【0028】
嵌合状態にある肩パーツ40を外容器10の上で周方向に回転させると、ストッパ片44を外容器10側のストッパ壁15に当接させることができる。
ここで、肩パーツ40をロック状態から反時計周りに1/4周分回転させ、ストッパ片44を反時計周り方向からストッパ壁15に当接し、複数の嵌合部材45が非ロック領域UL内で停止している状態が非ロック状態である(
図5(b)参照)。他方、肩パーツ40を時計周りに回転させ、ストッパ片44が時計周り方向からストッパ壁15に当接し、複数の嵌合部材45がロック領域L内で停止している状態がロック状態である(
図6(b)参照)。
【0029】
図5(a)(b)に示すように、非ロック状態では、複数の嵌合部材45は非ロック領域UL内に配置されているため、径方向外側に向かって弾性変形可能な状態にある。
他方、
図6(a)(b)に示すように、ロック状態では、複数の嵌合部材45はロック領域L内において押さえ部14の内縁近傍の位置に配置され、凸片部45bが押さえ部14が対向しているため、嵌合部材45は径方向外側に向かって弾性変形不能な状態にある。尚、嵌合部材45の凸片部45bは上側開口部17内に突出している。
【0030】
(内容器のセット作業)
次に、ポンプ部材30を備えた内容器20を外容器10内に装着するセット作業の手順について説明する。
図7(a)は非ロック状態における肩パーツ、外容器及びネジキャップの各関係を示す平面図、
図7(b)は
図7(a)中のVIIa―VIIa線矢視方向から示す半断面図、
図8(a)はロック状態における肩パーツ、外容器及びネジキャップの各関係を示す平面図、
図8(b)は
図8(a)中のVIIIa―VIIIa線矢視方向から示す半断面図、
図9は外容器内への内容器の装着時(又は離脱時)の様子を示す二重容器の半断面図である。尚、
図7(a)及び
図8(a)では、肩パーツ40側の部材を破線で示している。
【0031】
図9に示すように、上部にポンプ部材30を備えた内容器20は、外容器10の底側開口部19からポンプ部材30側を上方に向けた状態で挿入することにより外容器10の内部に装着される。装着作業は、肩パーツ40を反時計周り方向に1/4周分回転させ、二重容器1を非ロック状態(
図5(b)参照)に設定した状態で行う。
【0032】
図7(a)に示すように、非ロック状態では、内容器20の上部に設けられたポンプ部材30が、外容器10の上側開口部17を通過する際、ネジキャップ31の下筒部31Bが嵌合部材45の凸片部45bに当接可能であるため、非ロック領域UL内の複数の嵌合部材45を径方向外側に向かって弾性変形させることができる。また
図7(a)(b)に示すように、非ロック領域UL内では、ネジキャップ31の下筒部31Bの外周面とストッパ片44の内周面との間に僅かな隙間が設けられている。よって、ポンプ部材30は上側開口部17内を通り抜けることが可能となっている。
【0033】
またこの際、内容器20側の位置決め凹部27と外容器10側の位置決め凸部16とを周方向に位置合わせを行った状態で装着すると、位置決め凹部27に位置決め凸部16を係合させることができる。
【0034】
そして、係合後、肩パーツ40を時計周りに回転させて二重容器1をロック状態に設定すると、
図8(a)(b)に示すように、ロック領域L内では、ネジキャップ31の下筒部31Bの外周面と押さえ部14の内縁との間に嵌合部材45の凸片部45bが挟み込まれる状態に設定される。このロック状態では、複数の嵌合部材45は径方向外側に弾性変形不能であると共に、嵌合部材45の凸片部45bは上側開口部17内に突出する状態にある。このため、内容器20を底側開口部19側に引き出そうとすると、ネジキャップ31の下筒部31Bの下端が嵌合部材45の凸片部45bに当接するが、複数の嵌合部材45は径方向外側に弾性変形不能であるため、複数の嵌合部材45がポンプ部材30を構成するネジキャップ31の下筒部31Bを係止することとなる。よって、ポンプ部材30は上側開口部17内を通り抜けることができず、内容器20が外容器10の底側開口部19から外部に離脱することを確実に規制することができる。
【0035】
(内容器のリセット作業)
次に、ポンプ部材30を備えた内容器20を外容器10内から取り出すリセット作業の手順について説明する。
新たな内容器20に交換するには、内容液を使い切った内容器20を外容器10の底側開口部19から外部に取り出すリセット作業を行うが、その作業は上記セット作業とは逆の作業を行う。
【0036】
すなわち、肩パーツ40を反時計周りに1/4周分回転させ、二重容器1をロック状態から非ロック状態に移行させる。上記のように、非ロック状態では、複数の嵌合部材45が非ロック領域UL内に配置され、径方向外側に向かって弾性変形可能な状態にある(
図7(a)参照)。このため、ポンプ部材30が上側開口部17内を通り抜ける際に、嵌合部材45の凸片部45bがネジキャップ31の下筒部31B外周面に当接すると、嵌合部材45自体が径方向外側に向かって弾性変形し、ポンプ部材30に対する係止を解除することができる。このため、ポンプ部材30は上側開口部17内の通り抜けが許容され、ポンプ部材30を備えた内容器20を外容器10の底側開口部19から外部に取り出すことが可能となる。
【0037】
よって、非ロック状態おいて、一方の手で外容器10の外容器本体11を保持し、他方に手を底側開口部19から外容器10内に挿入すると共に、内容器20の底部21を保持して下方に引き抜くことにより、ポンプ部材30を備えた内容器20の底側開口部19を介して外部に容易に取り出すことができる(
図9参照)。
【0038】
以上のように、本発明では肩パーツ40を周方向に時計回り方向転又は反時計周り方向に回転させることにより、外容器10に対する内容器20の脱着を容易に行うことができる。
尚、新たな内容器20を外容器10内に装着するには、上記内容器のセット作業を行えばよい。
【0039】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0040】
例えば、上記実施例では内容液を吐出する吐出器として、押下式のポンプ部材30を有する構成を示して説明したが、例えば外容器10及び内容器20を弾性変形可能な容器で構成し、外容器本体11をスクイズすると内容器20が弾性変形して内容液が内容器20の口筒部26から吐出される構成や、内容器20に錠剤等を収容した振り出し可能な容器構成など、その他の構成であっても良い。
【0041】
また上記実施例では、ストッパ片44及び複数の嵌合部材45を、軸対称を成す第1象限α1と第3象限α3の2つの領域又は第2象限α2と第4象限α4の2つの領域に配置した場合を示して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、いずれか1つの領域のみに配置する構成とすることも可能であるが、肩パーツ40が回転する際のバランス等を考慮すれば、上記実施例の構成が好ましい。
【0042】
更に上記実施例では、複数の嵌合部材45として4つを有する場合を示して説明したが、嵌合部材45の数は4つに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、内容器の交換が可能な二重容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 :二重容器
10 :外容器
11 :外容器本体
12 :凸部
13 :短筒部
14 :押さえ部
15 :ストッパ壁
16 :位置決め凸部
17 :上側開口部
19 :底側開口部
20 :内容器
21 :底部
22 :胴部
23 :くびれ部
24 :上胴部
25 :肩部
26 :口筒部
27 :位置決め凹部
28 :雄ネジ
30 :ポンプ部材
31 :ネジキャップ
31A :上筒部
31B :下筒部
31a :雌ネジ
32 :シリンダ部材
33 :押下ヘッド
34 :ノズル部
40 :肩パーツ
41 :外筒部
41a :周凸部
42 :内フランジ部
43 :内筒部
43a :環状凸部
44 :ストッパ片
45 :嵌合部材
45a :垂下片部
45b :凸片部
50 :オーバーキャップ
O :容器軸
L :ロック領域
UL :非ロック領域
α1 :第1象限
α2 :第2象限
α3 :第3象限
α4 :第4象限