(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051739
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】スラグ監視装置、余寿命評価装置、スラグ監視方法及び余寿命評価方法
(51)【国際特許分類】
F27D 21/00 20060101AFI20240404BHJP
F23G 5/50 20060101ALI20240404BHJP
C10J 3/46 20060101ALI20240404BHJP
C10J 3/48 20060101ALI20240404BHJP
G01K 11/3206 20210101ALI20240404BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240404BHJP
【FI】
F27D21/00 Z
F23G5/50 F
C10J3/46 M
C10J3/48
G01K11/3206
G01K1/14 P
C10J3/46 L
F27D21/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158054
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂
(72)【発明者】
【氏名】上林 正和
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 雄太
【テーマコード(参考)】
2F056
3K062
4K056
【Fターム(参考)】
2F056VF02
3K062AA23
3K062AA24
3K062AB02
3K062AB03
3K062AC20
3K062BA02
3K062CA01
3K062CB00
3K062DA38
3K062DA40
4K056FA13
4K056FA19
4K056FA21
(57)【要約】
【課題】ガス化炉(火炉)の運転中に変動するスラグの付着状態を把握することができるスラグ監視装置及びスラグ監視方法を提供する。
【解決手段】炉壁に付着するスラグの状態を監視するためのスラグ監視装置であって、炉壁の外側に設けられてフィンの温度を測定するフィン温度測定装置において測定されたフィンの時系列温度データを取得するフィン温度データ取得部と、上記フィンの時系列温度データから、フィンの温度の変動範囲に関する情報であるフィン温度変動範囲情報を取得するフィン温度変動範囲情報取得部と、炉壁の内面に取り付けられた、耐火材又はスラグの少なくとも一方から構成される熱抵抗体の厚さ、及び、フィン温度変動範囲情報が関連付けられた第1関連付け情報に基づき、フィン温度変動範囲情報に対応する熱抵抗体の厚さを推定する熱抵抗体厚さ推定部と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水冷管とフィンが交互に接合されて構成される炉壁に付着するスラグの状態を監視するためのスラグ監視装置であって、
前記炉壁の外側に設けられて前記フィンの温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置、において測定された第1所定期間における前記フィンの時系列温度データを取得するように構成されたフィン温度データ取得部と、
前記フィン温度データ取得部において取得された前記フィンの時系列温度データから、前記フィンの温度の変動範囲に関する情報であるフィン温度変動範囲情報を取得するように構成されたフィン温度変動範囲情報取得部と、
前記炉壁の内面に取り付けられた熱抵抗体であって、耐火材又は前記スラグの少なくとも一方から構成される熱抵抗体の厚さ、及び、前記フィン温度変動範囲情報が関連付けられた第1関連付け情報に基づき、前記フィン温度変動範囲情報取得部が取得した前記フィン温度変動範囲情報に対応する前記熱抵抗体の厚さを推定するように構成された熱抵抗体厚さ推定部と、を備える、
スラグ監視装置。
【請求項2】
前記第1関連付け情報は、
前記炉壁の内部を流れるガスの熱流束として第1熱流束を用いた熱解析により算出した前記熱抵抗体の厚さ及び前記フィン温度変動範囲情報の対応関係に関する情報である第1対応関係情報と、
前記炉壁の内部を流れる前記ガスの熱流束として前記第1熱流束よりも大きい第2熱流束を用いた熱解析により算出した前記熱抵抗体の厚さ及び前記フィン温度変動範囲情報の対応関係に関する情報である第2対応関係情報と、を含む、
請求項1に記載のスラグ監視装置。
【請求項3】
前記フィン温度変動範囲情報取得部は、
前記フィン温度データ取得部において取得された前記フィンの温度と前記水冷管を流れる冷却液の温度の差分値の、前記第1所定期間における変動範囲を前記フィン温度変動範囲情報として取得するように構成された、
請求項1又は2に記載のスラグ監視装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の上昇率が予め定められた温度上昇率を超えた場合に、前記炉壁から前記熱抵抗体の少なくとも一部が剥離したと推定するように構成された剥離推定部をさらに備える、
請求項1又は2に記載のスラグ監視装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の低下率と前記熱抵抗体の厚さの増加率が関連付けられた第2関連付け情報に基づき、前記フィンの温度の低下率に対応する前記熱抵抗体の厚さの増加率を算出するように構成された熱抵抗体厚さ増加率算出部をさらに備える、
請求項1又は2に記載のスラグ監視装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置は、
第1のフィン温度測定装置と、
前記第1のフィン温度測定装置に対して前記炉壁の高さ方向において所定の第1計測間距離だけ間隔をあけて配置された第2のフィン温度測定装置と、を含み、
前記剥離推定部は、
第2所定期間内における前記第1のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の上昇率、及び前記第2所定期間内における前記第2のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の上昇率を考慮して、前記炉壁からの前記熱抵抗体の剥離状態を推定するように構成された、
請求項4に記載のスラグ監視装置。
【請求項7】
前記第2所定期間内において、前記第1のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の上昇率及び前記第2のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の上昇率が予め定められた温度上昇率を超えた場合において、
前記第2所定期間内における前記第1のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の最大値の取得時刻と前記第2のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の最大値の取得時刻との時間差、及び前記第1計測間距離から、前記炉壁から剥離した前記熱抵抗体の流下速度を算出するように構成された熱抵抗体流下速度算出部をさらに備える、
請求項6に記載のスラグ監視装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の低下率、及び前記熱抵抗体流下速度算出部が算出した前記熱抵抗体の前記流下速度に基づいて、前記スラグの生成挙動を評価するように構成されたスラグ生成挙動評価部をさらに備える、
請求項7に記載のスラグ監視装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置は、
第3のフィン温度測定装置と、
前記第3のフィン温度測定装置に対して前記炉壁の周方向において所定の第2計測間距離だけ間隔をあけて配置された第4のフィン温度測定装置と、を含み、
前記剥離推定部は、
第3所定期間内における前記第3のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の上昇率、及び前記第3所定期間内における前記第4のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の上昇率を考慮して、前記炉壁からの前記熱抵抗体の剥離状態を推定するように構成された、
請求項4に記載のスラグ監視装置。
【請求項10】
前記第3所定期間内において、前記第3のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の変化率及び前記第4のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の変化率が予め定められた温度変化率を超えた場合において、
前記第3所定期間内における前記第3のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の最大値の取得時刻との時間差と前記第4のフィン温度測定装置において測定された前記フィンの温度の最大値の取得時刻との時間差、及び前記第2計測間距離から、前記炉壁の内部を流れるガスの周方向流速を算出するように構成されたガス周方向流速算出部をさらに備える、
請求項9に記載のスラグ監視装置。
【請求項11】
前記熱抵抗体の厚さを測定するように構成された少なくとも1つの熱抵抗体厚さ測定装置において測定された前記第1所定期間における前記熱抵抗体の厚さを取得する熱抵抗体厚さ取得部と、
前記熱抵抗体厚さ取得部において取得された前記熱抵抗体の厚さの測定値から、前記第1関連付け情報に基づいて前記測定値に対応する前記フィン温度変動範囲情報である対応フィン温度変動範囲情報を取得するように構成された対応フィン温度変動範囲情報取得部と、
前記対応フィン温度変動範囲情報取得部が取得した前記対応フィン温度変動範囲情報、及び、前記フィン温度変動範囲情報取得部が取得した前記フィン温度変動範囲情報に基づいて、前記対応フィン温度変動範囲情報と前記フィン温度変動範囲情報との差分を小さくするように、前記第1関連付け情報を補正するように構成された第1関連付け情報補正部と、をさらに備える、
請求項1又は2に記載のスラグ監視装置。
【請求項12】
前記対応フィン温度変動範囲情報取得部が取得した前記対応フィン温度変動範囲情報の誤差の上限範囲及び下限範囲を導出する誤差範囲導出部と、
前記第1関連付け情報補正部は、前記フィン温度変動範囲情報取得部が取得した前記フィン温度変動範囲情報が前記上限範囲又は前記下限範囲を逸脱した場合に、前記第1関連付け情報を補正するように構成された、
請求項11に記載のスラグ監視装置。
【請求項13】
水冷管とフィンが交互に接合されて構成される炉壁における前記水冷管の管頂部の余寿命を評価するように構成された余寿命評価装置であって、
前記炉壁の外側に設けられて前記フィンの温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置、において測定された前記フィンの時系列温度データを取得するように構成されたフィン温度データ取得部と、
前記フィンの前記時系列温度データを用いて、前記フィンにおける疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第1振幅、及び、前記フィンにおける疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第1カウント数を含む第1寿命評価値を導出するように構成された第1寿命評価値導出部と、
前記管頂部における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第2振幅と前記第1振幅との間の振幅比に基づいて、前記第1寿命評価値に対応する第2寿命評価値であって、前記第2振幅、及び、前記管頂部における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第2カウント数を含む第2寿命評価値を導出するように構成された第2寿命評価値導出部と、
前記フィンにおけるクリティカル温度である第1クリティカル温度を超える温度変動の発生回数である第1クリティカルカウント数と、前記管頂部におけるクリティカル温度である第2クリティカル温度を超える温度変動の発生回数である第2クリティカルカウント数と、の比であるクリティカルカウント比に基づいて、前記第1カウント数に対応する第2カウント数である対応第2カウント数を導出するように構成された第2対応カウント数導出部と、
前記第2振幅及び前記対応第2カウント数を用いて、前記管頂部の余寿命を評価するように構成された余寿命評価部と、を備える、
余寿命評価装置。
【請求項14】
前記管頂部の温度を測定するように構成された少なくとも1つの管頂部温度測定装置、において測定された前記管頂部の時系列温度データを取得するように構成された管頂部温度データ取得部と、
前記フィン温度データ取得部において取得した前記フィンの時系列温度データ及び前記管頂部温度データ取得部において取得した前記管頂部の時系列温度データを用いて、前記フィンの温度と前記管頂部の温度の間の相関係数を導出する相関係数導出部と、
前記第2クリティカル温度及び前記相関係数を用いて、前記第1クリティカル温度を算出する第1クリティカル温度算出部と、をさらに備え、
前記第1クリティカル温度算出部が算出した前記第1クリティカル温度を用いて、前記第1クリティカルカウント数を導出する第1クリティカルカウント数導出部と、
前記第2クリティカル温度を用いて、前記第2クリティカルカウント数を導出する第2クリティカルカウント数導出部と、
前記第1クリティカルカウント数導出部において導出された前記第1クリティカルカウント数、及び、前記第2クリティカルカウント数導出部において導出された第2クリティカルカウント数を用いて、前記クリティカルカウント比を導出するクリティカルカウント比導出部と、をさらに備える、
請求項13に記載の余寿命評価装置。
【請求項15】
水冷管とフィンが交互に接合されて構成される炉壁に付着するスラグの状態を監視するためのスラグ監視方法であって、
前記炉壁の外側に設けられて前記フィンの温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置、において測定された第1所定期間における前記フィンの時系列温度データを取得するフィン温度データ取得ステップと、
前記フィン温度データ取得ステップにおいて取得された前記フィンの時系列温度データから、前記フィンの温度の変動範囲に関する情報であるフィン温度変動範囲情報を取得するフィン温度変動範囲情報取得ステップと、
前記炉壁の内面に取り付けられた熱抵抗体であって、耐火材又は前記スラグの少なくとも一方から構成される熱抵抗体の厚さ、及び、前記フィン温度変動範囲情報が関連付けられた第1関連付け情報に基づき、前記フィン温度変動範囲情報取得ステップが取得した前記フィン温度変動範囲情報に対応する前記熱抵抗体の厚さを推定する熱抵抗体厚さ推定ステップと、を備える、
スラグ監視方法。
【請求項16】
水冷管とフィンが交互に接合されて構成される炉壁における前記水冷管の管頂部の余寿命を評価するように構成された余寿命評価方法であって、
前記炉壁の外側に設けられて前記フィンの温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置、において測定された前記フィンの時系列温度データを取得するフィン温度データ取得ステップと、
前記フィンの前記時系列温度データを用いて、前記フィンにおける疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第1振幅、及び、前記フィンにおける疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第1カウント数を含む第1寿命評価値を導出する第1寿命評価値導出ステップと、
前記管頂部における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第2振幅と前記第1振幅との間の振幅比に基づいて、前記第1寿命評価値に対応する第2寿命評価値であって、前記第2振幅、及び、前記管頂部における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第2カウント数を含む第2寿命評価値を導出するように構成された第2寿命評価値導出ステップと、
前記フィンにおけるクリティカル温度である第1クリティカル温度を超える温度変動の発生回数である第1クリティカルカウント数と、前記管頂部におけるクリティカル温度である第2クリティカル温度を超える温度変動の発生回数である第2クリティカルカウント数と、の比であるクリティカルカウント比に基づいて、前記第1カウント数に対応する第2カウント数である対応第2カウント数を導出する第2対応カウント数導出ステップと、
前記第2振幅及び前記対応第2カウント数を用いて、前記管頂部の余寿命を評価する余寿命評価ステップと、を備える、
余寿命評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スラグ監視装置、余寿命評価装置、スラグ監視方法及び余寿命評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素含有固体燃料のガス化を行うように構成されたガス化炉(燃焼炉)が知られている(特許文献1参照)。ガス化炉は、外形が円筒状に形成された炉壁の内部にガス化部が形成されている。ガス化部では、炭素含有固体燃料(例えば、微粉炭)に含まれる可燃成分を酸素と燃焼反応させてガス化し、CO及びH2を主成分とする生成ガスを発生させるとともに、炭素含有固体燃料中の灰分を溶融してスラグ化させることが行われる。
【0003】
特許文献1には、ガス化炉のガス化部の底部に設けられた、溶融スラグを流下させるスラグタップの開口部の閉塞を防止するために、スラグタップの内部、開口部等の複数の温度データの低下を検知し、上記開口部の閉塞兆候を判断している。
【0004】
一方、特許文献2には、溶融スラグにより構成されたスラグ層の厚さ毎に、溶融メタルにより構成されたメタル層の温度とスラグ層の温度の相関関係を求めることが開示されている。また、特許文献2には、上記相関関係に基づいて、スラグ排出時の傾動に適したメタル層の温度となるスラグ層の温度の設定範囲を求め、この設定範囲を考慮してスラグ層の温度を制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5893956号公報
【特許文献2】特許第4949074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガス化炉のガス化部を形成する炉壁の内面にスラグを付着させることにより、炉壁の内部に生じる熱(燃焼熱)による炉壁の熱損傷を抑制することが行われることがある。この場合において、炉壁の熱損傷を把握するためには、ガス化炉の運転中に変動するスラグの付着状態を推定及び監視することが必要となる。ここで、ガス化部は、比較的高温(例えば、約1800℃)のため、ガス化部の温度を直接計測することは困難である。また、炉壁の内部を流れるガスの熱流束は、比較的高サイクルで変動するため、炉壁の温度の絶対値のみを用いて、炉壁の内面に付着したスラグの付着状態を判断することは困難である。
【0007】
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、ガス化炉(火炉)の運転中に変動するスラグの付着状態を把握することができるスラグ監視装置及びスラグ監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態に係るスラグ監視装置は、
水冷管とフィンが交互に接合されて構成される炉壁に付着するスラグの状態を監視するためのスラグ監視装置であって、
前記炉壁の外側に設けられて前記フィンの温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置、において測定された第1所定期間における前記フィンの時系列温度データを取得するように構成されたフィン温度データ取得部と、
前記フィン温度データ取得部において取得された前記フィンの時系列温度データから、前記フィンの温度の変動範囲に関する情報であるフィン温度変動範囲情報を取得するように構成されたフィン温度変動範囲情報取得部と、
前記炉壁の内面に取り付けられた熱抵抗体であって、耐火材又は前記スラグの少なくとも一方から構成される熱抵抗体の厚さ、及び、前記フィン温度変動範囲情報が関連付けられた第1関連付け情報に基づき、前記フィン温度変動範囲情報取得部が取得した前記フィン温度変動範囲情報に対応する前記熱抵抗体の厚さを推定するように構成された熱抵抗体厚さ推定部と、を備える。
【0009】
本開示の一実施形態に係る余寿命評価装置は、
水冷管とフィンが交互に接合されて構成される炉壁における前記水冷管の管頂部の余寿命を評価するように構成された余寿命評価装置であって、
前記炉壁の外側に設けられて前記フィンの温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置、において測定された前記フィンの時系列温度データを取得するように構成されたフィン温度データ取得部と、
前記フィンの前記時系列温度データを用いて、前記フィンにおける疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第1振幅、及び、前記フィンにおける疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第1カウント数を含む第1寿命評価値を導出するように構成された第1寿命評価値導出部と、
前記管頂部における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第2振幅と前記第1振幅との間の振幅比に基づいて、前記第1寿命評価値に対応する第2寿命評価値であって、前記第2振幅、及び、前記管頂部における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第2カウント数を含む第2寿命評価値を導出するように構成された第2寿命評価値導出部と、
前記フィンにおけるクリティカル温度である第1クリティカル温度を超える温度変動の発生回数である第1クリティカルカウント数と、前記管頂部におけるクリティカル温度である第2クリティカル温度を超える温度変動の発生回数である第2クリティカルカウント数と、の比であるクリティカルカウント比に基づいて、前記第1カウント数に対応する第2カウント数である対応第2カウント数を導出するように構成された第2対応カウント数導出部と、
前記第2振幅及び前記対応第2カウント数を用いて、前記管頂部の余寿命を評価するように構成された余寿命評価部と、を備える。
【0010】
本開示の一実施形態に係るスラグ監視方法は、
水冷管とフィンが交互に接合されて構成される炉壁に付着するスラグの状態を監視するためのスラグ監視方法であって、
前記炉壁の外側に設けられて前記フィンの温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置、において測定された第1所定期間における前記フィンの時系列温度データを取得するフィン温度データ取得ステップと、
前記フィン温度データ取得ステップにおいて取得された前記フィンの時系列温度データから、前記フィンの温度の変動範囲に関する情報であるフィン温度変動範囲情報を取得するフィン温度変動範囲情報取得ステップと、
前記炉壁の内面に取り付けられた熱抵抗体であって、耐火材又は前記スラグの少なくとも一方から構成される熱抵抗体の厚さ、及び、前記フィン温度変動範囲情報が関連付けられた第1関連付け情報に基づき、前記フィン温度変動範囲情報取得ステップが取得した前記フィン温度変動範囲情報に対応する前記熱抵抗体の厚さを推定する熱抵抗体厚さ推定ステップと、を備える。
【0011】
本開示の一実施形態に係る余寿命評価方法は、
水冷管とフィンが交互に接合されて構成される炉壁における前記水冷管の管頂部の余寿命を評価するように構成された余寿命評価方法であって、
前記炉壁の外側に設けられて前記フィンの温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置、において測定された前記フィンの時系列温度データを取得するフィン温度データ取得ステップと、
前記フィンの前記時系列温度データを用いて、前記フィンにおける疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第1振幅、及び、前記フィンにおける疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第1カウント数を含む第1寿命評価値を導出する第1寿命評価値導出ステップと、
前記管頂部における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第2振幅と前記第1振幅との間の振幅比に基づいて、前記第1寿命評価値に対応する第2寿命評価値であって、前記第2振幅、及び、前記管頂部における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第2カウント数を含む第2寿命評価値を導出するように構成された第2寿命評価値導出ステップと、
前記フィンにおけるクリティカル温度である第1クリティカル温度を超える温度変動の発生回数である第1クリティカルカウント数と、前記管頂部におけるクリティカル温度である第2クリティカル温度を超える温度変動の発生回数である第2クリティカルカウント数と、の比であるクリティカルカウント比に基づいて、前記第1カウント数に対応する第2カウント数である対応第2カウント数を導出する第2対応カウント数導出ステップと、
前記第2振幅及び前記対応第2カウント数を用いて、前記管頂部の余寿命を評価する余寿命評価ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ガス化炉(火炉)の運転中に変動するスラグの付着状態を把握することができるスラグ監視装置及びスラグ監視方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態に係るスラグ監視装置における監視対象であるスラグが付着するガス化炉(火炉)の高さ方向に沿った概略断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る炉壁の概略図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る炉壁に取り付けられる温度計測装置及び該温度計測装置に接続されるスラグ監視装置の概略図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る炉壁に取り付けられる熱抵抗体の状態の一例を示す炉壁の概略断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る炉壁に取り付けられる熱抵抗体の状態の一例を示す炉壁の概略断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る炉壁に取り付けられる熱抵抗体の状態の一例を示す炉壁の概略断面図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る炉壁に取り付けられる熱抵抗体の状態の一例を示す炉壁の概略断面図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係るスラグ監視方法のフロー図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係るスラグ監視装置の構成を概略的に示す概略構成図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る第1関連付け情報を説明するための説明図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係るスラグ監視装置の構成を概略的に示す概略構成図である。
【
図12】本開示の一実施形態に係る剥離推定部及び熱抵抗体厚さ増加率算出部を説明するための説明図である。
【
図13】本開示の一実施形態に係る剥離推定部及び熱抵抗体流下速度算出部を説明するための説明図である。
【
図14】本開示の一実施形態に係るスラグ生成挙動評価部を説明するための説明図である。
【
図15】本開示の一実施形態に係る剥離推定部及びガス周方向流速算出部を説明するための説明図である。
【
図16】本開示の一実施形態に係るスラグ監視装置の構成を概略的に示す概略構成図である。
【
図17】本開示の一実施形態に係るスラグ監視方法のフロー図である。
【
図18】本開示の一実施形態に係る対応フィン温度変動範囲情報取得部及び誤差範囲導出部を説明するための説明図である。
【
図19】本開示の一実施形態に係る第1関連付け情報補正部を説明するための説明図である。
【
図20】本開示の一実施形態に係る炉壁の概略図である。
【
図21】本開示の一実施形態に係る余寿命評価装置の構成を概略的に示す概略構成図である。
【
図22】本開示の一実施形態に係る余寿命評価方法のフロー図である。
【
図23】本開示の一実施形態に係る寿命評価値の導出方法を説明するための説明図である。
【
図24】本開示の一実施形態に係るフィンの温度と管頂部の温度の間の相関係数を説明するための説明図である。
【
図25】本開示の一実施形態に係る水冷管の管頂部の寿命を評価するための寿命評価値の導出方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0015】
(ガス化炉)
図1は、本開示の一実施形態に係るスラグ監視装置1における監視対象であるスラグ31が付着するガス化炉2A(火炉2)の高さ方向に沿った概略断面図である。
図2は、本開示の一実施形態に係る炉壁21の概略図である。
図3は、本開示の一実施形態に係る炉壁21に取り付けられる温度計測装置(フィン温度測定装置4等)及び該温度計測装置に接続されるスラグ監視装置1の概略図である。本開示の幾つかの実施形態に係るスラグ監視装置1及びスラグ監視方法100の夫々は、
図1に示されるような、ガス化炉2A(火炉2)に搭載された炉壁21の内面211に付着するスラグ31(熱抵抗体3)の状態を監視するためのものである。なお、以下の実施形態では、火炉2が炭素含有固体燃料のガス化を行うように構成されたガス化炉2Aである場合について説明するが、本開示は火炉2がガス化炉2A以外の場合にも適用可能である。
【0016】
ガス化炉2Aの内部には、炉壁21の内面211により炉壁21の内部に形成されたガス化部24と、炉壁21と炉壁21の外周を覆う炉外壁25との間に形成されたアニュラス部26と、が形成されている。ガス化部24は、炭素含有固体燃料(例えば、微粉炭)に含まれる可燃成分を酸素と燃焼反応させてガス化し、CO及びH2を主成分とする生成ガスを発生させるように構成されるとともに、炭素含有固体燃料中の灰分を溶融してスラグ31化させるように構成されている。
【0017】
アニュラス部26は、炉壁21の外面212と炉外壁25の内面251により炉壁21の外部に形成されている。炉外壁25は、炉壁21の高さ方向に沿って延在してガス化炉2Aの内部と外部とを仕切る筒状に形成されている。ガス化炉2Aは、アニュラス部26において炉壁21に取り付けられて、ガス化部24に導かれた炭素含有固体燃料を燃焼させるための少なくとも1つ(図示例では複数)のバーナー装置27を備える。
【0018】
(炉壁)
炉壁21は、
図2に示されるように、水冷管22とフィン23が交互に接合されて構成される。炉壁21は、炉壁21の高さ方向に沿って延在する筒状に形成されている。図示される実施形態では、炉壁21は、鉛直方向に沿って高さ方向を有する。複数の水冷管22の各々は、炉壁21の高さ方向に沿って延在する管であり、その内部を冷却水(冷却液、環水)が流通するようになっている。炉壁21は、水冷管22の内部を流れる冷却水により冷却されるようになっている。
【0019】
複数の水冷管22の各々は、炉壁21の周方向に沿って他の水冷管22との間に間隔をあけて配置されている。複数のフィン23の各々は、炉壁21の高さ方向に沿って延在する板状に形成され、炉壁21の周方向において隣接する二つの水冷管22、22の間に配置されている。複数の水冷管22及び複数のフィン23は、金属材料により構成されている。複数のフィン23の各々は、フィン23の幅方向における一端部が、上述した隣接する二つの水冷管22、22のうちの一方に溶接等により接合され、フィン23の幅方向における他端部が、上述した隣接する二つの水冷管22、22の他方に溶接等により接合されている。
【0020】
(熱抵抗体)
図4~
図7の各々は、本開示の一実施形態に係る炉壁21に取り付けられる熱抵抗体3の状態の一例を示す炉壁の概略断面図である。熱抵抗体3は、
図4~
図7に示されるように、炉壁21の内面211に取り付けられる。熱抵抗体3は、炉壁21の内部に生じる熱(燃焼熱)による炉壁21の熱損傷を抑制でき、炉壁21を保護できる。
【0021】
熱抵抗体3は、上述したスラグ31又は耐火材32の少なくとも一方から構成される。熱抵抗体3は、ガス化炉2Aの運転中において、炉壁21への付着状態が変化する。この熱抵抗体3の付着状態は、
図4~
図7において夫々示される4つの形態(第1形態~第4形態)に分類できる。ガス化炉2Aの運転開始時には、熱抵抗体3の付着状態は、第1形態(
図4参照)になっている。第1形態に係る熱抵抗体3は、スラグ31を含まず、炉壁21の内面211に取り付けられた耐火材(耐火物)32から構成されている。耐火材32は、炉壁21の内面211を被覆するように、内面211の全周に亘って取り付けられている。炉壁21の内面211に取り付けられた耐火材32は、ガス化炉2Aの運転中に炉壁21の内部に生じる熱(燃焼熱)により溶損するため、徐々にその厚さが薄くなる。
【0022】
熱抵抗体3の付着状態は、耐火材32の溶損が進むことで、第1形態から第2形態(
図5参照)に移行し、さらに第2形態から第3形態(
図6参照)に移行し、その後第3形態から第4形態(
図7参照)に移行する。
【0023】
スラグ31は、ガス化炉2Aの燃料又は燃焼対象物の少なくとも一方が炉壁21の内部における燃焼により溶融することにより生じ、炉壁21の内面211等に付着する。
図5に示されるように、炉壁21の内面211が耐火材32により被覆されている場合には、スラグ31は、耐火材32の表面(内面211に当接する面とは耐火材32の厚さ方向の反対側の面)に付着する。換言すると、炉壁21の内面211に耐火材32及びスラグ31がこの順に積層される。ガス化炉2Aでは、炉壁21の内部に供給された微粉炭をバーナー装置27により燃焼させ、溶融したスラグ31が炉壁21の内面211又は耐火材32の表面に付着するようになっている。
【0024】
第2形態に係る熱抵抗体3は、
図5に示されるように、炉壁21の内面211に取り付けられた耐火材32、及び耐火材32の表面に付着したスラグ31により構成されている。第3形態では、炉壁21(具体的には、水冷管22)の内面211の一部が耐火材32により被覆されずに、スラグ31により直接被覆されるようになっている。第3形態に係る熱抵抗体3は、
図6に示されるように、炉壁21の内面211に取り付けられた耐火材32、並びに耐火材32の表面及び炉壁21の内面211に付着したスラグ31により構成されている。
【0025】
第4形態では、炉壁21(水冷管22及びフィン23)の内面211が耐火材32により被覆されずに、スラグ31により直接被覆されるようになっている。第4形態に係る熱抵抗体3は、
図7に示されるように、耐火材32を含まずに、炉壁21の内面211に付着したスラグ31により構成されている。図示される実施形態では、第1形態から第4形態に向かうにつれて、炉壁21の内面211に取り付けられた熱抵抗体3の厚さts(耐火材32の厚さとスラグ31の厚さの合計)は、徐々小さくなっている。
【0026】
(フィン温度測定装置)
幾つかの実施形態に係るスラグ監視装置1は、
図2に示されるように、少なくとも1つのフィン温度測定装置4に接続され、少なくとも1つのフィン温度測定装置4において測定されたフィン23の温度Tsを取得可能に構成されている。上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4は、炉壁21の外側であるアニュラス部26に設けられて、フィン23の温度(メタル温度)Tsを測定するように構成されている。図示される実施形態では、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4は、フィン23の外面231に取り付けられたセンシング部41においてフィン23の温度Tsを測定するように構成されている。
【0027】
図示される実施形態では、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4は、少なくとも1つの光ファイバセンサ40からなる。光ファイバセンサ40は、
図3に示されるように、光信号を伝送するための伝送路である光ファイバケーブル42と、光ファイバケーブル42に設けられた複数のセンシング部41と、光信号を送受信可能に構成された計測器43と、を含む。計測器43は、光の照射部(光源)44と、光の受光部(受光素子)45と、を含む。なお、フィン温度測定装置4は、炉壁21の外側に設けられて、フィン23の温度(メタル温度)Tsを測定するように構成されていればよく、光ファイバセンサ40に限定されるものではない。
【0028】
光ファイバケーブル42は、比較的屈折率の高いコアを比較的屈折率の低いクラッドにより覆う同心円状の構造を有し、光(光信号)をコアの内部に閉じこめられた状態で伝搬するようになっている。複数のセンシング部41の各々は、フィン23の温度Tsの変化により光が変化する性質を利用して、フィン23の温度Tsを取得するようになっている。複数のセンシング部41の各々は、光ファイバケーブル42のコア中に存在する検出素子(FGB)であってもよく、光ファイバケーブル42と一体に構成されていてもよい。また、複数のセンシング部41の各々は、光ファイバケーブル42とは別体であり、光ファイバケーブル42に着脱可能に接続されていてもよい。
【0029】
照射部44から照射された光は、光ファイバケーブル42を介して複数のセンシング部41の夫々に導かれる。センシング部41に導かれた光は、フィン23の温度Tsの変化に応じて変化する。センシング部41からフィン23の温度Tsの変化に応じて変化した反射光は、光ファイバケーブル42を介して受光部45に導かれる。計測器43は、センシング部41が取り付けられたフィン23の温度Tsの変化を、受光部45に導かれた反射光の変化(例えば、反射光の波長の変化)として検出するようになっている。スラグ監視装置1は、計測器43に接続され、複数のセンシング部41の夫々において測定されたフィン23の温度Tsを取得可能に構成されている。
【0030】
図8は、本開示の一実施形態に係るスラグ監視方法100のフロー図である。
図9は、本開示の一実施形態に係るスラグ監視装置1の構成を概略的に示す概略構成図である。幾つかの実施形態に係るスラグ監視方法100は、
図8に示されるように、フィン温度データ取得ステップS1と、フィン温度変動範囲情報取得ステップS2と、熱抵抗厚さ推定ステップS3と、を備える。スラグ監視方法100における幾つかのステップは、スラグ監視装置1等のスラグ監視システム10が備える装置や機器により行われてもよいし、スラグ監視システム10以外の装置や機器により行われてもよい。また、スラグ監視方法100における幾つかのステップを手動により行うようにしてもよい。
【0031】
スラグ監視装置1は、
図9に示されるように、フィン温度データ取得部12と、フィン温度変動範囲情報取得部13と、熱抵抗体厚さ推定部14と、を備える。
図9に示されるように、スラグ監視装置1は、記憶部11をさらに備えていてもよい。図示される実施形態では、
図2に示されるように、スラグ監視装置1は、スラグ監視システム10に搭載されている。スラグ監視システム10は、スラグ監視装置1及びスラグ監視装置1に接続された少なくとも1つのフィン温度測定装置4と、を備える。
【0032】
なお、スラグ監視装置1は、スラグ31(熱抵抗体3)の状態を監視するための電子制御ユニットであり、図示しないCPU(プロセッサ)や、ROMやRAMといったメモリ、外部記憶装置などの記憶装置、I/Oインターフェース、通信インターフェースなどからなるマイクロコンピュータとして構成されていてもよい。そして、例えば上記メモリの主記憶部にロードされたプログラムの命令に従ってCPUが動作(例えばデータの演算など)することで、前述する各部を実現してもよい。また、スラグ監視装置1による処理内容は、プロセッサにより実行されるプログラムとして実装され、補助記憶部に記憶されていてもよい。プログラム実行時には、これらのプログラムはメモリに展開される。プロセッサは、メモリからプログラムを読み出し、プログラムに含まれる命令を実行するようになっている。
【0033】
(フィン温度データ取得ステップ、フィン温度データ取得部)
フィン温度データ取得ステップS1では、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4において測定された第1所定期間におけるフィン23の温度Tsの時系列データである時系列温度データを取得することが行われる。フィン温度データ取得ステップS1は、フィン温度データ取得部12により行われてもよい。フィン温度データ取得部12は、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4において測定された第1所定期間におけるフィン23の時系列温度データを取得するように構成されている。フィン温度データ取得部12は、フィン温度測定装置4(図示例では、計測器43)から直接フィン23の時系列温度データを取得してもよいし、フィン温度測定装置4(図示例では、計測器43)から記憶部11に送られて、記憶部11に記憶されたフィン23の時系列温度データを取得してもよい。なお、第1所定期間の長さ、始点及び終点は、予め設定されていてもよい。また、第1所定期間の終点は、フィン23の時系列温度データの取得時であってもよい。
【0034】
(フィン温度変動範囲情報取得ステップ、フィン温度変動範囲情報取得部)
フィン温度変動範囲情報取得ステップS2では、フィン温度データ取得ステップS1(フィン温度データ取得部12)において取得されたフィン23の時系列温度データから、フィン23の温度の変動範囲に関する情報であるフィン温度変動範囲情報ITsを取得することが行われる。フィン温度変動範囲情報取得ステップS2は、フィン温度変動範囲情報取得部13により行われてもよい。フィン温度変動範囲情報取得部13は、フィン温度データ取得ステップS1(フィン温度データ取得部12)において取得されたフィン23の時系列温度データから、フィン温度変動範囲情報ITsを取得するように構成されている。
【0035】
フィン温度変動範囲情報ITsは、第1所定期間におけるフィン23の温度Tsの最大値Tsmax、最小値Tsmin及び最大値Tsmaxと最小値Tsminの差分値である変動幅ΔTsを取得可能な情報である。フィン温度変動範囲情報ITsは、最大値Tsmaxと最小値Tsminの組み合わせであってもよいし、最大値Tsmax又は最小値Tsminの何れかと変動幅ΔTsとの組み合わせであってもよいし、最大値Tsmaxと最小値Tsminと変動幅ΔTsとの組み合わせであってもよい。
【0036】
(熱抵抗厚さ推定ステップ、熱抵抗厚さ推定部)
熱抵抗厚さ推定ステップS3では、炉壁21の内面211に取り付けられた熱抵抗体3の厚さts及びフィン温度変動範囲情報ITsが関連付けられた第1関連付け情報AI1に基づき、フィン温度変動範囲情報取得ステップS2(フィン温度変動範囲情報取得部13)が取得したフィン温度変動範囲情報ITsに対応する熱抵抗体3の厚さtsを推定することが行われる。熱抵抗厚さ推定ステップS3は、熱抵抗体厚さ推定部14により行われてもよい。熱抵抗体厚さ推定部14は、第1関連付け情報AI1に基づき、フィン温度変動範囲情報取得ステップS2(フィン温度変動範囲情報取得部13)が取得したフィン温度変動範囲情報ITsに対応する熱抵抗体3の厚さtsを推定することが行われる。
【0037】
第1関連付け情報AI1は、フィン温度変動範囲情報ITsと熱抵抗体3の厚さtsとの間の対応関係を示すものであり、フィン温度変動範囲情報ITsを入力情報とした際に、入力情報であるフィン温度変動範囲情報ITsに対応する熱抵抗体3の厚さtsを出力情報として取得できるものであればよい。第1関連付け情報AI1には、上記入力情報と上記出力情報との対応関係を示すリストや表、マップ、関数、機械学習のモデルなどが含まれる。第1関連付け情報AI1は、定常試験データを基に作成してもよいし、定常試験データ以外の過去の実績値や実験値、数値解析結果などを基に作成してもよい。
【0038】
第1関連付け情報AI1は、フィン温度データ取得ステップS1よりも前に予め取得されている。スラグ監視方法100は、
図8に示されるように、フィン温度データ取得ステップS1よりも前に、第1関連付け情報AI1を取得する第1関連付け情報取得ステップS4をさらに備えていてもよい。第1関連付け情報AI1は、予め記憶部11に記憶されていてもよく、熱抵抗体厚さ推定部14は、熱抵抗体3の厚さtsを推定する際に記憶部11に記憶された第1関連付け情報AI1を参照してもよい。
【0039】
幾つかの実施形態に係るスラグ監視方法100は、
図8に示されるように、上述したフィン温度データ取得ステップS1と、上述したフィン温度変動範囲情報取得ステップS2と、上述した熱抵抗体厚さ推定ステップS3と、を備える。幾つかの実施形態に係るスラグ監視装置1は、
図9に示されるように、上述したフィン温度データ取得部12と、上述したフィン温度変動範囲情報取得部13と、上述した熱抵抗体厚さ推定部14と、を備える。
【0040】
上記の方法(構成)によれば、スラグ監視方法100やスラグ監視装置1は、フィン温度測定装置4において測定されたフィン23の温度Tsからフィン温度変動範囲情報ITsを取得でき、このフィン温度変動範囲情報ITsから第1関連付け情報AI1に基づいて対応する熱抵抗体3の厚さtsを推定できる。フィン温度変動範囲情報ITsは、フィン23の温度Tsの変動範囲に関する情報であるため、フィン23の温度Tsの計測値(絶対値)に比べて、炉壁21の内部において比較的高サイクルで変動する、炉壁21の内部を流れるガスの熱流束の影響が反映されたものとなる。このため、フィン温度変動範囲情報ITsと熱抵抗体3の厚さtsを関連付ける情報(第1関連付け情報)に基づいて熱抵抗体3の厚さtsを推定することで、炉壁21の内部を流れるガスの熱流束の影響が反映された熱抵抗体3(スラグ31)の厚さtsを推定できる。これにより、スラグ監視方法100やスラグ監視装置1は、仮にフィン23の温度Tsの計測値と熱抵抗体3の厚さtsを関連付ける情報に基づいて熱抵抗体3の厚さtsを推定する場合に比べて、ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3の厚さtsを精度良く推定できるため、ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3(例えば、スラグ31)の付着状態を把握することができる。
【0041】
ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3(例えば、スラグ31)の付着状態を把握することで、耐火材32の脱落評価や炉壁21の熱負荷の大きい範囲の把握が可能となり、バーナー負荷や燃料条件などのガス化炉2Aの運転パラメータの最適化が図れる。また、ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3(例えば、スラグ31)の付着状態を把握することで、ガス化炉2Aの運転停止後に炉壁21の内部からの熱抵抗体3の厚さtsの測定を行わなくても運転停止時のメンテナンス計画の検討および作成が可能となるため、定期点検時における工程短縮が可能となる。
【0042】
図10は、本開示の一実施形態における第1関連付け情報を説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、上述したフィン温度変動範囲情報取得部13は、フィン温度データ取得部12において取得されたフィン23の温度Tsと水冷管22を流れる冷却液の温度(代表温度)Twの差分値の、上述した第1所定期間における変動範囲をフィン温度変動範囲情報ITsとして取得するように構成されている。水冷管22を流れる冷却液の温度Twは、温度センサ220により取得されてもよい。フィン温度変動範囲情報取得部13は、温度センサ220から直接冷却液の時系列温度データを取得してもよいし、温度センサ220から記憶部11に送られて、記憶部11に記憶された冷却液の時系列温度データを取得してもよい。
【0043】
第1関連付け情報AI1は、
図10に示されるような、フィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値と熱抵抗体3の厚さtsとの間の対応関係を示すものであってもよい。第1関連付け情報AI1は、フィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値を入力情報とした際に、熱抵抗体3の厚さtsを出力情報として取得できるようになっていてもよい。なお、第1関連付け情報AI1の出力情報及び熱抵抗体厚さ推定部14にて推定される熱抵抗体3の厚さtsは、
図4~
図7に示されるような、水冷管22の内面に付着した部分の厚さts
1であってもよいし、フィン23の内面に付着した部分の厚さts
2であってもよい。
【0044】
上記の構成によれば、フィン温度変動範囲情報ITsとして、フィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値を用いることで、フィン23の温度変動を熱量として表現できる。スラグ監視装置1は、フィン23の温度変動を熱量として表現したフィン温度変動範囲情報ITsを熱抵抗体3(スラグ31)の厚さtsの推定に用いることで、フィン23の温度変動をそのままフィン23の温度変化として表現したフィン温度変動範囲情報ITsを用いる場合に比べて、炉壁21の内部を流れるガスの熱流束が変動するガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3の厚さtsを精度良く推定できる。
【0045】
幾つかの実施形態では、上述した第1関連付け情報AI1は、
図10に示されるように、第1対応関係情報MC1と、第2対応関係情報MC2と、を含む。第1対応関係情報MC1は、炉壁21の内部を流れるガスの熱流束として第1熱流束を用いた熱解析により算出した熱抵抗体3の厚さts及びフィン温度変動範囲情報ITsの対応関係に関する情報である。第2対応関係情報MC2は、炉壁21の内部を流れるガスの熱流束として第1熱流束よりも大きい第2熱流束を用いた熱解析により算出した熱抵抗体3の厚さts及びフィン温度変動範囲情報ITsの対応関係に関する情報である。
【0046】
第1関連付け情報AI1は、
図10に示されるような、フィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値を横軸(第1軸)とし、熱抵抗体3の厚さtsを縦軸(第2軸)とするグラフ上に示されるマスターカーブMCであってもよい。なお、第1熱流束は、熱流束の設定下限であってもよいし、第2熱流束は、熱流束の設定上限であってもよい。第1対応関係情報MC1は、マスターカーブMCにおける下限境界ラインを含んでいてもよいし、第2対応関係情報MC2は、マスターカーブMCにおける上限境界ラインを含んでいてもよい。
【0047】
上記の構成によれば、第1関連付け情報AI1は、熱解析に用いるパラメータの一つである炉壁21の内部を流れるガスの熱流束が夫々異なる複数の対応関係情報MC1、MC2を含むので、スラグ監視装置1は、炉壁21の内部を流れるガスの熱流束の影響が反映された熱抵抗体3(スラグ31)の厚さtsを精度良く推定できる。
【0048】
(定点測定のフィンの時系列温度データの利用)
(剥離推定部)
図11は、本開示の一実施形態に係るスラグ監視装置1の構成を概略的に示す概略構成図である。
図12は、本開示の一実施形態に係る剥離推定部15及び熱抵抗体厚さ増加率算出部16を説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、
図11に示されるように、上述したスラグ監視装置1は、剥離推定部15をさらに備える。剥離推定部15は、
図12に示されるように、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4において測定されたフィン23の温度Tsの上昇率Δcが予め定められた温度上昇率SΔcを超えた場合に、炉壁21から熱抵抗体3の少なくとも一部が剥離したと推定するように構成されている。
【0049】
図示される実施形態では、剥離推定部15は、
図12に示されるような、フィン温度データ取得ステップS1(フィン温度データ取得部12)において取得された第1所定期間におけるフィン23の時系列温度データ、及び、第1所定期間における冷却液の時系列温度データから算出された、第1所定期間におけるフィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値の時系列温度データ(以下、フィン23の修正時系列温度データとする)を取得し、フィン23の温度Tsの上昇率Δcを算出する。
【0050】
フィン23の温度Tsの上昇率Δcは、フィン23の修正時系列温度データを所定時間T1毎に分割した際の各所定時間T1におけるフィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値の増加量(該所定時間T1における上記差分値の最大値と最小値の差分値、
図12参照)である。なお、フィン23の温度Tsの上昇率Δcは、所定時間T1におけるフィン23の温度Tsの増加量(該所定時間T1における最大値と最小値の差分値)であってもよい。
【0051】
上記の構成によれば、剥離推定部15は、炉壁21から熱抵抗体3が剥離するとフィン23の温度Tsが急激に上昇することを利用して、フィン23の温度Tsの上昇率Δcが予め定められた温度上昇率SΔcを超える部分において熱抵抗体3の少なくとも一部が剥離したと推定する。この場合には、スラグ監視装置1は、フィン23の時系列温度データから熱抵抗体3の剥離を推定できる。
【0052】
(熱抵抗体厚さ増加率算出部)
幾つかの実施形態では、
図11に示されるように、上述したスラグ監視装置1は、熱抵抗体厚さ増加率算出部16をさらに備える。熱抵抗体厚さ増加率算出部16は、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4において測定されたフィン23の温度Tsの低下率Δdと熱抵抗体3の厚さtsの増加率が関連付けられた第2関連付け情報AI2に基づき、フィン23の温度Tsの低下率Δdに対応する熱抵抗体3の厚さtsの増加率を算出するように構成されている。
【0053】
図示される実施形態では、熱抵抗体厚さ増加率算出部16は、
図12に示されるような、フィン温度データ取得ステップS1(フィン温度データ取得部12)において取得された第1所定期間におけるフィン23の時系列温度データ、及び、第1所定期間における冷却液の時系列温度データから算出された、第1所定期間におけるフィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値の時系列温度データ(以下、フィン23の修正時系列温度データとする)を取得し、フィン23の温度Tsの低下率Δdを算出する。
【0054】
フィン23の温度Tsの低下率Δdは、フィン23の修正時系列温度データを所定時間T1毎に分割した際の各所定時間T1におけるフィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値の減少量(該所定時間T1における上記差分値の最大値と最小値の差分値、
図12参照)である。なお、フィン23の温度Tsの低下率Δdは、所定時間T1におけるフィン23の温度Tsの減少量(該所定時間T1における最大値と最小値の差分値)であってもよい。熱抵抗体3の厚さtsの増加率は、各所定時間T1における厚さtsの増加量であってもよい。
【0055】
第2関連付け情報AI2は、フィン23の温度Tsの低下率Δdと熱抵抗体3の厚さtsの増加率との間の対応関係を示すものであり、低下率Δdを入力情報とした際に、入力情報である低下率Δdに対応する熱抵抗体3の厚さtsの増加率を出力情報として取得できるものであればよい。第2関連付け情報AI2には、上記入力情報と上記出力情報との対応関係を示すリストや表、マップ、関数、機械学習のモデルなどが含まれる。第2関連付け情報AI2は、定常試験データを基に作成してもよいし、定常試験データ以外の過去の実績値や実験値、数値解析結果などを基に作成してもよい。第2関連付け情報AI2は、記憶部11に記憶されていてもよく、熱抵抗体厚さ増加率算出部16は記憶部11に記憶された第2関連付け情報AI2を参照するように構成されていてもよい。
【0056】
上記の構成によれば、フィン23の温度Tsの低下率Δdが比較的大きい場合には、スラグ31の厚さtsの増加率が高いのに対して、フィン23の温度Tsの低下率Δdが比較的小さい場合には、スラグ31の厚さtsの増加率が低い。熱抵抗体厚さ増加率算出部16は、フィン23の温度Tsの低下率Δdと熱抵抗体3の厚さtsの増加率との間の関係を示す第2関連付け情報AI2を用いて、フィン23の温度Tsの低下率Δdに対応する熱抵抗体3の厚さの増加率を算出できる。スラグ監視装置1は、熱抵抗体厚さ増加率算出部16において算出した熱抵抗体3の厚さtsの増加率を考慮することで、ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3の厚さtsを精度良く推定できる。
【0057】
(高さ方向の多点測定のフィンの時系列温度データの利用)
幾つかの実施形態では、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4は、
図3に示されるように、第1のフィン温度測定装置4Aと、第1のフィン温度測定装置4Aに対して炉壁21の高さ方向において所定の第1計測間距離dvだけ間隔をあけて配置された第2のフィン温度測定装置4Bと、を含む。
【0058】
所定の第1計測間距離dvは、第1のフィン温度測定装置4Aの温度計測位置と、第2のフィン温度測定装置4Bの温度計測位置との間の距離である。第1のフィン温度測定装置4Aの温度計測位置は、第2のフィン温度測定装置4Bの温度計測位置よりも第1計測間距離dvだけ炉壁21の高さ方向における上方に位置する。図示される実施形態では、第1のフィン温度測定装置4Aは、複数のセンシング部41のうちの第1センシング部41Aを含み、第2のフィン温度測定装置4Bは、複数のセンシング部41のうちの、第1センシング部41Aよりも第1計測間距離dvだけ対して炉壁21の高さ方向における下方に位置する第2センシング部41Bを含む。
【0059】
図13は、本開示の一実施形態に係る剥離推定部15及び熱抵抗体流下速度算出部17を説明するための説明図である。
図13では、時間Tを横軸とし、フィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値を縦軸とするグラフが示されている。
図13のグラフの上側には、第1のフィン温度測定装置4Aの測定結果から導出されたフィン23の修正時系列温度データが示されており、
図13のグラフの下側には、第2のフィン温度測定装置4Bの測定結果から導出されたフィン23の修正時系列温度データが示されている。
【0060】
(剥離推定部)
幾つかの実施形態では、
図13に示されるように、上述した剥離推定部15は、第2所定期間T2内における第1のフィン温度測定装置4Aにおいて測定されたフィン23の温度Tsの上昇率Δc(Δc1)、及び第2所定期間T2内における第2のフィン温度測定装置4Bにおいて測定されたフィン23の温度Tsの上昇率Δc(Δc2)を考慮して、炉壁21からの熱抵抗体3の剥離状態を推定するように構成された。
【0061】
第2所定期間T2は、個々のフィン温度測定装置4による剥離の推定に用いる上述した所定時間T1と同じであってもよいし、所定時間T1よりも長くてもよい。剥離推定部15は、
図13に示されるように、第2所定期間T2内において、上述した上昇率Δc1及び上昇率Δc2の夫々が予め定められた温度上昇率SΔcを超えた場合には、第1のフィン温度測定装置4Aの温度計測位置から第2のフィン温度測定装置4Bの温度計測位置までに亘る高さ方向範囲において、熱抵抗体3の剥離が生じたと推定する。また、上述した上昇率Δc1又は上昇率Δc2の一方が予め定められた温度上昇率SΔcを超えた場合には、温度上昇率SΔcを超えた側のフィン温度測定装置4の温度計測位置近傍において熱抵抗体3の剥離が生じていると推定するとともに、温度上昇率SΔcを超えない側のフィン温度測定装置4の温度計測位置近傍において熱抵抗体3の剥離が生じていないと推定する。
【0062】
上記の構成によれば、スラグ監視装置1は、炉壁21の高さ方向において異なる複数の位置におけるフィン23の温度Tsの上昇率Δc(Δc1、Δc2)を考慮することで、熱抵抗体3が剥離した炉壁21の高さ方向範囲を推定できるため、ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3の厚さ分布(特に炉壁21の高さ方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0063】
(熱抵抗体流下速度算出部)
幾つかの実施形態では、
図11に示されるように、上述したスラグ監視装置1は、熱抵抗体流下速度算出部17をさらに備える。熱抵抗体流下速度算出部17は、第2所定期間T2内において、上述した上昇率Δc1及び上昇率Δc2の夫々が予め定められた温度上昇率SΔcを超えた場合において、熱抵抗体3の流下速度Vsを算出するように構成されている。ここで、上昇率Δc1及び上昇率Δc2の夫々が温度上昇率SΔcを超えた第2所定期間T2内における第1のフィン温度測定装置4Aにおいて測定されたフィン23の温度Ts(修正時系列温度データ)の最大値の取得時刻を第1取得時刻tp1と定義し、上昇率Δc1及び上昇率Δc2の夫々が温度上昇率SΔcを超えた第2所定期間T2内における第2のフィン温度測定装置4Bにおいて測定されたフィン23の温度Ts(修正時系列温度データ)の最大値の取得時刻を第2取得時刻tp2と定義する。熱抵抗体流下速度算出部17は、第2取得時刻tp2と第1取得時刻tp1の時間差tp2-tp1、及び第1計測間距離dvから、熱抵抗体3の流下速度Vsを算出する。具体的には、流下速度Vsは、以下の式(1)により算出される。
Vs=dv/(tp2-tp1) ・・・式(1)
【0064】
熱抵抗体流下速度算出部17において流下速度Vsが算出される場合には、温度変動の低下開始点(ピーク値)が、炉壁21の高さ方向における上方から下方に連動していることから、スラグ監視装置1は、比較的厚い層のスラグ31(熱抵抗体3)が流下している状況であると判定できる。
【0065】
上記の構成によれば、熱抵抗体流下速度算出部17により熱抵抗体3の流下速度Vsを算出することができる。スラグ監視装置1は、熱抵抗体3の流下速度Vsを考慮することで、ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3の厚さ分布(特に炉壁21の高さ方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0066】
(スラグ生成挙動評価部)
幾つかの実施形態では、
図11に示されるように、上述したスラグ監視装置1は、スラグ生成挙動評価部18をさらに備える。スラグ生成挙動評価部18は、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4において測定されたフィン23の温度Ts(修正時系列温度データ)の低下率Δd、及び熱抵抗体流下速度算出部17が算出した熱抵抗体3の流下速度Vsに基づいて、スラグ31の生成挙動を評価するように構成されている。
【0067】
図14は、本開示の一実施形態に係るスラグ生成挙動評価部18を説明するための説明図である。
図14に示される実施形態では、熱抵抗体流下速度算出部17は、スラグ31の生成挙動を第1パターンD1、第2パターンD2、第3パターンD3及び第4パターンの4つのパターンに区分して評価する。
【0068】
(第1パターン)
熱抵抗体流下速度算出部17は、低下率Δdが低下率の境界値BΔdよりも大きく、流下速度Vsが流下速度の境界値BVsよりも大きい場合には、第1パターンD1に属すると判断する。この場合において、熱抵抗体流下速度算出部17は、炉壁21の内部のガス流動が比較的大きく、炉壁21の高さ方向範囲におけるスラグ31の付着量が比較的大きいと評価する。
【0069】
(第2パターン)
熱抵抗体流下速度算出部17は、低下率Δdが低下率の境界値BΔdよりも大きく、流下速度Vsが流下速度の境界値BVsよりも小さい場合には、第2パターンD2に属すると判断する。この場合において、熱抵抗体流下速度算出部17は、炉壁21の内部のガス流動が第1パターンD1に属する場合に比べて小さく、炉壁21の高さ方向における上方において付着した厚いスラグ31の層が下方に流下していると評価する。
【0070】
(第3パターン)
熱抵抗体流下速度算出部17は、低下率Δdが低下率の境界値BΔdよりも小さく、流下速度Vsが流下速度の境界値BVsよりも大きい場合には、第3パターンD3に属すると判断する。この場合において、熱抵抗体流下速度算出部17は、炉壁21の内部のガス流動が第2パターンD2に属する場合に比べて小さく、炉壁21の高さ方向範囲においてスラグ31の厚さtsが徐々に増加していると評価する。
【0071】
(第4パターン)
熱抵抗体流下速度算出部17は、低下率Δdが低下率の境界値BΔdよりも小さく、流下速度Vsが流下速度の境界値BVsよりも小さい場合には、第4パターンD4に属すると判断する。この場合において、熱抵抗体流下速度算出部17は、炉壁21の内部のガス流動が第3パターンD3に属する場合に比べて小さく、炉壁21の高さ方向範囲においてスラグ31の付着量が少なく、スラグ31の流動も小さいと評価する。
【0072】
上記の構成によれば、スラグ生成挙動評価部18において、フィン23の温度Tsの低下率Δd及び熱抵抗体3の流下速度Vsを用いて、スラグ31の生成挙動を分類でき、スラグ31の生成挙動を評価できる。スラグ監視装置1は、上記スラグの生成挙動の評価を考慮することで、ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3の厚さ分布(特に炉壁21の高さ方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0073】
(周方向の多点測定のフィンの時系列温度データの利用)
幾つかの実施形態では、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4は、
図3に示されるように、第3のフィン温度測定装置4Cと、第3のフィン温度測定装置4Cに対して炉壁21の周方向において所定の第2計測間距離dhだけ間隔をあけて配置された第4のフィン温度測定装置4Dと、を含む。
【0074】
所定の第2計測間距離dhは、第3のフィン温度測定装置4Cの温度計測位置と、第4のフィン温度測定装置4Dの温度計測位置との間の距離である。第3のフィン温度測定装置4Cの温度計測位置は、第4のフィン温度測定装置4Dの温度計測位置よりも第2計測間距離dhだけ炉壁21の周方向における一方側に位置する。図示される実施形態では、第3のフィン温度測定装置4Cは、複数のセンシング部41のうちの第3センシング部41Cを含み、第4のフィン温度測定装置4Dは、複数のセンシング部41のうちの、第3センシング部41Cよりも第2計測間距離dhだけ炉壁21の周方向における他方側に位置する第4センシング部41Dを含む。なお、
図3に示されるように、第3センシング部41C(第3のフィン温度測定装置4C)は、第1センシング部41A(第1のフィン温度測定装置4A)と同一であってもよいし、第1センシング部41A(第1のフィン温度測定装置4A)とは異なるものであってもよい。
【0075】
図15は、本開示の一実施形態に係る剥離推定部15及びガス周方向流速算出部19を説明するための説明図である。
図15では、時間Tを横軸とし、フィン23の温度Tsと冷却液の温度Twの差分値を縦軸とするグラフが示されている。
図15のグラフの上側には、第3のフィン温度測定装置4Cの測定結果から導出されたフィン23の修正時系列温度データが示されており、
図15のグラフの下側には、第4のフィン温度測定装置4Dの測定結果から導出されたフィン23の修正時系列温度データが示されている。
【0076】
(剥離推定部)
幾つかの実施形態では、
図15に示されるように、上述した剥離推定部15は、第3所定期間T3内における第3のフィン温度測定装置4Cにおいて測定されたフィン23の温度Tsの上昇率Δc(Δc3)、及び第3所定期間T3内における第4のフィン温度測定装置4Dにおいて測定されたフィン23の温度Tsの上昇率Δc(Δc4)を考慮して、炉壁21からの熱抵抗体3の剥離状態を推定するように構成された。
【0077】
第3所定期間T3は、個々のフィン温度測定装置4による剥離の推定に用いる上述した所定時間T1と同じであってもよいし、所定時間T1よりも長くてもよい。剥離推定部15は、
図15に示されるように、第3所定期間T3内において、上述した上昇率Δc3及び上昇率Δc4の夫々が予め定められた温度上昇率SΔcを超えた場合には、第3のフィン温度測定装置4Cの温度計測位置から第4のフィン温度測定装置4Dの温度計測位置までに亘る周方向範囲において、熱抵抗体3の剥離が生じたと推定する。また、上述した上昇率Δc3又は上昇率Δc4の一方が予め定められた温度上昇率SΔcを超えた場合には、温度上昇率SΔcを超えた側のフィン温度測定装置4の温度計測位置近傍において熱抵抗体3の剥離が生じていると推定するとともに、温度上昇率SΔcを超えない側のフィン温度測定装置4の温度計測位置近傍において熱抵抗体3の剥離が生じていないと推定する。
【0078】
上記の構成によれば、スラグ監視装置1は、炉壁21の周方向において異なる複数の位置におけるフィン23の温度Tsの上昇率Δc(Δc3、Δc4)を考慮することで、各周方向位置におけるフィン23の温度Tsの上昇が熱抵抗体3の剥離によるものか否かを判別でき、熱抵抗体3が剥離した炉壁21の周方向範囲を推定できる。このため、スラグ監視装置1は、ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3の厚さ分布(特に炉壁21の周方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0079】
(周方向流速算出部)
幾つかの実施形態では、
図11に示されるように、上述したスラグ監視装置1は、ガス周方向流速算出部19をさらに備える。ガス周方向流速算出部19は、第3所定期間T3内において、第3のフィン温度測定装置4Cにおいて測定されたフィン23の温度Ts(修正時系列温度データ)の変化率(上昇率Δc3又は低下率Δd3)及び第4のフィン温度測定装置4Dにおいて測定されたフィン23の温度Ts(修正時系列温度データ)の変化率(上昇率Δc4又は低下率Δd4)が予め定められた温度変化率(設定上昇率SΔc又は設定低下率SΔd)を超えた場合において、炉壁21の内部を流れるガスの周方向流速Vhを算出するように構成されている。すなわち、ガス周方向流速算出部19は、上述した上昇率Δc3及び上昇率Δc4の夫々が設定上昇率SΔcを超えた場合、及び、上述した低下率Δd3及び低下率Δd4の夫々が設定低下率SΔdを超えた場合は、周方向の複数の測定位置において温度変動が連動しているため、炉壁21の内部を流れるガスの流動に伴う温度上昇と判定し、周方向流速Vhを算出するように構成されている。
【0080】
ここで、上昇率Δc3及び上昇率Δc4の夫々が温度上昇率SΔcを超えた第3所定期間T3内における第3のフィン温度測定装置4Cにおいて測定されたフィン23の温度Ts(修正時系列温度データ)の最大値の取得時刻を第3取得時刻tp3と定義し、上昇率Δc3及び上昇率Δc4の夫々が温度上昇率SΔcを超えた第3所定期間T3内における第4のフィン温度測定装置4Dにおいて測定されたフィン23の温度Ts(修正時系列温度データ)の最大値の取得時刻を第4取得時刻tp4と定義する。周方向流速Vhは、ガス周方向流速算出部19は、第4取得時刻tp4と第3取得時刻tp3の時間差tp4-tp3、及び第2計測間距離dhから、周方向流速Vhを算出する。具体的には、周方向流速Vhは、以下の式(2)により算出される。
Vh=dh/(tp4-tp3) ・・・式(2)
【0081】
上記の構成によれば、炉壁21の内部を流れるガスの周方向流速Vhが比較的大きい場合には、スラグ31の厚さtsの増加率が高いのに対して、上記ガスの周方向流速Vhが比較的小さい場合には、スラグ31の厚さtsの増加率が低い。ガス周方向流速算出部19は、上記ガスの周方向流速Vhを算出できる。スラグ監視装置1は、ガス周方向流速算出部19において算出したガスの周方向流速Vhを考慮することで、ガス化炉2Aの運転中における熱抵抗体3の厚さ分布(特に炉壁21の周方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0082】
なお、スラグ監視装置1は、複数の連続する第3所定期間T3における、第3のフィン温度測定装置4Cにおいて測定されたフィン23の温度Ts(修正時系列温度データ)と、第4のフィン温度測定装置4Dにおいて測定されたフィン23の温度Ts(修正時系列温度データ)との間の温度変動の傾向を評価し、上記温度変動の傾向が同じであると評価した場合には、上記温度変動は、ガス化炉2Aの運転負荷による傾向が表れていると判定するように構成されていてもよい。また、スラグ監視装置1は、上記温度変動の傾向が異なると評価した場合には、炉壁21の周方向において熱抵抗体3の厚さや炉壁21内の熱負荷に偏りが生じると判定するように構成されていてもよい。
【0083】
上述したアニュラス部26は、ガス化炉2A(炉外壁25)の外側よりも高温高圧雰囲気となるため、スラグ監視装置1は、ガス化炉2A(炉外壁25)の外側に配置される。スラグ監視装置1に接続される温度計測装置(例えば、フィン温度測定装置4)は、スラグ監視装置1に接続されるケーブル(例えば、光ファイバケーブル42)を挿通させる貫通孔を炉外壁25に形成し、炉外壁25に形成された貫通孔と上記ケーブルとの間をシールするシール構造を設ける必要がある。ここで、炉外壁25に形成できる上記貫通孔の数に制約があり、温度計測装置による計測点数が限られるという問題がある。
【0084】
上述したように、フィン温度測定装置4として光ファイバセンサ40を採用することで、多点(複数のセンシング部41)における温度計測が可能となる。光ファイバセンサ40は、炉壁21の高さ方向における複数箇所(例えば、10点以上)の温度を測定でき、且つ炉壁21の周方向における複数箇所(例えば、10点以上)の温度を測定できる。これに対して、超音波センサ50(熱抵抗体厚さ測定装置5)は、上述した貫通孔の数の制約により、
図3に示されるように、炉壁21の周方向における1箇所において、炉壁21の高さ方向の多数箇所を計測することが好ましい。
【0085】
(熱抵抗体厚さ測定装置)
幾つかの実施形態に係るスラグ監視装置1は、
図2に示されるように、少なくとも1つの熱抵抗体厚さ測定装置5に接続され、少なくとも1つの熱抵抗体厚さ測定装置5において測定された熱抵抗体3の厚さtsを取得可能に構成されている。上述した少なくとも1つの熱抵抗体厚さ測定装置5は、炉壁21の外側であるアニュラス部26に設けられて、炉壁21に形成された貫通孔を介して炉壁21の内面211に取り付けられた熱抵抗体3の厚さtsを測定するように構成されている。
【0086】
図示される実施形態では、上述した少なくとも1つの熱抵抗体厚さ測定装置5は、超音波探傷により熱抵抗体3の厚さtsを測定可能な超音波センサ50であって、超音波を発振可能な超音波探触子及び反射した超音波を受信する受信機を含む超音波センサ50からなる。超音波センサ50は、超音波探触子から発信した超音波を熱抵抗体3中に伝搬させ、その超音波の反射の受信状態により熱抵抗体3の厚さtsを測定するようになっている。なお、熱抵抗体厚さ測定装置5は、熱抵抗体3の厚さtsを測定するように構成されていればよく、超音波センサ50に限定されるものではない。
【0087】
図16は、本開示の一実施形態に係るスラグ監視装置1の構成を概略的に示す概略構成図である。
図17は、本開示の一実施形態に係るスラグ監視方法100のフロー図である。幾つかの実施形態では、スラグ監視方法100は、
図17に示されるように、熱抵抗体厚さ取得ステップS11と、対応フィン温度変動範囲情報取得ステップS12と、第1関連付け情報補正ステップS13と、をさらに備える。
【0088】
スラグ監視装置1は、
図16に示されるように、熱抵抗体厚さ取得部61と、対応フィン温度変動範囲情報取得部62と、第1関連付け情報補正部63と、をさらに備える。図示される実施形態では、
図16に示されるように、スラグ監視システム10は、スラグ監視装置1に接続された少なくとも1つの熱抵抗体厚さ測定装置5をさらに備える。
【0089】
(熱抵抗体厚さ取得ステップ、熱抵抗体厚さ取得部)
熱抵抗体厚さ取得ステップS11では、上述した少なくとも1つの熱抵抗体厚さ測定装置5において測定された上述した第1所定期間における熱抵抗体3の厚さtsの測定値Mtsを取得することが行われる。熱抵抗体厚さ取得ステップS11は、熱抵抗体厚さ取得部61により行われてもよい。熱抵抗体厚さ取得部61は、上述した少なくとも1つの熱抵抗体厚さ測定装置5において測定された上述した第1所定期間における熱抵抗体3の厚さtsの測定値Mtsを取得するように構成されている。なお、熱抵抗体厚さ取得部61は、測定値Mtsとして、第1所定期間における任意の時点における測定値Mtsではなく、第1所定期間において測定した複数の測定値Mtsの平均値を取得することが好ましい。
【0090】
(対応フィン温度変動範囲情報取得ステップ、対応フィン温度変動範囲情報取得部)
対応フィン温度変動範囲情報取得ステップS12では、熱抵抗体厚さ取得ステップS11(熱抵抗体厚さ取得部61)において取得された熱抵抗体3の厚さtsの測定値Mtsから、第1関連付け情報AI1に基づいて測定値Mtsに対応するフィン温度変動範囲情報ITsである対応フィン温度変動範囲情報CITsを取得することが行われる。対応フィン温度変動範囲情報取得ステップS12は、対応フィン温度変動範囲情報取得部62により行われてもよい。対応フィン温度変動範囲情報取得部62は、熱抵抗体厚さ取得ステップS11(熱抵抗体厚さ取得部61)において取得された測定値Mtsから、第1関連付け情報AI1に基づいて対応フィン温度変動範囲情報CITsを取得するように構成されている。
【0091】
第1関連付け情報AI1は、フィン温度変動範囲情報ITsと熱抵抗体3の厚さtsとの間の対応関係を示すものであり、熱抵抗体3の厚さtsを入力情報として、入力情報である熱抵抗体3の厚さtsに対応するフィン温度変動範囲情報ITs(対応フィン温度変動範囲情報CITs)を出力情報として取得できるものである。対応フィン温度変動範囲情報取得部62は、対応フィン温度変動範囲情報CITsを取得する際に記憶部11に記憶された第1関連付け情報AI1を参照してもよい。
【0092】
(第1関連付け情報補正ステップ、第1関連付け情報補正部)
第1関連付け情報補正ステップS13では、対応フィン温度変動範囲情報取得ステップS12(対応フィン温度変動範囲情報取得部62)において取得された対応フィン温度変動範囲情報CITs、及びフィン温度変動範囲情報取得部13が取得したフィン温度変動範囲情報ITsに基づいて、対応フィン温度変動範囲情報CITsとフィン温度変動範囲情報ITsとの差分を小さくするように、第1関連付け情報AI1を補正することが行われる。第1関連付け情報補正ステップS13は、第1関連付け情報補正部63により行われてもよい。第1関連付け情報補正部63は、対応フィン温度変動範囲情報取得ステップS12(対応フィン温度変動範囲情報取得部62)において取得された対応フィン温度変動範囲情報CITs、及びフィン温度変動範囲情報取得部13が取得したフィン温度変動範囲情報ITsに基づいて、対応フィン温度変動範囲情報CITsとフィン温度変動範囲情報ITsとの差分を小さくするように、第1関連付け情報AI1を補正するように構成されている。
【0093】
図18は、本開示の一実施形態に係る対応フィン温度変動範囲情報取得部62及び誤差範囲導出部64を説明するための説明図である。
図19は、本開示の一実施形態に係る第1関連付け情報補正部63を説明するための説明図である。
図18及び
図19に示されるように、第1関連付け情報補正部63では、比較対象である対応フィン温度変動範囲情報CITsとフィン温度変動範囲情報ITsとの差分がある場合に、この差分を小さくするように、対応フィン温度変動範囲情報CITsをフィン温度変動範囲情報ITsに近付けることが行われる。
図18及び
図19に示されるように、第1関連付け情報AI1がグラフ上に示される上述したマスターカーブMCである場合には、横軸(第1軸)方向においてフィン温度変動範囲情報ITsに向かってマスターカーブMCをずらすことが行われる。
図19におけるCMCは、第1関連付け情報AI1を補正後のマスターカーブであり、補正後の下限境界ライン(第1対応関係情報CMC1)と、補正後の上限境界ライン(第2対応関係情報CMC2)と、を含む。
【0094】
図示される実施形態では、第1関連付け情報補正部63は、比較対象である対応フィン温度変動範囲情報CITsの平均値とフィン温度変動範囲情報ITsの平均値との差分を小さくするように、第1関連付け情報AI1を補正するようになっている。なお、第1関連付け情報補正部63は、比較対象である対応フィン温度変動範囲情報CITsとフィン温度変動範囲情報ITsの中間値同士の差分、最頻値同士の差分、最大値同士の差分又は最小値同士の差分の何れかを小さくするように、第1関連付け情報AI1を補正してもよい。
【0095】
第1関連付け情報補正部63における比較対象の一方である対応フィン温度変動範囲情報CITsを導出するための熱抵抗体厚さ測定装置5は、複数の熱抵抗体厚さ測定装置5のうち、代表する一つの熱抵抗体厚さ測定装置(代表熱抵抗体厚さ測定装置)5であってもよい。また、第1関連付け情報補正部63における比較対象の他方であるフィン温度変動範囲情報ITsを導出するためのフィン温度測定装置4は、複数のフィン温度測定装置4のうち、代表する一つのフィン温度測定装置(代表フィン温度測定装置)4であってもよい。代表フィン温度測定装置4の測定位置と熱抵抗体厚さ測定装置5の測定位置はできる限り近いことが好ましい。
図2に示されるように、1つの水冷管22を挟むように配置され、該1つの水冷管22に一端が接続される2つのフィン23のうち、一方のフィン23に代表フィン温度測定装置4の測定位置を設け、他方のフィン23に代表熱抵抗体厚さ測定装置5の測定位置を設けても良い。また、
図3に示されるように、代表フィン温度測定装置4の測定位置から、第1計測間距離dv及び第2計測間距離dhよりも近くに代表熱抵抗体厚さ測定装置5の測定位置を設けても良い。
【0096】
上記の構成によれば、スラグ監視装置1は、熱抵抗体厚さ測定装置5において測定された熱抵抗体3の厚さtsの測定値Mtsから対応フィン温度変動範囲情報CITsを導出できる。この対応フィン温度変動範囲情報CITsを用いることで、第1関連付け情報AI1を補正できる。補正された第1関連付け情報AI1は、熱抵抗体厚さ測定装置5において測定された熱抵抗体3の厚さtsの測定値Mtsが反映されているので、補正された第1関連付け情報AI1を用いることで、熱抵抗体3の厚さtsをより精度良く推定できる。
【0097】
幾つかの実施形態では、スラグ監視方法100は、
図17に示されるように、誤差範囲導出ステップS14をさらに備える。スラグ監視装置1は、
図16に示されるように、誤差範囲導出部64をさらに備える。上述した第1関連付け情報補正ステップS13(第1関連付け情報補正部63)では、比較対象の1つであるフィン温度変動範囲情報ITsが、誤差範囲導出ステップS14(誤差範囲導出部64)において導出された上限範囲UR又は下限範囲LRを逸脱した場合に、第1関連付け情報AI1を補正するようになっている。
【0098】
誤差範囲導出部64は、対応フィン温度変動範囲情報CITs及び予め設定された設定誤差を用いて、上限範囲UR及び下限範囲LRを取得する(ステップS14)。
【0099】
上限範囲URは、熱抵抗体3の厚さtsの測定値Mtsに設定誤差の厚さを加えた上限厚さtsuから、第1関連付け情報AI1に基づいて導出される。上限範囲URは、
図17に示されるように、上限範囲URの平均値Tuaveと、上限範囲URの最大値と最小値の差分値である変動幅ΔTuを取得可能な情報である。
【0100】
下限範囲LRは、熱抵抗体3の厚さtsの測定値Mtsから設定誤差の厚さを引いた下厚さtslから、第1関連付け情報AI1に基づいて導出される。下限範囲LRは、
図17に示されるように、下限範囲LRの平均値Tlaveと、下限範囲LRの最大値と最小値の差分値である変動幅ΔTlを取得可能な情報である。
【0101】
フィン温度変動範囲情報ITsが、上限範囲UR又は下限範囲LRを逸脱するか否かの判定は、
図17に示されるように、各々の平均値を比較してもよい(ステップS15)。フィン温度変動範囲情報ITsから導出されるフィン23の温度Tsの平均値Tsaveが、下限範囲LRの平均値Tlave以下であり、且つ上限範囲URの平均値Tuave以上である場合には、フィン温度変動範囲情報ITsが上限範囲UR又は下限範囲LRを逸脱していないと判定し(ステップS15で「YES」)、第1関連付け情報補正ステップS13が行われない。
【0102】
フィン23の温度Tsの平均値Tsaveが、下限範囲LRの平均値Tlaveを上回る、又は上限範囲URの平均値Tuaveを下回る場合には、フィン温度変動範囲情報ITsが上限範囲UR又は下限範囲LRを逸脱していると判定し(ステップS15で「NO」)、第1関連付け情報補正ステップS13が行われる。なお、フィン温度変動範囲情報ITsが、上限範囲UR又は下限範囲LRを逸脱するか否かの判定は、フィン温度変動範囲情報ITsから導出される他のパラメータ(例えば、変動幅)を比較してもよい。
【0103】
上記の構成によれば、熱抵抗体厚さ取得部61において取得された熱抵抗体3の厚さtsの測定値Mtsには、測定誤差が生じることがあり、対応フィン温度変動範囲情報CITsにも誤差が生じることがある。対応フィン温度変動範囲情報CITsに対して誤差の上限範囲UR及び下限範囲LRを設け、上限範囲UR又は下限範囲LRを逸脱しない場合には、第1関連付け情報AI1を補正しないようにすることで、上述した誤差による第1関連付け情報AI1の不必要な補正を抑制できる。
【0104】
図20は、本開示の一実施形態に係る炉壁21の概略図である。
図20に示されるように、水冷管22の高さ方向の上端部を管頂部221とする。この管頂部221は、炉壁21の内部を流れるガスの流動の影響を強く受けるので、熱変動による熱疲労が問題となる。管頂部221の熱変動に伴う疲労寿命評価を目的に、炉壁21に穿孔して熱電対を挿入するコーダル方式による温度計測が適用されることがある。しかしながら、上記コーダル方式は、穿孔や開口部の養生などの手間を要するので、施工の手間とコストが大きいという問題がある。
【0105】
図21は、本開示の一実施形態に係る余寿命評価装置8の構成を概略的に示す概略構成図である。
図22は、本開示の一実施形態に係る余寿命評価方法200のフロー図である。
図23は、本開示の一実施形態に係る寿命評価値の導出方法を説明するための説明図である。
図24は、本開示の一実施形態に係るフィン23の温度と管頂部221の温度の間の相関係数Rtを説明するための説明図である。
図25は、本開示の一実施形態に係る水冷管22の管頂部221の寿命を評価するための寿命評価値の導出方法を説明するための説明図である。本開示の幾つかの実施形態に係る余寿命評価装置8及び余寿命評価方法200の夫々は、
図20に示されるような、上述したガス化炉2Aの炉壁21における水冷管22の管頂部221の余寿命を評価するためのものである。なお、以下の実施形態では、火炉2が炭素含有固体燃料のガス化を行うように構成されたガス化炉2Aである場合について説明するが、本開示は火炉2がガス化炉2A以外の場合にも適用可能である。
【0106】
(フィン温度測定装置)
幾つかの実施形態に係る余寿命評価装置8は、
図20に示されるように、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4に接続され、少なくとも1つのフィン温度測定装置4において測定されたフィン23の温度Tsを取得可能に構成されている。
【0107】
上述したように、フィン温度測定装置4として光ファイバセンサ40を採用することで、多点(複数のセンシング部41)における温度計測が可能となる。光ファイバセンサ40は、炉壁21の高さ方向における複数箇所(例えば、10点以上)の温度を測定でき、且つ炉壁21の周方向における複数箇所(例えば、10点以上)の温度を測定できる。これに対して、コーダル熱電対71(管頂部温度測定装置7)は、上述した施工の手間やコストの問題から、
図20に示されるような、少なくとも1つの代表により計測することが好ましい。
【0108】
(管頂部温度測定装置)
幾つかの実施形態に係る余寿命評価装置8は、
図20に示されるように、少なくとも1つの管頂部温度測定装置7に接続され、少なくとも1つの管頂部温度測定装置7において測定された管頂部221の温度Ttを取得可能に構成されている。上述した少なくとも1つの管頂部温度測定装置7は、水冷管22に形成された穿孔222に埋め込まれ、管頂部221の温度Ttを測定するように構成されている。図示される実施形態では、管頂部温度測定装置7は、コーダル方式を用いるコーダル熱電対71からなる。なお、管頂部温度測定装置7は、管頂部221の温度Ttを測定するように構成されていればよく、コーダル熱電対71に限定されるものではない。
【0109】
(余寿命評価方法、余寿命評価装置)
幾つかの実施形態に係る余寿命評価方法200は、
図22に示されるように、フィン温度データ取得ステップS21と、第1寿命評価値導出ステップS22と、第2寿命評価値導出ステップS23と、第2対応カウント数導出ステップS24と、余寿命評価ステップS25と、を備える。幾つかの実施形態に係る余寿命評価装置8は、
図21に示されるように、フィン温度データ取得ステップS21を行うフィン温度データ取得部81と、第1寿命評価値導出ステップS22を行う第1寿命評価値導出部82と、第2寿命評価値導出ステップS23を行う第2寿命評価値導出部83と、第2対応カウント数導出ステップS24を行う第2対応カウント数導出部84と、余寿命評価ステップS25を行う余寿命評価部85と、を備える。余寿命評価システム80は、上述した余寿命評価装置8と、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4と、上述した少なくとも1つの管頂部温度測定装置7と、を備える。なお、余寿命評価方法200における幾つかのステップは、余寿命評価装置8等の余寿命評価システム80が備える装置や機器により行われてもよいし、余寿命評価システム80以外の装置や機器により行われてもよい。また、余寿命評価方法200における幾つかのステップを手動により行うようにしてもよい。
【0110】
フィン温度データ取得部81は、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置4において測定されたフィン23の時系列温度データを取得するように構成されている。第1寿命評価値導出部82は、フィン23の時系列温度データを用いて、フィン23における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第1振幅A1、及び、フィン23における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第1カウント数C1を含む第1寿命評価値LR1を導出するように構成されている。図示される実施形態では、第1寿命評価値導出部82は、
図23に示されるような、レインフローカウントを用いて第1寿命評価値LR1(第1振幅A1及び第1カウント数C1)を導出する。
【0111】
第2寿命評価値導出部83は、管頂部221における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第2振幅A2と第1振幅A1との間の振幅比CRに基づいて、第1寿命評価値LR1に対応する第2寿命評価値LR2であって、第2振幅A2、及び、管頂部221における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第2カウント数C2を含む第2寿命評価値LR2を導出するように構成されている。振幅比CRは、第2振幅A2を第1振幅A1で割ることで求められる。
【0112】
振幅比CRは、
図25に示されるような、横軸を振幅Aとし、縦軸をカウント数Cとするグラフにおいて、上述した第1寿命評価値LR1のプロットを直線近似した直線近似線SL3と、上述した第2寿命評価値LR2のプロットを直線近似した直線近似線SL4との比から算出してもよい。すなわち、振幅比CRは、直線近似線SL4を直線近似線SL3で割ることによっても求められる。
【0113】
第2寿命評価値導出部83において求められる第2カウント数C2は、第1カウント数C1の頻度に相当するものであるため、第2対応カウント数導出部84において第2カウント数C2に適切な頻度に調整する必要がある。第2対応カウント数導出部84は、フィン23におけるクリティカル温度である第1クリティカル温度CT1を超える温度変動の発生回数である第1クリティカルカウント数CC1と、管頂部221におけるクリティカル温度である第2クリティカル温度CT2を超える温度変動の発生回数である第2クリティカルカウント数CC2と、の比であるクリティカルカウント比CCRに基づいて、前記第1カウント数C1に対応する第2カウント数C2である対応第2カウント数RC2を導出するように構成されている。
【0114】
第1クリティカルカウント数CC1は、
図25に示されるグラフにおいて、第1寿命評価値LR1の第1クリティカル温度CT1よりも振幅が大きいプロットの数で表される。また、第2クリティカルカウント数CC2は、
図25に示されるグラフにおいて、第2寿命評価値LR2の第2クリティカル温度CT2よりも振幅が大きいプロットの数で表される。
【0115】
余寿命評価部85は、管頂部221の疲労寿命を評価するための指標となる第2振幅A2及び対応第2カウント数RC2を用いて、管頂部221の余寿命を評価するように構成されている。余寿命評価部85は、累積疲労損傷則などの公知の余寿命評価方法を用いて、管頂部221の余寿命を評価するようになっている。
【0116】
上記の構成(方法)によれば、余寿命評価装置8及び余寿命評価方法200の夫々は、フィン温度測定装置4において測定されたフィン23の温度Ts(時系列温度データ)から、第1振幅A1及び第1カウント数C1を含む第1寿命評価値LR1を取得でき、第1寿命評価値LR1を用いて、第2振幅A2及び対応第2カウント数RC2を取得できる。第2振幅A2及び対応第2カウント数RC2を用いることで、管頂部221の余寿命を評価できる。管頂部221の温度を測定可能な管頂部温度測定装置7を複数設置し、複数の管頂部温度測定装置7により測定した管頂部221の温度Ttから第2振幅A2及び対応第2カウント数RC2を導出することが考えられるが、管頂部温度測定装置7の設置は、フィン温度測定装置4の設置に比べて、設置作業の手間やコストが大きい。よって、上記の構成(方法)によれば、余寿命評価装置8及び余寿命評価方法200の夫々は、フィン温度測定装置4の設置作業の手間やコストが小さいため、経済性に優れる。
【0117】
幾つかの実施形態では、
図22に示されるように、余寿命評価装置8及び余寿命評価方法200の夫々は、上述した少なくとも1つの管頂部温度測定装置7において測定された管頂部221の温度Ttを用いて、フィン23の温度Tsと管頂部221の温度Ttの間の相関係数Rt、及び、クリティカルカウント比CCRを導出するようになっている。なお、他の幾つかの実施形態では、余寿命評価装置8は、予め設定された相関係数Rtやクリティカルカウント比CCRを、管頂部221の疲労寿命を評価するための指標となる第2振幅A2及び対応第2カウント数RC2を導出する際に参照してもよい。
【0118】
幾つかの実施形態では、
図22に示されるように、上述した余寿命評価方法200は、代表の管頂部温度測定装置7において測定された管頂部221の時系列温度データを取得する管頂部温度データ取得ステップS31と、代表のフィン温度測定装置4において測定されたフィン23の時系列温度データを取得するフィン温度データ取得ステップS32と、相関係数導出ステップS33と、代表第1寿命評価値導出ステップS34と、代表第2寿命評価値導出ステップS35と、振幅比導出ステップS36と、をさらに備える。
【0119】
幾つかの実施形態では、
図21に示されるように、上述した余寿命評価装置8は、管頂部温度データ取得ステップS31を行う管頂部温度データ取得部91と、相関係数導出ステップS33を行う相関係数導出部92と、代表第1寿命評価値導出ステップS34、代表第2寿命評価値導出ステップS35及び振幅比導出ステップS36を行う振幅比導出部101と、を備える。なお、フィン温度データ取得ステップS32は、フィン温度データ取得部81が行うようになっていてもよい。
【0120】
管頂部温度データ取得部91は、管頂部221の温度Ttを測定するように構成された少なくとも1つの管頂部温度測定装置(代表の管頂部温度測定装置)7、において測定された管頂部221の時系列温度データ(代表管頂部温度データ)を取得するように構成されている。フィン温度データ取得部81は、フィン温度データ取得部81は、上述した少なくとも1つのフィン温度測定装置(代表のフィン温度測定装置)4において測定されたフィン23の時系列温度データ(代表フィン温度データ)を取得するように構成されている。
【0121】
相関係数導出部92は、フィン温度データ取得部81において取得したフィン23の時系列温度データ(代表フィン温度データ)及び管頂部温度データ取得部91において取得した管頂部221の時系列温度データ(代表管頂部温度データ)を用いて、フィン23の温度Tsと管頂部221の温度Ttの間の相関係数Rtを導出するように構成されている。図示される実施形態では、
図24に示されるように、代表フィン温度データと冷却液の温度(代表温度)Twの差分値を横軸とし、代表管頂部温度データと冷却液の温度(代表温度)Twの差分値を縦軸とするグラフ上に、代表フィン温度データと代表管頂部温度データの関係を示す直線近似線SL2を引くことができる。この直線近似線SL2を相関係数Rtとして用いてもよい。なお、
図24に示される直線近似線SL1は、解析上のスラグ分布モデルから導出したものであるが、直線近似線SL2に比べて、傾きが緩やかになっている。管頂部221に付着したスラグ31の厚さがフィン23に付着したスラグ31の厚さに比べて、少なくなるにつれて、直線近似線SL2の傾きが大きくなる傾向がある。
【0122】
幾つかの実施形態では、
図22に示されるように、上述した余寿命評価方法200は、予め設定された第2クリティカル温度CT2を取得する第2クリティカル温度取得ステップS41と、第2クリティカルカウント数導出ステップS42と、第1クリティカル温度算出ステップS43と、第1クリティカルカウント数導出ステップS44と、クリティカルカウント比導出ステップS45と、を備える。
【0123】
振幅比導出部101は、レインフローカウントを用いて、代表フィン温度データから代表第1寿命評価値LR1(第1振幅A1及び第1カウント数C1)を導出する。代表管頂部温度データから代表第2寿命評価値LR2(第2振幅A2及び第2カウント数C2)を導出する。導出した第1振幅A1及び第2振幅A2から振幅比CRを導出する。
【0124】
幾つかの実施形態では、
図21に示されるように、上述した余寿命評価装置8は、第2クリティカル温度取得ステップS41及び第1クリティカル温度算出ステップS43を行う第1クリティカル温度算出部93を備える。第1クリティカル温度算出部93は、予め設定された第2クリティカル温度CT2を取得し、この取得した第2クリティカル温度CT2及び相関係数導出部92において導出された相関係数Rtを用いて、第1クリティカル温度CT1を算出するように構成されている。
【0125】
幾つかの実施形態では、
図21に示されるように、上述した余寿命評価装置8は、第1クリティカルカウント数導出ステップS44を行う第1クリティカルカウント数導出部94と、第2クリティカルカウント数導出ステップS42を行う第2クリティカルカウント数導出部95と、クリティカルカウント比導出ステップS45を行うクリティカルカウント比導出部96と、をさらに備える。第1クリティカルカウント数導出部94は、代表フィン温度データ及び第1クリティカル温度算出部93が算出した第1クリティカル温度CT1を用いて、第1クリティカルカウント数CC1を導出する。第2クリティカルカウント数導出部95は、代表管頂部温度データ及び予め設定された第2クリティカル温度CT2を用いて、第2クリティカルカウント数CC2を導出する。クリティカルカウント比導出部96は、第1クリティカルカウント数導出部94において導出された第1クリティカルカウント数CC1、及び、第2クリティカルカウント数導出部95において導出された第2クリティカルカウント数CC2を用いて、クリティカルカウント比CCRを導出する。クリティカルカウント比CCRは、第2クリティカルカウント数CC2を第1クリティカルカウント数CC1で割ることで求められる。
【0126】
上記の構成によれば、余寿命評価装置8は、管頂部温度測定装置7において測定された管頂部221の温度Ttと、フィン温度測定装置4において測定されたフィン23の温度Tsから、相関係数Rtを導出でき、この相関係数Rtを用いて第2クリティカル温度CT2に対応する第1クリティカル温度CT1を導出できる。この場合には、管頂部221の余寿命を評価する指標である対応第2カウント数RC2は、管頂部温度測定装置7において測定された管頂部221の温度Ttが反映されている。このような対応第2カウント数RC2を用いることで、管頂部221の余寿命をより適切に評価できる。
【0127】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0128】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0129】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0130】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係るスラグ監視装置(1)は、
水冷管(22)とフィン(23)が交互に接合されて構成される炉壁(21)に付着するスラグ(31)の状態を監視するためのスラグ監視装置(1)であって、
前記炉壁(21)の外側に設けられて前記フィン(23)の温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置(4)、において測定された第1所定期間における前記フィン(23)の時系列温度データを取得するように構成されたフィン温度データ取得部(12)と、
前記フィン温度データ取得部(12)において取得された前記フィン(23)の時系列温度データから、前記フィン(23)の温度の変動範囲に関する情報であるフィン温度変動範囲情報(ITs)を取得するように構成されたフィン温度変動範囲情報取得部(13)と、
前記炉壁(21)の内面(211)に取り付けられた熱抵抗体(3)であって、耐火材(32)又は前記スラグ(31)の少なくとも一方から構成される熱抵抗体(3)の厚さ(ts)、及び、前記フィン温度変動範囲情報(ITs)が関連付けられた第1関連付け情報(AI1)に基づき、前記フィン温度変動範囲情報取得部(13)が取得した前記フィン温度変動範囲情報(ITs)に対応する前記熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を推定するように構成された熱抵抗体厚さ推定部(14)と、を備える。
【0131】
上記1)の構成によれば、スラグ監視装置(1)は、フィン温度測定装置(4)において測定されたフィン(23)の温度(Ts)からフィン温度変動範囲情報(ITs)を取得でき、このフィン温度変動範囲情報(ITs)から第1関連付け情報(AI1)に基づいて対応する熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を推定できる。フィン温度変動範囲情報(ITs)は、フィン(23)の温度の変動範囲に関する情報であるため、フィン(23)の温度(Ts)の計測値に比べて、炉壁(21)の内部において比較的高サイクルで変動する、炉壁(21)の内部を流れるガスの熱流束の影響が反映されたものとなる。このため、フィン温度変動範囲情報(ITs)と熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を関連付ける情報(第1関連付け情報AI1)に基づいて熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を推定することで、炉壁(21)の内部を流れるガスの熱流束の影響が反映された熱抵抗体(3、スラグ31)の厚さ(ts)を推定できる。これにより、スラグ監視装置(1)は、仮にフィン(23)の温度(Ts)の計測値と熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を関連付ける情報に基づいて熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を推定する場合に比べて、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を精度良く推定できるため、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3、例えば、スラグ31)の付着状態を把握することができる。
【0132】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記第1関連付け情報(AI1)は、
前記炉壁(21)の内部を流れるガスの熱流束として第1熱流束を用いた熱解析により算出した前記熱抵抗体(3)の厚さ(ts)及び前記フィン温度変動範囲情報(ITs)の対応関係に関する情報である第1対応関係情報(MC1)と、
前記炉壁(21)の内部を流れる前記ガスの熱流束として前記第1熱流束よりも大きい第2熱流束を用いた熱解析により算出した前記熱抵抗体(3)の厚さ(ts)及び前記フィン温度変動範囲情報(ITs)の対応関係に関する情報である第2対応関係情報(MC2)と、を含む。
【0133】
上記2)の構成によれば、第1関連付け情報(AI1)は、熱解析に用いるパラメータの一つである炉壁(21)の内部を流れるガスの熱流束が夫々異なる複数の対応関係情報(MC1、MC2)を含むので、スラグ監視装置(1)は、炉壁(21)の内部を流れるガスの熱流束の影響が反映された熱抵抗体(3、スラグ31)の厚さ(ts)を精度良く推定できる。
【0134】
3)幾つかの実施形態では、上記1)又は上記2)に記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記フィン温度変動範囲情報取得部(13)は、
前記フィン温度データ取得部(12)において取得された前記フィン(23)の温度(Ts)と前記水冷管(22)を流れる冷却液の温度(Tw)の差分値の、前記第1所定期間における変動範囲を前記フィン温度変動範囲情報(ITs)として取得するように構成された。
【0135】
上記3)の構成によれば、フィン温度変動範囲情報(ITs)として、フィン(23)の温度(Ts)と冷却液の温度(Tw)の差分値を用いることで、フィン(23)の温度変動を熱量として表現できる。スラグ監視装置(1)は、フィン(23)の温度変動を熱量として表現したフィン温度変動範囲情報(ITs)を熱抵抗体(3、スラグ31)の厚さ(ts)の推定に用いることで、フィン(23)の温度変動をそのままフィン(23)の温度変化として表現したフィン温度変動範囲情報(ITs)を用いる場合に比べて、炉壁(21)の内部を流れるガスの熱流束が変動するガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を精度良く推定できる。
【0136】
4)幾つかの実施形態では、上記1)から上記3)までの何れかに記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置(4)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の上昇率(Δc)が予め定められた温度上昇率(SΔc)を超えた場合に、前記炉壁(21)から前記熱抵抗体(3)の少なくとも一部が剥離したと推定するように構成された剥離推定部(15)をさらに備える。
【0137】
上記4)の構成によれば、剥離推定部(15)は、炉壁(21)から熱抵抗体(3)が剥離するとフィン(23)の温度(Ts)が急激に上昇することを利用して、フィン(23)の温度(Ts)の上昇率(Δc)が予め定められた温度上昇率(SΔc)を超える部分において熱抵抗体(3)の少なくとも一部が剥離したと推定する。この場合には、スラグ監視装置(1)は、フィン(23)の時系列温度データから熱抵抗体(3)の剥離を推定できる。
【0138】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から上記4)までの何れかに記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置(4)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の低下率(Δd)と前記熱抵抗体(3)の厚さ(ts)の増加率が関連付けられた第2関連付け情報に基づき、前記フィン(23)の温度(Ts)の低下率(Δd)に対応する前記熱抵抗体(3)の厚さ(ts)の増加率を算出するように構成された熱抵抗体厚さ増加率算出部(16)をさらに備える。
【0139】
上記5)の構成によれば、フィン(23)の温度(Ts)の低下率(Δd)が比較的大きい場合には、スラグ(31)の厚さ(ts)の増加率が高いのに対して、フィン(23)の温度(Ts)の低下率(Δd)が比較的小さい場合には、スラグ(31)の厚さ(ts)の増加率が低い。熱抵抗体厚さ増加率算出部(16)は、フィン(23)の温度(Ts)の低下率(Δd)と熱抵抗体(3)の厚さ(ts)の増加率との間の関係を示す第2関連付け情報を用いて、フィン(23)の温度(Ts)の低下率(Δd)に対応する熱抵抗体(3)の厚さの増加率を算出できる。スラグ監視装置(1)は、熱抵抗体厚さ増加率算出部(16)において算出した熱抵抗体(3)の厚さ(ts)の増加率を考慮することで、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3)の厚さを精度良く推定できる。
【0140】
6)幾つかの実施形態では、上記4)に記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置(4)は、
第1のフィン温度測定装置(4A)と、
前記第1のフィン温度測定装置(4B)に対して前記炉壁(21)の高さ方向において所定の第1計測間距離(dv)だけ間隔をあけて配置された第2のフィン温度測定装置(4B)と、を含み、
前記剥離推定部(15)は、
第2所定期間(T2)内における前記第1のフィン温度測定装置(4A)において測定された前記フィン(23)の温度の上昇率(Δc1)、及び前記第2所定期間(T2)内における前記第2のフィン温度測定装置(4B)において測定された前記フィン(23)の温度の上昇率(Δc2)を考慮して、前記炉壁(21)からの前記熱抵抗体(3)の剥離状態を推定するように構成された。
【0141】
上記6)の構成によれば、スラグ監視装置(1)は、炉壁(21)の高さ方向において異なる複数の位置におけるフィン(23)の温度(Ts)の上昇率(Δc)を考慮することで、熱抵抗体(3)が剥離した炉壁(21)の高さ方向範囲を推定できるため、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3)の厚さ分布(特に炉壁21の高さ方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0142】
7)幾つかの実施形態では、上記6)に記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記第2所定期間(T2)内において、前記第1のフィン温度測定装置(4A)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の上昇率(Δc)及び前記第2のフィン温度測定装置(4B)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の上昇率(Δc)が予め定められた温度上昇率(SΔc)を超えた場合において、
前記第2所定期間(T2)内における前記第1のフィン温度測定装置(4A)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の最大値の取得時刻(tp1)と前記第2のフィン温度測定装置(4B)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の最大値の取得時刻(tp2)との時間差(tp2-tp1)、及び前記第1計測間距離(dv)から、前記炉壁(21)から剥離した前記熱抵抗体(3)の流下速度(Vs)を算出する熱抵抗体流下速度算出部(17)をさらに備える。
【0143】
上記7)の構成によれば、熱抵抗体流下速度算出部(17)により熱抵抗体(3)の流下速度(Vs)を算出することができる。スラグ監視装置(1)は、上記熱抵抗体(3)の流下速度(Vs)を考慮することで、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3)の厚さ分布(特に炉壁の高さ方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0144】
8)幾つかの実施形態では、上記7)に記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置(4)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の低下率(Δd)、及び前記熱抵抗体流下速度算出部(17)が算出した前記熱抵抗体(3)の前記流下速度(Vs)に基づいて、前記スラグ(31)の生成挙動を評価するように構成されたスラグ生成挙動評価部(18)をさらに備える。
【0145】
上記8)の構成によれば、スラグ生成挙動評価部(18)において、フィン(23)の温度(Ts)の低下率(Δd)及び熱抵抗体(3)の流下速度(Vs)を用いて、スラグ(31)の生成挙動を分類でき、スラグ(31)の生成挙動を評価できる。スラグ監視装置(1)は、上記スラグの生成挙動の評価を考慮することで、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3)の厚さ分布(特に炉壁の高さ方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0146】
9)幾つかの実施形態では、上記4)又は上記6)から上記8)までの何れかに記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記少なくとも1つのフィン温度測定装置(4)は、
第3のフィン温度測定装置(4C)と、
前記第3のフィン温度測定装置(4C)に対して前記炉壁(21)の周方向において所定の第2計測間距離(dh)だけ間隔をあけて配置された第4のフィン温度測定装置(4D)と、を含み、
前記剥離推定部(15)は、
第3所定期間(T3)内における前記第3のフィン温度測定装置(4C)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の上昇率(Δc)、及び前記第3所定期間(T3)内における前記第4のフィン温度測定装置(4D)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の上昇率(Δc)を考慮して、前記炉壁(21)からの前記熱抵抗体(3)の剥離状態を推定するように構成された。
【0147】
上記9)の構成によれば、スラグ監視装置(1)は、炉壁(21)の周方向において異なる複数の位置におけるフィン(23)の温度(Ts)の上昇率(Δc)を考慮することで、各周方向位置におけるフィン(23)の温度(Ts)の上昇が熱抵抗体(3)の剥離によるものか否かを判別でき、熱抵抗体(3)が剥離した炉壁(21)の周方向範囲を推定できる。このため、スラグ監視装置(1)は、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3)の厚さ分布(特に炉壁の周方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0148】
10)幾つかの実施形態では、上記9)に記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記第3所定期間(T3)内において、前記第3のフィン温度測定装置(4C)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の変化率(Δc又はΔd)及び前記第4のフィン温度測定装置(4D)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の変化率(Δc又はΔd)が予め定められた温度変化率(SΔc又はSΔd)を超えた場合において、
前記第3所定期間(T3)内における前記第3のフィン温度測定装置(4C)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の最大値の取得時刻(tp3)と前記第4のフィン温度測定装置(4D)において測定された前記フィン(23)の温度(Ts)の最大値の取得時刻(tp4)との時間差(tp3-tp4)、及び前記第2計測間距離(dh)から、前記炉壁(21)の内部を流れるガスの周方向流速(Vh)を算出するように構成されたガス周方向流速算出部(19)をさらに備える。
【0149】
上記10)の構成によれば、炉壁(21)の内部を流れるガスの周方向流速(Vh)が比較的大きい場合には、スラグ(31)の厚さ(ts)の増加率が高いのに対して、上記ガスの周方向流速(Vh)が比較的小さい場合には、スラグ(31)の厚さ(ts)の増加率が低い。ガス周方向流速算出部(19)は、上記ガスの周方向流速(Vh)を算出できる。スラグ監視装置(1)は、ガス周方向流速算出部(19)において算出したガスの周方向流速(Vh)を考慮することで、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3)の厚さ分布(特に炉壁の周方向における厚さ分布)を精度良く推定できる。
【0150】
11)幾つかの実施形態では、上記1)から上記10)までの何れかに記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を測定するように構成された少なくとも1つの熱抵抗体厚さ測定装置(5)において測定された前記第1所定期間における前記熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を取得する熱抵抗体厚さ取得部(61)と、
前記熱抵抗体厚さ取得部(61)において取得された前記熱抵抗体(3)の厚さ(ts)の測定値(Mts)から、前記第1関連付け情報(AI1)に基づいて前記測定値(Mts)に対応する前記フィン温度変動範囲情報(ITs)である対応フィン温度変動範囲情報(CITs)を取得するように構成された対応フィン温度変動範囲情報取得部(62)と、
前記対応フィン温度変動範囲情報取得部(62)が取得した前記対応フィン温度変動範囲情報(CITs)、及び、前記フィン温度変動範囲情報取得部(13)が取得した前記フィン温度変動範囲情報(ITs)に基づいて、前記対応フィン温度変動範囲情報(CITs)と前記フィン温度変動範囲情報(ITs)との差分を小さくするように、前記第1関連付け情報(AI1)を補正するように構成された第1関連付け情報補正部(63)と、をさらに備える。
【0151】
上記11)の構成によれば、スラグ監視装置(1)は、熱抵抗体厚さ測定装置(5)において測定された熱抵抗体(3)の厚さ(ts)の測定値(Mts)から対応フィン温度変動範囲情報(CITs)を導出できる。この対応フィン温度変動範囲情報(CITs)を用いることで、第1関連付け情報(AI1)を補正できる。補正された第1関連付け情報(AI1)は、熱抵抗体厚さ測定装置(5)において測定された熱抵抗体(3)の厚さ(ts)の測定値(Mts)が反映されているので、補正された第1関連付け情報(AI1)を用いることで、熱抵抗体(3)の厚さ(ts)をより精度良く推定できる。
【0152】
12)幾つかの実施形態では、上記11)に記載のスラグ監視装置(1)であって、
前記対応フィン温度変動範囲情報取得部(62)が取得した前記対応フィン温度変動範囲情報(CITs)の誤差の上限範囲(UR)及び下限範囲(LR)を導出する誤差範囲導出部(64)をさらに備え、
前記第1関連付け情報補正部(63)は、前記フィン温度変動範囲情報取得部(13)が取得した前記フィン温度変動範囲情報(ITs)が前記上限範囲(UR)又は前記下限範囲(LR)を逸脱した場合に、前記第1関連付け情報(AI1)を補正するように構成された。
【0153】
上記12)の構成によれば、熱抵抗体厚さ取得部(61)において取得された熱抵抗体(3)の厚さ(ts)の測定値(Mts)には、測定誤差が生じることがあり、対応フィン温度変動範囲情報(CITs)にも誤差が生じることがある。対応フィン温度変動範囲情報(CITs)に対して誤差の上限範囲(UR)及び下限範囲(LR)を設け、上限範囲(UR)又は下限範囲(LR)を逸脱しない場合には、第1関連付け情報(AI1)を補正しないようにすることで、上述した誤差による第1関連付け情報(AI1)の不必要な補正を抑制できる。
【0154】
13)本開示の少なくとも一実施形態に係る余寿命評価装置(8)は、
水冷管(22)とフィン(23)が交互に接合されて構成される炉壁(21)における前記水冷管(22)の管頂部(221)の余寿命を評価するように構成された余寿命評価装置(8)であって、
前記炉壁(21)の外側に設けられて前記フィン(23)の温度(Ts)を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置(4)、において測定された前記フィン(23)の時系列温度データを取得するように構成されたフィン温度データ取得部(81)と、
前記フィン(23)の前記時系列温度データを用いて、前記フィン(23)における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第1振幅(A1)、及び、前記フィン(23)における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第1カウント数(C1)を含む第1寿命評価値(LR1)を導出するように構成された第1寿命評価値導出部(82)と、
前記管頂部(221)における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第2振幅(A2)と前記第1振幅(A1)との間の振幅比(CR)に基づいて、前記第1寿命評価値(LR1)に対応する第2寿命評価値(LR2)であって、前記第2振幅(A2)、及び、前記管頂部(221)における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第2カウント数(C2)を含む第2寿命評価値(LR2)を導出するように構成された第2寿命評価値導出部(83)と、
前記フィン(23)におけるクリティカル温度である第1クリティカル温度(CT1)を超える温度変動の発生回数である第1クリティカルカウント数(CC1)と、前記管頂部(221)におけるクリティカル温度である第2クリティカル温度(CT2)を超える温度変動の発生回数である第2クリティカルカウント数(CC2)と、の比であるクリティカルカウント比(CCR)に基づいて、前記第1カウント数(C1)に対応する第2カウント数(C2)である対応第2カウント数(RC2)を導出するように構成された第2対応カウント数導出部(84)と、
前記第2振幅(A2)及び前記対応第2カウント数(RC2)を用いて、前記管頂部の余寿命を評価するように構成された余寿命評価部(85)と、を備える。
【0155】
上記13)の構成によれば、余寿命評価装置(8)は、フィン温度測定装置(4)において測定されたフィン(23)の温度(Ts)から、第1振幅(A1)及び第1カウント数(C1)を含む第1寿命評価値(LR1)を取得でき、第1寿命評価値(LR1)を用いて、第2振幅(A2)及び対応第2カウント数(RC2)を取得できる。第2振幅(A2)及び対応第2カウント数(RC2)を用いることで、管頂部(221)の余寿命を評価できる。管頂部(221)の温度を測定可能な管頂部温度測定装置(7)を複数設置し、複数の管頂部温度測定装置(7)により測定した管頂部(221)の温度(Tt)から第2振幅(A2)及び対応第2カウント数(RC2)を導出することが考えられるが、管頂部温度測定装置(7)の設置は、フィン温度測定装置(4)の設置に比べて、設置作業の手間やコストが大きい。よって、上記13)の構成によれば、余寿命評価装置(8)は、フィン温度測定装置(4)の設置作業の手間やコストが小さいため、経済性に優れる。
【0156】
14)幾つかの実施形態では、上記13)に記載の余寿命評価装置(8)であって、
前記管頂部(221)の温度(Tt)を測定するように構成された少なくとも1つの管頂部温度測定装置(7)、において測定された前記管頂部(221)の時系列温度データを取得するように構成された管頂部温度データ取得部(91)と、
前記フィン温度データ取得部(81)において取得した前記フィンの時系列温度データ及び前記管頂部温度データ取得部(91)において取得した前記管頂部(221)の時系列温度データを用いて、前記フィン(23)の温度(Ts)と前記管頂部(221)の温度(Tt)の間の相関係数(Rt)を導出する相関係数導出部(92)と、
前記第2クリティカル温度(CT2)及び前記相関係数(Rt)を用いて、前記第1クリティカル温度(CT1)を算出する第1クリティカル温度算出部(93)と、
前記第1クリティカル温度算出部(93)が算出した前記第1クリティカル温度(CT1)を用いて、前記第1クリティカルカウント数(CC1)を導出する第1クリティカルカウント数導出部(94)と、
前記第2クリティカル温度(CT2)を用いて、前記第2クリティカルカウント数(CC2)を導出する第2クリティカルカウント数導出部(95)と、
前記第1クリティカルカウント数導出部(94)において導出された前記第1クリティカルカウント数(CC1)、及び、前記第2クリティカルカウント数導出部(95)において導出された第2クリティカルカウント数(CC2)を用いて、前記クリティカルカウント比(CCR)を導出するクリティカルカウント比導出部(96)と、をさらに備える。
【0157】
上記14)の構成によれば、余寿命評価装置(8)は、管頂部温度測定装置(7)において測定された管頂部(221)の温度(Tt)と、フィン温度測定装置(4)において測定されたフィン(23)の温度(Ts)から、相関係数(Rt)を導出でき、この相関係数(Rt)を用いて第2クリティカル温度(CT2)に対応する第1クリティカル温度(CT1)を導出できる。この場合には、管頂部(221)の余寿命を評価する指標である対応第2カウント数(RC2)は、管頂部温度測定装置(7)において測定された管頂部(221)の温度(Tt)が反映されている。このような対応第2カウント数(RC2)を用いることで、管頂部(221)の余寿命をより適切に評価できる。
【0158】
15)本開示の少なくとも一実施形態に係るスラグ監視方法(100)は、
水冷管(22)とフィン(23)が交互に接合されて構成される炉壁(21)に付着するスラグ(31)の状態を監視するためのスラグ監視方法(100)であって、
前記炉壁(21)の外側に設けられて前記フィン(23)の温度を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置(4)、において測定された第1所定期間における前記フィン(23)の時系列温度データを取得するように構成されたフィン温度データ取得ステップ(S1)と、
前記フィン温度データ取得ステップ(S1)において取得された前記フィン(23)の時系列温度データから、前記フィン(23)の温度の変動範囲に関する情報であるフィン温度変動範囲情報(ITs)を取得するフィン温度変動範囲情報取得ステップ(S2)と、
前記炉壁(21)の内面(211)に取り付けられた熱抵抗体(3)であって、耐火材(32)又は前記スラグ(31)の少なくとも一方から構成される熱抵抗体(3)の厚さ(ts)、及び、前記フィン温度変動範囲情報(ITs)が関連付けられた第1関連付け情報(AI1)に基づき、前記フィン温度変動範囲情報取得ステップ(S2)が取得した前記フィン温度変動範囲情報(ITs)に対応する前記熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を推定する熱抵抗体厚さ推定ステップ(S3)と、を備える。
【0159】
上記15)の方法によれば、スラグ監視方法(100)は、フィン温度測定装置(4)において測定されたフィン(23)の温度(Ts)からフィン温度変動範囲情報(ITs)を取得でき、このフィン温度変動範囲情報(ITs)から第1関連付け情報(AI1)に基づいて対応する熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を推定できる。フィン温度変動範囲情報(ITs)は、フィン(23)の温度の変動範囲に関する情報であるため、フィン(23)の温度(Ts)の計測値に比べて、炉壁(21)の内部において比較的高サイクルで変動する、炉壁(21)の内部を流れるガスの熱流束の影響が反映されたものとなる。このため、フィン温度変動範囲情報(ITs)と熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を関連付ける情報(第1関連付け情報AI1)に基づいて熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を推定することで、炉壁(21)の内部を流れるガスの熱流束の影響が反映された熱抵抗体(3、スラグ31)の厚さ(ts)を推定できる。これにより、スラグ監視方法(100)は、仮にフィン(23)の温度(Ts)の計測値と熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を関連付ける情報に基づいて熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を推定する場合に比べて、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3)の厚さ(ts)を精度良く推定できるため、ガス化炉(2A)の運転中における熱抵抗体(3、例えば、スラグ31)の付着状態を把握することができる。
【0160】
16)本開示の少なくとも一実施形態に係る余寿命評価方法(200)は、
水冷管(22)とフィン(23)が交互に接合されて構成される炉壁(21)における前記水冷管(22)の管頂部(221)の余寿命を評価するように構成された余寿命評価方法(200)であって、
前記炉壁(21)の外側に設けられて前記フィン(23)の温度(Ts)を測定するように構成された少なくとも1つのフィン温度測定装置(4)、において測定された前記フィン(23)の時系列温度データを取得するフィン温度データ取得ステップ(S21)と、
前記フィン(23)の前記時系列温度データを用いて、前記フィン(23)における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第1振幅(A1)、及び、前記フィン(23)における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第1カウント数(C1)を含む第1寿命評価値(LR1)を導出する第1寿命評価値導出ステップ(S22)と、
前記管頂部(221)における疲労寿命を評価するための温度変動の振幅である第2振幅(A2)と前記第1振幅(A1)との間の振幅比(CR)に基づいて、前記第1寿命評価値(LR1)に対応する第2寿命評価値(LR2)であって、前記第2振幅(A2)、及び、前記管頂部(221)における疲労寿命を評価するための温度変動の発生回数である第2カウント数(C2)を含む第2寿命評価値(LR2)を導出する第2寿命評価値導出ステップ(S23)と、
前記フィン(23)におけるクリティカル温度である第1クリティカル温度(CT1)を超える温度変動の発生回数である第1クリティカルカウント数(CC1)と、前記管頂部(221)におけるクリティカル温度である第2クリティカル温度(CT2)を超える温度変動の発生回数である第2クリティカルカウント数(CC2)と、の比であるクリティカルカウント比(CCR)に基づいて、前記第1カウント数(C1)に対応する第2カウント数(C2)である対応第2カウント数(RC2)を導出する第2対応カウント数導出ステップ(S24)と、
前記第2振幅(A2)及び前記対応第2カウント数(RC2)を用いて、前記管頂部の余寿命を評価するように構成された余寿命評価ステップ(S25)と、を備える。
【0161】
上記16)の方法によれば、余寿命評価方法(200)は、フィン温度測定装置(4)において測定されたフィン(23)の温度(Ts)から、第1振幅(A1)及び第1カウント数(C1)を含む第1寿命評価値(LR1)を取得でき、第1寿命評価値(LR1)を用いて、第2振幅(A2)及び対応第2カウント数(RC2)を取得できる。第2振幅(A2)及び対応第2カウント数(RC2)を用いることで、管頂部(221)の余寿命を評価できる。管頂部(221)の温度を測定可能な管頂部温度測定装置(7)を複数設置し、複数の管頂部温度測定装置(7)により測定した管頂部(221)の温度(Tt)から第2振幅(A2)及び対応第2カウント数(RC2)を導出することが考えられるが、管頂部温度測定装置(7)の設置は、フィン温度測定装置(4)の設置に比べて、設置作業の手間やコストが大きい。よって、上記16)の方法によれば、余寿命評価方法(200)は、フィン温度測定装置(4)の設置作業の手間やコストが小さいため、経済性に優れる。
【符号の説明】
【0162】
1 スラグ監視装置
2 火炉
2A ガス化炉
3 熱抵抗体
4,4A~4D フィン温度測定装置
5 熱抵抗体厚さ測定装置
7 管頂部温度測定装置
8 余寿命評価装置
10 スラグ監視システム
11 記憶部
12 フィン温度データ取得部
13 フィン温度変動範囲情報取得部
14 熱抵抗体厚さ推定部
15 剥離推定部
16 熱抵抗体厚さ増加率算出部
17 流下速度算出部
18 スラグ生成挙動評価部
19 ガス周方向流速算出部
21 炉壁
22 水冷管
23 フィン
24 ガス化部
25 炉外壁
26 アニュラス部
27 バーナー装置
31 スラグ
32 耐火材
40 光ファイバセンサ
41,41A~41D センシング部
42 光ファイバケーブル
43 計測器
44 照射部
45 受光部
50 超音波センサ
61 熱抵抗体厚さ取得部
62 対応フィン温度変動範囲情報取得部
63 第1関連付け情報補正部
64 誤差範囲導出部
71 コーダル熱電対
80 評価システム
81 フィン温度データ取得部
82 第1寿命評価値導出部
83 第2寿命評価値導出部
84 第2対応カウント数導出部
85 評価部
91 管頂部温度データ取得部
92 相関係数導出部
93 第1クリティカル温度算出部
94 第1クリティカルカウント数導出部
95 第2クリティカルカウント数導出部
96 クリティカルカウント比導出部
100 スラグ監視方法
101 振幅比導出部
200 余寿命評価方法
A1 第1振幅
A2 第2振幅
AI1 第1関連付け情報
AI2 第2関連付け情報
C1 第1カウント数
C2 第2カウント数
CC1 第1クリティカルカウント数
CC2 第2クリティカルカウント数
CCR クリティカルカウント比
CITs 対応フィン温度変動範囲情報
CMC1,MC1 第1対応関係情報
CMC2,MC2 第2対応関係情報
CR 振幅比
CT1 第1クリティカル温度
CT2 第2クリティカル温度
ITs フィン温度変動範囲情報
LR1 第1寿命評価値
LR2 第2寿命評価値
MC マスターカーブ
Mts 測定値
Rt 相関係数
S1,S21,S32 フィン温度データ取得ステップ
S2 フィン温度変動範囲情報取得ステップ
S3 熱抵抗体厚さ推定ステップ
S4 第1関連付け情報取得ステップ
S11 熱抵抗体厚さ取得ステップ
S12 対応フィン温度変動範囲情報取得ステップ
S13 補正ステップ
S14 誤差範囲導出ステップ
S22,S34 第1寿命評価値導出ステップ
S23,S35 第2寿命評価値導出ステップ
S24 第2対応カウント数導出ステップ
S25 余寿命評価ステップ
S31 管頂部温度データ取得ステップ
S33 相関係数導出ステップ
S36 振幅比導出ステップ
S41 第2クリティカル温度取得ステップ
S42 第2クリティカルカウント数導出ステップ
S43 第1クリティカル温度算出ステップ
S44 第1クリティカルカウント数導出ステップ
S45 クリティカルカウント比導出ステップ
Vh 周方向流速
Vs 流下速度
dh 第2計測間距離
dv 第1計測間距離