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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051750
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】浮上支持装置および外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158066
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】小林 正芳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史朗
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA13
5F131AA33
5F131CA07
5F131DA20
5F131DA22
5F131DA42
5F131DC12
5F131DC30
5F131EB02
5F131EB32
5F131KA14
5F131KA54
5F131KA72
5F131KB09
5F131KB53
(57)【要約】
【課題】可撓性を有するシート状の媒体を浮上させた状態で所定の位置に固定する浮上支持装置を提供すること
【解決手段】浮上支持装置6は、可撓性を有するシート状の媒体2を、多孔質板31から所定距離Hだけ浮上させた状態に維持する非接触吸着盤8と、非接触吸着盤8の多孔質板31と重ならない位置に固定された吸着固定機構9と、を有する。吸着固定機構9は、複数の吸気口42aを備える吸着面41を備える吸着用部材42と、複数の吸気口42aに連通する空気流路45と、空気流路45に接続された吸気機構46と、を備える。吸着面41は、多孔質板31と平行で、多孔質板31から所定距離Hだけ上方に位置する。吸気機構46が駆動されると吸気口42aから空気が吸引され、媒体2の一部分が吸着面41に吸着される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート状の媒体を、多孔質板から所定距離だけ浮上させた状態に維持する非接触吸着盤と、
前記非接触吸着盤の前記多孔質板と重ならない位置に固定された吸着固定機構と、
を有し、
前記吸着固定機構は、複数の吸気口を備える吸着面を備える吸着用部材と、複数の前記吸気口に連通する空気流路と、前記空気流路に接続された吸気機構と、を備え、
前記吸着面は、前記多孔質板と平行で、前記多孔質板から前記所定距離だけ上方に位置し、
前記吸気機構が駆動されると前記吸気口から空気が吸引され、前記媒体の一部分が前記吸着面に吸着されることを特徴とする浮上支持装置。
【請求項2】
前記多孔質板を上方から見た場合の形状は、矩形であり、
前記吸着固定機構は、前記吸着用部材を保持するホルダを備え、
前記吸着用部材は、四角柱形状の多孔質体であり、前記多孔質板の一つの縁に沿って前記多孔質板と平行に延設され、
前記吸着面は、前記吸着用部材の上面であり、
前記吸気口は、前記吸着用部材の上面の気孔であり、
前記空気流路は、一方の開口が前記吸着用部材の前記多孔質板とは反対側の第1側面に接触するノズルを備え、
前記ホルダは、前記吸着用部材の一方端から他方端まで延びて前記吸着用部材の下面に密着する下面密着部と、前記吸着用部材の一方端から他方端まで延びて前記吸着用部材の前記第1側面に密着する側面密着部と、を備え、
前記下面密着部は、前記非接触吸着盤に固定され、
前記ノズルは、前記側面密着部を貫通し、前記一方の開口が当該側面密着部において前記第1側面に密着する密着面に露出し、
前記吸気機構は、前記側面密着部の前記第1側面とは反対側で外部に露出する前記ノズルの他方の開口に接続され、
前記非接触吸着盤は、前記ホルダを前記非接触吸着盤に固定したときに、前記吸着用部材の前記第1側面とは反対側を向く第2側面に密着する端面を備え、
前記端面は、前記吸着用部材の一方端から他方端まで延びており、前記吸着用部材を介して、前記密着面および前記密着面に露出する前記ノズルの一方の開口と対向することを特徴とする請求項1に記載の浮上支持装置。
【請求項3】
上下方向と垂直で互いに直交する2軸方向をX軸方向、Y軸方向とし、前記多孔質板と前記吸着用部材との配列方向をX軸方向、前記吸着用部材の延設方向をY軸方向とし、前記X軸方向において前記吸着用部材が位置する方向をX1方向とした場合に、
前記空気流路は、前記ノズルとして、前記Y軸方向における前記吸着用部材の中央部分に接触する第1ノズルと、前記吸着用部材における前記第1ノズルと当該吸着用部材の前記Y軸方向の一方の端との中間に接触する第2ノズルと、前記吸着用部材における前記第1ノズルと当該吸着用部材の前記Y軸方向の他方の端との中間に接触する第3ノズルと、を備えることを特徴とする請求項2に記載の浮上支持装置。
【請求項4】
前記非接触吸着盤は、前記多孔質板の前記X1方向で前記Y軸方向に延びる切欠き段部を備え、
前記切欠き段部は、前記X1方向を向く壁面および前記上方を向く底面を有し、前記X1方向の側から見た場合に、前記多孔質板の前記Y軸方向の一方の端から他方の端まで延設され、
前記下面密着部は、前記底面に固定され、
前記ホルダが前記非接触吸着盤に固定されたときに、前記壁面は、前記吸着用部材の前記第2側面に密着することを特徴とする請求項3に記載の浮上支持装置。
【請求項5】
前記媒体は、矩形のOLED基板であり、
前記吸着固定機構は、前記OLED基板の外周縁において、複数の端子がY軸方向に配列された外周縁部分を吸着することを特徴とする請求項1に記載の浮上支持装置。
【請求項6】
請求項1に記載の前記浮上支持装置と、
カメラと、
前記浮上支持装置を、前記カメラによる撮像位置を経由する水平の移動経路に沿って移動させる移動機構と、
を有し、
前記多孔質板と前記吸着固定機構とが配列された配列方向をX軸方向、前記X軸方向において前記吸着固定機構が位置する側をX1方向とした場合に、前記浮上支持装置の移動方向は、前記X1方向であることを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の媒体を浮遊させた状態で移動不能に支持する媒体浮上支持装置に関する。また、シート状の媒体の外観を検査するための外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムなど、可撓性を有するシート状の媒体の搬送には、媒体を浮上させた状態で移動させる非接触搬送装置が用いられる。特許文献1には、シート状の媒体を浮上させる非接触吸着盤を有する非接触搬送装置が記載されている。非接触吸着盤は、上端部分に多孔質板を備える。非接触吸着盤は、多孔質板の表面において、加圧空気の噴出による媒体の浮上と、空気吸引による媒体の非接触吸着とを同時に行い、媒体を多孔質板の表面から浮上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-167251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可撓性を有するシート状の媒体として、OLED(Organic Light Emitting Diode)基板がある。OLED基板とは、薄膜トランジスタと、有機EL素子を有するOLEDと、薄膜封止層とが積層されている基板である。
【0005】
OLED基板を採用したディスプレイなどの製造時には、OLED基板の外観検査が行われる。外観検査では、検査用ステージに載置したOLED基板をカメラ撮像し、取得した画像データに画像処理を施して傷などを検出することが試みられている。
【0006】
しかし、OLED基板は、シート状であり、可撓性がある。従って、OLED基板を検査用ステージの上面に載置したときに、シートに反りやうねりが発生する場合がある。また、OLED基板はシート状なので、OLED基板を検査用ステージの上面に載置したときに、検査用ステージの上面に塵埃が存在する場合には、OLED基板に凹凸が発生することがある。OLED基板を撮像した画像に、反り、うねり、および、塵埃に起因する凹凸により影が発生していると、これらの陰と、OLED基板の表面に形成されたキズと、を画像データの解析により正確に判別することができない。従って、OLED基板の外観検査では、検査員の目視による外観検査が行われることが主流である。
【0007】
ここで、シート状の媒体を非接触吸着盤により浮上させれば、媒体に反りやうねりは発生しない。また、シート状の媒体を非接触吸着盤により浮上させれば、多孔質板の上面に塵埃が存在しても、媒体に凹凸が発生することを防止或いは抑制できる。従って、媒体を非接触吸着盤により浮上させた状態で撮像すれば、取得した画像データに基づいて媒体表面に形成されたキズを正確に判別すること可能であると考えられる。しかし、非接触吸着盤により媒体を浮上させた場合には、媒体が多孔質板と平行な水平方向に移動しやすく、媒体を定位置に固定しておくことができない。従って、浮上した媒体の撮像が容易ではない。
【0008】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、可撓性を有するシート状の媒体を浮上させた状態で所定の位置に固定する浮上支持装置を提供することにある。また、媒体を撮像した撮像データに基づいてシート状の媒体のキズなどを検出できる外観検査装置を提供することに
ある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の浮上支持装置は、可撓性を有するシート状の媒体を、多孔質板から所定距離だけ浮上させた状態に維持する非接触吸着盤と、前記非接触吸着盤の前記多孔質板と重ならない位置に固定された吸着固定機構と、を有し、前記吸着固定機構は、複数の吸気口を備える吸着面を備える吸着用部材と、複数の前記吸気口に連通する空気流路と、前記空気流路に接続された吸気機構と、を備え、前記吸着面は、前記多孔質板と平行で、前記多孔質板から前記所定距離だけ上方に位置し、前記吸気機構が駆動されると前記吸気口から空気が吸引され、前記媒体の一部分が前記吸着面に吸着されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、非接触吸着盤は、シート状の媒体を多孔質板から上方に所定距離だけ浮上させる。従って、媒体が多孔質板に接触して媒体に反りやうねりが発生することはなく、多孔質板の上面に塵埃が存在しても、媒体に凹凸が発生することがない。一方、吸着固定機構は、非接触吸着盤の多孔質板と重ならない位置に取り付けられており、多孔質板から上方に所定距離だけ離間する位置に吸着面を備える。また、非接触吸着盤の多孔質板から浮上した媒体は、その一部分が吸着用部材に吸着されて、多孔質板と平行な水平方向への移動が阻止される。従って、媒体は多孔質板から浮上した状態で固定される。さらに、媒体が多孔質板から浮上している高さと、吸着用部材の吸着面の高さが一致しているので、媒体が吸着用部材に吸着されたときに、媒体に、反りや、うねりが発生しない。
【0011】
本発明において、前記多孔質板を上方から見た場合の形状は、矩形であり、前記吸着固定機構は、前記吸着用部材を保持するホルダを備え、前記吸着用部材は、四角柱形状の多孔質体であり、前記多孔質板の一つの縁に沿って前記多孔質板と平行に延設され、前記吸着面は、前記吸着用部材の上面であり、前記吸気口は、前記吸着用部材の上面の気孔であり、前記空気流路は、一方の開口が前記吸着用部材の前記多孔質板とは反対側の第1側面に接触するノズルを備え、前記ホルダは、前記吸着用部材の一方端から他方端まで延びて前記吸着用部材の下面に密着する下面密着部と、前記吸着用部材の一方端から他方端まで延びて前記吸着用部材の前記第1側面に密着する側面密着部と、を備え、前記下面密着部は、前記非接触吸着盤に固定され、前記ノズルは、前記側面密着部を貫通し、前記一方の開口が当該側面密着部において前記第1側面に密着する密着面に露出し、前記吸気機構は、前記側面密着部の前記第1側面とは反対側で外部に露出する前記ノズルの他方の開口に接続され、前記非接触吸着盤は、前記ホルダを前記非接触吸着盤に固定したときに、前記吸着用部材の前記第1側面とは反対側を向く第2側面に密着する端面を備え、前記端面は、前記吸着用部材の一方端から他方端まで延びており、前記吸着用部材を介して、前記密着面および前記密着面に露出する前記ノズルの一方の開口と対向するものとすることができる。このようにすれば、吸着用部材が多孔質体なので、吸気口である吸着用部材の上面の気孔は、吸着用部材の内部の気孔および第1側面の気孔を介してノズルに接続される。また、吸着用部材の下面と第1側面には、ホルダが密着する。吸着用部材において第1側面とは反対側に位置する第2側面には、非接触吸着盤が密着する。さらに、非接触吸着盤の端面は、吸着用部材の一方端から他方端まで延びており、吸着用部材を介して、密着面および密着面に露出するノズルの一方の開口と対向する。従って、ノズルに接続された吸気機構を駆動すれば、吸着用部材の上面の気孔から空気を吸い込むことができる。
【0012】
本発明において、上下方向と垂直で互いに直交する2軸方向をX軸方向、Y軸方向とし、前記多孔質板と前記吸着用部材との配列方向をX軸方向、前記吸着用部材の延設方向をY軸方向とし、前記X軸方向において前記吸着用部材が位置する方向をX1方向とした場合に、前記空気流路は、前記ノズルとして、前記Y軸方向における前記吸着用部材の中央部分に接触する第1ノズルと、前記吸着用部材における前記第1ノズルと当該吸着用部材
の前記Y軸方向の一方の端との中間に接触する第2ノズルと、前記吸着用部材における前記第1ノズルと当該吸着用部材の前記Y軸方向の他方の端との中間に接触する第3ノズルと、を備えるものとすることができる。このようにすれば、吸着用部材の上面におけるY軸方向の全域において、媒体を吸着することが容易となる。また、媒体を吸着するための吸気口が多孔質体からなる吸着用部材の気孔であり、吸着用部材の全体に形成されているので、吸着用部材は、媒体のY軸方向における媒体の幅に拘わらず、媒体を吸着できる。
【0013】
本発明において、前記非接触吸着盤は、前記多孔質板の前記X1方向で前記Y軸方向に延びる切欠き段部を備え、前記切欠き段部は、前記X1方向を向く壁面および前記上方を向く底面を有し、前記X1方向の側から見た場合に、前記多孔質板の前記Y軸方向の一方の端から他方の端まで延設され、前記下面密着部は、前記底面に固定され、前記ホルダが前記非接触吸着盤に固定されたときに、前記壁面は、前記吸着用部材の前記第2側面に密着するものとすることができる。このようにすれば、ホルダを非接触吸着盤に固定したときに、吸着用部材の第2側面に非接触吸着盤の一部分を密着させることが容易である。
【0014】
本発明において、前記媒体は、矩形のOLED基板であり、前記吸着固定機構は、前記OLED基板の外周縁において、複数の端子がY軸方向に配列された外周縁部分を吸着するものとすることができる。このようにすれば、OLED基板において、外観検査の必要がない部分を吸着できる。
【0015】
次に、本発明の外観検査装置は、上記の前記浮上支持装置と、カメラと、前記浮上支持装置を、前記カメラによる撮像位置を経由する水平の移動経路に沿って移動させる移動機構と、を有し、前記多孔質板と前記吸着固定機構とが配列された配列方向をX軸方向、前記X軸方向において前記吸着固定機構が位置する側をX1方向とした場合に、前記浮上支持装置の移動方向は、前記X1方向であることを特徴とする
【0016】
本発明によれば、浮上支持装置を水平方向に移動させた場合でも、浮上支持装置の非接触吸着盤上で、媒体が移動することがない。よって、非接触吸着盤上で浮上させた媒体を、撮像位置に移動させて、カメラにより撮像できる。また、浮上支持装置を移動させる際に、非接触吸着盤の多孔質板に対して、移動方向の前方に媒体吸着機構が位置する。従って、浮上支持装置が移動する際に、媒体の移動方向の前方が、媒体吸着機構に固定されている。よって、浮上支持装置が移動する際に、媒体に反りや撓みが発生することを防止或いは抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の浮上支持装置は、非接触吸着盤から浮上した媒体を媒体吸着機構により吸着して固定する。従って、浮上支持装置により支持された媒体を撮像すれば、撮像データに基づいて、媒体のキズなどを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】外観検査装置の説明図である。
図2】外観検査装置の概略ブロック図である。
図3】浮上支持装置の斜視図である。
図4】浮上支持装置の分解斜視図である。
図5】媒体吸着機構の分解斜視図である。
図6】浮上支持装置にシート状の媒体を支持した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の外観検査装置および浮上支持装置の実施の形態を説明する。
【0020】
(外観検査装置)
図1は、外観検査装置の説明図である。図2は、外観検査装置の制御系の概略ブロック図である。外観検査装置1は、シート状の媒体2を搬送しながら撮像し、取得した画像データから媒体2の表面にあるキズを検出する。本例では、シート状の媒体2は、OLED基板である。OLED基板とは、薄膜トランジスタと、有機EL素子を有するOLEDと、薄膜封止層とが積層されているものである。図1に示すように、OLED基板は、平面形状が矩形である。OLED基板は、その4辺のうちの一つの辺に沿って配列された複数の端子2aを備える。
【0021】
外観検査装置1は、レール5と、レール5上に載置された浮上支持装置6と、浮上支持装置6をレール5に沿って移動させる移動機構7を備える。浮上支持装置6は、非接触吸着盤8と、吸着固定機構9と、を備える。浮上支持装置6では、非接触吸着盤8が載浮上させた媒体2を、吸着固定機構9が吸着固定する。移動機構7は、レール5の一方端に設定された供給位置Aと、レール5の他方端に設定された搬出位置Bとの間で浮上支持装置6を移動させる。ここで、媒体2は、不図示の搬送装置により、供給位置Aに配置された浮上支持装置6に上方から供給される。媒体2が供給位置Aに浮上支持装置6に供給される際に、媒体2において複数の端子2aが配列されている辺は、搬出位置Bの側に位置する。浮上支持装置6の詳細は、後述する。
【0022】
また、外観検査装置1は、供給位置Aにある浮上支持装置6に媒体2が支持されているか、否かを検出する第1検出器11と、搬出位置Bにある浮上支持装置6に媒体2が支持されているか、否かを検出する第2検出器12と、を備える。第1検出器11および第2検出器12は、浮上支持装置6に向かって検査光を射出する検査光射出部13と、媒体2からの反射光を検出する検出部14とを備える。第1検出器11および第2検出器12は、各検出部14からの出力に基づいて、媒体2の有無を判定する。
【0023】
さらに、外観検査装置1は、レール5の延設方向の中程に、バーコードリーダ15と、撮像機構16と、を備える。バーコードリーダ15および撮像機構16は、レール5の上方に位置する。撮像機構16は、レール5に沿って移動する媒体2に照明光を照射する不図示のライトと、媒体2を撮像するカメラ17とを備える。カメラ17は、浮上支持装置6の移動方向と直交する方向に配列された複数の撮像素子を備えるラインカメラである。
【0024】
また、外観検査装置1は、図2に示すように、制御部20と、記憶装置21と、を備える。制御部20の入力側には、第1検出器11および第2検出器12が接続されている。制御部20の出力側には、浮上支持装置6および移動機構7が接続されている。また、制御部20には、記憶装置21、バーコードリーダ15および撮像機構16が通信可能に接続されている。制御部20は、浮上支持装置6を駆動した状態で、搬送装置から媒体2の供給を受ける。
【0025】
制御部20は、媒体2の搬送に際して、浮上支持装置6を動作させている。制御部20は、第1検出器11からの出力に基づいて供給位置Aにある浮上支持装置6に媒体2が供給されたことを検出すると、移動機構7を駆動して、浮上支持装置6を、供給位置Aから搬出位置Bに至る水平な移動経路25に沿って移動させる。移動経路25は、供給位置Aから搬出位置Bに至るまでの間に、バーコードリーダ15による読取位置Cおよびカメラ17による撮像位置Dを経由する。
【0026】
また、制御部20は、移動機構7の駆動とともに、バーコードリーダ15および撮像機構16を駆動する。これにより、バーコードリーダ15は、読取位置Cを通過する媒体2に印刷されたバーコードを読み取り、制御部20に送信する。撮像機構16は、カメラ1
7により撮像位置Dを通過する媒体2を撮像して、取得した画像データを制御部20に送信する。ここで、制御部20は、画像解析部23を備える。画像解析部23は、カメラ17からの画像データを解析して、媒体2の表面のキズを検出する。また、制御部20は、画像データおよびキズの検出結果を、バーコードの読取情報と関連付けて、記憶装置21に記憶保持する。
【0027】
また、制御部20は、第2検出器12からの出力に基づいて搬出位置Bにある浮上支持装置6から媒体2が搬出されたことを検出すると、移動機構7を駆動して、浮上支持装置6を搬出位置Bから供給位置Aに戻す。すなわち、不図示の搬送機構により、搬出位置Bにある浮上支持装置6から媒体2が搬出されると、制御部20は、浮上支持装置6を供給位置Aに戻す。
【0028】
以下の説明では、上下方向をZ軸方向とし、Z軸方向と垂直で互いに直交する2方向をX軸方向およびY軸方向とする。また、X軸方向を搬送経路25(レール5)に沿った方向とし、Y軸方向を搬送経路と直交する方向とする。さらに、X軸方向において、供給位置Aから搬出位置Bに向かう方向をX1方向、その反対をX2方向とする。
【0029】
(浮上支持装置)
図3は、浮上支持装置6の斜視図である。図4は、浮上支持装置6の分解斜視図である。図5は、吸着固定機構9の分解斜視図である。図6は、浮上支持装置6にシート状の媒体2を支持した状態の説明図である。図6は、浮上支持装置6における吸着用部材の周辺の縦断面図である。図3に示すように、浮上支持装置6は、非接触吸着盤8と、非接触吸着盤8に取り付けられた吸着固定機構9と、を備える。
【0030】
(非接触吸着盤)
非接触吸着盤8は、その上面の中央に、矩形の多孔質板31を備える。非接触吸着盤8は、多孔質板31の表面において、加圧空気の噴出による媒体2の浮上と、空気吸引による媒体2の非接触吸着とを同時に行い、上方から浮上支持装置6に供給された媒体2を多孔質板31の表面31aから浮上させる。非接触吸着盤8は、周知のものである。
【0031】
図4に示すように、非接触吸着盤8は、直方体形状の本体部分32と、本体部分32の上面の中央から上方に突出する矩形の突出部分33と、を備える。これにより、非接触吸着盤8は、上端部分におけるX軸方向の両端部分およびY軸方向の両端部分に4つの切欠き段部34~37を備える形状となっている。本体部分32には、加圧空気を非接触吸着盤8に供給するための第1ノズル38と、空気吸引を行うための第2ノズル39とが、それぞれ複数ずつ接続されている。第1ノズル38には、不図示の加圧空気供給機構が接続される。第2ノズル39には、不図示の空気吸引機構が接続される。突出部分33の中央には、多孔質板31が配置されている。多孔質板31の外周面には、本体部分32から上方に延びる矩形の枠板40が密着する。
【0032】
4つの切欠き段部34~37のうち、多孔質板31のX1方向でY軸方向に延びる第1切欠き段部34は、X1方向を向く壁面および上方を向く底面34aを有する。第1切欠き段部34は、本体部分32のY軸方向の一方端から他方端まで延びる。従って、第1切欠き段部34は、X1方向の側から見た場合に、多孔質板31のY軸方向の一方の端よりもY軸方向の一方側から、多孔質板31のY軸方向の他方側のよりもY軸方向の他方側まで延設されている。図3に示すように、吸着固定機構9は、非接触吸着盤8の第1切欠き段部34に固定されている。
【0033】
(吸着固定機構)
吸着固定機構9は、上面が複数の吸気口42aを有する吸着面41となっている吸着用
部材42と、吸着用部材42を保持するホルダ43と、を備える。吸着用部材42は、ホルダ43を介して、非接触吸着盤8に固定される。吸着用部材42が非接触吸着盤8に固定された状態では、図3に示すように、吸着用部材42は、多孔質板31のX1方向に位置する。吸着用部材42の吸着面41は、非接触吸着盤8の多孔質板31と平行で、多孔質板31の表面31aから所定距離だけ上方に位置する(後述する図6参照)。また、吸着固定機構9は、複数の吸気口42aと連通する空気流路45と、空気流路45に接続される吸気機構46と、を備える。
【0034】
図5に示すように、吸着用部材42は、四角柱形状の多孔質体である。多孔質体は、アルミナを主成分とする多孔質セラミックス、SiCを主成分とする多孔質セラミックス、或いは、通気性の多孔質カーボンから形成される。吸着用部材42は、Y軸方向に延設される。吸着用部材42は、上方を向く上面51と、上面51と平行で下方を向く下面52と、X1方向を向く第1側面53と、第1側面53と平行でX2方向を向く第2側面54と、を備える。また、吸着用部材42はY軸方向の両端で平行に延びる矩形の第3側面55および第4側面56を備える。吸着用部材42のY軸方向の寸法は、多孔質板31のY軸方向の寸法と同一か、または、僅かに短い。本例では、吸着用部材42のY軸方向の寸法は、多孔質板31のY軸方向の寸法よりも短く、X軸方向から見た場合に、吸着用部材42は、多孔質板31のY軸方向の中央に位置する。ここで、吸気口42aは、多孔質体からなる吸着用部材42の上面51の気孔である。吸着面41は、吸着用部材42の上面51である。
【0035】
ホルダ43は、X軸方向の幅が一定で、Y軸方向における吸着用部材42の一方端から他方端まで延びる矩形の板部61(下面密着部)を備える。また、ホルダ43は、板部61のX1方向の端部分から上方に突出してY軸方向に延びる上側突出部62(側面密着部)と、板部61のX1方向の端部分から下方に突出してY軸方向に延びる下側突出部63と、を備える。上側突出部62は、一定幅および一定高さで、板部61のY軸方向における一方端から他方端まで延びる。下側突出部63は、一定幅および一定高さで、板部61のY軸方向における一方端から他方端まで延びる。X軸方向における上側突出部62の幅寸法は、下側突出部63の幅寸法よりも長い。
【0036】
ここで、ホルダ43には、第1ノズル65、第2ノズル66、および第3ノズル67が保持されている。第1ノズル65は、上側突出部62におけるY軸方向の中央を貫通する。第2ノズル66は、上側突出部62のY軸方向における第1ノズル65とY軸方向の一方の端との中央を貫通する。第3ノズル67は、上側突出部62のY軸方向における第1ノズル65とY軸方向の他方端との中央を貫通する。各ノズル65~67のX1方向の端部分は、上側突出部62からX1方向に突出する。各ノズル65~67のX2方向の開口65a、66a、67aは、上側突出部62においてX2方向を向く壁面62a(密着面)に露出する。
【0037】
吸着用部材42は、板部61と上側突出部62とにより区画された段部68に保持される。図6に示すように、吸着用部材42が段部68に保持された状態では、板部61における上側突出部62よりもX2方向の側の部分は、吸着用部材42の下面52の全体に密着する。上側突出部62においてX2方向を向く壁面62aは、吸着用部材42の第1側面53に密着する。本例では、上側突出部62の高さ寸法は、吸着用部材42の第1側面53の高さ寸法よりも短い。従って、吸着用部材42は、上側突出部62よりも僅かに上方に突出する。このため、吸着用部材42の第1側面53の上端部分は、上側突出部62により覆われておらず、露出している。
【0038】
また、図5図6から分かるように、吸着用部材42がホルダ43に保持された状態では、第1ノズル65のX2方向の端(開口65a)、第2ノズル66のX2方向の端(開
口66a)、および第3ノズル67のX2方向の端(開口67a)は、吸着用部材42の第1側面53に密着する。より詳細には、第1ノズル65のX2方向の端(開口65a)は、Y軸方向における吸着用部材42の中央部分に接触する。第2ノズル66のX2方向の端(開口66a)は、吸着用部材42における第1ノズル65と吸着用部材42のY軸方向の一方の端との中間に接触する。第3ノズル67のX2方向の端(開口67a)は、吸着用部材42における第1ノズル65と吸着用部材42のY軸方向の他方の端との中間に接触する。ここで、吸着用部材42は多孔質体なので、各ノズル65~67の一方の開口が吸着用部材42に接触すると、吸気口42aである吸着用部材42の上面51(吸着面41)の気孔は、吸着用部材42の内部の気孔42b、および、第1側面53の気孔42cを介して、各ノズル65~67に接続される。すなわち、吸着用部材42がホルダ43に保持されると、各ノズル65~67から吸着用部材42の上面51の複数の吸気口42aに連通する空気流路45が形成される。各ノズル65~67は、空気流路45の一部である。
【0039】
次に、吸着固定機構9は、ホルダ43の板部61が非接触吸着盤8の第1切欠き段部34に載置されて非接触吸着盤8に固定される。吸着固定機構9が非接触吸着盤8に固定された状態では、下側突出部63が非接触吸着盤8の本体部分32にX1方向の側から当接する。また、吸着固定機構9が非接触吸着盤8に固定されたときに、非接触吸着盤8において多孔質板31の外周面を囲む枠板40のX1方向を向く端面40aは、吸着用部材42の第2側面54に密着する。枠板40の端面40aは、吸着用部材42の一方端から他方端まで延びる。また、端面40aは、吸着用部材42を介して、上側突出部62においてX2方向を向く壁面62a(第1側面53に密着するホルダ43の密着面)、および、この壁面62aに露出する各ノズル65~67の一方の開口65a、66a、67aと対向する。
【0040】
ここで、吸着固定機構9が非接触吸着盤8に固定されたときに、吸着面41である吸着用部材42の上面51は、非接触吸着盤8の多孔質板31の上面51から所定距離Hだけ上方に離間した位置にある。所定距離Hは、非接触吸着盤8が、媒体2を、多孔質板31から浮上させる距離と同一である。なお、本例では、吸着固定機構9を非接触吸着盤8に固定するときに、ホルダ43の板部61と、非接触吸着盤8の第1切欠き段部34の底面34aとに間にスペーサを配置することにより、吸着面41の位置を調節することができる。
【0041】
次に、吸気機構46は、イジェクターを備える。図4に鎖線で示すように、吸気機構46は、ホルダ43からX1方向に突出する突出部分に接続される。すなわち、吸気機構46は、空気流路45の一部である各ノズル65~67のX1方向の開口に接続される。従って、吸気機構46を駆動すれば、吸着用部材42の上面51の吸気口42aから空気を吸い込むことができる。
【0042】
(浮上支持装置による媒体の支持)
図1に白抜きの矢印で示すように、媒体2は、上方から供給位置Aにある浮上支持装置6に供給される。浮上支持装置6に供給される際に、媒体2は、複数の端子2aが配列された辺が搬出位置Bの側(X1方向)に位置する姿勢とされる。また、媒体2は、X1方向の端でY軸方向に延びる外周縁部分(複数の端子2aが配列された外周縁部分)が吸着用部材42と重なり、それよりもX2方向の部分が多孔質板31と重なるようにして、浮上支持装置6に供給される。
【0043】
ここで、外観検査装置1の制御部20は、浮上支持装置6を駆動した状態で、媒体2の供給を受ける。すなわち、制御部20は、非接触吸着盤8および吸着固定機構9(吸気機構46)を動作させた状態で媒体2の供給を受ける。従って、図6に示すように、浮上支
持装置6に供給された媒体2は、非接触吸着盤8の多孔質板31から上方に所定距離Hだけ浮上した状態となる。また、吸着固定機構9は、媒体2(OLED基板)の外周縁において、複数の端子2aがY軸方向に配列された外周縁部分を、多孔質板31から所定距離Hだけ上方に離間する吸着面41で吸着する。
【0044】
媒体2(OLED基板)において、吸着固定機構9により吸着固定されている外周縁部分は、制御部20が浮上支持装置6を供給位置Aから搬出位置Bに向かって移動させる際に、移動方向(X1方向)の前方に位置する。
【0045】
(作用効果)
本例の浮上支持装置6は、可撓性を有するシート状の媒体2を、多孔質板31から所定距離Hだけ浮上させた状態に維持する非接触吸着盤8と、非接触吸着盤8の多孔質板31と重ならない位置に固定された吸着固定機構9とを有する。吸着固定機構9は、複数の吸気口42aを備える吸着面41を備える吸着用部材42と、複数の吸気口42aに連通する空気流路45と、空気流路45に接続された吸気機構46と、を備える。吸着面41は、多孔質板31と平行で、多孔質板31から所定距離Hだけ上方に位置する。吸気機構46が駆動されると吸気口42aから空気が吸引され、媒体2の一部分が吸着面41に吸着される。
【0046】
本例によれば、浮上支持装置6に媒体2の供給を受けたときに、非接触吸着盤8は、シート状の媒体2を多孔質板31から上方に所定距離Hだけ浮上させる。従って、媒体2が多孔質板31に接触して媒体2に反りやうねりが発生することはなく、多孔質板31の上面51に塵埃が存在しても、媒体2に凹凸が発生することがない。一方、吸着固定機構9は、非接触吸着盤8の多孔質板31と重ならない位置に取り付けられており、多孔質板31から上方に所定距離Hだけ離間する位置に吸着面41を備える。また、非接触吸着盤8の多孔質板31から浮上した媒体2は、その一部分が吸着用部材42に吸着されて、多孔質板31と平行な水平方向への移動が阻止される。従って、媒体2は多孔質板31から浮上した状態で固定される。さらに、媒体2が多孔質板31から浮上している高さと、吸着用部材42の吸着面41の高さが一致しているので、媒体2が吸着用部材42に吸着されたときに、媒体2に、反りや、うねりが発生しない。
【0047】
本例において、多孔質板31を上方から見た場合の形状は、矩形である。吸着固定機構9は、吸着用部材42を保持するホルダ43を備える。吸着用部材42は、四角柱形状の多孔質体であり、多孔質板31の一つの縁に沿って多孔質板31と平行に延設される。吸着面41は、吸着用部材42の上面51であり、吸気口42aは、吸着用部材42の上面51の気孔である。空気流路45は、一方の開口が吸着用部材42の多孔質板31とは反対側の第1側面53に接触するノズル65、66、67を備える。ホルダ43は、吸着用部材42の一方端から他方端まで延びて吸着用部材42の下面52に密着する板部61(下面密着部)と、吸着用部材42の一方端から他方端まで延びて吸着用部材42の第1側面53に密着する上側突出部62(側面密着部)と、を備える。板部61は、非接触吸着盤8に固定される。ノズル65、66、67は、上側突出部62を貫通し、一方の開口が当該上側突出部62において第1側面53に密着する壁面62a(密着面)に露出する。吸気機構46は、上側突出部62の第1側面53とは反対側で外部に露出するノズルの他方の開口に接続される。また、非接触吸着盤8は、ホルダ43を非接触吸着盤8に固定したときに、吸着用部材42の第1側面53とは反対側を向く第2側面54に密着する端面(枠板40のX2方向を向く端面)を備える。端面は、吸着用部材42の一方端から他方端まで延びており、吸着用部材42を介して、密着面および密着面に露出するノズルの一方の開口と対向する。
【0048】
本例では、吸着用部材42が多孔質体なので、吸気口42aである吸着用部材42の上
面51の気孔は、吸着用部材42の内部の気孔42bおよび第1側面53の気孔42cを介して各ノズル65、66、67に接続される。従って、各ノズル65、66、67に接続された吸気機構46を駆動すれば、吸着用部材42の上面51の気孔から空気を吸い込むことができる。また、吸着用部材42の下面52と第1側面53には、ホルダ43が密着し、吸着用部材42において第1側面53とは反対側に位置する第2側面54には、非接触吸着盤8が密着する。また、非接触吸着盤8において吸着用部材42に密着する端面(枠板40の端面40a)は、吸着用部材42を介して、密着面および密着面に露出するノズル65、66、67の一方の開口と対向する。従って、ノズル65、66、67に接続された吸気機構46を駆動すれば、吸着用部材42の上面51の気孔(吸気口42a)から空気を吸い込むことができる。
【0049】
本例において、吸着用部材42は、Y軸方向に延設されている。空気流路45は、ノズル65、66、67として、Y軸方向における吸着用部材42の中央部分に接触する第1ノズル65と、第1ノズル65と吸着用部材42のY軸方向の一方の端との間に接触する第2ノズル66と、第1ノズル65と吸着用部材42のY軸方向の他方の端との間に接触する第3ノズル67と、を備える。従って、吸着用部材42の上面51におけるY軸方向の全域において、媒体2を吸着することが容易となる。また、媒体2を吸着するための吸気口42aが多孔質体からなる吸着用部材42の気孔であり、吸着用部材42の全体に形成されているので、吸着用部材42は、媒体2のY軸方向における媒体2の幅に拘わらず、媒体2を吸着できる。
【0050】
本例において、非接触吸着盤8は、多孔質板31のX1方向でY軸方向に延びる第1切欠き段部34を備える。第1切欠き段部34は、X1方向を向く壁面(枠板40の壁面40a)および上方を向く底面34aを有し、X1方向の側から見た場合に、多孔質板31のY軸方向の一方の端から他方の端まで延設される。板部61は、底面34aに固定される。ホルダ43が非接触吸着盤8に固定されたときに、壁面40aは、吸着用部材42の第2側面54に密着する。従って、ホルダ43を非接触吸着盤8に固定したときに、吸着用部材42の第2側面54に非接触吸着盤8の一部分を密着させることが容易である。
【0051】
本例において、媒体2は、矩形のOLED基板である。吸着固定機構9は、OLED基板の外周縁において、複数の端子2aがY軸方向に配列された外周縁部分を吸着する。従って、浮上支持装置6は、OLED基板において、外観検査の必要がない部分を吸着できる。
【0052】
次に、本例の外観検査装置1は、浮上支持装置6と、カメラ17と、浮上支持装置6を、カメラ17による撮像位置Dを経由する水平の移動経路25に沿って移動させる移動機構7と、を有する。多孔質板31と吸着固定機構9とが配列された配列方向をX軸方向、X軸方向において吸着固定機構9が位置する側をX1方向とした場合に、浮上支持装置6の移動方向は、X1方向である。本例によれば、浮上支持装置6を水平方向に移動させた場合でも、浮上支持装置6の非接触吸着盤8上で、媒体2が移動することがない。よって、非接触吸着盤8上で浮上させた媒体2を、撮像位置Dに移動させて、カメラ17により撮像できる。また、浮上支持装置6を移動させる際に、非接触吸着盤8の多孔質板31に対して、移動方向(X1方向)の前方に吸着固定機構9が位置する。従って、浮上支持装置6が移動する際に、媒体2の移動方向の前方が、吸着固定機構9に固定されている。よって、浮上支持装置6が移動する際に、媒体2に反りや撓みが発生することを防止或いは抑制できる。
【0053】
(変形例)
ホルダ43の板部61を、スペーサなどを介して、第1切欠き段部34の底面34aに固定してもよい。このようにすれば、スペーサにより、吸着用部材42の上面51である
吸着面41の高さ位置を調節できる。
【0054】
また、ホルダ43に、吸着用部材42の第2側面54に密着する壁部を備えてもよい。この場合、壁部は、板部61のX2方向の端縁から上方に延びて吸着用部材42の第2側面54に密着するものとすることができる。
【0055】
また、吸着用部材42は、上面51に複数の吸気口42aを備えるとともに、吸着用部材42の内部にノズルと吸気口42aとを連通させる内部流路を備えるものであれば、多項質体に限られない。
【0056】
なお、浮上支持装置6が支持する媒体2、および、検査装置により外観を検査する媒体2は、可撓性を有するシート状の媒体2であればよく、OLED基板に限られるものではない。すなわち、浮上支持装置6は、可撓性を有するシート状の媒体2を、反りや、うねり、塵埃に起因する凹凸を発生させることなく、支持できる。また、検査装置では、浮上支持装置6により支持された媒体2を撮像するので、シート状の媒体2の表面に掲載されたキズなどを、撮像データに基づいて、検出できる。
【符号の説明】
【0057】
1…外観検査装置、2…媒体、2a…端子、5…レール、6…浮上支持装置、7…移動機構、8…非接触吸着盤、9…吸着固定機構、11…第1検出器、12…第2検出器、13…検査光射出部、14…検出部、15…バーコードリーダ、16…撮像機構、17…カメラ、20…制御部、21…記憶装置、23…画像解析部、25…移動経路、31…多孔質板、31a…表面、32…本体部分、33…突出部分、34…第1切欠き段部、34a…底面、38…第1ノズル、39…第2ノズル、40…枠板、40a…端面、41…吸着面、42…吸着用部材、42a…吸気口、42b…内部の気孔、42c…第1側面の気孔、43…ホルダ、45…空気流路、46…吸気機構、51…上面、52…下面、53…第1側面、54…第2側面、55…第3側面、56…第4側面、61…板部(下面密着部)、62…上側突出部(側面密着部)、62a…壁面(密着面)、63…下側突出部、65~67…ノズル、65a~67a…ノズルの開口、68…段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6