(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051751
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 49/06 20060101AFI20240404BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20240404BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B65G49/06 A
B25J15/06 M
H01L21/68 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158067
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史朗
(72)【発明者】
【氏名】倉田 茂
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昇悟
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707NS10
3C707NS17
5F131AA10
5F131AA12
5F131AA13
5F131AA33
5F131CA24
5F131DA20
5F131DA42
5F131DB22
5F131DB62
5F131DB72
(57)【要約】
【課題】サイズの異なる媒体を搬送面から吸着して搬送する場合でも、媒体の外側にある吸着パッドを載置面に接触させることがない搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置1の吸着機構5は、第1吸着領域11の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第1吸着パッド12と、第1吸着領域11を内側に包含する第2吸着領域13の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第2吸着パッド14を備える。また、吸着機構5は、吸気機構60と、吸気機構60と第1吸着パッド12とを接続する第1吸気路61と、吸気機構60と第2吸着パッド14を接続する第2吸気路62と、第2吸気路62を継断する継断機構63と、第2吸着パッド14をZ軸方向で第1吸着パッド12と同一の吸着位置と、第1吸着パッド12よりもZ2方向に離間した退避位置との間で移動させる可動フレーム昇降機構23を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置された可撓性の媒体を吸着して搬送する搬送装置において、
前記媒体を吸着する吸着機構と、前記吸着機構を昇降させる昇降機構と、を備え、
互いに直交する3軸方向をX軸、Y軸方向、およびZ軸方向とし、上下方向をZ軸方向、Z1方向を下方、Z2方向を上方とした場合に、
前記吸着機構は、
前記Z軸方向から見た場合に前記載置面に予め設定された矩形の第1吸着領域の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第1吸着パッドと、
前記Z軸方向から見た場合に前記載置面上で前記第1吸着領域を内側に包含する第2吸着領域の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第2吸着パッドと、
吸気機構と、
前記吸気機構と前記第1吸着パッドとを接続する第1吸気路と、
前記吸気機構と前記第2吸着パッドとを接続する第2吸気路と、
前記第2吸気路を継断する継断機構と、
前記第2吸着パッドを、前記Z軸方向で前記第1吸着パッドと同一の吸着位置と、前記第1吸着パッドよりも上方に離間した退避位置との間で移動させる第2吸着パッド移動機構と、を備え、
前記第1吸着パッドにより前記媒体を吸着して搬送する際には、前記第2吸着パッドを前記退避位置に配置するとともに前記2吸気路を遮断した状態で前記吸気機構を駆動して前記吸気機構を下降させて前記第1吸着パッドを前記載置面上の前記媒体に接触させ、前記第1吸着パッドおよび前記第2吸着パッドにより前記媒体を吸着して搬送する際には、前記第2吸着パッドを前記吸着位置に配置するとともに前記第2吸気路を繋げた状態で前記吸気機構を駆動して前記吸気機構を下降させて前記第1吸着パッドおよび前記第2吸着パッドを前記載置面上の前記媒体に接触させることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記吸着機構は、基準フレームと、4つの前記第1吸着パッドを支持する固定フレームと、4つの前記第2吸着パッドを支持する可動フレームと、を有し、
前記固定フレームは、前記基準フレームに接続され、
前記第2吸着パッド移動機構は、前記可動フレームに接続されたエアシリンダーを備え、
前記エアシリンダーは、前記基準フレームに取り付けられて前記可動フレームを昇降させることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記エアシリンダーは、複動式のエアシリンダーであり、
前記第2吸着パッド移動機構は、前記エアシリンダーを駆動するための電磁弁を備え、
前記電磁弁は、前記可動フレームを下降させる際に圧力を印加する前記エアシリンダーの第1ポートに連通する第1空気供給路と、前記可動フレームを上昇させる際に圧力を印加する前記エアシリンダーの第2ポートに連通する第2空気供給路と、を切り替え、
前記継断機構は、前記第2吸気路を開閉するノーマルクロース型のエアゲートバルブと、前記エアゲートバルブに動作用空気を供給するためのバルブ動作用空気供給路と、を備え、
前記バルブ動作用空気供給路は、前記第1空気供給路に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
上下方向と垂直で互いに直交する2方向をX軸方向およびY軸方向とした場合に、
前記上下方向から見た場合に、前記第1吸着領域は、前記X軸方向で対向し前記Y軸方向に延びる第1吸着領域第1辺および第1吸着領域第2辺を備え、
前記上下方向から見た場合に、前記第2吸着領域は、X軸方向で対向しY方向に延びる第2吸着領域第1辺および第2吸着領域第2辺を備え、
前記第1吸着領域は、前記第2吸着領域の中央に位置することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項5】
4つの前記第1吸着パッドのそれぞれは、第1位置調節機構を介して前記固定フレームに取り付けられており、前記第1位置調節機構は、前記上下方向から見た場合に、各第1吸着パッドが前記固定フレーム上で前記第1吸着領域の中心から径方向に第1距離だけ移動することを許容する第1移動許容部と、前記第1吸着パッドを、前記径方向への移動を阻止した状態で前記固定フレームに固定する第1固定機構と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
4つの前記第2吸着パッドのそれぞれは、第2位置調節機構を介して前記可動フレームに取り付けられており、
前記第2位置調節機構は、前記上下方向から見た場合に、各第2吸着パッドが前記可動フレーム上で前記径方向に第2距離だけ移動することを許容する第2移動許容部と、前記第2吸着パッドを、前記径方向への移動を阻止した状態で、前記可動フレームに固定する第2固定機構と、を備え、
前記第2距離は、前記第1距離よりも長いことを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記可動フレームは、ベースフレームと、前記第2移動許容部を備え、前記ベースフレームの外周側で放射状に延びる4本の延設フレームと、各延設フレームを前記ベースフレームに固定する延設フレーム固定機構と、を備え、
前記延設フレーム固定機構は、前記ベースフレームにおける各延設フレームの前記固定位置を、第1位置と、前記第1位置から周方向にずれた第2位置との間で変更可能であり、
前記第2移動許容部は、前記延設フレームが前記第1位置に固定されたときに、前記第2吸着パッドの前記径方向への移動を許容するものとなり、前記延設フレームが前記第2位置に固定されたときに、前記第2吸着パッドの前記径方向からズレた方向への移動を許容するものとなることを特徴とする請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記上下方向から見た場合に前記第2吸着領域と重なる位置において、周方向で互いに隣り合う2つの前記第2吸着パッドの間にそれぞれ配置された4つの第3吸着パッドを備え、
前記第3吸着パッドは、前記可動フレームに取り付けられて、前記第2吸気路に接続されることを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【請求項9】
上下方向と垂直で互いに直交する2方向をX軸方向およびY軸方向とした場合に、
前記上下方向から見た場合に、前記第1吸着領域は、前記X軸方向で対向し前記Y軸方向に延びる第1吸着領域第1辺および第1吸着領域第2辺を備え、
前記上下方向から見た場合に、前記第2吸着領域は、X軸方向で対向しY方向に延びる第2吸着領域第1辺および第2吸着領域第2辺を備え、
前記上下方向から見た場合に、前記第1吸着領域第1辺は、前記第2吸着領域第1辺のY方向の中央で当該第2吸着領域第1辺と重なることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項10】
4つの前記第1吸着パッドのそれぞれは、第1位置調節機構を介して前記固定フレームに取り付けられており、
前記第1位置調節機構は、前記上下方向から見た場合に、各第1吸着パッドが前記固定フレーム上で前記Y軸方向に第1距離だけ移動することを許容する第1移動許容部と、前記第1吸着パッドを、前記Y軸方向への移動を阻止した状態で前記固定フレームに固定す
る第1固定機構と、を備えることを特徴とする請求項9に記載の搬送装置。
【請求項11】
4つの前記第2吸着パッドのそれぞれは、第2位置調節機構を介して前記可動フレームに取り付けられており、
前記第2位置調節機構は、前記上下方向から見た場合に、各第2吸着パッドが前記可動フレーム上で前記Y軸方向に第2距離だけ移動することを許容する第2移動許容部と、前記第2吸着パッドを、前記Y軸方向への移動を阻止した状態で、前記可動フレームに固定する第2固定機構と、を備え、前記第2距離は、前記第1距離よりも長いことを特徴とする請求項10に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記可動フレームは、Y軸方向で対向してX軸方向に延びる一対のレールフレームと、各レールフレームから内周側に向かってY軸方向を互いに接近する方向に延びる2本の延設フレームと、前記一対の前記レールフレームに前記X軸方向に移動可能な状態で架け渡されてY軸方向に延びる架け渡しフレームと、前記架け渡しフレームを、前記X軸方向への移動を阻止した状態で前記レールフレームに固定する架け渡しフレーム固定機構と、を備え、
前記上下方向から見た場合に、前記架け渡しフレームは、前記第1吸着領域第2辺の前記第1吸着領域第1辺とは反対側に位置し、
4つの前記第2吸着パッドのうちの2つは、それぞれ前記第2位置調節機構を介して、各延設フレームに固定され、
4つの前記第2吸着パッドのうちの他の2つは、それぞれ前記第2位置調節機構を介して、前記架け渡しフレームに取り付けられていることを特徴とする請求項11に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記上下方向から見た場合に、前記第2吸着領域と重なり、前記第1吸着領域第2辺と前記第2吸着領域第2辺との間において、前記Y軸方向で離間して配置された2つの第3吸着パッドを備え、
前記第3吸着パッドは、前記可動フレームに取り付けられて、前記第2吸気路に接続されることを特徴とする請求項9に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置面に配置された媒体を吸着パッドにより吸着して搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板などの可撓性のある媒体を、複数の吸着バッドを備える搬送アームで搬送する搬送装置は、特許文献1に記載されている。同文献では、搬送アームの各吸着パッドには、真空配管が接続されている。載置面に配置された媒体を吸着保持する際には、吸着パッドに真空を供給するとともに、搬送アームを載置面に向かって下降させて、全ての吸着パッドのパッド部を媒体に接触させる。これにより、各吸着パッドに媒体が吸着された状態となると、搬送装置は、搬送アームを上昇させて、媒体を所定の場所に移動させて、各吸着パッドへの真空の供給を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、サイズの異なる複数種類の媒体の搬送を、複数の吸着パッドを備える搬送装置で行うことが考えられる。しかし、大きな媒体を搬送可能な搬送装置によって、それよりも小さな媒体を搬送しようとすると、載置面に配置された媒体を吸着する際に、複数の吸着パッドのうちのいくつかの吸着パッドが、媒体の外周側に位置してしまう。従って、搬送アームを載置面に向かって下降させたときに、媒体の外周側に位置するいくつかの吸着パッドは、媒体に接触せず、載置面に接触することになる。ここで、媒体に接触させることを目的とする吸着パッドが、媒体ではなく、載置面に接触すると、吸着パッドに磨耗や傷が発生する場合がある。
【0005】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、サイズの異なる媒体を搬送面から吸着して搬送する場合でも、媒体の外側に位置する吸着パッドを載置面に接触させることがない搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、載置面に載置された可撓性の媒体を吸着して搬送する搬送装置において、前記媒体を吸着する吸着機構と、前記吸着機構を昇降させる昇降機構と、を備え、互いに直交する3軸方向をX軸、Y軸方向、およびZ軸方向とし、上下方向をZ軸方向、Z1方向を下方、Z2方向を上方とした場合に、前記吸着機構は、前記Z軸方向から見た場合に前記載置面に予め設定された矩形の第1吸着領域の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第1吸着パッドと、前記Z軸方向から見た場合に前記載置面上で前記第1吸着領域を内側に包含する第2吸着領域の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第2吸着パッドと、吸気機構と、前記吸気機構と前記第1吸着パッドとを接続する第1吸気路と、前記吸気機構と前記第2吸着パッドとを接続する第2吸気路と、前記第2吸気路を継断する継断機構と、前記第2吸着パッドを、前記Z軸方向で前記第1吸着パッドと同一の吸着位置と、前記第1吸着パッドよりも上方に離間した退避位置との間で移動させる第2吸着パッド移動機構と、を備え、前記第1吸着パッドにより前記媒体を吸着して搬送する際には、前記第2吸着パッドを前記退避位置に配置するとともに前記2吸気路を遮断した状態で前記吸気機構を駆動して前記吸気機構を下降させて前記第1吸
着パッドを前記載置面上の前記媒体に接触させ、前記第1吸着パッドおよび前記第2吸着パッドにより前記媒体を吸着して搬送する際には、前記第2吸着パッドを前記吸着位置に配置するとともに前記第2吸気路を繋げた状態で前記吸気機構を駆動して前記吸気機構を下降させて前記第1吸着パッドおよび前記第2吸着パッドを前記載置面上の前記媒体に接触させることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、吸着機構は、第1吸着領域の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第1吸着パッドと、第1吸着領域を包含する第2吸着領域の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第2吸着パッドを備える。また、4つの第2吸着パッドは、吸着位置と、吸着位置から上方に退避した退避位置に移動可能である。従って、大きなサイズの媒体を搬送する際には、第2吸着パッドを第1位置と同じ高さ位置の吸着位置に配置した状態で吸着機構を下降させることにより、第1吸着パッドおよび第2吸着パッドを媒体に接触させて、第1吸着パッドおよび第2吸着パッドにより媒体を吸着する。すなわち、大きなサイズの媒体は、4つの第1吸着パッドとともに、4つの第1吸着パッドの外側に位置する4つの吸着パッドで吸着する。従って、媒体が可撓性を備える場合でも、搬送時に媒体が撓むことを防止、或いは、抑制できる。ここで、搬送時に媒体が撓むと、特定の吸着パッドに負荷がかかり、媒体が落下する事態を招くことがあるが、本発明によれば、このような事態の発生を防止、或いは、抑制できる。この一方、小さいサイズの媒体を搬送する際には、第2吸着パッドを退避位置に配置した状態で吸着機構を下降させる。これにより、第2吸着パッドが載置面に接触することを回避しながら第1吸着パッドのみ媒体に接触させて、第1吸着パッドにより媒体を吸着する。よって、第2吸着パッドが載置面に接触することにより、磨耗や傷が発生することを防止或いは抑制できる。
【0008】
本発明において、前記吸着機構は、基準フレームと、4つの前記第1吸着パッドを支持する固定フレームと、4つの前記第2吸着パッドを支持する可動フレームと、を有し、前記固定フレームは、前記基準フレームに接続され、前記第2吸着パッド移動機構は、前記可動フレームに接続されたエアシリンダーを備え、前記エアシリンダーは、前記基準フレームに取り付けられて前記可動フレームを昇降させるものとすることができる。このようにすれば、4つの第2吸着パッドを昇降させることが容易である。
【0009】
本発明において、前記エアシリンダーは、複動式のエアシリンダーであり、前記第2吸着パッド移動機構は、前記エアシリンダーを駆動するための電磁弁を備え、前記電磁弁は、前記可動フレームを下降させる際に圧力を印加する前記エアシリンダーの第1ポートに連通する第1空気供給路と、前記可動フレームを上昇させる際に圧力を印加する前記エアシリンダーの第2ポートに連通する第2空気供給路と、を切り替え、前記継断機構は、前記第2吸気路を開閉するノーマルクロース型のエアゲートバルブと、前記エアゲートバルブに動作用空気を供給するためのバルブ動作用空気供給路と、を備え、前記バルブ動作用空気供給路は、前記第1空気供給路に接続されているものとすることができる。このようにすれば、第2吸着パッドが取り付けらえた可動フレームを下降させるために、エアシリンダーの第1ポートに連通する第1空気供給路に圧縮空気を供給すると、この圧縮空気は、第1空気供給路からバルブ動作用空気供給路を介して、エアゲートバルブにも供給される。これにより、エアゲートバルブが第2吸気路を開くので、第2吸着パッドは媒体を吸着可能な状態となる。すなわち、第2吸着パッドが退避位置から吸気位置に移動したときに、第2吸着パッドは、自動的に、媒体を吸着可能な状態となる。
【0010】
本発明において、上下方向と垂直で互いに直交する2方向をX軸方向およびY軸方向とした場合に、前記上下方向から見た場合に、前記第1吸着領域は、前記X軸方向で対向し前記Y軸方向に延びる第1吸着領域第1辺および第1吸着領域第2辺を備え、前記上下方向から見た場合に、前記第2吸着領域は、X軸方向で対向しY方向に延びる第2吸着領域第1辺および第2吸着領域第2辺を備え、前記第1吸着領域は、前記第2吸着領域の中央
に位置するものとすることができる。このようにすれば、媒体を第1吸着パッドおよび第2吸着パッドで吸引する際に、第1吸着パッドは、媒体の中央部分を吸引し、第2吸着パッドは、媒体の外周側部分を吸着する。よって、搬送時に媒体が撓むことを防止、或いは、抑制しやすい。
【0011】
本発明において、4つの前記第1吸着パッドのそれぞれは、第1位置調節機構を介して前記固定フレームに取り付けられており、前記第1位置調節機構は、前記上下方向から見た場合に、各第1吸着パッドが前記固定フレーム上で前記第1吸着領域の中心から径方向に第1距離だけ移動することを許容する第1移動許容部と、前記第1吸着パッドを、前記径方向への移動を阻止した状態で前記固定フレームに固定する第1固定機構と、を備えるものとすることができる。このようにすれば、4つの第1吸着パッドのそれぞれの位置を、第1吸着領域の中心から見た径方向で調節できる。従って、サイズの異なる媒体に対応することが容易となる。
【0012】
本発明において、4つの前記第2吸着パッドのそれぞれは、第2位置調節機構を介して前記可動フレームに取り付けられており、前記第2位置調節機構は、前記上下方向から見た場合に、各第2吸着パッドが前記可動フレーム上で前記径方向に第2距離だけ移動することを許容する第2移動許容部と、前記第2吸着パッドを、前記径方向への移動を阻止した状態で、前記可動フレームに固定する第2固定機構と、を備え、前記第2距離は、前記第1距離よりも長いものとすることができる。このようにすれば、4つの第2吸着パッドのそれぞれの位置を、第1吸着領域の中心から見た径方向で調節できる。また、第2吸着パッドの径方向の位置を、比較的長い第2距離で調節できる。従って、サイズの異なる媒体に対応することが容易となる。
【0013】
本発明において、前記可動フレームは、ベースフレームと、前記第2移動許容部を備え、前記ベースフレームの外周側で放射状に延びる4本の延設フレームと、各延設フレームを前記ベースフレームに固定する延設フレーム固定機構と、を備え、前記延設フレーム固定機構は、前記ベースフレームにおける各延設フレームの前記固定位置を、第1位置と、前記第1位置から周方向にずれた第2位置との間で変更可能であり、前記第2移動許容部は、前記延設フレームが前記第1位置に固定されたときに、前記第2吸着パッドの前記径方向への移動を許容するものとなり、前記延設フレームが前記第2位置に固定されたときに、前記第2吸着パッドの前記径方向からズレた方向への移動を許容するものとなることができる。このようにすれば、各第2吸着パッドを、第1吸着領域の中心から見た径方向、および径方向と交差する方向で調節できる。
【0014】
本発明において、前記上下方向から見た場合に前記第2吸着領域と重なる位置において、周方向で互いに隣り合う2つの前記第2吸着パッドの間にそれぞれ配置された4つの第3吸着パッドを備え、前記第3吸着パッドは、前記可動フレームに取り付けられて、前記第2吸気路に接続されるものとすることができる。このようにすれば、大きいサイズの媒体を搬送する際に、媒体を、第1吸着パッド、第2吸着パッド、および第3吸着パッドで吸着できる。従って、吸着した媒体が撓むことを抑制できる。
【0015】
次に、本発明では、上下方向と垂直で互いに直交する2方向をX軸方向およびY軸方向とした場合に、前記上下方向から見た場合に、前記第1吸着領域は、前記X軸方向で対向し前記Y軸方向に延びる第1吸着領域第1辺および第1吸着領域第2辺を備え、前記上下方向から見た場合に、前記第2吸着領域は、X軸方向で対向しY方向に延びる第2吸着領域第1辺および第2吸着領域第2辺を備え、前記上下方向から見た場合に、前記第1吸着領域第1辺は、前記第2吸着領域第1辺のY方向の中央で当該第2吸着領域第1辺と重なるものとすることができる。このようにすれば、媒体を第1吸着パッドおよび第2吸着パッドで吸引する際に、第1吸着パッドは、媒体においてX軸方向の一方側に偏在する領域
を吸着し、第2吸着パッドは、第1吸着パッドが媒体を吸引する領域のY軸方向の両側および第1吸着パッドが媒体を吸引する領域のX2方向を吸着する。
【0016】
本発明において、4つの前記第1吸着パッドのそれぞれは、第1位置調節機構を介して前記固定フレームに取り付けられており、前記第1位置調節機構は、前記上下方向から見た場合に、各第1吸着パッドが前記固定フレーム上で前記Y軸方向に第1距離だけ移動することを許容する第1移動許容部と、前記第1吸着パッドを、前記Y軸方向への移動を阻止した状態で前記固定フレームに固定する第1固定機構と、を備えるものとすることができる。このようにすれば、4つの第1吸着パッドのそれぞれの位置を、Y方向で調節できる。
【0017】
本発明において、4つの前記第2吸着パッドのそれぞれは、第2位置調節機構を介して前記可動フレームに取り付けられており、前記第2位置調節機構は、前記上下方向から見た場合に、各第2吸着パッドが前記可動フレーム上で前記Y軸方向に第2距離だけ移動することを許容する第2移動許容部と、前記第2吸着パッドを、前記Y軸方向への移動を阻止した状態で、前記可動フレームに固定する第2固定機構と、を備え、前記第2距離は、前記第1距離よりも長いものとすることができる。このようにすれば、4つの第2吸着パッドのそれぞれの位置を、Y軸方向で調節できる。また、第2吸着パッドのY軸方向の位置を、比較的長い第2距離で調節できる。
【0018】
本発明において、前記可動フレームは、Y軸方向で対向してX軸方向に延びる一対のレールフレームと、各レールフレームから内周側に向かってY軸方向を互いに接近する方向に延びる2本の延設フレームと、前記一対の前記レールフレームに前記X軸方向に移動可能な状態で架け渡されてY軸方向に延びる架け渡しフレームと、前記架け渡しフレームを、前記X軸方向への移動を阻止した状態で前記レールフレームに固定する架け渡しフレーム固定機構と、を備え、前記上下方向から見た場合に、前記架け渡しフレームは、前記第1吸着領域第2辺の前記第1吸着領域第1辺とは反対側に位置し、4つの前記第2吸着パッドのうちの2つは、それぞれ前記第2位置調節機構を介して、各延設フレームに固定され、4つの前記第2吸着パッドのうちの他の2つは、それぞれ前記第2位置調節機構を介して、前記架け渡しフレームに取り付けられているものとすることができる。このようにすれば、2つの第2吸着パッドの位置を、X軸方向で調節できる。
【0019】
本発明において、前記上下方向から見た場合に、前記第2吸着領域と重なり、前記第1吸着領域第2辺と前記第2吸着領域第2辺との間において、前記Y軸方向で離間して配置された2つの第3吸着パッドを備え、前記第3吸着パッドは、前記可動フレームに取り付けられて、前記第2吸気路に接続されるものとすることができる。このようにすれば、大きいサイズの媒体を搬送する際に、媒体を、第1吸着パッド、第2吸着パッド、および第3吸着パッドで吸着できる。従って、吸着した媒体が撓むことを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、大きなサイズの媒体を搬送する際には、第2吸着パッドを第1位置と同じ高さ位置の吸着位置に配置した状態で吸着機構を下降させることにより、第1吸着パッドおよび第2吸着パッドを媒体に接触させて、第1吸着パッドおよび第2吸着パッドにより媒体を吸着する。この一方、小さいサイズの媒体を搬送する際には、第2吸着パッドを退避位置に配置した状態で吸着機構を下降させる。これにより、第2吸着パッドが載置面に接触することを回避しながら第1吸着パッドのみ媒体に接触させて、第1吸着パッドにより媒体を吸着する。よって、第2吸着パッドが載置面に接触することにより、磨耗や傷が発生することを防止或いは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1の搬送装置を下方から見た場合の平面図である。
【
図3】固定フレーム、および第1吸着パッドの斜視図である。
【
図4】ベースフレーム、一本の延設フレーム、第2吸着パッドの斜視図である。
【
図5】エアシリンダーの駆動系および吸気パッドの吸気系の回路図である。
【
図6】第1吸着領域に対応する媒体を吸着する吸着機構の側面図である。
【
図7】第2吸着領域に対応する媒体を吸着する吸着機構の側面図である。
【
図9】
図8の搬送装置を下方から見た場合の平面図である。
【
図10】固定フレーム、および第1吸着パッドの斜視図である。
【
図11】可動フレーム、第2吸着パッド、第3吸着パッドの斜視図である。
【
図12】第1吸着領域に対応する媒体を吸着する吸着機構の側面図である。
【
図13】第2吸着領域に対応する媒体を吸着する吸着機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を適用した搬送装置の実施の形態を説明する。
【0023】
(実施例1)
図1は、本発明を適用した搬送装置の斜視図である。
図2は、搬送装置を下方から見た場合の平面図である。
図3は、固定フレーム、および第1吸着パッドの斜視図である。
図4は、ベースフレーム、一本の延設フレーム、および第2吸着パッドの斜視図である。
【0024】
図1に示すように、本例の搬送装置1は、載置面2に配置された可撓性のある媒体3を搬送する。媒体3は、シート状であり、矩形である。本例では、媒体3は、OLED基板である。OLED基板とは、薄膜トランジスタと、有機EL素子を有するOLEDと、薄膜封止層とが積層されているものである。OLED基板は、平面形状が矩形である。
【0025】
搬送装置1は、載置面2上の媒体3を吸着する吸着機構5と、吸着機構5を昇降させる昇降機構6と、昇降機構6を、載置面2と平行な方向に移動させる移動機構7を備える。昇降機構6は、移動機構7に支持されている。昇降機構6は、吸着機構5を上下方向に移動させるための不図示のアクチュエータを備える。なお、以下の説明では、互いに直交する3軸方向をX軸、Y軸、およびZ軸とする。また、X軸に沿った方向をX軸方向、Y軸に沿った方向をY軸方向、Z軸に沿った方向をZ軸方向とする。さらに、X軸方向の一方をX1方向、他方をX2方向、Y軸方向の一方をY1方向、他方をY2方向、Z軸方向の一方をZ1方向、他方をZ2方向とする。載置面2は、X軸方向およびY軸方向に広がる平面である。Z軸方向は上下方向である。Z1方向は下方であり、Z2方向は上方である。
【0026】
(吸着機構)
図2に示すように、吸着機構5は、載置面2に予め設定された矩形の第1吸着領域11の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第1吸着パッド12と、Z軸方向から見た場合に載置面2上で第1吸着領域11を内側に包含する第2吸着領域13の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第2吸着パッド14と、を備える。さらに、吸着機構5は、Z軸方向から見た場合に第2吸着領域13と重なる位置において、周方向で互いに隣り合う2つの第2吸着パッド14の間にそれぞれ配置された4つの第3吸着パッド15を備える。
【0027】
図1、
図2に示すように、第1吸着領域11は、Z軸方向から見た場合、X軸方向で対向しY方向に延びる第1吸着領域第1辺11aおよび第1吸着領域第2辺11bと、Y方向で対向しX軸方向に延びる第1吸着領域第3辺11cおよび第1吸着領域第4辺11d
と、を備える。第1吸着領域11は、X軸方向に対してY方向が長い長方形である。また、第2吸着領域13は、Z軸方向から見た場合、X軸方向で対向しY方向に延びる第2吸着領域第1辺13aおよび第2吸着領域第2辺13bと、Y方向で対向しX軸方向に延びる第2吸着領域第3辺13cおよび第2吸着領域第4辺13dと、を備える。第2吸着領域13は、X軸方向に対してY方向が長い長方形である。第1吸着領域11は、前記第2吸着領域13の中央に位置する。
【0028】
第1吸着パッド12、第2吸着パッド14、および第3吸着パッド15は、同一の部材である。
図1、
図3に示すように、第1吸着パッド12、第2吸着パッド14、および第3吸着パッド15は、それぞれパッド部16と軸部17と、備える。パッド部16は、樹脂製であり、変形可能である。軸部17は、内部にパッド部16に連通する空気流路を備える。軸部17は、上下方向の途中に径方向外側に突出するフランジ部18を備える。また、軸部17は、上端部分に雄ねじを備える。
【0029】
また、吸着機構5は、
図1に示すように、昇降機構6に接続された基準フレーム20を備える。また、吸着機構5は、
図2に示すように、第1吸着パッド12が取り付けられた固定フレーム21と、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15が取り付けられた可動フレーム22と、を備える。さらに、
図1に示すように、吸着機構5は、可動フレーム22を昇降させる可動フレーム昇降機構23(第2吸着パッド移動機構を備える。可動フレーム昇降機構23は、可動フレーム22に接続されたエアシリンダー24を備える。エアシリンダー24は、基準フレーム20に固定されて、可動フレーム22を昇降させる。本例では、2本のエアシリンダー24を備える。
【0030】
図1に示すように、基準フレーム20は、矩形の枠部25と、枠部25の中心からZ1方向に延びる筒部26と、筒部26の上側部分から径方向外側に延びて筒部26と枠部25とを接続する接続部27と、を有する。2本のエアシリンダー24は、筒部26のY軸方向の両側に固定されている。筒部26の下端には、固定フレーム21が固定されている。
図3に示すように、固定フレーム21は、Z軸方向から見た場合に長方形形状の輪郭を備える板部28と、板部28の四隅から径方向外側に突出する4つの突出部29を備える。板部28の中央は筒部26に固定されている。4つの第1吸着パッド12のそれぞれは、第1位置調節機構30を介して、固定フレーム21に固定されている。
【0031】
図3に示すように、第1位置調節機構30は、各第1吸着パッド12が固定フレーム21上で第1吸着領域11の中心Pから径方向に第1距離D1だけ移動することを許容する第1移動許容部31と、第1吸着パッド12を、径方向への移動を阻止した状態で固定フレーム21に固定する第1固定機構32と、を備える。第1移動許容部31は、板部28の四隅から突出部29に至る4つの第1長穴21aである。各第1吸着パッド12は、第1長穴21aに軸部17のフランジ部18よりも上方を貫通させた状態で、上方から軸部17に捩じ込まれる第1止めネジ33により、固定フレーム21に固定される。第1止めネジ33は、第1吸着パッド12を固定フレーム21に固定する第1固定機構32である。
【0032】
図2に示すように、可動フレーム22は、ベースフレーム35と、ベースフレーム35の外周側で放射状に延びる4本の延設フレーム36と、各延設フレーム36をベースフレーム35に固定する延設フレーム固定機構37と、を備える。
図2、
図4から分かるように、4つの第2吸着パッド14のそれぞれは、第2位置調節機構38を介して、4本の延設フレーム36のそれぞれに固定されている。
【0033】
図4に示すように、第2位置調節機構38は、各第2吸着パッド14が延設フレーム36上で第1吸着領域11の中心Pから径方向に第2距離D2だけ移動することを許容する
第2移動許容部39と、第2吸着パッド14を、径方向への移動を阻止した状態で延設フレーム36に固定する第2固定機構40と、を備える。第2移動許容部39は、各延設フレーム36において径方向に延びる第2長穴36aである。各第2吸着パッド14は、第2長穴36aに軸部17のフランジ部18よりもZ2方向の部分を貫通させた状態で、Z2方向の側から軸部17に捩じ込まれる第2止めネジ41により、延設フレーム36に固定される。第2止めネジ41は、第2吸着パッド14を固定フレーム21に固定する第2固定機構40である。
【0034】
ここで、ベースフレーム35は、Z軸方向から見た場合に六角形の枠状板部分42と、枠状板部分42においてX軸方向およびY軸方向に延びる4辺から径方向外側に突出する4つの突出板部43と、を備える。
図2に示すように、吸着機構5をZ軸方向から見た場合に、固定フレーム21は、枠状板部分42の内周側に位置する。従って、エアシリンダー24の動作により可動フレーム22が昇降する際に、可動フレーム22と固定フレーム21とは、干渉しない。
【0035】
図4に示すように、延設フレーム固定機構37は、各延設フレーム36の内周側の端縁を、枠状板部分42において、X軸およびY軸と交差する方向に延びる4辺のそれぞれに沿わせた状態で固定する。また、延設フレーム固定機構37は、ベースフレーム35における各延設フレーム36の固定位置を、X軸およびY軸と交差する方向に延びる枠状板部分42の4辺に沿った第1位置と第2位置との間で変更可能である。より具体的には、延設フレーム固定機構37は、各延設フレーム36の移動を許容するフレーム移動許容部45と、延設フレーム36を枠状板部分42に固定するフレーム固定機構46と、を備える。フレーム移動許容部45は、枠状板部分42において、X軸およびY軸と交差する方向に延びる4辺のそれぞれに設けられた長穴42aを備える。フレーム固定機構46は、各延設フレーム36の内周側部分の下面に固定されて内周側に延び、枠状板部分42の下面に面接触する接続板47と、接続板47からZ軸方向に延びる固定用軸部48と、長穴42aをZ軸方向に貫通した固定用軸部48にZ2方向の側から取り付けられて、接続板47を枠状板部分42に密着させた状態で固定する固定具49と、を備える。
【0036】
ここで、延設フレーム固定機構37により、各延設フレーム36が固定フレーム21の各突出部29の外周側に位置する第1位置に固定されると、第2移動許容部39は第2吸着パッド14の径方向への移動を許容するものとなる。すなわち、
図2に示すように、各延設フレーム36が第1位置に固定されると、各延設フレーム36に設けられた長穴42aが第1吸着領域11の中心Pから径方向に延びる。また、延設フレーム固定機構37により、各延設フレーム36第1位置とは異なる位置(第2位置)に固定されると、第2移動許容部39は第2吸着パッド14の径方向からズレた方向への移動を許容するものとなる。すなわち、各延設フレーム36が第2位置に固定されると、各延設フレーム36に設けられた長穴42aは、径方向と交差する方向に延びる。
【0037】
次に、ベースフレーム35における突出板部43には、それぞれ、第3位置調節機構51を介して、第3吸着パッド15が取り付けられる。
図4に示すように、第3位置調節機構51は、各第3吸着パッド15が突出板部43の延設方向に移動することを許容する第3移動許容部52と、第3吸着パッド15を、突出板部43に固定する第3固定機構53と、を備える。第3移動許容部52は、突出板部43に設けられた第3長穴43aである。各第3吸着パッド15は、第3長穴43aに軸部17のフランジ部18よりもZ2方向の部分を貫通させた状態で、Z2方向の側から軸部17に捩じ込まれる第3止めネジ54により、突出板部43に固定される。第3止めネジ54は、第3吸着パッド15を固定フレーム21に固定する第3固定機構53である。
【0038】
(エアシリンダーの駆動系および吸気パッドの吸気系)
図5は、エアシリンダー24の駆動系および吸気パッドの吸気系の回路図である。
図5(a)は、エアシリンダー24が可動フレーム22を上昇させた状態である。
図5(b)は、エアシリンダー24が可動フレーム22を下降させた状態である。
図5に示すように、可動フレーム昇降機構23は、エアシリンダー24と、エアシリンダー24を駆動するための電磁弁55を備える。エアシリンダー24は複動式である。電磁弁55は、可動フレーム22を下降させる際に圧力を印加するエアシリンダー24の第1ポート24aに連通する第1空気供給路56と、可動フレーム22を上昇させる際に圧力を印加するエアシリンダー24の第2ポート24bに連通する第2空気供給路57と、を切り替える。
【0039】
一方、第1吸着パッド12、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15の吸気系は、吸気機構60と、吸気機構60と第1吸着パッド12とを接続する第1吸気路61と、吸気機構60と第2吸着パッド14および第3吸着パッド15とを接続する第2吸気路62と、第2吸気路62を継断する継断機構63と、を備える。継断機構63は、第2吸気路62を開閉するノーマルクロース型のエアゲートバルブ64と、エアゲートバルブ64に動作用空気を供給するためのバルブ動作用空気供給路65と、を備える。バルブ動作用空気供給路65は、第1空気供給路56に接続されている。
【0040】
(搬送装置の動作)
図6は、第1吸着領域11に対応する媒体3を吸着する状態をX軸方向から見た場合の吸着機構5の側面図である。
図7は、第2吸着領域13に対応する媒体3を吸着する状態をX軸方向から見た場合の吸着機構5の側面図である。
【0041】
第1吸着領域11に対応する小さいサイズの媒体3を搬送する場合には、搬送装置1は、搬送装置1は、
図5(a)に示すように、可動フレーム昇降機構23の電磁弁55を動作させて、エアシリンダー24の第2ポート24bと第2空気供給路57とを連通させる。これにより、第2ポート24bに圧縮空気が供給されるので、エアシリンダー24が動作して可動フレーム22を上昇させる。よって、可動フレーム22に取り付けられた第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は、退避位置に配置される。
【0042】
また、搬送装置1は、第1吸気路61および第2吸気路62に連通する吸気機構60を動作させる。ここで、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15に連通する第2吸気路62を継断する継断機構63は、ノーマルクロース型のエアゲートバルブ64を備える。また、この状態で、エアゲートバルブ64には動作用空気は供給されていない。従って、エアゲートバルブ64は、第2吸気路62を遮断する。よって、吸気機構60は、第1吸気路61のみを介して、第1吸着パッド12から真空吸引を行う。
【0043】
その後、搬送装置1は、昇降機構6により吸着機構5を下降させて、第1吸着パッド12を載置面2の媒体3に接触させる。ここで、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は、退避位置に配置されている。従って、搬送装置1は、
図6に示すように、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15が載置面2に接触することを回避しながら、第1吸着パッド12のみ媒体3に接触させて、媒体3を吸着する。よって、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15が載置面2に接触することにより、磨耗や傷が発生することを防止或いは抑制できる。
【0044】
媒体3が第1吸着パッド12に吸着されると、昇降機構6は、吸着機構5を上昇させる。また、移動機構は、昇降機構6を移動させて、媒体3を、載置面2とは異なる次のステージに搬送する。
【0045】
次に、第2吸着領域13に対応する大きなサイズの媒体3を搬送する場合には、搬送装置1は、
図5(b)に示すように、可動フレーム昇降機構23の電磁弁55を動作させて
、エアシリンダー24の第1ポート24aと第1空気供給路56とを連通させる。これにより、第1ポート24aに圧縮空気が供給されるので、エアシリンダー24が動作して、可動フレーム22を下降させる。従って、可動フレーム22に取り付けられた第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は、第1吸着パッド12と同じ高さの吸着位置に配置される。
【0046】
また、搬送装置1は、第1吸気路61および第2吸気路62に連通する吸気機構60を動作させる。ここで、第1ポート24aに圧縮空気を供給する第1空気供給路56は、第2吸気路62を継断するエアゲートバルブ64のバルブ動作用空気供給路65に連通する。従って、第1ポート24aに圧縮空気が供給されると、エアゲートバルブ64が動作して、吸気機構60と第2吸着パッド14および第3吸着パッド15とが接続される。よって、吸気機構60は、第1吸気路61を介して、第1吸着パッド12からの真空吸引を行うとともに、第2吸気路62を介して、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15からの真空吸引を行う。
【0047】
その後、搬送装置1は、昇降機構6により吸着機構5を下降させる。ここで、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は、第1吸着パッド12と同じ高さの吸着位置に配置されている。また、第1吸着パッド12、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は、いずれも吸気機構60と連通する。従って、搬送装置1は、
図7に示すように、4つの第1吸着パッド12とともに、4つの第1吸着パッド12の外側に位置する4つの第2吸着パッド14および4つの3吸着パッドを媒体3に接触させて、吸着する。よって、媒体3が可撓性を備える場合でも、搬送時に媒体3が撓むことを防止、或いは、抑制できる。ここで、搬送時にサイズの大きい媒体3が撓むと、特定の吸着パッドに負荷がかかり、媒体3が落下する事態を招くことがあるが、本例によれば、このような事態の発生を防止、或いは、抑制できる。
【0048】
媒体3が第1吸着パッド12、第2吸着パッド14、および第3吸着パッド15に吸着されると、昇降機構6は、吸着機構5を上昇させる。また、移動機構は、昇降機構6を移動させて、媒体3を、載置面2とは異なる次のステージに搬送する。
【0049】
(作用効果)
本例によれば、吸着機構5は、基準フレーム20と、4つの第1吸着パッド12を支持する固定フレーム21と、4つの第2吸着パッド14および4つの第3吸着パッド15を支持する可動フレーム22と、を有する。固定フレーム21は、基準フレーム20に接続される。可動フレーム昇降機構23は、可動フレーム22に接続されたエアシリンダー24を備える。エアシリンダー24は、基準フレーム20に固定されて可動フレーム22を昇降させる。従って、4つの第2吸着パッド14および4つの第3吸着パッド15を昇降させることが容易である。
【0050】
また、エアシリンダー24は、複動式のエアシリンダー24であり、可動フレーム昇降機構23は、エアシリンダー24を駆動するための電磁弁55を備える。電磁弁55は、可動フレーム22を下降させる際に圧力を印加するエアシリンダー24の第1ポート24aに連通する第1空気供給路56と、可動フレーム22を上昇させる際に圧力を印加するエアシリンダー24の第2ポート24bに連通する第2空気供給路57と、を切り替える。継断機構63は、第2吸気路62を開閉するノーマルクロース型のエアゲートバルブ64と、エアゲートバルブ64に動作用空気を供給するためのバルブ動作用空気供給路65と、を備える。バルブ動作用空気供給路65は、第1空気供給路56に接続されている。従って、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15が取り付けらえた可動フレーム22を下降させるために、エアシリンダー24の第1ポート24aに連通する第1空気供給路56に圧縮空気を供給すると、この圧縮空気は、第1空気供給路56からバルブ動作用
空気供給路65を介して、エアゲートバルブ64にも供給される。よって、エアゲートバルブ64が第2吸気路62を開くので、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は媒体3を吸着可能な状態となる。すなわち、第2吸着パッド14が退避位置から吸気位置に移動したときに、第2吸着パッド14は、自動的に、媒体3を吸着可能な状態となる。
【0051】
本例において、第1吸着領域11は、第2吸着領域13の中央に位置する。従って、媒体3を第1吸着パッド12および第2吸着パッド14で吸引する際に、第1吸着パッド12は、媒体3の中央部分を吸引し、第2吸着パッド14は、媒体3の外周側部分を吸着する。よって、搬送時に媒体3が撓むことを防止、或いは、抑制しやすい。
【0052】
本例において、4つの第1吸着パッド12のそれぞれは、第1位置調節機構30を介して固定フレーム21に固定されている。第1位置調節機構30は、Z軸方向から見た場合に、各第1吸着パッド12が固定フレーム21上で第1吸着領域11の中心Pから径方向に第1距離D1だけ移動することを許容する第1移動許容部31と、第1吸着パッド12を、径方向への移動を阻止した状態で固定フレーム21に固定する第1固定機構32と、を備える。従って、4つの第1吸着パッド12のそれぞれの位置を、第1吸着領域11の中心Pから見た径方向で調節できる。よって、サイズの異なる媒体3に対応することが容易となる。
【0053】
また、4つの第2吸着パッド14のそれぞれは、第2位置調節機構38を介して可動フレーム22に固定されている。第2位置調節機構38は、Z軸方向から見た場合に、各第2吸着パッド14が可動フレーム22上で径方向に第2距離D2だけ移動することを許容する第2移動許容部39と、第2吸着パッド14を、径方向への移動を阻止した状態で、可動フレーム22に固定する第2固定機構40と、を備え、第2距離D2は、第1距離D1よりも長いものとすることができる。このようにすれば、4つの第2吸着パッド14のそれぞれの位置を、第1吸着領域11の中心Pから見た径方向で調節できる。また、第2吸着パッド14の径方向の位置を、比較的長い第2距離D2で調節できる。従って、サイズの異なる媒体3に対応することが容易となる。
【0054】
本例において、可動フレーム22は、ベースフレーム35と、第2移動許容部39を備え、ベースフレーム35の外周側で放射状に延びる4本の延設フレーム36と、各延設フレーム36をベースフレーム35に固定する延設フレーム固定機構37と、を備える。延設フレーム固定機構37は、ベースフレーム35における各延設フレーム36の固定位置を、長穴の範囲で周方向に変更可能であり、第2移動許容部39は、延設フレーム36が周方向の第1位置に固定されたときに、第2吸着パッド14の径方向への移動を許容するものとなる。また、第2移動許容部39は、延設フレーム36が第1位置から外れた位置(第2位置)に固定されたときに、第2吸着パッド14の径方向からズレた方向への移動を許容するものとなる。従って、各第2吸着パッド14を、第1吸着領域11の中心Pから見た径方向、および径方向と交差する方向で調節できる。
【0055】
(実施例2)
図8は、本発明を適用した実施例2の搬送装置1Aの斜視図である。
図9は、本例の搬送装置1AをZ1方向から見た場合の平面図である。
図10は、固定フレーム21、および第1吸着パッド12の斜視図である。
図11は、可動フレーム22、第2吸着パッド14、および第3吸着パッド15の斜視図である。本例の搬送装置1Aは、上記の例の搬送装置1と対応する構成を備える。従って、対応する構成には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0056】
図8に示すように、搬送装置1Aは、載置面2上の媒体3を吸着する吸着機構5Aと、吸着機構5Aを昇降させる昇降機構6と、昇降機構6を、載置面2と平行な方向に移動さ
せる移動機構7と、を備える。
【0057】
(吸着機構)
図8に示すように、吸着機構5Aは、載置面2に予め設定された矩形の第1吸着領域11の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第1吸着パッド12と、Z軸方向から見た場合に載置面2上で第1吸着領域11を内側に包含する第2吸着領域13の四つの入隅と重なる位置に配置された4つの第2吸着パッド14と、を備える。さらに、吸着機構5Aは、Z軸方向から見た場合に第2吸着領域13と重なる位置であって、第1吸着領域11と重ならない位置に配置された2つの第3吸着パッド15を備える。
【0058】
第1吸着領域11は、Z軸方向から見た場合、X軸方向で対向しY方向に延びる第1吸着領域第1辺11aおよび第1吸着領域第2辺11bと、Y方向で対向しX軸方向に延びる第1吸着領域第3辺11cおよび第1吸着領域第4辺11dと、を備える。また、第2吸着領域13は、Z軸方向から見た場合、X軸方向で対向しY方向に延びる第2吸着領域第1辺13aおよび第2吸着領域第2辺13bと、Y方向で対向しX軸方向に延びる第2吸着領域第3辺13cおよび第2吸着領域第4辺13dと、を備える。Z軸方向から見た場合に、第1吸着領域第1辺11aは、第2吸着領域第1辺13aのY方向の中央で当該第2吸着領域第1辺13aと重なる。従って、第1吸着領域11は、第2吸着領域13内のX1方向に偏在している。
【0059】
また、吸着機構5Aは、
図1に示すように、昇降機構6に接続された基準フレーム20と、第1吸着パッド12が取り付けられた固定フレーム21と、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15が取り付けられた可動フレーム22と、可動フレーム22を昇降させる可動フレーム昇降機構23と、を備える。可動フレーム昇降機構23は、可動フレーム22に接続されたエアシリンダー24を備える。エアシリンダー24は、基準フレーム20に固定されて、可動フレーム22を昇降させる。エアシリンダー24は、複動式のエアシリンダー24である。本例では、2本のエアシリンダー24を備える。
【0060】
基準フレーム20は、Z軸方向から見た場合に、吸着機構5AのY軸方向の中央部分に設けられている。基準フレーム20は、Z軸方向に延びる第1延設部71と、第1延設部71の下端部分からX1方向に延びる第2延設部72と、を備える。2本のエアシリンダー24は、第1延設部71のY軸方向の両側に固定されている。
【0061】
また、基準フレーム20は、第2延設部72の第1延設部71とは反対側の端からZ1方向に延びる第1縦フレーム73と、第1縦フレーム73のX2方向で第1縦フレーム73と平行にZ1方向に延びる第2縦フレーム74と、を備える。第2縦フレーム74は、第2延設部72に取り付けらえている。本例では、第2縦フレーム74の第2延設部72への固定位置を、第2延設部72に沿ってX軸方向で変更できる。すなわち、基準フレーム20は、第2縦フレーム74のX軸方向への移動を許容する縦フレーム移動許容部75と、第2縦フレーム74のX軸方向への移動を阻止した状態で第2縦フレーム74を第2延設部72に固定する縦フレーム固定機構76と、を備える。縦フレーム移動許容部75は、第2延設部72においてX軸方向に延びる長穴72aである。本例では、第2縦フレーム74は、上方の突出する固定用軸部74aを備える。縦フレーム固定機構76は、長穴72aをZ軸方向に貫通した固定用軸部74aにZ2方向の側から取り付けられて、第2縦フレーム74を第2延設部72に固定する固定具70を備える。
【0062】
第1縦フレーム73の下端、および第2縦フレーム74の下端には、それぞれ固定フレーム21が固定されている。固定フレーム21は、第1縦フレーム73の下端部分からY1方向に延びる第1取付け板部77とY2方向に延びる第2取付け板部78と、を備える。また、固定フレーム21は、第2縦フレーム74の下端部分からY1方向に延びる第3
取付け板部79とY2方向に延びる第4取付け板部80と、を備える。
【0063】
図10に示すように、4つの第1吸着パッド12のそれぞれは、第1位置調節機構30を介して、4つの取付け板部77~80のそれぞれに固定されている。第1位置調節機構30は、各第1吸着パッド12が各取付け板部77~80上でY軸方向に第1距離D1だけ移動することを許容する第1移動許容部31と、第1吸着パッド12を、径方向への移動を阻止した状態で固定フレーム21に固定する第1固定機構32と、を備える。第1移動許容部31は、各取付け板部77~80においてX軸方向に長く延設された第1長穴21aである。各第1吸着パッド12は、第1長穴21aに軸部17のフランジ部18よりもZ2方向の部分を貫通させた状態で、Z2方向の側から軸部17に捩じ込まれる第1止めネジ33により、固定フレーム21に固定される。第1止めネジ33は、第1吸着パッド12を固定フレーム21に固定する第1固定機構32である。
【0064】
図11に示すように、可動フレーム22は、Y軸方向で対向してX軸方向に延びる一対のレールフレーム81、82と、各レールフレーム81、82においてZ2方向に突出する突出部分81a、82aに架け渡された第1接続フレーム83および第2接続フレーム84を備える。第1接続フレーム83および第2接続フレーム84は、一対のレールフレーム81、82を接続する。第1接続フレーム83は、突出部分81a、82aのX軸方向の中央でY軸方向に延びる。第1接続フレーム83のY軸方向における中央部分には、2本のエアシリンダー24がそれぞれ接続される。第2接続フレーム84は、突出部分81a、82aのX2方向の端部分でY軸方向に延びる。
【0065】
また、可動フレーム22は、一対のレールフレーム81、82のX1方向の端部分のそれぞれからY軸方向を互いに接近する方向に延びる2本の延設フレーム85と、X軸方向に移動可能な状態で一対のレールフレーム81、82に架け渡されてY軸方向に延びる第1架け渡しフレーム86と、第1架け渡しフレーム86を、X軸方向への移動を阻止した状態でレールフレーム81、82に固定する第1架け渡しフレーム位置調節機構87と、を備える。さらに、可動フレーム22は、X軸方向における延設フレーム85と第1架け渡しフレーム86の間で、X軸方向に移動可能な状態で一対のレールフレーム81、82に架け渡されてY軸方向に延びる第2架け渡しフレーム88と、第2架け渡しフレーム88を、X軸方向への移動を阻止した状態でレールフレーム81、82に固定する第2架け渡しフレーム位置調節機構89と、を備える。
【0066】
ここで、
図9に示すように、Z軸方向から見た場合に、第1架け渡しフレーム86および第2架け渡しフレーム88は、第1吸着領域第2辺11bの第1吸着領域第1辺11aとは反対側にする。すなわち、第1架け渡しフレーム86および第2架け渡しフレーム88は、固定フレーム21よりもX2方向に配置されている。従って、エアシリンダー24の動作により可動フレーム22が昇降する際に、可動フレーム22と固定フレーム21とは、干渉しない。
【0067】
図9および
図11に示すように、4つの第2吸着パッド14は、第2位置調節機構38を介して、可動フレーム22に取り付けられている。より具体的には、4つの第2吸着パッド14のうち、X1方向に位置するの2つの第2吸着パッド14は、それぞれ第2位置調節機構38を介して、各延設フレーム85に取り付けられている。第2位置調節機構38は、各第2吸着パッド14が各延設フレーム85上でY軸方向に第2距離D2だけ移動することを許容する第2移動許容部39と、第2吸着パッド14を、Y軸方向への移動を阻止した状態で延設フレーム85に固定する第2固定機構40と、を備える。第2移動許容部39は、各延設フレーム85においてY軸方向に延びる第2長穴85aである。各第2吸着パッド14は、第2長穴85aに軸部17のフランジ部18よりもZ2方向の部分を貫通させた状態で、Z2方向の側から軸部17に捩じ込まれる第2止めネジ41により
、延設フレーム85に固定される。第2止めネジ41は、第2吸着パッド14を固定フレーム21に固定する第2固定機構40である。
図9に示すように、第2吸着パッド14がY軸方向に移動する移動距離(第2長穴85aの長さ)は、第1吸着パッド12がY軸方向に移動する移動距離(第1長穴21aの長さ)よりも長い。
【0068】
4つの第2吸着パッド14のうち、X2方向に位置するの2つの第2吸着パッド14は、それぞれ第2位置調節機構38を介して、第1架け渡しフレーム86に取り付けられている。
図11に示すように、第2位置調節機構38は、各第2吸着パッド14が第1架け渡しフレーム86上でY軸方向に第2距離D2だけ移動することを許容する第2移動許容部39と、第2吸着パッド14を、Y軸方向への移動を阻止した状態で第1架け渡しフレーム86に固定する第2固定機構40と、を備える。第2移動許容部39は、第1架け渡しフレーム86においてY軸方向に延びる第2長穴86aであり、第1架け渡しフレーム86のY軸方向における一方側の端部分および他方側の端部分の2か所に設けられている。各第2吸着パッド14は、第2長穴86aに軸部17のフランジ部18よりもZ2方向の部分を貫通させた状態で、Z2方向の側から軸部17に捩じ込まれる第2止めネジ41により、第1架け渡しフレーム86に固定される。第2止めネジ41は、第2吸着パッド14を第1架け渡しフレーム86に固定する第2固定機構40である。第2吸着パッド14がY軸方向に移動する移動距離(第2長穴86aの長さ)は、第1吸着パッド12がY軸方向に移動する移動距離(第1長穴21aの長さ)よりも長い。
【0069】
2つの第3吸着パッド15は、それぞれ第3位置調節機構51を介して、第2架け渡しフレーム88に取り付けられている。第3位置調節機構51は、各第3吸着パッド15が第2架け渡しフレーム88上でY軸方向に第2距離D2だけ移動することを許容する第3移動許容部52と、第2吸着パッド14を、Y軸方向への移動を阻止した状態で第1架け渡しフレーム86に固定する第3固定機構53と、を備える。第3移動許容部52は、第2架け渡しフレーム88においてY軸方向に延びる第3長穴88aであり、第2架け渡しフレーム88のY軸方向における一方側の端部分および他方側の端部分の2か所に設けられている。各第3吸着パッド15は、第3長穴88aに軸部17のフランジ部18よりもZ2方向の部分を貫通させた状態で、Z2方向の側から軸部17に捩じ込まれる第3止めネジ54により、第2架け渡しフレーム88に固定される。第3止めネジ54は、第3吸着パッド15を第2架け渡しフレーム88に固定する第3固定機構53である。第3吸着パッド15がY軸方向に移動する移動距離(第3長穴88aの長さ)は、第2吸着パッド14がY軸方向に移動する移動距離(第2長穴85aa、第2長穴86aの長さ)と同一であり、第1吸着パッド12がY軸方向に移動する移動距離(第1長穴21aの長さ)よりも長い。
【0070】
ここで、一対のレールフレーム81、82のうちY1方向に位置する第1レールフレーム81の下側には、X軸方向に延びる板状部材92が固定されている。板状部材92は、第1レールフレーム81の下面と所定の隙間を開けて対向する。第1架け渡しフレーム86および第2架け渡しフレーム88は、この隙間に、Y1方向の端部が挿入されることにより、X軸方向に移動可能な状態で第1レールフレーム81に支持される。この状態において、第1架け渡しフレーム86のY2方向の端部分および第2架け渡しフレーム88のY2方向の端部分は、一対のレールフレーム81、82のうちY2方向に位置する第2レールフレーム82の下面に接触する。
【0071】
第1架け渡しフレーム位置調節機構87および第2架け渡しフレーム位置調節機構89は、第2レールフレーム82に沿って第1架け渡しフレーム86がX軸方向に移動することを許容する架け渡しフレーム移動許容部93を備える。架け渡しフレーム移動許容部93は、第2レールフレーム82に設けられたX軸方向の延びる一つの長穴82bである。また、第1架け渡しフレーム位置調節機構87および第2架け渡しフレーム位置調節機構
89は、それぞれ、各架け渡しフレームのX軸方向の移動を阻止した状態で各架け渡しフレームを固定する架け渡しフレーム固定機構94を備える。架け渡しフレーム固定機構94は、各架け渡しフレーム86、88のY2方向の端部分をZ軸方向に貫通する不図示の貫通孔と、各架け渡しフレームのY2方向の端部分にZ1方向から取り付けられる支持具98と、を備える。支持具98は、各架け渡しフレームにZ1方向から当接する当接板部99と、当接板部99からZ2方向に突出し、貫通孔97および長穴を貫通して第2レールフレーム82の上面からZ2方向に突出する固定用軸部100とを備える。さらに、フレーム固定機構94は、固定用軸部100にZ2方向の側から取り付けられて、各架け渡しフレームを第2レールフレーム82に密着させた状態で固定する固定具101を備える。
【0072】
ここで、本例では、第3吸着パッド15の数が2つである点で、第3吸着パッド15の数が4つの実施例1とは相違するが、その点を除き、エアシリンダー24の駆動系および吸気パッドの吸気系の回路図は、
図5に示す実施例1の回路図と同じである。また、搬送装置1の動作は、実施例1の搬送装置1の動作と同一である。
【0073】
(作用効果)
図12は、第1吸着領域11に対応する媒体3を吸着する吸着機構5Aの側面図である。
図13は、第2吸着領域13に対応する媒体3を吸着する吸着機構の側面図である。本例においても、第1吸着領域11に対応する小さいサイズの媒体3を搬送する場合には、搬送装置1Aは、可動フレーム昇降機構23の電磁弁55を動作させて、エアシリンダー24の第2ポート24bと第2空気供給路57とを連通させる。これにより、第2ポート24bに圧縮空気が供給されるので、エアシリンダー24が駆動して可動フレーム22を上昇させる。従って、可動フレーム22に取り付けられた第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は、退避位置に配置される。
【0074】
また、搬送装置1Aは、第1吸気路61および第2吸気路62に連通する吸気機構60を動作させる。ここで、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15に連通する第2吸気路62を継断する継断機構63は、ノーマルクロース型のエアゲートバルブ64であり、エアゲートバルブ64に動作用空気が継断機構63に供給されていない場合には、第2吸気路62を遮断する。従って、吸気機構60は、第1吸気路61のみを介して、第1吸着パッド12から真空吸引を行う。
【0075】
ここで、第2吸着パッド14は、退避位置に配置されている。従って、
図12に示すように、吸着機構5Aが下降したときに、搬送装置1Aは、第2吸着パッド14が載置面2に接触することを回避しながら第1吸着パッド12のみ媒体3に接触させて、媒体3を吸着する。よって、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15が載置面2に接触することにより、磨耗や傷が発生することを防止或いは抑制できる。なお、本例では、第1吸着領域11が載置面12に配置された媒体3のX1方向に偏在する。従って、搬送装置1Aは、媒体3のX1方向の端部分を片持ちで保持する。
【0076】
次に、第2吸着領域13に対応する大きなサイズの媒体3を搬送する場合には、搬送装置1Aは、可動フレーム昇降機構23の電磁弁55を動作させて、エアシリンダー24の第1ポート24aと第1空気供給路56とを連通させる。これにより、第1ポート24aに圧縮空気が供給されるので、エアシリンダー24が駆動して、可動フレーム22が下降する。従って、可動フレーム22に取り付けられた第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は、第1吸着パッド12と同じ高さの吸着位置に配置される。
【0077】
また、搬送装置1Aは、第1吸気路61および第2吸気路62に連通する吸気機構60を動作させる。ここで、第1ポート24aに圧縮空気を供給する第1空気供給路56は、
第2吸気路62を継断するエアゲートバルブ64のバルブ動作用空気供給路65に連通する。従って、第1ポート24aに圧縮空気が供給されると、エアゲートバルブ64が動作して、吸気機構60と第2吸着パッド14および第3吸着パッド15とが接続される。よって、吸気機構60は、第1吸気路61を介して、第1吸着パッド12からの真空吸引を行うとともに、第2吸気路62を介して、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15からの真空吸引を行う。
【0078】
ここで、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は、第1吸着パッド12と同じ高さの吸着位置に配置されている。また、第1吸着パッド12、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は、いずれも吸気機構60と連通する。
図13に示すように、大きなサイズの媒体3を搬送する際には、4つの第1吸着パッド12とともに、4つの第1吸着パッド12の外側に位置する4つの第2吸着パッド14および2つの3吸着パッドで吸着する。
【0079】
本例によれば、吸着機構5Aは、基準フレーム20と、4つの第1吸着パッド12を支持する固定フレーム21と、4つの第2吸着パッド14および2つの第3吸着パッド15を支持する可動フレーム22と、を有する。固定フレーム21は、基準フレーム20に接続される。可動フレーム昇降機構23は、可動フレーム22に接続されたエアシリンダー24を備える。エアシリンダー24は、基準フレーム20に固定されて可動フレーム22を昇降させる。従って、4つの第2吸着パッド14および2つの第3吸着パッド15を昇降させることが容易である。なお、本例では、第2吸着領域13は、載置面12に配置された媒体3のX1方向に偏在する。従って、搬送装置1Aは、媒体3のX1方向の端部分を片持ちで保持する。
【0080】
また、エアシリンダー24は、複動式のエアシリンダー24であり、可動フレーム昇降機構23は、エアシリンダー24を駆動するための電磁弁55を備える。電磁弁55は、可動フレーム22を下降させる際に圧力を印加するエアシリンダー24の第1ポート24aに連通する第1空気供給路56と、可動フレーム22を上昇させる際に圧力を印加するエアシリンダー24の第2ポート24bに連通する第2空気供給路57と、を切り替える。継断機構63は、第2吸気路62を開閉するノーマルクロース型のエアゲートバルブ64と、エアゲートバルブ64に動作用空気を供給するためのバルブ動作用空気供給路65と、を備える。バルブ動作用空気供給路65は、第1空気供給路56に接続されている。従って、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15が取り付けらえた可動フレーム22を下降させるために、エアシリンダー24の第1ポート24aに連通する第1空気供給路56に圧縮空気を供給すると、この圧縮空気は、第1空気供給路56からバルブ動作用空気供給路65を介して、エアゲートバルブ64にも供給される。よって、エアゲートバルブ64が第2吸気路62を開くので、第2吸着パッド14および第3吸着パッド15は媒体3を吸着可能な状態となる。すなわち、第2吸着パッド14が退避位置から吸気位置に移動したときに、第2吸着パッド14は、自動的に、媒体3を吸着可能な状態となる。
【0081】
本例において、Z軸方向から見た場合に、第1吸着領域11は、X軸方向で対向しY方向に延びる第1吸着領域第1辺11aおよび第1吸着領域第2辺11bを備える。第2吸着領域13は、X軸方向で対向しY方向に延びる第2吸着領域第1辺13aおよび第2吸着領域第2辺13bを備える。第1吸着領域第1辺11aは、第2吸着領域第1辺13aのY方向の中央で当該第2吸着領域第1辺13aと重なる。従って、媒体3を第1吸着パッド12および第2吸着パッド14で吸引する際に、第1吸着パッド12は、媒体3においてX1方向に偏在する領域を吸着し、第2吸着パッド14は、第1吸着パッド12が媒体3を吸引する領域のY軸方向の両側および第1吸着パッド12が媒体3を吸引する領域のX2方向を吸着するものとなる。
【0082】
本例において、4つの第1吸着パッド12のそれぞれは、第1位置調節機構30を介して固定フレーム21に固定されている。第1位置調節機構30は、Z軸方向から見た場合に、各第1吸着パッド12が固定フレーム21上でY軸方向に第1距離D1だけ移動することを許容する第1移動許容部31と、第1吸着パッド12を、Y軸方向への移動を阻止した状態で固定フレーム21に固定する第1固定機構32と、を備える。従って、4つの第1吸着パッド12のそれぞれの位置を、Y軸方向で調節できる。よって、サイズの異なる媒体3に対応することが容易となる。
【0083】
また、4つの第2吸着パッド14のそれぞれは、第2位置調節機構38を介して可動フレーム22に固定されている。すなわち、4つの第2吸着パッド14のうちの2つの第2吸着パッド14は、それぞれ第2位置調節機構38を介して、各延設フレーム85に取り付けられている。4つの第2吸着パッド14のうち、X2方向に位置するの2つの第2吸着パッド14は、それぞれ第2位置調節機構38を介して、第1架け渡しフレーム86に取り付けられている。第2位置調節機構38は、各第2吸着パッド14が各延設フレーム85上でY軸方向に第2距離D2だけ移動することを許容する第2移動許容部39と、第2吸着パッド14を、Y軸方向への移動を阻止した状態で延設フレーム85に固定する第2固定機構40と、を備える。従って、4つの第2吸着パッド14のそれぞれの位置を、Y軸方向で調節できる。また、第2吸着パッド14のY軸方向の位置を、比較的長い第2距離D2で調節できる。従って、サイズの異なる媒体3に対応することが容易となる。
【0084】
さらに、可動フレーム22は、Y軸方向で対向してX軸方向に延びる一対のレールフレーム81、82と、各レールフレーム81、82から内周側に向かってY軸方向を互いに接近する方向に延びる2本の延設フレーム85と、一対のレールフレーム81、82にX軸方向に移動可能な状態で架け渡された第1架け渡しフレーム86と、第1架け渡しフレーム86を、X軸方向への移動を阻止した状態でレールフレーム81、82に固定する架け渡しフレーム固定機構94と、を備える。Z軸方向から見た場合に、第1架け渡しフレーム86は、第1吸着領域第2辺11bの第1吸着領域第1辺11aとは反対側に位置する。4つの第2吸着パッド14のうちの2つは、それぞれ第2位置調節機構38を介して、各延設フレーム85に固定され、4つの第2吸着パッド14のうちの他の2つは、それぞれ第2位置調節機構38を介して、架け渡しフレームに取り付けられている。従って、本例では、第1吸着領域11のX2方向に位置する2つの第2吸着パッド14の位置を、X軸方向で調節できる。
【0085】
また、本例では、Z軸方向から見た場合に、第2吸着領域13と重なり、第1吸着領域第2辺11bと第2吸着領域第2辺13bとの間において、Y軸方向で離間して配置された2つの第3吸着パッド15を備える。第3吸着パッド15は、可動フレーム22に取り付けられて、第2吸気路62に接続される。このようにすれば、大きいサイズの媒体3を搬送する際に、媒体3を、第1吸着パッド12、第2吸着パッド14、および第3吸着パッド15で吸着できる。従って、吸着した媒体3が撓むことを抑制できる。
【符号の説明】
【0086】
1…搬送装置、2…載置面、3…媒体、5…吸着機構、6…昇降機構、11…第1吸着領域、11a…第1吸着領域第1辺、11b…第1吸着領域第2辺、11c…第1吸着領域第3辺、11d…第1吸着領域第4辺、12…第1吸着パッド、13…第2吸着領域、13a…第2吸着領域第1辺、13b…第2吸着領域第2辺、13c…第2吸着領域第3辺、13d…第2吸着領域第4辺、14…第2吸着パッド、15…第3吸着パッド、16…パッド部、17…軸部、18…フランジ部、20…基準フレーム、21…固定フレーム、22…可動フレーム、23…可動フレーム昇降機構、24…エアシリンダー、24a…第1ポート、24b…第2ポート、25…枠部、26…筒部、27…接続部、28…板部、29…突出部、30…第1位置調節機構、31…第1移動許容部、32…第1固定機構、
33…第1止めネジ、35…ベースフレーム、36…延設フレーム、37…延設フレーム固定機構、38…第2位置調節機構、39…第2移動許容部、40…第2固定機構、41…第2止めネジ、42…枠状板部分、43…突出板部、45…フレーム移動許容部、46…フレーム固定機構、47…接続板、48…固定用軸部、49…固定具、51…第3位置調節機構、52…第3移動許容部、53…第3固定機構、54…第3止めネジ、55…電磁弁、56…第1空気供給路、57…第2空気供給路、60…吸気機構、61…第1吸気路、62…第2吸気路、63…継断機構、64…エアゲートバルブ、65…バルブ動作用空気供給路、70…固定具、71…第1延設部、72…第2延設部、73…第1縦フレーム、74…第2縦フレーム、74a…固定用軸部、75…縦フレーム移動許容部、76…縦フレーム固定機構、77…第1取付け板部、78…第2取付け板部、79…第3取付け板部、80…第4取付け板部、81…第1レールフレーム、82…第2レールフレーム、83…接続フレーム、85…延設フレーム、86…第1架け渡しフレーム、87…第1架け渡しフレーム位置調節機構、88…第2架け渡しフレーム、89…第2架け渡しフレーム位置調節機構、91…第3位置調節機構、92…板状部材、93…フレーム移動許容部、94…フレーム固定機構、97…貫通孔、98…支持具、99…当接板部、100…固定用軸部、101…固定具、D1…第1距離、D2…第2距離