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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051759
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】スタッドフィッティング
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/10 20060101AFI20240404BHJP
   B60P 7/06 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
F16B5/10 L
B60P7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158076
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西村 聖也
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA08
3J001JD15
3J001JD25
3J001KA22
(57)【要約】
【課題】 エアラインレール(登録商標)等の固定用レールに着脱自在に用いられるスタッドフィッティングにおいて、異音の発生を抑制することが可能なスタッドフィッティングの一例を開示する。
【解決手段】 スタッドフィッティング10は、固定用レールの幅広部から通過して固定用レール内に挿入可能な第1係止部11A~11Cと、第1係止部11A~11Cに対して変位可能な第2係止部12A~12Dと、第1係止部11A~11Cに対して変位可能な挟込部12Eであって、第2係止部12A~12Dを挟んで第1係止部11A~11Cと反対側に設けられ、第2係止部12A~12Dが幅広部に嵌り込んだときに、第1係止部11A~11Cと協働して幅狭部を挟み込む挟込部12Eと備える。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる開口部を有するとともに、当該長手方向と直交する断面形状が略C字状に形成された固定用レールであって、開口幅が大きい幅広部と当該開口幅が当該幅広部より小さい幅狭部とが交互に前記開口部に設けられた固定用レールに用いられるスタッドフィッティングにおいて、
前記幅広部から通過して前記固定用レール内に挿入可能、かつ、前記幅狭部を通過不可な大きさの第1係止部であって、前記固定用レール内に挿入されたときに当該固定用レール内を長手方向に変位可能な第1係止部と、
前記第1係止部に対して変位可能な第2係止部であって、前記幅広部に嵌り込み可能、かつ、前記幅狭部に嵌り込み不可な大きさの第2係止部と、
前記第1係止部に対して変位可能な挟込部であって、前記第2係止部を挟んで前記第1係止部と反対側に設けられ、前記第2係止部が前記幅広部に嵌り込んだときに、前記第1係止部と協働して前記幅狭部を挟み込む挟込部と
を備えるスタッドフィッティング。
【請求項2】
前記挟込部及び前記第1係止部を前記幅狭部に押圧する磁力を発生させる磁石を備える請求項1に記載のスタッドフィッティング。
【請求項3】
前記挟込部と前記第2係止部とが一体化されている請求項2に記載のスタッドフィッティング。
【請求項4】
前記第1係止部に連結され、当該第1係止部が前記固定用レール内に挿入されたときに、前記開口部を貫通して当該固定用レールの外部まで延びる立上部と、
前記立上部の延び方向先端側に設けられ、当該立上部と交差する方向に突出した横棒部であって、空間を隔てて前記挟込部と対向する横棒部と、
前記空間に着脱自在に挿入される楔部材であって、当該空間に挿入されたときに前記挟込部と前記横棒部とを離隔させる力を発生させる楔部材と、
を備える請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスタッドフィッティング。
【請求項5】
前記楔部材に直接又は間接的に連結され、前記開口部に嵌り込んで前記固定用レールと係合可能な係合部材を備えることを特徴とする請求項4に記載のスタッドフィッティング。
【請求項6】
前記挟込部は、前記幅広部及び前記幅狭部を覆うカバーを兼ねている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスタッドフィッティング。
【請求項7】
複数の前記第1係止部を有し、それら第1係止部が直列に並んで一体化されて第1係止プレートが構成され、
複数の前記第2係止部及び前記挟込部を有し、それら第2係止部が直列に並んで一体化されて第2係止プレートが構成され、
前記第2係止プレートには、前記立上部が貫通した貫通穴が設けられ、
前記立上部が2本設けられているとともに、第1の立上部は、前記第1係止プレートの長手方向一端側に設けられ、第2の立上部は、前記第1係止プレートの長手方向他端側に設けられ、
前記横棒部は、2本の前記立上部の延び方向先端側を繋いでいるとともに、前記横棒部及び2本の前記立上部により略コの字又は略C字状のワイヤ部が構成されており、
さらに、複数の前記第1係止部それぞれに対して、複数の前記第2係止部それぞれは、前記長手方向にずれている請求項4に記載のスタッドフィッティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スタッドフィッティングに関する。
【背景技術】
【0002】
スタッドフィッティングとは、例えば、特許文献1に示されるように、エアラインレール(登録商標)等の固定用レールに着脱自在に係合固定されるものである。
固定用レールとは、長手方向に延びる開口部を有するとともに、当該長手方向と直交する断面形状が略C字状に形成され、かつ、開口幅が大きい幅広部と開口幅が幅広部より小さい幅狭部とが交互に開口部に設けられた長尺状の部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-224101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スタッドフィッティングは、固定用レールに対してスライド変位可能である。このため、スタッドフィッティングのうち固定用レール内に挿入された部位の各部寸法は、当該部位と固定用レールとの間に隙間が発生するような寸法となっている。
【0005】
このため、固定用レールにスタッドフィッティングが装着された状態において、当該スタッドフィッティングに振動が入力されると、スタッドフィッティングが固定用レールに対して振動してしまうので、周期的な衝突音に伴う異音が発生してしまう。
【0006】
本開示は、上記点に鑑み、エアラインレール(登録商標)等の固定用レールに着脱自在に用いられるスタッドフィッティングにおいて、異音の発生を抑制することが可能なスタッドフィッティングの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
固定用レール(1)に用いられるスタッドフィッティングは、例えば、以下の構成要件を備えることが望ましい。なお、固定用レール(1)は、長手方向に延びる開口部(2)を有するとともに、当該長手方向と直交する断面形状が略C字状に形成され、開口幅が大きい幅広部(3)と当該開口幅が当該幅広部(3)より小さい幅狭部(4)とが交互に開口部(2)に設けられたものである。
【0008】
すなわち、当該構成要件は、幅広部(3)から通過して固定用レール(1)内に挿入可能、かつ、幅狭部(4)を通過不可な大きさの第1係止部(11A~11C)であって、固定用レール(1)内に挿入されたときに当該固定用レール(1)内を長手方向に変位可能な第1係止部(11A~11C)と、第1係止部(11A~11C)に対して変位可能な第2係止部(12A~12D)であって、幅広部(3)に嵌り込み可能、かつ、幅狭部(4)に嵌り込み不可な大きさの第2係止部(12A~12D)と、第1係止部(11A~11C)に対して変位可能な挟込部(12E)であって、第2係止部(12A~12D)を挟んで第1係止部(11A~11C)と反対側に設けられ、第2係止部(12A~12D)が幅広部(3)に嵌り込んだときに、第1係止部(11A~11C)と協働して幅狭部(4)を挟み込む挟込部(12E)とである。
【0009】
これにより、当該スタッドフィッティングでは、第2係止部(12A~12D)が幅広部(3)に嵌り込んだときに、幅狭部(4)が第1係止部(11A~11C)と挟込部(12E)とにより挟まれる。したがって、スタッドフィッティングに振動が入力されても、スタッドフィッティングが固定用レールに対して振動してしまうことが抑制されるので、異音の発生が抑制され得る。
【0010】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】固定用レールの一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るスタッドフィッティングが固定用レールに装着された状態を示す図である。
図3】第1実施形態に係るスタッドフィッティング及びその付属部品である楔部材及び係合部材を示す図である。
図4】第1実施形態に係るスタッドフィッティングの分解図である。
図5】第1実施形態に係るスタッドフィッティングが固定用レールに装着された状態を示す図である。
図6】第1実施形態に係る第2係止プレートを示す図である。
図7】第1実施形態に係るスタッドフィッティングを示す図である。
図8】第1実施形態に係るスタッドフィッティングにおいて、楔部材が挿入された状態を示す図である。
図9】第1実施形態に係る楔部材の分解図である。
図10】第11実施形態に係る係合部材を示す図である。
図11図11A図11Cは、第1実施形態に係るスタッドフィッティングの装着手順を示す図である。
図12図12A図12Cは、第1実施形態に係る楔部材の装着手順を示す図である。
図13】第2実施形態に係るスタッドフィッティングを示す図である。
図14】第3実施形態に係るスタッドフィッティングを示す図である。 態を示す図である。
図15】第4実施形態に係るスタッドフィッティングを示す図である。
図16】第4実施形態に係るスタッドフィッティングが固定用レールに装着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0013】
本実施形態は、車両等の乗物に搭載された固定用レールで利用されるアタッチメントに本開示に係るスタッドフィッティングが適用された例である。固定用レールとは、図1に示されるように、例えば、エアラインレール(登録商標)である。
【0014】
具体的には、固定用レール1は、長手方向に延びる開口部2を有するとともに、当該長手方向と直交する断面形状が略C字状に形成され長尺状の部材である。そして、開口部2には、幅広部3と幅狭部4とが当該開口部2の延び方向に沿って交互に設けられている。
【0015】
幅狭部4の開口幅W2は、幅広部3の開口幅W1より小さい。幅広部3は、丸穴状に構成されている。このため、開口幅W2は、隣り合う幅狭部4との中間部が最大寸法となっている。幅狭部4の開口幅W2は、開口部2の延び方向に沿って同一寸法である。
【0016】
なお、以下の各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び部材又は部位の形状等を理解し易くするために記載されたものである。したがって、当該スタッドフィッティングは、各図に付された方向に限定されない。
【0017】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。本開示に示されたスタッドフィッティングは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0018】
(第1実施形態)
<1.スタッドフィッティングの概要>
スタッドフィッティング10は、図2に示されるように、固定用レール1に装着されて使用される。なお、本実施形態に係るスタッドフィッティング10は、図3に示されるように、部材5を車両等に着脱自在に固定する際に利用される。
【0019】
なお、固定用レール1は、車両ボディ(図示せず。)に直接的又は間接的に固定されている。図3では、部材5として六面体状の物が描かれているが、部材5は、車両に搭載される物であれば、どのような物であってもよい。
【0020】
<1.2 スタッドフィッティングの構成>
スタッドフィッティング10は、図4に示されるように、第1係止プレート11、第2係止プレート12及びワイヤ部13等を少なくとも備えている。
【0021】
<第1係止プレート>
第1係止プレート11は、複数の第1係止部11A~11Cを有しているとともに、それら第1係止部11A~11Cが直列に並んで一体化された帯板状の部材である。なお、第1係止部11A~11Cの並び方向は、スタッドフィッティング10が固定用レール1に装着された状態において、開口部2の延び方向と一致する。
【0022】
各第1係止部11A~11Cは、幅広部3から通過して固定用レール1内に挿入可能、かつ、幅狭部4を通過不可な大きさを有する略円盤状の部位である。さらに、各第1係止部11A~11Cは、固定用レール1内に挿入されたときに当該固定用レール1内を長手方向にスライド変位可能である(図5参照)。
【0023】
なお、第1係止プレート11は、金属又は樹脂にて各第1係止部11A~11Cと共に一体成形された一体品である。本実施形態に係る第1係止プレート11は、鉄系金属等の強磁性体の金属にて構成されている。
【0024】
<第2係止プレート>
第2係止プレート12は、図6に示されるように、複数の第2係止部12A~12D及び挟込部12Eを有するとともに、それら第2係止部12A~12Dが直列に並んだ状態で挟込部12Eと共に一体化された帯板状の部材である。
【0025】
第2係止部12A~12Dの並び方向は、第1係止部11A~11Cの並び方向と平行である。そして、各第2係止部12A~12Dは、各第1係止部11A~11Cに対して並び方向、つまり固定用レール1の長手方向にずれている(図7参照)。
【0026】
各第2係止部12A~12Dと各第1係止部11A~11Cとの並び方向のずれ量は、上記長手方向における幅広部3と幅狭部4とのずれ量に等しい。具体的には、例えば、各第2係止部12A~12Dの位置が幅広部3の位置と一致する場合には、各第1係止部11A~11Cの位置は、幅狭部4の位置と一致する。
【0027】
挟込部12Eは、図5に示されるように、各第2係止部12A~12Dから延出する庇状又は鍔状の部位である。そして、挟込部12Eの幅寸法W3(図4参照)は、幅広部3の開口幅W1より大きい。
【0028】
このため、挟込部12E(本実施形態では、第2係止プレート12)は、図2に示されるように、幅広部3及び幅狭部4、つまり開口部2のうち一部を固定用レール1の外側から覆うカバーとして機能する。
【0029】
挟込部12Eは、図5に示されるように、第2係止部12A~12Dを挟んで第1係止部11A~11Cと反対側に設けられている。このため、挟込部12Eは、第2係止部12A~12Dが幅広部3に嵌り込んだときに、第1係止部11A~11Cと協働して幅狭部4を挟み込み可能な状態となる。
【0030】
すなわち、挟込部12Eを含む第2係止プレート12は、第1係止部11A~11C、つまり第1係止プレート11に対して、紙面上下方向に変位可能である。なお、紙面上下方向とは、第1係止プレート11の板面11D(図4参照)と直交する方向である。
【0031】
つまり、第1係止部11A~11C、第2係止部12A~12D及び挟込部12Eは、第2係止部12A~12D及び挟込部12Eの変位方向に沿って、第1係止部11A~11C、第2係止部12A~12D、挟込部12Eの順に直列に並んで配置されている。
【0032】
そして、第2係止プレート12には、図6に示されるように、磁石12Fが固定されている。磁石12Fは、挟込部12E及び第1係止部11A~11Cを幅狭部4に押圧する磁力を発生させる。
【0033】
つまり、磁石12Fの磁力により、第1係止プレート11と第2係止プレート12との間には、互いに引き合う引力が発生する。このため、各第1係止部11A~11Cは、幅狭部4を挟んで挟込部12Eと反対側(図5の紙面下側)から当該幅狭部4に圧接する。
【0034】
一方、挟込部12Eは、幅狭部4を挟んで各第1係止部11A~11Cと反対側(図5の紙面上側)から当該幅狭部4に圧接する。したがって、幅狭部4は、第1係止部11A~11Cと第2係止部12A~12Dとで挟み込まれた状態となる。
【0035】
なお、本実施形態に係る第2係止プレート12は、金属又は樹脂にて各第1係止部11A~11C及び挟込部12Eと共に一体成形された一体品である。磁石12Fは、皿ネジにて第1係止プレート11に固定されている。
【0036】
<ワイヤ部>
ワイヤ部13は、図4に示されるように、2本の立上部13A、13B及び1本の横棒部13Cを有し、略コの字又は略C字状に構成された部材である。各立上部13A、13Bは、第1係止プレート11に連結されている。
【0037】
具体的には、図7に示されるように、立上部13Aは、第1係止プレート11の長手方向一端側(本実施形態では、第1係止部11A)に連結されている。立上部13Bは、第1係止プレート11の長手方向他端側(本実施形態では、第1係止部11C)に連結されている。
【0038】
各立上部13A、13Bは、第1係止プレート11が固定用レール1内に挿入されたときに、開口部2を貫通して当該固定用レール1の外部まで延びている(図5参照)。なお、各立上部13A、13Bは、圧入又は溶接にて第1係止プレート11に連結されている。
【0039】
第2係止プレート12には、立上部13A、13Bが貫通する貫通穴12G、12H(図4参照)が設けられている。貫通穴12G、12Hの内径寸法は、立上部13A、13Bの外径寸法より大きい。このため、第2係止プレート12は、第1係止プレート11に対して変位できる。
【0040】
なお、本実施形態に係る貫通穴12G、12Hは、長円又は楕円状の貫通穴である。具体的には、貫通穴12G、12Hの内径寸法のうち、第2係止プレート12の長手方向と平行な内径寸法は、当該長手方向と直交する内径寸法に比べて大きい。
【0041】
横棒部13Cは、立上部13A、13Bの延び方向先端側に設けられ、当該立上部13A、13Bと交差する方向(本実施形態では、直交する方向)に突出して、2本の立上部13A、13Bを繋いでいる。
【0042】
そして、横棒部13Cは、図2に示されるように、空間13Dを隔てて挟込部12E、つまり第2係止プレート12と対向している。このため、ワイヤ部13は、略コの字又は略C字状に構成される。
【0043】
<1.3 その他の構成>
本実施形態に係るスタッドフィッティング10は、第1係止プレート11、第2係止プレート12及びワイヤ部13に加え、図3に示されるように、楔部材14、15及び係合部材16を備える。
【0044】
<楔部材>
楔部材14、15は、図8に示されるように、空間13Dに着脱自在に挿入される部材であって、空間13Dに挿入されたときに挟込部12Eと横棒部13Cとを離隔させる力を発生させる部材である。
【0045】
すなわち、楔部材14、15それぞれの挿入方向先端側には、テーパ部14A、15Aが設けられている。各テーパ部14A、15Aは、先端に向かうど、高さ寸法Hが小さくなる部位である。
【0046】
高さ寸法Hとは、楔部材14、15の外形寸法のうち、挟込部12Eから横棒部13Cに向かう向きと平行な方向の寸法をいう。なお、本実施形態に係る高さ寸法Hは、各テーパ部14A、15Aのうち、立上部13A、13Bの延び方向と平行な部位の寸法となる。
【0047】
本実施形態に係る楔部材14、15は、部材5に固定されている(図3参照)。そして、楔部材14、15は、図9に示されるように、金属製のフレーム14B、15B及び樹脂製のカバー14C、15C等を有して構成されている。
【0048】
フレーム14B、15Bは、楔部材14、15の骨格を構成する強度部材である。当該フレーム14B、15Bには、部材5に楔部材14、15を装着するための装着部14D、15Dが設けられている。
【0049】
各カバー14C、15Cは、各フレーム14B、15Bを少なくとも一部を覆うとともに、各テーパ部14A、15Aを構成する。このため、楔部材14、15が空間13Dに嵌め込まれた状態では、各カバー14C、15Cが僅かに変形することにより、カバー14C、15Cが挟込部12E及び横棒部13Cに圧接する。
【0050】
このとき、各カバー14C、15Cの変形に伴って発生する復元力が、挟込部12Eと横棒部13Cとを離隔させる力となる。したがって、挟込部12Eは、当該復元力により、幅狭部4を挟んで第1係止プレート11と反対側から当該幅狭部4に押圧される。
【0051】
一方、横棒部13Cは挟込部12Eから離間しようとするので、ワイヤ部13に連結された第1係止プレート11、つまり各第1係止部11A~11Cは、幅狭部4を挟んで挟込部12Eと反対側から当該幅狭部4に圧接される。
【0052】
<係合部材>
係合部材16は、図3に示されるように、部材5を介して間接的に楔部材14、15に連結された部材であって、一部が開口部2に嵌り込んで固定用レール1と係合するものである。
【0053】
具体的には、係合部材16は、図10に示されるように、レバー状の部材である。そしして、当該係合部材16の長手方向一端側は、ブラケット16Aを介して部材5の下面に揺動可能に連結されている。
【0054】
当該係合部材16の長手方向他端側には、開口部2に嵌り込み可能な係合突起16Bが設けられている。このため、係合突起16Bが開口部2の上部に位置すると、係合部材16に作用する重力により、当該係合部材16が下方側揺動する。このため、係合突起16Bが開口部2に嵌り込むので、係合部材16が固定用レール1と係合する。
【0055】
なお、係合部材16の長手方向他端側には、摘み部16Cが設けられている。摘み部16Cは、例えば、スタッドフィッティング10の利用者が、開口部2に嵌り込んだ係合突起16Bを上方に変位させる操作、つまり係合部材16を揺動させる操作の際に利用する部位である。
【0056】
<3.本実施形態に係るスタッドフィッティングの特徴>
<3.1 スタッドフィッティングの固定用レールへの装着>
固定用レール1に装着される前のスタッドフィッティング10は、図11Aに示されるように、磁石12Fの引力により、第1係止プレート11と第2係止プレート12とが接触した状態となっている。
【0057】
次に、利用者は、各第1係止部11A~11Cを幅広部3に一致させて第1係止プレート11を固定用レール1内に挿入する(図11B参照)。なお、この状態では、各第2係止部12A~12Dは幅狭部4に位置しているので、第1係止プレート11と第2係止プレート12とは、幅狭部4の厚みh(図1参照)相当だけ離間した状態となっている。
【0058】
次に、利用者は、スタッドフィッティング10をスライド変位させる。そして、各第2係止部12A~12Dが幅広部3と一致したときに、それら第2係止部12A~12Dが幅広部3に嵌り込んだ状態となる(図11C参照)。
【0059】
これにより、磁石12Fの磁力により、各第1係止部11A~11Cは、幅狭部4を挟んで挟込部12Eと反対側から当該幅狭部4に圧接する。一方、挟込部12Eは、幅狭部4を挟んで各第1係止部11A~11Cと反対側から当該幅狭部4に圧接する。
【0060】
したがって、幅狭部4は、第1係止部11A~11Cと挟込部12Eとで挟み込まれた状態となる。延いては、スタッドフィッティング10に振動が入力されても、スタッドフィッティング10が固定用レール1に対して振動してしまうことが抑制されるので、異音の発生が抑制され得る。
【0061】
そして、第2係止部12A~12Dが幅広部3に嵌り込んで係止された状態となるので、スタッドフィッティング10が固定用レール1に対してスライド変位することが規制される。さらに、第1係止部11A~11Cが幅狭部4に係止された状態となるので、スタッドフィッティング10が固定用レール1から外れることが規制される。
【0062】
<3.2 楔部材及び係合部材の装着>
例えば、図12A図12Cに示されるように、利用者が部材5を図12A図12B図12Cの順に移動させると、楔部材14、15が横棒部13Cと第1係止プレート11との空間13Dに嵌り込むとともに、係合突起16Bが開口部2に嵌り込む。
【0063】
そして、楔部材14、15が空間13Dに嵌り込むことにより、挟込部12Eは、幅狭部4を挟んで第1係止プレート11と反対側から当該幅狭部4に押圧され、かつ、各第1係止部11A~11Cは、幅狭部4を挟んで挟込部12Eと反対側から当該幅狭部4に圧接される。
【0064】
したがって、幅狭部4が挟込部12E及び各第1係止部11A~11Cにより強固に挟み込まれるので、スタッドフィッティング10に大きな振動が入力されても、確実にスタッドフィッティング10が固定用レール1に対して振動してしまうことが抑制され得る。
【0065】
さらに、係合突起16Bが開口部2に嵌り込むことにより、部材5を介して楔部材14、15が空間13Dから抜けてしまうことが抑制でき得る。したがって、スタッドフィッティング10が固定用レール1に係合した状態となる。
【0066】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、第1係止プレート11の板面11D(図4参照)と平行な方向から楔部材14、15が空間13Dに挿入される構成であった。これに対して、本実施形態では、図13に示されるように、第1係止プレート11の板面11Dに対して傾いた方向から楔部材14、15が空間13Dに挿入される構成である。
【0067】
このため、第1係止プレート11の板面11Dには、楔部材14、15の挿入を案内する傾斜案内部11Eが設けられている。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0068】
(第3実施形態)
上述の実施形態では、楔部材14、15が空間13Dに挿入された後においては、当該楔部材14、15を変位させない構成であった。これに対して、本実施形態に係る楔部材14、15は、図14に示されるように、フック状に屈曲している。このため、本実施形態に係る楔部材14、15は、空間13Dに挿入された後においても、横棒部13Cを中心として回転可能である。
【0069】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
(第4実施形態)
上述の実施形態に係る第2係止プレート12は、挟込部12Eと複数の第2係止部12A~12Dとが一体となった構成であった。これに対して、本実施形態に係る第2係止プレート12は、図15に示されるように、第2係止部12A~12Dのみで第2係止プレート12が構成されている。
【0070】
そして、楔部材14、15(本実施形態では、カバー14C、15C)が、挟込部12Eとして機能する。つまり、楔部材14、15が空間13Dに挿入された状態においては、カバー14C、15Cは、図16に示されるように、幅狭部4を挟んで第1係止プレート11と反対側から当該幅狭部4に圧接する。
【0071】
したがって、幅狭部4は、各第1係止部11A~11Cとカバー14C、15Cとにより挟み込まれ、かつ、楔部材14、15による押圧力により、各第1係止部11A~11C及びカバー14C、15Cは幅狭部4に圧接した状態となるので、第1実施形態と同様に、異音の発生が抑制され得る。
【0072】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、磁石12Fが第2係止プレート12に設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、磁石12Fが第1係止プレート11及び第2係止プレート12のうち少なくとも一方に設けられた構成、又はいずれかのプレート全体が磁石である構成であってもよい。
【0073】
上述の実施形態では、挟込部12E及び第1係止部11A~11Cを幅狭部4に押圧する押圧力の発生源として磁石12F、及び楔部材14、15を利用した。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0074】
すなわち、当該開示は、例えば、押圧力の発生源としてバネ等の弾性力を利用した構成、磁石12Fを廃止して楔部材14、15のみを押圧力の発生源とした構成、又は楔部材14、15を廃止して磁石12Fのみを押圧力の発生源とした構成であってもよい。
【0075】
さらに、押圧力の発生源が廃止され、立上部13A、13Bと貫通穴12G、12Hとの嵌め合いが、隙間0以下となる中間ばめであってもよい。これにより、立上部13A、13Bと貫通穴12G、12Hとの間に発生する摩擦力により、異音発生が抑制され得る。
【0076】
上述の第1~第4実施形態では、第2係止部12A~12Dと挟込部12Eとが一体となった第2係止プレート12であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第2係止部12A~12Dと挟込部12Eとがそれぞれ別々のプレートにて構成されていてもよい。
【0077】
なお、当該構成においては、磁石12Fは、挟込部12E及び第1係止プレート11のうち少なくとも一方に設けられた構成、磁石12Fを廃止して楔部材14、15、17に挟込部12Eを押圧する構成、又は上記の摩擦力を利用した構成等が望ましい。
【0078】
上述の第1~第4実施形態に係る挟込部12Eは、全体形状が帯板状に形成されてカバーを構成していた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、各第2係止部12A~12Dから突起状に延出した形状であってよい。
【0079】
上述の実施形態に係るワイヤ部13は、略コの字又は略C字状に構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、立上部が1本とされた略L字状のワイヤ部13であってもよい。
【0080】
上述の実施形態に係る楔部材14、15は、フレーム14B、15B及びカバー14C、15C等を有して構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、カバー14C、15Cが廃止された楔部材、又は全て樹脂にて構成された楔部材であってもよい。
【0081】
上述の実施形態では、略円盤状の第1係止部及び第2係止部が複数設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、略円盤状の第1係止部及び第2係止部がそれぞれ1つ設けられた構成、又は略矩形盤状の第1係止部及び第2係止部が設けられた構成であってもよい。
【0082】
上述の実施形態に係る係合部材16は、部材5を介して間接的に楔部材14、15に連結されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、係合部材16が直接的に楔部材14、15に連結された構成であってもよい。
【0083】
上述の実施形態では、本開示に係るスタッドフィッティング10を車両用に適用した例であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、倉庫や一般家屋等の建物にも適用可能である。
【0084】
上述の実施形態では、固定用レール1としてエアラインレール(登録商標)を用いた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示に係る固定用レール1は、例えば、幅広部3と幅狭部4とが開口部2の延び方向に沿って交互に設けられたものであれば十分である。
【0085】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1… 固定用レール
2… 開口部
3… 幅広部
4… 幅狭部
5… 部材
10… スタッドフィッティング
11… 第1係止プレート
11A~11C… 第1係止部
12… 第2係止プレート
12A~12D… 第2係止部
12E… 挟込部
12F… 磁石
13… ワイヤ部
13A… 立上部
13C… 横棒部
14、15… 楔部材
14A、15A… テーパ部
16… 係合部材
16A… ブラケット
16B… 係合突起
図1
図2
図3
図4
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図16