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特開2024-51777選択補助プログラム、選択補助装置及び選択補助方法、並びにモデルの生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051777
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】選択補助プログラム、選択補助装置及び選択補助方法、並びにモデルの生成方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240404BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A61B34/10
A61M25/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158102
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小澤 佳
(72)【発明者】
【氏名】大内 竜也
(72)【発明者】
【氏名】山下 昂輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦哉
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267BB23
4C267BB26
4C267CC08
4C267CC19
(57)【要約】
【課題】患者の病変部位に到達可能となるデバイス長の推奨値を出力する選択補助プログラム、選択補助装置及び選択補助方法、並びに、これらのプログラム等において用いるモデルの生成方法を提供すること。
【解決手段】選択補助プログラムは、経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療に用いるデバイスの選択を補助するプログラムであって、患者の身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を取得し、取得した前記身体特性、前記穿刺する位置、及び前記病変部位を、身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、前記デバイスの長さの推奨値を出力するよう学習された学習モデルに入力して、前記デバイスの長さの推奨値を決定し、決定したデバイスの長さの推奨値を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療に用いるデバイスの選択を補助するプログラムであって、
患者の身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を取得し、
取得した前記身体特性、前記穿刺する位置、及び前記病変部位を、身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、前記デバイスの長さの推奨値を出力するよう学習された学習モデルに入力して、前記デバイスの長さの推奨値を決定し、
決定したデバイスの長さの推奨値を出力する処理をコンピュータに実行させる
選択補助プログラム。
【請求項2】
前記身体特性は性別、身長、体重、年齢、又は血圧の何れか一つを含む
請求項1に記載の選択補助プログラム。
【請求項3】
前記身体特性は股下長を含む
請求項1又は請求項2に記載の選択補助プログラム。
【請求項4】
前記身体特性は、胸部大動脈ステントグラフ治療歴を含む
請求項1又は請求項2に記載の選択補助プログラム。
【請求項5】
前記身体特性は、肥満度指数を含む
請求項1又は請求項2に記載の選択補助プログラム。
【請求項6】
デバイスの長さを含むデバイス情報を記憶するデバイスデータベースから、デバイスの長さが前記推奨値を越えているデバイスのデバイス情報を抽出し、
デバイスの保有状況を記憶する保有データベースを参照し、抽出した前記デバイスの中で、保有しているものに絞り込み、
絞り込んで残った前記デバイスのデバイス情報を出力する
請求項1又は請求項2に記載の選択補助プログラム。
【請求項7】
前記抽出したデバイスの何れについても保有していない場合、市販されているデバイスのデバイス情報を記憶する市販データベースを参照し、デバイスの長さが前記推奨値を越えているデバイスを抽出し、
抽出したデバイスのデバイス情報を出力する
請求項6に記載の選択補助プログラム。
【請求項8】
前記市販データベースを参照し、デバイスの長さが前記推奨値を越えているデバイスが存在しないと判定した場合、経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療の実施を推奨しない旨を出力する
請求項7に記載の選択補助プログラム。
【請求項9】
経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療に用いるデバイスの選択を補助する装置であって、
患者の身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を取得する取得部と、
取得した前記身体特性、前記穿刺する位置、及び前記病変部位を、身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、前記デバイスの長さの推奨値を出力するよう学習された学習モデルに入力して、前記デバイスの長さの推奨値を決定する決定部と、
決定したデバイスの長さの推奨値を出力する出力部と
を備える選択補助装置。
【請求項10】
経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療に用いるデバイスの選択を補助する選択方法であって、
患者の身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を取得し、
取得した前記身体特性、前記穿刺する位置、及び前記病変部位を、身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、前記デバイスの長さの推奨値を出力するように学習された学習モデルに入力して、前記デバイスの長さの推奨値を決定し、
決定したデバイスの長さの推奨値を出力する
処理をコンピュータが実行する選択補助方法。
【請求項11】
経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療を実施した患者の身体特性、前記カテーテル治療に用いたデバイスを挿入するために穿刺した位置、及び、病変部位、並びに、前記デバイスの長さ、及び、前記デバイスが前記病変部位に到達したか否かの評価を含む訓練データを取得し、
取得した訓練データに基づき、身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、デバイスの長さの推奨値を出力する学習モデルを生成する
モデルの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療に用いるデバイスの選択を補助する選択補助プログラム、選択補助装置及び選択補助方法、並びにモデルの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、患者の身体的負担を軽減するために、動脈等の血管にカテーテルを挿入し、心臓の冠動脈や下肢末梢部等の血管内治療が実施されている。導入部位から対象部位に至る血管の経路は、導入部位に応じて複数存在する。医師等の術者は、医療器具を送達する際の医療器具の送達のし易さ、患者への負担等を考慮して適切な経路を選択する必要がある。適切な血管の経路を選択する作業は、術者にとって作業負担が大きい。そのような事情に鑑みて、特許文献1には、経路の選択を容易に行うことができる経路選択支援システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/221508号
【0004】
血管内治療において、患者の身体的負担を軽減するために、手首の橈骨動脈等からカテーテルを挿入し、血管内の病変部位を治療することが実施されている。カテーテルを挿入する穿刺部位から病変部位までの血管の経路の長さは、患者の体格や血管の湾曲や屈曲の大きさに依存する。そのため、このような治療の際、カテーテルを挿入する穿刺部位から病変部位までの血管の経路の長さ(血管長)は、患者の体格や血管の屈曲程度によっては術者の想定以上に長い場合がある。このため、例えば、術者は、手首の橈骨動脈における穿刺部位からカテーテルを挿入し、病変部位の治療を試みたものの、デバイス長が足りないため治療が実施できず、より病変部位に近い別の位置を穿刺し、その穿刺部位から病変部位の治療をやり直さざるを得ない場合がある。しかしながら、従来技術は、デバイス長が病変部位に到達可能か否かについて考慮されたものはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。その目的は、患者の病変部位に到達可能となるデバイス長の推奨値を出力する選択補助プログラム、選択補助装置及び選択補助方法、並びに、これらのプログラム等において用いるモデルの生成方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の一態様に係る(1)選択補助プログラムは、経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療に用いるデバイスの選択を補助するプログラムであって、患者の身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を取得し、取得した前記身体特性、前記穿刺する位置、及び前記病変部位を、身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、前記デバイスの長さの推奨値を出力するよう学習された学習モデル入力して、前記デバイスの長さの推奨値を決定し、決定したデバイスの長さの推奨値を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【0007】
(2)上記の(1)の選択補助プログラムにおいて、前記身体特性は性別、身長、体重、年齢、又は血圧の何れか一つを含む。
【0008】
(3)上記の(1)又は(2)の選択補助プログラムにおいて、前記身体特性は股下長を含む。
【0009】
(4)上記(1)~(3)の何れかに記載の選択補助プログラムにおいて、前記身体特性は、胸部大動脈ステントグラフ治療歴を含む。
【0010】
(5)上記(1)~(4)の何れかに記載の選択補助プログラムにおいて、前記身体特性は、肥満度指数を含む。
【0011】
(6)上記(1)~(5)の何れかに記載の選択補助プログラムは、デバイスの長さを含むデバイス情報を記憶するデバイスデータベースから、デバイスの長さが前記推奨値を越えているデバイスのデバイス情報を抽出し、デバイスの保有状況を記憶する保有データベースを参照し、抽出したデバイスの中で、保有しているものに絞り込み、絞り込んで残ったデバイスのデバイス情報を出力する。
【0012】
(7)上記(1)~(6)の何れかに記載の選択補助プログラムは、前記抽出したデバイスの何れについても保有していない場合、市販されているデバイスのデバイス情報を記憶する市販データベースを参照し、デバイスの長さが前記推奨値を越えているデバイスを抽出し、抽出したデバイスのデバイス情報を出力する。
【0013】
(8)上記(1)~(7)の何れかに記載の選択補助プログラムは、前記市販データベースを参照し、デバイスの長さが前記推奨値を越えているデバイスが存在しないと判定した場合、経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療の実施を推奨しない旨を出力する。
【0014】
本願の一態様に係る(9)選択補助装置は、経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療に用いるデバイスの選択を補助する装置であって、患者の身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を取得する取得部と、取得した前記身体特性、前記穿刺する位置、及び前記病変部位を、身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、前記デバイスの長さの推奨値を出力するように学習された学習モデルに入力して、前記デバイスの長さの推奨値を決定する決定部と、決定したデバイスの長さの推奨値を出力する出力部とを備える。
【0015】
本願の一態様に係る(10)選択補助方法は、経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療に用いるデバイスの選択を補助する選択方法であって、患者の身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を取得し、取得した前記身体特性、前記穿刺する位置、及び前記病変部位を、身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、前記デバイスの長さの推奨値を出力するように学習された学習モデルに入力して、前記デバイスの長さの推奨値を決定し、前記決定したデバイスの長さの推奨値を出力する処理をコンピュータが実行する。
【0016】
本願の一態様に係る(11)モデルの生成方法は、経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療を実施した患者の身体特性、前記カテーテル治療に用いたデバイスを挿入するために穿刺した位置、及び、病変部位、並びに、前記カテーテル治療に用いたデバイスの長さ、及び、前記デバイスが前記病変部位に達した否かの評価を含む訓練データを取得し、取得した訓練データに基づき、身体特性、前記デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、デバイスの長さの推奨値を出力する学習モデルを生成する。
【発明の効果】
【0017】
本願の一態様にあっては、患者の病変部に到達可能となるデバイス長の推奨値を出力することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】デバイス選択補助システムの例を示す説明図である。
図2】選択補助装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】検査科端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】患者DBの例を示す説明図である。
図5】訓練DBの例を示す説明図である。
図6】製品DBの例を示す説明図である。
図7】保有DBの例を示す説明図である。
図8】学習モデルの構成例を示す説明図である。
図9】学習モデル生成処理の手順例を示すフローチャートである。
図10】推奨デバイス表示処理の手順例を示すフローチャートである。
図11】判定処理の手順例を示すフローチャートである。
図12】判定結果画面の他の例を示す説明図である。
図13】判定結果画面の他の例を示す説明図である。
図14】判定結果画面の他の例を示す説明図である。
図15】判定結果画面の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。本明細書において、デバイスは、人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等である。本明細書では、特に、デバイスは血管に挿入する血管カテーテルを示す。
【0020】
図1はデバイス選択補助システムの例を示す説明図である。デバイス選択補助システム100は選択補助装置1、検査科端末2、及びその他システム3を含む。選択補助装置1、検査科端末2、及びその他システム3は、院内ネットワークNにより、互いに通信可能に接続されている。院内ネットワークNは病院内で閉じたネットワークである。院内ネットワークNは、インターネット等の公衆ネットワークには接続されていない、又は、ファイアウォール等により、病院外のネットワークからアクセスできないよう構成されている。なお、本明細書において、病院とは、医療機関を代表するものとして記載しており、名称に病院が含まれない研究センター、医療センター、クリニックも含まれる。また、診療所を意識的に除外するものではない。
【0021】
選択補助装置1はサーバコンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)等で構成する。選択補助装置1を複数のコンピュータからなるマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン又は量子コンピュータで構成してもよい。さらに、選択補助装置1の機能をクラウドサービスで実現してもよいが、機微情報を取り扱うため好ましくはない。
【0022】
検査科端末2はデスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、スマートフォン等で構成する。図1では検査科端末2を1台のみ記載しているが、複数台でもよい。
【0023】
その他システム3は院内ネットワークNに接続され、患者の様々な情報を記憶しているシステムである。その他システム3はHIS(Hospital Information Systems:病院情報システム)、PACS(Picture Archiving and Communication Systems:画像保存通信システム)、RIS(Radiology Information Systems:放射線科情報システム)等である。HISは電子カルテシステム、オーダリングシステム、医事会計システム等を含む。PACSは各種検査機器(モダリティ)から画像データを受信、データベースへ保存し、医師端末等に表示するシステムである。RISは主に放射線機器による検査と、治療の予約から検査結果までの管理を行うシステムである。
【0024】
図2は選択補助装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。選択補助装置1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部15及び読み取り部16を含む。制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部15及び読み取り部16はバスBにより接続されている。
【0025】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、選択補助装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行い、取得部、決定部、出力部等の機能部を実現する。
【0026】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0027】
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database)を記憶する。補助記憶部13は、患者DB131、訓練DB132、製品DB133、及び保有DB134を記憶する。また、補助記憶部13は学習モデル141を記憶する。補助記憶部13は選択補助装置1に接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、選択補助装置1とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。なお、クラウドストレージに記憶させるDBは機微情報を含まないDBに限ることが望ましい。
【0028】
通信部15は院内ネットワークNを介して、検査科端末2やその他システム3と通信を行う。また、制御部11が通信部15を用い、院内ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
【0029】
読み取り部16はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部16を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。また、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
【0030】
図3は検査科端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。検査科端末2は制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、通信部24、入力部25、及び表示部26を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0031】
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部21は、補助記憶部23に記憶された制御プログラム2P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
【0032】
主記憶部22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部22は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0033】
補助記憶部23はハードディスク又はSSD等であり、制御部21が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部23は検査科端末2と別体で外部接続された記憶装置であってもよい。補助記憶部23に記憶する各種DB等を、データベースサーバに記憶してもよい。
【0034】
通信部24は院内ネットワークNを介して、選択補助装置1やその他システム3と通信を行う。また、制御部21が通信部24を用い、院内ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム2Pをダウンロードし、補助記憶部23に記憶してもよい。
【0035】
入力部25はキーボードやマウスである。表示部26は液晶表示パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等を含む。表示部26は選択補助装置1が出力した判定結果画面などを表示する。また、入力部25と表示部26とを一体化し、タッチパネルディスプレイを構成してもよい。なお、検査科端末2は外部接続した液晶ディスプレイ等の表示装置に表示を行ってもよい。
【0036】
次にデバイス選択補助システム100が用いるデータベースについて説明する。図4は患者DBの例を示す説明図である。患者DB131は患者に関する情報を記憶する。患者DB131は患者ID列、氏名列、身長列、体重列、年齢列、性別列、血圧列、BMI列、股下長列及びTEVAR歴列を含む。患者ID列は患者を一意に特定可能な患者IDを記憶する。氏名列は患者の氏名を記憶する。身長列は患者の身長を記憶する。体重列は患者の体重を記憶する。年齢列は患者の年齢を記憶する。年齢列に替えて生年月日列を設けてもよい。患者の年齢が必要になった場合、生年月日と現在日付から都度、年齢を計算すればよい。性別列は患者の性別を記憶する。血圧列は患者の血圧に関する情報を記憶する。血圧列は拡張期血圧列、収縮期血圧列、及び、高血圧判定列を含む。拡張期血圧列は患者の拡張期血圧、すなわち心臓が拡張したときの血圧を記憶する。拡張期血圧は俗に下の血圧と呼ばれる。収縮期血圧列は患者の収縮期血圧、すなわち心臓が収縮したときの血圧を記憶する。収縮期血圧は俗に上の血圧と呼ばれる。高血圧判定列は患者が高血圧症と診断されているか否かの評価を記憶する。患者が高血圧症と診断されている場合、高血圧判定列は例えばYを記憶する。患者が高血圧症と診断されていない場合、高血圧判定列は例えばNを記憶する。BMI列は患者のBMI(Body Mass Index:体格指数、肥満度指数)を記憶する。BMIは身長と体重とから算出するので、BMI列を設けず、患者のBMIが必要となった場合、その都度、患者の身長と体重とから算出してもよい。股下長列は患者の股下の長さを記憶する。TEVAR歴列は患者がTEVAR(Thoracic Endovascular Aneurysm Repair:ステントグラフト治療)を過去に受けたことがあるか否かを記憶する。患者が過去にステントグラフト治療を受けたことがある場合、TEVAR歴列は例えば「有り」を記憶する。患者が過去にステントグラフト治療を受けたことがない場合、TEVAR歴列は例えば「無し」を記憶する。なお、患者DB131が記憶しているデータ項目は、電子カルテシステムなど他システム3が保有している情報もあるから、他システム3が保有しているデータ項目については、患者DB131に記憶せず、必要となった場合に他システム3から取得するようにしてもよい。
【0037】
図5は訓練DBの例を示す説明図である。訓練DB132は学習モデル141を生成するため、又は、学習モデル141を再学習するための訓練データを記憶する。訓練DB132は患者ID列、身長列、体重列、BMI列、年齢列、性別列、血圧列、股下長列、TEVAR歴列、アクセス部位列(穿刺部位列)、病変部位列、デバイス長列及び到達列を含む。患者ID列は患者IDを記憶する。身長列の患者の身長を記憶する。体重列は患者の体重を記憶する。BMI列は患者のBMIを記憶する。年齢列は患者の年齢を記憶する。性別列は患者の性別を記憶する。血圧列は患者の血圧に関する情報を記憶する。血圧列は拡張期血圧列、収縮期血圧列、及び、高血圧判定列を含む。拡張期血圧列は患者の拡張期血圧を記憶する。収縮期血圧列は患者の収縮期血圧を記憶する。高血圧判定列は患者が高血圧症と診断されていたか否かの評価を記憶する。股下長列は患者の股下の長さを記憶する。TEVAR歴列は、訓練データが生成される契機となった治療を受ける前に、患者がTEVARを受けたことがあったか否かを記憶する。アクセス部位列(穿刺部位列)は治療を行った際、デバイスを挿入するために穿刺した位置の情報を記憶する。例えば、カテーテルを左右いずれの手の血管から挿入したかを記憶する。病変部位列は治療の対象となった病変部位が位置した血管部位を記憶する。図5において、Anterior Tibialは前脛骨動脈を示す。CFAはCommon Femoral Artery:総大腿動脈を示す。LAD#7は、AHA分類におけるLeft Anterior Descending artery(左前下行枝)の7番のセグメントを示す。AHA分類は、米国心臓協会(American Heart Association、AHA)が定めた冠動脈の分類である。#7は、第1中隔枝から第2対角枝まで示す。SFAはsuperficial femoral artery:浅大腿動脈を示す。Peronealはperoneal artery:腓骨動脈を示す。デバイス長列は使用したデバイスの長さを記憶する。デバイスの長さは、カテーテルのラベル等に示されている有効長である。有効長はハブ等の体内に入らない部分は除外した、体内に挿入可能な部分の長さである。到達列はデバイスが病変部位に到達したか否かの評価を記憶する。デバイスが病変部位に到達したとは、単にデバイスの先端が病変部位に達したのではなく、治療が行える位置までデバイスが到達したことをいう。図5においては、病変部位へ達した場合は丸印で、病変部位へ達しなかった場合はバツ印で表現している。訓練DB132が記憶するデータは、訓練データが生成される契機となった治療時のデータである。なお、性別は生物学的性別を想定している。
【0038】
図6は製品DBの例を示す説明図である。製品DB133は各種デバイスに付いての情報(デバイス情報)を記憶する。製品DB133はデバイスデータベースの一例である。製品DB133は製品ID列、カテゴリ列、製品名列、有効長列、適応列、サイズ列、注文コード列及び業者列を含む。製品ID列はデバイスを特定可能な製品IDを記憶する。カテゴリ列はデバイスのカテゴリを記憶する。本明細書及び図面において、カテゴリは記号で示している。例えば、カテゴリAは冠動脈ステントを、カテゴリBは中心循環系血管造影用カテーテルを示す。製品名列デバイスの製品名を記憶する。有効長列はデバイス長、すなわちデバイスの有効長を記憶する。適応列はデバイスの診断対象又は治療対象とされている部位を記憶する。例えば、適応列は、デバイス(医療機器)の添付文書の使用目的等に記載されている法律で承認を受けている適応部位を記録する。適応部位は、例えば、冠動脈や末梢血管等である。サイズ列はデバイスの内径・外径の情報を記憶する。内径・外径の情報は、デバイスのFrサイズ(French Gauge:フレンチサイズ)や、適応ガイドワイヤー径(デバイスの内空に挿入可能なガイドワイヤーの外径)である。内径・外径の情報は、内径・外径をmm単位で表記した情報も含む。注文コード列はデバイスを業者に発注する際に用いる注文コードを記憶する。業者列はデバイスの発注先となる販売代理店等の情報を記憶する。製品DB133に記憶する項目の一部を省略し、当該項目を都度、製品メーカや業者のホームページ等から入手するようにしてもよい。なお、製品DB133に、サイズ互換情報、デバイスの先端形状の情報を記憶してもよい。製品DB133は病院が在庫している製品のみではなく、病院が在庫していない市販製品の情報を記憶する。この場合、製品DB133は市販データベースの一例にも該当する。
【0039】
図7は保有DBの例を示す説明図である。保有DB134は院内におけるデバイスの保有状況を記憶する。保有DB134は製品ID列及び保有数列を含む。製品ID列は製品IDを記憶する。保有数列は病院で保有する数(保有数)を記憶する。デバイスの在庫等を管理するシステムが稼働しており、当該システムでデバイスの保有状況を確認可能な場合、選択補助装置1は保有DB134を備えてなくともよい。なお、本明細書において、保有数は静的なデータではなく、在庫数と同じ値となる動的なデータである。
【0040】
続いて学習モデル141について説明する。図8は学習モデルの構成例を示す説明図である。学習モデル141は、患者の身体特性、患者の血管内にカテーテル等のデバイスを挿入するための穿刺位置、及び患者の血管内の病変部位(患者の病変部位の位置)、並びに、病変部位の治療に使用したデバイスのデバイス長、病変部位の治療に使用したデバイスが病変部位に到達したか否かの評価を訓練データとした深層学習により生成されるニューラルネットワークである。学習モデル141は、身体特性、デバイスを挿入するために穿刺する位置、及び、病変部位を入力した場合に、デバイスの長さの推奨値を出力するよう学習されている。推奨値は、患者の病変部位に到達するために必要なデバイスの長さの推奨値である。なお、学習モデル141を生成する際には、取得した訓練データの中で、病変部位に到達したか否かの評価が、到達した旨を示すデータのみを使用し、到達しなかった旨を示すデータは、使用しなくてもよい。図8の説明図は、取得した訓練データの中で、病変部位に到達したか否かの評価が、到達した旨を示すデータのみを使用している。学習モデル141は、ニューラルネットワークに限らず、決定木、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)など、他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0041】
患者の身体特性は、例えば、身長、体重、年齢、性別又は血圧等である。ここでの血圧は拡張期血圧、収縮期血圧、及び、高血圧と判定されているか否か等の複数の情報を含んでもよい。穿刺位置は、デバイスを挿入するために穿刺した位置に関する情報であり、例えば右の手首、又は、左の手首等の穿刺した部位である。病変部位は治療の対象となった部位である。使用デバイス長は使用したデバイスの有効長である。
【0042】
選択補助装置1は過去の治療データ、治療時の患者データ、治療に使用したデバイスの仕様から、訓練データを作成し、訓練DB132に蓄積する。選択補助装置1は蓄積した訓練データを用いて、学習モデル141を生成する。なお、学習モデル141を生成する際には、学習モデル141が患者の病変部位により確実に到達するために必要なデバイスの長さの推奨値を推定できるように、取得した訓練データの中で、病変部位に到達したか否かの評価が、到達した旨を示すデータのみを使用してもよい。本実施の形態では、選択補助装置1は、学習モデル141を生成する際には、取得した訓練データの中で、病変部位に到達したか否かの評価が、到達した旨を示すデータのみを使用し、到達しなかった旨を示すデータは、使用していない。
【0043】
選択補助装置1は学習モデル141へ患者の身体特性、患者の血管内にデバイスを挿入するための穿刺位置、及び病変部位(患者の病変部位の位置)を入力し、推奨デバイス長を学習モデル141からの出力として取得する。選択補助装置1は出力された推奨デバイス長と、訓練データに含まれる使用したデバイスのデバイス長とを対照して、推奨デバイス長が到達したデバイス長となるように、学習モデル141を構成するニューロン間の重み等のパラメータを更新する。選択補助装置1は訓練DB132に蓄積された全ての訓練データを用いて学習を行い、パラメータを最適化した学習モデル141を生成する。
【0044】
選択補助装置1は、新たな病変部位の治療に関して、学習モデル141を用いて推奨デバイス長を求める。選択補助装置1は、患者の身体特性、患者の血管内にデバイスを挿入するために穿刺する予定の穿刺位置、及び病変部位の入力データを取得し、取得した入力データに基づき、学習モデル141を介して推奨デバイス長を取得する。選択補助装置1は推奨デバイス長を満たすデバイスであって、病院内に在庫があるデバイスを選択し、検査科端末2に表示させる。
【0045】
図9は学習モデル生成処理の手順例を示すフローチャートである。選択補助装置1の制御部11は訓練データを取得する(ステップS1)。制御部11は電子カルテシステム、オーダリングシステム等のその他システム3から、病変部位を含む過去の治療データ、治療時の患者データ、穿刺位置及び治療に使用したデバイスのデバイス長を取得する。制御部11は取得した情報から訓練データを生成し、訓練DB132に記憶する。制御部11は訓練DB132に記憶した訓練データから処理対象とするデータを選択する(ステップS2)。選択する訓練データは、デバイスが病変部位に達した症例のデータのみ、すなわち、到達列の値が丸印になっているもののみとする。制御部11は学習を行う(ステップS3)。制御部11は、学習モデル141へ患者の身体特性、穿刺位置、及び病変部位を入力し、学習モデル141から出力された推奨デバイス長と、訓練データに含まれる使用したデバイスのデバイス長とを対照して、出力される推奨デバイス長が訓練データに含まれるデバイス長となるように、学習モデル141を構成するニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。制御部11は訓練DB132に記憶した訓練データで未処理のデータがあるか否かを判定する(ステップS4)。制御部11は未処理のデータがあると判定した場合(ステップS4でYES)、処理をステップS2へ戻し処理を継続する。制御部11は未処理のデータがないと判定した場合(ステップS4でNO)、学習モデル141の最適化されたパラメータを記憶し(ステップS5)、処理を終了する。
【0046】
図10は推奨デバイス表示処理の手順例を示すフローチャートである。治療のオーダに従って、デバイスの手配を担当する者(以下、「担当者」という。)は、検査科端末2を操作して、対象患者の情報を電子カルテシステム等のその他システム3から呼び出す。また、その他システム3から得られない情報については、担当者が検査科端末2へ入力する。それにより、検査科端末2の制御部21は患者データを取得する(ステップS21)。制御部21は病変部位を取得する(ステップS22)。オーダリングシステム又は電子カルテシステム等から取得できない場合は、担当者が入力する。制御部21は穿刺位置を取得する(ステップS23)。ここでの穿刺位置は、デバイスを挿入するために穿刺を予定している位置に関する情報である。例えば穿刺位置は右手又は左手である。病変部位と同様にオーダリングシステムから取得できない場合は、担当者が入力する。制御部21は患者データ、病変部位、及び、穿刺位置を選択補助装置1へ送信する(ステップS24)。選択補助装置1の制御部11は患者データ、病変部位、及び、穿刺位置を受信する(ステップS25)。制御部11は患者データ、病変部位、及び、穿刺位置を学習モデル141へ入力する(ステップS26)。制御部11は、患者データ、病変部位、及び、穿刺位置に基づき、学習モデル141を介して推奨デバイス長を決定する(ステップS27)。なお、制御部11は学習モデル141が出力した推奨デバイス長に基づき、最終的な推奨デバイス長を決定してもよい。例えば、学習モデル141が出力した推奨デバイス長の小数点第1位を四捨五入して得た整数値を最終的な推奨デバイス長として決定する。また、市販デバイスのデバイス長が離散的な場合、例えば110cmの次に長いものが135cmである場合、学習モデル141が出力した120cmから、最終的な推奨デバイス長を135cmと決定する。なお、これらの処理を出力層で行うように学習モデル141を設計又は学習してもよい。制御部11は推奨デバイスの判定処理を行う(ステップS28)。
【0047】
図11は判定処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は製品DB133を参照し、デバイス長が推奨デバイス長以上であるデバイス(推奨デバイス)が、有るか否かを判定する(ステップS41)。制御部11は推奨デバイスがあると判定した場合(ステップS41でYES)、保有DB134を参照し、病院が推奨デバイスを保有しているか否かを判定する(ステップS42)。制御部11は推奨デバイスを保有していると判定した場合(ステップS42でYES)、予約可能か否かを判定する(ステップS43)。制御部11は保有DB134を参照し、保有数が0であれば予約不可と判定し、それ以外であれば予約可と判定する。なお、デバイスの手配と治療日とは日数が空いていることも想定される。保有DB134でデバイスの予約状況を管理し、必要とするデバイスが治療日において予約可能か判断することが望ましい。制御部11は予約可と判定した場合(ステップS43でYES)、予約可能なデバイスの製品IDを返却する(ステップS44)。予約可能なデバイスが複数ある場合、それに応じて複数の製品IDを制御部11は返却する。制御部11は予約不可と判定した場合(ステップS43でNO)、推奨デバイスの製品IDと、それを注文するための注文情報を返却する(ステップS45)。制御部11は例えば、注文情報を製品DB133から取得する。制御部11は推奨デバイスを保有していないと判定した場合(ステップS42でNO)、推奨デバイスの製品情報と注文情報とを返却する(ステップS46)。制御部11はこれらの情報を製品DB133から取得する。制御部11は推奨デバイスがないと判定した場合(ステップS41でNO)、橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療を推奨しない旨を返却する(ステップS47)。制御部11は呼び出し元へ戻す。
【0048】
図10に戻り、制御部11は返却された値に応じた画面を生成し、検査科端末2へ送信する(ステップS29)。検査科端末2の制御部21は画面を受信し、表示部26に表示する(ステップS30)。制御部21は処理を終了する。
【0049】
図12は判定結果画面の他の例を示す説明図である。判定結果画面d01は患者名d011、患者IDd012、判定結果d013、及び在庫表d014を含む。患者名d011は対象患者の氏名である。患者IDd012は対象患者の患者IDである。判定結果d013は判定結果を示す。ここでの判定結果は推奨デバイスが引当可能であることを示す。在庫表d014は(引当可能な)在庫数を含む推奨デバイスの情報を一覧表示する。在庫表d014は、推奨デバイスの製品カテゴリ毎に表示しているため、2つ表示されている。
【0050】
図13は判定結果画面の他の例を示す説明図である。判定結果画面d02は患者名d021、患者IDd022、判定結果d023、在庫表d024、補足判定結果d025、及び市販製品表d026を含む。患者名d021は対象患者の氏名である。患者IDd022は対象患者の患者IDである。判定結果d023は判定結果を示す。ここでの判定結果は、病院が推奨デバイスを保有しているものの、引当不可であることを示す。在庫表d024は病院が保有する推奨デバイスの情報を一覧表示する。在庫表d024は、推奨デバイスの製品カテゴリ毎に表示しているため、2つ表示されている。在庫表d024において、「注文はこちら」と書かれた列は、業者に発注する場合の注文コードを表示されている。注文コードにはリンクが貼られている。当該リンクをマウスクリック等で選択すると、注文ページヘ遷移する。補足判定結果d025は病院が保有していない製品であるが、推奨デバイスに該当する製品がある旨を表示している。市販製品表d026は当該製品の情報を一覧表示する。在庫表d024と同様に、市販製品表d026は、製品カテゴリ毎に表示しているため、2つ表示されている。市販製品表d026において、「注文はこちら」と書かれた列は、在庫表d024における同名列と同様である。
【0051】
図14は判定結果画面の他の例を示す説明図である。判定結果画面d03は患者名d031、患者IDd032、判定結果d033、補足判定結果d034、及び市販製品表d035を含む。患者名d031は対象患者の氏名である。患者IDd032は対象患者の患者IDである。判定結果d033は判定結果を示す。ここでの判定結果は、病院が推奨デバイスを保有していないことを示す。補足判定結果d034は、病院が推奨デバイスを保有してないが、推奨デバイスに該当する製品がある旨を表示している。市販製品表d035は推奨デバイスに該当する製品についての情報を一覧表示する。市販製品表d035は、製品カテゴリ毎に表示しているため、2つ表示されている。市販製品表d035において、「注文はこちら」と書かれた列は、上述した同名列と同様である。
【0052】
図15は判定結果画面の他の例を示す説明図である。判定結果画面d04は患者名d041、患者IDd042、判定結果d043、及び推奨メッセージd044を含む。患者名d041は対象患者の氏名である。患者IDd042は対象患者の患者IDである。判定結果d043は判定結果を示す。ここでの判定結果は、市販製品も含め推奨デバイスは存在しない判定したことを示す。推奨メッセージd044は判定結果に基づき、経橈骨動脈アプローチの実施は推奨しないことを表示している。
【0053】
本実施の形態は、以下の効果を奏する。経橈骨動脈アプローチによるカテーテル治療をおこなうにあたり、カルテから得られる患者の身体特性と、穿刺位置及び病変部位とにより、デバイス長の推奨値を非侵襲的かつ簡便に提示することが可能である。推奨デバイス長を得るために、別途、画像診断を行う必要がない。また、推奨デバイス長と製品データ及び在庫データとを参照し、使用可能なデバイス候補を提示することが可能である。上述の説明では、カテーテル治療のみに言及しているが、カテーテルを用いた検査の場合も、本実施の形態が適用できることは明らかである。
【0054】
上述の説明において、患者の身体特性の例として、身長、体重、年齢、性別又は血圧(拡張期血圧、収縮期血圧、高血圧症と診断されているか否か)を示したが、これらに限らない。以下、学習モデル141への入力データとして、採用してもよいデータ項目について示す。
【0055】
学習モデル141の訓練データ及び入力データにおける身体特性として、血管の長さとの関連がある次のデータ(補助データ)を採用してもよい。補助データの一つとして、股下の長さ(股下長)を採用してもよい。背骨が著しく曲がっている亀背の人の場合、身体全体の長さと身長とは一致しない。一般的に、股下の長さと背中がまっすぐな場合の身長は、血管の長さと相関がある。そのため、入力する身体特性として股下長を採用すれば、股下長と股下長から推測される身長との間の相関性に著しく乖離がある場合、身長が補正された学習が、学習モデル141において行われる。そして、学習モデル141を用いて推奨デバイス長を求めるにおいて、背骨が著しく曲がっている亀背の患者であっても、適正な推奨デバイス長を得ることが可能となる。
【0056】
補助データの一つとして胸部大動脈ステントグラフ治療を受けたことがあるか否かを示す胸部大動脈ステントグラフ治療歴(TEVER歴)を採用してもよい。TEVARを受けた患者は術後、年数経過とともに大動脈の長さが伸び、血管の長さが増加することがわかっている。そのため、入力する身体特性としてTEVER歴を採用すれば、TEVER歴がある患者の場合であっても、TEVARによる大動脈の伸長を加味して、学習モデル141の学習が行われる。そして、学習モデル141を用いて推奨デバイス長を求めるにおいて、TEVAR歴がある患者であっても、適正な推奨デバイス長を得ることが可能となる。
【0057】
補助データの一つとして、身体特性としてBMIを採用してもよい。BMIは身長と体重とから算出可能である。BMIは体格を示す指標であり、血管の長さと相関関係があると言えるからである。
【0058】
上述の説明では、経橈骨動脈アプローチにおけるデバイス長を念頭に説明しているが、これに限らず他のアプローチにも適用可能である。穿刺部位と病変部位との間の距離が遠い場合、医療従事者は使用するデバイス長の予測が難しい。当該距離は、橈骨動脈の穿刺部位から下肢病変部位の治療時には遠くなるので、経橈骨動脈アプローチでは、特に、本実施の形態を用いて、推奨デバイス長を求めることが望ましい。そして、推奨デバイス長を満たしたデバイスを選択すれば、デバイスが病変部位に届かないという事態の発生を抑止可能となる。
【0059】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0060】
100 :デバイス選択補助システム
1 :選択補助装置
11 :制御部
12 :主記憶部
13 :補助記憶部
131 :患者DB
132 :訓練DB
133 :製品DB
134 :保有DB
141 :学習モデル
15 :通信部
16 :読み取り部
1P :制御プログラム
1a :可搬型記憶媒体
1b :半導体メモリ
2 :検査科端末
21 :制御部
22 :主記憶部
23 :補助記憶部
24 :通信部
25 :入力部
26 :表示部
2P :制御プログラム
3 :他システム
N :院内ネットワーク
図1
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