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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051778
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】アンダーカット処理機構
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/44 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B29C45/44
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158105
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小濱 紀宏
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AH24
4F202CA11
4F202CA30
4F202CB01
4F202CK32
4F202CK42
4F202CK52
4F202CK59
4F202CM02
(57)【要約】
【課題】 簡易な構造でアンダーカット部の角の違いに対応することによって、部品の共通化を実現することが可能なアンダーカット処理機構を提供する。
【解決手段】 アンダーカット処理機構1Aは、バンパフェイス2におけるアンダーカット部としてのリテーナ2bを成形する成形コア70と、ホルダ40と、ホルダ40内に移動可能に収容される保持駒50と、成形コア70及び保持駒50を互いに連結するとともに、型抜き方向Y2へ移動することによって成形コア70を型抜き可能に開く連結駒60と、保持駒50を押し出すことによって、当該保持駒50を型抜き方向Y2へ移動させる押出ピン32と、押出ピン32の保持駒50とは反対側の端部が取り付けられる取付部31と、を備え、押出ピン32は、保持駒50に対して、型抜き方向Y2と交差する方向に相対変位可能である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品におけるアンダーカット部を成形する成形コアと、
ホルダと、
前記ホルダ内に移動可能に収容される保持駒と、
前記成形コア及び前記保持駒を互いに連結するとともに、型抜き方向へ移動することによって前記成形コアを型抜き可能に開く連結駒と、
前記保持駒を押し出すことによって、当該保持駒を前記型抜き方向へ移動させる押出ピンと、
前記押出ピンの前記保持駒とは反対側の端部が取り付けられる取付部と、
を備え、
前記押出ピンは、前記保持駒又は前記取付部に対して、前記型抜き方向と交差する方向に相対変位可能である
ことを特徴とするアンダーカット処理機構。
【請求項2】
前記ホルダの軸線方向である前記型抜き方向は、前記成形品において前記アンダーカット部が立設される面部と直交しており、
前記型抜き方向は、前記保持駒を押し出すための前記押出ピンの移動方向である押出方向と交差する
ことを特徴とする請求項1に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項3】
前記押出ピンは、前記保持駒に対して、前記型抜き方向と交差する方向に相対変位可能であり、
前記保持駒及び前記押出ピンの間に介設可能なアタッチメントを備え、
前記アタッチメント及び前記押出ピンの当接面の前記型抜き方向に対する角度は、前記アタッチメント及び前記保持駒の当接面の前記型抜き方向に対する角度よりも、垂直に近い
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項4】
前記押出ピンは、前記保持駒に対して、前記型抜き方向と交差する方向に相対変位可能であり、
前記保持駒における前記押出ピンと当接する面は、凹状の曲面形状を呈する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンダーカット処理機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーカット部を有する成形品を製造するための機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アンダーカット部を有する成形品を製造するための金型において、アンダーカット部を成形するための部品をユニット化することが行われている。かかるアンダーカットユニットは、樹脂成形時の押出ストロークに同期して型開きする必要があるため、金型の型開き方向に平行に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6836774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンダーカット部を有する成形品の一つとして、車両のバンパフェイスが挙げられる。バンパフェイスには、安全確保に寄与するために、車両周辺の障害物を検知するためのパーキングセンサが取り付けられる。かかるバンパフェイスには、アンダーカット部として、パーキングセンサを取り付けるためのリテーナが一体成形されている。車種によってリテーナの位置が異なるバンパフェイスを製造する各金型に対応するためには、アンダーカットユニットは、バンパフェイスの面形状に応じた専用品となっている。バンパフェイスごとに専用品のアンダーカットユニットを使用することは、開発費及びスペアの用意という観点からコスト増加に繋がっている。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でアンダーカット部の角の違いに対応することによって、部品の共通化を実現することが可能なアンダーカット処理機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明のアンダーカット処理機構は、成形品におけるアンダーカット部を成形する成形コアと、ホルダと、前記ホルダ内に移動可能に収容される保持駒と、前記成形コア及び前記保持駒を互いに連結するとともに、型抜き方向へ移動することによって前記成形コアを型抜き可能に開く連結駒と、前記保持駒を押し出すことによって、当該保持駒を前記型抜き方向へ移動させる押出ピンと、前記押出ピンの前記保持駒とは反対側の端部が取り付けられる取付部と、を備え、前記押出ピンは、前記保持駒又は前記取付部に対して、前記型抜き方向と交差する方向に相対変位可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、簡易な構造でアンダーカット部の角度の違いに対応することによって、部品の共通化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一の実施形態に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、バンパフェイスを成形する段階を説明するための図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、成形されたバンパフェイスを取り出す段階を説明するための図である。
図3】本発明の第一の実施形態の変形例に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、バンパフェイスを成形する段階を説明するための図である。
図4】本発明の第一の実施形態の変形例に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、成形されたバンパフェイスを取り出す段階を説明するための図である。
図5】本発明の第二の実施形態に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、バンパフェイスを成形する段階を説明するための図である。
図6】本発明の第二の実施形態に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、成形されたバンパフェイスを取り出す段階を説明するための図である。
図7】本発明の第三の実施形態に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、バンパフェイスを成形する段階を説明するための図である。
図8】本発明の第三の実施形態に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、成形されたバンパフェイスを取り出す段階を説明するための図である。
図9】本発明の第四の実施形態に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、バンパフェイスを成形する段階を説明するための図である。
図10】本発明の第四の実施形態に係るアンダーカット処理機構を模式的に示す端面図であり、成形されたバンパフェイスを取り出す段階を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、本発明のアンダーカット処理機構を車両のバンパフェイス製造に適用した場合を例にとり、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
<第一の実施形態>
図1及び図2に示すように、本発明の第一の実施形態に係るアンダーカット処理機構1Aは、成形品としてのバンパフェイス2を製造する成形装置(金型)の一部である。
【0011】
<バンパフェイス>
バンパフェイス2は、バンパフェイス本体部2aと、リテーナ2bと、を一体に備える樹脂製部材である。バンパフェイス本体部2aは、車両の前表面を構成する面形状の部位(面部)である。リテーナ2bは、パーキングセンサ(図示せず)が取り付けられる部位であって、バンパフェイス本体部2aの一面(背面)側から当該一面に対して垂直に立設されるアンダーカット部である。バンパフェイス2におけるリテーナ2bの設置位置は、車種によって異なる。なお、各図には、バンパフェイス2の車幅方向端部(左端部)及びそれに対応するアンダーカット処理機構1Aの一部のみが模式的に描かれており、リテーナ2bは、バンパフェイス本体部2aにおいて、車幅方向外側にいくにつれて車体後方に向かう傾斜する傾斜面から垂直に立設されている。
【0012】
<アンダーカット処理機構>
アンダーカット処理機構1Aは、第一の型10Aと、第二の型20と、押出部30Aと、アンダーカットユニット3Aと、を備える。
【0013】
<第一の型>
第一の型10Aは、パンパフェイス2(バンパフェイス本体部2a)の一面(背面)側に倣う形状を呈する面(上面)11を有する固定型である。第一の型10Aには、面11及び当該面11とは反対側の面(下面)12に開口部を有するように当該第一の型10Aを貫通する孔部13が形成されている。孔部13は、押出方向Y1とは非平行な(交差する)型抜き方向Y2に延びるように形成されており、面12側から順に、小径部13aと、段差部13bと、大径部13cと、を備える。
【0014】
ここで、押出方向(第一の方向)Y1は、後記する押出部30Aの移動方向であって、第二の型20の型開き方向と一致する(平行である)。また、型抜き方向Y2は、後記するアンダーカットユニット3Aの保持駒50(、連結駒60及び成形コア70)の移動方向であって、孔部13の軸線方向、及び、ホルダ40の軸線方向と一致する(平行である)。また、型抜き方向(第二の方向)Y2は、バンパフェイス2においてリテーナ2bが立設される面部(バンパフェイス本体部2aのうち、リテーナ2bが立設されている部位(バンパフェイス本体部2aの車幅方向端部に位置する傾斜面部))と直交している。
【0015】
小径部13aは、面12に開口部を有しており、軸方向において同一径を呈する比較的小径の孔部である。段差部13bは、小径部12a及び大径部12cの連結部位であり、面11側を向く枠形状を呈する面である。大径部13cは、面11に開口部を有しており、押出方向Y1及び一対の成形コア70,70に直交する方向から見て、面11側にいくにつれて拡径するテーパ形状を呈する比較的大径の孔部である。
【0016】
<第二の型>
第二の型20は、第一の型10Aの面11と対向するように配置されており、バンパフェイス2(バンパフェイス本体部2a)の他面(前面)側に倣う形状の面(下面)21を有する可動型である。
【0017】
<押出部>
押出部30Aは、取付部31と、押出ピン32と、を備える。
【0018】
≪取付部≫
取付部(基部)31は、第一の型10Aの面12と対向して離間するように配置されており、押出方向Y1に移動可能な平板状の部材である。
【0019】
押出ピン(第一の押出ピン)32は、取付部31の一面(上面)から立設されているピンである。押出ピン32の先端部は、後記するアンダーカットユニット3Aの保持駒50に当接し、保持駒50を押出方向Y1に押し出す。本実施形態において、押出ピン32の基端部は、取付部31に対して、型抜き方向Y2と交差する方向に相対変位不能に固定されている。また、押出ピン32の先端部は、保持駒50に対して固定されておらず、保持駒50との当接部位に対して、型抜き方向Y2と交差する方向に相対変位可能に構成されている。
【0020】
<アンダーカットユニット>
アンダーカットユニット3Aは、バンパフェイス2のリテーナ2bを成形するためのユニットである。アンダーカットユニット3Aは、ホルダ40と、保持駒50と、一対の連結駒60及び成形コア70と、を備える。
【0021】
≪ホルダ≫
ホルダ40は、小径部13aの内周面に対して着脱可能に取り付けられる枠状の部材である。
【0022】
≪保持駒≫
保持駒50は、ホルダ40内に当該ホルダ40の軸線方向(すなわち、型抜き方向Y2)に移動可能(ホルダ40に対して摺動可能)に収容される柱状の部材である。
【0023】
≪連結駒≫
連結駒60は、保持駒50の他面(上面)から立設されており、ホルダ40内の保持駒50とホルダ40外の成形コア70とを互いに連結する棒状の部材である。連結駒60の基端部は、保持駒50に対して回動可能に支持されている。一対の連結駒60,60は、それぞれ、付勢部(図示せず)によって互いに離間する方向に付勢されている。
【0024】
≪成形コア≫
成形コア70は、ホルダ40から露出しており、連結駒60の先端部に取り付けられている。成形コア70の下面及び外側面は、孔部13の段差部13b及び大径部13cに倣う形状を呈する。成形コア70の上面は、パンパフェイス2(バンパフェイス本体部2a)の一部の一面(背面)側に倣う形状を呈する。一対の成形コア70,70(の内側面)は、互いに閉じられた状態で、リテーナ2bを成形可能な空間を内部に構成する。成形コア70は、連結駒60と一体に形成されていてもよい。
【0025】
<動作例>
図1に示すように、バンパフェイス2を成形する段階において、一対の成形コア70,70は、孔部13の大径部13cに収容されて閉じられている(成形コア70の型閉じ状態)。また、可動型である第二の型20は、第一の型10Aに対して近接して閉じられている(第一の型10A及び第二の型20の型閉じ状態)。かかる状態において、制御部(図示せず)は、射出部(図示せず)を制御することによって、第一の型10A及び第二の型20の間の空間、並びに、成形コア70の間の空間に樹脂を注入することによって、当該樹脂を材料としてバンパフェイス2を形成する。
【0026】
続いて、図2に示すように、制御部は、駆動部(図示せず)を制御することによって、第二の型20を押出方向Y1に移動させ、第二の型20を第一の型10Aから離間させる(第一の型10A及び第二の型20の型開き)。
【0027】
続いて、制御部は、駆動部(図示せず)を制御することによって、押出部30Aを押出方向Y1に移動させる。保持駒50、連結駒60及び成形コア70は、保持駒50が押出ピン32によって押し出されることによって、押出方向Y1と交差する型抜き方向Y2へ移動し、一対の成形コア70,70は、大径部13cから露出した段階で互いに離間する(成形コア70の型開き)。ここで、押出ピン32は、保持駒50との当接部位を移動させながら保持駒50を好適に押し出すことができる。成形コア70の型開きが完了した状態において、バンパフェイス2は、アンダーカット処理機構1Aから取り出される。
【0028】
<第一の実施形態の変形例>
続いて、本発明の第一の実施形態の変形例に係るアンダーカット処理機構及びその動作例について、第一の実施形態に係るアンダーカット処理機構1A及びその動作例との相違点を中心に説明する。
【0029】
図3及び図4に示すように、本発明の第一の実施形態の変形例に係るアンダーカット処理機構1Zは、第一の型10A、第二の型20及び押出部30Aに代えて、第一の型10Z、第二の型20Z及び押出部30Zを備える。アンダーカット処理機構1Zにおいて、押出方向Y1及び型抜き方向Y2は、平行である(一致している)。
【0030】
<第一の型>
第一の型10Zには、面(上面)11及び当該面11とは反対側の面(下面)12に開口部を有するように当該第一の型10Zを貫通する孔部14,14が形成されている。
【0031】
<押出部>
押出部30Zは、押出ピン33,33をさらに備える。押出ピン33は、取付部31の一面側から立設されており、孔部14に挿通されているピンである。押出ピン32の先端部は、バンパフェイス2Zのバンパフェイス本体部2aに当接し、バンパフェイス本体部2aを押出方向Y1に押し出す。かかる変形例のバンパフェイス2Zにおいて、リテーナ2bは、バンパフェイス本体部2aのうち、車幅方向に延在する面から垂直に立設されている。
【0032】
すなわち、アンダーカットユニット3Aは、押出ピン32と保持駒50とが互いに固定されていないことによって、押出方向Y1に対する型抜き方向Y2の角度が異なる様々なアンダーカット処理機構1A,1Zに対する共通化を実現することができる。
【0033】
本発明の第一の実施形態に係るアンダーカット処理機構1Aは、成形品(バンパフェイス2)におけるアンダーカット部(リテーナ2b)を成形する成形コア70と、ホルダ40と、前記ホルダ40内に移動可能に収容される保持駒50と、前記成形コア70及び前記保持駒50を互いに連結するとともに、型抜き方向Y2へ移動することによって前記成形コア70を型抜き可能に開く連結駒60と、前記保持駒50を押し出すことによって、当該保持駒50を前記型抜き方向Y2へ移動させる押出ピン32と、前記押出ピン32の前記保持駒50とは反対側の端部が取り付けられる取付部31と、を備え、前記押出ピン32は、前記保持駒50に対して、前記型抜き方向Y2と交差する方向に相対変位可能である。
したがって、アンダーカット処理機構1Aは、簡易な構造でアンダーカット部2bの角度の違いに対応することによって、部品(アンダーカットユニット3A)の共通化を実現することができる。
【0034】
また、アンダーカット処理機構1Aにおいて、前記ホルダ40の軸線方向である前記型抜き方向Y2は、前記成形品において前記アンダーカット部が立設される面部(バンパフェイス本体部2a)と直交しており、前記型抜き方向Y2は、前記保持駒50を押し出すための前記押出ピン32の移動方向である押出方向Y1と交差する。
したがって、アンダーカット処理機構1Aは、簡易な構造でアンダーカット部2bを押出方向Y1に対して斜めに成形することができ、部品(アンダーカットユニット3A)の共通化を実現することができる。
【0035】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係るアンダーカット処理機構及びその動作例について、第一の実施形態に係るアンダーカット処理機構1A及びその動作例との相違点を中心に説明する。
【0036】
図5及び図6に示すように、本発明の第二の実施形態に係るアンダーカット処理機構1Bは、第一の型10A及び押出部30Aに代えて、第一の型10B及び押出部30Bを備える。
【0037】
<第一の型>
第一の型10Bには、面(上面)11及び当該面11とは反対側の面(下面)12に開口部を有するように当該第一の型10Bを貫通する孔部14,14が形成されている。
【0038】
<押出部>
押出部30Bは、押出ピン33,33をさらに備える。
【0039】
≪押出ピン≫
押出ピン(第二の押出ピン)33は、取付部31の一面側から立設されており、孔部14に挿通されているピンである。押出ピン33の先端部は、バンパフェイス2のバンパフェイス本体部2aに当接し、バンパフェイス本体部2aを押出方向Y1に押し出す。
【0040】
本実施形態において、押出ピン32の先端部は、保持駒50に対して相対変位不能に固定されている。また、押出ピン32の基端部は、取付部31に対して、型抜き方向Y2と交差する方向に相対変位可能に連結されている。
【0041】
<動作例>
図6に示すように、制御部は、バンパフェイス2の成形後に駆動部を制御することによって、押出部30Bを押出方向Y1に移動させる。保持駒50、連結駒60及び成形コア70は、保持駒50が押出ピン32によって押し出されることによって、押出方向Y1と交差する型抜き方向Y2へ移動し、一対の成形コア70,70は、大径部13cから露出した段階で互いに離間する(成形コア70の型開き)。ここで、押出ピン32は、取付部31との連結部位を変位(移動)させながら保持駒50を好適に押し出すことができる。成形コア70の型開きが完了した状態において、バンパフェイス2は、アンダーカット処理機構1Bから取り出される。
【0042】
ここで、押出ピン32は、押出方向Y1に延びる姿勢を維持しながら保持駒50を押し出す。すなわち、アンダーカット処理機構1Bは、かかる構成によって、押出ピン32による成形コア70(アンダーカット部2b)の押出方向Y1への移動量?1を、押出ピン33,33によるバンパフェイス本体部2aの押出方向Y1への移動量?2に近付ける(好ましくは、一致させる)ことができる。したがって、アンダーカット処理機構1Cは、一対の成形コア70,70の型開きを、押出ピン33,33による押出と好適に連動させることができる。
【0043】
本発明の第二の実施形態に係るアンダーカット処理機構1Bは、成形品(バンパフェイス2)におけるアンダーカット部(リテーナ2b)を成形する成形コア70と、ホルダ40と、前記ホルダ40内に移動可能に収容される保持駒50と、前記成形コア70及び前記保持駒50を互いに連結するとともに、型抜き方向Y2へ移動することによって前記成形コア70を型抜き可能に開く連結駒60と、前記保持駒50を押し出すことによって、当該保持駒50を前記型抜き方向Y2へ移動させる押出ピン32と、前記押出ピン32の前記保持駒50とは反対側の端部が取り付けられる取付部31と、を備え、前記押出ピン32は、前記取付部31に対して、前記型抜き方向Y2と交差する方向に相対変位可能である。
したがって、アンダーカット処理機構1Bは、簡易な構造でアンダーカット部2bの角度の違いに対応することによって、部品(アンダーカットユニット3A)の共通化を実現することができる。
【0044】
<第三の実施形態>
続いて、本発明の第三の実施形態に係るアンダーカット処理機構及びその動作例について、第一の実施形態に係るアンダーカット処理機構1A及びその動作例との相違点を中心に説明する。
【0045】
図7及び図8に示すように、本発明の第三の実施形態に係るアンダーカット処理機構1Cは、第一の型10A、押出部30A及びアンダーカットユニット3Aに代えて、第一の型10B、押出部30C及びアンダーカットユニット3Cを備える。第一の型10Bについては、第二の実施形態において既に説明されている。
【0046】
<押出部>
押出部30Cは、押出ピン33,33をさらに備える。
【0047】
≪押出ピン≫
押出ピン33は、取付部31の一面側から立設されており、孔部14に挿通されているピンである。押出ピン33の先端部は、バンパフェイス2のバンパフェイス本体部2aに当接し、バンパフェイス本体部2aを押出方向Y1に押し出す。
【0048】
<アンダーカットユニット>
アンダーカットユニット3Cは、アタッチメント80Cをさらに備える。
【0049】
≪アタッチメント≫
アタッチメント80Cは、押出ピン32の先端部と保持駒50との間に着脱可能に介設されるブロック状の部材である。アタッチメント80Cは、連結駒60の回動軸方向(すなわち、押出方向Y1(又は型抜き方向Y2)及び成形コア70の型開き方向の両方に直交する方向)から見て、左右方向で厚みが変わる(図の左から右にいくにつれて厚くなる)台形状を呈する。連結駒60の回動軸方向(すなわち、押出方向Y1(又は型抜き方向Y2)及び成形コア70の型開き方向の両方に直交する方向)から見て、押出方向Y1に対するアタッチメント80Cの押出ピン32側の面81の角度は、押出方向Y1に対する保持駒50の押出ピン32側の面51の角度よりも、垂直に近い(本実施形態では、垂直)。本実施形態において、押出ピン32の先端部は、アタッチメント80Cに対して固定されておらず、アタッチメント80Cとの当接部位に対して、型抜き方向Y2と交差する方向に相対変位可能に構成されている。
【0050】
アタッチメント80Cは、押出方向Y1に対する押出方向Y2の角度に応じた形状のものが適宜採用されて押出ピン32及び保持駒50の間に介設される。
【0051】
<動作例>
図8に示すように、制御部は、バンパフェイス2の成形後に駆動部を制御することによって、押出部30Cを押出方向Y1に移動させる。保持駒50、連結駒60、成形コア70及びアタッチメント80Cは、アタッチメント80Cが押出ピン32によって押し出されることによって、押出方向Y1と交差する型抜き方向Y2へ移動し、一対の成形コア70,70は、大径部13cから露出した段階で互いに離間する(成形コア70の型開き)。ここで、押出ピン32は、アタッチメント80Cとの当接部位を変位(移動)させながらアタッチメント80Cを好適に押し出すことができる。成形コア70の型開きが完了した状態において、バンパフェイス2は、アンダーカット処理機構1Cから取り出される。
【0052】
ここで、アタッチメント80Cの押出ピン32と当接する面は、押出方向Y1に対して垂直に設定されている。すなわち、アンダーカット処理機構1Cは、かかる構成によって、押出ピン32による成形コア70(アンダーカット部2b)の押出方向Y1への移動量?1を、押出ピン33,33によるバンパフェイス本体部2aの押出方向Y1への移動量?2に近付ける(好ましくは、一致させる)ことができる。したがって、アンダーカット処理機構1Cは、一対の成形コア70,70の型開きを、押出ピン33,33による押出と好適に連動させることができる。なお、孔部13(大径部13a)の面12側の端部は、押出ピン32との干渉を回避するように拡径されていてもよい。
【0053】
本発明の第三の実施形態に係るアンダーカット処理機構1Cにおいて、前記押出ピン32は、前記保持駒50に対して、前記型抜き方向Y2と交差する方向に相対変位可能であり、前記保持駒50及び前記押出ピン32の間に介設可能なアタッチメント80Cを備え、前記アタッチメント80C及び前記押出ピン32の当接面(面81)の前記型抜き方向Y2に対する角度は、前記アタッチメント80C及び前記保持駒50の当接面(面51)の前記型抜き方向Y2に対する角度よりも、垂直に近い。
したがって、アンダーカット処理機構1Cは、簡易な構造でアンダーカット部2bの角度の違いに対応することによって、アンダーカットユニット3Cの共通化を実現することができる。また、アンダーカット処理機構1Cは、アンダーカット部2bの角度の違いに基づく成形コア70の型開きのタイミングの変化を抑制することができる。
【0054】
<第四の実施形態>
続いて、本発明の第四の実施形態に係るアンダーカット処理機構及びその動作例について、第三の実施形態に係るアンダーカット処理機構1C及びその動作例との相違点を中心に説明する。
【0055】
図9及び図10に示すように、本発明の第四の実施形態に係るアンダーカット処理機構1?は、アンダーカットユニット3Cに代えてアンダーカットユニット3?を備える。アンダーカットユニット3?は、アタッチメント80Cに代えてアタッチメント80?を備える。
【0056】
≪アタッチメント≫
アタッチメント80?において、押出ピン32側の面82は、連結駒60の回動軸方向(すなわち、押出方向Y1(又は型抜き方向Y2)及び成形コア70の型開き方向の両方に直交する方向)から見て、凹状の曲面形状(例えば、円弧形状)を呈する。かかるアタッチメント80?は、保持駒50と一体化されていてもよい。すなわち、保持駒50の押出ピン32側の面が、連結駒60の回動軸方向(すなわち、押出方向Y1(又は型抜き方向Y2)及び成形コア70の型開き方向の両方に直交する方向)から見て、凹状の曲面形状を呈する構成であってもよい。
【0057】
また、本実施形態において、押出ピン32の先端面(保持駒50の凹状の曲面と当接する部位)は、連結駒60の回動軸方向(すなわち、押出方向Y1(又は型抜き方向Y2)及び成形コア70の型開き方向の両方に直交する方向)から見て、凸状の曲面形状を呈することが望ましい。
【0058】
<動作例>
図10に示すように、制御部は、バンパフェイス2の成形後に駆動部を制御することによって、押出部30Bを押出方向Y1に移動させる。保持駒50、連結駒60、成形コア70及びアタッチメント80?は、アタッチメント80?が押出ピン32によって押し出されることによって、押出方向Y1と交差する型抜き方向Y2へ移動し、一対の成形コア70,70は、大径部13cから露出した段階で互いに離間する(成形コア70の型開き)。ここで、押出ピン32は、アタッチメント80?との当接部位を、凹状の曲面形状の中央部(窪みの最深部)側から端部側へ変位(移動)させながらアタッチメント80?を好適に押し出すことができる。成形コア70の型開きが完了した状態において、バンパフェイス2は、アンダーカット処理機構1?から取り出される。
【0059】
ここで、アタッチメント80?の押出ピン32と当接する面は、凹状の曲面形状を呈する。すなわち、アンダーカット処理機構1Cは、かかる構成によって、押出ピン32による成形コア70(アンダーカット部2b)の押出方向Y1への移動量?1を、押出ピン33,33によるバンパフェイス本体部2aの押出方向Y1への移動量?2に近付ける(好ましくは、一致させる)ことができる。したがって、アンダーカット処理機構1Cは、一対の成形コア70,70の型開きを、押出ピン33,33による押出と好適に連動させることができる。
【0060】
本発明の第四の実施形態に係るアンダーカット処理機構1?において、前記押出ピン32は、前記保持駒50に対して、前記型抜き方向Y2と交差する方向に相対変位可能であり、前記保持駒50における前記押出ピン32と当接する面は、凹状の曲面形状を呈する。
したがって、アンダーカット処理機構1?は、アンダーカット部2bの角度の違いに基づく成形コア70の型開きのタイミングの変化を抑制することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、ホルダ40は、孔部13の小径部13aと一体化されていてもよい。また、第一の型10が可動型であり、第二の型20が固定型であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B,1C,1? アンダーカット処理機構(成形装置、金型)
2 バンパフェイス(成形品)
2a バンパフェイス本体部(面部)
2b リテーナ(アンダーカット部)
3A,3B,3C,3? アンダーカットユニット
10A,10B 第一の型(ホルダ)
20 第二の型
31 取付部(基部)
32 押出ピン(第一の押出ピン)
33 押出ピン(第二の押出ピン)
40 ホルダ
50 保持駒
60 連結駒
70 成形コア
80C,80? アタッチメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10