(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051798
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両、車両用部品、及びスクーター型車両
(51)【国際特許分類】
B62K 19/30 20060101AFI20240404BHJP
B62J 11/00 20200101ALI20240404BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240404BHJP
【FI】
B62K19/30
B62J11/00
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158131
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】沢崎 和也
(72)【発明者】
【氏名】藤 昭徳
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BH06
3D212BH08
3D212BH09
(57)【要約】
【課題】電子部品及びカプラの被水を防止可能な鞍乗り型車両、車両用部品、及びスクーター型車両を提供する。
【解決手段】車体フレーム(F)に支持される支持ブラケット(B)を備え、支持ブラケット(B)は、電子部品(E)が固定される本体部(B1)と、本体部(B1)に設けられ、車幅方向において外方に突出して形成された第1リブ(B2)及び第2リブ(B3)と、を備え、第2リブ(B3)は、車体上下方向において第1リブ(B2)の下方であり、且つ、重なる位置に配置され、車体上下方向において、第1リブ(B2)及び第2リブ(B3)は、電子部品(E)と、電気配線(N)用のカプラ(N1)と、それぞれ重なる位置に配置され、第1リブの上方には、電子部品(E)が配置され、第1リブ(B2)下方であり、且つ第2リブ(B3)の上方の空間には、電気配線(N)用のカプラ(N1)が配置されていることを特徴とする、鞍乗り型車両である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(F)に支持される支持ブラケット(B)を備え、
前記支持ブラケット(B)は、電子部品(E)が固定される本体部(B1)と、
前記本体部(B1)に設けられ、車幅方向において外方に突出して形成された第1リブ(B2)及び第2リブ(B3)と、を備え、
前記第2リブ(B3)は、車体上下方向において前記第1リブ(B2)の下方であり、且つ、重なる位置に配置され、
車体上下方向において、
前記第1リブ(B2)及び前記第2リブ(B3)は、前記電子部品(E)と、電気配線(N)用のカプラ(N1)と、それぞれ重なる位置に配置され、
前記第1リブの上方には、前記電子部品(E)が配置され、
前記第1リブ(B2)下方であり、且つ前記第2リブ(B3)の上方の空間には、電気配線(N)用のカプラ(N1)が配置されていることを特徴とする、
鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記支持ブラケット(B)を車幅方向外側から覆うボディカバー部材(2)の内壁(2A)から車幅方向において内側に突出して形成され、車体上下方向において前記第2リブ(B3)の下方に配置された第3リブ(2B)を備え、
前記第3リブ(2B)は、車幅方向において前記第1リブ(B2)及び前記第2リブ(B3)の突出量に比して短い突出量に形成されている、
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記第2リブと前記第3リブとは、車体上下方向において重なる位置に配置されている、
請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記電子部品(E)の少なくとも一部は、車幅方向において前記車体フレーム(F)の外側端よりも内側に配置されている、
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記本体部(B1)は、前記車体フレーム(F)に固定される固定部(B5)を備え、
前記固定部(B5)は、車体前後方向における前方に設けられ前記車体フレーム(F)に対してボルトにより固定される第1固定部(B6)と、
車体前後方向における後方に設けられ前記車体フレーム(F)に対してクリップにより固定される第2固定部(B7)と、
車体前後方向において前記第1固定部(B6)と前記第2固定部(B7)との間に設けられ前記車体フレーム(F)の断面形状に合致して前記車体フレームの上部に当接する形状の位置決め部(B8A)が形成された当接部(B8)と、を備える、
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
車体フレーム(F)に支持される車両用部品であって、
電子部品(E)が固定される本体部(B1)と、
前記本体部(B1)に設けられ、車幅方向において外方に突出して形成された第1リブ(B2)及び第2リブ(B3)と、を備え、
前記第2リブ(B3)は、車体上下方向において前記第1リブ(B2)の下方であり、且つ、重なる位置に配置され、
車体上下方向において、
前記第1リブ(B2)及び前記第2リブ(B3)は、前記電子部品(E)と、電気配線(N)用のカプラ(N1)と、それぞれ重なる位置に配置され、
前記第1リブの上方には、前記電子部品(E)が配置され、
前記第1リブ(B2)下方であり、且つ前記第2リブ(B3)の上方の空間には、電気配線(N)用のカプラ(N1)が配置されていることを特徴とする、車両用部品。
【請求項7】
車体フレーム(F)と、前記車体フレームに支持された支持ブラケット(B)とを備え、
前記車体フレーム(F)は、ヘッドパイプ(F1)と、前記ヘッドパイプ(F1)から下後方へ延びるダウンフレーム(F2)と、前記ダウンフレーム(F2)の下部から後方へ延びるロアフレーム(F3)と、前記ロアフレーム(F3)の後部から後上方へ延び車両用シート(10)を支持するリヤフレーム(F4)と、を備え、
前記リヤフレームには、前記車両用シート(10)の下方に配置された支持ブラケット(B)を備え、
前記支持ブラケット(B)は、
電子部品(E)が固定される本体部(B1)と、
前記本体部(B1)に設けられ、車幅方向において外方に突出して形成された第1リブ(B2)及び第2リブ(B3)と、を備え、
前記第2リブ(B3)は、車体上下方向において前記第1リブ(B2)の下方であり、且つ、重なる位置に配置され、
車体上下方向において、
前記第1リブ(B2)及び前記第2リブ(B3)は、前記電子部品(E)と、電気配線(N)用のカプラ(N1)と、それぞれ重なる位置に配置され、
前記第1リブの上方には、前記電子部品(E)が配置され、
前記第1リブ(B2)下方であり、且つ前記第2リブ(B3)の上方の空間には、電気配線(N)用のカプラ(N1)が配置されていることを特徴とする、
スクーター型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両、車両用部品、及びスクーター型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
スクーター等の鞍乗り型の車両には、エンジンを制御するためのECU(Engine Control Unit)等の電子部品が搭載されている。近年、ECUは、エンジンだけでなく、ブラシレスのスターターモーターやウインカー等の電装部品の制御回路も統合されて複雑化し、車両の走行に関して重要部品となっている。そのため、ECUは、なるべく水に濡れないように保護されることが望ましい。例えば、特許文献1には、リアフェンダから車幅方向において外方に張り出したカバーにより下方が覆われたECUが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ECU等の電子部品の周辺には、電気系統に接続されるハーネスのカプラも配置されている。車両においては、ECUだけでなく、カプラもなるべく水に濡れないように保護されることが望ましい。発明者らは、電子部品やカプラの保護に関して改良を進めてきた。
【0005】
本発明は、電子部品及びカプラの被水を防止可能な鞍乗り型車両、車両用部品、及びスクーター型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の第一の態様は、車体フレーム(F)に支持される支持ブラケット(B)を備え、前記支持ブラケット(B)は、電子部品(E)が固定される本体部(B1)と、前記本体部(B1)に設けられ、車幅方向において外方に突出して形成された第1リブ(B2)及び第2リブ(B3)と、を備え、前記第2リブ(B3)は、車体上下方向において前記第1リブ(B2)の下方であり、且つ、重なる位置に配置され、車体上下方向において、前記第1リブ(B2)及び前記第2リブ(B3)は、前記電子部品(E)と、電気配線(N)用のカプラ(N1)と、それぞれ重なる位置に配置され、前記第1リブの上方には、前記電子部品(E)が配置され、前記第1リブ(B2)下方であり、且つ前記第2リブ(B3)の上方の空間には、電気配線(N)用のカプラ(N1)が配置されていることを特徴とする、鞍乗り型車両である。
【0007】
この構成によれば、支持ブラケットに第1リブと第2リブが車幅方向において突出して形成されているため、下方から浸入する水から電子部品やカプラを保護することができる。
【0008】
本発明の第二の態様は、上記第一の態様において、前記支持ブラケット(B)を車幅方向外側から覆うボディカバー部材(2)の内壁(2A)から車幅方向において内側に突出して形成され、車体上下方向において前記第2リブ(B3)の下方に配置された第3リブ(2B)を備え、前記第3リブ(2B)は、車幅方向において前記第1リブ(B2)及び前記第2リブ(B3)の突出量に比して短い突出量に形成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、第2リブの端部とボディカバー部材の内壁との間に生じる隙間を第3リブにより塞ぐことで下方から侵入する水から電子部品やカプラを保護することができる。
【0010】
本発明の第三の態様は、上記第一又は第二の態様において、前記第1リブと前記第2リブとは、車体上下方向において重なる位置に配置されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、第1リブと第2リブとの配置関係により水の侵入経路を入り組んだラビリンス構造に形成し、下方から侵入する水から電子部品やカプラを保護することができる。
【0012】
本発明の第四の態様は、上記第一から第三のいずれか一つの態様において、前記電子部品(E)の少なくとも一部は、車幅方向において前記車体フレーム(F)の外側端よりも内側に配置されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、電子部品やカプラを下方から侵入する水から保護することができる。
【0014】
本発明の第五の態様は、上記第一から第四のいずれか一つの態様において、前記本体部(B1)は、前記車体フレーム(F)に固定される固定部(B5)を備え、前記固定部(B5)は、車体前後方向における前方に設けられ前記車体フレーム(F)に対してボルトにより固定される第1固定部(B6)と、車体前後方向における後方に設けられ前記車体フレーム(F)に対してクリップにより固定される第2固定部(B7)と、車体前後方向において前記第1固定部(B6)と前記第2固定部(B7)との間に設けられ前記車体フレーム(F)の断面形状に合致して前記車体フレーム(F)の上部に当接する形状の位置決め部(B8A)が形成された当接部(B8)と、を備えていてもよい。
【0015】
この構成によれば、支持ブラケットの車体フレームに対する取り付け時の工数を低減すると共に、取り付け時の精度を向上させることができる。また、この構成によれば、取り付け時にボルトを用いる部分を低減し、取り付け時の工数を低減することができる。
【0016】
本発明の第六の態様は、車体フレーム(F)に支持される車両用部品であって、電子部品(E)が固定される本体部(B1)と、前記本体部(B1)に設けられ、車幅方向において外方に突出して形成された第1リブ(B2)及び第2リブ(B3)と、を備え、前記第2リブ(B3)は、車体上下方向において前記第1リブ(B2)の下方であり、且つ、重なる位置に配置され、体上下方向において、前記第1リブ(B2)及び前記第2リブ(B3)は、前記電子部品(E)と、電気配線(N)用のカプラ(N1)と、それぞれ重なる位置に配置され、前記第1リブの上方には、前記電子部品(E)が配置され、前記第1リブ(B2)下方であり、且つ前記第2リブ(B3)の上方の空間には、電気配線(N)用のカプラ(N1)が配置されていることを特徴とする、車両用部品である。
【0017】
この構成によれば、支持ブラケットに第1リブと第2リブが電子部品とカプラと車両上下方向において重なる位置まで車幅方向において突出して形成されているため、下方から侵入する水から電子部品やカプラを保護する車両用部品を提供することができる。
【0018】
本発明の第七の態様は、車体フレーム(F)と、前記車体フレームに支持された支持ブラケット(B)とを備え、前記車体フレーム(F)は、ヘッドパイプ(F1)と、前記ヘッドパイプ(F1)から下後方へ延びるダウンフレーム(F2)と、前記ダウンフレーム(F2)の下部から後方へ延びるロアフレーム(F3)と、前記ロアフレーム(F3)の後部から後上方へ延び車両用シート(10)を支持するリヤフレーム(F4)と、を備え、前記リヤフレームには、前記車両用シート(10)の下方に配置された支持ブラケット(B)を備え、前記支持ブラケット(B)は、電子部品(E)が固定される本体部(B1)と、前記本体部(B1)に設けられ、車幅方向において外方に突出して形成された第1リブ(B2)及び第2リブ(B3)と、を備え、前記第2リブ(B3)は、車体上下方向において前記第1リブ(B2)の下方であり、且つ、重なる位置に配置され、車体上下方向において、 前記第1リブ(B2)及び前記第2リブ(B3)は、前記電子部品(E)と、電気配線(N)用のカプラ(N1)と、それぞれ重なる位置に配置され、前記第1リブの上方には、前記電子部品(E)が配置され、前記第1リブ(B2)下方であり、且つ前記第2リブ(B3)の上方の空間には、電気配線(N)用のカプラ(N1)が配置されていることを特徴とする、スクーター型車両である。
【0019】
この構成によれば、支持ブラケットに第1リブと第2リブが車幅方向において突出して形成されているため、スクーター型車両の後輪が跳ね上げる水から電子部品やカプラを保護することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電子部品及びカプラの被水を防止可能とすることができる。本発明によれば、車幅方向において電子部品が内側に傾いて配置されると共に、車体上下方向において車体フレームに対して重なる位置に配置され、下方に配置された第1リブ及び第2リブにより電子部品及びカプラの被水を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図6】電子部品と電気配線が配置された状態の支持ブラケットの構成を示す側面図である。
【
図7】配線と電子部品を配置した支持ブラケットの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示されるように車両1は、例えば、自動二輪車或いは自動三輪車である。車両1は、鞍乗り型の自動二輪車である。車両1は、例えば、鞍乗り型車両のうちスクーター型車両である。車両1は、前輪或いは後輪に2個の車輪を有する自動三輪車であってもよい。以下の説明において、車両1の進行方向に沿って運転者から見て前方を前側、後方を後側とする車体前後方向、車体左右方向(車幅方向ともいう)、車体上下方向が適宜設定される。車両1は、適宜車体ともいう。車両1は、例えば、前輪WF及び後輪WRを支持する車体フレームFと、車体フレームFに支持されたパワーユニットPとを備える。
【0023】
車体フレームFは、例えば、曲げ加工した鋼管を組み合わせて高い剛性を有するように形成されている。前輪WFは、例えば、ディスクホイール、ワイヤーホイール、一体成型のスポークホイールである。前輪WFは、左右一対のフロントフォークRの下端部により回転自在に支持されている。フロントフォークRは、前輪WFをステア方向(左右方向)に回転自在とするステアリングステムSに取り付けられている。ステアリングステムSは、車体フレームFに左右方向に回転自在に支持されている。ステアリングステムSの上部には、左右方向に延在するハンドルバーHが固定されている。ハンドルバーHには、更に左右一対の前側バックミラーMが固定されている。
【0024】
ハンドルバーH、フロントフォークRおよび前輪WFを含むステアリング系部品は、車体フレームFの前端部に設けられヘッドパイプF1に操舵方向に回転可能に支持されている。車体フレームFは、ヘッドパイプF1と、ヘッドパイプF1から下後方へ延びるダウンフレームF2と、ダウンフレームF2の下部から後方へ延びるロアフレームF3と、ロアフレームF3の後部から後上方へ延びるリヤフレームF4と、を備えている。
【0025】
車体フレームFにおいてリヤフレームF4の下部には、駆動力を発生するパワーユニットPが回転自在に固定されている。パワーユニットPは、車体フレームFに対して回転可能に支持されている。パワーユニットPは、駆動源となるエンジンと、エンジンの回転を減速して出力する変速機を有する駆動系と、サスペンションのスイングアームとが一体に構成されたモジュールエンジン構造である。
【0026】
パワーユニットPには、後輪WRを駆動する機構を収容すると共に、懸架装置を兼ねるスイングアームユニット(不図示)が一体に設けられている。スイングアームユニットは、例えば、車両1の左側において後輪WRを回転自在に片持ちにより支持している。スイングアームユニットは、ダンパー装置により車体フレームFに支持されている。
【0027】
パワーユニットPの後方には、排気ガスが流通する排気管に接続されたマフラーMFが設けられている。マフラーMFは、車体左右方向の右側に設けられている。マフラーMFは、パワーユニットPに固定されており、パワーユニットPと連動して車体フレームFに対して回転する。パワーユニットPは、エンジンの回転動力を利用する強制空冷方式、或いは水冷方式の冷却装置RAを有する。
【0028】
パワーユニットPの後端には、後輪WRが回転自在に軸支されている。後輪WRは、例えば、ディスクホイール、ワイヤーホイール、一体成型のスポークホイールである。後輪WRには、前輪WFと同サイズ或いは異なるサイズのタイヤが取り付けられている。後輪WRは、パワーユニットP内部に設けられた無段変速装置に設けられたドライブベルトに基づいて駆動される。ドライブベルトは、スイングアームユニット内部に設けられた自動遠心クラッチ(不図示)を介してパワーユニットPにおいて発生する回転駆動力を後輪WRに伝達する。
【0029】
車体フレームFにおいてリヤフレームF4には、運転者が着座する車両用シート10が設けられている。車両用シート10は、車体フレームFの着座位置に配置されている。車両用シート10の下方とステアリングステムSとの間において、車体フレームFを覆うボディカバー部材2が設けられている。車両用シート10とステアリングステムSとの間の下方においてロアフレームF3の上方には、運転者の足裏を載置するステップ20が設けられている。車両用シート10の下方には、車両用シート10の後方に着座するタンデム搭乗者の足裏を載置するタンデムステップSTが設けられている。ボディカバー部材2の内部において、車両用シート10の下方には、ECU等の電子部品Eを固定するための支持ブラケットBが配置されている。
【0030】
図2から
図5に示されるように、支持ブラケットBは、車体フレームFの所定位置に支持されている。車体フレームFの所定位置は、例えば、鋼管により形成されている。支持ブラケットBは、例えば、樹脂等の材料を用いて一体に形成されている。支持ブラケットBは、電子部品Eが固定される本体部B1が設けられている。本体部B1は、車体フレームFに固定されている。本体部B1は、板状に形成されている。本体部B1には、帯状の第1リブB2及び第2リブB3が形成されている。
【0031】
本体部B1は、板状に形成されている。本体部B1は、面方向が上下方向に沿うように配置されている。本体部B1は、固定部B5を介して車体フレームに固定されている。固定部B5は、例えば、車体前後方向における前方に配置された第1固定部B6と、車体前後方向における後方に配置された第2固定部B7と、第1固定部B6と第2固定部B7との間に設けられた当接部B8とを備えている。
【0032】
支持ブラケットBは、車両上下方向において電子部品Eの上端を車体フレームFに比して上方の高い位置に配置し、電子部品Eに対して下方から浸入する水が到達しにくくすることができる。(
図3参照)。第1リブB2は、車両側面視で車両上下方向において車体フレームFと一部が重なる位置に配置され、電子部品Eに近接した位置において電子部品Eを保護することができる(
図2参照)。
【0033】
第1固定部B6には、円形の貫通孔B6Hが形成されている。第1固定部B6に対応する位置には、車体フレームF側に第1ブラケットF6が設けられている。貫通孔B6Hには、ボルト(不図示)が挿入され、貫通孔B6Hに対応する位置に設けられた車体フレームF側のネジ穴(不図示)に螺入される。第1固定部B6は、これにより、車体フレームFに対してボルトにより固定される。
【0034】
第2固定部B7には、円形の貫通孔B7Hが形成されている。第2固定部B7に対応する位置には、車体フレームF側に第2ブラケットF7が設けられている。貫通孔B7Hには、クリップ(不図示)が挿入され、貫通孔B7Hに対応する位置に設けられた車体フレームF側の穴(不図示)にクリップ止めされる。第2固定部B7は、これにより、車体フレームFに対してクリップにより簡便に固定される。第1固定部B6がボルト止めされるのに対して、第2固定部B7がクリップ止めされることにより、ボルト止め箇所を低減してコストを低減すると共に、第1固定部B6の組み立てを簡略化することができる。
【0035】
当接部B8は、本体部B1に対して車幅方向において内側(左側)に突出して形成されている。当接部B8は、車体フレームFの所定位置の円形の断面形状に合致して当接する形状の位置決め部B8Aが形成されている。位置決め部B8Aは、車体フレームF上部に当接するように形成されている。位置決め部B8Aは、車体フレームFと上下方向で重なるため車体フレームFに支持されると共に、車体フレームFに対して容易に位置決めができる。当接部B8は、例えば、本体部B1と一体に形成されている。当接部B8は、本体部B1と別体に形成されていてもよい。当接部B8は、車体フレームFの断面形状が円形以外の形状である場合においても車体フレームFの所定位置の断面形状に合致するように形成されていてもよい。当接部B8は、車体フレームFの上部に当接するように円形以外の断面形状に合わせた形状でよく、角形の断面形状の場合はそれに合致するように角形の断面形状に形成されていてもよい。当接部B8が形成されていることにより、支持ブラケットBを車体フレームFに取り付ける際の位置決めを容易にし、組み立て効率及び精度を向上させることができる。
【0036】
当接部B8には、電子部品Eを固定するための部品固定部B9が設けられている。部品固定部B9は、電子部品Eを第1固定部B6と第2固定部B7との間の位置に固定する。部品固定部B9は、車幅方向において電子部品Eを傾斜して固定する。部品固定部B9は、電子部品Eの少なくとも一部を車幅方向において車体フレームFの外側端に比して内側に配置する。これにより、部品固定部B9は、下方から跳ね上げられる水が電子部品Eにかかりにくくしている。
【0037】
図6に示されるように、部品固定部B9の上端部には、電子部品Eを係止するための係止部B10が形成されている。係止部B10は、電子部品Eの車幅方向における内側(左側)の面に形成された被係止部E1に係止される。係止部B10は、被係止部E1にネジ等の固定部品を用いずに係止される。これにより、電子部品Eは、部品固定部B9に工具を用いずに固定され、組み立てを簡略化することができる。電子部品Eの下方には、第1リブB2が配置されている。
【0038】
図7から
図8に示されるように、第1リブB2は、本体部B1に設けられている。第1リブB2は、車体上下方向において電子部品Eの少なくとも一部と重なる位置に配置されている。第1リブB2は、車幅方向において外側(右側)に向かって外方に突出して形成されている。第1リブB2は、車体前後方向に沿って延在して形成されている。第1リブB2は、車両前後方向において前側に向かって下がる傾斜角度が付けられている。これにより第1リブB2に当たる水は、第1リブB2の傾斜によって流れ落ちる。第1リブB2は、第2リブB3との間に車体前後方向に沿って空間を仕切っている。第1リブB2は、第2リブB3後部の位置から略平行に前下方に延びている。
【0039】
第1リブB2の上方には、電子部品Eや他の電装部品の電気配線Nが配置されている。第1リブB2は、下方から跳ね上げられる水が電子部品Eにかかりにくくしている。第1リブB2は、電気配線Nを車体前後方向に沿って配線させている。第1リブB2の下方には、第2リブB3が配置されている。
【0040】
第1リブB2及び第2リブB3は、後輪WRに設けられたインナーフェンダーD(
図1参照)と車両側面視において車両上下方向に重なる位置に配置されている。これにより、第1リブB2は、車体上下方向において第2リブB3と水の侵入経路を入り組んだラビリンス構造に形成し、下方から跳ね上げられる水が電子部品Eにかかりにくくしている。洗車時や後輪WRから飛散してボディカバー部材2の内部に侵入する水は、インナーフェンダーDにより抑制され、更に第1リブB2及び第2リブB3により抑制され、電子部品Eが水に濡れることを防止することができる。
【0041】
第2リブB3は、本体部B1の下端に設けられている。第2リブB3は、車体上下方向において電子部品E及び電気配線N用のカプラN1と重なる位置に配置されている。第2リブB3は、車幅方向において外側(右側)に向かって外方に突出して形成されている。第2リブB3は、車体前後方向に沿って本体部B1の下端に延在して形成されている。第2リブB3は、第1リブB2と本体部B1の下端との間に車体前後方向に沿って空間を形成している。第2リブB3の上方には、電装部品の電気配線N及び電気配線Nに接続されたカプラN1が配置されている。第2リブB3は、第1リブB2との配置関係により水の侵入経路を入り組んだラビリンス構造に形成して下方から跳ね上げられる水が電子部品Eにかかりにくくしている。第2リブB3は、電気配線Nを車体前後方向に沿って配線させている。第2リブB3は、第1リブB2と協働して電気配線Nの配置経路を形成し、電気配線Nの配置状態を整理することができる。
【0042】
第2リブB3は、車両側面視でカプラN1の後端より後方からカプラN1に沿って前下方に延びカプラN1より前方まで伸び、電子部品Eよりも前方まで伸びる。第2リブB3は、車両側面視して第1リブB2に略平行に配置されている。第2リブB3は、車両前後方向において前側に向かって下がる傾斜角度が付けられている。これにより第2リブB3に当たる水は、第2リブB3の傾斜によって流れ落ちる。
【0043】
支持ブラケットBは、車幅方向右側の外側からボディカバー部材2により覆われている。ボディカバー部材2の内壁2Aには、第3リブ2Bが形成されている。第3リブ2Bは、車幅方向において内側(左側)に突出して形成されている。第3リブ2Bは、車体上下方向において第2リブB3の下方に配置されている。第2リブB3と第3リブ2Bとは、車体上下方向において重なる位置に配置されている。第3リブ2Bは、ボディカバー部材2の内壁2Aと第2リブB3の端部との間に生じる隙間2Cを下方から覆っている。これにより、第3リブ2Bは、車体上下方向において第2リブB3と互い違いに配置され、水の侵入経路を入り組んだラビリンス構造に形成し、下方から跳ね上げられる水が電子部品Eや電気配線Nにかかりにくくしている。
【0044】
第3リブ2Bは、車幅方向において第1リブB2及び第2リブB3の突出量に比して短い突出量に形成されている。これにより、ボディカバー部材2を射出成型した場合、樹脂が冷えて固まる際に収縮してボディカバー部材2の表面において窪んだヒケが形成されることが防止される。
【0045】
支持ブラケットBは、車両1の補修に用いられる車両用部品として構成されてもよい。支持ブラケットBを含む車両用部品は、電子部品Eが固定される本体部B1と、本体部B1に設けられ、車幅方向において外方に突出して形成された第1リブB2及び第2リブB3と、を備えている。第2リブB3は、車体上下方向において第1リブB2の下方であり、且つ、重なる位置に配置されている。車体上下方向において、第1リブB2及び第2リブB3は、電子部品Eと、電気配線N用のカプラN1と、それぞれ重なる位置に配置され、第1リブB2の上方には、電子部品Eが配置され、第1リブB2下方であり、且つ第2リブB3の上方の空間には、電気配線N用のカプラN1が配置されている。
【0046】
上述したように支持ブラケットBによれば、電子部品E及びカプラN1の被水を防止可能とすることができる。支持ブラケットBによれば、第1リブB2と第2リブB3とが形成されているため、電子部品E及びカプラN1を下方から侵入する水から保護することができる。支持ブラケットBによれば、第3リブ2Bが形成されているため、第2リブB3の端部とボディカバー部材2の内壁2Aとの間に生じる隙間2Cを塞ぎ、第2リブB3と協働して電子部品E及びカプラN1を下方から侵入する水から保護することができる。支持ブラケットBによれば、電子部品Eを車両1の外側から見えにくくすることができ、電子部品Eの盗難を防止することができる。
【0047】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、車両1は、自動二輪車、自動三輪車だけでなく、4輪バギー等の他の自走車両、非自走車両等に適用されてもよい。原動機に電気モータを含む車両に適用してもよい。上述した支持ブラケットBは、車幅方向右側に配置されている状態を例示しているが、左側に配置されていてもよい。この場合、支持ブラケットBは、車幅方向に関して対称な構造に形成されていればよい。
【符号の説明】
【0048】
1 車両、2 ボディカバー部材、2A 内壁、2B 第3リブ、2C 隙間、10 車両用シート、20 ステップ、B 支持ブラケット、B1 本体部、B2 第1リブ、B3 第2リブ、B5 固定部、B6 第1固定部、B6H 貫通孔、B7 第2固定部、B7H 貫通孔、B8 当接部、B8A 位置決め部、B9 部品固定部、B10 係止部、D インナーフェンダー、E 電子部品、E1 被係止部、F 車体フレーム、F1 ヘッドパイプ、F2 ダウンフレーム、F3 ロアフレーム、F4 リヤフレーム、F6 第1ブラケット、F7 第2ブラケット、H ハンドルバー、M 前側バックミラー、MF マフラー、N 電気配線、N1 カプラ、P パワーユニット、R フロントフォーク、RA 冷却装置、S ステアリングステム、WF 前輪、WR 後輪