(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005180
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ライセンス管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105255
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】松倉 千恵
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】村田 龍俊
(72)【発明者】
【氏名】松村 正紀
(72)【発明者】
【氏名】葵 健晴
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一郎
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 澄人
(72)【発明者】
【氏名】飯田 信子
(72)【発明者】
【氏名】今井 恒
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】有償・無償の各種のライセンスの購入や内容変更の要否等について動的に監視・判定して最適化を図る。
【解決手段】ライセンス管理サーバ10は、契約されたライセンスを特定するライセンス情報を記憶したライセンス管理DB20と、ユーザからのライセンス申請があった場合に、ライセンス情報を参照し、在庫のライセンスが存在する場合には当該ライセンスをユーザに割り当て、在庫のライセンスが不足する場合には所定の購入処理を実行して在庫のライセンスに割り当てるライセンス割り当て部11と、外部システム50から受信したライセンス請求情報に基づいて、各ライセンスの利用者数及び利用料金を抽出してユーザ請求情報を生成する請求情報生成部12と、ライセンス利用情報に基づいて、該当するライセンスの内容を変更すべきか否かを判定する所定のライセンス自動最適化処理を実行するライセンス自動最適化部13を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は二以上の所定のソフトウェアに関するライセンスの購入及び内容変更の適正化を管理するためのシステムであって、
前記ライセンスを利用するユーザが使用するユーザ端末と、前記ライセンスを提供する外部システムと、前記ユーザ端末及び外部システムと通信可能に接続されるライセンス管理サーバとを備え、
前記ライセンス管理サーバは、
既に契約されている前記ライセンスを特定するための所定のライセンス情報を記憶した記憶手段と、
ユーザからのライセンスの新規契約の申請があった場合に、前記記憶手段に記憶された前記ライセンス情報を参照し、在庫のライセンスが存在する場合には当該ライセンスを前記ユーザに割り当て、在庫のライセンスが不足する場合には所定の購入処理を実行して在庫のライセンスに割り当てるライセンス割り当て部と、
前記ライセンスを提供する外部システムから、所定のライセンス請求情報を受信すると、当該ライセンス請求情報に基づいて、各ライセンスの利用者数及び利用料金を抽出し、該当するユーザに対するユーザ請求情報を生成する請求情報生成部と、
各ライセンスの利用状況を示す所定のライセンス利用情報に基づいて、該当するライセンスの内容を変更すべきか否かを判定する所定のライセンス自動最適化処理を実行し、当該最適化処理の結果に基づいて、該当するライセンスの内容変更処理を実行するライセンス自動最適化部とを備える
ことを特徴とするライセンス管理システム。
【請求項2】
前記所定のソフトウェアが、ネットワークを介した音声通話が行えるソフトウェア電話機能を実行するためのソフトウェアである
ことを特徴とする請求項1記載のライセンス管理システム。
【請求項3】
前記ライセンス自動最適化部は、
前記所定のライセンス利用情報として、前記ユーザ請求情報から抽出される各ライセンスの利用者数及び利用料金に基づいて、前記ライセンス自動最適化処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のライセンス管理システム。
【請求項4】
前記ライセンス自動最適化部は、
前記所定のライセンス利用情報として、前記ユーザ端末から送信される、前記ユーザが利用するソフトウェアに関する所定のアンケート情報に基づいて、前記ライセンス自動最適化処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のライセンス管理システム。
【請求項5】
前記ライセンス自動最適化部は、
前記所定のライセンス利用情報として、前記ソフトウェアの利用ログ情報に基づいて、前記ライセンス自動最適化処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のライセンス管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば企業や団体,組織等において社員や従業員等が利用するライセンス、例えばインターネット電話等の機能を実行するための有償・無償のソフトウェアアプリケーションに関するライセンスなど、各種のライセンス契約について、その購入や契約の締結,更新,廃止,内容の変更,見直し等の管理・運用業務を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、企業や団体,組織等では、そこに所属する社員や従業員等の業務遂行に必要となる各種のライセンス、例えば有償・無償のソフトウェアアプリケーションに関するライセンスの契約を、企業等の負担において購入・締結し、各種のライセンス契約に基づくソフトウェアやハードウェア等を社員や従業員等に支給・貸与することが行われている。
このような業務遂行や福利厚生等の一環として社員等に与えられる各種のライセンスは、その種類や内容、数量、支払うべき費用などが膨大となることもあり、企業や組織等にとっては、それら各種ライセンスの購入や契約の締結,更新,廃止,内容の変更,見直し等が適正に管理・運用されることが重要である。
【0003】
このため、不必要・不効率なライセンスの重複契約などは可能な限り排除する必要があり、また、不足している機能や設備等があれば補充・拡充する必要もある。
例えば、所謂インターネット電話(ソフトウェア電話・ソフトウェアフォン・クラウドPBX・クラウド電話システム等ともいう)と呼ばれる、従来の固定電話回線(PBX:電話交換機)を使用することなく、インターネット上のクラウドPBX等を介して電話・通話が行えるソフトウェアやそのためのハードウェア(固定電話機等)が近年普及している。
この種のインターネット電話は、当初はPCを利用した個人間の無料通話機能だけであったが、徐々に機能が拡充され、現在では従来の固定電話と同様にビジネス・企業利用できる程度にまでなってきている。
【0004】
具体的には、例えばPCやスマートフォンを介したインターネット通話のみの低機能・個人用のライセンスの場合は「月額無料」である一方、一般電話との通話が可能で料金が従量制となるライセンスの場合は例えば「月額1000円」、また、一般電話との通話機能に加えて、一般電話からの着信可能な電話番号(050番号)を持つことができるライセンスは「月額2000円」、さらに、一般電話との通話が従量制ではなく国内通話無制限のライセンスは「月額3000円~4000円」、というように、同じインターネット電話でも、高機能・多機能になる程、月額料金が有償・高額になるなど、異なる複数のライセンスパターンが存在している。
【0005】
ところが、このような機能や料金などが異なるソフトウェアのライセンスであっても、一度購入・契約が行われると、その後にライセンスの内容を見直したり、利用状況等に応じて内容を変更(例えばアップ/ダウングレード等)したりといったことはなかなか困難であり、ソフトウェアを実際に利用している従業員等の現場の利用実態に合わないライセンスがそのまま存在するようなことがあった。特に、従業員等のユーザは、一度ライセンス契約が得られれば、その維持や管理,内容の見直し等については無関心であることが少なくない。
このため、実際には使用されていない高機能のライセンスが継続して更新されていたり、逆に無制限の料金プランに変更されることなく従量制の料金プランのライセンスが使用されていたりといった、無駄や非効率なライセンス契約が見直されることなく存続しているようなことも少なくなかった。
【0006】
また、ライセンス契約は、年単位で更新されることが一般的であり、ライセンスの変更や解約・廃止等の見直しも、年に一度のタイミングで行う必要がある。
ところが、このような各種ライセンスの管理は、例えば企業の管理部や総務部といった管理部門の担当者等が、長年の経験や勘に基づく人手・手作業によって行われることが多く、担当者の負担も大きく、適切なライセンス内容の見直しを、適切なタイミングで行うことは現実には困難であった。
【0007】
ここで、上記のような企業・組織等における各種ライセンスの管理や見直し等について、担当者の負担を軽減しつつ、効率的な管理・運用業務を行えるようにすることを目的とした支援技術等が提案されている。
例えば、特許文献1には、会社等の組織内で保有するソフトウェアのライセンス数と、組織内で実際に使用されているソフトウェアの数をコンピュータにより管理し、ライセンス数が不足するソフトウェアがあるかをチェックして、不足する場合には担当者に通知することにより、組織内におけるライセンスの不正使用を防ぎつつ、効率の良い正確なライセンス管理を実現することができ、ライセンス管理における作業負荷も軽減することができるとする「ライセンス管理方法」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術を含めて、これまでのライセンス管理の支援技術には、更なる改良の余地があった。
例えば、特許文献1のライセンス管理方法は、契約すべきソフトウェアの不足や不正使用を防止することのみを目的としており、例えばソフトウェアの利用状況からライセンスのアップ/ダウングレードをしたり、利用状況に応じた最適なライセンスの切換えを行ったりなど、利用実態に即したライセンス契約の見直しや最適化などを行うことはできなかった。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するために提案されたものであり、企業や団体等において契約される有償・無償の各種のライセンスについて、実際の利用状況に応じた動的な監視・判定を行うことにより、自動的にライセンスをアップ/ダウングレードしたり、最適なライセンスに自動切換えを行ったりすることができ、必要/不必要なライセンスを自動的に抽出し、ライセンス内容の変更や見直し等の最適化を図ることができるライセンス管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、一又は二以上の所定のソフトウェアに関するライセンスの購入及び内容変更の適正化を管理するためのシステムであって、前記ライセンスを利用するユーザが使用するユーザ端末と、前記ライセンスを提供する外部システムと、前記ユーザ端末及び外部システムと通信可能に接続されるライセンス管理サーバとを備え、前記ライセンス管理サーバは、既に契約されている前記ライセンスを特定するための所定のライセンス情報を記憶した記憶手段と、ユーザからのライセンスの新規契約の申請があった場合に、前記記憶手段に記憶された前記ライセンス情報を参照し、在庫のライセンスが存在する場合には当該ライセンスを前記ユーザに割り当て、在庫のライセンスが不足する場合には所定の購入処理を実行して在庫のライセンスに割り当てるライセンス割り当て部と、前記ライセンスを提供する外部システムから、所定のライセンス請求情報を受信すると、当該ライセンス請求情報に基づいて、各ライセンスの利用者数及び利用料金を抽出し、該当するユーザに対するユーザ請求情報を生成し、該当するユーザ端末に送信する請求情報生成部と、各ライセンスの利用状況を示す所定のライセンス利用情報に基づいて、該当するライセンスの内容を変更すべきか否かを判定する所定のライセンス自動最適化処理を実行し、当該最適化処理の結果に基づいて、該当するライセンスの内容変更処理を実行するライセンス自動最適化部とを備える構成としてある。
【0012】
また、本発明は、上記のような本発明に係るライセンス管理システムで実行されるプログラムとして構成することができる。
さらに、本発明は、上記のような本発明に係るライセンス管理システム及びプログラムによって実施可能な方法として実施することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、企業や団体等において契約される有償・無償の各種のライセンスについて、実際の利用状況に応じた動的な監視・判定を行うことにより、自動的にライセンスをアップ/ダウングレードしたり、最適なライセンスに自動切換えを行ったりすることができる。
これによって、例えば企業や団体,組織等で社員や従業員等に支給・貸与される、インターネット電話等の有償・無償のソフトウェアアプリケーションなどの、各種のライセンスについて、必要/不必要なライセンスを自動的に抽出し、ライセンス内容の変更や見直し等の最適化を図ることができるライセンス管理システム及びプログラム・方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るライセンス管理システムの全体構成を模式的に示す説明図である。
【
図2】ライセンス管理システムにおける各部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】ライセンス管理システムのデータベースに格納されるデータ構成を示す説明図であり、(a)はライセンス利用状況DB、(b)はライセンス解約情報DB、(c)はライセンス解約リストDBの各データ構成を示している。
【
図4】ライセンス管理システムのデータベースに格納されるデータ構成を示す説明図であり、(a)は購入ライセンスDB、(b)は購入条件DB、(c)は類似ライセンスDBの各データ構成を示している。
【
図5】ライセンス管理システムにおけるライセンスの新規申請・割り当て処理における処理動作を示すフローチャートである。
【
図6】ユーザ端末となるスマートフォンから行う有償ライセンスの申請書の入力画面イメージを示す説明図である。
【
図7】ユーザ端末となるPCから行うライセンスの個人申請書の入力画面イメージを示す説明図である。
【
図8】ユーザ端末となるPCから行うライセンスのグループ申請書の入力画面イメージを示す説明図である。
【
図9】ライセンス管理システムにおける請求情報生成処理・ライセンスの自動最適化処理における処理動作を示すフローチャートである。
【
図10】ライセンス管理システムにおけるサーバ・ユーザ端末・外部システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るライセンス管理システムの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
ここで、以下に示す本発明のライセンス管理システム(本システム)は、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示す本発明に係る所定の処理や機能等を行わせることができる。すなわち、本発明における各処理や手段,機能は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
【0016】
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
また、本システムは、単一の情報処理装置(例えば一台のパーソナルコンピュータ等)で構成することもでき、複数の情報処理装置(例えば複数台のサーバコンピュータ群等)で構成することもできる。
【0017】
また、本システムを構成する装置群に含まれる各情報処理装置は、例えば
図10に示すように、CPU301、RAM302、ROM303、HDD304、入力装置305、表示装置(ディスプレイ)306、通信IF307等を含むハードウェアによって構成される。これらの構成要素はシステムバスで接続され、システムバスを介してデータのやり取りが行われる。CPU(Central Processing Unit)301は、中央処理装置とも呼ばれ、コンピュータの中心的な処理を行う部位であり、各装置の制御やデータの計算や加工を行う。RAM(Random Access Memory)302は、メモリ装置の一種で、データの消去や書き換えが可能なものである。ROM(Read Only Memory)303は、半導体などを用いたメモリ装置の一種で、データ書き込みは製造時1回のみで、利用時には記録されたデータの読み出しのみできるものである。HDD(Hard Disk Drive)304は、磁性体の性質を利用し、情報を記録し読み出す補助記憶装置である。入力装置305は、ユーザがコンピュータに対して操作指示を行うため、あるいは、文字等を入力するために使用され、具体的には、キーボード、マウス等で構成される。表示装置306は、例えば液晶ディスプレイ等で構成される。本システムにおける各装置は、入力装置305及び表示装置306が一体となったタッチパネル機能を有する装置を備えていてもよい。また、他の端末や情報処理装置等との通信が可能となる通信機能(通信IF307)を備えることもできる。通信IF(Inter Face)は、所定の通信規格に従って他の装置と通信するための装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。
【0018】
[システム構成]
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るライセンス管理システム1(以下「本システム1」という)は、ライセンス管理サーバ10と、一又は二以上のユーザ端末30(30a~30n)とを備えて構成されている。
そして、これらライセンス管理サーバ10・ユーザ端末30は、LAN・WAN等のネットワークを含むインターネット100を介して接続され、それぞれ相互にデータ通信が可能となっている。
また、ライセンス管理サーバ10は、インターネット100を介して、外部(国内外)に設置されている所定の外部システム50とも通信可能に接続されるようになっている。
【0019】
また、ユーザ端末30に例えばインターネット電話が使用可能なライセンスが付与されている場合に、有償プランとして、一般電話との通話が可能で、更に一般電話からの着信可能な電話番号(050番号)が使用可能となる、インターネット電話用の固定電話機40が設置・接続されることがある(
図1参照)。
このようなインターネット電話用の固定電話機40は、有償・高機能のライセンス契約が必要となり、例えば企業の一般社員等にはそれほどの需要はないものの、特に役員室や秘書室,コールセンター,部署毎の代表電話などとして設置される電話機として活用されるようになる。
なお、このようなインターネット電話対応の固定電話機40は、インターネット電話のソフトウェアを提供するベンダー等を介して、あるいは、電話機やWiFiルータ等の無線通信機器を製造するネット機器メーカー(固定電話ベンダー)から直接に、本システム1から購入処理が行われ、必要なユーザに提供されるようになる。
【0020】
ここで、ライセンス管理サーバ10とユーザ端末30は、例えば同一の組織・企業等に設置される情報処理装置によって構成することができる。この場合には、本システム1はライセンス管理サーバ10及びユーザ端末30によって構成されることになり、本システム1を、例えば同一の組織・企業単位で運用される社内システムとして機能させることができる。
また、ライセンス管理サーバ10とユーザ端末30は、それぞれ異なる組織・企業等に設置される情報処理装置によって構成することができる。この場合には、例えば、ライセンス管理サーバ10は、本システム1をサービスとして顧客に提供する企業が運用する情報処理装置、ユーザ端末30は、本システム1を介してライセンス管理のサービス提供を受ける一又は二以の各企業や組織・団体等に備えられる情報処理装置によって構成することもできる。この場合には、ユーザ端末30は、本システム1にネットワークを介して接続される外部装置として機能することになり、本システム1はライセンス管理サーバ10のみによって構成されることになる。
【0021】
[ライセンス管理サーバ]
ライセンス管理サーバ10は、各企業や組織等において、所定の契約単位で契約される一又は二以上の所定のサービスに関するライセンスの契約及び購入の適正化を管理・支援するための、本システム1の中核となる情報処理装置であり、本発明のライセンス管理システムを構成している。
ここで、本システム1で対象とする一又は二以上のサービスに関するライセンスの契約・購入についての所定の契約単位としては、例えば当該ライセンスを利用するユーザごとのユーザ単位やユーザの所属する部署単位・会社単位、当該ライセンスを実行するためのソフトウェア単位・端末単位・装置単位などがある。
このライセンス管理サーバ10は、例えば、1又は2以上のサーバコンピュータやパーソナルコンピュータ、クラウドコンピューティングサービス上に構築された1又は2以上の仮想サーバからなるサーバシステム等、所定のプログラム(ソフトウェア)が実装された情報処理装置によって構成することができる。
【0022】
また、ライセンス管理サーバ10には、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)などが備えられ、サーバコンピュータとして運用されるようになっている。
そして、ライセンス管理サーバ10には、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアが実装されるようになっている。
このソフトウェアは、1又は2以上のユーザ端末30に対して、インターネット100等のネットワークを介して、例えばAPI(Application Programming Interface)という形で利用可能なアプリケーションを公開、提供する。
これにより、各ユーザ端末30では、ライセンス管理サーバ10から提供・提案される、例えば所望するライセンス購入の申請処理や、ライセンスに関するレコメンド情報・ライセンス休止・廃止等の通知受信、ライセンスに関するアンケート情報の送信など、本システム1で提供・実行されるライセンス管理のために運用される専用のアプリケーションプログラムやウェブブラウザ等を呼び出してログインすることにより、本発明に係るライセンス管理システムの機能を実行させ使用することができるようになる。
【0023】
また、ライセンス管理サーバ10には、データベース等として実装される後述する所定のライセンス管理DB(データベース)20を備えるとともに、本発明に係るライセンス管理システムの運用に必要となる所定の情報を取得・蓄積する記憶手段が備えられる。
記憶手段には、各種の情報リソースとして、本システム1における管理対象となる契約されている各種サービス・ライセンスを特定するための所定情報、例えば各ライセンスの利用状況情報,購入情報,購入条件情報などを含む所定のライセンス情報が記憶されるとともに、後述する各ユーザ端末30から入力・送信される所定の情報、例えばライセンス購入の申請情報やライセンスの利用情報などが記憶され、本システム1の運用に伴って随時必要な情報が読み出されて、記憶され更新されるようになっている。
【0024】
そして、本実施形態に係るライセンス管理サーバ10は、
図2に示すように、ライセンス割り当て部11,請求情報生成部12,ライセンス自動最適化部13の各部として機能するように構成される。
また、ライセンス管理サーバ10には、上述した記憶手段によって構成される所定のライセンス情報が蓄積・管理されるライセンス管理DB20が構築されている。
具体的には、ライセンス管理DB20は、ライセンス利用状況DB21,ライセンス解約情報DB22,ライセンス解約リストDB23,購入ライセンスDB24,購入条件DB25,類似ライセンスDB26が備えられており、本システム1におけるライセンス管理処理に必要な所定のデータがデータベースとして記憶・管理されるようになっている。
【0025】
ここで、本システム1において管理対象となるライセンスとしては、各企業等で業務に使用される各種のソフトウェアアプリケーションの利用契約や、通信機器や電子機器の使用契約やリース契約などがある。
例えば、インターネット電話を使用するためのソフトウェアアプリケーションの利用契約と月額利用料の管理などがある。
また、ソフトウェアのライセンス契約以外にも、例えば固定電話回線の加入権の管理と月額利用料の資産と支払い管理、各種クラウドサービスの機器レンタル費用と年額や月額での利用料、携帯電話会社のスマートフォンの割賦払いと月額通信料の管理なども、本システム1の管理対象とすることができる。
また、それらの契約の更新の管理、例えば年単位での更新の管理なども対象となる。
【0026】
このような各種ライセンスの契約や利用料などの管理は、企業規模や契約数に比例して複雑なものとなり、料金の支払い等が最適化されずに無駄に支払われていることも少なくなかった。
そこで、本システム1では、ライセンス管理DB20で記憶・管理されている所定のライセンス情報に基づいて、ライセンス管理サーバ10のライセンス割り当て部11,請求情報生成部12,ライセンス自動最適化部13の各部による各処理動作が実行されることで、上記のような従来の課題を解決するようになっている。
すなわち、本システム1によれば、従来は例えば総務部や情報システム部といった管理部門の人間が勘と経験で行っていた多数のサービス・ライセンスの管理を、本システム1に蓄積・管理される各種DBのデータに基づいて、人間の勘や経験なしで、必要なサービスを最適な利用料で無駄なく効率的に利用できるようにするものである。
【0027】
さらに、本システム1では、SSO(IDaaS)のアカウントの停止に連動して、解約すべきサービスの一覧(ライセンス解約リスト)を出力し、途中解約すべき不要・無用なライセンス、アップ/ダウングレードなどの内容変更すべきライセンスを積極的に抽出して、ライセンス契約の見直し(解約・休止管理・内容変更等)に向けた提案・支援も行えるようになっている。
ここで、SSO(シングルサインオン)とは、一度のユーザ認証処理によって独立した複数のソフトウェアシステム上のリソースが利用可能になる特性である。この特性によって、ユーザはシステムごとにユーザIDとパスワードの組を入力する必要がなくなる。また、IDaaSとは「Identity as a Service」の略であり、クラウド経由でID認証及びIDパスワード管理,SSO,アクセス制御などを提供するサービスである。このようなSSO,IDaaSのサービスは、インターネット100等のネットワークを介して外部システム50から提供されるようになっている。
本システム1では、これらの機能を活用して、例えば利用されていないライセンス契約を休止・廃止・解約すべきもの、利用頻度が高いライセンス契約は内容を変更すべきものとして、積極的に抽出・判定できるようになっている。
【0028】
[ライセンス管理DB]
ライセンス管理DB20は、本システム1の管理対象となる既に契約されているライセンスを特定するための所定のデータ・情報(ライセンス情報)がデータベースとして記憶・管理される記憶手段である。
このライセンス管理DB20には、管理対象となる企業単位・組織単位で、当該企業や組織等が既に契約しているライセンスを特定するための所定のライセンス情報が予め記憶されており、また、ライセンスの新規購入・変更・休止・廃止・切替等に応じて、データが随時格納・更新される。
また、ライセンス管理DB20には、インターネット100等のネットワークを介して各ユーザ端末30や外部システム50から所定の情報が入力・送信されて、それらの情報に応じてもデータが随時格納・更新される。
【0029】
ライセンス管理DB20に格納・管理される所定のライセンス情報としては、本システム1の管理対象となる、上記のような各サービスのライセンス契約に関する情報であり、例えば、
図2に示すように、ライセンス利用状況DB21,ライセンス解約情報DB22,ライセンス解約リストDB23,購入ライセンスDB24,購入条件DB25,類似ライセンスDB26などの各種情報・データがある。
なお、以下に示すライセンス管理DB20に記憶されるライセンス情報は、本システム1において処理対象となる情報の一例であって、特に以下の情報のみに限定されるものではなく、本システム1として必要な情報を追加・削除・変更等することができることは言うまでもない。
【0030】
具体的には、ライセンス管理DB20のライセンス利用状況DB21,ライセンス解約情報DB22,ライセンス解約リストDB23,購入ライセンスDB24,購入条件DB25,類似ライセンスDB26を構成する情報・データとしては、
図3及び
図4に示すように、例えば以下のようなものがある(各データのサンプル・内容・備考については
図3,4参照)。
【0031】
[ライセンス利用状況DB]
1.ライセンス(ライセンスの名称等)
2.利用者ID
3.申請者ID
4.申請者組織CD
5.課金先ユニット
6.ライセンス種別
7.状態ステータス
8.年度
9.申請年月日
10.変更年月日
11.利用開始予定年月日
12.利用終了予定年月日
13.利用開始年月日
14.利用終了年月日
15.休止年月日
16.廃止年月日
【0032】
[ライセンス解約情報DB]
1.利用者ID
2.退職年月日
3.休職年月日
【0033】
[ライセンス解約リストDB]
1.ライセンス
2.利用者ID
3.申請者ID
4.ライセンス種別
5.状態ステータス
6.利用開始年月日
7.利用終了年月日
8.休止年月日
9.廃止年月日
10.退職年月日
11.休職年月日
【0034】
[購入ライセンスDB]
1.ライセンス
2.ライセンス種別
3.ライセンス数
4.利用開始年月日
5.利用終了年月日
6.購入年月日
【0035】
[購入条件DB]
1.ライセンス
2.ライセンス種別
3.見積コメント
4.利用開始年月日
5.利用終了年月日
6.利用期限
7.単価
8.ライセンス数
9.条件など
10.見積年月日
11.見積有効年月日
12.休止後再割り当て可能日数
【0036】
[類似ライセンス]
1.ライセンス
2.ライセンス種別
3.類似ライセンス
4.類似ライセンス種別
5.特記事項
【0037】
以上のようなライセンス管理DB20で記憶・管理されるデータに基づいて、ライセンス管理サーバ10のライセンス割り当て部11,請求情報生成部12,ライセンス自動最適化部13の各部における各処理動作が実行されることで、対象となる一又は二以上のライセンスの適正な運用と最適化が図られるようになる。
従来は、ライセンスは必要なの数をその都度購入するが、その後は、それらを見直す(棚卸・変更)ようなことは行われず、例えば、購入先のキャリアやベンダーからの継続の案内等を受領したタイミングで不要か否かを判断する、といった対応であったため、ライセンス契約の最適化を行うことができなかった。
【0038】
例えば、従来はライセンス契約に関する各種情報は、紙や担当者の頭で管理したり、場合によってはライセンスを提供するベンダーの請求書や契約更新連絡で管理したりすることも多かった。
また、最近では上述したSSO(IDaaS)の機能を利用することで、各サービスの利用履歴(Login-Logout履歴)が取り易くなったこともあり、契約しているライセンスが実際に使われているどうかや、その利用状況との突き合わせはし易い環境にある。
また、例えばインターネット電話等のソフトウェアのライセンス契約は、年間契約が一般的である一方、企業側ではライセンスの契約情報と支払いについては月単位で管理しており、契約更新単位と支払い単位とにずれがある。
【0039】
また、業務用に契約・購入している各種ライセンスは、正社員の他に契約社員やアルバイトスタッフ等も使うことがあり、その利用は月ごとで流動的である。また、経費の管理は組織(部署)ごとに実施することも必要となる。
例えば、X部署のA社員が前月で退職した場合には、A社員が使用していたサービスは直ちに止めるのか、あるいは、Y部署のB社員に割り当てて継続した方が効率的なのか、といった判断が行えることが望ましい。
さらに、ライセンスによっては、複数のオプションが存在する場合があり、そのようなオプションはきめ細かく管理できることが望ましく、場合によっては、請求書等と突き合わせた管理・判断が行えることが好ましい。
【0040】
そこで、本システム1では、上述のようにライセンス管理DB20において、購入済の情報を管理するデータベース(購入ライセンスDB24)と購入する条件を管理するデータベース(購入条件DB25)を構築するとともに、それらと、新規に申し込みのあったライセンスに関する情報や契約済みのライセンスの利用状況を示す情報を、購入申し込みのタイミングやベンダーからの費用請求のタイミングで突き合わせを行うことで、在庫ライセンスの有無や、無利用者やテストユーザの抽出、利用頻度に応じたライセンス内容の見直し(アップ/ダウングレード)を含む、ライセンス運用の最適化を図ることができるようにするものである。
具体的には、以下のようなライセンス割り当て部11,請求情報生成部12,ライセンス自動最適化部13の各部における各処理動作が実行されることにより、本発明に係るライセンス契約の最適化が実現できるになっている。
【0041】
[ライセンス割り当て部]
ライセンス割り当て部11は、ユーザからのライセンスの契約申請があった場合に、記憶手段(ライセンス管理DB20)に記憶されたライセンス情報を参照し、所定のライセンス割り当て処理を実行する。
具体的には、ライセンス割り当て部11は、契約申請に係るライセンスについて、在庫のライセンスが存在する場合には、当該ライセンスを申請に係るユーザに割り当てる。
また、ライセンス割り当て部11は、契約申請に係るライセンスについて、在庫のライセンスが不足する場合には、当該ライセンスを提供するベンダーが運営する外部システム50等にアクセスして、所定の購入処理を実行して、納品されたライセンスを在庫のライセンスに割り当て、契約申請に係るユーザに対して在庫ライセンスを割り当てる。
【0042】
このように、ライセンス割り当て部11は、所定のライセンス割り当て処理を実行することにより、新規に申請されたライセンスについて、在庫ライセンスを参照しつつ、ライセンスの購入・割り当てを実行することができ、重複契約や在庫ライセンスの無駄などを無くして、適正な新規ライセンスの購入を自動で実施するものである。
このようなライセンス割り当て部11の具体的な処理動作(ライセンス割り当て処理)については、
図5~
図8を参照しつつ後述する。
【0043】
[請求情報生成部]
請求情報生成部12は、ライセンスを提供するベンダー等が運営する外部システム50から、所定のライセンス請求情報を受信すると、所定の請求情報生成処理を実行する。
具体的には、請求情報生成部12は、ベンダー等から送信されるライセンスの利用料金・利用頻度・利用者等を示すライセンス請求情報が、本システム1において所定のタイミング(例えば月に1回:月末等)に受信されると、当該ライセンス請求情報に基づいて、各ライセンスの利用者数及び利用料金を抽出し、該当するユーザに対するユーザ請求情報を生成し、該当するユーザ端末30に送信する。
【0044】
このように、請求情報生成部12は、外部システム50から送信されるライセンス請求情報に基づいて、ユーザ毎・所属部署毎などで、各ライセンスの利用状況を示す請求情報(ユーザ請求情報)を、ユーザ単位・ユーザの所属部署単位などで生成・出力する請求情報生成処理を実行することにより、既に契約されている各ライセンスについて、実際の利用状況・利用実態を示す情報を、該当するユーザや所属部署に送信することができ、ライセンス契約の変更・見直し等に役立つ有益な情報を、所定のタイミング(例えば毎月)自動で提供するものである。
このような請求情報生成部12の具体的な処理動作(請求情報生成処理)については、
図9を参照しつつ後述する。
【0045】
[ライセンス自動最適化部]
ライセンス自動最適化部13は、各ライセンスの利用状況を示す所定のライセンス利用情報に基づいて、該当するライセンスの内容を変更すべきか否かを判定する所定のライセンス自動最適化処理を実行し、当該最適化処理の結果に基づいて、該当するライセンスの内容変更処理を実行するライセンス自動最適化処理を実行する。
具体的には、ライセンス自動最適化部13は、所定のライセンス利用情報として、請求情報生成部12で生成されるユーザ請求情報から抽出される各ライセンスの利用者数及び利用料金に基づいて、ライセンス自動最適化処理を実行することができる。
【0046】
また、ライセンス自動最適化部13は、所定のライセンス利用情報として、実際にライセンスを使用しているユーザのユーザ端末30から送信される、ユーザが利用するソフトウェアに関する所定のアンケート情報に基づいて、ライセンス自動最適化処理を実行することができる。
さらに、ライセンス自動最適化部13は、所定のライセンス利用情報として、ベンダー等が運営する外部システム50から取得されるソフトウェアの利用ログ情報に基づいて、ライセンス自動最適化処理を実行することができる。
このようなソフトウェアの利用ログ情報は、例えば、ライセンスを提供する外部システム50から、また、ライセンスの利用状況を監視する本システム1の記憶手段(ライセンス管理DB20)から、ライセンス毎・ユーザ毎の利用ログを取得することができる。
【0047】
このようなライセンス自動最適化処理が実行されることにより、例えば担当者の勘と経験で購入していたライセンス契約について、ライセンスの実際の利用状況やユーザの事情など、具体的な利用実態や利用環境等に即して、ライセンス内容の見直しを自動で実施し、ライセンス契約の最適化を図ることができるようになる。
このようなライセンス自動最適化部13の具体的な処理動作(ライセンス自動最適化処理)についても、
図9を参照しつつ後述する。
【0048】
[ユーザ端末]
ユーザ端末30(30a~30n)は、社内のLANやWAN等のネットワークやインターネット100を介してライセンス管理サーバ10に接続可能な、本システム1の管理対象となる企業や団体等で使用される例えばPC,タブレット端末,スマートフォンなど、一又は二以上の情報処理装置によって構成することができる。
このようなユーザ端末30を介して、ユーザ端末30を使用する例えば当該企業や組織に所属する役員,社員,従業員,スタッフ等は、インターネット100を介して、ライセンス管理サーバ10にアクセスして必要な各種情報を送信/受信でき、出力・表示させることができるようになる。
【0049】
例えば、本システム1に対して新規ライセンスの申し込み情報を送信し、本システム1からライセンスの利用料金の請求情報を受信し、さらに、本システム1に対してライセンス契約の利用状況等を示すアンケート情報を入力・送信することができる。
そして、このようなユーザ端末30と本システム1で送受信される情報に基づいて、本システム1におけるライセンス契約の割り当て処理・請求情報の送信処理・ライセンスの自動最適化処理が実行されることになる。
さらに、上述のとおり、本システム1には、例えばインターネット電話に対応可能な固定電話機40が設置・接続されることで(
図1参照)、ユーザが、有償・高機能ライセンスの機能として、一般電話との通話や、一般電話からの着信可能な電話番号(050番号)が使用できるようになる。
【0050】
[外部システム]
外部システム50は、インターネット100を介してライセンス管理サーバ10に接続された、本システム1において管理対象となるライセンス、例えばインターネット電話のソフトウェアアプリケーションや通話のための各種の通信機器や電子機器などを提供する事業者側のオフィスやデータセンタ等に設置されるPCやサーバ群等によって構成される情報処理装置である。
この外部システム50に対してライセンス管理サーバ10からアクセスすることにより、その外部システム50の事業者等が提供する各種ライセンスについての新規契約・購入・休止・廃止・解約・プラン変更等の処理をオンラインで行えるようになる。
【0051】
また、外部システム50は、上述したSSO・IDaaSなど、インターネット100等のネットワークを介してオンライン利用可能な各種情報・サービスを公開・提供しているWebサーバなども該当する。
このような外部システム50にアクセスすることで、本システム1において、SSO・IDaaSの機能を活用して、利用されていない不要・非効率なサービス契約を抽出・判定できるようになる。
さらに、外部システム50は、ライセンス契約されたソフトウェアについての利用状況を利用ログ情報として記憶・管理しており、例えば有償ライセンス機能の利用状況を示すログ情報を、本システム1に提供できるようになっている。
【0052】
[動作]
次に、以上のような本システム1における具体的な処理・動作(ライセンス管理方法の実施)について、
図5~
図9を参照して説明する。
本システム1では、上述したライセンス管理サーバ10のライセンス割り当て部11,請求情報生成部12,ライセンス自動最適化部13における一連の処理動作を自動実行することにより、企業等における各種のライセンスについて、新規の購入や契約の締結,更新,休止,廃止,内容の変更,見直し等について動的に監視・判定を行い、不要なライセンス契約や不効率な運用、重複契約、不足する機能やプラン変更・アップ/ダウングレードの要否等を自動抽出し、契約・購入の実行や見直し,休止,廃止,内容変更等の最適化を図ることができるものである。
【0053】
[ライセンスの新規申請・割り当て処理]
まず、
図5~
図8を参照しつつ、本システム1におけるライセンスの新規申請・割り当ての処理動作について説明する。
図5に、本システム1におけるライセンスの新規申請・割り当て処理における処理動作を示すフローチャートを示す。
同図に示すように、ライセンスの新規申請処理は、ユーザ端末30を介した新規ライセンスの申請処理によって開始する。
【0054】
新規ライセンスの申請は、まず、ユーザ端末30から本システム1にアクセス・ログインすることにより、ユーザ端末30に表示される所定の入力画面(申請書画面)に従って、入力操作に応じて所定のデータ(ライセンス新規申請データ)が入力され(ステップ801)、入力されたデータが本システム1に送信される(ステップ802)。
具体的には、新規ライセンスの申請データとしては、例えばクラウド電話システム「CloudPhone」のライセンスの場合、以下のような情報が入力・送信されるようになっている。
【0055】
・CloudPhone利用者(人、コールキュー)
・CloudPhoneのアカウント
・CloudPhoneの種別(ベーシック0円・プロ1000円・ネイティブ2000円/月など)
・CloudPhone固定電話(固定電話機40)の必要有無
【0056】
図6-8に、本システム1におけるライセンスの新規申請の入力画面イメージを示す。
図6は、ユーザ端末となるスマートフォンから行う有償ライセンスの申請書の入力画面イメージを示す説明図である。
図7は、ユーザ端末となるPCから行うライセンスの個人申請書の入力画面イメージを示す説明図である。
図8は、ユーザ端末となるPCから行うライセンスのグループ申請書の入力画面イメージを示す説明図である。
【0057】
図6に示す例では、スマートフォンで構成されるユーザ端末30には、ライセンス申し込み用の申請書の入力画面が生成・表示され、必要な情報が入力されるようになっている。
図6に示す例では、例えば、以下のような申請・申し込みが行えるようになっている。
(1)新規
(2)会計ユニット変更
(3)年度末廃止
(4)即時廃止(ライセンスによる)
(5)テストアカウント新規
(6)テストアカウント廃止
【0058】
また、同図に示すように、申請書を介して入力・管理される情報としては、「申請者・承認者・利用組織・ライセンス数・課金ユニット・利用者」等の各項目について必要な情報が入力され管理されるようになっている。
「利用者」情報に関しては、例えばライセンスの管理は、購入数と氏名,アカウントで1レコードとして、申請者情報,承認者情報,利用組織情報が管理される。
「アカウント状況」としては、例えば「1:利用中,2:停止,3:テストアカウント利用」等については、申請日,利用開始年月日,利用終了年月日,アカウント廃止年月日等の情報に基づいて管理される。
「終了状況」としては、例えば「1:ユニット変更済,2:年度末廃止未到達,3:年度末廃止新規割り当て済み,4:テストアカウント廃止」等について所定情報が管理される。
【0059】
図7に示す例では、PCで構成されるユーザ端末30には、個人用のライセンス申し込み用の申請書の入力画面が生成・表示され、必要な情報が入力されるようになっている。
図7に示す例では、例えば、以下のような申請・申し込みが行えるようになっている。
(1)申請日
(2)申請者情報
・氏名
・メールアドレス
・所属本部
・所属部
(3)申請内容
・申請区分
・氏名
・メールアドレス
・内線番号
・外線利用有無
・外線番号
・海外発信利用有無
・申請理由
(4)連絡事項
【0060】
図8に示す例では、PCで構成されるユーザ端末30には、グループ用のライセンス申し込み用の申請書の入力画面が生成・表示され、必要な情報が入力されるようになっている。
図8に示す例では、例えば、以下のような申請・申し込みが行えるようになっている。
(1)申請日
(2)申請者情報
・氏名
・メールアドレス
・所属本部
・所属部
(3)固定電話(デスクフォン)設置場所
(4)用途
(5)コールキュー情報
コールキュー名
外線番号有無
(6)コールキュー管理者
申請区分
管理者名
メールアドレス
内線番号
変更後内容
(7)コールモニタリング
・機能追加
・監視権限
リスニング
ウイスパリング
割り込み
引き継ぎ
(8)連絡事項
【0061】
以上のような所定の情報が申請書を介して入力・管理されることで、例えば、申請されたライセンスの新規購入の際に、
図6に示す「2:年度末廃止未到達」からアカウントを割り当てて「3:年度末廃止新規割り当て済み」に変更し、また「アカウント廃止年月日」に日付情報を登録して、当該ラインセンスは新規では購入せず、「テストアカウント」を利用するようにして、その旨を申請者のユーザ端末30に連絡する、といった状況に応じた動的で臨機応変な対応が可能となる。
【0062】
このように、本システム1では、ユーザ端末30側で新規ライセンスの申請書を表示・入力・生成させることで、ライセンスの申請機能を標準化することができ、申請画面(申請書)は、例えば、以下の利用イメージに応じて用意され、適切な質問(入力パラメータ)等を入力させることができるようになる。
・代表番号付きオフィス型
・代表番号無しオフィス型
・インバウンド型ヘルプデスク
・インバウンド型コールセンター
・アウトバウンド型コールセンター
・秘書-役員電話
【0063】
このようにして、例えばPC,スマートフォン,固定型電話機の利用希望数などを含めて、申請画面に従って所定項目を入力することで、自動で後続の処理の為のデータを生成することができる。
そして、最適なソフトウェア電話ライセンスや固定型電話機の購入及び初期パラメーター設定等を行うことが可能となる。
【0064】
すなわち、本システム1が提供する申請画面に沿って申請が行われることで、ライセンスや必要機材の発注を自動化し、必要機材のセットアップも自動化(環境設定ファイルの自動生成など)を行うことが可能となる。
また、申請に係るライセンスを利用するために必要となるハードウェア・通信機器等の発注(例えば、インターネット電話用の固定電話機+WiFi中継器+モバイルルータ等)も自動化して行わせることが可能となる。
特に、ユーザ端末30からの1つの入力ソースで、例えば、インターネット電話の固定電話機とそれに関連するHUBやWiFiルータ等の発注とその工事、インターネット電話のライセンスの必要数確保などが行えるようにすることで、複数のシステムで利用する利用者、システム管理者等の負荷・負担を大きく下げることができるようになる。
【0065】
そして、以上のようなユーザ端末30を介して送信される申請書(申請データ)は、本システム1において受信されると(ステップ803)、所定のライセンスの割り当て処理が実行される(ライセンス割り当て部11)。
ここでは、新規ライセンスの申請として、例えばインターネット電話用のソフトウェアアプリケーション「CloudPhone」の有償ライセンス3件の申し込みが受信されたとする(ステップ803)。
ライセンスの割り当て処理では、まず、申請に係るインターネット電話で使用する固定電話機40の利用の有無(要否)が判定され(ステップ804)、固定電話機40の利用がある場合には(ステップ804:Yes)、本システム1において固定電話機40の在庫の有無が判定される(ステップ805)。この固定電話機40の在庫の有無は、例えばライセンス管理DB20のライセンス情報が参照されて判定が行われる。
【0066】
具体的には、固定電話機40の在庫判定は、例えば以下のような情報が参照され、判定処理が実行される(ステップ805)。
・CloudPhone用の固定電話機のシリアル番号
・状況(部署XXXに設置済み,倉庫)
・保守費用,保守期限(12/2022まで)等
その上で、必要な固定電話機40の在庫が足りないことが検出されると、発注処理が実行される(ステップ806)。
【0067】
なお、固定電話機の在庫判定においては、単に倉庫等に保管されている未使用の固定電話機だけに限らず、例えば、各部署の設置済みのインターネット電話用の固定電話機及び付帯設備の状況なども監視し、倉庫に保管されずに「部署XXX」に設置済みとなっているのに利用されていない設備があれば、不足している機材を購入する前に、当該「部署XXX」の利用を廃止させて、申請に係るユーザへの再利用を優先することができる。
この場合、固定電話機を含む設備の状況を本システム1でモニタリングし、廃止を通知して指定日までに廃止を行わせることができる。
また、廃止のトリガは、在庫が少なくってきたタイミングで行うことが望ましい。
【0068】
固定電話機40の発注処理は、必要な固定電話機の機種名・数量などを示すデータが、本システム1からインターネット電話のソフトウェアを提供するベンダー(外部システム50)や、あるいは当該ベンダー等を介して電話機やWiFiルータ等の無線通信機器を製造するネット機器メーカー(固定電話ベンダー)に送信されることで実行される。
なお、一般に固定電話機などの通信機器には一定の納期(例えば3ヶ月)かかるので、一定の在庫は保持する前提で、必要十分な数量の固定電話機の発注が行われることが望ましい。
固定電話機を受注したベンダー等(ステップ807)は、注文に係る固定電話機を用意し、整い次第、本システム1に対して固定電話機の納品を行う(ステップ808)
なお、固定電話機を納品したベンダー等は、本システム1に対して、必要な請求処理を行い、また、別途、例えば年契約で保守対応なども行うことができる。
【0069】
固定電話機が納品されると、本システム1では、ライセンス管理DB20の在庫情報が更新され(ステップ805:Yes)、新規申請に係るユーザに対して、固定電話機40が受け渡される。
このとき、固定電話機40が直ちに使用できるように、本システム1において、インターネット電話用の固定電話機40の設定を自動化することができる。
例えば、固定電話機40の使用に際して必要となる初期設定、例えば日付・時刻情報・Macアドレスなどのコンフィグ情報の自動入力や、インターネット電話サイトのURLにアクセスして行われるプロビジョニングなどを、固定電話機40を使用するユーザに引き渡す前に、本システム1において自動で行うようにすることができる。
これによって、初期設定の簡略化・自動化が可能となり、固定電話機40を受領したユーザは、ユーザ端末30に固定電話機を接続するだけで、直ちに使用を開始することができるようになる。
【0070】
次に、申請に係るインターネット電話のライセンスについて、在庫の有無が判定される(ステップ809)。このライセンスの在庫の有無についても、固定電話機の場合と同様に、例えばライセンス管理DB20のライセンス情報が参照されて判定が行われる。
具体的には、申請に係るライセンスの在庫判定は、例えば以下のような情報が参照され、判定処理が実行される(ステップ809)。
・インターネット電話用の種別(ベーシック0円・プロ1000円・ネイティブ2000円/月)
・利用者
・購入済みライセンス数
その上で、申請に係るライセンスの在庫が足りないことが検出されると、ライセンスの購入(発注)処理が実行される(ステップ810)。
【0071】
なお、ライセンスの在庫判定においても、単に在庫の有無・在庫数だけでなく、例えば、既に契約されているライセンスの有料利用率などを監視し、例えば廃止申請が無く利用率がゼロのライセンスを剥奪して申請に係るユーザへの再利用を優先することができるように見える化することができる。
例えば、ソフトウェアのライセンス契約は、年単位の更新月(11月末など)までは廃止できないので、もう利用しないライセンスをそのまま放置しているユーザもあり得るので、そのユーザが利用率ゼロになっている場合、その利用率ゼロのライセンスを新規申請に係るユーザに対して割り当てることで、ライセンス契約を効率的に再利用することができるようになる。
【0072】
ライセンスの購入処理は、例えば、ライセンス数が不足している場合に、管理部門(例えば総務部など)に確認・承認を得て、必要な数のライセンスを追加購入することができる。
ライセンス購入を受注したベンダー等の外部システム50(ステップ811)は、注文に係るライセンスを用意して、本システム1に対して納品を行う(ステップ812)。
納品されたライセンスは、例えば年単位の契約で所定の更新月(例えば11月末)までは総数を減らすキャンセルは不可となり、また、各ライセンスの利用料金は、月単位で毎月請求が行われるようになる。
【0073】
ライセンスが納品されると、本システム1では、ライセンス管理DB20の在庫情報が更新され(ステップ809:Yes)、新規申請に係るユーザに対して割り当てられ、当該ユーザは、例えばアカウント情報等を設定することで、ライセンスの利用を開始できるようになる。
例えば、ライセンスを提供するベンダー(外部システム50)から有償ライセンスの利用開始連絡が来たら、ライセンス管理DB20のライセンス情報に基づいて、有償ライセンスの利用希望し開始されていない申請日の古いユーザ順にライセンスを割り当てることができる。
また、購入・納品された各ライセンスは、例えば年単位の契約で所定の更新月(例えば11月末)で、解約・非更新を行うことで、ライセンス契約の変更・見直し(棚卸し)が可能となる。
【0074】
また、ライセンス数が充足し(ステップ809:Yes)、ライセンスの割り当て処理が実行されると、上述のとおり、ライセンス管理DB20の在庫情報が更新され、例えば以下のような情報が更新・蓄積されるようになる。
・インターネット電話用の種別(ベーシック0円・プロ1000円・ネイティブ2000円/月)
・利用者(種別毎の利用者変更)
・購入済みライセンス数
【0075】
さらに、各ライセンスについて、ライセンス管理DB20のライセンス情報が更新され、例えば以下のような情報が更新・蓄積されるようになる。
(1)CloudPhoneシステム
・利用者
・インターネット電話用の種別(ベーシック0円・プロ1000円・ネイティブ2000円/月)
(2)CloudPhone用固定電話納品
・固定電話機シリアル番号
・状況(倉庫→部署XXXに設置)
【0076】
[請求情報生成・ライセンス自動最適化処理]
次に、
図9を参照して、本システム1におけるライセンスについて請求情報生成・自動最適化の処理動作について説明する。
図9に、本システム1におけるライセンスの請求情報生成・ライセンス自動最適化処理における処理動作を示すフローチャートを示す。
同図に示すように、まず、ライセンスの請求情報の生成処理は、所定のタイミング、例えば毎月月末に行われる、ライセンスを提供するベンダー等によって行われる利用料金の請求処理(月次フロー)によって開始する。
【0077】
具体的には、まず、ライセンスの利用料金の請求の前提として、インターネット電話(CloudPhone)について固定電話機40の利用が有る場合には、固定電話ベンダーからライセンスを提供するベンダー(外部システム50)に固定電話番号を示す情報が送信され(ステップ900)、各固定電話番号についてライセンス請求が行われる(ステップ901及びステップ902)。
また、固定電話ベンダーは、固定電話機40をレンタル利用する組織に対してはレンタル料金の請求を行い、また、ポケットWiFiなどの機器については回収したレンタル費等から支払いを行うなど、ライセンスを提供するベンダー(外部システム50)とは別管理で請求処理を行うこともある。
【0078】
ライセンスを提供するベンダーでは、外部システム50において所定のライセンス請求データが生成され(ステップ901)、当該データが本システム1に送信される(ステップ902)。
具体的には、外部システム50で生成・送信されるライセンス請求データとしては、個別のユーザ毎の利用状況・利用料金等は示されず、該当するライセンスについて以下のようなライセンス数・アカウント毎の外線通話料のみが合算されて示されるサマリ情報となっている。
(1)CloudPhone請求
・(プロ:1000円/月)利用者数
・(ネイティブ2000円/月)利用者数
(2)外線利用料金請求
・アカウント/コールキュー
・月額外線使用料
【0079】
そして、本システム1では、ライセンスを提供する外部システム50から、所定のライセンス請求情報を受信すると(ステップ903)、当該ライセンス請求情報に基づいて、各ライセンスの利用者数及び利用料金を抽出し、該当するユーザに対するユーザ請求情報(ユーザ部門別請求データ)を生成する(ステップ904)、所定の請求情報生成処理が実行される(請求情報生成部12)。
具体的には、本システム1では、ユーザ/管理者に提供される請求情報として、ライセンスを提供する外部システム50から送信される上記のようなサマリの請求情報に基づいて、ユーザのアカウントをキーにして部門後の請求が行えるように、以下のような詳細情報を含むユーザ部門別請求データ(ユーザ請求情報)が生成される。
【0080】
(1)各組織請求明細
・(プロ:1000円/月)利用者数
・(ネイティブ2000円/月)利用者数
・固定番号利用料
・外線利用料金
・CloudPhone固定電話利用料
(2)外線利用料金明細
・組織(会計ユニット)
・アカウント/コールキュー
・月額外線明細
【0081】
このような詳細情報を含むユーザ部門別請求データ(ユーザ請求情報)が生成されることで、以下に示すライセンス自動最適化ロジック(ステップ907~911)によるライセンスの変更・最適化が可能となる。
例えば、あるユーザの利用状況は「本当に有償のプロやネイティブのライセンスが必要なのか。」→「ベーシックで十分ではないのか。」→「ライセンスの見直しを行う。」という判定が可能となり、「通話料重量課金プラン」→「通話料無制限プラン」に変更するようなことが可能となる。
【0082】
以上のような詳細情報を含むユーザ部門別請求データ(ユーザ請求情報)は、本システム1から、該当するユーザのユーザ端末30や、該当するユーザが所属する部署の管理者(ユーザ部門管理者)に送信される(ステップ905)、ユーザ/管理者のユーザ端末30において受信される(ステップ906)。
ユーザ部門別の請求データをユーザ端末30で受信したユーザ/管理者は、当該請求データを参照して、請求料金の清算・決済処理が行えるとともに、各ライセンスの利用状況を確認・参照して、上述したようなライセンスの見直し検討などが行えるようになる。
例えば、請求レポート(ユーザ部門別請求データ)には、有償ライセンス機能の利用状況,ログ状況(例えば「呼び出しても出ない」、「第〇〇位の呼び出しの人の方が出ている」等)などの情報が含まれ、ライセンスや設定値の見直しを行うための判断材料や、各部から本システム1に提供されるアンケートや設定変更依頼のための有用な情報として活用することができる。
【0083】
そして、以上のようなユーザ部門別請求データ(ユーザ請求情報)が生成された本システム1では、各ライセンスの利用状況を示す所定のライセンス利用情報に基づいて、該当するライセンスの内容を変更すべきか否かを判定する所定のライセンス自動最適化ロジックの処理が実行され、その最適化処理の結果に基づいて、該当するライセンスの内容変更処理を実行することができる(ステップ907~911:ライセンス自動最適化部13)。
まず、ライセンス自動最適化ロジック(ステップ907)では、所定のライセンス利用情報として、ユーザ請求情報から抽出される各ライセンスの利用者数及び利用料金に基づいて(ステップ905)、ライセンス自動最適化処理が実行される。
【0084】
また、ライセンス自動最適化ロジック(ステップ907)では、所定のライセンス利用情報として、ソフトウェアの利用ログ情報に基づいて(ステップ908)、ライセンス自動最適化処理が実行される。
さらに、ライセンス自動最適化ロジック(ステップ907)では、所定のライセンス利用情報として、ユーザ端末30から送信される、ユーザが利用するソフトウェアに関する所定のアンケート情報に基づいて(ステップ909)、ライセンス自動最適化処理が実行される。
【0085】
具体的には、ライセンス自動最適化ロジックは、本システム1において生成・入力される所定のライセンス利用情報に基づいて、既存のライセンス契約の見直しや変更等を行うための最適化のルール・規則として機能するものである。
例えば、本システム1(ライセンス自動最適化部13)では、ライセンスを利用している各部署・各部門から送信されるアンケート結果(兼設定変更依頼)に基づいて、ライセンスの付け替えやNR機器の設定変更、PoketWiFiの回線変更の強化、縮小プランの作成などを決定・実行することができる。
【0086】
特に、ユーザ端末30からの1つの入力ソースで、例えば、インターネット電話の固定電話機とそれに関連するHUBやPoketWiFi等の発注とその工事、インターネット電話のライセンスの必要数確保などが行えるようにすることで、利用者・システム管理者等の負荷を大きく下げることができるようになる。
また、本システム1(ライセンス自動最適化部13)では、ライセンスの新規申請に合わせて、ライセンスの余剰を加味しつつ各部の設定変更の提案を行うこともできる。
【0087】
また、本システム1(ライセンス自動最適化部13)では、ライセンスの利用ログやユーザのアンケートによる最適化を決定・実行することができる。
例えば、ベンダー(外部システム50)から提供される月次の請求情報は、回線毎の個別の外線利用量と有償契約のアカウント数のみであるため、そのため、機能拡張を行うことで(請求情報生成部12)、ライセンス自動最適化ロジックのルール・規則として機能させることができる。
【0088】
具体的には、機能拡張・機能最適化としては、月次請求リスト(ユーザ,コールキュー毎,各部サマリ)とともに、詳細な機能利用状況の照会が行える情報を生成する。
ここで、ライセンスを提供するベンダー(外部システム50)からの請求では、サマリ情報のみであり、例えば利用しない機能の確認ができないが、本システム1で機能拡張した請求リスト(兼利用状況紹介)があれば、利用率の低い・利用率ゼロの機能(ライセンス)の削減などが可能となる。
【0089】
また、ライセンスを実際に利用しているユーザからの意見を受け付ける利用者要望アンケート機能を備えることで、そのようなアンケートに基づいて、ライセンス内容や設定の最適化を図ることが可能となる。
例えば、アンケートで示される意見や要望などの情報に基づいて、以下のような最適化を実行することができる。
・「話中になることが多い」→「外線を増やす」
・「チーム分けがしたい」→「新たなコールキューの作成」
・「外線利用頻度が高い」→「月のかけ放題プランに変える」
【0090】
さらに、本システム1のライセンス自動最適化ロジックとしては、以下のようなルール・規則を設定することができる。
・外線利用率が高い
→3ヶ月間高利用で強制的に最適プラン通話料無制限プランに変更)
・有料機能の利用が少ない
→自動で削減連絡(基本プラン,通話プラン)
→レスポンスが無ければライセンスをダウン(完全自動選択可能)
→レスポンスがあり、契約変更不要であれば、現時点の契約を維持
→また、以降の通知をなくす設定も指定可能
【0091】
また、ライセンス自動最適化ロジックとしては、以下のようなルール・規則を設定することもできる。
[契約自動変更]
・固定電話利用していない
→台数削減通知など
[月と年(プラン提示後→処理)]
・月次対応時に在庫が不足
・増やすのは可能だが、削減は不可能(年切り替え時のみ)
→月のロジックは先ず減らし、希望調査,足りない最低限のみ購入
[年切り替え(プラン提示後→処理)
・1000スロットで購入
・全体最適化するチャンス
→オフィスの固定電話を利用率に応じて、あるエリアは5台から3台に減らし、他のエリアは増やすなど
[レコメンデーション]
・部署や個人は使えれば無関心
・総務と情報システムが検討(全体俯瞰)
・本部又は各部にも提案(組織最適化)
・会社によって事情が違う
・基本料(無料プラン,有料プラン)
・通話料(重量課金プラン,無制限プラン)
【0092】
なお、基本料や通話料のプランは、キャリア側の都合で変わり易く、例えば総務と情報システムが組織の全体を俯瞰して、上記の自動最適化ロジックを随時機動的・流動的に変更することもできる。
また、ライセンスを利用しているユーザによっては、季節で繁忙時期が異なる人もいて、そういった人は年に何回も契約変更が走ることになるが、上記のような本システム1の自動最適化ロジックの通りに従っても最適化されるとは限らないことがある。
【0093】
そのような場合には、余り頻繁に契約変更が行われるよりは、又は、契約が頻繁に変わった場合には、一定期間(例えば1年間等)は契約変更を促さないようにするこができる。
さらに、1年を通した過去の振り返りで、最適な契約は何であったかをユーザに示すこともできる。
また、部署のとりまとめの人間(ユーザ部門管理者)に、部全体のレコメンデーションが提供され、それを全て了承した場合に直ぐに契約変更してもよいが、了承した後に、各エンドユーザに通知が行き、エンドユーザの応答に応じて契約変更を実行するようにしてもよい。ここで、ユーザ部門管理者が介在することなく、個人のレコメンデーションがエンドユーザに通知され、エンドユーザの応答に応じて契約変更を実行するようにしてもよい。エンドユーザからの応答が所定期間内に何もない場合には本システムで対象ユーザの契約変更をしない構成とすることもできるし、エンドユーザからの応答が所定期間内に何もない場合には本システムで対象ユーザの契約変更を実行する構成とすることもできる。なお、ユーザ部門管理者が介在しない例を説明したが、各エンドユーザの各レコメンデーションに対する所定期間内の応答を保持し、その保持した内容をユーザ部門管理者に提示し、ユーザ部門管理者による契約変更の操作を受け付け、受け付けた契約変更を実行する構成であってもよい。
【0094】
以上のような本システム1におけるライセンスの自動最適化処理が実行されることで、既存のライセンス契約について、次のようなライセンスの[変更・更新・切替・解約]による最適化が実現できるようになる。なお、自動最適化処理のタイミングの一例として、
図9に示すよう、ライセンス請求をトリガとして実行しているが、任意のタイミングでよく、例えば、月初、月末、年初、年末、年度初め、年度末でもよく、ユーザ部門管理者の所望のタイミング、エンドユーザの所望のタイミングであってもよい。
[ライセンスの変更最適化]
ライセンスの変更最適化は、外部システム50等の機能を利用しつつ未利用ユーザ情報を抽出するとともに、未利用者に対して解約等を促す通知を自動で実行し、希望等に応じて休眠アカウント(年度中解約可能なアカウントは解約)への変更処理を自動で実行することができる。
これによって、例えば本来は更新まで月額課金を支払わなければならないところ、本システム1により休止可能な利用者が抽出されることによって、申請者側・企業側としては、翌月から無駄な課金が不要になる、といったメリットが得られるようになる。
【0095】
また、使用状況に応じて該当するライセンス(アカウント)を直ちに休止させるのではなく、同じ機能・製品等でもライセンスに種類があることを考慮して、例えば使用状況に応じて、同じライセンスについて「種類A」から「種類B」への変更・切替を通知・提案することもできる。
例えばインターネット電話用のソフトウェア「CloudPhone」には無償ライセンスと有償ライセンスがある場合に、あるユーザが直近でも使用実績があるが、全ての使用状況が無償利用時間内(例えば30分以内)であれば、有償ライセンスから無償ライセンスへの切り替えを通知・提案することができる。
逆に、使用状況が常に無料利用時間を超える(1時間以上)であれば、無償ライセンスから有償ライセンスへの切り替えを通知・提案することができる。この場合には利用時間をログ等のデータから算出・取得することができる。
【0096】
[ライセンスの更新最適化]
ライセンスの更新最適化は、外部システム50等の機能を利用しつつ未利用ユーザ情報を抽出するとともに、未利用者に対して更新の有無や見直し等を促す通知を自動で実行し、希望等に応じて更新・解約処理を自動で実行することができる。
これによって、例えば本来は自動的に年次更新されていたサービス等が、本システム1により更新不要・廃止可能なライセンスとして抽出されることによって、無駄な契約の更新とそれに対する支払を回避できる、といったメリットが得られるようになる。
【0097】
[ライセンスの切替最適化]
ライセンスの切替最適化は、現在契約・利用しているライセンスと同様の機能・サービスが他のベンダー等から提供されている場合に、例えばSSOやストレージサービス,サーバサービス,コンテナサービス等の条件や費用を登録しておき、ライセンスの切替を行うことができるようになる。
これによって、現在利用しているサービスについて、ほぼ同様の内容で、かつ、料金面で安価となる他の類似サービスへの変更・見直しを行うことで、料金面での低価格化・低コスト化を図ることができる、といったメリットが得られるようになる。
【0098】
[ライセンスの解約最適化]
ライセンスの解約最適化は、外部システム50等の機能を利用しつつ、例えば各月末でアカウントが廃止される場合に、廃止されたアカウントで購入されているライセンスの一覧(ライセンス解約リスト)を出力させ、当該ライセンスについて廃止申請が出されていない場合にメール等で各ライセンスの廃止・解約を促す処理を自動で実行することができる。
これによって、現在契約が存続しているにも関わらず、そのアカウントが廃止されているライセンスを、一覧形式のリスト等によって一目で確認・把握できるようにすることが可能となり、解約・廃止すべきライセンスを確実に抽出して、無駄な契約の継続とそれ対する費用の支払を回避できる、といったメリットが得られるようになる。
【0099】
以上説明したように、本システム1によれば、企業や団体等において契約される有償・無償の各種のライセンスについて、その購入や契約の締結,更新,休止,廃止,内容の変更,見直し等について動的に監視・判定を行うことができる。
これによって、不必要なライセンスや不効率・不経済な運用、重複する契約、あるいは不足する契約や機能等を自動的に抽出し、契約・購入の実行や見直し,休止,廃止,内容変更等の最適化を図ることができる。
【0100】
例えば、インターネット電話等のサービス提供事業者が提供しない、各部署の利用状況や利用料金などの情報に基づいて、機能やサービスの利用実態に即したライセンス契約の見直しや変更等を、各部署やユーザに対して提示することができる。
また、例えば年間契約が切れる前に利用状況を確認することで、不要なライセンスであれば直ちにキャセル・解約等することが可能となる。
また、複数の各契約について、毎月の利用状況を監視・確認することにより、その利用状況に応じてプランの変更や休止・廃止,アップ/ダウングレードの提案等の対応を取ることができる。
さらに、複数年(2年)契約が前提のサービスであれば、当該期間(2年)が経過するタイミングで、機能やプラン,契約会社の変更や見直しを、利用状況や他の候補などを含めて適切なタイミングで検討することも可能となる。
【0101】
このように、本システム1によれば、各種サービスを利用するユーザ(社員・従業員等)と当該ユーザが所属する組織(部署等)を含む会社・企業全体を管理する担当者(経理担当者等)などに、適切なライセンス契約の提案をタイムリーに提示することができる。
したがって、例えば企業や団体,組織等で社員や従業員等に支給・貸与される、インターネット電話等の有償・無償のソフトウェアアプリケーションなど、各種のライセンス契約についての購入や契約の管理・運用を適正に行う必要のなる企業や組織・団体などに好適なライセンス管理システムを実現することができる。
【0102】
以上、本発明について好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明の管理対象となるライセンス契約として、インターネット電話のソフトウェアアプリケーションのライセンスを例にとって説明したが、本発明の適用対象となるライセンスは、特にインターネット電話やソフトウェアアプリケーションのライセンス契約に限定されるものではない。
すなわち、本発明は、実際の利用状況・利用実態等に即した契約内容の見直しや最適化等を行う要請のあるライセンス契約であれば、どのような種類や内容のライセンスであっても、また、対象物がソフトウェアであるとハードウェアであるとに関わらず、適用対象とすることができる。
【0103】
また、上述した実施形態では、本発明が対象とするサービスやライセンスとして、企業や団体等において契約・管理される各種サービスを例にとって説明したが、本発明を適用可能な対象としては、特に外企業や大規模団体,組織等における場合に限定されず、一又は二以上のサービスを購入・契約し、その契約内容等を日々見直す必要がある事業者等であれば、どのような規模や業態の企業や組織等でも対象とすることができ、特に限定されるものではない。
したがって、例えば中小企業や個人経営の会社,フリーランスの個人事業主などであっても、本発明を適用して不必要なサービスや重複した契約等を監視して最適な運用を行うことができるものである。
【0104】
また、上述した実施形態では、一例として、ライセンス管理サーバ10・ユーザ端末30が一の会社の社内ネットワークに設置され、相互に接続される構成を示したが、例えば、ライセンス管理サーバ10はシステム会社の社内に設置し、システム会社の複数のクライアント企業のユーザ端末30が外部からライセンス管理サーバ10にアクセスしてライセンス管理サーバ10のサービス機能の提供を受ける構成(SaaS構成)であってもよい。なお、SaaS構成であっても、ライセンス管理サーバ10の一部の機能をクライアント企業側にサーバ又はクライアントの機能として残存させる構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、例えば企業や団体,組織等において社員や従業員等が利用するライセンス、例えばインターネット電話等の機能を実行するための有償・無償のソフトウェアアプリケーションに関するライセンスなど、各種のライセンス契約の管理・運用業務を支援するためのライセンス管理システムとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 ライセンス管理システム
10 ライセンス管理サーバ
11 ライセンス割り当て部
12 請求情報生成部
13 ライセンス自動最適化部
20 ライセンス管理データベース
30 ユーザ端末
40 固定電話機
50 外部システム