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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051800
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】立体形状データ生成装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
G01B11/25 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158133
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良輔
(72)【発明者】
【氏名】今井 良輔
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065DD03
2F065FF04
2F065GG23
2F065HH07
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065LL21
2F065NN01
2F065QQ24
2F065QQ31
2F065SS02
(57)【要約】
【課題】外乱光による測定精度の悪化を抑制しつつ、カラーカメラ等の別カメラを用いることなく測定対象物のテクスチャ情報を取得できるようにする。
【解決手段】立体形状データ生成装置1は、構造化光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、第1の照明光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、第2の照明光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、第3の照明光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域とを透過帯域として持つバンドパスフィルタ122を備えている。撮像部120は、バンドパスフィルタ122を透過した構造化光を受光することによりパターン画像データを生成するとともに、観察用の照明光を受光することによりテクスチャ画像データを生成する。パターン画像データに基づいて生成された立体形状データと、テクスチャ画像データに基づいて生成されたテクスチャデータを合成して合成データを生成する。合成データを表示部400に表示させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定用の構造化光を測定対象物に照射する構造化照明部と、
互いに波長が異なる第1の照明光、第2の照明光及び第3の照明光を観察用の照明光として測定対象物にそれぞれ照射する観察用照明部と、
前記構造化光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、前記第1の照明光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、前記第2の照明光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、前記第3の照明光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域とを透過帯域として持つバンドパスフィルタと、
前記構造化照明部から照射されて測定対象物により反射され、前記バンドパスフィルタを透過した構造化光を受光することにより測定対象物の画像を示すパターン画像データを生成するとともに、前記観察用照明部から照射されて測定対象物により反射され、前記バンドパスフィルタを透過した観察用の照明光を受光することにより測定対象物のテクスチャ画像データを生成する撮像部と、
前記撮像部により生成されたパターン画像データに基づいて測定対象物の立体形状データを生成する立体形状データ生成部と、
前記撮像部により生成されたテクスチャ画像データに基づいて測定対象物の表面状態を示すテクスチャデータを生成するテクスチャデータ生成部と、
前記立体形状データ生成部により生成された立体形状データと、前記テクスチャデータ生成部により生成されたテクスチャデータとが合成された合成データを生成する合成部と、
前記合成部で生成された合成データを表示部に表示させる表示制御部と、を備える立体形状データ生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の立体形状データ生成装置において、
前記撮像部は、前記構造化光及び前記観察用の照明光を受光するためのモノクロカメラを有し、
前記観察用照明部は、前記第1の照明光、前記第2の照明光及び前記第3の照明光を測定対象物に時分割で照射し、
前記テクスチャデータ生成部は、前記観察用照明部から照射された前記第1の照明光、前記第2の照明光及び前記第3の照明光を時分割に前記撮像部で撮像することにより得られた複数のテクスチャ画像データに基づいて、カラーの二次元テクスチャ画像を生成することを特徴とする立体形状データ生成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の立体形状データ生成装置であって、
前記バンドパスフィルタは、前記照明光の透過帯域の幅よりも、前記構造化光の透過帯域の幅が広くなるように構成されていることを特徴とする立体形状データ生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の立体形状データ生成装置であって、
前記構造化光の波長は、青色帯域の波長であることを特徴とする立体形状データ生成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の立体形状データ生成装置であって、
前記第1の照明光の波長帯域と、前記構造化光の波長帯域とが重複しており、
前記バンドパスフィルタは、前記第1の照明光の透過帯域の幅が、前記第2の照明光及び前記第3の波長帯域の幅よりも広くなるように構成されていることを特徴とする立体形状データ生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の立体形状データ生成装置であって、
前記第1の照明光の波長帯域は青色帯域であり、
前記第2の照明光の波長帯域は緑色帯域であり、
前記第3の照明光の波長帯域は赤色帯域であり、
前記バンドパスフィルタは、青色帯域の波長の透過帯域の幅が、緑色帯域及び赤色帯域の波長の透過帯域の幅よりも広くなるように構成されていることを特徴とする立体形状データ生成装置。
【請求項7】
請求項1に記載の立体形状データ生成装置であって、
前記撮像部は、前記構造化光及び前記照明光が入射する光学系と、前記光学系から出射した光を受光し、受光量に対応する電気信号を出力する受光素子とを備え、
前記バンドパスフィルタは、前記光学系と前記受光素子との間に配置されることを特徴とする立体形状データ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定対象物の立体形状データを生成する立体形状データ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、測定対象物の立体形状データを生成する立体形状データ生成装置が知られている。特許文献1に開示されている立体形状データ生成装置は、測定対象物に対して一定照度のパターン光を照射する投影部と、パターン光の照射された測定対象物を照明する補助照明部とを備えている。特許文献1では、パターン光の成分と補助照明部による照明の成分とを含む測定対象物の表面の明るさを検出し、検出される明るさが一定となるように、補助照明部による照明強度を制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-2416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の立体形状データ生成装置では、測定対象物の表面の明るさが一定となるように補助照明部を制御しているが、検出される明るさが一定であっても、外乱光等に起因して、測定に使用される波長の光(測定光)の強度が変動することがある。測定光の強度が変動すると、測定精度の低下を招く虞がある。特に広視野にしようとすると外乱光による測定精度の低下がより一層顕著な問題となる。
【0005】
また、測定光の波長帯域を選択的に透過させるようなバンドパスフィルタを撮像素子の前に入れることも考えられるが、この場合、測定光の波長帯域以外の波長の光は透過しないため、測定対象物のテクスチャ情報の取得が難しい。テクスチャ情報を取得するためには別にカラーカメラを設置する必要があるが、カラーカメラの解像度はモノクロカメラに比べて低いという問題がある。
【0006】
また、外乱光そのものを遮断するために測定対象物を暗室に設定する方法やカーテン等の遮光部材を設けてRGBの各照明を用いる方法がある。この場合、形状測定とテクスチャ情報の取得とでカメラを共通化できるが、暗室の準備が手間であり、測定対象物の形状によっては遮光部材では対応できないことが想定される。
【0007】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、外乱光による測定精度の悪化を抑制しつつ、カラーカメラ等の別カメラを用いることなく測定対象物のテクスチャ情報を取得できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本態様に係る立体形状データ生成装置は、測定用の構造化光を測定対象物に照射する構造化照明部と、互いに波長が異なる第1の照明光、第2の照明光及び第3の照明光を観察用の照明光として測定対象物にそれぞれ照射する観察用照明部と、バンドパスフィルタとを備えている。バンドパスフィルタは、前記構造化光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、前記第1の照明光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、前記第2の照明光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、前記第3の照明光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域とを透過帯域として持っている。撮像部は、前記構造化照明部から照射されて測定対象物により反射され、前記バンドパスフィルタを透過した構造化光を受光することにより測定対象物の画像を示すパターン画像データを生成するとともに、前記観察用照明部から照射されて測定対象物により反射され、前記バンドパスフィルタを透過した観察用の照明光を受光することにより測定対象物のテクスチャ画像データを生成する。前記撮像部により生成されたパターン画像データに基づいて、立体形状データ生成部が測定対象物の立体形状データを生成し、また、前記撮像部により生成されたテクスチャ画像データに基づいて、テクスチャデータ生成部が測定対象物の表面状態を示すテクスチャデータを生成する。前記立体形状データ生成部により生成された立体形状データと、前記テクスチャデータ生成部により生成されたテクスチャデータとを合成部が合成して合成データを生成し、生成された合成データを表示制御部が表示部に表示させることができる。
【0009】
この構成によれば、測定対象物から反射された構造化光は、バンドパスフィルタを透過して撮像部で受光されるので、外乱光の影響が抑制されたパターン画像データを生成することができ、立体形状データの測定精度の悪化が回避される。一方、観察用の照明光として、第1の照明光、第2の照明光及び第3の照明光の各々を異なるタイミングで測定対象物に照射すると、各照明光はバンドパスフィルタを透過して撮像部でそれぞれ受光される。第1の照明光、第2の照明光及び第3の照明光を、それぞれ例えばRGBに対応する照明光とすることで、例えばモノクロの高解像度カメラを撮像部として用いて立体形状データの測定精度を高めながら、当該撮像部を利用して測定対象物のテクスチャ画像データを生成できる。また、測定用の構造化光及び観察用の照明光をバンドパスフィルタに透過させることで、S/Nも向上し、より一層測定精度が向上する。
【0010】
また、別の態様に係る撮像部は、前記構造化光及び前記観察用の照明光を受光するためのモノクロカメラであってもよい。この場合、前記観察用照明部は、前記第1の照明光、前記第2の照明光及び前記第3の照明光を測定対象物に時分割で照射し、前記テクスチャデータ生成部は、前記観察用照明部から照射された前記第1の照明光、前記第2の照明光及び前記第3の照明光を時分割に前記撮像部で撮像することにより得られた複数のテクスチャ画像データに基づいて、カラーの二次元テクスチャ画像を生成することができる。
【0011】
この構成によれば、同一のモノクロカメラを用いてパターン画像データとテクスチャ画像データを生成できるので、パターン画像データとテクスチャ画像データとのマッピングが不要になり、その分、処理をシンプルにすることができる。
【0012】
また、他の態様に係るバンドパスフィルタは、前記照明光の透過帯域の幅よりも、前記構造化光の透過帯域の幅が広くなるように構成されていてもよい。すなわち、構造化照明部から照射される構造化光(測定光)の波長には、温度変化などでばらつきが生じる可能性がある。測定光用の構造化光の透過帯域を他の波長よりも広く設定することにより、バンドパスフィルタが構造化光を確実に透過させるので、測定精度の低下を招くことなく立体形状データの生成ができる。
【0013】
また、構造化光の波長を、分解能が高い投影パターンの照射が可能な青色帯域の波長としてもよい。これにより、測定精度をより向上させることができる。
【0014】
また、別の態様では、前記第1の照明光の波長帯域と、前記構造化光の波長帯域とが重複していてもよい。前記バンドパスフィルタは、前記第1の照明光の透過帯域の幅が、前記第2の照明光の波長帯域の幅及び前記第3の波長帯域の幅よりも広くなるように構成することができる。また、構造化光は、例えば赤外線や紫外線等の可視光以外の光であってもよく、この場合、照明光の波長帯域と、構造化光の波長帯域とが重複しない。
【0015】
また、バンドパスフィルタは、撮像部の光学系と受光素子との間に配置することができる。すなわち、仮に、光学系の前面(構造化光及び照明光が入射する面)にバンドパスフィルタを設置すると、特に広角な光学系を用いた場合に、角度特性によってシェーディングが悪化する可能性があるが、撮像部の光学系と受光素子との間にバンドパスフィルタを設置することで、そのようなシェーディングの悪化を回避できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、構造化光のピーク波長を含む透過帯域と、観察用の照明の第1~第3の照明光のピーク波長をそれぞれ含む透過帯域とを持つバンドパスフィルタを設けたので、外乱光による測定精度の悪化を抑制しつつ、カラーカメラ等の別カメラを用いることなく測定対象物のテクスチャ情報を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態1に係る立体形状データ生成装置の全体構成を示す図である。
図2】立体形状データ生成装置のブロック図である。
図3】撮像部を構成しているカメラモジュールの斜視図である。
図4】カメラモジュールの分解斜視図である。
図5】バンドパスフィルタの透過率を示すグラフである。
図6】立体形状データ生成装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態2に係る立体形状データ生成装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る立体形状データ生成装置1の全体構成を示す図である。立体形状データ生成装置1は、ワーク(測定対象物)Wの立体形状データを生成するシステムであり、例えば、ワークWの形状を測定することによって取得したワークWのメッシュデータをCADデータに変換して出力することが可能になっている。
【0020】
特に限定されるものではないが、立体形状データ生成装置1は、例えば既存製品のCADデータを取得して次機種展開や形状解析をCAD・CAE上で実施したり、製品デザインにおけるモデルやモックの形状を製品設計に反映したり、嵌合する相手部品の形状に基づいて嵌合元となる製品を設計したり、試作品の形状に基づいて改良設計を行う場合等に利用される。したがって、ワークWとしては、例えば既存製品、モデル、モック、試作品等を挙げることができる。
【0021】
また、立体形状データ生成装置1は、ワークWのメッシュデータをサーフェスデータに変換して出力することも可能である。ワークWのメッシュデータをサーフェスデータに変換して出力することで、ユーザのリバースエンジニアリング工程、リバースエンジニアリング作業を支援することができるので、立体形状データ生成装置1は、リバースエンジニアリング支援装置と呼ぶこともできる。
【0022】
以下の説明では、ワークWの形状を測定する際に、ワークW表面の座標情報を取得するにあたり、測定用の構造化光をワークWに対して照射して、ワークWの表面で反射された構造化光に基づいて座標情報を取得している。例えば、ワークWの表面で反射された構造化光から得られる縞投影画像を用いた三角測距による計測方法を適用することができる。ただ、本発明では、ワークWの座標情報を取得するための原理や構成は、これに限らず、他の方法も適用することができる。
【0023】
立体形状データ生成装置1は、測定部100と、台座部200と、コントローラ300と、表示部400と、操作部500とを備えている。図2に示すように、測定部100は、構造化照明部110と観察用照明部115と撮像部120とを備えるとともに、構造化照明部110、観察用照明部115及び撮像部120が取り付けられる筐体100Aを備えている。さらに、測定部100は、構造化照明部110、観察用照明部115及び撮像部120を制御する測定制御部130も備えている。測定制御部130は、筐体100Aに設けられていてもよいし、コントローラ300側に設けられていてもよい。
【0024】
筐体100Aは、コントローラ300とは別体とされて支持部600によって支持されている。支持部600は、ベース部601と、ベース部601に固定された伸縮部602と、伸縮部602の上部に設けられた角度調整部603とを備えた可搬性のものであり、ユーザによって設置位置を自由に設定できる。角度調整部603に測定部100が着脱可能に取り付けられている。伸縮部602を上下方向に伸縮させることで測定部100の高さ調整が可能である。また、角度調整部603は、例えば水平軸周りの回動、鉛直軸周りの回動、傾斜軸周りの回動等が調整可能に構成されている。これにより、測定部100の水平面に対する設置角、鉛直面に対する設置角を任意に調整することができる。
【0025】
支持部600は、上述した構成に限られるものではなく、例えば三脚、自由に屈曲させて屈曲させた形状を維持することが可能なフレキシブルアーム、ブラケット等、またはこれらを組み合わせて構成されていてもよい。また、測定部100は、例えば産業用ロボットの6自由度アームに取り付けて使用することもできる。さらに、測定部100は、ユーザが手で持って使用することもでき、この場合、支持部600は不要になる。つまり、支持部600は、立体形状データ生成装置1の一部に含まれる部材であってもよいし、立体形状データ生成装置1に含まれない部材であってもよい。
【0026】
ユーザが筐体100Aを持ってワークWを測定する場合には、測定部100をワークWの製造現場等に持ち込んで測定することができる。この場合、ユーザが測定部100を任意の位置に移動させて任意のタイミングで撮像することでワークWの形状を測定できる。これを手動測定と呼ぶことができる。
【0027】
また、測定部100を支持部600で支持するとともに、ワークWを、後述する自動回転式の台座部200に載置することで、ワークWを台座部200によって回転させながら、所定のタイミングで撮像することでワークWの広範囲の形状を測定できる。これを半自動測定と呼ぶことができる。尚、ワークWを台座部200に載置することなく、例えば定盤等に載置して測定することもできる。
【0028】
また、測定部100を産業用ロボットのアームに取り付けて移動させることで、ユーザの手を介することなく、ワークWの広範囲の形状を測定できる。これを全自動測定と呼ぶことができる。本発明は、手動測定、半自動測定及び全自動測定の全てに適用可能である。
【0029】
操作部500は、例えばキーボード501やマウス502等のポインティングデバイスを含むことができる。ポインティングデバイスとしては、例えばジョイスティック等を用いてもよい。また、操作部500は、ユーザによるタッチ操作を感知するタッチパネル等が含まれていてもよい。操作部500と、コントローラ300内の演算装置301とが接続されており、操作部500によってどのような操作がなされたかは、演算装置301で検出可能になっている。
【0030】
台座部200は、ベースプレート201と、ワークWが載置される載置面を形成するステージ202と、回転機構203とを備えている。台座部200は、ワークWをステージ202上でクランプするクランプ機構を含んでいてもよい。回転機構203は、ベースプレート201とステージ202との間に設けられており、ステージ202をベースプレート201に対して鉛直軸(図1に示すZ軸)周りに回転させる機構である。従って、ステージ202は回転ステージであり、ワークWを載置した状態で回転させることにより、撮像部120に対するワークWの相対的な位置関係を切り替えることが可能になる。Z軸を中心に回転する方向をθ方向と定義し、矢印θで示す。また、台座部200は、載置面に平行な軸を中心に回転可能な機構を有するチルトステージを含んでもよい。
【0031】
回転機構203は、後述する測定制御部130によって制御されるモータ等を有しており、ステージ202を所望の回転角度だけ回転させた後、停止状態で保持可能になっている。台座部200は、本発明に必須な構成要素ではなく、必要に応じて設けられるものである。また、台座部200は、コントローラ300によって制御されてもよい。
【0032】
図示しないが、台座部200は、ステージ202を、水平かつ互いに直交するX方向及びY方向に移動させる並進機構を備えていてもよい。並進機構も、測定制御部130やコントローラ300によって制御されるモータ等を有しており、ステージ202をX方向及びY方向に所望の移動量だけ移動させた後、停止状態で保持可能になっている。尚、本発明は、ステージ202が固定式のステージであっても適用可能である。
【0033】
図2に示すように、構造化照明部110は、測定用の構造化光をワークWに照射する部分である。測定部100は、複数の構造化照明部110を含んでいてもよく、例えば、第一の方向からワークWに対して第一構造化光を照射可能な第一構造化照明部と、第一の方向とは異なる第二の方向からワークWに対して第二構造化光を照射可能な第二構造化照明部がそれぞれ設けられていてもよい。
【0034】
なお、図示しないが、構造化照明部110を3以上備えたり、あるいは構造化照明部110と台座部200を相対移動させて、共通の構造化照明部110を用いつつも、構造化光の照射方向を異ならせてワークWに投光させることも可能である。また、構造化照明部110を複数用意し、共通の撮像部120で受光する構成とする以外に、共通の構造化照明部110に対して、複数の撮像部120を用意して受光するように構成してもよい。さらに構造化照明部110が投光する構造化光のZ方向に対する照射角度を固定としてもよいし、可変としてもよい。
【0035】
構造化照明部110は、測定光源111、パターン生成部112及び複数のレンズ113を含んでいる。測定光源111は、単色光を発光する光源、例えば白色光を出射するハロゲンランプ、青色光を出射する青色LED(発光ダイオード)、有機EL等の光源を用いることができる。本例では、青色光を出射する青色LEDで測定光源111が構成されているが、可視光以外の波長帯域の光を測定用の構造化光としてもよく、例えば赤外線や紫外線を発する発光素子で測定光源111が構成されていてもよい。測定光源111から出射された光は、集光された後、パターン生成部112に入射される。
【0036】
パターン生成部112は、構造化光をワークWに対して照射するよう、測定光源111から出射された光を反射させる。パターン生成部112に入射した測定光は、予め設定されたパターン及び予め設定された強度(明るさ)に変換されて出射される。パターン生成部112により出射された構造化光は、複数のレンズ113により撮像部120の観察・測定可能な視野よりも大きい径を有する光に変換された後、ワークWに照射される。
【0037】
パターン生成部112は、構造化光をワークWに照射する照射状態と、構造化光をワークWに照射しない非照射状態とに切り替え可能な部材である。このようなパターン生成部112には、例えばDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)等を利用できる。DMDを用いたパターン生成部112は、照射状態として構造化光を光路上に向けて反射させる反射状態と、非照射状態として構造化光を遮光させる遮光状態とを切り替え可能に、測定制御部130により制御できる。
【0038】
パターン生成部112は、多数のマイクロミラー(微小鏡面)を平面上(X方向及びY方向)に配列した素子である。各マイクロミラーは、測定制御部130により個別にON状態、OFF状態を切り替えることができるので、多数のマイクロミラーのON状態、OFF状態を組み合わせて、測定用の構造化光として所望の投影パターンを持った光を生成できる。これによって、三角測距に必要なパターンを生成して、ワークWの形状の測定が可能となる。このようにパターン生成部112は、測定時には測定用の周期的な投影パターンをワークWに照射する光学系の一部として機能する。またDMDは応答速度にも優れ、シャッターなどに比べ高速に動作させることができる利点も得られる。
【0039】
パターン生成部112を制御することで、明暗周期を有する複数種の構造化光を生成できる。具体的には、パターン生成部112は、例えばグレイコードパターン光やマルチスリットパターン光等を構造化光として生成できる。パターン生成部112を制御することで複数のグレイコードパターン光を生成することができるとともに、マルチスリットパターン光の位相を変えて互いに位相の異なる複数のマルチスリットパターン光を生成することができる。マルチスリットパターン光の位相を変えることを位相シフトという。
【0040】
構造化照明部110は、ワークWの形状を測定する際に、パターン生成部112を制御することで明暗周期が異なるグレイコードパターン光をワークWに複数回照射することができるとともに、マルチスリットパターン光を位相シフトさせつつワークWに複数回照射することができる。また、構造化照明部110は、例えばランダムドット等のパターンを生成してワークWに照射可能に構成されていてもよい。この場合、ランダムドット方式で形状測定を行うことができ、撮像回数は1回で済む。
【0041】
なお以上の例では、パターン生成部112にDMDを用いた例を説明したが、本発明はパターン生成部112をDMDに限定するものでなく、他の部材を用いることもできる。例えば、パターン生成部112として、LCOS(Liquid Crystal on Silicon:反射型液晶素子)を用いてもよい。あるいは反射型の部材に代えて透過型の部材を用いて、構造化光の透過量を調整してもよい。この場合は、パターン生成部112を光路上に配置して、光を透過させる照射状態と、光を遮光させる遮光状態とを切り替える。このようなパターン生成部112には、例えばLCD(液晶ディスプレイ)が利用できる。あるいは、複数ラインLEDを用いた投影方法、複数光路を用いた投影方法、レーザとガルバノミラー等で構成される光スキャナ方式、ビームスプリッタで分割したビームを重ね合わせることによって発生された干渉縞を用いるAFI(Accordion fringe interferometry)方式、ピエゾステージと高分解能エンコーダ等で構成される実体格子と移動機構を用いた投影方法等でパターン生成部112を構成してもよい。尚、パターン生成部112は、パターンを生成することなく、均一光を照射することもできる。
【0042】
観察用照明部115は、互いに波長が異なる赤色光、緑色光及び青色光を観察用の照明光としてワークWにそれぞれ照射する部分である。すなわち、観察用照明部115は、赤色光源116、緑色光源117及び青色光源118を備えている。赤色光源116、緑色光源117及び青色光源118は、例えばLED等で構成されており、測定制御部130により点灯、消灯、点灯時の明るさ等が個別に制御される。観察用照明部115の光源には、LEDの他、半導体レーザ(LD)やハロゲンライト、HIDなど、他の光源を適宜利用することもできる。本例では、構造化照明部110の測定光源111が青色光を出射する青色LEDで構成されているので、構造化光の波長帯域と、観察用照明部115の青色光源118から出射される青色光の波長帯域とが重複している。構造化光の波長帯域と、観察用の青色光の波長帯域とは、完全に重複していてもよいし、一部のみ重複していてもよいが、少なくとも構造化光のピーク波長が観察用の青色光の波長帯域と重複しているのがよい。尚、構造化照明部110の測定光源111が赤外線や紫外線を照射するものである場合には、構造化光の波長帯域と、観察用照明部115の各色の波長帯域とは重複しない関係となる。
【0043】
測定制御部130が観察用照明部115を制御することにより、赤色光源116のみ点灯させて緑色光源117及び青色光源118を消灯させ、赤色の照明光を生成することができ、また、緑色光源117のみ点灯させて赤色光源116及び青色光源118を消灯させ、緑色の照明光を生成することができ、また、青色光源118のみ点灯させて緑色光源117及び赤色光源116を消灯させ青色の照明光を生成することができる。このように、観察用照明部115は、赤色光、緑色光及び青色光をワークWに時分割で照射することが可能になっている。尚、赤色光源116、緑色光源117及び青色光源118の全てを点灯させることで、白色の照明光等を生成することもできる。
【0044】
また、観察用照明部115の構成は上述した構成に限られるものではなく、例えば、赤色光源116を有する照明部、緑色光源117を有する照明部及び青色光源118を有する照明部が別体とされた個別照明であってもよい。
【0045】
撮像部120は、受光素子121とバンドパスフィルタ122と複数のレンズ123とを含んでおり、図3に示すようにカメラモジュールCMで構成されている。レンズ123は、構造化光及び照明光が入射する光学系を構成する部材である。受光素子121は、レンズ123から出射した光を受光し、受光量に対応する電気信号を出力する部材である。受光素子121は、例えばCCD(電荷結合素子)や、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)等のイメージセンサで構成されている。受光素子121の各画素からは、受光量に対応するアナログの電気信号(以下、「受光信号」と呼ぶ。)が後述するA/D変換器に出力される。本実施形態では、受光素子121としてカラーカメラに比べて高解像度なモノクロカメラを採用している。
【0046】
図4にも示すように、カメラモジュールCMは、受光素子121が固定されるホルダ125を備えている。ホルダ125には、レンズ123が固定されるレンズ固定孔125aが形成されている。レンズ固定孔125aの奥に、受光素子121がその受光面をレンズ固定孔125a側に向けて配置されている。
【0047】
レンズ固定孔125aの奥側の周縁部には、バンドパスフィルタ122を所定位置に固定するための取付座125bが当該レンズ固定孔125aの径方向内方へ向けて突出するように設けられている。バンドパスフィルタ122は円板状をなしており、その奥側の面(受光素子121側の面)が取付座125bに当接するようになっている。バンドパスフィルタ122の手前側の面とレンズ123との間には円環状のリテーナ126が介在している。レンズ123をレンズ固定孔125aに固定すると、レンズ123によってリテーナ126がバンドパスフィルタ122に押圧され、リテーナ126によって押圧されたバンドパスフィルタ122は取付座125bに押圧されて所定位置に固定される。
【0048】
このようにして、バンドパスフィルタ122は、レンズ123の光出射面と受光素子121の受光面との間に配置される。バンドパスフィルタ122をレンズ123の前面(構造化光及び照明光が入射する面)に設置すると、特に広角なレンズ123を用いた場合に、角度特性によってシェーディングが悪化する可能性があるが、レンズ123と受光素子121との間にバンドパスフィルタ122を設置することで、そのようなシェーディングの悪化を回避できる。尚、シェーディングが問題とならない画角を持ったレンズ123を使用する場合には、バンドパスフィルタ122をレンズ123の前面に設置してもよい。
【0049】
また、バンドパスフィルタ122がレンズ123の光出射面に近づきすぎると面精度の影響を受けやすくなる。一方、バンドパスフィルタ122が受光素子121に近づきすぎるとゴミや傷の影響を受けやすくなる。両方の影響を最小化すべく、本例では、バンドパスフィルタ122が、レンズ123の光出射面と受光素子121の受光面との中央に配置されている。尚、バンドパスフィルタ122がレンズ123の光出射面寄りに配置されていてもよいし、受光素子121の受光面寄りに配置されていてもよい。
【0050】
構造化照明部110から照射されてワークWで反射された測定用の構造化光は、レンズ123に入射して集光、結像された後、バンドパスフィルタ122を透過してから受光素子121により順次受光されてワークWの画像を示す複数のパターン画像データが順次生成される。また、観察用照明部114から照射されてワークWにより反射された観察用の各照明光は、レンズ123に入射して集光、結像された後、バンドパスフィルタ122を透過してから受光素子121により受光されてワークWのテクスチャ画像データが生成される。
【0051】
撮像部120には、高倍のレンズ123を備えた高倍撮像部と、低倍のレンズ123を備えた低倍撮像部とが含まれていてもよい。また、レンズ123は倍率の変更が可能なズームレンズ等であってもよく、倍率の変更が可能な撮像部120であってもよい。撮像時の倍率と画像データとが対応付けられるようになっており、どの倍率で撮像された画像データであるかの識別が可能になっている。
【0052】
撮像部120には、図示しないA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)及びFIFO(First In First Out)メモリ、CPU等が実装されている。受光素子121から出力される受光信号は、A/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされると共にデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、FIFOメモリに順次蓄積される。FIFOメモリに蓄積されたデジタル信号は画素データとしてCPUへ順次出力されて、CPUでパターン画像データが生成される。
【0053】
受光素子121から出力される受光信号に基づいて、特定の位置において受光素子121の視野内に含まれるワークWの立体形状を表すパターン画像データを生成する。パターン画像データは、受光素子121で取得された画像そのものである。例えば位相シフト方式でワークWの形状を測定する場合、複数枚の画像がパターン画像データを構成することになる。
【0054】
構造化照明部110がマルチスリットパターン光を位相シフトさせつつワークWに照射すると、撮像部120は、マルチスリットパターン光がワークWに照射される都度、当該ワークWから反射されたマルチスリットパターン光を順次受光する。これにより、撮像部120は、マルチスリットパターン光が照射されたときのワークWの画像を示す複数のパターン画像データを順次生成する。
【0055】
また、構造化照明部110がグレイコードパターン光をワークWに照射すると、撮像部120は、グレイコードパターン光がワークWに照射される都度、当該ワークWから反射されたグレイコードパターン光を順次受光する。これにより、撮像部120は、グレイコードパターン光が照射されたときのワークWの画像を示す複数のパターン画像データを順次生成する。
【0056】
なお、パターン画像データは、三次元位置情報を有する点の集合である点群データであってもよく、この点群データにより、ワークWのパターン画像データを取得できる。点群データは、三次元座標を有する複数の点の集合体で表現されるデータである。生成されたパターン画像データはコントローラ300に転送される。
【0057】
バンドパスフィルタ122は、構造化光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、照明光である赤色光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、照明光である緑色光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域と、照明光である青色光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域とを透過帯域として持っている。青色光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域を青色波長帯域といい、赤色光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域を赤色波長帯域といい、緑色光のピーク波長を含む所定幅の波長帯域を緑色波長帯域という。本例では、構造化光が青色光であるため、赤色波長帯域と、緑色波長帯域と、青色波長帯域とがバンドパスフィルタ122の透過帯域となっている。構造化光が赤外線や紫外線の場合には、赤外線のピーク波長を含む所定幅の波長帯域、紫外線のピーク波長を含む所定幅の波長帯域を透過帯域としてバンドパスフィルタ122が持つことになる。
【0058】
図5に示すグラフは、横軸が光の波長(nm)、縦軸が透過率を示している。構造化光及び照明光の青色光の波長を「青色光」として示し、照明光の緑色光の波長を「緑色光」として示し、照明光の赤色光の波長を「赤色光」として示している。また、蛍光灯から照射される光の波長と、太陽光の波長についても同図に示している。また、バンドパスフィルタ122の透過特性については破線で示すとおりであり、青色波長帯域と、緑色波長帯域と、赤色波長帯域とが透過帯域となっており、各波長間には、相対的に光の透過率が低い領域を有している。すなわち、バンドパスフィルタ122は、青色波長帯域と、緑色波長帯域と、赤色波長帯域を選択的に透過するような構成となっている。
【0059】
透過率の一例を挙げると、青色波長帯域による青色光の透過率は、例えば90%以上に設定することができ、また、緑色波長帯域による緑色光の透過率は、例えば45%以上に設定することができ、また、赤色波長帯域による赤色光の透過率は、例えば80%以上に設定することができる。このように設定した場合、例えば蛍光灯から照射された光の透過率は50%以下となり、また、太陽光の透過率は40%以下となる。これにより、外乱光の影響が抑制される。
【0060】
青色波長帯域よりも短波長側の透過率はほぼ0となっている。また、青色波長帯域と緑色波長帯域の間の波長帯域の透過率もほぼ0、緑色波長帯域と赤色波長帯域の間の波長帯域の透過率もほぼ0、赤色波長帯域よりも長波長側の透過率もほぼ0となっている。尚、照明光の青色帯域は、本発明の第1の照明光の波長帯域であり、照明光の緑色帯域は、本発明の第2の照明光の波長帯域であり、照明光の赤色帯域は、本発明の第3の照明光の波長帯域である。
【0061】
バンドパスフィルタ122は、照明光の透過帯域の幅よりも、構造化光の透過帯域の幅が広くなるように構成されている。具体的には、青色光の透過帯域の幅が、緑色帯域及び赤色帯域の波長の透過帯域の幅よりも広くなっている。構造化光の透過帯域を広くしていることで、ワークWの材質等によってより大きな光量が必要な場合であってもバンドパスフィルタ122による光量の損失を最小限に留めて測定精度を高めることができる。また、構造化照明部110から照射される構造化光の波長には、温度変化などでばらつきが生じる可能性がある。測定光用の構造化光の透過帯域を他の波長よりも広く設定することにより、バンドパスフィルタ122が構造化光を確実に透過させるので、測定精度の低下を招くことなく立体形状データの生成ができる。
【0062】
バンドパスフィルタ122の製造時には、例えば無色透明なガラス板等の素材に多数の成膜を行う。これにより、上述したような複数の透過帯域を持つバンドパスフィルタ122が得られるが、多数の成膜を素材の一方の面にのみ行うと、その応力の影響で成膜後の面精度が悪化する場合がある。その影響を小さくするために、他方の面に応力緩和膜を形成している。応力緩和膜は光量のロスを防ぐ目的で一般的に成膜されるARコートと兼用させることもできる。応力緩和膜を形成することで、バンドパスフィルタ122の面精度の悪化が抑制され、ひいては測定精度を高めることができる。応力緩和膜は必要に応じて設ければよく、必須なものではない。
【0063】
コントローラ300は、演算装置301、作業用メモリ302、ROM(リードオンリメモリ)303、記憶部304、及び、表示部400を制御する表示制御部305等を含んでいる。コントローラ300には、PC(パーソナルコンピュータ)等が利用できるが、専用のコンピュータのみ、あるいは、PCと専用のコンピュータとの組み合わせで構成されていてもよい。
【0064】
コントローラ300のROM303には、例えばシステムプログラム等が記憶される。コントローラ300の作業用メモリ302は、例えばRAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。記憶部304は、例えばソリッドステートドライブや、ハードディスクドライブ等からなる。記憶部304には、立体形状データ生成プログラムが記憶される。また、記憶部304は、測定制御部130から与えられる画素データ(パターン画像データ、テクスチャ画像データ)、ワークWの測定条件等の種々のデータを保存するために用いられる。測定条件としては、例えば構造化照明部110の設定(パターン周波数、パターン種類)、撮像部120の倍率、測定視野(単一視野か広視野か)、測定位置、回転姿勢、露光条件(露光時間、ゲイン、照明の明るさ)、解像度設定(低解像度測定、標準測定、高解像度測定)等が含まれる。
【0065】
演算装置301は、与えられた信号やデータを処理して各種の演算を行い、演算結果を出力する制御回路や制御素子で構成されている。本明細書において演算装置301とは、演算を行う素子や回路を意味し、その名称によらず、汎用PC向けのCPUやMPU、GPU、TPU等のプロセッサに限定するものでなく、FPGA、ASIC、LSI等のプロセッサやマイコン、あるいはSoC等のチップセットを含む意味で使用する。
【0066】
演算装置301は、撮像部120が生成したパターン画像データに対し、作業用メモリ302を用いて各種処理を行う。演算装置301により、立体形状データ生成部301a、テクスチャデータ生成部301b及び合成部301c等が構成されている。立体形状データ生成部301a、テクスチャデータ生成部301b及び合成部301cは、演算装置301のハードウェアのみで構成されていてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成されていてもよい。例えば、演算装置301が立体形状データ生成プログラムを実行することで、立体形状データ生成部301a、テクスチャデータ生成部301b及び合成部301cの各機能の実現が可能になる。立体形状データ生成プログラムは、CD-ROMやDVD-ROMのような各種記憶媒体に記憶されていてもよいし、サーバ等に記憶されていてユーザによってダウンロード可能な形態で提供されてもよい。
【0067】
立体形状データ生成部301aは、撮像部120により生成された複数のパターン画像データに基づいてワークWの立体形状データを生成する部分である。例えば、立体形状データ生成部301aは、マルチスリットパターン光のパターン画像データに基づいてワークWの相対位相を算出するとともに、グレイコードパターン光のパターン画像データに基づいてワークWの絶対位相を算出する。その後、立体形状データ生成部301aは、ワークWの相対位相と絶対位相とに基づいて位相画像、点群データ、メッシュデータ等の生成、即ち3次元画像処理及び描画処理を実行する。
【0068】
テクスチャデータ生成部301bは、撮像部120により生成された複数のテクスチャ画像データに基づいてワークWの表面状態を示すテクスチャデータを生成する部分である。具体的には、観察用照明部115は、赤色光、緑色光及び青色光を時分割で切り替えてワークWに照射する。撮像部120は、赤色光がワークWに照射された時のワークWからの反射光を受光して赤色照射時のテクスチャ画像データを生成する。また、撮像部120は、緑色光がワークWに照射された時のワークWからの反射光を受光して緑色照射時のテクスチャ画像データを生成する。さらに、撮像部120は、青色光がワークWに照射された時のワークWからの反射光を受光して緑色照射時のテクスチャ画像データを生成する。このように撮像部120は、赤色光、緑色光、青色光がそれぞれ照射されたワークWを時分割に撮像することにより、少なくとも3つのテクスチャ画像データを生成する。テクスチャデータ生成部301bは、時分割で生成された複数のテクスチャ画像データに基づいて、カラーの二次元テクスチャ画像を生成する。
【0069】
合成部301cは、立体形状データ生成部301aにより生成された立体形状データと、テクスチャデータ生成部301bにより生成されたテクスチャデータとが合成された合成データを生成する。これにより、テクスチャの把握が可能な立体形状画像を取得できる。本例では、同一のモノクロカメラを用いてパターン画像データとテクスチャ画像データを生成できるので、パターン画像データとテクスチャ画像データとのマッピングが不要になり、その分、処理をシンプルにすることができる。
【0070】
図6は、立体形状データ生成装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。テクスチャ画像が必要な場合には、ユーザが操作部500を操作することで、本フローチャートに示す処理が実行される。例えば、図示しない測定開始ボタンをユーザが操作部500によって操作すると、ステップSA1が実行され、測定制御部130が構造化照明部110を制御して構造化光を照射する。ステップSA2では、測定制御部130が撮像部120を制御し、ワークWで反射した構造化光を撮像部120で受光する。このとき、バンドパスフィルタ122を透過した光のみが受光素子121で受光されるので、外乱光の影響が抑制されたパターン画像データが生成される。ステップSA1、SA2は、構造化光の種類等に応じて複数回繰り返される。
【0071】
その後、ステップSA3に進み、測定制御部130が観察用照明部115を制御して赤色光を照射する。ステップSA4では、測定制御部130が撮像部120を制御し、ワークWで反射した光を撮像部120で受光する。このとき、赤色光はバンドパスフィルタ122が持つ透過帯域の一つであるため、受光素子121で受光されて赤色光照射時のテクスチャ画像データが生成される。
【0072】
ステップSA5では、測定制御部130が観察用照明部115を制御して緑色光を照射する。ステップSA6では、測定制御部130が撮像部120を制御し、ワークWで反射した光を撮像部120で受光する。このとき、緑色光はバンドパスフィルタ122が持つ透過帯域の一つであるため、受光素子121で受光されて緑色光照射時のテクスチャ画像データが生成される。
【0073】
ステップSA7では、測定制御部130が観察用照明部115を制御して青色光を照射する。ステップSA8では、測定制御部130が撮像部120を制御し、ワークWで反射した光を撮像部120で受光する。このとき、青色光はバンドパスフィルタ122が持つ透過帯域の一つであるため、受光素子121で受光されて青色光照射時のテクスチャ画像データが生成される。尚、ステップSA3、SA4と、ステップSA5、SA6と、ステップSA7、SA8とは、順番を入れ換えてもよい。
【0074】
ステップSA9では、立体形状データ生成部301aにより生成された立体形状データと、テクスチャデータ生成部301bにより生成されたテクスチャデータとが合成された合成データを合成部301cが生成する。
【0075】
ステップSA10では、ステップSA9で生成した合成データを表示制御部305が表示部400に表示させる。これにより、ユーザは立体形状データとテクスチャデータが合成された合成データを画像で確認できる。
【0076】
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2に係る立体形状データ生成装置1の全体構成を示す図である。実施形態2に係る立体形状データ生成装置1は、測定部100と台座部200とが一体化されている点で実施形態1のものとは異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0077】
すなわち、台座部200の奥側には、測定部100を支持する支持部250が上方へ延びるように設けられている。この支持部250の上部には、測定部100が固定されている。測定部100には、光軸がステージ202に向かうように、構造化照明部110及び撮像部120が設けられている。
【0078】
実施形態2のような立体形状データ生成装置1であっても、実施形態1と同様に立体形状データを生成することができる。
【0079】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本開示に係る立体形状データ生成装置は、ワークの立体形状データを生成する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 立体形状データ生成装置
110 構造化照明部
115 観察用照明部
120 撮像部
122 バンドパスフィルタ
130 撮像制御部
301a 立体形状データ生成部
301b テクスチャデータ生成部
301c 合成部
305 表示制御部
400 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7