(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051809
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】基地局装置、中継装置、無線通信システム、無線通信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20240404BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240404BHJP
H04W 72/20 20230101ALI20240404BHJP
【FI】
H04W16/26
H04W16/28
H04W72/04 136
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158146
(22)【出願日】2022-09-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、総務省、「基地局端末間の協調による動的ネットワーク制御に関する研究開発」に係る委託業務、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】堅岡 良知
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 将弘
(72)【発明者】
【氏名】天野 良晃
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA11
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE08
5K067EE10
5K067JJ13
5K067KK02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基地局装置と中継装置との間のシグナリングを削減する基地局装置、無線通信方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】無線通信システム1において、中継装置20は、モバイルターミネーション部22とフォワーディング部24とを備え、基地局装置10とモバイルターミネーション部22とのリンクをコントロールリンクとし、基地局装置とフォワーディング部24とのリンクをバックホールリンクとし、フォワーディング部24と端末装置30とのリンクをアクセスリンクとする。基地局装置は、コントロールリンクでモバイルターミネーション部に、フォワーディング部のバックホールリンクのためのTCIと、フォワーディング部のアクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を送信し、コントロールリンクでモバイルターミネーション部に、1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継装置を介して移動可能な端末装置と無線通信を行う基地局装置であって、
前記中継装置が、
前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、
前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部と、
を備えるとし、
前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとすると、
前記基地局装置は、
前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を送信し、
前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を送信する、
基地局装置。
【請求項2】
前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIは、空間関係情報を含み、
前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報は、ビームの方向を含む、
請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を送信するとき、更なる制御情報として、前記中継装置のゲインを制御する情報、または、前記中継装置の中継方向の切り換えを制御する情報を送信する、
請求項1に記載の基地局装置。
【請求項4】
基地局装置と移動可能な端末装置との無線通信を中継する中継装置であって、
前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、
前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部と、
を備え、
前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとすると、
前記モバイルターミネーション部は、
前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を受信し、受信した前記1以上の送信設定指示情報を設定し、
前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を受信し、受信した指示情報によって指示された送信設定指示情報における前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とを適用する、
中継装置。
【請求項5】
前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIは、空間関係情報を含み、
前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報は、ビームの方向を含む、
請求項4に記載の中継装置。
【請求項6】
前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を受信するとき、更なる制御情報として、前記中継装置のゲインを制御する情報、または、前記中継装置の中継方向の切り換えを制御する情報を受信し、受信した中継装置のゲインを制御する情報、または、前記中継装置の中継方向の切り換えを制御する情報を適用する、
請求項4に記載の中継装置。
【請求項7】
移動可能な端末装置と、
前記端末装置と無線通信を行う請求項1に記載の基地局装置と、
前記基地局装置と前記端末装置との無線通信を中継する請求項4に記載の中継装置と、
を備える、無線通信システム。
【請求項8】
中継装置を介して移動可能な端末装置と無線通信を行う基地局装置の無線通信方法であって、
前記中継装置が、
前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、
前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部と、
を備えるとし、
前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとすると、
前記無線通信方法は、
前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を送信し、
前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を送信する、
無線通信方法。
【請求項9】
基地局装置と移動可能な端末装置との無線通信を中継する中継装置の無線通信方法であって、
前記中継装置が、
前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、
前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部と、
を備えるとし、
前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとすると、
前記無線通信方法は、
前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を受信し、受信した前記1以上の送信設定指示情報を設定し、
前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を受信し、受信した指示情報によって指示された送信設定指示情報における前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とを適用する、
無線通信方法。
【請求項10】
中継装置を介して移動可能な端末装置と無線通信を行う基地局装置のプログラムであって、
前記中継装置が、
前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、
前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部と、
を備えるとし、
前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとすると、
前記プログラムは、
コンピュータに、
前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を送信する機能と、
前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を送信する機能と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
基地局装置と移動可能な端末装置との無線通信を中継する中継装置のプログラムであって、
前記中継装置が、
前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、
前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部と、
を備えるとし、
前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとすると、
前記プログラムは、
コンピュータに、
前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を受信し、受信した前記1以上の送信設定指示情報を設定する機能と、
前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を受信し、受信した指示情報によって指示された送信設定指示情報における前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とを適用する機能と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、中継装置、無線通信システム、無線通信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基地局装置と移動可能な端末装置との無線通信において、NR(New Radio:5Gともいう)等の通信規格が知られている。NRでは、通信開始前に、TCI(Transmission Configuration Indication:送信設定指示)を用いてTCI-state、例えば空間関係情報(ビームの方向の設定情報:ビームの情報)をコンフィグ(設定)することが知られている。
【0003】
ところで、NRでは、通信可能なエリアを拡大するために、中継装置(Network-controlled Repeater:NCR)を用いることが現在検討されている(例えば、非特許文献1を参照)。中継装置は、基地局装置によって種々の制御が可能であり、端末装置の位置に応じて、基地局装置が中継装置の空間関係情報(ビームの方向の設定情報:ビームの情報)を制御することが検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“Study on NR Network-controlled Repeaters”, RP-213700, 3GPP, Dec. 6-17, 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の検討に関し、本願発明者らは、上述したNRのためのTCIの標準化技術を用いて、現在標準化が検討されている上述した中継装置(NCR)を用いた無線通信システムについて検討を進めている。
【0006】
しかし、本願発明者らの検討によれば、基地局装置と端末装置との間で空間関係情報(ビームの方向の設定情報:ビームの情報)をやり取りするためのTCIを、そのまま基地局装置と中継装置との間で適用すると、基地局装置と中継装置との間のシグナリングが増大することが予想される。そのため、シグナリングによる無線リソース消費が増大することが予想される。
【0007】
本発明は、中継装置を用いた無線通信システムにおいて、基地局装置と中継装置との間のシグナリングを削減する基地局装置、中継装置、無線通信システム、無線通信方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る基地局装置は、中継装置を介して移動可能な端末装置と無線通信を行う基地局装置である。ここで、前記中継装置が、前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部とを備えるとし、前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとする。すると、前記基地局装置は、前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を送信し、前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を送信する。
【0009】
本発明に係る中継装置は、基地局装置と移動可能な端末装置との無線通信を中継する中継装置であって、前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部とを備える。ここで、前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとする。すると、前記モバイルターミネーション部は、前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を受信し、受信した前記1以上の送信設定指示情報を設定し、前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を受信し、受信した指示情報によって指示された送信設定指示情報における前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とを適用する。
【0010】
本発明に係る無線通信システムは、移動可能な端末装置と、前記端末装置と無線通信を行う上記の基地局装置と、前記基地局装置と前記端末装置との無線通信を中継する上記の中継装置とを備える。
【0011】
本発明に係る無線通信方法は、中継装置を介して移動可能な端末装置と無線通信を行う基地局装置の無線通信方法である。ここで、前記中継装置が、前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部とを備えるとし、前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとする。すると、前記無線通信方法は、前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を送信し、前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を送信する。
【0012】
本発明に係る別の無線通信方法は、基地局装置と移動可能な端末装置との無線通信を中継する中継装置の無線通信方法である。ここで、前記中継装置が、前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部とを備えるとし、前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとする。すると、前記無線通信方法は、前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を受信し、受信した前記1以上の送信設定指示情報を設定し、前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を受信し、受信した指示情報によって指示された送信設定指示情報における前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とを適用する。
【0013】
本発明に係るプログラムは、中継装置を介して移動可能な端末装置と無線通信を行う基地局装置のプログラムである。ここで、前記中継装置が、前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部とを備えるとし、前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとする。すると、前記プログラムは、コンピュータに、前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を送信する機能と、前記コントロールリンクにおいて前記モバイルターミネーション部に、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を送信する機能とを実行させる。
【0014】
本発明に係る別のプログラムは、基地局装置と移動可能な端末装置との無線通信を中継する中継装置のプログラムである。ここで、前記中継装置が、前記基地局装置から制御情報を受信するモバイルターミネーション部と、前記基地局装置と前記端末装置との間の信号を中継するフォワーディング部とを備えるとし、前記基地局装置と前記モバイルターミネーション部とのリンクをコントロールリンクとし、前記基地局装置と前記フォワーディング部とのリンクをバックホールリンクとし、前記フォワーディング部と前記端末装置とのリンクをアクセスリンクとする。前記プログラムは、コンピュータに、前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと、前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上の送信設定指示情報を受信し、受信した前記1以上の送信設定指示情報を設定する機能と、前記コントロールリンクにおいて前記基地局装置から、前記1以上の送信設定指示情報のうちの1つを指示する指示情報を受信し、受信した指示情報によって指示された送信設定指示情報における前記フォワーディング部の前記バックホールリンクのためのTCIと前記フォワーディング部の前記アクセスリンクのためのビームの情報とを適用する機能とを実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、中継装置を用いた無線通信システムにおいて、基地局装置と中継装置との間のシグナリングを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る基地局装置および中継装置を備える無線通信システムの構成を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る基地局装置および中継装置を備える無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るNRのためのTCI+-infoを示す図である。
【
図4】本実施形態に係る無線通信システムの一例の状態遷移図である。
【
図5】本実施形態の変形例に係る無線通信システムの一例の状態遷移図である。
【
図6】本実施形態の変形例に係るNRのためのTCI+-infoを示す図である。
【
図7】3GPPによって標準化されているNRのためのTCI-infoを示す図である。
【
図8】3GPPによって標準化の検討が行われている、中継装置(NCR)を用いた無線通信システムの構成を示す概略図である。
【
図9】中継装置(NCR)を用いた無線通信システムであって、本願発明者らの検討過程における比較例の無線通信システムの状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0018】
(背景1)
まず、3GPP(Third Generation Partnership Project)によって標準化されているNR(New Radio:5Gともいう)のためのTCI(Transmission Configuration Indication:送信設定指示)について説明する。このTCIは、基地局装置と移動可能な端末装置との無線通信を行う無線通信システム、すなわち中継装置を用いない無線通信システム、のために標準化された送信設定指示である。
【0019】
図7は、3GPPによって標準化されているNRのためのTCI-infoを示す図である。
図7に示すように、NRのためのTCI-infoは、複数(最大8個)のTCI-state(送信設定指示状態)を含む。具体的には、TCI-stateの各々は、以下の情報を含む。
Serving cell ID
Bandwidth part ID
SSB ID or CSI-RS Resource ID
QCL-type
【0020】
このように、TCI-stateは、信号/チャネル間のQCL(Quasi-Co-location、疑似コロケーション)に関する情報を含む。TCI-stateは、空間受信パラメータ、空間関係情報(Spatial relation information)などとも呼ばれており、基地局装置と端末装置とのリンクのためのビームの情報(例えば、ビームの方向)を含む。NRでは、ミリ波帯のビームを用いるため、基地局装置は、基地局装置と端末装置とのリンクのためのビームの方向を制御する。
【0021】
NRでは、通信開始前に、基地局装置は、上述したTCI-infoを端末装置に送信する。これにより、端末装置では、上述した複数(最大8個)のTCI-stateが纏めてコンフィグ(設定)される。次に、基地局装置は、複数のTCI-stateの中から選択された1つのTCI-stateを指示する指示情報(例えば、インデックス#0~#7)を、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)に含ませて、端末装置に送信する。これにより、端末装置では、指示されたTCI-stateに基づいて、基地局装置と端末装置とのリンクのためのビームの情報(例えば、ビームの方向)がコンフィグ(設定)される。このようにして、端末装置では、実際のチャネル毎、信号毎に、どのようにその信号/チャネルを受信すべきかについてコンフィグ(設定)される。
【0022】
通信時、基地局装置は、指示したTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)に基づいて、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を端末装置に送信する。端末装置は、コンフィグ(設定)されたTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、基地局装置から送信されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の受信処理、すなわち信号/チャネルの受信処理を行う。
【0023】
(背景2)
次に、3GPPのRP-213700において現在標準化の検討が行われている、中継装置(Network-controlled Repeater:NCR)を用いた無線通信システムについて説明する。
【0024】
図8は、3GPPによって標準化の検討が行われている、中継装置(NCR)を用いた無線通信システムの構成を示す概略図である。
図8に示すように、基地局装置gNB(next Generation NodeB)と端末装置UE(User Equipment)との無線通信を、中継装置NCRによって中継することが検討されている。これにより、基地局装置gNBと端末装置UEとの通信可能なエリアを拡大することができる。
【0025】
中継装置NCRは、NCR-MT(Mobile termination)とNCR-Fwd(Forwarding)とを備えることが検討されている。また、基地局装置gNBと中継装置NCRのNCR-MTとの間で、コントロールリンク(Control link)を形成し、制御情報を送受信することが検討されている。また、基地局装置gNBと中継装置NCRのNCR-Fwdとの間でバックホールリンク(Backhaul link)を形成し、中継装置NCRのNCR-Fwdと端末装置UEとの間でアクセスリンク(Access link)を形成し、基地局装置gNBと端末装置UEとの間の信号を、中継装置NCRによって中継することが検討されている。
【0026】
(背景3)
本願発明者らは、上述したNRのためのTCIの標準化技術を用いて、現在標準化が検討されている上述した中継装置NCRを用いた無線通信システムについて検討を進めている。
図9は、中継装置(NCR)を用いた無線通信システムであって、本願発明者らの検討過程における比較例の無線通信システムの状態遷移図である。
【0027】
図9に示すように、通信開始前に、基地局装置gNBは、上述したTCI-infoを、コントロールリンクにおいて中継装置NCRのNCR-MTに送信する。これにより、中継装置NCRでは、複数(最大8個)のTCI-stateが纏めてコンフィグ(設定)される。
【0028】
次に、基地局装置gNBは、中継装置NCRのNCR-MTのコントロールリンクのためのTCIを、PDCCH1(Physical Downlink Control Channel)に含ませて送信することが考えられる。すなわち、基地局装置gNBは、複数のTCI-stateの中から選択された1つのTCI-stateを指示する指示情報(例えば、インデックス#0~#7)を、PDCCH1に含ませて、コントロールリンクにおいて中継装置NCRのNCR-MTに送信する。これにより、中継装置NCRでは、指示されたTCI-stateに基づいて、NCR-MTのコントロールリンクのためのビームの情報(例えば、ビームの方向)がコンフィグ(設定)される。
【0029】
次に、基地局装置gNBは、中継装置NCRのNCR-Fwdのアクセスリンクのためのビームの情報(例えばビームの方向)を、PDSCH1(Physical Downlink Shared Channel)に含ませて送信することが考えられる。すなわち、基地局装置gNBは、中継装置NCRのNCR-Fwdのアクセスリンクのためのビームの情報(例えばビームの方向)を、PDSCH1に含ませて、コントロールリンクにおいて中継装置NCRのNCR-MTに送信する。例えば、MAC Header等にビームの情報(例えばビームの方向)を含ませることが考えられる。これにより、中継装置NCRでは、NCR-Fwdのアクセスリンクのためのビームの情報(例えばビームの方向)がコンフィグ(設定)される。このようにして、中継装置NCRのNCR-Fwdでは、実際のチャネル毎、信号毎に、どのようにその信号/チャネルを送信すべきかについてコンフィグ(設定)される。
【0030】
次に、基地局装置gNBは、中継装置NCRのNCR-FwdのバックホールリンクのためのTCIを、PDCCH2に含ませて送信することが考えられる。すなわち、基地局装置gNBは、複数のTCI-stateの中から選択された1つのTCI-stateを指示する指示情報(例えば、インデックス#0~#7)を、PDCCH2に含ませて、コントロールリンクにおいて中継装置NCRのNCR-MTに送信する。これにより、中継装置NCRでは、指示されたTCI-stateに基づいて、NCR-Fwdのバックホールリンクのためのビームの情報(例えばビームの方向)がコンフィグ(設定)される。このようにして、中継装置NCRのNCR-Fwdでは、実際のチャネル毎、信号毎に、どのようにその信号/チャネルを受信すべきかについてコンフィグ(設定)される。
【0031】
通信時、基地局装置gNBは、指示したTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)に基づいて、端末装置UEのための制御情報を含むPDCCH3を、バックホールリンクにおいて中継装置NCRのNCR-Fwdに送信する。すると、中継装置NCRのNCR-Fwdは、コンフィグ(設定)されたTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、基地局装置gNBから送信されるPDCCH3をバックホールリンクにおいて受信する。そして、中継装置NCRのNCR-Fwdは、コンフィグ(設定)されたビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、受信したPDCCH3を、アクセスリンクにおいて端末装置UEに送信する。このように、中継装置NCRのNCR-Fwdは、制御情報を含むPDCCH3を中継する。
【0032】
次に、基地局装置gNBは、指示したTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)に基づいて、端末装置UEのための信号(データ)を含むPDSCH3を、バックホールリンクにおいて中継装置NCRのNCR-Fwdに送信する。すると、中継装置NCRのNCR-Fwdは、コンフィグ(設定)されたTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、基地局装置gNBから送信されるPDSCH3をバックホールリンクにおいて受信する。そして、中継装置NCRのNCR-Fwdは、コンフィグ(設定)されたビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、受信したPDSCH3を、アクセスリンクにおいて端末装置UEに送信する。このように、中継装置NCRのNCR-Fwdは、信号(データ)を含むPDSCH3を中継する。
【0033】
端末装置UEは、コンフィグ(設定)されたたTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、中継装置NCRから送信されるPDSCH3の受信処理、すなわち信号/チャネルの受信処理を行う。
【0034】
なお、端末装置UEのTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)のコンフィグ(設定)方法は特に限定されない。例えば、基地局装置gNBは、上述した複数(最大8個)のTCI-stateを含むTCI-infoを、端末装置UEに予め直接コンフィグ(設定)しておき、複数のTCI-stateの中から選択された1つのTCI-stateを指示する指示情報(例えば、インデックス)を、PDCCH3に含ませてもよい。或いは、基地局装置gNBは、上述した複数(最大8個)のTCI-stateを含むTCI-infoを、PDCCH3に含ませて端末装置UEにコンフィグ(設定)しつつ、複数のTCI-stateの中から選択された1つのTCI-stateを指示する指示情報(例えば、インデックス)を、PDCCH3に含ませてもよい。
【0035】
ここで、中継装置NCRが中継する端末装置UEが1つであり、かつ、中継装置NCRと端末装置UEとの間の空間関係情報に変化が無ければ、PDCCH1およびPDSCH1の送信は1回で済む。また、基地局装置gNBと中継装置NCRとの間の空間関係情報に変化が無ければPDCCH2の送信も1回で済む。
【0036】
しかし、中継装置NCRが中継する端末装置UEが複数台ある場合には、PDCCH3およびPDSCH3の宛先端末装置毎にPDCCH1およびPDSCH1を送信する必要がある。また、中継装置NCRが移動する場合には、基地局装置gNBと中継装置NCRとの間の空間関係情報が変化するため、PDCCH2も定期的に送信する必要がある。そのため、基地局装置gNBと中継装置NCRのNCR-MTとの間のシグナリングが増大し、基地局装置gNBと中継装置NCRのNCT-MTとのコントロールリンクの無線リソースの消費が増大することが予想される。
【0037】
そこで、本実施形態では、中継装置NCRを用いた無線通信システムにおいて、基地局装置gNBと中継装置NCRとの間のシグナリングを削減(低減)し、このシグナリングによる無線リソースの消費を抑制することを図る。
【0038】
(本実施形態)
図1は、本実施形態に係る基地局装置および中継装置を備える無線通信システムの構成を示す概略図であり、
図2は、本実施形態に係る基地局装置および中継装置を備える無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図1および
図2に示すように、本実施形態の無線通信システム1は、基地局装置10(上述したgNBに相当)と、中継装置20(上述したNCRに相当)と、端末装置30(上述したUEに相当)とを備える。中継装置20は、モバイルターミネーション部22(上述したNCR-MTに相当)と、フォワーディング部24(上述したNCR-Fwdに相当)とを備える。
【0039】
基地局装置10と中継装置20のモバイルターミネーション部22との間にはコントロールリンク(Control link)が形成される。基地局装置10と中継装置20のフォワーディング部24との間にはバックホールリンク(Backhaul link)が形成され、中継装置20のフォワーディング部24と端末装置30との間にはアクセスリンク(Access link)が形成される。
【0040】
基地局装置10は、通信開始前に、中継装置20および端末装置30のTCIおよびビームの情報(例えば、ビームの方向)をコンフィグ(設定)する。基地局装置10は、通信時、中継装置20を介して端末装置30と無線通信を行い、信号(データ)の送受信を行う。
【0041】
具体的には、基地局装置10は、通信開始前に、新たに考案するTCI+-infoを、コントロールリンクにおいて中継装置20のモバイルターミネーション部22に送信する。
【0042】
図3は、本実施形態に係るNRのためのTCI+-infoを示す図である。
図3に示すように、本実施形態では、NRのための新たなTCI+(送信設定指示)を考案する。このTCI+-infoは、1または複数(最大8×m個:mはビームの情報の種類数)のTCI+-state(送信設定指示状態)を含む。TCI+-stateの各々は、中継装置20のフォワーディング部24のバックホールリンクのためのTCIと、中継装置20のフォワーディング部24のアクセスリンクのためのビームの情報(例えば、ビームの方向)(例えば、ビームID)とが関連付けされた送信設定指示情報である。具体的には、TCI+-stateの各々は、上述したTCI-stateと、フォワーディング部24のアクセスリンクのためのビームの情報(例えば、ビームの方向)(例えば、ビームID)とを含む。
【0043】
基地局装置10は、通信開始前に、コントロールリンクにおいて中継装置20のモバイルターミネーション部22に、1または複数のTCI+-stateのうちの1つを指示する指示情報(例えば、インデックス#0~#(8×m))を送信する。
【0044】
基地局装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサを備える。基地局装置10の各種機能は、例えば記憶部に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。所定のソフトウェア(プログラム)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)に記録されて提供されてもよい。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。
【0045】
基地局装置10の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0046】
また、基地局装置10は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のメモリを備える。メモリは、上述した基地局装置10の各種機能を実行するための所定のソフトウェア(プログラム)を格納する。
【0047】
中継装置20は、基地局装置10と端末装置30との無線通信を中継する。すなわち、中継装置20は、基地局装置10が送受信するビームと、端末装置30が送受信するビールとを中継する。上述したように、中継装置20は、モバイルターミネーション部22とフォワーディング部24を備える。
【0048】
モバイルターミネーション部22は、コントロールリンクにおいて基地局装置10から制御情報を受信する。具体的には、モバイルターミネーション部22は、通信開始前に、コントロールリンクにおいて基地局装置10からTCI+-infoを受信し、受信したTCI+-infoをコンフィグ(設定)する。すなわち、モバイルターミネーション部22は、コントロールリンクにおいて基地局装置10から、フォワーディング部24のバックホールリンクのためのTCI+-stateと、フォワーディング部24のアクセスリンクのためのビームの情報(例えば、ビームの方向)(例えば、ビームID)とが関連付けされた1または複数のTCI+-stateを受信し、受信した1または複数のTCI+-stateをコンフィグ(設定)する。
【0049】
フォワーディング部24は、バックホールリンクおよびアクセスリンクにおいて基地局装置10と端末装置30との間の信号(データ)を中継する。具体的には、フォワーディング部24は、コントロールリンクにおいて基地局装置10から、1または複数のTCI+-stateのうちの1つを指示する指示情報(例えば、インデックス#0~#(8×m))を受信し、受信した指示情報によって指示されたTCI+-stateにおけるフォワーディング部24のバックホールリンクのためのTCI-stateとフォワーディング部24のアクセスリンクのためのビームの情報(例えば、ビームの方向)とを適用する。
【0050】
中継装置20、すなわちモバイルターミネーション部22およびフォワーディング部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサを備える。中継装置20、すなわちモバイルターミネーション部22およびフォワーディング部24の各種機能は、例えば記憶部に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。所定のソフトウェア(プログラム)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)に記録されて提供されてもよい。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。
【0051】
中継装置20、すなわちモバイルターミネーション部22およびフォワーディング部24の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0052】
また、中継装置20は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のメモリを備える。メモリは、上述した基地局装置10の各種機能を実行するための所定のソフトウェア(プログラム)を格納する。
【0053】
端末装置30は、中継装置20を介して基地局装置10と無線通信を行い、信号(データ)の送受信を行う。端末装置30は、スマートフォン、タブレット、PC等の移動可能な端末装置である。
【0054】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る無線通信システムの動作(すなわち、無線通信方法)の一例について説明する。なお、以下では、TCI+-infoが、複数(最大8×m個)のTCI+-state(送信設定指示状態)を含む場合について説明することとする。
図4は、本実施形態に係る無線通信システムの一例の状態遷移図である。
【0055】
図4に示すように、通信開始前に、基地局装置10は、上述したTCI+-infoを、コントロールリンクにおいて中継装置20のモバイルターミネーション部22に送信する。これにより、中継装置20では、複数(最大8×m個)のTCI+-stateが纏めてコンフィグ(設定)される。すなわち、中継装置20のフォワーディング部24のバックホールリンクのTCIと、中継装置20のフォワーディング部24のアクセスリンクのビームの情報(例えば、ビームの方向)とが纏めてコンフィグ(設定)される。
【0056】
次に、基地局装置10は、中継装置20のフォワーディング部24のバックホールリンクのためのTCIと、中継装置20のフォワーディング部24のアクセスリンクのためのビームの情報(例えばビームの方向)とを纏めて、PDCCH1(Physical Downlink Control Channel)に含ませて送信する。すなわち、基地局装置10は、複数のTCI+-stateの中から選択された1つのTCI+-stateを指示する指示情報(例えば、インデックス#0~#(8×m))を、PDCCH1に含ませて、コントロールリンクにおいて中継装置20のモバイルターミネーション部22に送信する。これにより、中継装置20では、指示されたTCI-stateに基づいて、フォワーディング部24のバックホールリンクのためのビームの情報(例えばビームの方向)がコンフィグ(設定)され、かつ、フォワーディング部24のアクセスリンクのためのビームの情報(例えばビームの方向)がコンフィグ(設定)される。このようにして、中継装置20のフォワーディング部24では、実際のチャネル毎、信号毎に、どのようにその信号/チャネルを受信・送信すべきかについてコンフィグ(設定)される。
【0057】
通信時、基地局装置10は、指示したTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)に基づいて、端末装置30のための制御情報を含むPDCCH3を、バックホールリンクにおいて中継装置20のフォワーディング部24に送信する。すると、中継装置20のフォワーディング部24は、コンフィグ(設定)されたTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、基地局装置10から送信されるPDCCH3をバックホールリンクにおいて受信する。そして、中継装置20のフォワーディング部24は、コンフィグ(設定)されたビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、受信したPDCCH3を、アクセスリンクにおいて端末装置30に送信する。このように、中継装置20のフォワーディング部24は、制御情報を含むPDCCH3を中継する。
【0058】
次に、基地局装置10は、指示したTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)に基づいて、端末装置30のための信号(データ)を含むPDSCH3を、バックホールリンクにおいて中継装置20のフォワーディング部24に送信する。すると、中継装置20のフォワーディング部24は、コンフィグ(設定)されたTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、基地局装置10から送信されるPDSCH3をバックホールリンクにおいて受信する。そして、中継装置20のフォワーディング部24は、コンフィグ(設定)されたビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、受信したPDSCH3を、アクセスリンクにおいて端末装置30に送信する。このように、中継装置20のフォワーディング部24は、信号(データ)を含むPDSCH3を中継する。
【0059】
端末装置UEは、コンフィグ(設定)されたたTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)によって、中継装置NCRから送信されるPDSCH3の受信処理、すなわち信号/チャネルの受信処理を行う。
【0060】
なお、端末装置UEのTCI-state、すなわちビームの情報(例えば、ビームの方向)のコンフィグ(設定)方法は特に限定されない。例えば、基地局装置gNBは、上述した複数(最大8個)のTCI-stateを含むTCI-infoを、端末装置UEに予め直接コンフィグ(設定)しておき、複数のTCI-stateの中から選択された1つのTCI-stateを指示する指示情報(例えば、インデックス)を、PDCCH3に含ませてもよい。或いは、基地局装置gNBは、上述した複数(最大8個)のTCI-stateを含むTCI-infoを、PDCCH3に含ませて端末装置UEにコンフィグ(設定)しつつ、複数のTCI-stateの中から選択された1つのTCI-stateを指示する指示情報(例えば、インデックス)を、PDCCH3に含ませてもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の基地局装置10、中継装置20、無線通信システム1、無線通信方法およびプログラムによれば、
図3に示すように、中継装置20のフォワーディング部24のバックホールリンクのためのTCI-stateと、中継装置20のフォワーディング部24のアクセスリンクのためのビームの情報とが関連付けされた1以上のTCI+-state(送信設定指示情報)を含む新たなTCI+-infoを考案する。これにより、1以上のTCI+-state(送信設定指示情報)のうちの1つを1度だけ指示すると、中継装置20のフォワーディング部24のバックホールリンクのためのTCI-stateと、中継装置20のフォワーディング部24のアクセスリンクのためのビームの情報とを1度にコンフィグ(設定)することができる。これにより、
図9に示すPDSCH1およびPDCCH2のシグナリングを削減することができ、基地局装置10と中継装置20との間のシグナリングを削減(低減)することができる。その結果、シグナリングによる無線リソース消費を抑制することができる。
【0062】
なお、本実施形態により、基地局装置と中継装置との間のシグナリングを削減(低減)することができ、シグナリングによる無線リソース消費を抑制することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、
図4に示すように、基地局装置10と端末装置30との下りリンク(PDCCH3→PDSCH3)の場合の一例について説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、
図5に示すように、基地局装置10と端末装置30との上りリンク(PDCCH3→PUSCH3)の場合にも適用可能である。
【0064】
(変形例1)
また、上述した実施形態では、NRのためのTCI+-infoが複数(最大8×m個)のTCI+-state(送信設定指示状態)を含む形態について例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、TCI+-state(送信設定指示情報)の数を削減してもよい。例えば、中継装置が固定である場合、基地局装置と中継装置との間の空間関係情報の変化が起こる頻度が少ないため、TCI+-infoにおけるTCI+-stateの数を削減してもよい。
【0065】
図6は、変形例1に係るNRのためのTCI+-infoを示す図である。
図6に示すように、TCI+-infoに含まれるTCI+-stateの数は、「TCI-stateの数×フォワーディング部のアクセスリンクのビームの数」であるが、例えば中継装置が固定である場合、TCI-stateの数を削減してもよい。
【0066】
これにより、中継装置が事前にコンフィグ(設定)するTCI+-infoの情報量を削減することができ、また、コンフィグ(設定)したTCI+-infoの中から、選択するTCI+-stateを指示するPDCCH上のビット数も削減することが可能である。
【0067】
(変形例2)
また、上述した実施形態では、基地局装置が中継装置に送信する制御情報として、TCI-stateとフォワーディング部のアクセスリンクのビームの情報とを指示する情報を例示した。しかし、本発明はこれにて限定されず、基地局装置が中継装置に送信する制御情報は、他の制御情報を含んでいてもよい。
【0068】
例えは、基地局装置が中継装置に送信する制御情報は、中継装置の増幅率を制御する情報を含んでいてもよい。例えば、基地局装置は、TCI+-infoの中から選択するTCI-stateと、フォワーディング部のアクセスリンクのビームの情報に加えて、中継装置のゲインの情報を、PDCCH1に含ませて送信してもよい。これにより、例えば中継装置が移動する場合に、中継装置の移動に応じて、中継装置の増幅率のコントロールを基地局装置から行うことができる。
【0069】
また、例えば、中継装置のゲインを制御する情報を、基地局装置から送信する場合、
図9同様に、その情報をPDSCH1に含ませて送信することが考えられる。この点に関し、変形例2によれば、中継装置のゲインを制御する情報を、PDCCH1に含ませて送信するので、基地局装置10と中継装置20との間のシグナリングを削減(低減)することができる。
【0070】
(変形例3)
また、例えば、基地局装置が中継装置に送信する制御情報は、中継装置のフォワーディング部の中継方向(下りリンク、上りリンク)の切り換えを制御する情報を含んでいてもよい。例えば、基地局装置は、TCI+-infoの中から選択するTCI-stateと、フォワーディング部のアクセスリンクのビームの情報に加えて、フォワーディング部の中継方向(下りリンク、上りリンク)の切り換えの情報を、PDCCH1に含ませて送信してもよい。
【0071】
例えば、フォワーディング部の中継方向(下りリンク、上りリンク)の切り換えを制御する情報を、基地局装置から送信する場合、
図9同様に、その情報をPDSCH1に含ませて送信することが考えられる。この点に関し、変形例3によれば、フォワーディング部の中継方向(下りリンク、上りリンク)の切り換えを制御する情報を、PDCCH1に含ませて送信するので、基地局装置10と中継装置20との間のシグナリングを削減(低減)することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 無線通信システム
10 基地局装置
20 中継装置
22 モバイルターミネーション部
24 フォワーディング部
30 端末装置