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  • 特開-電源回生機能付きモータ制御装置 図1
  • 特開-電源回生機能付きモータ制御装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051813
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】電源回生機能付きモータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H02P27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158152
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 勇治
(72)【発明者】
【氏名】北原 通生
(72)【発明者】
【氏名】宮嵜 俊一
(72)【発明者】
【氏名】平出 敏雄
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505BB06
5H505CC05
5H505DD03
5H505EE49
5H505GG02
5H505GG04
5H505HA01
5H505HA10
5H505HB01
5H505JJ24
5H505JJ26
5H505JJ28
5H505LL07
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL37
5H505LL39
5H505LL41
5H505LL44
5H505LL55
5H505MM02
5H505MM04
5H505MM06
5H505MM12
(57)【要約】
【課題】過大な回生電力に対して保護機能を有するモータ制御装置において、できる限りモータの加減速時間が延びる事もなく、できる限り通常の運転を継続することができ、機械のタクトタイムの増大をできるだけ抑止するモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータ制御装置1は、電源回生機能を備えたコンバータ回路3と、インバータ回路4と、交流電源100に回生される回生電流を検出可能な電流検出器53と、インバータ回路4からの回生電流の一部を通電させる回生抵抗器50と、回生電流の回生抵抗器50への通電を制御する回生抵抗制御器57と、モータMを駆動制御する制御部47と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流電力を直流電力に変換し、インバータ回路からの回生直流電力を回生交流電力に変換して前記交流電源に回生する、電源回生機能を備えたコンバータ回路と、
前記直流電力をモータ駆動用の交流電力に変換し、モータからの回生交流電力を前記回生直流電力に変換する、前記インバータ回路と、
前記交流電源に回生される回生電流を検出可能な電流検出器と、
前記インバータ回路からの回生電流の一部を通電させる回生抵抗器と、
前記回生電流の前記回生抵抗器への通電を制御する回生抵抗制御器と、
前記モータを駆動制御する制御部と、
を備え、
前記電流検出器が、前記回生電流が所定の電流値を超えたことを検知した場合、前記回生抵抗制御器は、前記回生電流を前記回生抵抗器に通電させて、
前記回生抵抗器の温度または消費電力の少なくとも一方が閾値を超えた場合、前記制御部は、前記モータの回生方向のトルク、または、前記モータの回生方向の速度指令の変化率を制限することを特徴とする、モータ制御装置。
【請求項2】
前記回生抵抗器の温度または消費電力の少なくとも一方が閾値を超えない場合、前記制御部は、前記モータの回生方向のトルクまたは前記モータの回生方向の速度指令の変化率を制限しない、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記モータ制御装置は、前記直流電力を蓄電する蓄電部をさらに備え、
前記回生抵抗器の抵抗値をR、前記蓄電部の電圧をVPN、前記モータが回生する瞬時回生電力の最大値をPM、前記コンバータ回路が回生する回生電力の最大定格をPSと定義すると、前記回生抵抗器の抵抗値は、
R≦VPN/(PM-PS)
を満たす、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータが発電する交流電力を電源に回生する電源回生機能付きモータ制御装置において、回生電流が過電流となった場合に、回生電流の過電流によるモータ制御装置内の回路素子の破壊を防止する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、回生電流の過電流を検出し、過電流の電流値に応じてモータのトルク基準を低減させることで、回生電流の過電流による回路素子の破壊を防止する電源回生機能付きモータ制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-5791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている機能が搭載されたモータ制御装置を用いる機械で、特に1つのコンバータに多くのインバータを接続して使う多軸構成のモータ制御装置においては、各軸の運転パターンによっては、過大な回生電力が一瞬しか戻ってこない使い方もある。しかし、特許文献1の手法では、この一瞬の過大な回生電力でもトルクが制限されてしまうため、減速時間が長くなり、機械のタクトタイムが延びてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、過大な回生電力に対して保護機能を有するモータ制御装置において、できる限りモータの加減速時間が延びる事もなく、できる限り通常の運転を継続することができ、機械のタクトタイムの増大をできるだけ抑止するモータ制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るモータ制御装置は、
交流電源からの交流電力を直流電力に変換し、インバータ回路からの回生直流電力を回生交流電力に変換して前記交流電源に回生する、電源回生機能を備えたコンバータ回路と、
前記直流電力をモータ駆動用の交流電力に変換し、モータからの回生交流電力を前記回生直流電力に変換する、前記インバータ回路と、
前記交流電源に回生される回生電流を検出可能な電流検出器と、
前記インバータ回路からの回生電流の一部を通電させる回生抵抗器と、
前記回生電流の前記回生抵抗器への通電を制御する回生抵抗制御器と、
モータを駆動制御する制御部と、
を備え、
前記電流検出器が、前記回生電流が所定の電流値を超えたことを検知した場合、前記回生抵抗制御器は、前記回生電流を前記回生抵抗器に通電させて、
前記回生抵抗器の温度または消費電力の少なくとも一方が閾値を超えた場合、前記制御部は、前記モータの回生方向のトルク、または、前記モータの回生方向の速度指令の変化率を制限する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源回生の最大定格を超える瞬時回生電力がモータから回生された時にも、できる限り減速時間を延ばす事なく、できる限り通常の運転を継続する事ができ、機械のタクトタイムの増大をできるだけ抑止することが可能なモータ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第二実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された構成と同一の参照番号を有する構成については、説明の便宜上、その説明は省略する。
[第一実施形態]
【0011】
図1は、本発明の第一実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、モータ制御装置1は、1つのコンバータに多くのインバータを接続して使う多軸構成であって、交流リアクトル2と、電源回生機能を有するコンバータ回路3と、平滑コンデンサ6と、回生抵抗回路5と、インバータ回路4と、を備える。また、モータ制御装置1は、位相検出回路30と、コンバータ制御器31と、最大電流検出器56と、回生抵抗制御器57と、回生抵抗過熱検出器54と、回生抵抗過負荷検出器55と、速度算出器44と、制御部47と、を備える。
【0012】
コンバータ回路3は、三相(r相、s相、t相)のフルブリッジ回路であり、6個の半導体スイッチング素子Tr1~Tr6から構成される。半導体スイッチング素子Tr1~Tr6の各々は、例えば、IGBT(絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ)と、逆並列された還流ダイオードとから構成される。
【0013】
インバータ回路4は、三相(u相、v相、w相)のフルブリッジ回路であり、6個の半導体スイッチング素子Tr7~Tr12から構成される。半導体スイッチング素子Tr1~Tr6の各々は、例えば、IGBTと、逆並列された還流ダイオードとから構成される。
【0014】
回生抵抗回路5は、回生抵抗器50と、回生トランジスタ51と、温度センサ52と、電流センサ53を有する。制御部47は、トルク制限制御器41と、速度制御器40と、トルク制限器42と、トルク制御器43を有する。
【0015】
図1に示すエンコーダEは、モータMに搭載されていて、モータMのロータの位置θFBを検出する。検出されたロータの位置θFBは、速度算出器44に入力される。速度算出器44は、検出されたロータの位置θFBを微分処理してモータ速度VFBを算出する。
(力行動作)
【0016】
本発明の主動作である回生動作について説明するために、回生動作の前提となる力行動作について簡潔に説明する。
【0017】
モータMが力行動作を行う場合、モータ制御装置1は、三相交流電源100から入力される三相交流を電力変換し、モータMへ電力供給する。
【0018】
三相交流電源100から入力される三相交流は、交流リアクトル2を介して、コンバータ回路3に入力される。
【0019】
コンバータ回路3は、コンバータ制御器31が6個の半導体スイッチング素子Tr1~Tr6のゲートをオフに制御することで、全波整流回路(ダイオードブリッジ回路)として機能し、三相交流電源100から入力される三相交流を直流に変換する。
【0020】
平滑コンデンサ6は、例えば電解コンデンサであり、コンバータ回路3が出力する直流を平滑化し、蓄電する。
【0021】
インバータ回路4は、トルク制御器43が6個の半導体スイッチング素子Tr7~Tr12を駆動することで、平滑コンデンサ6からの直流またはコンバータ回路3が出力する直流をモータ駆動用の三相交流に変換し、モータMへ供給する。
【0022】
速度制御器40は、速度指令Vcmdとモータ速度VFBが入力され、速度をPI制御し、トルク指令Tcmdを出力する。
トルク制限器42は、速度制御器40からトルク指令Tcmdが入力される。さらに、トルク制限制御器41からトルク制限指令が入力された場合、トルク制限器42は、トルク指令Tcmdをトルク制限指令で制限し、トルク指令T’cmdを算出し、出力する。トルク制限制御器41からトルク制限指令が入力されない場合、トルク制限器42は、トルク指令Tcmdをそのままトルク指令T’cmdとして出力する。
トルク制御器43は、トルク制限器42から入力されるトルク指令T’cmd通りのトルクがモータから出力されるように電流制御やPWM制御を行い、インバータ回路4の6個の半導体スイッチング素子Tr7~Tr12を駆動する。
(回生動作)
【0023】
モータMから電源が回生される場合、モータ制御装置1は、モータMから入力される電力を電力変換し、三相交流電源100へ回生電力を出力する。
【0024】
平滑コンデンサ6は、インバータ回路4が出力する直流を平滑化し、蓄電する。
【0025】
位相検出回路30は、三相交流電源100の位相を検出する。平滑コンデンサ6の電圧VPNが所定値以上になると、コンバータ制御器31は、位相検出回路30によって検出された三相交流の位相に基づいて、6個の半導体スイッチング素子Tr1~Tr6のゲートを順次オンに制御する(120°通電方式)。
これにより、コンバータ回路3は、平滑コンデンサ6の電力を回生用の三相交流に変換し、三相交流電源100の各相に電流を流して三相交流電源100に電力を出力する。
【0026】
最大電流検出器56は、三相交流電源100と交流リアクトル2の間に流れる三相交流の電流の最大値を検出する。電流の最大値が所定値以上となった場合、回生抵抗制御器57は回生抵抗回路5の回生トランジスタ51のゲートをオンに制御し、回生電流の一部を回生抵抗器50に通電させる。回生トランジスタ51は、例えば、IGBTから構成される。
【0027】
ここで、回生抵抗器50の抵抗値をR、モータMが回生する瞬時回生電力の最大値をPM、コンバータ回路3が回生する回生電力の最大定格をPSと定義すると、回生抵抗器50は、下記の式1を満たす。
(式1)


これにより、モータMが回生する瞬時回生電力がコンバータ回路が回生する回生電力の最大定格PSを超えた場合でも、超えた分の電力を回生抵抗器50によって吸収することができる。したがって、回生電流の過電流によるモータ制御装置1内の回路素子(例えば、コンバータ回路3の半導体スイッチング素子Tr1~Tr6)の破壊を防止し、モータMのトルク制限をかけずにモータMを駆動することができる。
【0028】
温度センサ52は回生抵抗器50の温度を検出する。回生抵抗過熱検出器54は、温度センサ52で検出された回生抵抗器50の温度が、規定の閾値を超えているかを判定する。回生抵抗器50の温度が規定の閾値を超えている場合、回生抵抗過熱検出器54はトルク制限制御器41に回生抵抗過熱を通知する。この規定の閾値は、回生抵抗過熱異常の検出値より少し低い値に設定する。
また、電流センサ53は回生抵抗器50に流れる電流値を検出する。回生抵抗過負荷検出器55は、電流センサ53で検出された回生抵抗器50に流れる電流値から、回生抵抗器50の消費電力を算出し、回生抵抗過負荷の規定の閾値を超えているかを判定する。回生抵抗器50の消費電力が回生抵抗器の過負荷の規定の閾値を超えている場合、回生抵抗過負荷検出器55はトルク制限制御器41に回生抵抗過負荷を通知する。この規定の閾値は、回生抵抗過負荷異常の検出値より少し低い値に設定する。なお、電圧センサを用いて回生抵抗器のオン、オフ状態を検出して回生抵抗器50の消費電力を算出してもよい。
【0029】
トルク制限制御器41は、回生抵抗過熱または回生抵抗過負荷の少なくとも一方が通知された場合、速度算出器44で算出したモータ速度VFBに基づきモータMの回転方向を検出し、モータMの回生方向のトルクを制限するトルク制限指令を算出し、出力する。
【0030】
具体的には、例えば、モータMの回転方向がCW(Clock Wise)方向の場合、回生方向であるCCW(Counter Clock Wise)方向のトルクを制限する。同様に、モータMがCCW方向に回転している場合、回生方向であるCW方向のトルクを制限する。トルクの制限値は、回生方向のトルクを制限してモータを動作させた場合に、回生抵抗の温度や過負荷が増加しない制限値にする。
【0031】
トルク制限器42は、速度制御器40から入力されるトルク指令Tcmdに、トルク制限制御器41から入力されるトルク制限指令に基づく制限をかけることで、トルク指令T’cmdを算出し、出力する。トルク制御器43は、トルク制限器42からトルク指令T’cmdが入力され、トルク指令T’cmdに基づいて電流制御やPWM制御を行い、インバータ回路4の6個の半導体スイッチング素子Tr7~Tr12を駆動する。
【0032】
以上より、モータMが回生する瞬時回生電力がコンバータ回路が回生する回生電力の最大定格PSを超えた場合に、超えた分の電力を回生抵抗器50によって吸収することができる。また、回生抵抗器50の回生抵抗過熱または回生抵抗過負荷が通知されたら、回生方向のトルクを制限して、回生抵抗の過熱異常や過負荷異常を防止することができる。
これにより、電源回生の最大定格を超える瞬時回生電力がモータから回生された時にも、回生抵抗器50の回生抵抗過熱または回生抵抗過負荷が通知されるまでは減速時間を延ばす事なく、通常の運転を継続する事ができる。また、回生抵抗器50の回生抵抗過熱または回生抵抗過負荷が通知された後も力行方向は通常の運転ができ、回生方向はトルク制限がかかるため動作が遅くなるが、回生抵抗器が異常を検出して停止するのを防止できる。これにより、できる限りモータの加減速時間が延びる事もなく、できるだけ通常の運転を継続することができ、モータMのトルク制限による機械のタクトタイムの増大を抑止することができる。
[第二実施形態]
【0033】
図2は、本発明の第二実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、モータ制御装置1’は、1つのコンバータに多くのインバータを接続して使う多軸構成であって、交流リアクトル2と、電源回生機能を有するコンバータ回路3と、平滑コンデンサ6と、回生抵抗回路5と、インバータ回路4と、を備える。また、モータ制御装置1は、位相検出回路30と、コンバータ制御器31と、最大電流検出器56と、回生抵抗制御器57と、回生抵抗過熱検出器54と、回生抵抗過負荷検出器55と、制御部47と、速度算出器44と、を備える。回生抵抗回路5は、回生抵抗器50と、回生トランジスタ51と、温度センサ52と、電流センサ53を有する。制御部47は、変化率制限制御器46と、変化率制限器45と、速度制御器40と、トルク制御器43を有する。
【0034】
なお、変化率制限制御器46と、変化率制限器45と、速度算出器44と、速度制御器40以外の構成は、第一実施形態と同一の構成であるため、繰り返し説明は行わない。また、第二実施形態では回生動作についてのみ説明し、力行動作については第一実施形態と同様であるため、繰り返し説明は行わない。
(回生動作)
【0035】
変化率制限制御器46は、回生抵抗過熱検出器54から回生抵抗過熱が通知された場合、または、回生抵抗過負荷検出器55から過負荷が通知された場合、速度算出器44で算出したモータ速度VFBに基づきモータMの回転方向を検出し、モータMの回生方向の速度指令Vcmdの変化率を制限する変化率制限指令を算出し、出力する。速度指令Vcmdの変化率の制限値は、速度指令Vcmdの変化率を制限して回生した場合に、回生抵抗の温度や過負荷が増加しない制限値にする。
【0036】
変化率制限器45は、入力される速度指令Vcmdに、変化率制限制御器46から入力される変化率制限指令に基づく制限をかけることで、速度指令V’cmdを算出し、出力する。なお、変化率制限制御器46から変化率制限指令が入力されない場合、変化率制限器45は、入力される速度指令Vcmdをそのまま速度指令V’cmdとして出力する。
【0037】
速度制御器40は、入力される速度指令V’cmdとモータ速度VFBに基づいて、トルク指令Tcmdを算出し、出力する。
【0038】
以上より、モータMが回生する瞬時回生電力がコンバータ回路が回生する回生電力の最大定格PSを超えた場合に、回生抵抗過熱または回生抵抗過負荷が通知されるまでは、超えた分の電力を回生抵抗器50によって吸収することができる。また、回生抵抗器50の回生抵抗過熱または回生抵抗過負荷が通知されたら、回生方向の速度指令Vcmdの変化率を制限して、回生抵抗の過熱や過負荷を防止することができる。
これにより、回生電流の過電流によるモータ制御装置1’内の回路素子の破壊を防止しつつ、モータMの速度指令の変化率制限による機械のタクトタイムの増大をできるだけ抑止することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0040】
例えば、第一実施形態および第二実施形態において、多軸のうち主軸等の最も大きな出力の軸のみで回生方向のトルク指令や速度指令の変化率を制限する構成を示したが、他の軸の回生方向のトルク指令や速度指令の変化率も制限してもよい。また、コンバータ回路3は、120°通電方式ではなく、PWM制御方式でもよい。また、図1に示す三相交流電源100は、単相交流電源でもよい。また、回生抵抗器50の温度を検出するのではなく、回生抵抗器50の温度を推定してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1、1’:モータ制御装置
2:交流リアクトル
3:コンバータ回路
4:インバータ回路
5:回生抵抗回路
6:平滑コンデンサ
30:位相検出回路
31:コンバータ制御器
40:速度制御器
41:トルク制限制御器
42:トルク制限器
43:トルク制御器
44:速度算出器
45:変化率制限器
46:変化率制限制御器
47:制御部
50:回生抵抗器
51:回生トランジスタ
52:温度センサ
53:電流センサ
54:回生抵抗過熱検出器
55:回生抵抗過負荷検出器
56:最大電流検出器
57:回生抵抗制御器
100:三相交流電源
M:モータ
E:エンコーダ
Tr1~Tr12:半導体スイッチング素子
図1
図2