(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051816
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】飼料と、飼料製造方法及び飼料製造装置
(51)【国際特許分類】
A23K 20/163 20160101AFI20240404BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20240404BHJP
【FI】
A23K20/163
A23K10/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158155
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】391052622
【氏名又は名称】株式会社都ローラー工業
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】町田 成司
(72)【発明者】
【氏名】町田 成康
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 啓二
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AB10
2B150AE33
2B150AE50
2B150BA01
2B150DC15
(57)【要約】
【課題】 抗ウイルス性又は抗ウイルス性と抗菌性の双方を備えた飼料と、その飼料の製造方法及び製造装置の提供。
【解決手段】 餌に、α-CDが、又はα-CDとヨウ素の双方が配合された飼料。餌に、α-CD又はα-CDとヨウ素の双方が配合され、餌が紫外線照射により殺菌された飼料。餌を容器内で回転攪拌し、回転攪拌中の餌にα-CDを、又はα-CDとヨウ素の双方を配合する飼料製造方法。配合中の餌に紫外線を照射して紫外線殺菌もする飼料製造方法。容器内に攪拌装置と餌投入部とα-CD投入部がある飼料製造装置。容器にヨウ素投入部もある飼料製造装置。容器内に不活性化剤固着材もある飼料製造装置。容器の外又は内部に紫外線照射装置もある飼料製造装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
餌に、α-CDが配合された、
ことを特徴とする飼料。
【請求項2】
餌に、α-CDが配合され、
餌とα-CDの配合割合が餌に対して0.1~10重量%、好ましくは、0.5~5重量%である、
ことを特徴とする飼料。
【請求項3】
餌に、α-CDとヨウ素の双方が配合された、
ことを特徴とする飼料。
【請求項4】
餌に、α-CDとヨウ素と機能性食材が配合された、
ことを特徴とする飼料。
【請求項5】
餌に、α-CDとヨウ素の双方が配合され、餌が紫外線照射により殺菌された、
ことを特徴とする飼料製造方法。
【請求項6】
餌を容器内で回転攪拌し、回転攪拌中の餌にα-CDを、又はα-CDとヨウ素の双方を配合する、
ことを特徴とする飼料製造方法。
【請求項7】
餌を容器内で回転攪拌し、回転攪拌中の餌にα-CDを、又はα-CDとヨウ素の双方を、又はα-CDとヨウ素と機能性食材を配合する、
ことを特徴とする飼料製造方法。
【請求項8】
餌を容器内で回転攪拌し、回転攪拌中の餌にα-CDを、又はα-CDとヨウ素の双方を配合し、
前記配合中に、少なくともヨウ素を含む不活性化剤固着材に風を吹き付けて、ヨウ素成分を放出させて餌に配合する、
ことを特徴とする飼料製造方法。
【請求項9】
餌を容器内で回転攪拌し、回転攪拌中の餌にα-CDを、又はα-CDとヨウ素の双方、又はα-CDとヨウ素と機能性食材を配合し、
前記配合中に、少なくともヨウ素を含む不活性化剤固着材に風を吹き付けて、ヨウ素成分を放出させて餌に配合する、
ことを特徴とする飼料製造方法。
【請求項10】
餌を容器内で回転攪拌し、回転攪拌中の餌にα-CDを、又はα-CDとヨウ素の双方を配合し、配合中に餌に紫外線を照射して殺菌する、
ことを特徴とする飼料製造方法。
【請求項11】
餌を容器内で回転攪拌し、回転攪拌中の餌にα-CDを、又はα-CDとヨウ素の双方又はα-CDとヨウ素と機能性食材を配合し、配合中に餌に紫外線を照射して殺菌する、
ことを特徴とする飼料製造方法。
【請求項12】
容器に餌投入部とα-CD投入部があり、容器内に攪拌装置があり、
餌投入部から投入された餌と、α-CD投入部から投入されたα-CDを、容器内で回転する攪拌装置で回転攪拌させて、餌にα-CDを配合できるようにした、
ことを特徴とする飼料製造装置。
【請求項13】
容器に餌投入部と、α-CD投入部と、ヨウ素投入部があり、容器内に攪拌装置があり、
餌投入部から投入された餌と、α-CD投入部から投入されたα-CDと、ヨウ素投入部から投入されたヨウ素を、容器内で回転する攪拌装置で回転攪拌させて、餌にα-CDとヨウ素の双方を配合できるようにした、
ことを特徴とする飼料製造装置。
【請求項14】
容器に餌投入部とα-CD投入部があり、容器内に攪拌装置と少なくともヨウ素を含む不活性化剤固着材があり、
餌投入部から投入された餌と、α-CD投入部から投入されたα-CDを、容器内で回転する攪拌装置で回転攪拌させて、餌にα-CDを配合でき、不活性化剤固着材に風を当てて不活性化剤固着材からヨウ素成分を放出して餌に当てて配合できるようにした、
ことを特徴とする飼料製造装置。
【請求項15】
容器に餌投入部とα-CD投入部があり、容器内に攪拌装置があり、容器の外又は内部に紫外線照射装置があり、
餌投入部から投入された餌と、α-CD投入部から投入されたα-CDを、容器内で回転する攪拌装置で回転攪拌させて餌にα-CDを配合しながら、餌に紫外線を照射して殺菌できるようにした、
ことを特徴とする飼料製造装置。
【請求項16】
容器に餌投入部とα-CD投入部があり、容器内に攪拌装置と不活性化剤固着材があり、容器の外又は内部に紫外線照射装置があり、
餌投入部から投入された餌と、α-CD投入部から投入されたα-CDを、容器内で回転する攪拌装置で回転攪拌させて、餌にα-CDを配合でき、不活性化剤固着材に風を当てて不活性化剤固着材からヨウ素成分を放出して餌に当てて配合でき、紫外線照射装置から紫外線を照射して餌を殺菌できるようにした、
ことを特徴とする飼料製造装置。
【請求項17】
請求項14又は請求項16記載の飼料製造装置において、
不活性化剤固着材の不活性化剤が、電気伝導率0.01~1mS/mの水又は比抵抗0.1~10MΩ・cmの水と、ヨウ素をシクロデキストリンで包接したヨウ素CD包接体と、前記ヨウ素CD包接体中のシクロデキストリンとは別のシクロデキストリンを含む不活性化剤である、
ことを特徴とする飼料製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)又は/及びその変異株に対する抗ウイルス性と抗菌性(効果)を備えた飼料と、飼料製造方法及び飼料製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
養豚舎や養鶏舎等では、豚熱や鳥インフルエンザといった疫病(家畜伝染病)が発生することがある。疫病は伝染力が強いため、一部の家畜が疫病にかかると多くの家畜に伝染し易く、伝染した多くの家畜が殺処分されることがあり、畜産家に甚大な被害が及ぶ。また、社会的には感染の脅威となる。感染の原因は定かではないが、原因の一つとして、伝染病を引き起こすウイルスや菌が家畜の餌に混入(付着)していることが考えられている。新型コロナウイルス感染症が世界的に大きな問題となっている昨今、家畜への新型コロナウイルスの感染予防は畜産家にとっても、社会的にも重要な課題である。
【0003】
従来、家畜の餌の殺菌に関する資料として特許文献1、2があるが、これらは新型コロナウイルスの感染予防を目的としたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5955998号公報
【特許文献2】特開2008-237108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、抗ウイルス性又は抗ウイルス性と抗菌性の双方を備えた飼料と、その飼料の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[飼料]
本発明における飼料は、動物用の餌に、α-オリゴ糖(α-シクロデキストリン:α-CD)、又はα-CDとヨウ素の双方を配合したものである。更に、餌に紫外線を照射して殺菌したものでもよい。餌は汎用の餌であっても新規に開発された餌であってもよい。餌とα-CDの配合割合は、餌に対して0.1~10重量%、餌とヨウ素の配合割合も餌に対して0.1~10重量%が適する。
【0007】
[飼料製造方法]
本発明の飼料製造方法は、餌を容器内で回転攪拌し、その回転攪拌中にα-CDを配合する方法、又はα-CDとヨウ素の双方を配合する方法である。α-CDは粉末状態で配合することができる。少なくともヨウ素を含有している基材(不活性化剤固着材)に風を送って、不活性化剤固着材からヨウ素成分を放出(徐放)させて餌に配合する方法である。回転攪拌中に、餌に紫外線を照射して殺菌することもできる。
【0008】
[飼料製造装置]
本発明の飼料製造装置は、内部に攪拌装置を備えた容器に、餌投入部とα-CD投入部とを設け、容器内で回転する攪拌装置で餌とα-CDを回転攪拌させて、餌にα-CDを配合できるようにしてある。
【0009】
容器に、少なくともヨウ素を含有している基材(不活性化剤固着材)とエア供給機(送風機)を設けて、送風機からの風を不活性化剤固着材に吹き付けて、不活性化剤固着材からヨウ素を放出させて、回転攪拌中の餌に吹き付けて配合することもできる。
【0010】
容器の内部又は外部に紫外線照射装置を設け、その紫外線照射装置から容器内の餌に紫外線を照射して、餌に付着している菌を殺菌できるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の飼料は次のような効果がある。
(1)餌にα-CDが配合されているのでウイルスに対する抵抗力が向上し、抗ウイルス効果があり、ウイルスに罹患しにくい安全な飼料となる。
(2)α-CDとヨウ素の双方が配合されている場合は、抗ウイルス効果と抗菌効果の双方がある。
(3)紫外線照射した餌の場合は、殺菌される。
【0012】
本発明の飼料製造方法は次のような効果がある。
(1)餌を回転攪拌しながらα-CD、又はα-CDとヨウ素を配合するので、飼料の製造が容易である。
(2)餌にα-CD、又はα-CDとヨウ素を配合しながら、紫外線照射するので、殺菌も容易にできる。
【0013】
本発明の飼料製造装置は次のような効果がある。
(1)攪拌装置を内装した容器内に、餌投入口とα-CD投入口又はα-CDとヨウ素投入口を設け、容器内にヨウ素を含む不活性化剤固着材を配置して、それに送風する送風機を設ければよいため、餌の投入、α-CDの投入、ヨウ素成分の徐放が容易にできる。
(2)紫外線照射装置で餌の殺菌も容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の飼料、飼料製造方法、飼料製造装置の実施例を以下に説明する。これら実施例は、あくまでも本発明の主な実施例であるため、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、解決課題を解決可能であれば、餌の種類や内容、α-CDやヨウ素の配合量(比率)、配合条件、装置の構造や動作などは変更可能である。
【0016】
[α-CD]
本発明におけるα-CDは、α-オリゴ糖とも呼ばれる6つのグルコースがα-1,4結合によって環状に連なった構造を持つ単一分子の食物繊維である。α-オリゴ糖はヒトの消化酵素で消化されて、腸内細菌によって、分解される性質を持っている。また、環状構造の内部空洞は疎水性を示しており、疎水性物質を空洞内に取り込むことができる包接作用もある。
【0017】
α-CDは食後血糖値や血中中性脂肪値の上昇抑制作用があり、包接作用があることから悪玉コレステロール(小型LDLコレステロール:low density lipoprotein)の低減作用もある。単一分子の食物繊維であることから腸内環境の改善作用など多様な接種効果を有することが知られている。その他、腸に対して各種改善効果のあることが知られている。(FOOD STYLE21 Vol.26 No.4/022、株式会社宝島社発行「まったく新しい腸活の教科書」2022年6月9日第1刷発行)。
【0018】
産業技術総合研究所と株式会社シクロケムバイオの共同研究で、α-CDには新型コロナウイルスに対する抗ウイルス作用もあることが知られている。唾液中に含まれるリゾチームにも抗菌、抗ウイルス作用があることが知られている。α-CD、リゾチームは単独でも食品の腐敗菌である枯草菌の増殖抑制効果があるが、双方を組み合わせることで枯草菌の増殖抑制効果が向上する(相乗効果がある)ことも知られている(前記「まったく新しい腸活の教科書」)。
【0019】
[ヨウ素]
ヨウ素が抗ウイルス作用及び抗菌作用があることは周知である(特許第6904626号公報)。
【0020】
[飼料]
本発明はα-CD、ヨウ素の前記作用、効果に着目して開発されたものである。本発明の飼料は、汎用の餌に、α-CDを単独で、又はα-CDとヨウ素の双方を配合したものである。いずれの場合も、餌とα-CDの配合割合は0.1~10重量%、好ましくは、0.5~5重量%が適する。餌とヨウ素の配合割合も0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%が適する。更に、飼料は餌に紫外線を照射して殺菌したものであってもよい。本発明の飼料は、前記配合以外にも、動物に体力を付けることのできる他の食材、例えば、はちみつ、プロポリス、その他の栄養価の高い食材(以下これらを「機能性食材」という。)を配合したものであってもよい。機能性食材も粉末のものを配合する。
【0021】
本発明の飼料を動物が食することにより、飼料に配合されているα-CDと口腔内の唾液中のリゾチームとの相乗効果で、抗ウイルス、抗菌効果が得られる。
【0022】
[飼料製造方法]
本発明の飼料製造方法は、汎用の餌を容器内で回転攪拌し、回転攪拌中にα-CDを配合する方法、又はα-CDとヨウ素の双方を配合する方法である。この場合、餌を容器内で回転攪拌して、餌にα-CDを単独で、又はα-CDとヨウ素の双方を配合しながら容器の外に送り出して連続的に製造する移送方式とすることも、容器内で回転攪拌して、餌にα-CD、又はα-CDとヨウ素の双方を配合するバッチ方式とすることもできる。いずれの方式の場合も、α-CD、ヨウ素は、粒径がナノ(nm)~ミクロン(μm)単位の粉末状態で配合する。
【0023】
ヨウ素は粉末状態で餌に配合するだけでもよいが、それと同時に、ヨウ素を含有している不活性化剤固着材に風を吹き付けて基材からヨウ素成分を強制的に放出(徐放)させて餌に配合してもよい。配合するヨウ素の量は、抗ウイルス、抗菌に適する量に設定する。
【0024】
本発明の飼料製造方法では、餌にα-CDを単独で、又はα-CDとヨウ素の双方を配合する際に、餌に紫外線を照射して殺菌することもできる。紫外線の照射は、汎用の紫外線照射装置から出射される紫外線を餌に照射して行うことができる。前記配合以外にも、機能性食材を配合することもできる。
【0025】
[飼料製造装置]
本発明の飼料製造装置は、
図1、
図2のように、内部に攪拌装置1を備えた容器2に、餌投入部3とα-CD投入部4とを設け、容器2内で回転する攪拌装置1で餌とα-CDを回転攪拌させて、餌にα-CDを配合できるようにしてある。
【0026】
図1は餌投入部3から容器2内に投入した餌と、α-CD投入部4から容器2内に投入したα-CDを、攪拌装置1で回転攪拌させて餌とα-CDを配合させながら、容器2の出口側に移動させて、飼料回収ボックス5に送り出す移送方式である。この場合、攪拌装置1の回転速度や、飼料を容器2の出口から外部に排出するまでの時間は、α-CDが餌全般に配合されるように設定する。
【0027】
図2は餌投入部3から容器2内に投入した餌と、α-CD投入部4から容器2内に投入したα-CDを、容器2内の攪拌装置1で所定時間継続して回転攪拌させ、その時間経過後に、α-CD配合済みの飼料を容器2の出口(開閉口)6から飼料回収ボックス5に取り出すようにしたバッチ方式である。この場合も、攪拌装置1の回転速度や攪拌回転時間はα-オリゴ糖が餌全般に配合されるように設定する。α-CD配合済みの飼料は、回転攪拌が所定時間経過してから開閉口6の電磁弁6aを開いて飼料回収ボックス5に取り出すことができる。開閉口6の開閉は電磁弁6a以外で行うこともできる。機能性食材を投入する場合は、容器2に食材投入口(図示せず)を設けて、その食材投入口から機能性食材を投入することもできる。可能であれば、餌投入部3から餌と共に投入することも、α-CD投入部4からα-CDと共に投入してもよい。
【0028】
[不活性化剤固着材]
図1、
図2の飼料製造装置では、容器2内に不活性化剤としてヨウ素が固着された不活性化剤固着材7を配置し、容器2の外の送風機(エア供給機)8から容器2内に強風を送って不活性化剤固着材7に当てて、不活性化剤固着材7に含浸されているヨウ素成分を徐放(放出)させて容器2内に飛散(空中飛散)させ、容器2内の餌に吹き付ける(配合する)ことができるようにしてある。
【0029】
不活性化剤固着材7の一例としては、例えば、本件出願人の特許第6904626号に係る不活化固着基材がある。この不活性化剤固着材7は、基材に不活性化剤を固着させたものである。基材としては繊維や糸、布(織布や不織布などの布地)、生地、紙、皮革、樹脂(フイルムを含む)、ゴム、金属、木材などのほか、これら材料で製造された各種製品が含まれる。
【0030】
基材に固着される不活性化剤は、溶媒と、ヨウ素をシクロデキストリン(CD)で包接した(カプセル化した)CD包接体(ヨウ素CD包接体)と、アンカー用シクロデキストリン(以下「アンカー用CD」)を含む液剤である。アンカー用CDは、ヨウ素CD包接体のCDとは別のCDである。一例としては、電気伝導率0.01~1mS/m(ミリジーメンスパーメートル)の水又は比抵抗0.1~10MΩ・cm(メグオーム・センチメートル)の水(いずれも溶媒)と、ヨウ素CD包接体と、アンカー用CDを含む無色の液体である。電気伝導率0.01~1mS/mはSI単位系での表記であり、工業単位系であるμS/cm(マイクロジーメンスパーセンチメートル)に換算すると、0.1~10μS/cmである。
【0031】
ヨウ素はハロゲン族に属するものであり、溶媒(水)中に金属イオンが含まれているとそれら金属を酸化させ、液体が着色する一因となる。溶媒として、電気伝導率0.01~1mS/mの水又は比抵抗0.1~10MΩ・cmの水(たとえば、金属イオンの含有率が低いRO処理水やイオン交換処理水)を用いることで、ヨウ素が含まれていても液体が着色せず、無色な不活性化剤を得ることができる。
【0032】
前記不活性化剤固着材7では、溶媒として不活性化剤の着色の原因となる金属イオンの含有率が低い電気伝導率0.01~1mS/mの水又は比抵抗0.1~10MΩ・cmの水を用いているため、無色(無色透明)の不活性化剤を得ることができ、これを用いる不活性化剤固着材7は着色されないものとなる。電気伝導率0.01~1mS/mの水又は比抵抗0.1~10MΩ・cmの水は、RO処理水、即ち、水道水を逆浸透膜(RO膜)で濾過して、水分子以外のほとんどすべての不純物を除去したイオン交換処理した水である。
【0033】
本発明では不活性化剤固着材7を容器2内に配置する。不活性化剤固着材7はエア供給機8から送られる風を当てるとヨウ素成分を放出できるものであれば前記以外のものであってもよい。基材がシートの場合、その面積(広さ)は送風機からの風が当たり易く、放出されるヨウ素成分が餌に効率良く当たる箇所であれば、任意に配置できる。形状もシート状以外であってもよい。配置構造は風を当て易く、ヨウ素成分が放出され易い構造であれば任意の構造とすることができる。一例として
図1、
図2に示したものは、シート状の不活性化剤固着材7を容器2の風導入口の内側に張って、エア供給機8から送られる風が当たり易くなるようにしてある。不活性化剤固着材7の設置箇所は、エア供給機8からの風が当たり易く、放出されるヨウ素成分が餌に効率良く当たる箇所であれば、任意に設定できる。
【0034】
本発明では、ヨウ素を不活性化剤固着材7から徐放させて餌に配合すると共に、餌投入部3から餌と共に容器2内に投入して容器2内で餌に配合することも、容器2に専用のヨウ素投入部(図示せず)を設け、そこから容器2内に粉状のヨウ素を投入して、餌に配合することもできる。
【0035】
[紫外線照射装置]
本発明の飼料製造装置では、容器2の内部又は外部に紫外線照射装置9を設けて、紫外線照射装置9からの紫外線を容器2内の餌に照射して、餌に付着している菌を殺菌することもできる。容器2の外部に設置する場合は、容器2を透明にするとか、紫外線が透過し易い材質製等とする。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の飼料は、餌に、抗ウイルス、抗菌性のある物質であれば、α-CD以外の物質や、家畜の飼育に適する他の物質を配合することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 攪拌装置
2 容器
3 餌投入部
4 α-CD投入部
5 飼料回収ボックス
6 開閉口
6a 電磁弁
7 不活性化剤固着材
8 エア供給機
9 紫外線照射装置