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特開2024-51817微細気泡含有液体の製造装置、及び微細気泡含有液体の製造方法
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  • 特開-微細気泡含有液体の製造装置、及び微細気泡含有液体の製造方法 図1
  • 特開-微細気泡含有液体の製造装置、及び微細気泡含有液体の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051817
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】微細気泡含有液体の製造装置、及び微細気泡含有液体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/231 20220101AFI20240404BHJP
   B01F 21/00 20220101ALI20240404BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20240404BHJP
   B01F 23/2375 20220101ALI20240404BHJP
   B01F 25/25 20220101ALI20240404BHJP
   B01F 25/45 20220101ALI20240404BHJP
   B01F 25/50 20220101ALI20240404BHJP
   A61K 8/02 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
B01F23/231
B01F21/00
B01F23/2373
B01F23/2375
B01F25/25
B01F25/45
B01F25/50
A61K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158157
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137822
【弁理士】
【氏名又は名称】香坂 薫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佑一
(72)【発明者】
【氏名】山本 匠悟
【テーマコード(参考)】
4C083
4G035
【Fターム(参考)】
4C083DD23
4C083DD50
4C083EE07
4G035AA01
4G035AC14
4G035AC26
4G035AC30
4G035AC55
4G035AE01
(57)【要約】
【課題】より高い密度で微細気泡を混合できる新たな技術を提供する。
【解決手段】微細気泡を含む微細気泡含有液体の製造装置であって、微細気泡含有液体が流れる流路部と、流路部と連通し、流路部に空気を供給する空気供給部と、流路部と連通し、流路部に液体を供給する液体供給部と、流路部に設けられ、複数の散気孔を有し、微細気泡を発生させて液体に微細気泡を含有させる散気部と、流路部に設けられ、流路部内の圧力を調整して微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を液体に溶解する圧力調整部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細気泡を含む微細気泡含有液体の製造装置であって、
微細気泡含有液体が流れる流路部と、
流路部と連通し、流路部に空気を供給する空気供給部と、
流路部と連通し、流路部に液体を供給する液体供給部と、
流路部に設けられ、複数の散気孔を有し、微細気泡を発生させて液体に微細気泡を含有させる散気部と、
流路部に設けられ、流路部内の圧力を調整して微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を液体に溶解する圧力調整部と、を備える微細気泡含有液体の製造装置。
【請求項2】
圧力調整部は、散気部の下流側に設けられている、請求項1に記載の微細気泡含有液体の製造装置。
【請求項3】
散気部よりも下流側、かつ、圧力調整部よりも上流側の流路部に設けられ、微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を均一分散する混合部と、を更に備える請求項1に記載の微細気泡含有液体の製造装置。
【請求項4】
圧力調整部よりも下流側の流路部に設けられ、壁を有し、微細気泡含有液体を壁に衝突させる壁部を更に備える請求項1に記載の微細気泡含有液体の製造装置。
【請求項5】
流路部は、環状であり、微細気泡含有液体は、流路部内を循環する、請求項1に記載の微細気泡含有液体の製造装置。
【請求項6】
微細気泡含有液体は、所定の粘性を有する液状化粧料である、請求項1に記載の微細気泡含有液体の製造装置。
【請求項7】
微細気泡を含む微細気泡含有液体の製造方法であって、
微細気泡含有液体が流れる流路部に空気を供給する空気供給工程と、
流路部に液体を供給する液体供給工程と、
流路部において、液体供給工程で供給された液体と空気供給工程で供給された空気を複数の散気孔を通過させて微細気泡を発生させて液体に微細気泡を含有させる散気工程と、
流路部内の圧力を調整して微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を液体に溶解する圧力調整工程と、を有する微細気泡含有液体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡含有液体の製造装置、及び微細気泡含有液体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の洗浄処理、水浄化処理、殺菌処理等において、微細気泡が用いられている。例えば、特許文献1には、加圧された気体溶解液が供給されることにより微細気泡が生成される微細気泡発生器が開示されている。また、特許文献2には、化粧料に微細気泡を含有させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-149209号公報
【特許文献2】特開2020-147520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より液体に微細気泡を混合する技術が知られているが、より高い密度で微細気泡を液体に含有させる技術開発が望まれている。また、例えば、水と比較して粘性度が高い液体に対して微細気泡を含有させることは難しいことが知られており、粘性度の高い液体にも微細気泡を混合できる技術開発が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑み、より高い密度で微細気泡を混合できる新たな技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、微細気泡を含む微細気泡含有液体の製造装置であって、微細気泡含有液体が流れる流路部と、流路部と連通し、流路部に空気を供給する空気供給部と、流路部と連通し、流路部に液体を供給する液体供給部と、流路部に設けられ、複数の散気孔を有し、微細気泡を発生させて液体に微細気泡を含有させる散気部と、流路部に設けられ、流路部内の圧力を調整して微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を液体に溶解する圧力調整部と、を備える。
【0007】
本発明に係る微細気泡を含む微細気泡含有液体の製造装置によれば、散気部により液体に微細気泡を含有させ、更に、圧力調整部により圧力を調整して微細気泡を液体に溶解させることで、従来よりも高密度で、微細気泡を液体に含有させることができる。また、水と比較して粘性度が高い粘性液にも微細気泡を含有させることができる。
【0008】
微細気泡とは、気泡の直径が極めて小さい気泡であり、ファインバブルとも称される。微細気泡は、気泡の直径によって区別されることがあり、例えば、ウルトラファインバブル、マイクロバブルに区別することができる。ウルトラファインバブルは、気泡の直径が数十nm~1μmである。マイクロバブルは、気泡の直径が1μm~100μmである。液体とは、微細気泡を混合する被処理水である。液体には、水や粘度のある液体(以下、粘性液ともいう)が含まれるが、これらに限定されない。液体は、スラッジを含む液体や汚水でもよい。粘性液には、例えば、液状化粧料が含まれる。本発明に係る微細気泡を含む微細気泡含有液体の製造装置は、粘性液にも微細気泡を含有させることができることから、微細気泡を含む(含有する)液状化粧料の製造装置として好適に用いることができる。液状化粧料には、液体クレンジング、液体洗顔料、化粧水、乳液、美容液が含まれる。液状化粧料は、水性、油性を問わず、また、界面活性剤、乳化物を含むものでもよい。また、液状化粧料は、例えば、メーク品で用いられる粉体(例えば、酸化チタン・酸化亜鉛・タルク・シリカ・顔料など)を含むものでもよい。圧力調整は、主として、加圧調整である。加圧することで、液体に微細気泡を効果的に溶解することができる。
【0009】
ここで、圧力調整部は、散気部の下流側に設けるようにしてもよい。散気部の下流側に圧力調整部を設けることで、散気部の上流側に圧力調整部を設ける場合と比較して、より高密度で、微細気泡を液体に含有させることができる。下流側、上流側とは、微細気泡含有液体の流れにおける上流側、下流側を意味する。散気部の下流側で加圧することで、微細気泡を液体に効果的に溶解することができる。
【0010】
また、本発明に係る微細気泡含有液体の製造装置は、散気部よりも下流側、かつ、圧力調整部よりも上流側の流路部に設けられ、微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を均一分散する混合部を更に備える構成としてもよい。
【0011】
散気部で液体に微細気泡を含有させた後、混合部で微細気泡を均一分散させ、更に、その後に圧力調整部で、圧力調整部よりも上流側、特に圧力調整部から散気部を圧力調整(特に加圧)することで、より高密度で、微細気泡を液体に含有させることができる。また、粘性の高い液体についても微細気泡を含有させることができる。
【0012】
また、本発明に係る微細気泡含有液体の製造装置は、圧力調整部よりも下流側の流路部に設けられ、壁を有し、微細気泡含有液体を壁に衝突させる壁部を更に備える構成としてもよい。
【0013】
壁部で微細気泡含有液体を壁に衝突させることで、微細気泡含有液体に衝突エネルギーを印可することができ、より効果的に、微細気泡を液体に含有させることができる。また、圧力調整部で圧力調整して加圧した後に壁に衝突させることで、加圧状態から常圧に戻る際の力(液体が勢いよく流れる力、液体を噴射する力)を利用して、液体を壁に衝突させることができる。そのため、より効果的に、微細気泡を液体に含有させることができる。また、粘性の高い液体についても微細気泡を含有させることができる。
【0014】
また、本発明に係る微細気泡含有液体の製造装置において、流路部は、環状であり、微細気泡含有液体は、流路部内を循環するようにしてもよい。
【0015】
微細気泡含有液体について、流路部内を循環させることで、循環しない場合と比較して、より効果的に、微細気泡を液体に含有させることができる。また、粘性の高い液体についても微細気泡を含有させることができる。
【0016】
ここで、微細気泡含有液体は、所定の粘性を有する液状化粧料としてもよい。液状化粧料には、液体クレンジング、液体洗顔料、化粧水、乳液、美容液が含まれる。液状化粧料は、水性、油性を問わず、また、界面活性剤、乳化物を含むものでもよい。また、液状化粧料は、例えば、メーク品で用いられる粉体(例えば、酸化チタン・酸化亜鉛・タルク・シリカ・顔料など)を含むものでもよい。本発明に係る微細気泡含有液体の製造装置は、粘性を有する液体の製造装置として好適に用いることができ、特に化粧水に効果的に微細気泡を含有させることができる。また、粘性の高い化粧水についても微細気泡を含有させることができる。
【0017】
ここで、本発明は、微細気泡含有液体の製造方法として特定することもできる。例えば、本発明は、微細気泡を含む微細気泡含有液体の製造方法であって、微細気泡含有液体が流れる流路部に空気を供給する空気供給工程と、流路部に液体を供給する液体供給工程と、流路部において、液体供給工程で供給された液体と空気供給工程で供給された空気を複数の散気孔を通過させて微細気泡を発生させて液体に微細気泡を含有させる散気工程と、流路部内の圧力を調整して微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を液体に溶解する圧力調整工程と、を有する微細気泡含有液体の製造方法である。
【0018】
本発明に係る微細気泡を含む微細気泡含有液体の製造方法によれば、散気工程により液体に微細気泡を含有させ、更に、圧力調整工程により圧力を調整して微細気泡を液体に溶解させることで、従来よりも高密度で、微細気泡を液体に含有させることができる。また、水と比較して粘性度が高い粘性液にも微細気泡を含有させることができる。
【0019】
圧力調整工程は、散気部の下流側で行うようにしてもよい。また、本発明に係る微細気泡含有液体の製造方法は、散気部よりも下流側、かつ、圧力調整部よりも上流側の流路部において、微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を均一分散する混合工程を更に含むようにしてもよい。また、本発明に係る微細気泡含有液体の製造方法は、圧力調整部よりも下流側で行われ、微細気泡含有液体を壁に衝突させる衝突工程を更に有するものでもよい。また、本発明に係る微細気泡含有液体の製造方法は、微細気泡含有液体を外部に出力する液体出力工程を更に有するものでもよい。また、流路部は、環状であり、微細気泡含有液体について、流路部内を循環させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、より高い密度で微細気泡を混合できる新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る微細気泡含有液体の製造装置を示す。
図2図2は、実施形態に係る微細気泡含有液体の製造方法のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、本発明に係る微細気泡含有液体の製造装置(製造方法)について、微細気泡を含有する化粧水の製造装置、又は製造方法を一例として説明する。以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0023】
<微細気泡含有液体の製造装置>
図1は、微細気泡含有液体の製造装置を示す。微細気泡含有液体の製造装置Sは、流路部1、空気供給部2、液体供給部3、散気部4、圧力調整部5、混合部6、壁部7、液体出力部9、各種計器を備える。
【0024】
実施形態に係る微細気泡含有液体の製造装置Sでは、粘性の低い液体(液状化粧料)だけでなく、粘性の高い液体(液状化粧料)に対しても微細気泡を含有させることができる。粘性の高い液体とは、例えば、200cp以上の粘性を有する液体である。実施形態に係る微細気泡含有液体の製造装置Sで製造可能な液状化粧料には、液体クレンジング、液体洗顔料、化粧水、乳液、美容液が含まれる。液状化粧料は、水性、油性を問わず、また、界面活性剤、乳化物を含むものでもよい。また、液状化粧料は、例えば、メーク品で用いられる粉体(例えば、酸化チタン・酸化亜鉛・タルク・シリカ・顔料など)を含むものでもよい。微細気泡とは、気泡の直径が極めて小さい気泡であり、ファインバブルとも称される。微細気泡は、気泡の直径によって区別されることがあり、例えば、ウルトラファインバブル、マイクロバブルに区別することができる。ウルトラファインバブルは、気泡の直径が数十nm~1μmである。マイクロバブルは、気泡の直径が1μm~100μmである。
【0025】
流路部1は、微細気泡含有液体が流れる。本実施形態では、微細気泡を含有する化粧水が流れる。流路部1は、配管によって構成されている。図1における矢印は、液体が流れる方向を示す。流路部1は、微細気泡を含有する化粧水が循環できるよう管状に構成されている。
【0026】
空気供給部2は、流路部1と連通し、流路部1に空気を供給する。本実施形態では、空気供給部2は、流路部1に設けられた散気部4に接続され、散気部4に空気を供給するよう構成されている。空気供給部2は、コンプレッサー、逆止弁、自動開閉バルブ等によって構成されている。
【0027】
液体供給部3は、流路部1と連通し、流路部1に液体(化粧水)を供給する。本実施形態に係る液体供給部3は、化粧水を貯留する貯留部31、貯留部31の下流側に設けられ、化粧水を圧送する圧送部32を含む。貯留部31は、タンクによって構成されている。圧送部32は、インバータ、モータ、水車を含むポンプによって構成されている。圧送部32は、所謂ダイヤフラムポンプでもよい。なお、貯留部31は、液体(化粧水)の温度を調整可能な温度調整部(図示せず)を更に備える構成としてもよい。温度調整部は、所謂ジャケットによって構成することができる。温度調整部は、貯留部31とは別に、流路部1に設けるようにしてもよい。
【0028】
散気部4は、流路部1に設けられ、複数の散気孔を有し、微細気泡を発生させて液体に微細気泡を含有させる。より詳細には、散気部4は、筒状であり、側面に微細な複数の散気孔を有する。散気部4は、液体供給部3で圧送される液体が管状の内部を通過する際に、側面の散気孔を外側から内側に向けて、空気供給部2から供給される空気を通過させ微細気泡を発生させ、液体に微細気泡を含有させる。本実施形態では、散気部4は、微細な散気孔を有する管状の微細孔フィルターによって構成されている。散気部4は、液体を貯留する散気用貯留部を更に含む構成としてもよい。この場合、散気部4は、散気用貯留部に配置して、管状の内部に空気供給部2から供給される空気を通過させ、側面の散気孔を内側から外側に向けて空気が通過することで微細気泡を発生させ、散気用貯留部で貯留されている液体に微細気泡を含有させるようにしてもよい。散気部4の長さや数を調整することで、発生させる微細気泡の量を調整することができる。
【0029】
混合部6は、散気部4よりも下流側、かつ、圧力調整部5よりも上流側の流路部1に設けられ、微細気泡含有液体(本実施形態では、微細気泡を含有する化粧水)に含まれる微細気泡を均一分散する。本実施形態では、散気部4の下流側近傍、かつ、水平に配置されたスタティックミキサーによって構成されている。散気部4の近く、かつ水平に配置することで、微細気泡をより効果的に均一分散することができる。スタティックミキサーは、管状であり、内部に板状部材を捩じった複数のエレメントで構成された流路を有する。微細気泡含有液体がスタティックミキサー内を通過することで、微細気泡と液体が攪拌混合される。
【0030】
圧力調整部5は、流路部1に設けられ、流路部1内の圧力を調整して微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を液体に溶解する。本実施形態では、圧力調整部5は、散気部4の下流側近傍に設けられている。圧力調整部5は、背圧弁で構成され、流路部1内を加圧可能である。加圧により、微細気泡の溶解が促進される。
【0031】
壁部7は、圧力調整部5よりも下流側の流路部1に設けられ、壁を有し、微細気泡含有液体を壁に衝突させ、微細気泡含有液体に衝突エネルギーを印可する。本実施形態では、壁部7は、貯留部31内に設けられている。壁部7は、微細気泡含有液体(本実施形態では、微細気泡を含有する化粧水)が衝突する衝突壁を有する。微細気泡含有液体に衝突エネルギーを印可することで、より効果的に、微細気泡を液体に含有させることができる。また、圧力調整部5で圧力調整して加圧した後に壁部7により衝突エネルギーを印可することで、加圧状態から常圧に戻る際の力(液体が勢いよく流れる力、液体を噴射する力)を利用して、液体を壁に衝突させることができ、より効果的に、微細気泡を液体に含有させることができる。また、粘性の高い化粧水についても微細気泡を含有させることができる。壁部7は、メッシュで構成してもよい。
【0032】
液体出力部9は、微細気泡含有液体を外部に出力する。本実施形態では、液体出力部9は、自動開閉バルブで構成されている。液体出力部9は、手動開閉バルブで構成してもよい。
【0033】
各種計器は、流路部1に設けられた、温度センサT1、T2、T3、圧力センサP1、流量センサF1、液面レベルセンサL1を含む。温度センサT1、T2、T3は、流路部1を流れる微細気泡含有液体の温度を計測する。温度センサT1は、散気部4の下流側、かつ混合部6の上流側を流れる微細気泡含有液体の温度を計測する。温度センサT2は、液体出力部9の下流側、かつ散気部4の上流側を流れる微細気泡含有液体の温度を計測する。温度センサT3は、貯留部31に貯留された微細気泡含有液体の温度を計測する。圧力センサP1は、液体出力部9の下流側、かつ散気部4の上流側を流れる微細気泡含有液体の圧力を計測する。流量センサF1は、圧送部32の下流側、かつ液体出力部9の上流側を流れる微細気泡含有液体の流量を計測する。液面レベルセンサL1は、圧送部3の上流側に設けられ、液面レベルを計測し、圧送部3の故障を防止する。各種計測器で計測された計測値は、図示しない制御部に送信される。制御部は、取得した計測値に基づいて、圧送部32や各バルブや弁を制御し、空気の供給量、液体の供給量、微細気泡含有液体の流量、温度、圧力等を調整する。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力インターフェース、ディスプレイ等を備える構成とすることができる。制御部2は、メモリに格納された制御プログラムを実行することで、圧送部32や各バルブや弁を制御する。
【0034】
<微細気泡含有液体の製造方法>
図2は、実施形態に係る微細気泡含有液体の製造方法のフローを示す。空気供給工程(S01)では、微細気泡含有液体が流れる流路部1に空気が供給される。液体供給工程(S02)では、流路部1に液体が供給される。空気供給工程(S01)と液体供給工程(S02)は、平行して行われる。本実施形態では、空気供給部2により、散気部4により、空気が供給される。また、貯留部31に貯留された液体が圧送部32によって圧送される。一度散気部4を通過した液体は、微細気泡含有液体として貯留部31に貯留され、圧送部32によって圧送される。
【0035】
散気工程(S03)では、流路部1において、液体供給工程で供給された液体と空気供給工程で供給された空気を複数の散気孔を通過させて微細気泡を発生させて液体に微細気泡を含有させる。本実施形態では、散気部4により、液体供給部3で圧送される液体が管状の内部を通過する際に、側面の散気孔を外側から内側に向けて、空気供給部2から供給される空気を通過させ微細気泡を発生させ、液体に微細気泡を含有させる。
【0036】
混合工程(S04)では、散気部よりも下流側、かつ、圧力調整部よりも上流側の流路部1において、微細気泡含有液体に含まれる微細気泡が均一分散される。本実施形態では、散気部4の下流側近傍、かつ、水平に配置されたスタティックミキサー内を微細気泡含有液体が通過することで、微細気泡と液体が攪拌混合される。
【0037】
圧力調整工程(S05)では、流路部1内の圧力を調整して微細気泡含有液体に含まれる微細気泡を液体に溶解する。本実施形態では、背圧弁により、流路内が加圧され、微細気泡の溶解が促進される。
【0038】
衝突工程(S06)では、圧力調整部よりも下流側において、微細気泡含有液体を壁に衝突させ、微細気泡含有液体に衝突エネルギーを印可される。本実施形態では、壁部7が貯留部31内に設けられており、貯留部31内に設けられた衝突壁に微細気泡含有液体が衝突し、微細気泡含有液体に衝突エネルギーを印可される。
【0039】
衝突工程(S06)終了後、製造を終了するか否か判断される。換言すると、微細気泡含有液体が液体に十分に含有されたか否かが判断される。微細気泡含有液体が液体に含有されたか否かの判断(製造を終了するか否かの判断)は、予め、供給する液体の種類や量、供給する空気量、散気部4の長さや数等に基づいて製造時間(液体を循環させる時間)の規定時間を設定し、制御部で判断することができる。また、供給する空気量、散気部4の長さや数等に基づいて製造時間の参考時間を定めておき、管理者が微細気泡含有液体の状態を確認した上で、微細気泡含有液体が液体に十分に含有されたと判断するようにしてもよい。なお、微細気泡含有液体の状態情報(例えば、粘性、気泡密度などの情報)を取得するようにし、制御部は、状態情報が既定値となった場合に製造終了と判断するようにしてもよい。製造終了と判断された場合(YES)、液体出力工程(S08)へ進む。製造終了と判断されなかった場合(NO)、空気供給工程(S01)・液体供給工程(S02)に戻り、散気工程(S03)、混合工程(S04)、圧力調整工程(S05)、衝突工程(S06)が再度実施される。
【0040】
液体出力工程(S08)では、微細気泡含有液体が出力される。本実施形態では、自動開閉バルブからなる液体出力部9が開放され、微細気泡含有液体が外部に出力される。以上により、微細気泡含有液体の製造が完了する。
【0041】
<効果>
実施形態に係る微細気泡を含む微細気泡含有液体の製造装置、又は製造方法によれば、散気部4により液体に微細気泡を含有させ、更に、圧力調整部5により圧力を調整して微細気泡を液体に溶解させることで、従来よりも高密度で、微細気泡を液体に含有させることができる。また、水と比較して粘性度が高い粘性液にも微細気泡を含有させることができる。また、散気部4の下流側に圧力調整部5を設けることで、散気部4の上流側に圧力調整部5を設ける場合と比較して、より高密度で、微細気泡を液体に含有させることができる。特に、圧力調整部5により、圧力調整部5よりも上流側、かつ散気部4までを加圧することで、微細気泡を液体に効果的に溶解することができる。また、粘性の高い液状化粧料についても微細気泡を含有させることができる。また、散気部4で液体に微細気泡を含有させた後、混合部6で微細気泡を均一分散させ、更に、その後に圧力調整部で圧力調整(特に加圧)することで、より高密度で、微細気泡を液体に含有させることができる。また、壁部7で微細気泡含有液体を壁に衝突させることで、微細気泡含有液体に衝突エネルギーを印可することができ、より効果的に、微細気泡を液体に含有させることができる。また、圧力調整部5で圧力調整して加圧した後に壁部7を設けることで、加圧状態から常圧に戻る際の力(液体が勢いよく流れる力、液体を噴射する力)を利用して、液体を壁に衝突させることができる。そのため、より効果的に、微細気泡を液体に含有させることができる。更に、微細気泡含有液体を流路部1内に循環させることで、循環しない場合と比較して、より効果的に、微細気泡を液体に含有させることができる。また、粘性の高い化粧水についても微細気泡を含有させることができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明に係る微細気泡含有液体の製造装置、及び製造方法は、これらに限定されるものではない。実施形態では、化粧水に微細気泡を含有させる例を説明したが、液体は、スラッジを含む液体や汚水でもよい。
【符号の説明】
【0043】
S・・・微細気泡含有液体の製造装置、1・・・流路部、2・・・空気供給部、3・・・液体供給部、4・・・散気部、5・・・圧力調整部、6・・・混合部、7・・・壁部、9・・・液体出力部
図1
図2