(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051830
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】スロットアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20240404BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240404BHJP
H01Q 1/40 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01Q1/22 B
H01Q1/40
H01Q1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158175
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 翔太
(72)【発明者】
【氏名】清水 俊宏
【テーマコード(参考)】
5J045
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J045AB05
5J045DA03
5J045NA01
5J046AB08
5J046MA02
5J046QA02
5J047AB08
5J047EB01
(57)【要約】
【課題】アンテナが車両から突出することを抑制しつつ、車両の美観を向上させること。
【解決手段】実施形態に係るスロットアンテナは、車両の外板を構成する板金に設けられたスリット状の開口であるスロットに給電されるスロットアンテナである。スロットアンテナは、カバーを備える。カバーは、開口の外面側を覆うように設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外板を構成する板金に設けられたスリット状の開口であるスロットに給電されるスロットアンテナであって、
前記開口の外面側を覆うように設けられるカバー
を備える、スロットアンテナ。
【請求項2】
前記板金は、前記車両の車室内側に窪んだ凹部を有し、
前記開口は前記凹部の底面に設けられ、
前記カバーは、前記凹部を閉塞するように設けられる、請求項1に記載のスロットアンテナ。
【請求項3】
前記カバーは、上面部と側壁部とからなるU字形状の断面を有し、前記側壁部が前記凹部に嵌め込まれて前記凹部を閉塞する、請求項2に記載のスロットアンテナ。
【請求項4】
前記カバーの前記上面部は、前記車両の外板と同一面をなす、請求項3に記載のスロットアンテナ。
【請求項5】
前記凹部は、前記凹部の縁に、前記凹部の深さが階段状に深くなる段差部を有し、
前記カバーは、前記段差部に嵌め込まれて前記凹部を閉塞する、請求項3に記載のスロットアンテナ。
【請求項6】
前記開口は、車両のルーフを構成する板金に設けられる、請求項1に記載のスロットアンテナ。
【請求項7】
前記開口に複数のアンテナエレメントが設けられ、
前記複数のアンテナエレメントは、単一のカバーで覆われている、請求項1に記載のスロットアンテナ。
【請求項8】
車両の外板を構成する板金に設けられた開口を覆うように設けられ、誘電体で構成されるカバーと、
前記カバーに形成される導体パターンと
を備え、
前記導体パターンは、スロットを形成する、スロットアンテナ。
【請求項9】
前記カバーは、前記板金と電気的に導通する導体パターンを備え、
前記スロットは、前記開口と前記導体パターンとにより形成される、請求項1に記載のスロットアンテナ。
【請求項10】
前記スロットは、少なくとも一部が前記開口の縁と前記導体パターンとの間の隙間により形成される、請求項9に記載のスロットアンテナ。
【請求項11】
前記スロットは、少なくとも一部が前記導体パターンに設けられたスリットにより形成される、請求項9に記載のスロットアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両に搭載されるアンテナ装置に関し、車体の開口部をスロットアンテナとして機能させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、アンテナが車両の外部に突出することを抑制することができる。しかしながら、従来技術では、例えば、車両のルーフ上などに開口部を設ける場合、開口部が外部から目立ち、車両の外観が損なわれるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アンテナが車両から突出することを抑制しつつ、車両の美観を向上させるスロットアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係るスロットアンテナは、車両の外板を構成する板金に設けられたスリット状の開口であるスロットに給電されるスロットアンテナである。スロットアンテナは、カバーを備える。カバーは、開口の外面側を覆うように設けられる。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、アンテナが車両から突出することを抑制しつつ、車両の美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るスロットアンテナの搭載位置を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るスロットアンテナの概略を示す平面図である。
【
図4】
図4は、変形例に係るスロットアンテナの概略を示す断面図である。
【
図5】
図5は、変形例に係るスロットアンテナの概略を示す断面図である。
【
図6】
図6は、変形例に係るスロットアンテナの概略を示す平面図である。
【
図8】
図8は、変形例に係るスロットアンテナの概略を示す平面図である。
【
図10】
図10は、変形例に係るスロットアンテナの概略を示す平面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係るアンテナ装置の概略を示す平面図である。
【
図13】
図13は、複数のアンテナユニットを含むアンテナ装置の概略を示す平面図である。
【
図14】
図14は、複数のアンテナユニットを含むアンテナ装置の概略を示す平面図である。
【
図15】
図15は、筒型アンテナユニットの概略を示す側面図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態に係るスロットアンテナの概略を示す断面図である。
【
図17】
図17は、変形例に係るスロットアンテナの概略を示す平面図である。
【
図18】
図18は、変形例に係るスロットアンテナの概略を示す平面図である。
【
図19】
図19は、変形例に係るスロットアンテナの概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係るスロットアンテナについて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るスロットアンテナ1の搭載位置を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係るスロットアンテナ1は、車両Cに搭載される。スロットアンテナ1は、たとえば、車両CにおけるルーフRに搭載される。
【0011】
スロットアンテナ1が受信する電波の周波数帯は、例えば、VHF帯(30~300MHz)やUHF帯(300MHz~3000MHz)であり、FM(Frequency Modulation)ラジオ放送、AM(Amplitude Modulation)ラジオ放送、DAB(Digital Audio Broadcast)、DTV(Digital TeleVision)等の放送波が含まれる周波数帯である。また、スロットアンテナ1は、V2X(Vehicle to Everything)、GNSS(Global Navigation Satellite System)などの通信に用いられるアンテナであってもよい。
【0012】
なお、
図1を含む以降の図では、3軸の直交座標軸を示している。具体的には、X軸は、車両Cの進行方向(前後方向)に対応しており、正側が後方、負側が前方として規定される。Y軸は、車両Cの車幅方向に対応しており、正側が車両右側、負側が車両左側として規定される。Z軸は、車両Cの高さ方向に対応しており、正側が上方側、負側が下方側として規定される。
【0013】
次に、
図2、および、
図3を用いて、第1実施形態に係るスロットアンテナ1の構成例について説明する。
図2は、第1実施形態に係るスロットアンテナ1の概略を示す平面図である。
図3は、
図2のIII-III断面図である。スロットアンテナ1は、スロット部2と、給電点3と、カバー4とを備える。
【0014】
スロット部2は、板金7によって形成される。板金7は、車両Cの外板を構成する。板金7は、ルーフRを構成する。スロット部2は、車両Cの外板を構成する板金7によって形成される。板金7は、凹部7aを有する。凹部7aは、車両Cの車室内側に窪むように形成される。凹部7aは、車両Cの車幅方向(Y軸方向)に延びるように形成される。スロット部2は、凹部7aに形成される。具体的には、スロット部2は、凹部7aの底部7bに形成される。
【0015】
スロット部2には、スリット状の開口部10(開口)が形成される。スロット部2には、スロット11が設けられる。具体的には、スリット状の開口部10が、外部からの電波を受信するスロット11として機能する。換言すると、スロット11は、車両Cの外板を構成する板金7に設けられたスリット状の開口である。開口部10は、凹部7aの底部7b(底面)に設けられる。スロットアンテナ1は、スロット11に給電される。
【0016】
スロット11(開口部10)は、車両Cの車幅方向(Y軸方向)に延びるように形成される。スロット11は、2つの両端部11aと、中央部11bとを含む。
【0017】
なお、凹部7aは、車両Cの進行方向(X軸方向)に延びるように形成されてもよい。スロット11は、車両Cの進行方向に延びるように形成されてもよい。
【0018】
両端部11aは、スロット11の長手方向(Y軸方向)の両端に設けられる。各両端部11aは、矩形状に形成される。
【0019】
中央部11bは、2つの両端部11aの間に設けられ、2つの両端部11aを接続する。中央部11bは、矩形状に形成される。中央部11bは、スロット11の短手方向(X軸方向)における両端部11aの中央付近に接続される。スロット11の短手方向における中央部11bの長さは、スロット11の短手方向における両端部11aの長さよりも短い。すなわち、スロット11は、平面視において、略ダンベル形状に形成される。
【0020】
スロット11を略ダンベル形状にすることで、スロットアンテナ1は、スロット11の車幅方向の長さを短くしつつ、広い周波数帯域の電波を受信することができ、アンテナ性能を向上させることができる。
【0021】
給電点3は、スロット11の幅方向(X軸方向)の両側に配置される。具体的には、給電点3は、中央部11bの幅方向(X軸方向)において、中央部11bの両側に配置される。給電点3は、中央部11bを形成する板金7に接続される。一方の給電点3は、給電線である同軸ケーブルの中心導体に接続される。他方の給電点3は、同軸ケーブルの外導体に接続される。外導体は、中心導体を囲むように設けられる。スロットアンテナ1は、給電点3によって、スロット11に給電される。
【0022】
カバー4は、誘電体(典型的には絶縁体)によって構成される。カバー4は、たとえば、樹脂製である。カバー4は、樹脂製のガーニッシュである。カバー4は、開口部10の外面側を覆うように設けられる。すなわち、カバー4は、スロット11の外面側を覆うように設けられる。開口部10の外面側は、車両Cの車外側である。カバー4は、凹部7aを閉塞するように設けられる。カバー4は、上面部4aと、側壁部4bとからなるU字形状の断面を有する。側壁部4bは、凹部7aに挿入される。カバー4は、側壁部4bが凹部7aに嵌め込まれて凹部7aを閉塞する。カバー4は、板金7に固定される。
【0023】
なお、好適には、板金7とカバー4の隙間には水などの侵入を防ぎ、また、板金7とカバー4の段差を目立たなくするように、ゴム、およびコーキング材などの介在物が充填される。
【0024】
カバー4の形状は、凹部7aの周囲の板金7の形状に合わせて設けられる。すなわち、カバー4の形状は、ルーフRに合わせて設けられる。たとえば、カバー4は、凹部7aの周囲の板金7よりも車両Cの車外に突出しないように設けられる。具体的には、上面部4aは、車両Cの外板と同一面をなす。また、カバー4は、凹部7aの周囲の板金7よりも車両Cの車室内側に窪まないように設けられる。また、ルーフRが湾曲する形状であり、凹部7aの周囲の板金7が湾曲する形状である場合、カバー4の形状は、ルーフRの湾曲形状に合わせて湾曲するように設けられる。
【0025】
なお、カバー4は、
図4に示すように、板状であってもよい。板状のカバー4は、板金7に形成される段部7c(段差部)に嵌められる。段部7cは、凹部7aの縁に設けられる。段部7cは、凹部7aの深さが階段状に深くなるように設けられる。カバー4は、段部7cに嵌め込まれることで、凹部7aを閉塞する。
図4は、変形例に係るスロットアンテナ1の概略を示す断面図である。
【0026】
これにより、スロットアンテナ1は、カバー4が、車両Cの外観において目立つことを抑制することができる。そのため、スロットアンテナ1は、車両Cの美観を向上させることができる。
【0027】
スロットアンテナ1は、車両Cの外板を構成する板金7に設けられたスリット状の開口部10であるスロット11に給電される。スロットアンテナ1は、カバー4を備える。カバー4は、開口部10の外面側を覆うように設けられる。
【0028】
これにより、スロットアンテナ1は、カバー4によって開口部10の外面側を覆うことで、スロットアンテナ1が車両Cから突出することを抑制することができる。スロットアンテナ1は、車両Cの外観が損なわれることを抑制し、車両Cの美観を向上させることができる。
【0029】
また、板金7は、凹部7aを有する。凹部7aは、車両Cの車室内側に窪むように形成される。開口部10は、凹部7aの底部7bに設けられる。カバー4は、凹部7aを閉塞するように設けられる。
【0030】
これにより、スロットアンテナ1は、凹部7aが、車両Cの外観において目立つことを抑制することができる。そのため、スロットアンテナ1は、車両Cの美観を向上させることができる。
【0031】
また、カバー4は、上面部4aと、側壁部4bとからなるU字形状の断面を有し、側壁部4bが凹部7aに嵌め込まれて凹部7aを閉塞する。
【0032】
これにより、スロットアンテナ1は、側壁部4bによってカバー4が凹部7aから抜けることを抑制することができる。
【0033】
また、カバー4の上面部4aは、車両Cの外板と同一面をなす。
【0034】
これにより、スロットアンテナ1は、カバー4が、車両Cの外観において目立つことを抑制することができる。そのため、スロットアンテナ1は、車両Cの美観を向上させることができる。
【0035】
また、開口部10は、車両CのルーフRを構成する板金7に設けられる。
【0036】
これにより、スロットアンテナ1は、部品点数減らすことができる。
【0037】
板金7に凹部7aが設けられ、スロット11が凹部7aの底部7bに設けられるスロットアンテナ1の一例について説明したが、これに限られることはない。スロットアンテナ1のスロット11は、
図5に示すように、凹部を有さない板金13に設けられてもよい。カバー4は、板金13から車両Cの外側に突出するように設けられる。
図5は、変形例に係るスロットアンテナ1の概略を示す断面図である。
【0038】
また、板金7の凹部7aに開口部10を設け、開口部10をスロット11として機能させるスロットアンテナ1の一例について説明したが、これに限られることはない。スロットアンテナ1は、
図6、および、
図7に示すように、板金20の凹部20aの底部20bに開口部20cが形成され、開口部20cに、スロット22を有する導体板21を設けてもよい。
図6は、変形例に係るスロットアンテナ1の概略を示す平面図である。
図7は、
図6のVI-VI断面図である。
【0039】
開口部20cは、矩形状である。開口部20cは、車両Cの車幅方向(Y軸方向)に延びるように設けられる。
【0040】
導体板21は、たとえば、板状の金属部材である。導体板21は、開口部20cと同一面となるように設けられる。導体板21は、開口部20cを形成する板金20の底部20bと同一面となるように設けられる。なお、「同一面」とは、完全な同一面だけでなく、数cm(たとえば、5cm)程度までの誤差があるものも含む。
【0041】
導体板21は、金属製のブラケット24によって板金20に接続される。導体板21は、複数のブラケット24によって板金20に接続される。導体板21は、ブラケット24によって、板金20と電気的に導通する。導体板21には、スロット22が形成される。スロット22は、開口部20cの長手方向(Y軸方向)に延びるように設けられる。スロット22は、ダンベル形状である。導体板21は、スロット部として機能する。
【0042】
スロットアンテナ1は、導体板21を備える。導体板21は、板金20と電気的に導通し、開口部20cに設けられ、かつ、開口部20cと同一面となるように設けられる。導体板21には、開口部20cの長手方向に延びるスロット22が形成される。
【0043】
これにより、スロットアンテナ1は、矩形状の開口部20cが板金20に設けられ、開口部20cに導体板21を設けることでスロット22を形成することができる。そのため、スロットアンテナ1を設けるための板金加工が容易になる。また、スロット22が形成された導体板21を開口部20cに取り付けることで、スロットアンテナ1が構成されるため、スロットアンテナ1の組み立て作業が容易になる。また、導体板21を開口部20cと同一面とすることで、スロットアンテナ1は、導体板21が車両Cから突出することを抑制することができる。そのため、スロットアンテナ1は、車両Cの外観が損なわれることを抑制し、車両Cの美観を向上させることができる。
【0044】
また、スロットアンテナ1は、
図8、および、
図9に示すように、矩形状の開口部20cに導体板30を配置することで、開口部20cにスロット31を形成してもよい。
図8は、変形例に係るスロットアンテナ1の概略を示す平面図である。
図9は、
図8のIX-IX断面図である。
【0045】
導体板30は、開口部20cの長手方向(Y軸方向)の中央に設けられる。導体板30は、開口部20cの長手方向における導体板30の両端と、開口部20cとの間にスペース32が形成されるように設けられる。スペース32は、たとえば、平面視において矩形状である。
【0046】
導体板30は、たとえば、基板33に導体パターン34が積層されて構成される。基板33は、たとえば、ガラスエポキシ、および、セラミックなどの絶縁物の基板である。導体パターン34は、たとえば、基板33にプリント印刷される。導体板30は、一般的なプリント配線板の構造を利用して構成することができる。導体パターン34は、金属製のブラケットによって板金7に接続される。導体パターン34は、第1導体パターン34aと、第2導体パターン34bとを含む。
【0047】
第1導体パターン34aは、たとえば、矩形状に形成される。第1導体パターン34aは、金属製のブラケット24aによって、板金20と電気的に導通する。
【0048】
第2導体パターン34bは、たとえば、矩形状に形成される。第2導体パターン34bは、金属製のブラケット24bによって、板金20と電気的に導通する。
【0049】
導体板30は、第1導体パターン34aと第2導体パターン34bとの間に、スリット35を有する。スリット35は、基板33に導体パターン34が積層されない非積層部である。スリット35は、開口部20cの長手方向に延びるように設けられる。スリット35は、開口部20cの長手方向に沿って直線状に設けられる。スリット35は、開口部20cの短手方向における導体板30の中央に設けられる。スリット35は、開口部20cの長手方向の両側に設けられるスペース32につながるように形成される。
【0050】
開口部20cを形成する板金20と、導体板30の導体パターン34とによって、平面視において、ダンベル形状となるスロット31が形成される。スロット31は、スペース32と、スリット35とを含む。すなわち、導体板30には、スロット31の一部が形成される。板金20と導体板30とは、スロット部として機能する。
【0051】
これにより、スロットアンテナ1を設けるための板金加工が容易になる。また、スリット35が形成された導体板30を開口部20cに取り付けることで、スロットアンテナ1が構成されるため、スロットアンテナ1の組み立て作業が容易になる。また、開口部20cと導体板30との間のスペース32がスロット31の一部として機能するため、開口部20cの長手方向(Y軸方向)、および、開口部20cに短手方向(X軸方向)におけるスロット31の長さを長くすることができる。そのため、スロットアンテナ1は、低い周波数帯の電波を効率的に受信することができる。すなわち、スロットアンテナ1は、受信可能な周波数帯を広げることができる。
【0052】
導体板40の導体パターン41は、
図10に示すように、スリット42がL字状に屈曲するように形成されてもよい。
図10は、変形例に係るスロットアンテナ1の概略を示す平面図である。たとえば、第1導体パターン41aは、L字状に形成される。第2導体パターン41bは、矩形状に形成される。
【0053】
第1導体パターン41aは、開口部20cの短手方向(X軸方向)の一方の端部側において、金属製のブラケット24aによって板金20に接続される。第1導体パターン41aは、開口部20cの短手方向の他方の端部側において板金20に接続されない。なお、第1導体パターン41aは、開口部20cの短手方向の他方の端部側において、絶縁物を介して板金20に接続されてもよい。また、第1導体パターン41aは、開口部20cの短手方向の他方の端部側において、絶縁体のブラケットによって板金20に接続されてもよい。
【0054】
スリット42は、第1スリット42aと、第2スリット42bとを含む。すなわち、導体板40は、第1スリット42aと、第2スリット42bとを含む。第1スリット42aは、導体パターン41が基板33に積層されない非積層部である。第2スリット42bは、導体パターン41が基板33に積層されない非積層部である。
【0055】
第1スリット42aは、開口部20cの長手方向(Y軸方向)に沿って形成される。第2スリット42bは、開口部20cの短手方向(X軸方向)に沿って形成される。第2スリット42bの一端は、第1スリット42aに接続する。第2スリット42bの他端は、第3スリット43に接続する。第3スリット43は、導体板40と板金20との間に形成される隙間である。具体的には、第3スリット43は、開口部20cの短手方向において、板金20に電気的に導通されない第1導体パターン41aの端部と、板金20と間に形成される隙間である。
【0056】
スロット45は、スペース32と、第1スリット42aと、第2スリット42bと、第3スリット43とを含む。
【0057】
導体板30は、第1スリット42aと、第2スリット42bとを含む。第1スリット42aは、開口部20cの長手方向に沿って形成される。第2スリット42bは、開口部20cの短手方向に沿って形成される。第2スリット42bの一端は、第1スリット42aに接続される。第2スリット42bの他端は、導体板40と板金20との間に形成される第3スリット43に接続される。
【0058】
これにより、スロットアンテナ1は、スロット45の長さを長くすることができる。そのため、スロットアンテナ1は、低い周波数帯の電波を効率的に受信することができる。すなわち、スロットアンテナ1は、受信可能な周波数帯を広げることができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、
図11、および、
図12を用いて、第2実施形態に係るアンテナ装置60の構成例について説明する。アンテナ装置60は、スロットアンテナ1と同様に、車両CのルーフRに搭載される。
図11は、第2実施形態に係るアンテナ装置60の概略を示す平面図である。
図12は、
図11のXII-XII断面図である。第2実施形態に係るアンテナ装置60は、第1実施形態とは異なる箇所を中心に説明される。第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態における符号を同じ符号が付される。
【0060】
アンテナ装置60は、アンテナユニット61と、カバー4とを備える。アンテナユニット61は、板金20の凹部20aに形成された開口部20cに設けられる。
【0061】
アンテナユニット61は、ケース62に収容される。ケース62は、誘電体によって構成される。ケース62は、たとえば、樹脂製である。アンテナユニット61は、ケース62に収容された状態で開口部20cに設けられる。
【0062】
アンテナユニット61は、スロットアンテナエレメント63と、アンテナアンプとを有する。スロットアンテナエレメント63は、スロット31を形成する導体板30、および、給電点3などを含む。アンテナアンプは、給電点3によって取得した電波を電気信号に変換する受信回路などを含む。
【0063】
アンテナユニット61は、ブラケット64によって板金20に支持される。ブラケット64は、金属製のブラケットを含む。導体板30の導体パターン34は、金属製のブラケット64によって板金20と電気的に導通する。導体板30は、板金20と電気的に導通し、開口部20cに設けられ、かつ、開口部20cと同一面となるように設けられる。
【0064】
導体板30には、開口部20cの長手方向(Y軸方向)に延びるスロット31の少なくとも一部が形成される。導体板30に形成されるスロット31は、
図11に示すように、開口部20cの長手方向に沿って直線状に形成されるスリット35である。
【0065】
なお、導体板30に形成されるスロット31は、
図10に示すように、L字状のスリット42であってもよい。また、アンテナユニット61におけるスロット31は、
図6に示すように、導体板21に形成される略ダンベル形状のスロット22であってもよい。
【0066】
アンテナ装置60は、アンテナユニット61と、カバー4とを備える。アンテナユニット61は、車両Cの外板を構成する板金20の開口部20cに設けられ、スロットアンテナエレメント63を有する。カバー4は、誘電体で構成され、開口部20cの外面側を覆うように設けられる。
【0067】
これにより、アンテナ装置60は、アンテナユニット61が車両Cから突出することを抑制することができる。アンテナ装置60は、車両Cの外観が損なわれることを抑制し、車両Cの美観を向上させることができる。アンテナユニット61を開口部20cに取り付けることで、アンテナ装置60の組み立てることができ、アンテナ装置60の組み立て作業が容易となる。
【0068】
スロットアンテナエレメント63は、板金20と電気的に導通し、かつ、開口部20cと同一面となるように設けられる導体板30を含む。導体板30には、開口部20cの長手方向に延びるスロット31の少なくとも一部が形成される。
【0069】
スロット31が形成された導体板30を有するアンテナユニット61を開口部20cに取り付けることで、スロットアンテナが構成されるため、アンテナ装置60の組み立て作業が容易になる。また、導体板30を開口部20cと同一面とすることで、アンテナ装置60は、アンテナユニット61が車両Cから突出することを抑制することができる。そのため、アンテナ装置60は、車両Cの外観が損なわれることを抑制し、車両Cの美観を向上させることができる。
【0070】
また、アンテナ装置60は、複数のアンテナユニットを備えてもよい。複数のアンテナユニットは、開口部20cに設けられる。複数のアンテナユニットは、異なる周波数帯の放送波を受信可能なアンテナユニットを含む。たとえば、1つのアンテナユニットは、FMラジオ放送などの放送波を受信するアンテナユニットであり、他のアンテナユニットは、V2Xなどの電波を受信するアンテナユニットである。
【0071】
たとえば、複数のアンテナユニットは、
図13に示すように、上記するスロットアンテナエレメント63を有するアンテナユニット61と、平板アンテナユニット66とを含む。
図13は、複数のアンテナユニット61、66を含むアンテナ装置60の概略を示す平面図である。
【0072】
平板アンテナユニット66は、たとえば、アンテナユニット61の導体板30よりも上方に設けられる。平板アンテナユニット66は、たとえば、ホームベース形状のアンテナ部67によって電波を受信する。平板アンテナユニット66では、ホームベース形状の三角形状の頂点68に給電点が設けられる。アンテナ装置60は、Z軸方向において、平板アンテナユニット66と、アンテナユニット61の導体板30との距離を所定距離(たとえば、5mm)以上空けることで、平板アンテナユニット66による導体板30へのアンテナ性能の悪影響を回避できる。
【0073】
なお、アンテナユニット61の導体板は、
図6に示す導体板21であってもよく、
図10に示す導体板40であってもよい。
【0074】
また、複数のアンテナユニットは、
図14に示すように、上記するスロットアンテナエレメント63を有するアンテナユニット61と、筒型アンテナユニット70とを含んでもよい。
図14は、複数のアンテナユニット61、70を含むアンテナ装置60の概略を示す平面図である。
【0075】
筒型アンテナユニット70は、たとえば、アンテナユニット61の導体板30よりも上方に設けられる。筒型アンテナユニット70は、たとえば、平面視において矩形状に形成される。筒型アンテナユニット70は、
図15に示すように、筒状導体71と、平板状導体72a、72bとを含む。
図15は、筒型アンテナユニット70の概略を示す側面図である。
【0076】
筒状導体71は、Z軸方向に延びる。平板状導体72a、72bは、筒状導体71の端部からX軸、および、Y軸方向に延びる。平板状導体72a、72bは、Z軸方向に離間して設けられる。筒型アンテナユニット70では、筒状導体71の周方向に沿ったスロット73が形成される。
【0077】
筒状導体71の一部71aは、平板状導体72bに形成される貫通孔を、平板状導体72bに接触することなく貫通する。筒状導体71の一部71aは、給電点として機能する。貫通孔が形成される平板状導体72bにも給電点が接続される。給電点は、スロット73の幅方向(Z軸方向)の両側に配置されてもよい。
【0078】
アンテナ装置60は、Z軸方向において、筒型アンテナユニット70と導体板30との距離を所定距離(たとえば、5mm)以上空けることで、筒型アンテナユニット70による導体板30へのアンテナ性能の悪影響を回避できる。
【0079】
なお、平板アンテナユニット66、または、筒型アンテナユニット70は、スロットアンテナエレメント63を有するアンテナユニット61におけるスペース32に設けられてもよい。
【0080】
アンテナ装置60は、複数のアンテナユニットを備える。複数のアンテナユニットは、車両Cの外板を構成する板金20の開口部20cに設けられる。複数のアンテナユニットは、平板アンテナユニット66、および、筒型アンテナユニット70の少なくとも1つを含む。
【0081】
これにより、アンテナ装置60は、複数のアンテナユニットによって異なる周波数帯の電波を受信することができる。また、アンテナ装置60は、複数のアンテナユニットをまとめて開口部20cに設けることができる。
【0082】
また、アンテナ装置60は、複数のアンテナユニットを単一のカバー4で覆うようにしてもよい。
【0083】
これにより、アンテナ装置60は、外板である板金20に設ける開口部20cを最小限にすることができる。また、アンテナ装置60は、カバー4などの部材の点数を減らすことができる。そのため、アンテナ装置60は、加工の容易性やコストダウンに有利である。
【0084】
(第3実施形態)
次に、
図16を用いて、第3実施形態に係るスロットアンテナ1の構成例について説明する。
図16は、第3実施形態に係るスロットアンテナ1の概略を示す断面図である。第3実施形態に係るスロットアンテナ1は、第1実施形態とは異なる箇所を中心に説明される。第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態における符号を同じ符号が付される。
【0085】
スロットアンテナ1は、カバー4の車両Cの車室内側に導体パターン90が形成される。導体パターン90は、誘電体で構成されるカバー4に積層される。導体パターン90は、スロット91を形成する。すなわち、スロットアンテナ1は、カバー4の車室内側の面にスロット91が形成される。導体パターン90は、板金20に配線92によって導電接続される。すなわち、導体パターン90は、板金20と電気的に導通する。カバー4は、板金20の開口部20cを覆うように設けられる。
【0086】
導体パターン90は、例えば、カバー4の表面(車室内側の面)に導電性塗料を塗布して形成される。また、導体パターン90は、例えば、カバー4の表面に銅、および、アルミニウムなどの金属箔を貼り付けたものでもよい。導体パターン90は、例えば、カバー4の表面に銅、および、アルミニウムなどの金属板を貼り付けたものでもよい。導体パターン90は、例えば、カバー4の表面に銅、および、アルミニウムなどを真空蒸着した蒸着膜でもよい。
【0087】
導体パターン90は、例えば、可撓性のあるプラスチックフィルムの表面に導電性塗料によりパターンを形成したものをカバー4の表面に貼り付けたものでもよい。導体パターン90は、例えば、可撓性のあるプラスチックフィルムの表面に蒸着膜によりパターンを形成したものをカバー4の表面に貼り付けたものでもよい。
【0088】
なお、導体パターン90が導電性塗料、および、蒸着膜のように厚みが薄いものであれば、カバー4の車両Cの車室外側に形成されていてもよい。この場合、導体パターン90は、導体パターン90の上からさらに塗装などが施されることで、耐久性を高めることができる。
【0089】
スロットアンテナ1は、カバー4と、導体パターン90とを備える。カバー4は、車両Cの外板を構成する板金20に設けられた開口部20cを覆うように設けられ、誘電体で構成される。導体パターン90は、カバー4に形成される。導体パターン90は、スロット91を形成する。
【0090】
これにより、スロットアンテナ1は、カバー4自体にスロット91が設けられる。そのため、スロットアンテナ1は、別途導体板21などを開口部20cに配置することなくスロットアンテナを構成できる。スロットアンテナ1は、構造が簡略化され、加工や組み立て性の向上が図られる。また、スロットアンテナ1は、部品点数が少なくなりコストダウンにも有利である。
【0091】
他の例として、
図17に示すように、導体パターン90は、板金20の開口部20cの長手方向の中間部分に位置するように配置され、導体パターン90と開口部20cの縁との間には隙間94が設けられる。そして、開口部20cのうち、導体パターン90が配置されていない、長手方向の両端部分が、導体パターン90と開口部20cとの隙間94によって繋がれ、全体として、中央部分が狭く両端部分が広いスロット95を形成する。すなわち、スロット95は、開口部20cと導体パターン90とにより形成される。スロット95は、少なくとも一部が、開口部20cの縁と導体パターン90との間の隙間94により形成される。スロットアンテナ1は、このスロット95がアンテナ素子として機能するアンテナである。
図17は、変形例に係るスロットアンテナ1の概略を示す平面図である。
【0092】
これにより、スロットアンテナ1は、カバー4に設けられた導体パターン90と板金20の開口部20cとが全体としてスロット95を形成する。そのため、スロットアンテナ1は、別途導体板21などを開口部20cに配置することなくスロットアンテナを構成できる。スロットアンテナ1は、構造が簡略化され、加工や組み立て性の向上が図られる。また、スロットアンテナ1は、部品点数が少なくなりコストダウンにも有利である。
【0093】
別の例として、
図18に示すように、導体パターン90は、板金20の開口部20cの長手方向の中間部分に位置するように配置され、導体パターン90には溝(スリット)90aが設けられる。そして、開口部20cのうち、導体パターン90が配置されていない、長手方向の両端部分が、導体パターン90に設けられた溝90aによって繋がれ、全体として、中央部分が狭く両端部分が広いスロット96を形成する。すなわち、スロット96は、少なくとも一部が導体パターン90に設けられた溝90aにより形成される。スロットアンテナ1は、このスロット96がアンテナ素子として機能するアンテナである。
図18は、変形例に係るスロットアンテナ1の概略を示す平面図である。
【0094】
さらに、別の例として、
図19に示すように、導体パターン90は、板金20の開口部20cの長手方向の中間部分に位置するように配置され、導体パターン90と開口部20cの縁との間には隙間97が設けられる。さらに導体パターン90には溝(スリット)98が設けられる。そして、開口部20cのうち、導体パターン90が配置されていない、長手方向の両端部分が、導体パターン90と開口部20cとの隙間97と、導体パターン90に設けられた溝98によって繋がれる。これにより、全体として、中央部分が狭く両端部分が広いスロット99が形成される。スロットアンテナ1は、このスロット99がアンテナ素子として機能するアンテナである。
図19は、変形例に係るスロットアンテナ1の概略を示す平面図である。
【0095】
スロットアンテナ1は、カバー4に設けられた導体パターン90と板金20の開口部20cとが全体としてスロット96、99を形成する。これにより、スロットアンテナ1は、別途導体板21などを開口部20cに配置することなくスロットアンテナを構成できる。スロットアンテナ1は、構造が簡略化され、加工や組み立て性の向上が図られる。また、スロットアンテナ1は、部品点数が少なくなりコストダウンにも有利である。
【0096】
上記したスロットアンテナ1、および、アンテナ装置60においては、以下の構成を有してもよい。
【0097】
車両Cの外板を構成する板金20の開口部20cよりも車室内側に、開口部20cに向かい合うように板金が設けられてもよい。
【0098】
これにより、たとえば、スロットアンテナ1は、車室内のノイズを受信することを抑制することができる。
【0099】
また、スロットアンテナ1、および、アンテナ装置60は、バックドア、および、ピラーなどの車両Cのボデーに設けられてもよい。
【0100】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 スロットアンテナ
2 スロット部
3 給電点
4 カバー
7、13、20 板金
7a、20a 凹部
10、20c 開口部
11、22、31、91、95、96、99 スロット
21、30、40 導体板
34、41、90 導体パターン
35、42 スリット
42a 第1スリット
42b 第2スリット
43 第3スリット
60 アンテナ装置
61 アンテナユニット
62 ケース
63 スロットアンテナエレメント
66 平板アンテナユニット
70 筒型アンテナユニット
94、97 隙間
90a、98 溝
C 車両