(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051837
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B65D1/02 232
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158192
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏正
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA17
3E033BA18
3E033BB01
3E033BB08
3E033CA02
3E033CA16
3E033DA03
3E033DB01
3E033DD05
3E033DD20
(57)【要約】
【課題】接地部の変形を抑える。
【解決手段】合成樹脂材料で形成された有底筒状のボトル1であって、底部14が、外周縁部に接地部18が位置する底壁部19と、接地部の外周縁から上方に向けて延びる筒状のヒール部17と、を備え、ヒール部は、径方向の外側に向けて突の曲面状に形成され、ヒール部に、複数の凹部21が周方向に間隔あけて配設され、凹部は、下方から見て、径方向の外端縁21aが周方向に延び、かつ径方向の外端縁から径方向の内側に向けて張り出した半円形状を呈し、凹部の底面21bは、接地部から離れている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料で形成された有底筒状のボトルであって、
底部が、外周縁部に接地部が位置する底壁部と、前記接地部の外周縁から上方に向けて延びる筒状のヒール部と、を備え、
前記ヒール部は、径方向の外側に向けて突の曲面状に形成され、
前記ヒール部に、複数の凹部が周方向に間隔あけて配設され、
前記凹部は、下方から見て、径方向の外端縁が周方向に延び、かつ径方向の外端縁から径方向の内側に向けて張り出した半円形状を呈し、
前記凹部の底面は、前記接地部から離れている、ボトル。
【請求項2】
前記凹部の径方向の外端縁は、周方向の全長にわたって連続して延びるパーティングライン上に位置している、請求項1に記載のボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、合成樹脂材料で有底筒状に形成されたボトルとして、例えば下記特許文献1に示されるように、底部が、外周縁部に接地部が位置する底壁部と、接地部の外周縁から上方に向けて延びる筒状のヒール部と、を備え、ヒール部が、径方向の外側に向けて突の曲面状に形成された構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のボトルでは、例えば、上下方向に大きな圧縮荷重が加えられたとき、若しくは高温の内容物が充填されたとき等に、接地部が変形するおそれがある。この問題はボトルの軽量化に伴い顕在化する。
【0005】
本発明は、接地部の変形を抑えることができるボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るボトルは、合成樹脂材料で形成された有底筒状のボトルであって、底部が、外周縁部に接地部が位置する底壁部と、前記接地部の外周縁から上方に向けて延びる筒状のヒール部と、を備え、前記ヒール部は、径方向の外側に向けて突の曲面状に形成され、前記ヒール部に、複数の凹部が周方向に間隔あけて配設され、前記凹部は、下方から見て、径方向の外端縁が周方向に延び、かつ径方向の外端縁から径方向の内側に向けて張り出した半円形状を呈し、前記凹部の底面は、前記接地部から離れている。
【0007】
上記態様によれば、接地部の外周縁から上方に向けて延びるヒール部に、複数の凹部が周方向に間隔あけて配設されているので、接地部の剛性を向上させることが可能になり、例えば、上下方向に大きな圧縮荷重が加えられたとき、若しくは高温の内容物が充填されたとき等に、接地部が変形するのを抑制することができる。
凹部が、下方から見て、径方向の外端縁が周方向に延び、かつ径方向の外端縁から径方向の内側に向けて張り出した半円形状を呈するので、凹部のうち、接地部に最も近い径方向の内端部が、半円形状の頂部となり、凹部のうち、半円形状の頂部以外の部分を、接地部から径方向の外側に離しやすくなる。したがって、例えば、下方から見て矩形状を呈し、径方向の内端縁が周方向に延びる矩形凹部と比べて、凹部を設けたことで、接地部を精度よく成形することが困難になるのを抑制することができる。
凹部が、下方から見て前述のような半円形状を呈するので、前記矩形凹部と比べて角部分を削減することが可能になり、ブロー成形時に過度に延伸されて局所的に薄くなる部分を生じにくくすることができる。
凹部が、下方から見て、径方向の外側部分が切除されたような半円形状を呈するので、例えば、下方から見て円形状を呈する凹部と比べて、ヒール部のうち、接地部に隣接する径方向の内端部の剛性を集中的に向上させやすくなり、接地部の剛性を確実に向上させることができる。
凹部の底面が、接地部から離れているので、凹部を設けたことで、接地安定性を確保することが困難になるのを抑制することができる。
【0008】
前記凹部の径方向の外端縁は、周方向の全長にわたって連続して延びるパーティングライン上に位置してもよい。
【0009】
凹部の径方向の外端縁が、周方向の全長にわたって連続して延びるパーティングライン上に位置しているので、離型性に優れたボトルを得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、接地部の変形を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る一実施形態として示したボトルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るボトルを説明する。
本実施形態に係るボトル1は、
図1および
図2に示されるように、口部11、肩部12、胴部13および底部14を備え、これら11~14が、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設された概略構成となっている。
【0013】
以下、前記共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸O方向に沿って口部11側を上側、底部14側を下側といい、ボトル軸Oに沿う方向を上下方向といい、また、上下方向から見てボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見てボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
なお、ボトル1は、射出成形により有底筒状に形成されたプリフォームが、ブロー成形されて形成され、合成樹脂材料で一体に形成されている。口部11、肩部12、胴部13および底部14はそれぞれ、ボトル軸Oに直交する横断面視形状が円形状となっている。
【0014】
口部11の外周面には、図示しないキャップが螺着される雄ねじ部が形成されている。口部11において、雄ねじ部より下方に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びるネックリング11aが形成されている。口部11のうち、ネックリング11aより下方に位置する下端部の外周面は、平滑面となっている。
【0015】
胴部13には、径方向から見て上下方向に長い長方形状を呈する複数のパネル部13aが、周方向に間隔をあけて形成されている。胴部13において、パネル部13aより下方に位置する下端部に、周方向の全長にわたって連続して延びる環状溝15が形成されている。なお、環状溝15は、胴部13のうち、下端部以外の部分に形成されてもよい。
【0016】
底部14は、外周縁部に接地部18が位置する底壁部19と、接地部18の外周縁18aから上方に向けて延びる筒状のヒール部17と、を備える。ヒール部17は、径方向の外側に向けて突の曲面状に形成されている。ヒール部17の上端開口縁が、胴部13の下端開口縁に接続されている。ヒール部17の下端開口縁が、底壁部19の外周縁、つまり接地部18の外周縁18aに接続されている。底壁部19において、接地部18より径方向の内側に位置する部分は、上方に向けて窪んだ陥没部16となっている。なお、底壁部19は陥没部16を有しなくてもよい。
【0017】
ボトル1は、 ボトル軸O回りに複数に分割された胴部金型と、胴部金型に対して上下方向に接近・離間する底部金型と、により成形される。ボトル1の外周面には、胴部金型の合わせ面により形成された上下方向に延びる不図示のパーティングラインと、胴部金型と底部金型との合わせ面により形成された周方向に延びるパーティングラインL1と、が設けられている。パーティングラインL1は、ヒール部17に位置し、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【0018】
そして、本実施形態では、ヒール部17に、複数(図示の例では24個)の凹部21が周方向に間隔あけて配設されている。凹部21は、周方向に等間隔をあけて設けられている。凹部21は、径方向の外側を向く斜め下方に向けて開口している。凹部21は、下方から見て、径方向の外端縁21aが周方向に延び、かつ径方向の外端縁21aから径方向の内側に向けて張り出した半円形状を呈する。凹部21の周方向の大きさは、下方から見て、径方向の外側から内側に向かうに従い短くなっている。
【0019】
凹部21の径方向の外端縁21aは、周方向に真直ぐ延びている。凹部21の径方向の外端縁21aは、ボトル軸Oを中心とする同一の円弧状に位置している。凹部21の径方向の外端縁21aは、パーティングラインL1上に位置している。
なお、凹部21の径方向の外端縁21aを、パーティングラインL1から離してもよい。例えば、パーティングラインL1は、凹部21と交差してもよい。
【0020】
凹部21の径方向の外端縁21aの長さは、周方向で互いに隣り合う凹部21の径方向の外端縁21a同士の間隔より長く、かつ周方向で互いに隣り合う凹部21の径方向の内端部同士の間隔より短くなっている。凹部21の径方向の外端縁21aの長さは、下方から見た、凹部21の径方向の大きさより長くなっている。
【0021】
凹部21の底面21bは、接地部18から離れている。凹部21の底面21bは、接地部18から上方に離れている。凹部21の底面21bは、接地部18から径方向の外側に離れている。凹部21の径方向の内端部は、接地部18の外周縁18aに外接している。
なお、凹部21の底面21b、および接地部18それぞれの径方向の位置は、互いに同じであってもよい。凹部21の径方向の内端部は、接地部18の外周縁18aから径方向の外側に離れてもよい。
凹部21は、底面21bの外周縁から立上り、底部14の外表面に接続された側面21cを有している。
【0022】
以上説明したように、本実施形態によるボトル1によれば、接地部18の外周縁18aから上方に向けて延びるヒール部17に、複数の凹部21が周方向に間隔あけて配設されているので、接地部18の剛性を向上させることが可能になり、例えば、上下方向に大きな圧縮荷重が加えられたとき、若しくは高温の内容物が充填されたとき等に、接地部18が変形するのを抑制することができる。
【0023】
凹部21が、下方から見て、径方向の外端縁21aが周方向に延び、かつ径方向の外端縁21aから径方向の内側に向けて張り出した半円形状を呈するので、凹部21のうち、接地部18に最も近い径方向の内端部が、半円形状の頂部となり、凹部21のうち、半円形状の頂部以外の部分を、接地部18から径方向の外側に離しやすくなる。したがって、例えば、下方から見て矩形状を呈し、径方向の内端縁が周方向に延びる矩形凹部と比べて、凹部21を設けたことで、接地部18を精度よく成形することが困難になるのを抑制することができる。
【0024】
凹部21が、下方から見て前述のような半円形状を呈するので、前記矩形凹部と比べて角部分を削減することが可能になり、ブロー成形時に過度に延伸されて局所的に薄くなる部分を生じにくくすることができる。
凹部21が、下方から見て、径方向の外側部分が切除されたような半円形状を呈するので、例えば、下方から見て円形状を呈する凹部と比べて、ヒール部17のうち、接地部18に隣接する径方向の内端部の剛性を集中的に向上させやすくなり、接地部18の剛性を確実に向上させることができる。
【0025】
凹部21の底面21bが、接地部18から離れているので、凹部21を設けたことで、接地安定性を確保することが困難になるのを抑制することができる。
【0026】
凹部21の径方向の外端縁21aが、周方向の全長にわたって連続して延びるパーティングラインL1上に位置しているので、離型性に優れたボトル1を得ることができる。
【0027】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0028】
ボトル1を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル等、またはこれらのブレンド材料等、適宜変更してもよい。
ボトル1は、単層構造体に限らず中間層を有する積層構造体としてもよい。この中間層としては、例えばガスバリア性を有する樹脂材料からなる層、再生材からなる層、若しくは酸素吸収性を有する樹脂材料からなる層等が挙げられる。
前記実施形態では、口部11、肩部12、胴部13および底部14のそれぞれのボトル軸Oに直交する横断面視形状を円形状としたが、これに限らず例えば、角形状にする等適宜変更してもよい。
【0029】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 ボトル
14 底部
17 ヒール部
18 接地部
19 底壁部
21 凹部
21a 外端縁
21b 底面
L1 パーティングライン