(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051843
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】レール移動体、レール移動式台車及びレール移動式足場
(51)【国際特許分類】
E04G 21/14 20060101AFI20240404BHJP
E04G 1/24 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E04G21/14
E04G1/24 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158199
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】中村 崇志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 橘平
(72)【発明者】
【氏名】須田 麗奈
【テーマコード(参考)】
2E003
2E174
【Fターム(参考)】
2E003CA01
2E003CB01
2E174CA06
2E174CA28
2E174CA30
2E174EA03
(57)【要約】
【課題】足場に対する負荷を軽減させつつ、作業を安全に行うことができるレール移動体、レール移動式台車及びレール移動式足場を提供する。
【解決手段】工事現場に組まれた足場1上に平行に配設された複数の単管パイプで構成されたレール2上を移動する移動体10であって、人及び/又は荷物を載せる移動体本体20と、移動体本体20の下部に設けられてレール2に接触して回動又は摺動して移動する複数の移動手段30と、レール2に対して離接可能となっており、レール2に対して離間状態から接触状態となることで、移動体本体20を移動させずに停止状態を保持する停止手段40と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事現場に組まれた足場上に平行に配設された複数の単管パイプで構成されたレール上を移動するレール移動体であって、
人及び/又は荷物を載せる移動体本体と、
該移動体本体の下部に設けられて前記レールに接触して回動又は摺動して移動する複数の移動手段と、
前記レールに対して離接可能となっており、前記レールに対して離間状態から接触状態となることで、前記移動体本体を移動させずに停止状態を保持する停止手段と、
を有することを特徴とするレール移動体。
【請求項2】
前記停止手段は、前記レールに離接させるパッド部を有しており、
該パッド部を前記レールの長手方向に対して垂直方向に直線的に移動させて、離間状態と接触状態とを変換させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のレール移動体。
【請求項3】
前記停止手段は、前記パッド部に繋がる螺子部を有しており、
該螺子部を前記レールとの距離が変わらない部位に対してねじ込むことで、前記レールに対して離間状態から接触状態にさせるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のレール移動体。
【請求項4】
前記移動手段と前記停止手段が一体に構成された移動停止ユニットを有しており、
前記停止手段を前記レールに対して接触状態とすることで、前記移動手段が移動しない停止状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のレール移動体。
【請求項5】
前記移動停止ユニットは、前記移動体本体を構成する単管パイプに対してクランプで取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載のレール移動体。
【請求項6】
前記移動停止ユニットに、移動しながら前記レール上の清掃を行うブラシ部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のレール移動体。
【請求項7】
前記移動体本体から横方向に延びる第2停止手段を有しており、
該第2停止手段を、工事現場における構造体に当接させて押し当てることで、前記停止手段と共に、前記移動体本体を移動させずに停止状態を保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のレール移動体。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載のレール移動体を備えたレール移動式台車であって、
前記移動体本体が台車本体を構成し、
前記移動手段が台車移動手段を構成することを特徴とするレール移動式台車。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れかに記載の移動体を備えたレール移動式足場であって、
前記移動体本体が足場本体を構成し、
前記移動手段が足場移動手段を構成することを特徴とするレール移動式足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場の足場に配設されたレール上を移動するレール移動体、当該レール移動体の構成を有するレール移動式台車及びレール移動式足場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場や補修工事現場、点検工事現場等の足場上で荷物の運搬や作業を行うために、台車や移動式足場が使用されている。この中でも、足場上にレールを敷設し、そのレール上に台車等を配設して移動させる運搬システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1のような従来の運搬システムに対して、荷物の積み下ろしや人の昇降、その場所での作業等において、より安全に作業を行える手段が求められていた。また、足場上という特殊事情において、足場に過度の負荷を掛けずに作業を行う必要があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、足場に対する負荷を軽減させつつ、作業を安全に行うことができるレール移動体、レール移動式台車及びレール移動式足場を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成するために、本発明は、工事現場に組まれた足場上に平行に配設された複数の単管パイプで構成されたレール上を移動するレール移動体であって、人及び/又は荷物を載せる移動体本体と、該移動体本体の下部に設けられて前記レールに接触して回動又は摺動して移動する複数の移動手段と、前記レールに対して離接可能となっており、前記レールに対して離間状態から接触状態となることで、前記移動体本体を移動させずに停止状態を保持する停止手段と、を有するレール移動体としたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記停止手段は、前記レールに離接させるパッド部を有しており、該パッド部を前記レールの長手方向に対して垂直方向に直線的に移動させて、離間状態と接触状態とを変換させるように構成されているレール移動体としたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記停止手段は、前記パッド部に繋がる螺子部を有しており、該螺子部を前記レールとの距離が変わらない部位に対してねじ込むことで、前記レールに対して離間状態から接触状態にさせるように構成されているレール移動体としたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記移動手段と前記停止手段が一体に構成された移動停止ユニットを有しており、前記停止手段を前記レールに対して接触状態とすることで、前記移動手段が移動しない停止状態となるように構成されているレール移動体としたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記移動停止ユニットは、前記移動体本体を構成する単管パイプに対してクランプで取り付けられているレール移動体としたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記移動停止ユニットに、移動しながら前記レール上の清掃を行うブラシ部が設けられているレール移動体としたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記記載の構成に加え、前記移動体本体から横方向に延びる第2停止手段を有しており、該第2停止手段を、工事現場における構造体に当接させて押し当てることで、前記停止手段と共に、前記移動体本体を移動させずに停止状態を保持するように構成されているレール移動体としたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、請求項1乃至6の何れかに記載のレール移動体を備えたレール移動式台車であって、前記移動体本体が台車本体を構成し、前記移動手段が台車移動手段を構成するレール移動式台車としたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の移動体を備えたレール移動式足場であって、前記移動体本体が足場本体を構成し、前記移動手段が足場移動手段を構成するレール移動式足場としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レール移動体において停止状態を保持する停止手段を有しているため、確実にレール移動体を動かない状態とすることができ、レール移動体を停止させた状態で荷物の積み下ろしや、人の乗り降り、その場所での作業等を安全に行うことができる。また、停止手段はレールに接触させることで停止状態を保持する構成となっているため、足場に対して直接ストッパを掛ける場合と比べて、足場に対する負荷を軽減させることができる。
【0016】
また、本発明によれば、停止手段として、レールに対してパッド部を垂直に押し当てる構成となっているため、簡単かつ確実に停止状態を保持することができる。
【0017】
また、本発明によれば、螺子部でねじ込むことでパッド部をレールに押し当てるようになっているため、レールに対する接触状態を保持し易くなり、より確実に停止状態を保持することができる。
【0018】
また、本発明によれば、移動手段と停止手段が一体に構成された移動停止ユニットを有しているため、停止手段をレールに当接させることで、一体に構成された移動手段の動きを止めることができ、その結果、確実にレール移動体の停止状態を保持することができる。
【0019】
また、本発明によれば、移動停止ユニットが移動体本体を構成する単管パイプに対してクランプで取り付けられているため、簡単に移動停止ユニットを取り付け、取り外しすることができる。
【0020】
また、本発明によれば、移動停止ユニットに清掃を行うブラシ部を有しているため、移動しながらレール上のゴミや埃、雪等のレール移動体の移動を妨げる要因となるものを取り除いて、レール移動体のスムーズな移動を実現することができる。
【0021】
また、本発明によれば、停止手段に加えて横方向に押し当てる第2停止手段を有しているため、停止手段のみの場合に比べて確実に停止状態を保持することができる。
【0022】
また、本発明によれば、レール移動式台車において、レールに接触して停止状態を保持する停止手段を有しているため、荷物の積み下ろしに際して、確実に台車を停止させた状態で安全に作業を行うことができる。
【0023】
また、本発明によれば、レール移動式足場において、レールに接触して停止状態を保持する停止手段を有しているため、人の昇降やその場での作業等に際して、確実に足場を停止させた状態で安全に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るレール移動式台車を示す斜視図である。
【
図2】同実施の形態に係る足場に対するレール配設状態を示す斜視図である。
【
図3】同実施の形態に係る移動停止ユニットを示す斜視図である。
【
図4】同実施の形態に係る移動停止ユニットを示す正面図である。
【
図5】同実施の形態に係る移動停止ユニットを示す側面図である。
【
図6】同実施の形態に係る移動停止ユニットの変形例を示す斜視図である。
【
図7】同実施の形態に係る移動停止ユニットの変形例を示す側面図である。
【
図8】同実施の形態に係るレール配設治具の変形例を示す斜視図である。
【
図9】同実施の形態に係るレール配設治具の変形例を積み重ねた状態示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態2に係るレール移動式足場を示す斜視図である。
【
図11】同実施の形態に係る第2停止手段を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[発明の実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について説明する。
【0026】
【0027】
本実施の形態のレール移動体としてのレール移動式台車10は、
図1に示すように、建設現場、補修工事現場、点検工事現場等の工事現場(ここでは、橋梁補修工事を想定)に組まれた足場1上に平行に配設された複数の単管パイプで構成されたレール2上を移動するレール移動式台車10である。
【0028】
まず、レール移動式台車10を移動させるレール2について、
図1及び
図2を用いて説明する。本実施の形態のレール2は、足場1に所定の間隔で配設されたレール配設治具3のレール保持部5に載置されて保持されており、一定間隔で2本のレール2が平行に保持されている。このレール配設治具3は、細長板状のレール配設治具本体4の両端部に、レール2が丁度載置できる太さ、形状に4つの爪状部が突出したレール保持部5が形成されている。また、レール配設治具本体4に設けられた固定部6にボルト等を通して、レール配設治具3を足場1に固定するようになっている。そして、このレール配設治具3をレール2の長さより短い間隔で同じ方向に配設しておき、このレール配設治具3の両端部のレール保持部5に単管パイプ2を載置していくことで、一定間隔の平行な2本のレール2が形成されるようになっている。この2本のレール2上をレール移動式台車10が移動するように構成されている。
【0029】
次に、レール移動式台車10について、
図1~
図9を用いて詳細に説明する。
【0030】
本実施の形態のレール移動式台車10は、
図1に示すように、上部の移動体本体としての台車本体20と、その下部に設けられた移動停止ユニット30とを有する構成となっている。
【0031】
このうち、本実施の形態の台車本体20は、荷物Sを載せる部位であり、ここでは、単管パイプを用いて、レール2と平行に配置される2本の縦パイプ21と、その縦パイプ21と直交する方向に配置される2本の横パイプ22を有しており、これらを取付クランプ23で固定して、略方形状の台車本体20を形成している。なお、材質や形状、パイプの数や組み方等は、状況に合わせて適宜変更すれば良い。
【0032】
また、移動停止ユニット30は、移動手段としてのローラ31と、停止手段40とが、カバー部32を介して一体に形成されたものである。
図3~
図5に示すように、ローラ31は、回動又は摺動してレール2上を移動するものであり、ここでは車輪状の部材となっている。なお、移動手段としては、これに限るものではなく、レール2上を回動又は摺動していく構成であれば、適宜の形状のもので良い。
【0033】
また、停止手段40は、レール2に当接させた接触状態でローラ31が動かないように停止状態としてレール移動式台車10の停止状態を保持し、レール2から離間させた離間状態でローラ31がスムーズに回動してレール移動式台車10を移動可能とするものである。ここでは、レール2に離接させるパッド部42を有しており、このパッド部42をレール2に押圧した摩擦力で停止状態を保持するようになっている。また、パッド部42の上部には、レール2の長手方向に対する垂直方向に延びる螺子部41を有しており、その先端部には螺子頭43が設けられており、カバー部32に固定された螺合部44を有している。
【0034】
そして、螺子頭43を所定の治具で回転させることで、螺子部41が螺合部44に螺合して上下動するようになっており、下方に移動させるとパッド部42がレール2に接触状態となって押圧して停止状態を保持し、上方に移動させるとパッド部42がレール2から離間して離間状態となって押圧が解除されてローラ31が移動可能な状態となるように構成されている。また、この移動停止ユニット30は、取付クランプ33で縦パイプ21の端部に取り付けられるように構成されている。
【0035】
また、本実施の形態のレール移動式台車10では、台車本体20に対する移動停止ユニット30の取付配置位置や、台車本体20の縦パイプ21と横パイプ22と取付クランプ23の配置等によって、荷物Sがローラ31や停止手段40を有する左右の移動停止ユニット30の内側位置に載置されるようになっている(2つの平行なレール2の間が荷物Sの載置位置となるように構成されている)。これにより、荷物Sを安定した状態で運搬できるようになっている。
【0036】
なお、停止手段40の形状等は、適宜の構成となっていれば良く、台車本体20への取付方法もクランプ以外の方法で取り付けられていても良い。また、移動停止ユニット30の構成も適宜で良く、前記したものとは異なる形状となっていても良い。さらには、移動手段31と停止手段40とが、移動停止ユニット30を構成しておらず、それぞれ別々の構成となっていても良い。
【0037】
次に、本実施の形態の変形例について、
図6及び
図7を用いて説明する。なお、前記した実施の形態1と同様のものには、同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
この変形例のレール移動式台車10Aは、
図6及び
図7に示すように、上部の移動体本体としての台車本体20と、その下部に設けられた移動停止ユニット30Aとを有する構成となっている。なお、台車本体20については、前記したものと同様であるので説明を省略する。
【0039】
この変形例の移動停止ユニット30Aは、移動手段としてのローラ31Aと、停止手段40Aとが、カバー部32Aを介して一体に形成されたものである。このうち、ローラ31Aは、回動又は摺動してレール2上を移動するものであり、ここでは車輪状の部材となっている。なお、移動手段としては、これに限るものではなく、レール2上を回動又は摺動していく構成であれば、適宜の形状のもので良い。
【0040】
また、停止手段40Aは、レール2に当接させた接触状態でローラ31Aが動かないように停止状態としてレール移動式台車10Aの停止状態を保持し、レール2から離間させた離間状態でローラ31Aがスムーズに回動してレール移動式台車10Aを移動可能とするものである。ここでは、レール2に離接させるパッド部42Aを有しており、このパッド部42Aをレール2に押圧した摩擦力で停止状態を保持するようになっている。また、パッド部42Aの上部には、レール2の長手方向に対する垂直方向に延びる螺子部41Aを有しており、その先端部には螺子頭43Aが設けられており、カバー部32Aに固定された螺合部44Aを有している。
【0041】
そして、螺子頭43Aを所定の治具で回転させることで、螺子部41Aが螺合部44Aに螺合して上下動するようになっており、下方に移動させるとパッド部42Aがレール2に接触状態となって押圧して停止状態を保持し、上方に移動させるとパッド部42Aがレール2から離間して離間状態となって押圧が解除されてローラ31Aが移動可能な状態となるように構成されている。また、この移動停止ユニット30Aは、取付クランプ33Aで縦パイプ21の端部に取り付けられるように構成されている。
【0042】
また、この変形例では、停止手段40Aの先(停止手段40Aから見てローラ31Aと反対側)に、ブラシ部35Aが設けられている。このブラシ部35Aは、レール2に所定の圧力で当接するように構成されており、レール移動式台車10が移動するときに、レール2を摺動するようになっている。そして、その際にレール2上に付着したゴミや積もった埃を掃いて除去するようになっている。これにより、レール移動式台車10の移動を妨げる虞のある異物を取り除いて、スムーズな移動が行えるようにすることができる。
【0043】
なお、停止手段40Aの形状等は、適宜の構成となっていれば良く、台車本体20への取付方法もクランプ以外の方法で取り付けられていても良い。また、移動停止ユニット30Aの構成も適宜で良く、前記したものとは異なる形状となっていても良い。さらには、移動手段31Aと停止手段40Aとが、移動停止ユニット30Aを構成しておらず、それぞれ別々の構成となっていても良い。
【0044】
また、レール2を保持して足場1に配設するレール配設治具3は、前記したようなものに限らず、適宜のものを使用しても良い。例えば、
図8に示すような形状のレール配設治具3Aを用いると、固定部6Aを備えたレール配設治具本体4Aに対して両端部のレール保持部5Aが上方に広がる形状に形成されているため、運搬及び保管時に
図9に示すように重ねて積み上げることができ、場所を取らずに運搬及び保管することができる。
【0045】
以上のように、本実施の形態によれば、レール移動式台車(レール移動体)10,10Aにおいて停止状態を保持する停止手段40,40Aを有しているため、確実にレール移動式台車10,10Aを動かない状態とすることができ、レール移動式台車10,10Aを停止させた状態で荷物Sの積み下ろしや、人の乗り降り、その場所での作業等を安全に行うことができる。また、停止手段40,40Aはレール(単管パイプ)2に接触させることで停止状態を保持する構成となっているため、足場(床面)1に対して直接ストッパを掛ける場合と比べて、足場1に対する負荷を軽減させることができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、停止手段40,40Aとして、レール2に対してパッド部42,42Aを垂直に押し当てる構成となっているため、簡単かつ確実に停止状態を保持することができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、螺子部41,41Aでねじ込むことでパッド部42,42Aをレール2に押し当てるようになっているため、レール2に対する接触状態を保持し易くなり、より確実に停止状態を保持することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、ローラ(移動手段)31,31Aと停止手段40,40Aが一体に構成された移動停止ユニット30,30Aを有しているため、停止手段40,40Aをレール2に当接させることで、一体に構成されたローラ31,31Aの動きを止めることができ、その結果、確実にレール移動式台車10,10Aの停止状態を保持することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、移動停止ユニット30,30Aが台車本体(移動体本体)20を構成する単管パイプに対して取付クランプ33で取り付けられているため、簡単に移動停止ユニット30,30Aを取り付け、取り外しすることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、レール移動式台車10,10Aにおいて、レール2に接触して停止状態を保持する停止手段40,40Aを有しているため、荷物Sの積み下ろしに際して、確実にレール移動式台車10,10Aを停止させた状態で安全に作業を行うことができる。
【0051】
また、本実施の形態の変形例によれば、移動停止ユニット30Aにブラシ部35Aを有しているため、移動しながら清掃を行って、レール2上のゴミや埃、雪等の種々のレール移動式台車10Aの移動を妨げる要因となるものを取り除いて、レール移動式台車10Aのスムーズな移動を実現することができる。
[発明の実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について、
図10及び
図11を用いて説明する。なお、前記した実施の形態1、実施の形態1の変形例と同様のものには、同じ符号を付して説明を省略する。
【0052】
本実施の形態のレール移動体としてのレール移動式足場110は、
図10に示すように、建設現場、補修工事現場、点検工事現場等の工事現場(ここでは、橋梁補修工事を想定)に組まれた足場101上に平行に配設された複数の単管パイプで構成されたレール102上を移動するレール移動式足場110である。
【0053】
まず、レール移動式足場110を移動させるレール102について、
図10を用いて説明する。本実施の形態のレール102は、足場101に所定の間隔で配設されたレール配設治具103のレール保持部105に載置されて保持されており、一定間隔で2本のレール102が平行に保持されている。このレール配設治具103は、細長の略コ字形状のレール配設治具本体104の両端部付近に、レール102が丁度載置できる太さ、形状に切欠き部が形成されてレール保持部105となっている。また、レール配設治具本体104に設けられた固定部106にボルト等を通して、レール配設治具103を足場101に固定するようになっている。そして、このレール配設治具103をレール102の長さより短い間隔で同じ方向に配設しておき、このレール配設治具103の両端部付近のレール保持部105に単管パイプ102を載置していくことで、一定間隔の平行な2本のレール102が形成されるようになっている。この2本のレール102上をレール移動式足場110が移動するように構成されている。
【0054】
次に、レール移動式足場110について、
図10及び
図11を用いて詳細に説明する。
【0055】
本実施の形態のレール移動式足場110は、
図10に示すように、上部の移動体本体としての足場本体120と、その下部に設けられた移動停止ユニット130とを有する構成となっている。
【0056】
このうち、本実施の形態の足場本体120は、人や物を載せて作業を行う部位であり、ここでは、骨組121に足場板122が掛けられており、骨組121の外側には補助足場板123が設けられた構成となっている。ここでは、足場板122及び補助足場板123は、骨組121の垂直部材の真上にはなく、骨組121の内側及び外側に配設されている。また、骨組121は、クランプ等の繋ぎ部材で互いに固定されている。なお、繋ぎ部材はクランプ以外のものであっても良い。なお、材質や形状等は、状況に合わせて適宜変更すれば良い。
【0057】
また、移動停止ユニット130については、前記した実施の形態1、実施の形態の変形例のものと同様に、ローラ31と停止手段40、またはローラ31Aと停止手段40Aとブラシ部35Aを有するものであるので、説明を省略する。
【0058】
また、本実施の形態では、骨組121の補助足場板123の先端側に、第2停止手段150を有している。この第2停止手段150は、レール移動式足場110の上部側から側方に対して突出するように設けられたものであり、例えば橋梁補修工事においては主桁107等の構造体に当接して押圧させることで、停止手段140の停止保持を補助して、より確実にレール移動式足場110を作業位置で停止して保持することができるようになっている。この第2停止手段150は、
図11に示すように、主桁107に押し当てる第2パッド部152を有しており、第2停止手段本体151から第2調整部153で第2パッド部152の突出量を調整して、主桁107に押圧させて、所定位置で停止保持するようになっている。なお、場合によっては、第2停止手段150の押し当てのみでレール移動式足場110を停止状態に保持し、作業等を行うようになっていても良い。
【0059】
なお、第2停止手段150の形状等は、適宜の構成となっていれば良く、足場本体120への取付方法も適宜の方法で取り付けられていても良い。また、移動停止ユニット130の構成も適宜で良く、前記したものとは異なる形状となっていても良い。さらには、移動手段と停止手段140とが、移動停止ユニット130を構成しておらず、それぞれ別々の構成となっていても良い。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、レール移動式足場(レール移動体)110において停止状態を保持する停止手段140を有しているため、確実にレール移動式足場(レール移動体)110を動かない状態とすることができ、レール移動式足場(レール移動体)110を停止させた状態で荷物Sの積み下ろしや、人の乗り降り、その場所での作業等を安全に行うことができる。また、停止手段140はレール102に接触させることで停止状態を保持する構成となっているため、足場(床面)101に対して直接ストッパを掛ける場合と比べて、足場(床面)101に対する負荷を軽減させることができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、停止手段140として、レール102に対してパッド部42,42Aを垂直に押し当てる構成となっているため、簡単かつ確実に停止状態を保持することができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、螺子部41,41Aでねじ込むことでパッド部42,42Aをレール2に押し当てるようになっているため、レール102に対する接触状態を保持し易くなり、より確実に停止状態を保持することができる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、ローラ(移動手段)31,31Aと停止手段140が一体に構成された移動停止ユニット130を有しているため、停止手段140をレール102に当接させることで、一体に構成されたローラ(移動手段)31,31Aの動きを止めることができ、その結果、確実にレール移動式足場(レール移動体)110の停止状態を保持することができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、停止手段140に加えて横方向に押し当てる第2停止手段150を有しているため、停止手段140のみの場合に比べて確実に停止状態を保持することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、レール移動式足場110において、レール102に接触して停止状態を保持する停止手段140を有しているため、人の昇降やその場での作業等に際して、確実にレール移動式足場110を停止させた状態で安全に作業を行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態において前記した実施の形態1の変形例の構成を適用すれば、移動停止ユニット130にブラシ部35Aを有しているため、移動しながらレール移動式足場110の移動を妨げる要因となるレール102上のゴミや埃を取り除いて、レール移動式足場110のスムーズな移動を実現することができる。
【0067】
なお、本発明は、前記した各実施の形態のようなものに限らず、他の構成、他の使用状況にも適用できる。
【0068】
例えば、前記した各実施の形態では、本発明のレール移動体として、レール移動式台車10及びレール移動式足場110を例示して設明したが、これに限るものではなく、同様の作用効果を奏すれば、前記したもの以外に適用しても良い。
【0069】
また、前記した各実施の形態とは異なる構成のレール移動式台車やレール移動式足場に本発明のレール移動体を適用しても良い。
【0070】
また、前記した各実施の形態では、レール式移動足場110に第2停止手段150を設けていたが、これに限るものではなく、レール式移動台車に第2停止手段を有するようになっていても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 足場(床面)
2 レール(単管パイプ)
3 レール配設治具
4 レール配設治具本体
5 レール保持部
6 固定部
10 レール式移動台車(レール移動体)
20 台車本体(移動体本体)
21 縦パイプ
22 横パイプ
23 接合クランプ
30 移動停止ユニット
31 ローラ(移動手段)
32 カバー部
33 取付クランプ
40 停止手段
41 螺子部
42 パッド部
43 螺子頭
44 螺合部
3A レール配設治具
4A レール配設治具本体
5A レール保持部
6A 固定部
10A レール式移動台車(レール移動体)
30A 移動停止ユニット
31A ローラ(移動手段)
32A カバー部
33A 取付クランプ
35A ブラシ部
40A 停止手段
41A 螺子部
42A パッド部
43A 螺子頭
101 足場(床面)
102 レール(単管パイプ)
103 レール配設治具
104 レール配設治具本体
105 レール保持部
106 固定部
107 橋梁(構造体)
110 レール式移動足場(レール移動体)
120 足場本体(移動体本体)
121 縦パイプ
122 足場板
123 接合クランプ
130 移動停止ユニット
140 停止手段
150 第2停止手段
151 第2停止手段本体
152 第2パッド部
153 第2調整部
S 荷物