(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051861
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】進捗管理装置および進捗管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20240404BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20240404BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G06Q10/06 300
G10L15/00 200Z
G10L15/10 500T
G10L15/10 200W
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158230
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ハル
(72)【発明者】
【氏名】大城戸 忍
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA09
5L049AA09
(57)【要約】
【課題】作業の効率化を図ること。
【解決手段】プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する進捗管理装置は、複数の作業員を含むグループが行う時系列な複数の作業の計画を示す作業計画データにアクセス可能であり、前記プロセッサは、前記グループ内の前記作業員に関する音声データと、前記作業計画データにおいて前記グループが前記作業を行うべき時間と、に基づいて、前記作業の進捗状況を特定する特定処理と、前記特定処理によって特定された進捗状況に基づいて、前記作業計画データを修正する修正処理と、前記修正処理による修正結果を出力する出力処理と、を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する進捗管理装置であって、
複数の作業員を含むグループが行う時系列な複数の作業の計画を示す作業計画データにアクセス可能であり、
前記プロセッサは、
前記グループ内の前記作業員に関する音声データと、前記作業計画データにおいて前記グループが前記作業を行うべき時間と、に基づいて、前記作業の進捗状況を特定する特定処理と、
前記特定処理によって特定された進捗状況に基づいて、前記作業計画データを修正する修正処理と、
前記修正処理による修正結果を出力する出力処理と、
を実行することを特徴とする進捗管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の進捗管理装置であって、
前記特定処理では、前記プロセッサは、前記音声データに基づいて、前記作業員同士の会話のパターンの存在を判定し、前記パターンと、前記作業計画データにおいて前記グループが前記作業を行うべき時間と、に基づいて、前記作業の進捗状況を特定する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の進捗管理装置であって、
前記特定処理では、前記プロセッサは、一方の作業者の発話に他方の作業者への質問を意味する質問用語を含み、かつ、前記他方の作業者の発話に前記質問に対する応答を意味する応答用語を含む場合、前記パターンに該当すると判定する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の進捗管理装置であって、
前記特定処理では、前記プロセッサは、一方の作業者の発話に他方の作業者への報告を意味する質問用語を含み、かつ、前記他方の作業者の発話に前記報告に対する応答を意味する応答用語を含む場合、前記パターンに該当すると判定する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の進捗管理装置であって、
前記特定処理では、前記プロセッサは、一方の作業者の発話に他方の作業者への質問を意味する質問用語を含み、かつ、前記他方の作業者の発話に前記質問に対する指令を意味する指令用語を含む場合、前記パターンに該当すると判定する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の進捗管理装置であって、
前記特定処理では、前記プロセッサは、一方の作業者の発話に他方の作業者への指令を意味する指令用語を含み、かつ、前記他方の作業者の発話に前記指令に対する応答を意味する応答用語を含む場合、前記パターンに該当すると判定する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項7】
請求項2に記載の進捗管理装置であって、
前記特定処理では、前記プロセッサは、前記作業の進捗状況として、前記グループが前記作業を行うべき時間内で前記作業の実行中、前記グループが前記作業を行うべき時間内で前記作業の終了、または、前記グループが前記作業を行うべき時間の経過後に前記作業の実行中のいずれかを特定する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の進捗管理装置であって、
前記修正処理では、前記プロセッサは、前記作業の進捗状況が、前記グループが前記作業を行うべき時間内で前記作業の実行中であると特定された場合、前記グループにおける前記作業および当該作業の後続の作業について、前記作業計画データを修正しない、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の進捗管理装置であって、
前記修正処理では、前記プロセッサは、前記作業の進捗状況が、前記グループが前記作業を行うべき時間内で前記作業の終了である場合、前記グループにおける前記作業の後続の作業の開始時刻および終了時刻を前倒しするよう前記作業計画データを修正する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項10】
請求項7に記載の進捗管理装置であって、
前記修正処理では、前記プロセッサは、前記作業の進捗状況が、前記グループが前記作業を行うべき時間の経過後に前記作業の実行中である場合、前記グループにおける前記作業の終了時刻と、前記作業の後続の作業の開始時刻および終了時刻を後ろ倒しするよう前記作業計画データを修正する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項11】
請求項7に記載の進捗管理装置であって、
前記特定処理では、前記プロセッサは、前記作業の推定終了時刻を算出し、
前記修正処理では、前記プロセッサは、前記作業の進捗状況が、前記グループが前記作業を行うべき時間の経過後に前記作業の実行中である場合、前記推定終了時刻に基づいて、前記グループにおける前記作業の終了時刻と、前記作業の後続の作業の開始時刻および終了時刻を後ろ倒しするよう前記作業計画データを修正する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項12】
請求項7に記載の進捗管理装置であって、
前記特定処理では、前記プロセッサは、前記グループ内での発話の長さと前記発話の韻律とに基づいて切迫度を算出し、
前記修正処理では、前記プロセッサは、前記作業の進捗状況が、前記グループが前記作業を行うべき時間の経過後に前記作業の実行中である場合、前記切迫度に基づいて、前記グループにおける前記作業の終了時刻と、前記作業の後続の作業の開始時刻および終了時刻を後ろ倒しするよう前記作業計画データを修正する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項13】
請求項1に記載の進捗管理装置であって、
前記作業計画データは、他のグループが行う時系列な複数の他の作業の計画と、前記複数の作業内の特定作業と前記複数の他の作業内の他の特定作業との連続性を示す情報と、を含み、
前記修正処理では、前記プロセッサは、前記連続性を示す情報に基づいて、前記作業計画データを修正する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項14】
請求項1に記載の進捗管理装置であって、
前記特定処理では、前記プロセッサは、設備が発するノイズ音響データに基づいて、前記作業の進捗状況を特定する、
ことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項15】
プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する進捗管理装置が実行する進捗管理方法であって、
複数の作業員を含むグループが行う時系列な複数の作業の計画を示す作業計画データにアクセス可能であり、
前記進捗管理方法は、
前記プロセッサが、
前記グループ内の前記作業員に関する音声データと、前記作業計画データにおいて前記グループが前記作業を行うべき時間と、に基づいて、前記作業の進捗状況を特定する特定処理と、
前記特定処理によって特定された進捗状況に基づいて、前記作業計画データを修正する修正処理と、
前記修正処理による修正結果を出力する出力処理と、
を実行することを特徴とする進捗管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進捗を管理する進捗管理装置および進捗管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業現場では、作業員は作業自体に専心しているため、作業の詳細な進捗を機器に入力することが不可能な場合や、作業中の入力を可能な限り回避したいというニーズがある。
【0003】
下記特許文献1の作業管理支援システムサーバは、生産管理システムサーバおよび勤怠管理システムサーバから取得した成果物の生産計画および作業員の勤務計画に関する情報に基づいて、作業工程計画および人員配置計画を含む作業計画を作成して、その作業計画に関する情報を管理者端末で管理者に提示し、情報収集デバイスを用いて収集された情報と、生産管理システムサーバおよび勤怠管理システムサーバから取得した生産計画の変更および勤務計画の変更に関する情報とに基づいて、現況情報を取得し、その現況情報と現行の作業計画とに基づいて、その作業計画に含まれる作業工程計画および人員配置計画に関する改善案を作成し、その改善案に関する情報を管理者端末で管理者に提示する。
【0004】
下記特許文献2のヒューマンエラー防止システムでは、音声通信端末は、作業を行う際に作業員が発話した作業内容の音声を取得し、中継器を介して音声確認装置に送信する。音声確認装置は、行われるべき作業を示す作業情報を予めしておき、音声通信端末にて取得された作業内容の音声を音声認識処理して音声認識情報を生成する。さらに、音声確認装置は、その音声認識情報と作業情報とを照合して作業の適否を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-131605号公報
【特許文献2】特開2004-144898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2では、進行する作業の進捗の操作入力を回避する点については考慮されていない。
【0007】
本発明は、作業の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明の一側面となる進捗管理装置は、プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する進捗管理装置であって、複数の作業員を含むグループが行う時系列な複数の作業の計画を示す作業計画データにアクセス可能であり、前記プロセッサは、前記グループ内の前記作業員に関する音声データと、前記作業計画データにおいて前記グループが前記作業を行うべき時間と、に基づいて、前記作業の進捗状況を特定する特定処理と、前記特定処理によって特定された進捗状況に基づいて、前記作業計画データを修正する修正処理と、前記修正処理による修正結果を出力する出力処理と、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の代表的な実施の形態によれば、作業の効率化を図ることができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、進捗管理システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した作業計画DBの一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、会話認識DBの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、班構成DBの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、ノイズ音響DBの一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、韻律パターンDBの一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、進捗管理処理手順例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、作業進捗推定例1を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<進捗管理システムの構成例>
図1は、進捗管理システムの構成例を示す説明図である。進捗管理システム100は、サーバ101と、工場などの建物や敷地内である構内102の装置群と、を含む。
【0012】
サーバ101は、音声認識、話者間の会話認識、作業の進捗分析、グループの進捗情報の提供といった各種機能を実装する計算機である。このような機能を有する計算機を進捗管理装置と称す。また、サーバ101は、作業計画DB111、音声DB112、会話認識DB113、班構成DB114、ノイズ音響DB115、および韻律パターンDB116を有する。
【0013】
作業計画DB111は、作業計画データを記憶するデータベースである。音声DB112は、音声データを記憶するデータベースである。会話認識DB113は、会話認識に関するテーブルを記憶するデータベースである。班構成DB114は、作業をおこなう班の構成に関する情報を記憶するデータベースである。班とは、班長と1以上の班員とを含むグループである。ノイズ音響DB115は、設備Yiがその動作ステップで発する音響データを記憶するデータベースである。韻律パターンDB116は、発話音声の韻律を特定する韻律パターンを記憶するデータベースである。
【0014】
作業計画DB111、音声DB112、会話認識DB113、班構成DB114、ノイズ音響DB115、および韻律パターンDB116は、ネットワーク103を介してサーバ101がアクセス可能な他のサーバに記憶されていてもよい。
【0015】
また、本例では、サーバ101は構外に設置されているが、構内102に設置されてもよい。また、サーバ101は、端末装置120と一体となってもよい。
【0016】
構内102の装置群は、端末装置120と、マイク121およびスピーカ122と、撮影装置130と、集音装置140と、を有する。
【0017】
端末装置120は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク103を介してサーバ101と通信可能に接続される計算機である。端末装置120は、上述したサーバ101の機能を有してもよい。
【0018】
マイク121およびスピーカ122は、各作業員に装着される。作業員は、作業班長および班員の総称である。マイク121およびスピーカ122は、有線または無線で構内102のインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク150で端末装置120と通信可能に接続される。
【0019】
マイク121は、装着している作業員の発話音声を集音して端末装置120に送信する。スピーカ122は、端末装置120からの音声を出力する。
図1では、構内102では、作業班A、B、…が作業をおこなう。また、作業班Aには作業班長A0、班員A1、班員A2、…が所属しており、作業班Bには作業班長B0、班員B1、班員B2、…が所属している。
【0020】
撮影装置130は、構内102に設置され、有線または無線で構内102のネットワーク150で端末装置120と通信可能に接続される。撮影装置130は、作業員や設備Yiを撮像したり、撮影装置130近傍の音声を収集したりして、端末装置120に送信する。
【0021】
集音装置140は、設備Yiの近傍に設置され、有線または無線で構内102のネットワーク150で端末装置120と通信可能に接続される。集音装置140は、設備Yiからの音声を収集し、端末装置120に送信する。
【0022】
<計算機(サーバ101、端末装置120)のハードウェア構成例>
図2は、計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。計算機200は、プロセッサ201と、記憶デバイス202と、入力デバイス203と、出力デバイス204と、通信インターフェース(通信IF)205と、を有する。プロセッサ201、記憶デバイス202、入力デバイス203、出力デバイス204、および通信IF205は、バス206により接続される。プロセッサ201は、計算機200を制御する。記憶デバイス202は、プロセッサ201の作業エリアとなる。また、記憶デバイス202は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイス202としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。入力デバイス203は、データを入力する。入力デバイス203としては、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル、テンキー、スキャナ、マイク、センサがある。出力デバイス204は、データを出力する。出力デバイス204としては、たとえば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカがある。通信IF205は、ネットワーク103,150と接続し、データを送受信する。
【0023】
<データベース>
図3は、
図1に示した作業計画DB111の一例を示す説明図である。作業計画DB111には、1以上の作業計画データ300が記憶されている。作業計画データ300は、班フィールド301で特定される班Xごとに実行すべき作業に関する計画を示すデータである。班Xは、班フィールド301の値であり、班A、B、C、…の総称である。
【0024】
作業計画データ300において、班Aは、作業として、養生311A、バルブ磨き312A、および部材搬入313Aを行うことになっている。同様に、班Bは、バルブ取り外し311Bおよびバルブ取付け312Bを行うことになっており、班Cは、重量物搬入311Cおよび設備Y3の点検312Cを行うことになっている。
【0025】
また、各作業には、時刻フィールド302において開始時刻および終了時刻が設定されている。開始時刻および終了時刻は、予定時刻である。具体的には、たとえば、作業の図形の左端が開始時刻であり、右端が終了時刻である。より具体的には、たとえば、養生311Aの開始時刻は「13:00」であり、養生311Aの終了時刻は、バルブ磨き312Aの開始時刻「14:15」の1分前の「14:14」(不図示)となる。なお、1分前としたのは例示であり、作業間の時間間隔は2分以上に設定されてもよい。
【0026】
なお、縦方向の矢印は、作業の連続性を示す。すなわち、矢印の終端側の作業は、矢印の始端側の作業の終了を条件として開始可能な作業である。たとえば、班Bがバルブ取り外し311Bで設備Yiからバルブを取り外さないと、班Aはバルブ磨き312Aでバルブを磨けない。また、バルブ磨き312Aおよび重量物搬入311Cの両方が終了していないと、B班は、バルブ取付け312Bを開始することができない。矢印は、その始端側の作業の終了時刻および終端側の作業の開始時刻が修正された場合に追従して移動可能である。
【0027】
図4は、会話認識DB113の一例を示す説明図である。会話認識DB113は、第1辞書401と、第2辞書402と、第3辞書403と、第4辞書404と、第5辞書405と、を記憶する。第1辞書401は、作業単位用語411を記憶する。作業単位用語411とは、作業の1単位を示す用語である。第1辞書401では、作業計画データ300ごとに、または作業計画データ300内の作業ごとに、作業単位用語411が分類されていてもよい。
【0028】
第2辞書402は、指令用語412を記憶する。指令用語412とは、作業員が指令をするときに使用される用語であり、たとえば、動詞の命令形である。第2辞書402でも、作業計画データ300ごとに、または作業計画データ300内の作業ごとに、指令用語412が分類されていてもよい。
【0029】
第3辞書403は、質問用語を記憶する。質問用語とは、作業員が質問をするときに使用される用語である。第4辞書404は、応答用語を記憶する。応答用語とは、作業員が質問に対して応答をするときに使用される用語である。第5辞書405は、報告用語を記憶する。報告用語とは、作業員が他の作業員に報告をするときに使用される用語である。
【0030】
図5は、班構成DB114の一例を示す説明図である。班構成DB114は、班フィールド301と、班長フィールド500と、班員フィールド501、502、…と、を有する。班長フィールド500は、班Xごとに班長X0を特定するフィールドである。X0は、作業員が班Xの班長であることを特定する識別情報である。班員フィールド501、502、…の各々は、班員X1、X2、…を特定するフィールドである。班員X1、X2、…の各々は、作業員が班Xの班員であることを特定する識別情報である。
【0031】
なお、作業員の識別情報X0、X1,X2,…は、その作業員が使用するマイク121から端末装置120に送信される音声データに付与される。
【0032】
図6は、ノイズ音響DB115の一例を示す説明図である。ノイズ音響DB115は、設備フィールド601と、動作ステップフィールド602と、を有する。設備フィールド601は、設備Yi(iは1以上の整数)を特定するフィールドである。動作ステップフィールド602は、動作ステップWj(jは非負整数)を特定するフィールドである。動作ステップWjとは、設備Yiがノイズを発するときの動作順序である。音響パターンSP(i,j)は、設備Yiが動作ステップWjで発するノイズの音響を特定するパターンである。
【0033】
たとえば、設備Y3の点検312Cが4つの工程p31~p34の順に行われるとする。設備Y3は、工程p31では、音響パターンSP(3,0)のノイズを出力し、工程p32では、無音であり、工程p33では、音響パターンSP(3,1)のノイズを出力し、工程p34では、音響パターンSP(3,2)のノイズを出力する。
【0034】
図7は、韻律パターンDB116の一例を示す説明図である。韻律パターンDB116は、センテンス700と、第1発声時間長701と、第2発声時間長702と、第1韻律パターン703と、第2韻律パターン704と、を有する。
【0035】
センテンス700は、作業員が発する各種発話の文字列である。第1発声時間長701は、作業員が非切迫時にセンテンス700を発話した時の時間長であり、過去の発話から得られた統計値である。第2発声時間長702は、作業員が切迫時にセンテンス700を発話した時の時間長であり、過去の発話から得られた統計値である。
【0036】
第1韻律パターン703は、作業員がセンテンス700を第1発声時間長701で発話したときのセンテンス700の韻律パターンである。韻律パターンとは、センテンス700の発話音声の抑揚、アクセント、および長短で特定されるパターンである。第2韻律パターン704は、作業員がセンテンス700を第2発声時間長702で発話したときのセンテンス700の韻律パターンである。
【0037】
<進捗管理処理>
つぎに、サーバ101が実行する進捗管理処理について説明する。なお、各作業班Xは、作業計画データ300にしたがって作業を行い、作業中の会話の音声データはマイク121を介して端末装置120に送信され、設備Yiのノイズ音響データは集音装置140を介して端末装置120に送信される。また、端末装置120は、受信した音声データや音響データに、その受信時刻をタイムスタンプとして付与する。タイムスタンプは、音声データや音響データの開始時刻を示す。
【0038】
図8は、進捗管理処理手順例を示すフローチャートである。サーバ101は、端末装置120から音声データやノイズ音響データを取得する(ステップS801)。サーバ101は、取得した音声データに基づいて、音声認識により音声パラグラフを認識する(ステップS802)。
【0039】
音声パラグラフとは、同一作業員の1以上連続するセンテンスを示す文字列である。具体的には、たとえば、同一作業員の識別情報が付与された連続するセンテンスの間隔が第1所定時間以下であれば、1つの音声パラグラフとして認識される。連続するセンテンスと音声パラグラフとの間隔、連続する音声パラグラフ同士の間隔でも同様である。なお、どのセンテンスにも連続しないセンテンスは、1つのセンテンスからなる音声パラグラフとして認識される。
【0040】
サーバ101は、音声パラグラフに付与されている作業員の識別情報を参照して、班Xごとに分類し、コミュニケーションペアまたはコミュニケーションシングルを班Xごとに特定する(ステップS803)。コミュニケーションペアとは、作業員が異なる連続する2つの音声パラグラフ間で会話が成立するパターンである、コミュニケーションシングルとは、コミュニケーションペアに該当しない音声パラグラフである。
【0041】
具体的には、たとえば、サーバ101は、会話認識DB113を参照して、音声パラグラフの各々について、指令、質問、応答、報告のいずれに該当するか否かを判断する。
【0042】
作業単位用語および指令用語が含まれている音声パラグラフは指令に該当し、作業単位用語および質問用語が含まれている音声パラグラフは質問に該当し、作業単位用語および応答用語のうち少なくとも応答用語が含まれている音声パラグラフは応答に該当し、作業単位用語および報告用語のうち少なくとも報告用語が含まれている音声パラグラフは報告に該当する。
【0043】
作業員が異なる連続する2つの音声パラグラフについて、先の音声パラグラフが質問に該当し、後の音声パラグラフが応答に該当する場合、サーバ101は、質問および応答に関するコミュニケーションペアであると特定する。
【0044】
作業員が異なる連続する2つの音声パラグラフについて、先の音声パラグラフが報告に該当し、後の音声パラグラフが応答に該当する場合、サーバ101は、報告および応答に関するコミュニケーションペアであると特定する。
【0045】
作業員が異なる連続する2つの音声パラグラフについて、先の音声パラグラフが質問に該当し、後の音声パラグラフが指令に該当する場合、サーバ101は、質問および指令に関するコミュニケーションペアであると特定する。
【0046】
作業員が異なる連続する2つの音声パラグラフについて、先の音声パラグラフが指令に該当し、後の音声パラグラフが応答に該当する場合、サーバ101は、指令および応答に関するコミュニケーションペアであると特定する。
【0047】
サーバ101は、班Xごとに、現在時刻、作業計画データ300、ステップS803で特定されたコミュニケーションペア、音響パターンSP(i,j)に基づいて、各班Xの進捗状況を特定する(ステップS804)。
【0048】
具体的には、たとえば、サーバ101は、現在時刻と作業計画データ300とに基づいて、その班Xが現在実行すべき作業を特定する。たとえば、現在時刻が13:10であれば、班Aの作業は養生311Aであり、班Bの作業はバルブ取り外し311Bであり、班Cの作業は重量物搬入311Cである。
【0049】
また、サーバ101は、ステップS803で特定されたコミュニケーションペアに基づいて、その班Xの作業進捗を推定する。具体的には、たとえば、サーバ101は、コミュニケーションペアに用いられている用語を解析して、作業を構成する一連の工程のうちどの工程まで進捗しているかを判定する。ここで、班Aがおこなう養生311Aを例に挙げて説明する。
【0050】
図9~
図11は、作業進捗推定例1~3を示す説明図である。養生311Aは、養生シート運搬p11と養生シート貼り付けp12という2つの工程を有する。
図9では、養生シート運搬p11の前半の時間経過を示し、
図10では、養生シート運搬p11の後半の時間経過と養生シート貼り付けp12の前半の時間経過を示し、
図11では、養生シート貼り付けp12の後半の時間経過を示す。
図9~
図11では、音声パラグラフとして、センテンスS01~S08、S11~S14、S21~S25を例に挙げて説明する。
【0051】
図9において、作業班長A0の発話のセンテンスS01は指令用語「運んで」を含むため指令に該当し、班員A1の発話のセンテンスS11は応答用語「了解」を含むため応答に該当する。したがって、センテンスS01、S11の組み合わせは、指令および応答に関するコミュニケーションペアCP1として特定される。
【0052】
図9において、作業班長A0の発話のセンテンスS02は質問用語「準備できた?」を含むため質問に該当し、班員A1の発話のセンテンスS12は応答用語「完了しました」を含むため応答に該当する。「完了しました」は報告用語にも含まれるが、報告用語であればセンテンスS02よりも先に発話されなければならないため、センテンスS12は、応答用語に該当する。したがって、センテンスS02、S12の組み合わせは、質問および応答に関するコミュニケーションペアCP2として特定される。
【0053】
図9において、班員A2の発話のセンテンスS21は質問用語「いいですか?」を含むため質問に該当し、作業班長A0の発話のセンテンスS03は指令用語「外して」を含むため指令に該当する。したがって、センテンスS21、S03の組み合わせは、質問および指令に関するコミュニケーションペアCP3として特定される。
【0054】
図10において、班員A2の発話のセンテンスS22は報告用語「完了しました」を含むため報告に該当し、作業班長A0の発話のセンテンスS04は応答用語「了解」を含むため応答に該当する。「完了しました」は応答用語にも含まれるが、応答用語であればセンテンスS04よりも後に発話されなければならないため、センテンスS22は、報告用語に該当する。したがって、センテンスS22、S04の組み合わせは、質問および指令に関するコミュニケーションペアCP4として特定される。
【0055】
図10において、作業班長A0の発話のセンテンスS05は指令用語「貼って」を含むため指令に該当し、班員A1の発話のセンテンスS13は応答用語「了解」を含むため応答に該当する。したがって、センテンスS05、S13の組み合わせは、指令および応答に関するコミュニケーションペアCP5として特定される。
【0056】
図10において、作業班長A0の発話のセンテンスS05は指令用語「貼って」を含むため指令に該当し、班員A2の発話のセンテンスS23は作業単位用語「貼る」と応答用語「します」を結合した「貼ります」を含むため応答に該当する。したがって、センテンスS05、S23の組み合わせは、指令および応答に関するコミュニケーションペアCP6として特定される。
【0057】
図10において、班員A1の発話のセンテンスS13は応答用語「了解」を含むため応答に該当し、班員A2の発話のセンテンスS23は作業単位用語「貼る」と応答用語「します」を結合した「貼ります」を含むため応答に該当するが、応答と応答の組み合わせは、コミュニケーションペアに該当しない。
【0058】
図11において、作業班長A0の発話のセンテンスS06は質問用語「どうですか?」を含むため質問に該当し、班員A1の発話のセンテンスS14は応答用語「大丈夫です」を含むため応答に該当する。したがって、センテンスS06、S14の組み合わせは、指令および応答に関するコミュニケーションペアCP7として特定される。
【0059】
図11において、班員A2の発話のセンテンスS24は質問用語「いいですか?」を含むため質問に該当し、作業班長A0の発話のセンテンスS07は指令用語「そのままにしておいて」を含むため指令に該当する。したがって、センテンスS24、S07の組み合わせは、質問および指令に関するコミュニケーションペアCP8として特定される。
【0060】
図11において、班員A2の発話のセンテンスS25は報告用語「完了しました」を含むため報告に該当し、作業班長A0の発話のセンテンスS07は指令用語「そのままにしておいて」を含むため指令に該当する。したがって、センテンスS24、S07の組み合わせは、質問および指令に関するコミュニケーションペアCP8として特定される。
【0061】
サーバ101は、たとえば、コミュニケーションペアCP1~CP8において、「運ぶ」、「準備」といった用語が出現している間は、養生311Aにおいて、班Aの作業が養生シート運搬p11であると推定する。また、「運ぶ」、「準備」といった用語が出現して来なくなり、かつ、「貼る」といった用語が出現し出すと、養生311Aにおいて、班Aの作業が養生シート運搬p11から養生シート貼り付けp12に移行したと推定する。
【0062】
本例の場合、サーバ101は、
図10の時刻「13:31:00」から養生シート貼り付けp12が開始されたと推定する。このような推定に先立って、サーバ101は、コミュニケーションペアを訓練データ、工程を正解データとして機械学習を実行することにより学習モデルを生成し、生成した学習モデルにコミュニケーションペアCP1~CP8を入力することで、作業内での現在の工程を推定することができる。
【0063】
また、
図9~
図11では、サーバ101はコミュニケーションペアCP1~CP8により進捗状況を推定したが、音響パターンSP(i,j)に基づいて、作業内のどの工程を作業中であるかを特定してもよい。
【0064】
たとえば、班Cの作業において、音響パターンSP(3,0)に該当する音響データが取得された場合、サーバ101は、班Cは設備Y3の点検312Cの工程p31を行っていると推定する。また、音響パターンSP(3,1)に該当する音響データが取得された場合、サーバ101は、班Cは設備Y3の点検312Cの工程p33を行っていると推定する。また、音響パターンSP(3,2)に該当する音響データが取得された場合、サーバ101は、班Cは設備Y3の点検312Cの工程p34を行っていると推定する。
【0065】
図8に戻り、サーバ101は、班Xごとに、ステップS804で特定した進捗状況と、作業計画データ300と、の差を特定する(ステップS805)。具体的には、たとえば、サーバ101は、現在時刻における作業計画データ300での作業と、ステップS804で特定した進捗状況と、を比較する。
【0066】
たとえば、作業計画データ300の次の作業の開始時刻前に現在の作業の最後の工程が終了した場合、サーバ101は、その班Xの後続作業の前倒し情報を生成する。サーバ101は、当該最後の工程の作業終了を示す音声パラグラフを検出した場合に、当該最後の工程が終了したと判定し、その終了時刻を記録する。たとえば、サーバ101が「養生シート貼り付け終了」という班長A0の音声パラグラフを検出した場合、サーバ101は、養生311Aが終了したと判定し、終了時刻を記録する。サーバ101は、当該終了時刻と、作業計画データ300における次の作業(たとえば、バルブ磨き312A)の開始時刻と、を含む前倒し情報を生成する。
【0067】
また、作業計画データ300の次の作業の開始時刻後に現在の作業が行われている場合、すなわち、現在の作業における最後の工程の終了が検出されていない場合、サーバ101は、その班Xの後続作業の後ろ倒し情報を生成する。たとえば、サーバ101が、最後の工程の終了を検出していない場合、現在時刻と、作業計画データ300における次の作業(たとえば、バルブ磨き312A)の開始時刻と、を含む後ろ倒し情報を生成する。
【0068】
また、サーバ101は、作業計画データ300の次の作業の開始時刻前に現在の作業が終了していない場合、現在の作業の終了時刻、すなわち、現在の作業の最後の工程の終了時刻を推定する。そして、サーバ101は、推定した現在の作業の最後の工程の終了時刻に基づいて、前倒し情報を生成するか後ろ倒し情報を生成するか決定してもよい。具体的には、たとえば、サーバ101は、推定した現在の作業の最後の工程の終了時刻が次の作業の開始時刻前であれば、前倒し情報を生成し、推定した現在の作業の最後の工程の終了時刻が次の作業の開始時刻後であれば、後ろ倒し情報を生成する。
【0069】
また、サーバ101は、推定した現在の作業の最後の工程の終了時刻を後ろ倒し情報に含めてもよい。
【0070】
なお、サーバ101は、最後の工程における音声パラグラフを訓練データ、最後の工程の実際の終了時刻を正解データとして機械学習を実行することにより学習モデルを生成し、生成した学習モデルに最後の工程における音声パラグラフを入力することで、最後の工程の終了時刻を推定してもよい。
【0071】
また、サーバ101は、最後の工程における音声パラグラフを訓練データとしたが、最後の工程におけるコミュニケーションペアやコミュニケーションシングルを訓練データとしてもよく、取得した音響データに該当する音響パターンを訓練データとして機械学習してもよい。
【0072】
図8に戻り、サーバ101は、切迫度を算出する(ステップS806)。切迫度とは、作業員がどのくらい切迫した状況で作業を行っているかを示す指標値であり、たとえば、高いほど切迫していることを示す。
【0073】
サーバ101は、韻律パターンDB116を参照して、切迫度を算出する。切迫度Uは、下記式(1)により算出される。
【0074】
U=TS×SS・・・(1)
【0075】
式(1)において、TSは時間長スコアであり、SSは韻律パターンスコアである。時間長スコアTSは、作業員の音声データの時間長により決定されるスコアである。具体的には、たとえば、サーバ101は、音声パラグラフに含まれるセンテンスがどのセンテンス700に該当するか判定し、該当するセンテンス700のエントリを特定する。
【0076】
サーバ101は、センテンス700に該当したセンテンスの発声時間長を検出し、検出した発声時間長が第1発声時間長701より長い場合には、時間長スコアTSに「0.5」を設定する。また、サーバ101は、検出した発声時間長が第2発声時間長702より長く第1発声時間長以下である場合には、時間長スコアTSに「1.0」を設定する。また、サーバ101は、第2発声時間長以下である場合には、「2.0」を設定する。
【0077】
また、サーバ101は、センテンス700に該当したセンテンスの韻律パターンが第1韻律パターン703および第2韻律パターン704のいずれに該当するか否かを判定する。第1韻律パターン703に該当する場合、サーバ101は、韻律パターンスコアSSに「1.0」を設定する。一方、第2韻律パターン704に該当する場合、サーバ101は、韻律パターンスコアSSに「2.0」を設定する。なお、ステップS806は、ユーザからの設定により選択的に実行可能としてもよい。
【0078】
サーバ101は、ステップS805~S806の結果に基づいて、作業計画データ300を修正する(ステップS807)。ステップS804の結果とは、各班Xの進捗状況である。ステップS805の結果とは、各班Xの進捗状況と作業計画データ300との差である。ステップS806の結果とは、切迫度Uである。
【0079】
具体的には、たとえば、サーバ101は、ステップS805において、作業計画データ300においてある班Xが現在実行中の作業について前倒し情報が生成されていれば、その班Xの次の作業の前倒しが可能か判断し、前倒しが可能であれば、次の作業の開始時刻をより早い時刻に修正する。
【0080】
たとえば、
図3の作業計画データ300において、バルブ磨き312Aが、部材搬入313Aの開始時刻の「14:30」よりも前の時刻、たとえば、「14:20」に終了していた、または、終了すると推定されたとすれば、サーバ101は、部材搬入313Aの開始時刻の「14:30」を「14:21」~「14:29」の間の時刻に修正する。サーバ101は、たとえば、「14:21」~「14:29」のうち最先の時刻「14:21」に修正してもよく、中間の時刻「14:25」に修正してもよい。
【0081】
また、たとえば、
図3の作業計画データ300において、養生311Aが、バルブ磨き312Aの開始時刻の「14:15」よりも前の時刻、たとえば、「13:50」に終了していた、または、終了すると推定された場合、バルブ磨き312Aの前倒しが可能か否かを判断する。
【0082】
班Aは、班Bによるバルブ取り外し311Bが終了していないとバルブ磨き312Aを実行できない。したがって、班Bによるバルブ取り外し311Bが現在時刻において終了していなければ、または、現在時刻までに終了すると推定されていなければ、サーバ101は、バルブ磨き312Aの開始時刻の修正を実行しない。一方、班Bによるバルブ取り外し311Bが終了していなければ、サーバ101は、バルブ磨き312Aの開始時刻の「14:15」を「13:51」~「14:14」の間の時刻に修正する。サーバ101は、たとえば、「13:51」~「14:14」のうち最先の時刻「13:51」に修正してもよく、中間の時刻「14:02」または「14:03」に修正してもよい。
【0083】
また、サーバ101は、ステップS805において、作業計画データ300においてある班Xが現在実行中の作業について後ろ倒し情報が生成されていれば、その班Xの次の作業の後ろ倒しが可能か判断し、後ろ倒しが可能であれば、次の作業の開始時刻をより遅い時刻に修正する。
【0084】
たとえば、
図3の作業計画データ300において、養生311Aの作業がバルブ磨き312Aの開始時刻経過後も行われている場合、サーバ101は、養生311Aの終了時刻を現在時刻から所定時間経過後の時刻に修正し、その班Xの後続のすべての作業(バルブ磨き312Aおよび部材搬入313A)の開始時刻および終了時刻についても、養生311Aの終了時刻から現在時刻までの遅延時間と所定時間とを加算した時刻に修正する。なお、所定時間は、現在時刻から当該遅延中の作業が終了するまでの時間を想定した時間であり、5分、10分などあらかじめ設定された0分より大きい時間である。
【0085】
たとえば、班Aが「14:19」現在でも養生311Aを行っている場合、遅延時間は5分である。所定時間を10分とする。サーバ101は、養生311Aの終了時刻には所定時間を加算し、後続のバルブ磨き312Aおよび部材搬入313Aの開始時刻および終了時刻の各々に、遅延時間(5分)および所定時間(10分)を加算する。この場合、修正後の養生311Aの終了時刻は「14:29」、修正後のバルブ磨き312Aの開始時刻は「14:30」、修正後のバルブ磨き312Aの終了時刻は「14:44」、修正後の部材搬入313Aの開始時刻は「14:45」、修正後の部材搬入313Aの終了時刻は「14:59」になる。
【0086】
また、後ろ倒し情報に、推定した現在の作業の最後の工程の終了時刻(以下、推定終了時刻)が含まれており、かつ、推定終了時刻がその作業の終了時刻および現在時刻よりも後の時刻であれば、サーバ101は、現在の作業の終了時刻を推定終了時刻に修正し、その班Xの後続のすべての作業の開始時刻および終了時刻については、現在の作業の修正前の終了時刻から推定終了時刻までの時間間隔分を加算した時刻に修正する。
【0087】
たとえば、養生311Aの推定終了時刻が「14:29」であれば、養生311Aの終了時刻が「14:14」であるため、加算される時間間隔は15分である。したがって、修正後のバルブ磨き312Aの開始時刻は「14:30」、修正後のバルブ磨き312Aの終了時刻は「14:44」、修正後の部材搬入313Aの開始時刻は「14:45」、修正後の部材搬入313Aの終了時刻は「14:59」になる。
【0088】
また、サーバ101は、後ろ倒し対象の作業において得られた音声データについて算出された切迫度Uに基づいて、後ろ倒しの修正実行の妥当性を判断してもよい。たとえば、切迫度Uが大きくなるほど、当該班Xにおいて作業が捗っていないと考えられる。したがって、サーバ101は、切迫度Uに応じて所定時間を調整してもよい。この場合、サーバ101は、切迫度Uが大きいほど所定時間を長くしてもよく、切迫度Uが小さいほど所定時間を短くしてもよい。たとえば、サーバ101は、切迫度Uがしきい値未満であれば、所定時間を変更せず、しきい値以上であれば、所定時間が長くなるように設定してもよい。
【0089】
また、後ろ倒し情報に推定終了時刻が含まれている場合については、サーバ101は、処置絵時間と同様に、切迫度Uに応じて推定終了時刻を調整してもよい。
【0090】
また、作業計画データ300において、後ろ倒しした作業の右端に作業の連続性を示す矢印の始端がある場合、サーバ101は、当該矢印の終端側の班Xの作業とその後続の作業のすべてについて、上述したように後ろ倒しするよう修正する。
【0091】
たとえば、班Bのバルブ取り外し311Bの終了時刻が10分後ろ倒しされた場合、サーバ101は、その矢印の始端側である班Aのバルブ磨き312Aの開始時刻および終了時刻、部材搬入313Aの開始時刻および終了時刻を、10分遅らせるよう修正する。
【0092】
また、この場合、班Aのバルブ磨き312Aの右端にも矢印の終端があるため、サーバ101は、班Bのバルブ取付け312Bの開始時刻および終了時刻も10分遅らせるよう修正する。
【0093】
また、班Aの部材搬入313Aの右端にも矢印の終端があるため、サーバ101は、班Cの設備Y3の点検312Cの開始時刻および終了時刻も10分遅らせるよう修正する。
【0094】
なお、ある作業について前倒し情報も後ろ倒し情報も生成されていない場合は、サーバ101は、当該作業について作業計画データ300を修正しない。
【0095】
このあと、サーバ101は、修正結果を出力する(ステップS808)。修正結果とは、ステップS807による修正後の作業計画データ300のうち、各班Xに必要な情報である。具体的には、たとえば、修正結果とは、修正後の作業計画データ300のうち、現在時刻以降の班Xごとの作業の修正後における開始時刻および終了時刻である。
【0096】
サーバ101は、修正結果を端末装置120に送信する。端末装置120は、修正結果を音声データに変換して、班Xの各作業員のスピーカ122に、当該班Xが現在時刻以降行う作業の修正後の開始時刻および終了時刻を出力する。より具体的には、サーバ101は、所定の音声読み上げテンプレートに、修正された作業の名称や修正後の開始時刻および終了時刻を班Xごとに埋め込んで読み上げて、該当する班Xの作業員のスピーカ122に出力する。
【0097】
このように、本実施例によれば、構内102で自然に発生する音声データや設備Yiの動作ステップ単位のノイズ音響データを用いることによって、作業員による意識的な進捗入力が不要になる。また、進捗入力のための作業の中断するようなことがなくなる。したがって、作業の効率化を図ることができる。
【0098】
また、作業班長X0はもとより班員X1,X2、…の音声データも収集して班X内の会話を分析することによって、現実に見合った進捗を特定することができる。
【0099】
また、班X間での意識的な会話が不要となり、複数の班で連携する作業の効率化やエラーの防止を図ることができる。
【0100】
また、撮影装置130の死角では、撮影装置130の映像データを用いて作業の進捗を分析することができない。したがって、撮影装置130の死角で行われる作業について、作業の効率化を図ることができる。なお、サーバ101は、コミュニケーションペアの発話期間やノイズ音響データの発生時間における撮影装置130の映像データを、作業計画データ300における該当時刻の作業に関連付けてもよい。
【0101】
以上に説明したように、本発明の実施例によると、アナログ式の時計と共に出発時刻を見易く表示することができる。また、異なる画面サイズでも同じプログラムで適切な表示することができる。さらに、運行情報と出発情報とを見易く同時に表示することができる。
【0102】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。たとえば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、または置換をしてもよい。
【0103】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、たとえば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0104】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
【0105】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0106】
100 進捗管理システム
101 サーバ
102 構内
103,150 ネットワーク
120 端末装置
121 マイク
122 スピーカ
130 撮影装置
140 集音装置
200 計算機