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特開2024-51862無線通信システム、ユーザ端末、及び通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051862
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】無線通信システム、ユーザ端末、及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/30 20090101AFI20240404BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20240404BHJP
   H04W 24/06 20090101ALI20240404BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20240404BHJP
【FI】
H04W36/30
H04W24/04
H04W24/06
H04W4/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158232
(22)【出願日】2022-09-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、総務省、令和4年度における第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発の委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】313005318
【氏名又は名称】パナソニックコネクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛
(72)【発明者】
【氏名】上杉 充
(72)【発明者】
【氏名】村松 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】大植 裕司
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA01
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行えるようにする。
【解決手段】道路上を移動可能な移動体としての自動車V1に搭載されたユーザ端末7とアクセスポイント4とが無線通信を行う無線通信システムにおいて、アクセスポイントは、ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部26、及びユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部27を備え、ユーザ端末は、無線通信部71でアクセスポイントと無線通信を行い、アクセスポイントの補助通信部との接続状況に基づいて、アクセスポイントの主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記ユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部を有する無線通信部を備え、
前記ユーザ端末は、
前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、
前記基地局の補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局の主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える、無線通信システム。
【請求項2】
前記基地局において、
前記ユーザ端末と前記基地局との通信を遮蔽する遮蔽物と移動体との位置関係に応じて、先に通信状況が劣化する位置に前記補助通信部が配置され、後に通信状況が劣化する位置に前記主通信部が配置された、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記基地局において、
前記主通信部は上側に配置され、前記補助通信部は下側に配置された、請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記ユーザ端末と無線通信を行う無線通信部を備え、
前記ユーザ端末は、
前記基地局との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記基地局との通信環境を観測するための補助通信部を有する無線通信部と、
前記基地局と前記補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局と前記主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える、無線通信システム。
【請求項5】
前記ユーザ端末において、
前記ユーザ端末と前記基地局との通信を遮蔽する遮蔽物と移動体との位置関係に応じて、先に通信状況が劣化する位置に前記補助通信部が配置され、後に通信状況が劣化する位置に前記主通信部が配置された、請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記ユーザ端末において、
前記主通信部は上側に配置され、前記補助通信部は下側に配置された、請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記ユーザ端末において、
前記主通信部は後側に配置され、前記補助通信部は前側に配置された、請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項8】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、
前記基地局は、前記ユーザ端末と無線通信を行う無線通信部を備え、
前記ユーザ端末は、前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、前記基地局との無線通信を制御する制御部と、他のユーザ端末と無線通信を行う直接通信部とを備え、
一方の前記ユーザ端末の制御部は、
前記基地局の無線通信部との接続が不良になると、その旨の接続不良情報を前記直接通信部から他のユーザ端末に送信し、
他方の前記ユーザ端末の制御部は、
前記接続不良情報を前記直接通信部により他のユーザ端末から受信すると、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する、無線通信システム。
【請求項9】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記ユーザ端末と無線通信を行う無線通信部と、
この無線通信部と離間して配置された標識物とを備え、
前記ユーザ端末は、
前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、
前記基地局の標識物を検出するセンサと、
このセンサの検出結果に基づいて、前記基地局の無線通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える、無線通信システム。
【請求項10】
前記基地局は、グループ化されて、同じグループに属する他の基地局とマルチホップ通信を実行する、請求項1から請求項9のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項11】
道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、
前記基地局に設けられた、当該ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部、及び当該ユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部の各々に接続可能な無線通信部と、
前記基地局の補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局の主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える、ユーザ端末。
【請求項12】
道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、
前記基地局との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記基地局との通信環境を観測するための補助通信部を有する無線通信部と、
前記基地局と前記補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局と前記主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える、ユーザ端末。
【請求項13】
道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、
前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、
他の移動体に搭載されたユーザ端末と無線通信を行う直接通信部と、
前記基地局の無線通信部との接続が不良になると、その旨の接続不良情報を前記直接通信部から他のユーザ端末に送信し、
前記接続不良情報を前記直接通信部により他のユーザ端末から受信すると、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える、ユーザ端末。
【請求項14】
道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、
前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、
前記基地局において無線通信部と離間して配置された標識物を検出するセンサと、
このセンサの検出結果に基づいて、前記基地局の無線通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える、ユーザ端末。
【請求項15】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、
前記ユーザ端末の無線通信部が、
前記基地局に設けられた、前記ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記ユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部の各々に接続し、
前記ユーザ端末の制御部が、
前記基地局の前記補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局の主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する、通信制御方法。
【請求項16】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、
前記ユーザ端末に設けられた、前記基地局との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記基地局との通信環境を観測するための補助通信部の各々が、
前記基地局に接続し、
前記ユーザ端末の制御部が、
前記基地局と前記補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局と前記主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する、通信制御方法。
【請求項17】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、
前記ユーザ端末の無線通信部が、
前記基地局の無線通信部に接続し、
一方の前記ユーザ端末の制御部は、
前記基地局の無線通信部との接続が不良になると、その旨の接続不良情報を直接通信部から他のユーザ端末に送信し、
他方の前記ユーザ端末の制御部が、
前記接続不良情報を直接通信部により他のユーザ端末から受信すると、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する、通信制御方法。
【請求項18】
道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、
前記ユーザ端末の無線通信部が、
前記基地局の無線通信部に接続し、
前記ユーザ端末のセンサは、
前記基地局において前記ユーザ端末と無線通信を行う無線通信部と離間して配置された標識物を検出し、
前記ユーザ端末の制御部が、
前記センサの検出結果に基づいて、前記基地局の無線通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システム、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末、及び道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モバイルネットワークの分野では、5G(第5世代移動体通信システム)が商用化の段階にある。このような5Gでは、利用される周波数が高く、1つの基地局のサービスエリアが小さくなるため、基地局をより高密度に配置する必要が生じる。そのため、複数の基地局間の無線マルチホップ通信によりバックホール回線のネットワークを構築することが考えられる。
【0003】
このようなマルチホップ通信によりバックホール回線のネットワークを構築する技術として、基地局がグループ化され、同じグループに属する基地局間のマルチホップ通信によって無線通信経路が構築されると共に、基地局のグループに対応してエッジサーバが配置される技術が知られている(特許文献1参照)。また、複数の無線通信部が設けられて、接続中の無線通信部の通信品質が劣化した場合に、その通信品質が劣化した無線通信部以外の無線通信部を用いて通信を行う技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-57738号公報
【特許文献2】国際公開第2015/059860号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、エッジサーバが配置されたネットワークにおいて、エッジサーバとユーザ端末との通信に用いられる無線通信経路が適切に構築される。また、特許文献2に開示された技術では、通信部の通信品質の劣化に応じて接続先の切り替えが実施されるため、ユーザに通信の切断を意識させることなく接続先の切り替えが行われる。
【0006】
一方、道路上を移動可能な移動体としての車両に搭載されたユーザ端末では、周辺の車両により形成される遮蔽エリアにより、基地局とユーザ端末との通信が切断されることがある。このとき、基地局との通信が切断される前に接続先の切り替えを適切に行うだけの余裕が十分にないために通信の瞬断が発生するという問題があった。しかしながら、従来の技術では、このような問題を十分に解決できない。
【0007】
そこで、本開示は、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる無線通信システム、ユーザ端末、及び通信制御方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の無線通信システムは、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記基地局は、前記ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記ユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部を有する無線通信部を備え、前記ユーザ端末は、前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、前記基地局の補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局の主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える構成とする。
【0009】
また、本開示のユーザ端末は、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、前記基地局に設けられた、前記ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記ユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部の各々に接続可能な無線通信部と、前記基地局の補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局の主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える構成とする。
【0010】
また、本開示の通信制御方法は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、前記ユーザ端末の無線通信部が、前記基地局に設けられた、前記ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記ユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部の各々に接続し、前記ユーザ端末の制御部が、前記基地局の前記補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局の主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る無線通信システムの全体構成図
図2】NW制御サーバによるユーザ端末とエッジサーバとの通信経路の制御の一例を示す説明図
図3】アクセスポイントの概略構成を示すブロック図
図4】エッジサーバの概略構成を示すブロック図
図5】NW制御サーバの概略構成を示すブロック図
図6】ユーザ端末の概略構成を示すブロック図
図7】無線制御システムにおける通信経路の構築動作の手順を示すシーケンス図
図8】無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
図9】ユーザ端末で行われる処理の流れを示すフロー図
図10】第2実施形態に係るアクセスポイントの概略構成を示すブロック図
図11】ユーザ端末の概略構成を示すブロック図
図12】無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
図13】ユーザ端末で行われる流れを示すフロー図
図14】第3実施形態に係る無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
図15】無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
図16】ユーザ端末で行われる流れを示すフロー図
図17】第4実施形態に係るユーザ端末の概略構成を示すブロック図
図18】無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
図19】ユーザ端末で行われる処理の流れを示すフロー図
図20】第5実施形態に係るユーザ端末の概略構成を示すブロック図
図21】無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図
図22】ユーザ端末で行われる処理の流れを示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記基地局は、前記ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記ユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部を有する無線通信部を備え、前記ユーザ端末は、前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、前記基地局の補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局の主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える構成とする。
【0014】
これによると、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。なお、接続先の切り替えには、通信方式が同じ別の基地局に切り替える場合と、通信方式が異なる基地局に切り替える場合とがある。
【0015】
また、第2の発明は、前記基地局において、前記ユーザ端末と前記基地局との通信を遮蔽する遮蔽物と移動体との位置関係に応じて、先に通信状況が劣化する位置に前記補助通信部が配置され、後に通信状況が劣化する位置に前記主通信部が配置された構成とする。
【0016】
これによると、ユーザ端末が、基地局の補助通信部との接続が不良となることで、近い将来に基地局との通信が途切れることを精度よく予測することができる。
【0017】
また、第3の発明は、前記基地局において、前記主通信部は上側に配置され、前記補助通信部は下側に配置された構成とする。
【0018】
これによると、ユーザ端末が、基地局の補助通信部との接続が不良となることで、近い将来に基地局との通信が途切れることを精度よく予測することができる。なお、主通信部と補助通信部とが上下にずらして配置される他に、通信部と補助通信部とが左右にずらして配置されたり、通信部と補助通信部とが前後にずらして配置されたりしてもよい。
【0019】
また、第4の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記基地局は、前記ユーザ端末と無線通信を行う無線通信部を備え、前記ユーザ端末は、前記基地局との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記基地局との通信環境を観測するための補助通信部を有する無線通信部と、前記基地局と前記補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局と前記主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える構成とする。
【0020】
これによると、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【0021】
また、第5の発明は、前記ユーザ端末において、前記ユーザ端末と前記基地局との通信を遮蔽する遮蔽物と移動体との位置関係に応じて、先に通信状況が劣化する位置に前記補助通信部が配置され、後に通信状況が劣化する位置に前記主通信部が配置された構成とする。
【0022】
これによると、ユーザ端末が、基地局と補助通信部との接続が不良となることで、近い将来に基地局との通信が途切れることを精度よく予測することができる。
【0023】
また、第6の発明は、前記ユーザ端末において、前記主通信部は上側に配置され、前記補助通信部は下側に配置された構成とする。
【0024】
これによると、ユーザ端末が、基地局と補助通信部との接続が不良となることで、近い将来に基地局との通信が途切れることを精度よく予測することができる。
【0025】
また、第7の発明は、前記ユーザ端末において、前記主通信部は後側に配置され、前記補助通信部は前側に配置された構成とする。
【0026】
これによると、ユーザ端末が、基地局と補助通信部との接続が不良となることで、近い将来に基地局との通信が途切れることを精度よく予測することができる。なお、主通信部と補助通信部とが上下にずらして配置されたり、通信部と補助通信部とが前後にずらして配置されたりする他に、通信部と補助通信部とが左右にずらして配置されてもよい。
【0027】
また、第8の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記基地局は、前記ユーザ端末と無線通信を行う無線通信部を備え、前記ユーザ端末は、前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、前記基地局との無線通信を制御する制御部と、他のユーザ端末と無線通信を行う直接通信部とを備え、一方の前記ユーザ端末の制御部は、前記基地局の無線通信部との接続が不良になると、その旨の接続不良情報を前記直接通信部から他のユーザ端末に送信し、他方の前記ユーザ端末の制御部は、前記接続不良情報を前記直接通信部により他のユーザ端末から受信すると、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する構成とする。
【0028】
これによると、ユーザ端末が、周辺にある他のユーザ端末から通信不良情報を受け取ることで、近い将来に基地局との通信が途切れることを精度よく予測することができる。
【0029】
また、第9の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システムであって、前記基地局は、前記ユーザ端末と無線通信を行う無線通信部と、この無線通信部と離間して配置された標識物とを備え、前記ユーザ端末は、前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、前記基地局の標識物を検出するセンサと、このセンサの検出結果に基づいて、前記基地局の無線通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える構成とする。
【0030】
これによると、基地局との接続が不良となる前に、センサにより基地局の標識物を検出できなくなることで、基地局との接続が不良となることを精度よく予測することができる。
【0031】
また、第10の発明は、前記基地局は、グループ化されて、同じグループに属する他の基地局とマルチホップ通信を実行する構成とする。
【0032】
これによると、ユーザ端末の通信に用いられる無線通信経路を適切に構築することができる。
【0033】
また、第11の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、前記基地局に設けられた、当該ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部、及び当該ユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部の各々に接続可能な無線通信部と、前記基地局の補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局の主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える構成とする。
【0034】
これによると、第1の発明と同様に、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【0035】
また、第12の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、前記基地局との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記基地局との通信環境を観測するための補助通信部を有する無線通信部と、前記基地局と前記補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局と前記主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える構成とする。
【0036】
これによると、第3の発明と同様に、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【0037】
また、第13の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、他の移動体に搭載されたユーザ端末と無線通信を行う直接通信部と、前記基地局の無線通信部との接続が不良になると、その旨の接続不良情報を前記直接通信部から他のユーザ端末に送信し、前記接続不良情報を前記直接通信部により他のユーザ端末から受信すると、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える構成とする。
【0038】
これによると、第6の発明と同様に、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【0039】
また、第14の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末であって、前記基地局と無線通信を行う無線通信部と、前記基地局において無線通信部と離間して配置された標識物を検出するセンサと、このセンサの検出結果に基づいて、前記基地局の無線通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する制御部とを備える構成とする。
【0040】
これによると、第7の発明と同様に、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【0041】
また、第15の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、前記ユーザ端末の無線通信部が、前記基地局に設けられた、前記ユーザ端末との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記ユーザ端末との通信環境を観測するための補助通信部の各々に接続し、前記ユーザ端末の制御部が、前記基地局の前記補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局の主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する構成とする。
【0042】
これによると、第1の発明と同様に、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【0043】
また、第16の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、前記ユーザ端末に設けられた、前記基地局との無線通信を主に行うための主通信部、及び前記基地局との通信環境を観測するための補助通信部の各々が、前記基地局に接続し、前記ユーザ端末の制御部が、前記基地局と前記補助通信部との接続状況に基づいて、前記基地局と前記主通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する構成とする。
【0044】
これによると、第3の発明と同様に、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【0045】
また、第17の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、前記ユーザ端末の無線通信部が、前記基地局の無線通信部に接続し、一方の前記ユーザ端末の制御部は、前記基地局の無線通信部との接続が不良になると、その旨の接続不良情報を直接通信部から他のユーザ端末に送信し、他方の前記ユーザ端末の制御部が、前記接続不良情報を直接通信部により他のユーザ端末から受信すると、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する構成とする。
【0046】
これによると、第6の発明と同様に、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【0047】
また、第18の発明は、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法であって、前記ユーザ端末の無線通信部が、前記基地局の無線通信部に接続し、前記ユーザ端末のセンサは、前記基地局において前記ユーザ端末と無線通信を行う無線通信部と離間して配置された標識物を検出し、前記ユーザ端末の制御部が、前記センサの検出結果に基づいて、前記基地局の無線通信部との接続が不良となることが予測される場合に、別の基地局に接続先を切り替える処理を実行する構成とする。
【0048】
これによると、第7の発明と同様に、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる。
【0049】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0050】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム1の全体構成図である。
【0051】
無線通信システム1(システム1と略称する。)は、マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、アクセスポイント(又は基地局)4、エッジサーバ5、ネットワーク制御サーバ(NW制御サーバ6と略称する。)、及びユーザ端末7を備える。
【0052】
システム1が適用されるネットワークでは、複数のスモールセル基地局3の通信エリアであるスモールセルエリア11が、マクロセル基地局2の通信エリアであるマクロセルエリア12上にそれぞれ重畳される。
【0053】
マクロセル基地局2は、例えばLTE(Long Term Evolution)などのUHF帯(周波数:300M Hz~3GHz)を代表とするより大きなセルを構築しやすい周波数帯を利用して無線通信を行うものである。マクロセル基地局2は、制御信号を伝送するための制御プレーン(CPlane)の基地局となる。また、マクロセル基地局2は、ユーザデータを伝送するためのユーザプレーン(U-Plane)の基地局として使用される場合もある。
【0054】
スモールセル基地局3は、例えば低SHF帯(周波数:3GHz~6GHz)などのマクロセル基地局2よりも高い周波数を利用して無線通信を行うものである。なお、スモールセル基地局3は、高SHF帯(周波数:6GHz~30GHz帯)を利用するものであってもよい。スモールセル基地局3は、ユーザプレーンの基地局として使用される。
【0055】
アクセスポイント4は、例えば、Wi-Fi(登録商標)による比較的小容量の無線通信や、WiGig(登録商標)による比較的大容量の無線LAN通信を行うものである。アクセスポイント4の通信エリア13は、スモールセルエリア11及びマクロセルエリア12の少なくとも一方に重畳される。
【0056】
ただし、アクセスポイント4は、スモールセル基地局3よりも高い周波数帯を利用して無線通信を行うマイクロセル基地局であってもよい。その場合、アクセスポイント4による無線通信は、5GのNR(New Radio)となる高SHF帯またはEHF帯(ここでは、28GHz帯、40GHz帯、及び70GHz帯など)を利用して行うことができる。また、複数のアクセスポイント4には、そのようなマイクロセル基地局と、無線LAN通信を行う基地局とが共に含まれてもよい。アクセスポイント4としてマイクロセル基地局が用いられる場合、通信エリア13は、マイクロセル基地局の通信エリアであるマイクロセルに相当する。
【0057】
システム1では、複数のRAT(無線通信方式)が混在する通信環境、いわゆるヘテロジーニアスネットワークが構成される。マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及び一部のアクセスポイント4は、コアネットワーク15及びインターネット16からなる有線ネットワークに有線接続されている。コアネットワーク15には、LTEのコアネットワークに相当するEPC(Evolved Packet Core)を構成するMME(Mobility Management Entity)、S-GW(Serving Gateway)、及びP-GW(Packet data network Gateway)や5Gのコアネットワークに相当する5GC(5G Core network)を構成するAMF(Access and Mobility Management Function)、及びUPF(User Plane Function)などが含まれる。また、システム1において、マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、アクセスポイント4、エッジサーバ5、NW制御サーバ6、及びユーザ端末7の数や配置は適宜変更することが可能である。
【0058】
エッジサーバ5は、移動するユーザ端末7と物理的に近い位置において、ユーザ端末7に提供するサービスとして種々のアプリケーション(プログラム)を実行する。各エッジサーバ5の配置には、特に制限はないが、ここではアクセスポイント4のいずれかに接続される。
【0059】
NW制御サーバ(ネットワーク制御装置)6は、システム1が適用されたネットワークにおけるエッジサーバ5とユーザ端末7との通信に用いられる通信経路を制御する。NW制御サーバ6は、コアネットワーク15に接続される。ただし、NW制御サーバ6は、コアネットワーク15の一部を構成してもよいし、インターネット16に接続されてもよい。
【0060】
ユーザ端末7は、各ユーザ(図示せず)によって携帯されるスマートフォンやタブレット端末などの無線通信機能を有する情報機器である。ユーザ端末7は、マクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4にそれぞれ無線接続することができる。また、ユーザ端末7は、それらマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4を介してエッジサーバ5と通信することにより、エッジサーバ5のアプリケーションを利用することができる。また、ユーザ端末7は、コアネットワーク15及びインターネット16からなる有線ネットワークを介して任意のサーバ(図示せず)と通信することにより、当該サーバのアプリケーションを利用することもできる。
【0061】
図2は、NW制御サーバ6によるユーザ端末7とエッジサーバ5との通信経路の制御の一例を示す説明図である。図2(A)は、従来の通信経路(比較例)であり、図2(B)は、NW制御サーバ6によって構築された通信経路である。
【0062】
図2では、有線ネットワークの接続点18を起点としてツリー状またはメッシュ状に複数のアクセスポイント4が配置されている。各アクセスポイント4は、無線通信によって相互に接続されることにより、バックホールを形成する。なお、図2では、アクセスポイント4を相互に区別するために符号AP1-AP12が付されている。
【0063】
図2(A)では、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信において、無線品質を基準にアクセスポイントが選択される例が示されている。この場合、ユーザ端末7は、最も高い無線品質を得られる近隣のアクセスポイントAP1を接続先として選択するため、結果として、より多くのアクセスポイントAP1-AP9を介してエッジサーバ5と通信を行う必要が生じる。図2(A)では、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信経路R1には、各アクセスポイントを有線ネットワークの接続点18に接続するためのバックホールを利用することになる。
【0064】
これに対し、図2(B)では、エッジサーバ5が接続されたアクセスポイントAP9を含む複数のアクセスポイントAP9-AP12がグループ化される(図中の破線の円を参照)。また、NW制御サーバ6は、それらグループ化されたアクセスポイントAP9-AP12によって無線通信経路R2、R3を形成する。さらに、NW制御サーバ6は無線通信経路R2、R3を優先的に利用するようアクセス回線の接続先優先度を決定しユーザ端末7に提供する。これにより、ユーザ端末7は、アクセスポイントAP10またはAP11を接続先として選択し、無線通信経路R2、R3を利用してエッジサーバ5と通信することが可能となる。
【0065】
図3は、アクセスポイント4の概略構成を示すブロック図である。
【0066】
本実施形態では、アクセスポイント4は道路のわき(路側)や交差点に設置された路側機を構成する。だたし、アクセスポイント4は実質的に路側機を構成すればよく、例えば、既設の路側機及びそれと協働する通信装置から構成されてもよい。
【0067】
アクセスポイント4は、無線通信部21、バックホール通信部22、有線通信部23、記憶部24、及び制御部25を備える。
【0068】
無線通信部21は、ユーザ端末7と無線通信を行うためのアンテナや通信回路を備える。無線通信部21は、主通信部26及び補助通信部27を備える。主通信部26及び補助通信部27は共にユーザ端末7と接続される。主通信部26は、主にユーザ端末7と通信を行う。すなわち、主通信部26とユーザ端末7との間でユーザデータの送受信が行われる。補助通信部27は、ユーザ端末7との通信環境を観測するためのセンサとして機能する。なお、主通信部26及び補助通信部27は同一の無線通信方式でもよいが、異なる無線通信方式でもよい。また、補助通信部27は、ユーザ端末7において、通信品質、例えば受信信号強度(RSSI)を測定可能なものでもよい。
【0069】
バックホール通信部22は、周辺のアクセスポイント4と無線通信を行うためのアンテナや回路を備える。これにより、複数のアクセスポイント4によるマルチホップ通信が行われ、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる無線通信経路が形成される。
【0070】
有線通信部23は、コアネットワーク15との有線通信を行うための通信回路を備える。ただし、有線通信部23は、必ずしも全てのアクセスポイント4に設けられる必要はなく、有線ネットワークの近隣のアクセスポイント4に必要に応じて設けられる。
【0071】
記憶部24は、ユーザ端末7に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及び他のアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部25を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0072】
制御部25は、無線品質測定部31、位置情報取得部32、経路接続部33、無線制御部34、及び有線制御部35を備える。
【0073】
無線品質測定部31は、他の周辺のアクセスポイント4との無線通信の品質を受信信号強度などの公知の指標に基づき測定する。また、無線品質測定部31は、無線通信の品質の測定結果に基づき無線品質情報を生成する。
【0074】
位置情報取得部32は、自身(アクセスポイント4)の位置情報を取得する。位置情報取得部32は、自装置の位置を適宜測定することにより位置情報を取得するか、記憶部24等に予め記憶された位置情報を用いることができる。
【0075】
経路接続部33は、エッジサーバ5から受信する経路確立指示に基づき、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる通信経路を確立する。経路接続部33は、そのような通信経路の確立にあたり、バックホール通信部22による無線通信を制御することにより、周辺のアクセスポイントとのマルチホップ通信を実現する。
【0076】
無線制御部34は、無線通信部21によるユーザ端末7との無線通信を制御する。
【0077】
有線制御部35は、有線通信部23による通信を制御する。また、有線制御部35は、有線ネットワークにおける通信制御装置や、周辺にあるマクロセル基地局2やスモールセル基地局3との有線通信により、ユーザ端末7の接続先などに関する情報を交換することができる。
【0078】
なお、上述の制御部25における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0079】
図4は、エッジサーバ5の概略構成を示すブロック図である。
【0080】
エッジサーバ5は、通信部41、記憶部42、及び制御部43を備える。
【0081】
通信部41は、自装置が接続されたアクセスポイント4と通信を行うための通信回路を備える。
【0082】
記憶部42は、ユーザ端末7に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部43を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0083】
制御部43は、経路確立指示部45、トラフィック情報収集部46、アクセスポイント動作指示部47、通信制御部48、及びアプリケーション部49を備える。
【0084】
経路確立指示部45は、NW制御サーバ6から受信する情報に基づき、アクセスポイント4に通信経路を確立させるための経路確立指示を送信する。
【0085】
トラフィック情報収集部46は、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に関し、無線通信経路を形成する各アクセスポイント4間のトラフィックの情報を収集する。なお、トラフィック情報収集部46は、適宜省略されてもよい。
【0086】
アクセスポイント動作指示部47は、NW制御サーバ6から受信する情報に基づき、アクセスポイント4に対して動作指示を送信する。そのような動作指示には、アクセスポイント4に対する起動または停止の指示が含まれる。なお、アクセスポイント動作指示部47は、適宜省略されてもよい。
【0087】
通信制御部48は、通信部41による通信を制御する。また、通信制御部48は、周辺のアクセスポイント4やユーザ端末7と必要な情報を交換する。
【0088】
アプリケーション部49は、ユーザ端末7へのサービス内容に応じて種々のアプリケーションを実行する。アプリケーションによる処理には、例えば、スマート工場に設置されたセンサの出力(検出結果)の格納または提供や、交差点などの交通映像その他の検出情報の格納または提供などが含まれる。
【0089】
なお、上述の制御部43における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0090】
図5は、NW制御サーバ6の概略構成を示すブロック図である。
【0091】
NW制御サーバ6は、通信部51、記憶部52、及び制御部53を備える。
【0092】
通信部51は、コアネットワーク15を介してエッジサーバ5やユーザ端末7と通信を行うための通信回路を備える。
【0093】
記憶部52は、ユーザ端末7に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部53を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0094】
制御部53は、情報収集部61、グループ化部62、経路設定部63、トラフィック分析部64、接続先優先度設定部65、サービスエリア設定部66、エッジサーバ動作制御部67、アクセスポイント動作制御部68、及び通信制御部69を備える。
【0095】
情報収集部61は、各アクセスポイント4から周辺機器情報を収集する。この周辺機器情報には、各アクセスポイント4間の無線通信の品質に関する無線品質情報、各アクセスポイント4の位置情報、及び各アクセスポイント4に接続されたエッジサーバ5の有無に関するエッジサーバ情報が含まれる。
【0096】
グループ化部62は、収集された周辺機器情報に基づき、管理下にある複数のアクセスポイント4から、特定のエリアでネットワークを構成するアクセスポイント4を抽出し、それらをグループ化する。これにより、少なくとも1組以上のアクセスポイント4のグループが生成される。「特定のエリア」には、例えば、スマート工場内や、交差点を含む所定領域などが含まれる。なお、アクセスポイント4のグループの少なくとも一部は、オペレータによって設定されてもよい。また、グループ化部62は、後述するトラフィック分析部64によるトラフィックの分析結果に基づき、既存のアクセスポイント4のグループを再構成することができる。なお、本実施形態では、各アクセスポイント4は、それぞれ対応する路側機を構成し得る。
【0097】
経路設定部63は、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる1以上の無線通信経路を設定する。そのような無線通信経路は、グループ化されたアクセスポイント4のマルチホップ通信によって形成される。なお、そのような無線通信経路の少なくとも一部は、オペレータによって設定されてもよい。
【0098】
トラフィック分析部64は、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられた無線通信経路におけるトラフィック情報をエッジサーバ5から順次取得する。それらの取得されたトラフィック情報は記憶部52に蓄積される。また、トラフィック分析部64は、蓄積されたトラフィック情報に基づき、例えば経路設定部63によって設定された無線通信経路のトラフィックの分布を予測するなどのトラフィックの分析を行う。トラフィック分析部64は、対象のグループに含まれないグループ外のアクセスポイント4を用いる迂回経路の検出を行うこともできる。
【0099】
接続先優先度設定部65は、ユーザ端末7が利用するエッジサーバ5のサービスの種別に応じて、ユーザ端末7の接続先の候補の優先度を設定する。また、接続先優先度設定部65は、設定した接続先の候補の優先度に基づき接続先優先度情報を生成する。ユーザ端末7の接続先の候補は、通常はアクセスポイント4のいずれかであるが、必要に応じてマクロセル基地局2やスモールセル基地局3が接続先の候補となり得る。また、接続先優先度情報には、接続先の候補の優先順位が含まれる。これに限らず、接続先優先度情報には、例えば、接続先の候補の優先順位を決定するための基準(ルール)に関する情報が含まれてもよい。
【0100】
サービスエリア設定部66は、各アクセスポイント4からの周辺機器情報に基づき、それらのサービスエリア(通信エリアの範囲)を設定する。そのようなサービスエリアは、ユーザ端末7が利用するエッジサーバ5のサービスの種別に応じて設定される。また、サービスエリア設定部66は、設定したサービスエリアの範囲に関するサービスエリア情報を生成する。なお、サービスエリア情報の少なくとも一部は、オペレータによって設定されてもよい。
【0101】
エッジサーバ動作制御部67は、エッジサーバ5におけるアプリケーションの起動などを含めエッジサーバ5の動作を制御する。
【0102】
アクセスポイント動作制御部68は、アクセスポイント4の起動及び停止を含めアクセスポイント4の動作を制御する。
【0103】
通信制御部69は、通信部51による通信を制御する。また、通信制御部69は、周辺のアクセスポイント4、エッジサーバ5、及びユーザ端末7と必要な情報を交換することができる。
【0104】
なお、上述の制御部53における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0105】
図6は、ユーザ端末7の概略構成を示すブロック図である。
【0106】
本実施形態では、ユーザ端末7は、移動体(ここでは、自動車)に搭載される端末装置である。ユーザ端末7は、例えば、自動車に設けられた車載器によって構成され得る。また、ユーザ端末7は、自動車のユーザ(運転者や乗員)によって携帯される携帯型のコンピュータであってもよい。
【0107】
ユーザ端末7は、無線通信部71、記憶部72、位置情報取得部73、及び制御部74を備える。
【0108】
無線通信部71は、マクロセル・スモールセル通信部75、及びアクセスポイント通信部76を備える。マクロセル・スモールセル通信部75は、マクロセル基地局2またはスモールセル基地局3と無線通信を行うためのアンテナや通信回路を備える。アクセスポイント通信部76は、アクセスポイントと無線通信を行うためのアンテナや通信回路を備える。
【0109】
記憶部72は、自装置に関する情報、周辺にあるマクロセル基地局2、スモールセル基地局3、及びアクセスポイント4に関する情報、並びに制御部74を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0110】
位置情報取得部73は、GPS(Global Positioning System)や、ビーコン発信器を用いたシステムなどの公知の測位システムにより、自装置の位置情報を取得する。
【0111】
制御部74は、接続先選択部81、アプリケーション部82、無線制御部83、及び接続不良予測部84を備える。
【0112】
接続先選択部81は、NW制御サーバ6から受信するグループ化情報、接続先優先度情報、及びサービスエリア情報に基づき、アクセスポイント4等の接続先を選択する。これにより、ユーザ端末7は、その選択された接続先及びそれを含む無線通信経路を介してエッジサーバ5と通信可能である。
【0113】
アプリケーション部82は、ユーザ端末7で実行されるアプリケーションの内容に応じた処理を実行し、無線通信部71を介してエッジサーバ5との間でアプリケーションデータを送受信する。
【0114】
無線制御部83は、無線通信部71によるアクセスポイント4との無線通信や、マクロセル基地局2及びスモールセル基地局3との無線通信を制御する。
【0115】
接続不良予測部84は、無線通信部71のアクセスポイント通信部76とアクセスポイントの補助通信部27との接続が不良となると、近い将来にアクセスポイント通信部76とアクセスポイントの主通信部26との接続が不良になると予測する。接続先選択部81は、接続不良予測部84によりアクセスポイントとの接続の不良が予測される場合には、無線通信部71の接続先を切り替える処理を行う。
【0116】
なお、上述の制御部74における各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが所定の制御プログラムを実行することにより実現可能である。
【0117】
図7は、システム1における通信経路の構築動作の手順を示すシーケンス図である。
【0118】
システム1では、各アクセスポイント4が、自装置の周辺の他のアクセスポイント4との無線品質を測定することにより、無線品質情報を取得する。また、各アクセスポイント4は、自装置の位置情報を取得する。これにより得られた無線品質情報及び位置情報は、自装置に接続されたエッジサーバ5の有無に関するエッジサーバ情報と共に周辺機器情報としてNW制御サーバ6に送信される。
【0119】
その後、NW制御サーバ6は、周辺機器情報に基づき、アクセスポイント4のグループ化を行う。このグループ化は、特定のエリアにおいて想定されるサービス提供エリアに応じて行われる。
【0120】
続いて、NW制御サーバ6は、グループ化されたアクセスポイント4に関し、ユーザ端末7とエッジサーバ5との通信に用いられる1以上の無線通信経路を構築する。このとき、NW制御サーバ6は、構築された無線通信経路を構成する複数の接続先の候補に対する優先度を設定することができる。その優先度は、例えば、電力効率やホップ数などを含むQoS(Quality of Service)に基づき設定される。
【0121】
グループ化されたアクセスポイント4に関するグループ情報、及び経路設定部63によって設定された1以上の無線通信経路に関する経路情報は、通信経路の確立に用いられる経路確立用情報としてエッジサーバ5に送信される。
【0122】
エッジサーバ5は、NW制御サーバ6からのグループ情報及び経路情報に基づき、アクセスポイント4に対して経路確立指示を送信する。
【0123】
各アクセスポイント4は、エッジサーバ5からの経路確立指示を受信すると、周辺の他のアクセスポイント4と無線接続を行うことにより、エッジサーバ5との間の通信経路を確立する。
【0124】
なお、NW制御サーバ6は、上述のエッジサーバ5に対する経路確立用情報(グループ情報及び経路情報を含む)の送信を省略し、同様の経路確立用情報をユーザ端末7に対して送信してもよい。そのようなユーザ端末に対する経路確立用情報の送信は、例えば、システム1において、エッジサーバ5の位置や、各アクセスポイント4間の無線通信経路の少なくとも一部が事前に決定(または固定)されている場合に有効である。同様に、例えば、システム1において、各アクセスポイント4間の無線通信経路を変更する余地が殆どない場合(例えば、各アクセスポイント4間の無線品質に基づき、おのずと無線通信経路が定まる場合)などにも有効である。
【0125】
図8は、無線通信システム1で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0126】
アクセスポイント4の無線通信部21では、主通信部26及び補助通信部27が上下方向にずれた位置に配置されている。具体的には、主通信部26の下方に補助通信部27が配置されている。
【0127】
また、図8に示す例では、ユーザ端末7が搭載された車両V1の前方に別の車両V2が走行、もしくは停車や駐車している。車両V2は大型車であり、車両V2の後側に遮蔽エリアが形成される。前側の車両V2が減速したり停止したりすることで、2台の車両V1,V2の車間距離が短くなると、前側の車両V2による遮蔽エリアに後側の車両V1が入る。なお、遮蔽エリアの長さは主通信部26と車両V2の位置や両者の高さなどによって異なる。また、アクセスポイント4の主通信部26とユーザ端末7との通信を遮蔽する第1の遮蔽エリアが、車両V2により形成される。また、アクセスポイント4の補助通信部27とユーザ端末7との通信を遮蔽する第2の遮蔽エリアが車両V2により形成される。
【0128】
ここで、図8(A)に示すように、車両V1がアクセスポイント4から離れた状態では、アクセスポイント4の主通信部26及び補助通信部27の両方がユーザ端末7のアクセスポイント通信部76と接続され、アクセスポイント4の主通信部26とユーザ端末7のアクセスポイント通信部76とで通信が行われる。
【0129】
一方、図8(B)に示すように、車両V1が前方の別の車両V2に近づいて、車両V1に搭載されたユーザ端末7が第2の遮蔽エリアに入ると、アクセスポイント4の補助通信部27とユーザ端末7との接続が不良となるが、ユーザ端末7は第1の遮蔽エリアに入っていないため、アクセスポイント4の主通信部26とユーザ端末7との接続は良好な状態のままである。そして、車両V1がさらに車両V2に近づいて、ユーザ端末7が第1の遮蔽エリアに入ると、アクセスポイント4の主通信部26とユーザ端末7との接続が不良となる。
【0130】
このため、アクセスポイント4の補助通信部27とユーザ端末7との接続が不良となると、近い将来に、アクセスポイント4の主通信部26とユーザ端末7との接続が不良となることが予測される。そこで、本実施形態では、アクセスポイント4の補助通信部27とユーザ端末7との接続が不良であることが検知されると、ユーザ端末7では、接続先を切り替える処理が実施される。
【0131】
接続先の切り替えでは、まず、無線通信方式(RAT)が同じ別の基地局であるアクセスポイント4に接続先を切り替えるハンドオーバーが実施され、ハンドオーバーができない場合には、無線通信方式が異なる基地局、すなわちスモールセル基地局3またはマクロセル基地局2に接続先を切り替える処理(RAT切替)が実施される。
【0132】
ここで、アクセスポイント4とユーザ端末7との接続が不良であるとは、アクセスポイント4の補助通信部27とユーザ端末7との接続が切断された状態の他に、アクセスポイント4の補助通信部27とユーザ端末7との間の通信品質が極度に劣化した状態も含まれる。この場合、例えば受信信号強度(RSSI)を測定して、その受信信号強度が所定のしきい値未満になると、接続不良と判定されてもよい。
【0133】
なお、本実施形態では、前方の車両により形成される遮蔽エリアによりアクセスポイント4とユーザ端末7との接続が不良となる例について説明するが、アクセスポイント4とユーザ端末7との接続の障害となる遮蔽エリアは前方の車両により形成されるものに限定されない。例えば、自車両の後方に位置するアクセスポイント4が接続先として選択された場合には、自車両の後方にある別の車両による遮蔽エリアに自車両が入ることで、アクセスポイント4とユーザ端末7との通信が途切れる場合がある。これは以下に説明する実施形態でも同様である。
【0134】
図9は、ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0135】
ユーザ端末7は、接続先となるアクセスポイント4を選択する(ST101)。次に、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4の主通信部26に接続する(ST102)。また、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4の補助通信部27にも接続する(ST103)。次に、ユーザ端末7は、アクセスポイント4の主通信部26と通信を行う(ST104)。
【0136】
次に、ユーザ端末7は、アクセスポイント4の補助通信部27との接続が不良であるか否かを判定する(ST105)。ここで、アクセスポイント4の補助通信部27との接続が不良でない場合には(ST105でNo)、アクセスポイント4との通信が継続される。一方、アクセスポイント4の補助通信部27との接続が不良である場合には(ST105でYes)、接続先を切り替える処理を実施する(ST106)。
【0137】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係るアクセスポイント4の概略構成を示すブロック図である。図10では、図3に示した第1実施形態に係るアクセスポイント4と同様の構成要素については、同一の符号が付されている。本実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0138】
図10に示すように、本実施形態に係るアクセスポイント4では、無線通信部21が、第1実施形態のような主通信部26及び補助通信部27を備えておらず、単一の無線通信部21がユーザ端末7と通信を行う。
【0139】
図11は、第2実施形態に係るユーザ端末7の概略構成を示すブロック図である。図11では、図6に示した第1実施形態に係るユーザ端末7と同様の構成要素については、同一の符号が付されている。本実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0140】
図11に示すように、本実施形態に係るユーザ端末7では、アクセスポイント通信部76が、主通信部78及び補助通信部79を備える。主通信部78及び補助通信部79は共にアクセスポイント4と接続される。主通信部78は、主にアクセスポイント4と通信を行う。すなわち、主通信部78とアクセスポイント4との間でユーザデータの送受信が行われる。補助通信部79は、アクセスポイント4との通信環境を観測するためのセンサとして機能する。なお、主通信部78及び補助通信部79は同一の無線通信方式でもよいが、異なる無線通信方式でもよい。また、補助通信部79は、ユーザ端末7において、通信品質、例えば受信信号強度(RSSI)を測定可能なものでもよい。
【0141】
また、制御部の接続不良予測部84は、アクセスポイント4とユーザ端末7の補助通信部との接続が不良となると、近い将来にアクセスポイント4とユーザ端末7の主通信部との接続が不良となると予測する。接続先選択部81は、接続不良予測部84によりアクセスポイントとの接続の不良が予測される場合には、無線通信部71の接続先を切り替える処理を行う。
【0142】
なお、エッジサーバ5、及びNW制御サーバ6の構成は第1実施形態(図4図5参照)と同様である。
【0143】
図12は、無線通信システム1で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0144】
本実施形態では、移動体としての車両V1に搭載されたユーザ端末7において、主通信部78及び補助通信部79が上下方向にずれた位置に配置されている。具体的には、主通信部78が上側に配置され、補助通信部79が下側に配置されている。例えば、主通信部78は車体の屋根に配置され、補助通信部79はバンパーに配置される。
【0145】
また、図12に示す例では、ユーザ端末7が搭載された車両V1の前方に別の車両V2が走行している、もしくは停車や駐車している。車両V2は大型車であり、車両V2の後側に遮蔽エリアが形成される。前側の車両V2が減速したり停止したりすることで、2台の車両V1,V2の車間距離が短くなると、前側の車両V2による遮蔽エリアに後側の車両V1が入る。
【0146】
ここで、図12(A)に示すように、車両V1がアクセスポイント4から離れた状態では、ユーザ端末7の主通信部78及び補助通信部79の両方がアクセスポイント4の無線通信部21と接続され、ユーザ端末7の主通信部78とアクセスポイント4の無線通信部21とで通信が行われる。一方、図12(B)に示すように、前方の車両V2による遮蔽エリアに車両V1が入ると、車両V1に搭載されたユーザ端末7では、まず、補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良となり、次に、主通信部78とアクセスポイント4との接続が不良となる。
【0147】
このため、ユーザ端末7の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良となると、近い将来に、ユーザ端末7の主通信部78とアクセスポイント4との接続が不良となることが予測される。そこで、本実施形態では、ユーザ端末7の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良であることが検知されると、ユーザ端末7では、接続先を切り替える処理が実施される。
【0148】
なお、ユーザ端末7とアクセスポイント4との接続不良により、スモールセル基地局3またはマクロセル基地局2に接続先を切り替えた後に、ユーザ端末7とアクセスポイント4との接続不良が解消される場合がある。この場合、ユーザ端末7の補助通信部79とアクセスポイント4との通信品質が良好になる、例えば、受信信号強度(RSSI)がしきい値以上になってから所定の時間が経過したタイミングで、ユーザ端末7の主通信部78とアクセスポイント4との通信が再開されてもよい。このような制御は、他の実施形態でも同様に可能である。
【0149】
図13は、ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0150】
ユーザ端末7は、接続先となるアクセスポイント4を選択する(ST201)。次に、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4に上側の主通信部78を接続する(ST202)。また、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4に下側の補助通信部79を接続する(ST203)。次に、ユーザ端末7は、上側の主通信部78でアクセスポイント4と通信を行う(ST204)。
【0151】
次に、ユーザ端末7は、下側の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良であるか否かを判定する(ST205)。ここで、下側の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良でない場合には(ST205でNo)、アクセスポイント4との通信が継続される。一方、下側の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良である場合には(ST205でYes)、ユーザ端末7は、接続先を切り替える処理を実施する。
【0152】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るアクセスポイント4、及びユーザ端末7の構成はそれぞれ、第2実施形態に係るアクセスポイント4(図10参照)、及びユーザ端末7(図11参照)と同様である。また、第3実施形態に係るエッジサーバ5、及びNW制御サーバ6の構成はそれぞれ、第1実施形態に係るエッジサーバ5(図4参照)、及びNW制御サーバ6(図5参照)と同様である。
【0153】
図14図15は、第3実施形態に係る無線通信システムで行われる処理の概要を示す説明図である。
【0154】
第2実施形態(図12参照)では、移動体としての車両V1に搭載されたユーザ端末7において、主通信部78及び補助通信部79が上下方向にずれた位置に配置されている。具体的には、主通信部78が上側に配置され、補助通信部79が下側に配置された。一方、図14に示すように、本実施形態では、主通信部78及び補助通信部79が前後方向にずれた位置に配置されている。具体的には、主通信部78が後側に配置され、補助通信部79が前側に配置されている。
【0155】
ここで、図14(A)に示すように、車両V1がアクセスポイント4から離れた状態では、ユーザ端末7の主通信部78及び補助通信部79の両方がアクセスポイント4の無線通信部21と接続される。一方、図14(B)に示すように、前方の車両V2による遮蔽エリアに車両V1が入ると、車両V1に搭載されたユーザ端末7では、まず、補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良となり、次に、主通信部78とアクセスポイント4との接続が不良となる。
【0156】
このため、ユーザ端末7の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良となると、近い将来に、ユーザ端末7の主通信部78とアクセスポイント4との接続が不良となることが予測される。そこで、本実施形態では、ユーザ端末7の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良であることが検知されると、ユーザ端末7では、接続先を切り替える処理が実施される。
【0157】
図15に示す例では、ユーザ端末7が搭載された移動体としての車両V1が、#1のアクセスポイント4の通信エリアから#2のアクセスポイント4の通信エリアに移動する。#1,#2のアクセスポイント4の通信エリアは一部オーバーラップしている。#2のアクセスポイント4の通信エリアには遮蔽物による遮蔽エリアが形成されている。
【0158】
時刻t1の状態では、後側の主通信部78が#1のアクセスポイント4と通信を行い、前側の補助通信部79も#1のアクセスポイント4と通信している。時刻t2の状態では、#1,#2のアクセスポイント4の通信エリアのオーバーラップエリアに車両V1が進入する。時刻t3の状態では、#1のアクセスポイント4の通信圏外になることに備えて、前側の補助通信部79が#2のアクセスポイント4と通信を開始する。ここで、この状態のままで遮蔽エリアに進入すると、時刻t7'の場合のように、前側の補助通信部79と#2のアクセスポイント4との通信が遮蔽により突然切断される。
【0159】
一方、本実施形態では、時刻t4の状態で、前側の補助通信部79が#2のアクセスポイント4と通信を行うと共に、後側の主通信部78が#2のアクセスポイント4と接続される。次に、時刻t5の状態では、#1,#2のアクセスポイント4の通信エリアのオーバーラップエリアから車両V1が抜け始める。時刻t6の状態では、後側の主通信部78が#2のアクセスポイント4と通信を行い、前側の補助通信部79も#2のアクセスポイント4と通信している。時刻t7では、前側の補助通信部79が遮蔽エリアに進入することで、前側の補助通信部79と#2のアクセスポイント4との接続が不良となるため、後側の主通信部78が遮蔽エリアに進入する前に、接続先を#1、#2以外のアクセスポイント4やマクロセル基地局2やスモールセル基地局3に切り替える処理が実施される。
【0160】
なお、時刻t6のタイミングで、前側の補助通信部79と#2のアクセスポイント4との接続を切断して、アクセスポイント4から送信されるビーコンを受信するスキャン状態となり、このビーコンのスキャン状態で遮蔽が検出される制御も可能である。
【0161】
図16は、ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0162】
ユーザ端末7は、接続先となるアクセスポイント4を選択する(ST301)。次に、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4に後側の主通信部78を接続する(ST302)。また、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4に前側の補助通信部79を接続する(ST303)。次に、ユーザ端末7は、後側の主通信部78でアクセスポイント4と通信を行う(ST304)。
【0163】
次に、ユーザ端末7は、前側の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良であるか否かを判定する(ST305)。ここで、前側の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良でない場合には(ST305でNo)、アクセスポイント4との通信が継続される。一方、前側の補助通信部79とアクセスポイント4との接続が不良である場合には(ST305でYes)、接続先を切り替える処理を実施する。
【0164】
(第4実施形態)
図17は、第4実施形態に係るユーザ端末7の概略構成を示すブロック図である。図17では、図6に示した第1実施形態に係るユーザ端末7と同様の構成要素については、同一の符号が付されている。本実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0165】
図17に示すように、本実施形態に係るユーザ端末7は、V2V通信部85(直接通信部)を備えている。V2V通信部85は、周辺に存在する他のユーザ端末7との間でITS通信の一種であるV2V通信(車車間通信)を行う。このITS通信は、ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)を利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯(例えば700MHz帯や5.8GHz帯)を利用した無線通信である。
【0166】
接続不良予測部84は、無線通信部71のアクセスポイント通信部76とアクセスポイント4の補助通信部27との接続状況に基づいて、近い将来にアクセスポイント通信部76とアクセスポイント4の主通信部26との接続が不良となることを予測する。接続不良予測部84によりアクセスポイント4との接続が不良となることが予測される場合には、無線通信部71の接続先を切り替える処理が行われる。
【0167】
また、ユーザ端末7では、接続不良予測部84によりアクセスポイント4との接続が不良となることが予測される場合には、V2V通信部85から、アクセスポイント4との接続が不良となる旨の接続不良情報を含むメッセージが、後方の車両のユーザ端末7に送信される。なお、V2V通信のメッセージには、位置情報取得部73で取得した自装置の位置情報も含まれる。また、V2V通信のメッセージには、移動速度や移動方向の情報が含まれてもよい。
【0168】
また、ユーザ端末7では、V2V通信部85により、前方の車両のユーザ端末7から送信されるV2V通信のメッセージが受信され、そのメッセージに接続不良情報が含まれる場合には、無線通信部71の接続先を切り替える処理が行われる。
【0169】
なお、アクセスポイント4、エッジサーバ5、及びNW制御サーバ6の構成は第1実施形態(図3図4図5参照)と同様である。
【0170】
図18は、無線通信システム1で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0171】
図18に示す例では、ユーザ端末7が搭載された車両V1の前方に別の車両V2が走行している。車両V2は大型車であり、車両V2の後側に遮蔽エリアが形成される。前側の車両V2が減速したり停止したりすることで、2台の車両V1,V2の車間距離が短くなると、前側の車両V2による遮蔽エリアに後側の車両V1が入る。また、車両V1の後方には、ユーザ端末7が搭載された別の車両V3が走行している。
【0172】
車両V2の遮蔽エリアに車両V1が入ると、車両V1に搭載されたユーザ端末7は、自装置の無線通信部71とアクセスポイント4の補助通信部27との接続が不良となることで、近い将来に、自装置の無線通信部71とアクセスポイント4の主通信部26との接続が不良となることを予測する。そして、車両V1に搭載されたユーザ端末7は、自装置の無線通信部71とアクセスポイント4の主通信部26との接続が不良となることが予測される場合には、無線通信部71の接続先を切り替える処理を行う。
【0173】
また、車両V1に搭載されたユーザ端末7は、自装置の無線通信部71とアクセスポイント4の主通信部26との接続が不良となることが予測される場合には、その旨の接続不良情報を含むメッセージを、V2V通信部85から後方の車両V3のユーザ端末7に送信する。
【0174】
後方の車両V3に搭載されたユーザ端末7は、前方の車両のユーザ端末7から送信されるV2V通信のメッセージを受信して、そのメッセージに接続不良情報が含まれる場合には、無線通信部71の接続先を切り替える処理を行う。
【0175】
ここで、車両V1に搭載されたユーザ端末7から送信されるV2V通信のメッセージには、ユーザ端末7の位置情報、すなわち、車両V1の位置情報も含まれる。これにより、後方の車両V2に搭載されたユーザ端末7は、前方の車両V1の位置情報と、自装置の位置情報、すなわち、車両V2の位置情報とに基づいて、車両V2が遮蔽エリアに進入するタイミングを予測することができる。具体的には、アクセスポイント4との接続が不良となるまでの猶予時間が推定される。したがって、後方の車両V2に搭載されたユーザ端末7は、自装置とアクセスポイント4との接続が不良となるまでの猶予時間を考慮して、接続先を切り替える処理を行うことができる。
【0176】
なお、本実施形態では、アクセスポイント4が、上下に配置された主通信部26及び補助通信部27を備えるが、第2実施形態(図10参照)と同様に、アクセスポイント4が単一の無線通信部21を備えていてもよい。この場合、車両V1に搭載されたユーザ端末7は、接続不良の予測ができないため、自装置の無線通信部71とアクセスポイント4との接続が不良となったタイミングで、その旨の接続不良情報を含むメッセージを、V2V通信部85から後方の車両V3のユーザ端末7に送信する。また、第2実施形態(図11参照)に示すように、アクセスポイント4は単一の無線通信部21であるが、ユーザ端末に主通信部78と補助通信部79を備えることでも同様の効果が得られる。
【0177】
図19は、ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0178】
ユーザ端末7は、接続先となるアクセスポイント4を選択する(ST401)。次に、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4の主通信部26に接続する(ST402)。また、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4の補助通信部27に接続する(ST403)。次に、ユーザ端末7は、アクセスポイント4の主通信部26と通信を行う(ST404)。
【0179】
次に、ユーザ端末7は、アクセスポイント4の補助通信部27との接続が不良であるか否かを判定する(ST405)。ここで、アクセスポイント4の補助通信部27との接続が不良でない場合には(ST405でNo)、次に、ユーザ端末7は、V2V通信により前方のユーザ端末7から接続不良情報を含むメッセージを受信したか否かを判定する(ST406)。ここで、接続不良情報を含むメッセージを受信していない場合には(ST405でNo)、アクセスポイント4との通信が継続される。
【0180】
一方、アクセスポイント4の補助通信部27との接続が不良である場合には(ST405でYes)、ユーザ端末7は、接続不良情報を含むメッセージをV2V通信で後方の車両に搭載されたユーザ端末7に送信する(ST407)。次に、ユーザ端末7は、接続先を切り替える処理を実施する(ST408)。
【0181】
また、ユーザ端末7は、接続不良情報を含むV2V通信のメッセージを受信した場合には(ST406でYes)、接続先を切り替える処理を実施する(ST408)。このとき、V2V通信のメッセージに含まれる前方の車両の位置情報と、自装置の位置情報、すなわち、自装置が搭載された車両の位置情報とに基づいて、アクセスポイント4との接続が不良となるまでの猶予時間を推定し、その猶予時間に基づいて接続先を切り替える処理が実施される。
【0182】
ここで、図18に示した例において、ユーザ端末7が前側の車両V1に搭載されたものである場合には、アクセスポイント4の補助通信部27との接続が不良であり(ST405でYes)、ユーザ端末7が後側の車両V2に搭載されたものである場合には、接続不良情報を含むメッセージを受信する(ST406でYes)。
【0183】
(第5実施形態)
図20は、第5実施形態に係るユーザ端末7の概略構成を示すブロック図である。図20では、図6に示した第1実施形態に係るユーザ端末7と同様の構成要素については、同一の符号が付されている。本実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0184】
図20に示すように、本実施形態に係るユーザ端末7は、センサ86を備えている。センサ86は、レーダ、ライダー(LiDar)、カメラなどであり、アクセスポイント4に設けられた標識物91(図21参照)を検出する。接続不良予測部84は、センサ86による標識物91の検出状況に基づいて、ユーザ端末7のアクセスポイント通信部76とアクセスポイント4の無線通信部21との接続が近い将来に不良になることを予測する。
【0185】
なお、アクセスポイント4の構成は第2実施形態(図10参照)と同様である。エッジサーバ5、及びNW制御サーバ6の構成は第1実施形態(図4図5参照)と同様である。
【0186】
図21は、無線通信システム1で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0187】
本実施形態では、アクセスポイント4に標識物91が設けられている。標識物91は、無線通信部21の下方に配置されている。一方、ユーザ端末7はセンサ86を備えている。センサ86は、レーダ、ライダー、カメラなどであり、アクセスポイント4の標識物91を検出する。標識物91は、センサ86としてのレーダ、ライダー、カメラによる検出が容易になるように構成される。例えば、センサ86がライダーであれば、標識物91はライダーの出射光を反射しやすい塗装が施されたものでもよい。
【0188】
ここで、図21(A)に示すように、ユーザ端末7がアクセスポイント4から離れた状態では、アクセスポイント4の無線通信部21とユーザ端末7のアクセスポイント通信部76とが接続されると同時に、ユーザ端末7のセンサ86がアクセスポイント4の標識物91を検出できる。一方、図21(B)に示すように、前方の車両V2による遮蔽エリアに車両V1が入ると、車両V1に搭載されたユーザ端末7では、まず、ユーザ端末7のセンサ86がアクセスポイント4の標識物91を検出できなくなり、次に、アクセスポイント4の無線通信部21とユーザ端末7のアクセスポイント通信部76との接続が不良になる。
【0189】
このため、まず、ユーザ端末7のセンサ86がアクセスポイント4の標識物91を検出できなくなると、近い将来に、アクセスポイント4の無線通信部21とユーザ端末7のアクセスポイント通信部76との接続が不良となることが予測される。そこで、本実施形態では、ユーザ端末7のセンサ86がアクセスポイント4の標識物91を検出できなくなると、ユーザ端末7では、接続先を切り替える処理が実施される。
【0190】
図22は、ユーザ端末7で行われる処理の流れを示すフロー図である。
【0191】
ユーザ端末7は、まず、接続先となるアクセスポイント4を選択する(ST501)。次に、ユーザ端末7は、接続先として選択したアクセスポイント4に接続する(ST502)。次に、ユーザ端末7は、アクセスポイント4と通信を行う(ST503)。
【0192】
次に、ユーザ端末7は、センサ86の出力に基づいて、アクセスポイント4の標識物91を検出できないか否かを判定する(ST504)。ここで、アクセスポイント4の標識物91を検出できた場合には(ST504でNo)、アクセスポイント4との通信が継続される。一方、アクセスポイント4の標識物91を検出できない場合には(ST504でYes)、接続先を切り替える処理を実施する(ST505)。
【0193】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0194】
例えば、本開示では、ユーザ端末7が搭載される移動体が自動車であるが、ユーザ端末7が搭載される移動体は自動車に限定されない。ユーザ端末7が搭載される移動体は、自転車、シニアカー、車椅子等のその他の車両であってもよく、また、歩行者などの車両以外の移動体であってよい。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本開示に係る無線通信システム、ユーザ端末、及び通信制御方法は、ユーザ端末が、基地局との通信が途切れる前に余裕を持って接続先の切り替えを適切に行うことができる効果を有し、道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末と基地局とが無線通信を行う無線通信システム、道路上を移動可能な移動体に搭載されて、基地局と無線通信を行うユーザ端末、及び道路上を移動可能な移動体に搭載されたユーザ端末において、基地局との無線通信を制御する通信制御方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0196】
1:無線通信システム
2:マクロセル基地局
3:スモールセル基地局
4:アクセスポイント(基地局)
5:エッジサーバ
6:NW制御サーバ
7:ユーザ端末
11:スモールセルエリア
12:マクロセルエリア
13:通信エリア
15:コアネットワーク
16:インターネット
18:接続点
21:無線通信部
22:バックホール通信部
23:有線通信部
24:記憶部
25:制御部
26:主通信部
27:補助通信部
31:無線品質測定部
32:位置情報取得部
33:経路接続部
34:無線制御部
35:有線制御部
41:通信部
42:記憶部
43:制御部
45:経路確立指示部
46:トラフィック情報収集部
47:アクセスポイント動作指示部
48:通信制御部
49:アプリケーション部
51:通信部
52:記憶部
53:制御部
61:情報収集部
62:グループ化部
63:経路設定部
64:トラフィック分析部
65:接続先優先度設定部
66:サービスエリア設定部
67:エッジサーバ動作制御部
68:アクセスポイント動作制御部
69:通信制御部
71:無線通信部
72:記憶部
73:位置情報取得部
74:制御部
75:スモールセル通信部
76:アクセスポイント通信部
78:主通信部
79:補助通信部
81:接続先選択部
82:アプリケーション部
83:無線制御部
84:接続不良予測部
85:V2V通信部(直接通信部)
86:センサ
91:標識物
V1-V3:車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22