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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051864
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】制御装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20240404BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F04D27/00 A
F04D27/00 H
H05K7/20 J
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158234
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206405
【弁理士】
【氏名又は名称】岸 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】横山 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】荒木 剛
(72)【発明者】
【氏名】三浦 進平
【テーマコード(参考)】
3H021
5E322
【Fターム(参考)】
3H021AA01
3H021BA20
3H021BA21
3H021BA30
3H021CA02
3H021CA03
3H021CA06
3H021CA07
3H021CA09
3H021DA02
3H021DA03
3H021DA04
3H021EA02
3H021EA03
3H021EA05
3H021EA11
3H021EA14
3H021EA20
5E322AB10
5E322BB03
5E322BB05
5E322BB06
(57)【要約】
【課題】変化するファン特性を加味してファンシステムを制御する。
【解決手段】ファンとファンを駆動するモータとを含むファンシステムを制御する制御部を備え、制御部は、ファンの特性であるファン特性に相関する相関情報を格納するファン特性格納部を持ち、相関情報に基づいてファンシステムを制御し、相関情報を、ファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する補正部を持つ制御装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと当該ファンを駆動するモータとを含むファンシステムを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記ファンの特性であるファン特性に相関する相関情報を格納するファン特性格納部を持ち、
前記相関情報に基づいて前記ファンシステムを制御し、
前記相関情報を、前記ファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する補正部を持つ、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ファンの雰囲気温度及び当該ファンの回転速度のうち少なくとも一つの値を取得し、
取得した前記値に基づいて前記相関情報を補正する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記モータの駆動電力、前記ファンの回転速度、及び当該ファンの静圧のうち少なくとも一つと、当該ファンの風量との関係に基づいて当該ファンの当該風量を制御する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記ファンの静圧に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該ファンの当該静圧との関係に基づいて当該ファンの当該静圧を監視する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記ファンシステムの異常に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該ファンシステムの当該異常との関係に基づいて当該ファンシステムの当該異常を監視する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記ファンシステムの前記異常は、当該ファンシステムの振動または当該ファンシステムの騒音である、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部が、前記ファンシステムを備えた冷凍装置の冷凍効率に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該冷凍装置の当該冷凍効率との関係に基づいて当該冷凍装置の当該冷凍効率を予測する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記ファンシステムを備えた冷凍装置の冷却能力に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該冷凍装置の当該冷却能力との関係に基づいて当該冷凍装置の当該冷却能力を予測する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項9】
ファンと当該ファンを駆動するモータとを含むファンシステムを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記ファンの雰囲気温度に相関する物理量を取得し、
取得した前記物理量の履歴に基づき、前記ファンシステムを制御する、
制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記ファンシステムと、前記ファンによって流体を搬送する流路と、当該流路に設置された熱交換器とを備えた冷凍装置の当該ファンの前記雰囲気温度を、当該ファンの周囲の温度および当該熱交換器の温度の少なくとも1つに基づいて推定する、
請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
ファンと当該ファンを駆動するモータとを含むファンシステムを制御するコンピュータに、
前記ファンの特性であるファン特性に相関する相関情報を格納する機能と、
前記相関情報に基づいて前記ファンシステムを制御する機能と、
前記相関情報を、前記ファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する補正部を持つ機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ファンの駆動電力に関する電力指標と計測されたファンの回転数との関係における正常境界からの逸脱値を算出し、ファンが筐体外部から外気を取り込んで放熱フィンに送風する送風路上の閉塞を検出する電子機器について記載されている。特許文献1では、ファンの軸受に用いられる潤滑油の劣化やファン回転部付近への塵埃の付着などが原因で、ファンの性能の経年変化に伴い閉塞の検出能が低下するのを補償するために、この経年変化に応じて算出した逸脱値を補正することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5175622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータにより駆動するファンを備えるファンシステムを制御するにあたって、ファンシステムの状況が推定される場合がある。この場合、例えばセンサ等から取得される情報と、予め保持されているファンの特性についての情報とに基づいて、ファンシステムの状況が推定される。しかしながら、ファン自体の経年変形の影響を受けてファンの特性が変化する場合、推定の結果が実際の状況から乖離し、ファンシステムの制御の精度が低下してしまう。
本開示は、変化するファン特性を加味してファンシステムを制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の制御装置は、ファンと当該ファンを駆動するモータとを含むファンシステムを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記ファンの特性であるファン特性に相関する相関情報を格納するファン特性格納部を持ち、前記相関情報に基づいて前記ファンシステムを制御し、前記相関情報を、前記ファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する補正部を持つ。この場合、変化するファン特性を加味してファンシステムを制御することができる。
ここで、前記制御部は、前記ファンの雰囲気温度及び当該ファンの回転速度のうち少なくとも一つの値を取得し、取得した前記値に基づいて前記相関情報を補正してもよい。この場合、ファンの雰囲気温度及びファンの回転速度のうち少なくとも一つに基づくファン特性の変化を加味してファンシステムを制御することができる。
また、前記制御部が、前記モータの駆動電力、前記ファンの回転速度、及び当該ファンの静圧のうち少なくとも一つと、当該ファンの風量との関係に基づいて当該ファンの当該風量を制御する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、モータの駆動電力、モータの回転速度、及びファンの静圧のうち少なくとも一つに基づくファン特性の変化を加味してファンの風量を制御することができる。
また、前記制御部が、前記ファンの静圧に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該ファンの当該静圧との関係に基づいて当該ファンの当該静圧を監視する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、ファンの静圧に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味してファンの静圧を監視することができる。
また、前記制御部が、前記ファンシステムの異常に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該ファンシステムの当該異常との関係に基づいて当該ファンシステムの当該異常を監視する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、ファンシステムの異常に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味してファンシステムの異常を監視することができる。
また、前記ファンシステムの前記異常は、当該ファンシステムの振動または当該ファンシステムの騒音でもよい。この場合、ファン特性の変化を加味してファンシステムの振動または当該ファンシステムの騒音の異常を監視することができる。
また、前記制御部が、前記ファンシステムを備えた冷凍装置の冷凍効率に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該冷凍装置の当該冷凍効率との関係に基づいて当該冷凍装置の当該冷凍効率を予測する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、冷凍装置の冷凍効率に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味して冷凍装置の冷凍効率を予測することができる。
また、前記制御部が、前記ファンシステムを備えた冷凍装置の冷却能力に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該冷凍装置の当該冷却能力との関係に基づいて当該冷凍装置の当該冷却能力を予測する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、冷凍装置の冷却能力に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味して冷凍装置の冷却能力を予測することができる。
他の観点から捉えると、本開示の制御装置は、ファンと当該ファンを駆動するモータとを含むファンシステムを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記ファンの雰囲気温度に相関する物理量を取得し、取得した前記物理量の履歴に基づき、前記ファンシステムを制御する。この場合、ファンの雰囲気温度に相関する物理量の履歴に基づくファン特性の変化を加味してファンシステムを制御することができる。
また、前記制御部は、前記ファンシステムと、前記ファンによって流体を搬送する流路と、当該流路に設置された熱交換器とを備えた冷凍装置の当該ファンの前記雰囲気温度を、当該ファンの周囲の温度および当該熱交換器の温度の少なくとも1つに基づいて推定してもよい。この場合、ファンの雰囲気温度を、実際に測定しなくても、取得することができる。
また、他の観点から捉えると、本開示のプログラムは、ファンと当該ファンを駆動するモータとを含むファンシステムを制御するコンピュータに、前記ファンの特性であるファン特性に相関する相関情報を格納する機能と、前記相関情報に基づいて前記ファンシステムを制御する機能と、前記相関情報を、前記ファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する補正部を持つ機能と、を実現させる。この場合、変化するファン特性を加味してファンシステムを制御させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の制御システムの概略構成図である。
図2】第1実施形態で使用される装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図3】第1の実施形態に係る油冷却装置の機能構成の一例を示した図である。
図4】本実施形態が適用されるファン特性を説明するための図であり、(A)は差圧特性、(B)は電力特性を示す図である。
図5】フィルタによる圧力損失とファンの減速度合いとの関係を説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示した図である。
図7】ファンの経年変形を示した図である。
図8】ファンの温度の履歴とファンの変形指標との関係を説明するための図である。
図9】ファンまたはモータの回転速度の履歴とファンの変形指標との関係を説明するための図であり、(A)はファンを45[℃]で回転させた場合、(B)はファンを60[℃]で回転させた場合を示した図である。
図10】ファンによる風量を制御する処理の流れを示したフローチャートである。
図11】ファンの回転速度とモータの駆動電力との関係を説明するための図である。
図12】フィルタの目詰まりを判定する処理の流れを示したフローチャートである。
図13】ファンの駆動力を無くす直前の回転速度が所定の回転速度のときのファンの減速時間とフィルタによる圧力損失指標との関係を説明するための図である。
図14】第3実施形態に係る制御システムの概略構成図である。
図15】ファンの静圧を制御する処理の流れを示したフローチャートである。
図16】ファンによる振動を抑制する処理の流れを示したフローチャートである。
図17】ファンの振動特性と振動エリアとの関係を示した図であり、(A)は経年変形していない初期のファンの場合、(B)は経年変形しているファンの場合を示す図である。
図18】モータに供給される相電流について周波数解析した結果を示す図であり、(A)はファンおよびモータのつり合いがとれている場合の各次数成分、(B)はファンおよびモータのつり合いがとれていない場合の各次数成分を示している。
図19】スペクトルの強度の差分を示す図である。
図20】ファンによる冷凍効率を制御する処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して実施形態を説明する。なお、図面上の寸法は、図面の明瞭化と簡略化のために実際の尺度から適宜変更されており、実際の相対寸法を表してはいない。図面において、同一の参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものである。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の制御システム100の概略構成図である。
制御システム100は、ファン6とファンを駆動するモータ7とを含む装置を制御するシステムである。制御システム100には、油冷却装置10と、油冷却装置10を制御する制御装置20とが設けられている。そして、制御システム100において、油冷却装置10と、制御装置20とは、通信回線を介して相互に情報通信が可能になっている。本実施形態の場合、通信回線は、各装置の間の情報通信を実現するものであれば特に制限されず、例えば、インターネットなどのネットワークを介して接続されている。
【0009】
ファンシステムの一例としての油冷却装置10は、ファンとファンを駆動するモータとを含み、油を冷却する。油冷却装置10は、例えば工作機械200の作動油や潤滑油、切削液(以下「油」という。)を、油タンク300を介して循環させて冷却する装置である。工作機械200として、例えば、成形機、プレス機などの産業機械が挙げられる。
【0010】
油冷却装置10は、圧縮機1と、凝縮器2と、減圧機構3と、蒸発器4と、ファン6と、モータ7と、コンピュータ8とを備える。圧縮機1と、凝縮器2と、減圧機構3と、蒸発器4とは、油を冷却する冷媒の連絡配管にて環状に接続され、バイパス機構5を備えた冷媒回路RCを構成する。
なお、冷媒回路RCと、ファン6と、モータ7と、コンピュータ8とは、筐体11に収容されている。この筐体11には、凝縮器2が配置される側面に吸気口12を設けられ、フィルタ13が取り付けられている。
【0011】
冷媒回路RCは、油を冷却する冷媒を循環させて冷却する冷媒回路である。
冷媒回路RCの接続には、連絡配管として、冷媒の状態に合わせて、液連絡配管やガス連絡配管などを用いる。
【0012】
圧縮機1は、冷媒が蒸発した状態のガス冷媒を圧縮する。具体的には、圧縮機1は、蒸発器4側の連絡配管から流入したガス冷媒を圧縮し、凝縮器2側の連絡配管へ吐出する。
凝縮器2側の連絡配管へ吐出されるガス冷媒は、圧縮によって温度及び圧力が上昇し、蒸発器4側の連絡配管から流入したガス冷媒に比べ、高温及び高圧のガス冷媒となる。
【0013】
熱交換器の一例としての凝縮器2は、圧縮された状態のガス冷媒を凝縮する。具体的には、凝縮器2は、圧縮機1側の連絡配管から流入した高温及び高圧のガス冷媒を冷却し、減圧機構3側の連絡配管へ吐出する。
減圧機構3側の連絡配管へ吐出される冷媒は、状態が冷却に伴う凝縮によって変化し、高温及び高圧の液体冷媒となる。
【0014】
減圧機構3は、ガス冷媒が凝縮された状態の液体冷媒を減圧する。具体的には、減圧機構3は、凝縮器2側の連絡配管から流入した高温及び高圧の液体冷媒の流量を調節し、蒸発器4側の連絡配管へ吐出する。
蒸発器4側の連絡配管へ吐出される液体冷媒は、流量の調節に伴う減圧によって温度及び圧力が下がり、凝縮器2側の連絡配管から流入した液体冷媒に比べ、低温及び低圧の液体冷媒となる。
減圧機構3は、例えば、開度が調節することが可能な電動膨張弁である。
【0015】
蒸発器4は、減圧された状態の液体冷媒を蒸発させる。具体的には、蒸発器4は、減圧機構3側の連絡配管から流入した低温及び低圧の液体冷媒を周囲と熱交換させ、圧縮機1側の連絡配管へ吐出する。
圧縮機1側の連絡配管へ吐出される冷媒は、状態が熱交換に伴う蒸発によって変化し、低温及び低圧のガス冷媒となる。
【0016】
上記により、蒸発器4において、油タンク300を介して循環する油は、冷媒回路RCを循環する冷媒と熱交換し、吸熱される。換言すると、蒸発器4において、油タンク300を介して循環する油は冷却される。
【0017】
バイパス機構5は、油タンク300を介して循環する油の冷却する能力を調節する。具体的には、バイパス機構5は、蒸発器4に供給する高温及び高圧のガス冷媒の流量を調節し、蒸発器4側の連絡配管へ吐出する。
バイパス機構5は、例えば、開度を調節することが可能な電動膨張弁である。
【0018】
ファン6は、油冷却装置10の外部から油冷却装置10内に流入し、凝縮器2を通過する空気の流れを生成する。具体的には、ファン6は、空気が吸気口12からフィルタ13を介して吸い込まれるように回転する。フィルタ13によりろ過された空気は、凝縮器2に供給された後、不図示の排気口から排出される。ファン6の回転によって流れる空気は、流体の一例である。
ファン6の配置は、上記の空気の流れを生成することが可能な場所であればよい。
【0019】
ファン6は、樹脂材料を用いて形成される。
また、ファン6は、モータ7によって駆動する回転体である。ファン6は、回転体のみを指し、ファンの軸受は含まない。
【0020】
モータ7は、ファン6を回転させる電動機である。換言すると、モータ7は、ファン6を駆動させる電動機である。具体的には、モータ7は、回転軸がファン6の回転中心部に直接またはギアを介して接続され、駆動電力が供給されるとファン6を駆動させる。
【0021】
コンピュータ8は、油冷却装置10に関する情報を処理し、油冷却装置10全体を制御する。具体的には、コンピュータ8は、油冷却装置10に関する情報を基に、油冷却装置10の異常を監視したり、冷媒回路RCやモータ7を制御したりする。
コンピュータ8は、例えば1または複数のマイクロコンピュータにより構成される。また、コンピュータ8は、例えば、所謂クラウド環境において、仮想のサーバマシンを用いてコンピュータ8の一部の機能を実現してもよい。
【0022】
油冷却装置10に関する情報としては、例えば冷媒回路RC内の冷媒の温度や圧力、冷媒回路RCを構成する部材の温度などが挙げられる。
その他、油冷却装置10に関する情報としては、例えばモータ7の運転時間や駆動電力、ファン6の温度や回転速度などが挙げられる。
また、その他、油冷却装置10に関する情報としては、例えばファン6の駆動力を無くしてからのファン6の回転速度が減速する度合い(以下「減速度合い」という。)などが挙げられる。この減速度合いには、例えばモータ7への電流の供給を停止してからファン6の回転速度が減速して停止するまでの時間(以下「減速時間」という。)が含まれる。
【0023】
筐体11は、この筐体11の内部で、ファン6の回転によって流れる空気が搬送される。具体的には、筐体11は、流路の一例として、吸気口12より流入する空気を搬送する流路を形成する。また、この流路は、筐体11内に配置されたダクト等の構造体により形成されてもよい。
本実施形態の場合、流路には、凝縮器2が設置される。
【0024】
フィルタ13は、筐体11に設けられ、空気が通過する経路を有する。例えば、フィルタ13が不織布で形成されている場合、不織布の繊維の隙間は、空気が通過する経路となる。
また、微粒子を含む空気がフィルタ13に供給された場合、フィルタ13の目詰まりが発生する。フィルタ13の目詰まりによって凝縮器2に供給される空気が減少し、油冷却装置10の油を冷却する能力が低下してしまう。
なお、本実施形態において、「微粒子」とは、空気中に浮遊する物体であり、例えば砂、ちり、花粉、オイルミストなどが挙げられる。
【0025】
制御装置の一例としての制御装置20は、ファン6の特性であるファン特性に相関する情報(以下「相関情報」という。)を用いて、ファンシステムを含む油冷却装置10を制御する。
具体的には、制御装置20は、油冷却装置10から、油冷却装置10に関する情報を取得する。制御装置20は、油冷却装置10に対して、油冷却装置10に関する情報に応じた相関情報を提供する。
制御装置20としては、例えば、コンピュータ装置、タブレット型情報端末、スマートフォン、その他の情報処理装置が挙げられる。また、制御装置20は、例えば、所謂クラウド環境において、複数の仮想のサーバマシンに分散させて制御装置20の機能を実現してもよい。
【0026】
図2は、第1実施形態で使用される装置のハードウェア構成の一例を示した図であり、油冷却装置10のコンピュータ8、制御装置20のハードウェア構成の一例を示している。
本実施形態に係る装置は、装置全体の動作を制御する制御部110を有している。また、装置は、油冷却装置10に関する情報が記録される2次記憶部120や、不図示の通信回線を介して情報の送受信を行う通信部130を有してもよい。さらに、装置は、ユーザからの入力操作を受け付けるキー、タッチパネルなどの入力部や、ユーザに対して画像や文字などを表示する液晶ディスプレイパネルや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネルなどからなる表示部を有してもよい。
【0027】
制御部の一例としての制御部110は、プロセッサの一例として装置全体を制御するCPU110a、CPU110aの作業用メモリ等として用いられるRAM110b、CPU110aにより実行されるプログラム等が格納されるROM110cを備えている。また、制御部110は、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる不揮発性メモリ110d、制御部110に接続される通信部130等の各部を制御するインターフェース部110eを備えている。
不揮発性メモリ110dは、例えば、電池によりバックアップされたSRAMやフラッシュメモリ等で構成される。また、制御部110が2次記憶部120に記憶されたプログラムを読み込むことによって、本実施形態の端末装置の各処理が実行される。
【0028】
2次記憶部120は、例えばハードディスク装置(HDD)や半導体メモリ等によって構成される。2次記憶部120は、油冷却装置10、制御装置20の商品形態によって異なる。
【0029】
ここで、CPU110aによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、制御部110へ提供できる。また、CPU110aによって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、制御部110へ提供してもよい。
【0030】
次に、油冷却装置10の機能構成について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る油冷却装置10の機能構成の一例を示した図である。
図3に示す油冷却装置10の各機能は、主にコンピュータ8によって実現される。
図3に示すように、油冷却装置10は、稼働記録データベース(DB)81と、ファン特性DB82とを有する。また、油冷却装置10は、駆動制御部83と、温度推定部84と、圧損推定部85と、目詰まり判定部86と、通信処理部87を有する。
【0031】
稼働記録DB81は、油冷却装置10が稼働している間に取得される値(以下「取得値」という。)が記録されている。取得値は、ファンシステムを構成する油冷却装置10の状況を示す物理量を示す値である。
換言すると、稼働記録DB81は、油冷却装置10の取得値の履歴を記憶している。
【0032】
取得値には、不図示のセンサで測定された測定値だけでなく、駆動制御部83による制御に伴う値が含まれる。駆動制御部83による制御に伴う値は、駆動制御部83に制御されている状態の値に限られず、駆動制御部83に制御されていたときの状態に応じた制御されていない状態の値であってもよい。
センサで測定された測定値としては、例えば凝縮器2の温度などの各種の温度が含まれる。また、駆動制御部83による制御に伴う値としては、例えばファン6の減速時間Ti、ファン6またはモータ7の回転速度N、ファン6またはモータ7の運転時間tiが含まれる。
【0033】
ファン6の減速時間Tiは、油冷却装置10の電源がオフされる前にモータ7の駆動電力の供給を停止して取得されてもよい。ファン6の減速時間Tiは、例えば油冷却装置10の電源がオンになって冷媒回路RCが稼働するまでの間に、ファン6を回転駆動させた後にモータ7の駆動電力の供給を停止して取得されてもよい。
【0034】
ファン特性格納部の一例としてのファン特性DB82は、ファン6のファン特性に相関する相関情報が格納されている。換言すると、ファン特性DB82は、ファン6について相関情報を記憶している。
【0035】
相関情報には、例えばファンシステムの状況の推定に使用される情報である内部ファン特性が含まれる。この内部ファン特性は、例えばファン6のファン特性自体を表す関係式や、テーブルなどである。
その他、相関情報には、例えばファンシステムの制御に使用されるパラメータである制御パラメータが含まれる。この制御パラメータは、例えば指令されたファンシステムの状況を実現させるために駆動制御部83が使用する指令値や、目詰まり判定部86が使用する閾値などである。
【0036】
ここで、ファン6のファン特性について説明する。
図4は、本実施形態が適用されるファン特性を説明するための図であり、(A)は差圧特性、(B)は電力特性を示す図である。
図4(A)にて、差圧特性は、フィルタ13の前後の差圧を示す静圧Psとファン6による風量Qとの関係である。ファン6の回転速度NがN1,N2,N3と異なる場合であっても、回転速度Nに対応する差圧特性どうしには相似性がある。
図4(B)にて、電力特性は、実線にて示す差圧特性だけでなく、破線にて示す所定の回転速度Nにおけるモータ7の駆動電力Wとファン6による風量Qとの関係を考慮したものである。この電力特性は、一の風量Qと一の静圧Psの場合のモータ7の駆動電力Wを示す。
【0037】
本実施形態が適用されるファン特性には、上記のファン特性に限られるものではなく、ファン6の回転速度Nと振動との関係、ファン6の回転速度Nと騒音との関係などが含まれる。換言すると、本実施形態が適用されるファン特性は、ファン6が関与する相関関係を示す情報であって、油冷却装置10のファンシステムの状況を示す情報であればよい。
【0038】
図3の説明に戻る。
駆動制御部83は、ファン6の特性であるファン特性に相関する情報(以下「相関情報」という。)に基づき、モータ7に供給される電流を調整し、ファン6の駆動を制御する。モータ7に供給される電流は、ファン6の駆動力である。例えばモータ7が三相モータである場合、モータ7に供給される電流は、三相の交流駆動電流である。
具体的には、駆動制御部83は、例えば直流源からの直流をモータ7に供給される交流に変化するインバータ回路を有し、このインバータ回路内の複数のスイッチング素子をスイッチングにより、モータ7を駆動させる。モータ7の駆動により、ファン6を回転させる。
また、駆動制御部83は、ファン6について駆動力や回転速度を調整し、例えばファン6の回転による風量、振動、騒音などを制御する。
【0039】
温度推定部84は、ファン6の温度に相関する情報を取得して、ファン6の温度を推定する。換言すると、温度推定部84は、ファン6の温度に相関する情報を取得して、ファン6の雰囲気温度を推定する。
なお、本実施形態では、ファン6の雰囲気温度は、ファン6が置かれる雰囲気の温度に限られるものでなく、ファン6によって吸入した空気の温度を示すファン6の吸気温度でもよいし、ファン6自体の温度でもよい。
【0040】
ファン6の温度に相関する情報として、例えばファンの周囲の空気の温度を測定した測定値、ファン6自体の温度を直接測定した測定値が挙げられる。また、ファン6の温度に相関する情報として、例えば凝縮器2の温度を測定した測定値、ファン6によって吸入した空気の温度を測定した測定値などが挙げられる。
温度推定部84は、不図示のセンサで測定された上記の測定値をファン6の温度として推定してもよいし、測定値に基づいて算出された値をファン6の温度として推定してもよい。
【0041】
圧損推定部85は、フィルタ13による圧力損失に関する圧力損失指標zを推定する。具体的には、圧損推定部85は、ファン6の減速度合いに基づいて、フィルタ13による圧力損失の度合いを推定する。
【0042】
ファン6の駆動力を無くしてもファン6は慣性で回転し続けようとするが、ファン6やモータ7に負荷トルクToが発生するため、ファン6やモータ7の回転速度は減速する。負荷トルクToは、下記式(1)で表される。また、フィルタ13の目詰まりが発生した場合の静圧Psは、フィルタ13の目詰まりが発生していない場合の静圧Psよりも大きくなるため、フィルタ13による圧力損失の度合いが大きくなる。
【0043】
【数1】

To:負荷トルク
Ps:静圧[Pa]
Pv:動圧[Pa]
Q:風量[m/sec]
N:ファン6またはモータ7の回転速度[rps]
【0044】
図5は、フィルタ13による圧力損失とファン6の減速度合いとの関係を説明するための図である。
図5では、ファン6が、フィルタ13による圧力損失が増加した場合に負荷トルクToが増加するファン特性を有するファンである場合を例としている。この場合、ファン6は、例えばプロペラファンなどの軸流ファンである。
【0045】
図5に示す例では、縦軸にファン6の回転速度N[rpm]を示し、ファン6の駆動力を無くす直前の回転速度Nが所定の回転速度のときの、ファン6の駆動力を無くしてからファン6の回転速度が減速して停止するまでのファン6の減速時間Tiを測定した結果を示している。ファン6の減速時間Ti[sec]は、ファン6の駆動力を無くしてから、ファン6の回転が停止するまでの時間を測定した。
図5に示すように、ファン6の回転速度Nが同一条件下において、フィルタ13の目詰まりが発生している場合のファン6の減速時間Tiは、フィルタ13の目詰まりが発生していない場合のファン6の減速時間Tiに比べて短い。換言すると、ファン6の回転速度Nが同一条件下において、フィルタ13による圧力損失の度合いが大きい場合のファン6の減速度合いは、フィルタ13による圧力損失の度合いが小さい場合のファン6の減速度合いに比べて大きい。
【0046】
また、図5に示すように、フィルタ13による圧力損失の度合いと、ファン6の回転速度N[rpm]と、ファン6の減速時間Ti[sec]とは相関関係を示す。この相関関係を用いて、ファン6の回転速度Nとファン6の減速時間Tiとに基づいて、フィルタ13の圧力損失指標zを推定することが可能である。
【0047】
図3に示す目詰まり判定部86は、フィルタ13が目詰まりしているか否かを判定する。具体的には、目詰まり判定部86は、フィルタ13の圧力損失指標zが、予め設定されている閾値以上である場合にはフィルタ13の目詰まりが発生していると判定し、閾値未満である場合にはフィルタ13の目詰まりは発生していないと判定する。
また、目詰まり判定部86は、例えばファン6の減速度合いが、ファン6の回転速度Nごとに設定されている閾値以上である場合にはフィルタ13の目詰まりが発生していると判定し、閾値未満である場合にはフィルタ13の目詰まりは発生していないと判定する。
ここで、ファン6の回転速度Nごとに設定されている閾値とは、例えばファン6の減速度合いが、ファン6の減速時間Tiである場合、ファン6の駆動力を無くす直前の回転速度Nごとに設定される閾値である。また、目詰まり判定部86によるフィルタ13の目詰まりの判定のときのファン6の駆動力を無くす直前の回転速度Nが予め1つに設定されている場合には、複数の閾値を設けずに、1つの閾値のみが設定されていてもよい。
【0048】
通信処理部87は、ファン6に関する情報を制御装置20へ送信する。また、通信処理部87は、ファン6に関する情報を制御装置20から受信する。
【0049】
次に、制御装置20の機能構成について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る制御装置20の機能構成の一例を示した図である。
図6に示す制御装置20の各機能は、主に制御部110によって実現される。
図6に示すように、制御装置20は、変形推定部21と、特性推定部22と、通信処理部23とを有する。また、制御装置20は、ファン特性格納部の一例として、ファン6のファン特性に相関する相関情報が格納されているファン特性DB24を有する。
【0050】
変形推定部21は、ファン6の経年に応じた変形(以下「経年変形」という。)に相関する指標である変形指標xを推定する。
具体的には、変形推定部21は、油冷却装置10の取得値の履歴に基づいて、ファン6の経年変形に応じた変形の度合いを推定する。
なお、変形推定部21は、ファン6の変形指標xとして、ファン6の経年変形に相関する指標だけではなく、ファン6が変形した量(以下「変形量」という。)を推定してもよい。
【0051】
回転しているファン6には応力が作用し、ファン6の樹脂材料の弾性率に応じた歪みが発生する。この応力が持続して作用する場合、時間が経過するほど、ファン6の樹脂材料の弾性率が変化し、歪みが増大することにより、いわゆるクリープ変形が生じる。本実施形態では、ファン6の経時または経年に応じたクリープ変形を、経年変形と称する。
【0052】
図7は、ファン6の経年変形を示した図である。
図7に示すファン6aは新品である。一方で、図7に示すファン6bは、ファン6aと同一の形状のファンであって、60℃の環境下、回転速度1500[rpm]で170時間回転させたファンである。
【0053】
図7に示す例では、ファン6の羽根の高さを比較した場合、ファン6aとファン6bとの間で、羽根の高さに差が生じている。具体的には、ファン6bは経年変形し、8mmの変形量が生じている。図7に示すファン6bが回転する際に受ける抵抗力は、経年変形していないファン6aと比較して減少する。
【0054】
変形推定部21は、例えばファン6の温度Tmの履歴に基づき、変形指標xを推定する。具体的には、変形推定部21は、例えば下記式(2)に基づき、変形指標xを算出する。
【0055】
【数2】

:変形指標
A,B:回転速度Nに基づく定数
Tm:ファン6の温度[℃]
ti:ファン6またはモータ7の運転時間[hrs]
【0056】
図8は、ファン6の温度Tmの履歴とファン6の変形指標xとの関係を説明するための図である。
図8では、ファン6の回転速度Nが同一条件下において、35℃,40℃,45℃,50℃,55℃,60℃でファン6を回転させた場合のファン6の変形量を示している。
【0057】
図8に示す例では、横軸にファン6またはモータ7の運転時間ti[hrs]を示し、ファン6の温度Tm[℃]ごとに、ファン6の変形指標xとして変形量[mm]を測定した測定値を示している。また、曲線で示す回帰曲線は、点で示した変形量の測定値の傾向を反映している。
ファン6の変形指標xは、ファン6の回転速度Nに基づく定数A,Bと、ファン6の温度Tmと、ファン6またはモータ7の運転時間tiとを、上記式(2)に代入することにより算出される。
【0058】
また、変形推定部21は、例えばファン6またはモータ7の回転速度Nの履歴に基づき、変形指標xを推定してもよい。具体的には、変形推定部21は、例えば下記式(3)に基づき、変形指標xを算出してもよい。
【0059】
【数3】

:変形指標
a,b:ファン6またはモータ7の回転速度Nとファン6の温度Tmとに基づく定数
ti:ファン6またはモータ7の運転時間[hrs]
【0060】
図9は、ファン6またはモータ7の回転速度Nの履歴とファン6の変形指標xとの関係を説明するための図であり、(A)はファン6を45[℃]で回転させた場合、(B)はファン6を60[℃]で回転させた場合を示した図である。
図9では、45[℃]または60[℃]の条件下で、1500[rpm],1060[rpm]でファン6を回転させた場合のファン6の変形量を示している。
【0061】
図9に示す例では、横軸にファン6またはモータ7の運転時間tiを示し、ファン6またはモータ7の回転速度Nごとに、ファン6の変形指標xとして変形量[mm]を測定した測定値を示している。また、曲線で示す回帰曲線は、点で示した変形量の測定値の傾向を反映している。
ファン6の変形指標xは、ファン6またはモータ7の回転速度Nとファン6の温度Tmとに基づく定数a,bと、ファン6またはモータ7の運転時間tiとを、上記式(3)に代入することにより算出される。
【0062】
次に、条件を途中で変更してファン6を運転した場合の変形指標xの推定方法を説明する。
例えば、ファン6を、45[℃],1500[rpm]の条件下で5時間運転した後に、60[℃],1500[rpm]の条件で2時間運転した場合を想定する。
【0063】
まず、例えば上記式(3)に、ファン6の回転速度1500[rpm]とファン6の温度45[℃]とに基づく定数と、ファン6の運転時間5[hrs]とを代入することにより、ファン6の変形指標x′が算出される。
次いで、上記式(3)に、ファン6の回転速度1500[rpm]とファン6の温度60[℃]とに基づく定数と、算出された変形指標x′とを代入することにより、60[℃],1500[rpm]の条件下で、変形指標x′に到達する運転時間ti′が算出される。
そして、上記式(3)に、ファン6の回転速度1500[rpm]とファン6の温度60[℃]とに基づく定数と、算出された運転時間ti′に2時間加算した時間[hrs]とを代入することにより、ファン6の変形指標xが算出される。
なお、条件を途中で変更してファン6を運転した場合の変形指標xの推定方法は上記の方法に限られず、ファン6の運転履歴を加味して推定されればよい。
【0064】
上述の例では、変形推定部21は、変形指標xを算出して推定しているが、これに限られない。変形推定部21は、例えばファン6の温度Tmと、ファン6またはモータ7の回転速度Nと、ファン6またはモータ7の運転時間tiと、変形指標xの相関関係を示した相関図やテーブルを用いて、変形指標xを推定してもよい。
【0065】
図6の説明に戻る。
特性推定部22は、ファン6のファン特性に関する情報を推定する。
具体的には、特性推定部22は、油冷却装置10の取得値の履歴に基づいて、ファン6の経年変形に応じたファン特性に相関する相関情報を推定する。
【0066】
ファン特性は、ファン6の経年変形に応じて相関関係が変化する。具体的には、経年変形したファン6のファン特性に相関する相関情報は、経年変形していない初期のファン6のファン特性y(以下「初期特性y」という。)に相関する相関情報とは異なる。
【0067】
特性推定部22は、ファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて相関情報を推定する。換言すると、特性推定部22は、ファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて相関情報を補正する。
特性推定部22は、補正部の一例である。
【0068】
特性推定部22は、例えば油冷却装置10の取得値の履歴に基づいて、ファン6の経年変形に応じた内部ファン特性として、経年変形したファン6に対応するように補正されたファン特性Y(以下「補正特性Y」という。)を推定する。具体的には、特性推定部22は、例えば下記式(4)に基づき、補正特性Yを算出する。
【0069】
【数4】

Y:補正特性
y:初期特性
:変形指標
Tm:ファン6の温度
A,B:回転速度Nに基づく定数
a,b:ファン6またはモータ7の回転速度Nとファン6の温度Tmとに基づく定数
ti:ファン6またはモータ7の運転時間[hrs]
【0070】
特性推定部22は、ファン6のファン特性を表す関係式自体を補正する構成に限られない。特性推定部22は、初期特性yにより算出された結果に、経年変形したファン6に対応するように補正値を足して相関情報を推定してもよい。
その他、特性推定部22は、例えば油冷却装置10の取得値の履歴に基づいて、ファン6の経年変形に応じた制御パラメータとして、経年変形したファン6に対応するように補正された指令値や、閾値などを推定してもよい。
取得値の履歴を用いた補正特性Yの算出は、予め定められた条件が成立したときに実施されてもよい。「予め定められた条件が成立したとき」として、例えば目詰まり判定部86によるフィルタ13の目詰まりの判定のとき、油冷却装置10の電源がオンされたとき、または油冷却装置10の電源がオフされたときに、取得値の履歴を用いた補正特性Yの算出が実施されてもよい。また、「予め定められた条件が成立したとき」として、例えば、予め定められた時間が経過するときや、ファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値が変わるときなどに、取得値の履歴を用いた補正特性Yの算出が実施されてもよい。
【0071】
また、その他、特性推定部22は、例えば油冷却装置10の取得値の履歴を取得して、経年変形したファン6に対応するファン特性を学習してもよい。
この場合、制御装置20は、少なくともファン6の温度Tmに相関する物理量の履歴に基づき、油冷却装置10が制御されるようにする。
なお、特性推定部22の機能は、上記の機能に限られず、ファン6の経年変形に応じて変化する相関関係に基づいて油冷却装置10が制御されるように、相関情報が処理されればよい。
【0072】
通信処理部23は、ファン6に関する情報を油冷却装置10から受信する。具体的には、通信処理部23は、ファンシステムを構成する油冷却装置10の状況を示す物理量を示す取得値を、油冷却装置10から受信する。
また、通信処理部23は、ファン6に関する情報を油冷却装置10へ送信する。具体的には、通信処理部23は、ファン6について相関情報を、油冷却装置10へ送信する。
【0073】
(風量制御)
次に、ファン6による風量を制御する処理について説明する。
図10は、ファン6による風量を制御する処理の流れを示したフローチャートである。
図10では、一の風量Qを実現するファン6の回転速度Nとモータ7の駆動電力Wとの相関関係を示す風量特性に基づいて、風量が一定に制御される場合を例としている。
なお、風量特性は、ファン特性の一例であり、モータ7の駆動電力W、ファン6の回転速度N、及びファン6の静圧Psのうち少なくとも一つと、ファン6による風量との関係を表す。
【0074】
油冷却装置10は、一の風量Qを指令する(S101)。具体的には、油冷却装置10は、ファン6による風量Qが、例えば風量Qとなるように指令する。
次いで、油冷却装置10は、取得値として、ファン6の回転速度N1とモータ7の駆動電力W1とを取得する(S102)。具体的には、油冷却装置10は、風量Qに相関する物理量として、ファン6の回転速度N1とモータ7の駆動電力W1とを取得する。
油冷却装置10は、取得値とファン6の風量特性とを比較する(S103)。
【0075】
ここで、ファン6の風量特性について説明する。
図11は、ファン6の回転速度Nとモータ7の駆動電力Wとの関係を説明するための図である。
図11では、フィルタ13による圧力損失がある場合にも一の風量Qを実現する風量特性について、ファン6の回転速度Nとモータ7の駆動電力Wとの相関関係を示している。
【0076】
図11に示す例では、風量Qを実現する風量特性A、風量Qよりも大きい風量Qを実現する風量特性B、風量Qよりも大きい風量Qを実現する風量特性Cについて、ファン6の回転速度Nとモータ7の駆動電力Wとの相関関係が実線にて示されている。
図11に示す相関関係は、経年変形していない初期のファン6の風量についての初期特性yを示している。
例えばフィルタ13の目詰まりが発生していない状態にて、回転速度N1,駆動電力W2の条件下でファン6を回転させた場合、風量Qが送風される。
【0077】
一方、例えばフィルタ13の目詰まりが発生している状態にて、回転速度N1の条件下でファン6を回転させた場合、フィルタ13を通過する空気が減少しているため、風量Qは風量Qよりも小さくなる。図11に示す例では、回転速度N1,駆動電力W1の条件下でファン6を回転させた場合、風量Qよりも小さい風量Qが送風される。
【0078】
フィルタ13の目詰まりが発生している状態にて、風量Qを実現するためには、例えばファン6の回転速度Nを回転速度N2に増加させ、モータ7の駆動電力Wを、図11に示す風量特性Bに基づいて駆動電力W3に調整したらよい。
【0079】
次いで、油冷却装置10は、取得値とファン6の風量特性とに基づいて、風量Qを推定する(S104)。具体的には、油冷却装置10は、回転速度N1,駆動電力W1の交点である風量特性Aに基づいて、ファン6による風量Qが、例えば風量Qであると推定する。
【0080】
そして、油冷却装置10は、指令した風量Q(以下「指令風量Q」)と推定した風量Q(以下「推定風量Q」)とを比較する(S105)。
油冷却装置10は、指令風量Qと推定風量Qとの差の絶対値が所定値未満であるか否かを判定する(S106)。
【0081】
油冷却装置10は、指令風量Qと推定風量Qとの差の絶対値が所定値以上である場合(S106でNo)、回転速度Nを、指令風量Qと推定風量Qとの差に応じて増加または減少させる(S107)。具体的には、油冷却装置10は、指令風量Qと推定風量Qとの差の絶対値の大きさと、指令風量Qと推定風量Qとの大小関係とに応じて増加または減少させる。
例えば、指令風量Qが推定風量Qよりも大きい状態にて、指令風量Qと推定風量Qとの差の絶対値が閾値以上である場合には回転速度Nが2[rpm]増加され、指令風量Qと推定風量Qとの差の絶対値が閾値未満である場合には回転速度Nが1[rpm]増加されるようにする。また、指令風量Qが推定風量Qよりも小さい状態では、指令風量Qと推定風量Qとの差の絶対値の大きさに応じて回転速度Nが減少されるようにする。
次いで、油冷却装置10は、S102以降の処理を、指令風量Qと推定風量Qとの差の絶対値が所定値未満になるまで繰り返す。
S106にて、油冷却装置10は、指令風量Qと推定風量Qとの差の絶対値が所定値未満である場合(S106でYes)、処理を終了する。
【0082】
ファン6が経年変形している場合には、初期特性yから風量特性は変化する。そのため、図11に示す風量特性に基づいてモータ7の駆動電力Wを調整しても、風量Qを一定に制御することができない事態が生じ得る。
【0083】
本実施形態の場合、制御装置20が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、風量Qと回転速度Nと駆動電力Wとの相関関係を示す関係式を補正する。また、制御装置20が、風量Qと回転速度Nと駆動電力Wとの相関関係を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
これにより、油冷却装置10にて、ファン6の経年変形の有無にかかわらず、ファン6の風量を一定に制御することが図られる。
【0084】
その他、経年変形したファン6に対応するように一の風量Qの指令値が補正されるようにしてもよい。この場合、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した一の風量Qの指令値や、一の風量Qの指令値を経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を提供する。
【0085】
また、その他、油冷却装置10内の流路の風の流れにくさを示す、フィルタの目詰まり等による風路特性の変化の影響が小さい場合は、油冷却装置10は、風量Qと駆動電力Wとの相関関係を示す関係式に基づいて、指令した一の風量Qを実現させる駆動電力Wを特定してもよい。
この場合、油冷却装置10は、指令した駆動電力Wにて、指令した一の風量Qとなるように、ファン6の回転速度Nを調整する。具体的には、油冷却装置10は、指令した一の風量Qを実現することが可能な駆動電力Wとして指令した駆動電力Wにて、ファン6の回転速度Nの指令値を調整する。
【0086】
制御装置20は、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、風量Qと駆動電力Wとの相関関係を示す関係式を補正する。または、制御装置20は、風量Qと駆動電力Wとの相関関係を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
【0087】
その他、一の風量Qの指令値または回転速度Nの指令値が、経年変形したファン6に対応するように補正されるようにしてもよい。この場合、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した一の風量Qの指令値または回転速度Nの指令値や、一の風量Qの指令値または回転速度Nの指令値を経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を提供する。
【0088】
また、その他、油冷却装置10内の流路の風の流れにくさを示す、フィルタの目詰まり等による風路特性の変化の影響が小さい場合は、油冷却装置10は、風量Qと回転速度Nとの相関関係を示す関係式に基づいて、指令した一の風量Qを実現させる回転速度Nを特定してもよい。この場合、油冷却装置10は、指令した回転速度Nにて、指令した一の風量Qとなるように、ファン6の回転速度Nを調整する。具体的には、油冷却装置10は、指令した一の風量Qを実現することが可能な、ファン6の回転速度Nの指令値に調整する。
また、制御装置20は、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、風量Qと回転速度Nとの相関関係を示す関係式を補正する。または、制御装置20は、風量Qと回転速度Nとの相関関係を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
なお、油冷却装置10にて指令した一の風量Qとセンサなどにより測定される風量Qとが一致するように、ファン6の回転速度Nを調整する際の指令値について、制御装置20は、補正した指令値や補正値を提供しない。
【0089】
(第2実施形態)
上述した例では、本開示の制御装置20にて推定されるファン6の相関情報を、ファン6による風量Qの制御に利用したが、この限りではない。本開示の制御装置20にて推定されるファン6の相関情報を、例えばファン6の静圧Psの監視に利用してもよい。
ファン6の静圧Psの監視に利用される相関情報は、ファン特性の一例であり、ファン6の静圧Psに相関する物理量と、ファン6の静圧Psとの関係を表す。
【0090】
次に、ファン6の静圧Psの監視によって、フィルタ13の目詰まりを判定する処理について説明する。
図12は、フィルタ13の目詰まりを判定する処理の流れを示したフローチャートである。
図12では、回転速度Nのファン6の減速時間Tiとフィルタ13による圧力損失指標zとの相関関係を示す圧力損失特性に基づいて、フィルタ13の目詰まりが判定される場合を例としている。
【0091】
油冷却装置10は、取得値として、ファン6の減速時間Tiを取得する(S201)。具体的には、油冷却装置10は、圧力損失指標zに相関する物理量として、ファン6の減速時間Tiを取得する。
油冷却装置10は、取得値とファン6の圧力損失特性とを比較する(S202)。
【0092】
ここで、ファン6の圧力損失特性について説明する。
図13は、ファン6の駆動電力Wを無くす直前の回転速度Nが所定の回転速度のときのファン6の減速時間Tiとフィルタ13による圧力損失指標zとの関係を説明するための図である。
図13では、フィルタ13による圧力損失値[Pa]ごとに、ファン6a(図7参照)の減速時間Ti[sec]と、ファン6b(図7参照)の減速時間Ti[sec]とを示している。
【0093】
図13に示す例では、横軸にファン6の減速時間Tiを示し、ファン6に経年変形が生じていない場合とファン6に経年変形が生じている場合とで、フィルタ13の圧力損失指標zとして圧力損失値[Pa]を測定した測定値を示している。
図13に示す例では、フィルタ13による圧力損失値が40[Pa]の条件下で、経年変形が生じていないファン6の減速時間Tiが3.27[sec]であるのに対し、経年変形が生じているファン6の減速時間Tiは3.42[sec]である。
経年変形が生じているファン6は、経年変形が生じていないファン6に比べて、ファン6が受ける抵抗力が小さくなり、ファン6の減速時間Tiが長くなる。
【0094】
また、曲線で示す回帰曲線は、点で示した圧力損失値の測定値の傾向を反映している。
図13では、ファン6a(図7参照)の減速時間Tiとフィルタ13による圧力損失指標zとの相関関係が実線、ファン6b(図7参照)の減速時間Tiとフィルタ13による圧力損失指標zとの相関関係が破線にて示されている。
換言すると、図13では、経年変形が生じていない初期のファン6の圧力損失についての初期特性yが実線、経年変形が生じているファン6の圧力損失についての特性が破線にて示されている。
【0095】
次いで、油冷却装置10は、取得値とファン6の圧力損失特性とに基づいて、圧力損失指標zを推定する(S203)。具体的には、油冷却装置10は、減速時間Tiとファン6の圧力損失特性とに基づいて、圧力損失指標zを推定する。
油冷却装置10は、閾値に基づいてフィルタ13の目詰まりを判定する(S204)。具体的には、油冷却装置10は、圧力損失指標zが閾値以上である場合にはフィルタ13の目詰まりが発生していると判定し、圧力損失指標zが閾値未満である場合にはフィルタ13の目詰まりは発生していないと判定する。
【0096】
この処理例では、フィルタ13の目詰まりが発生していると判定された場合を想定する。
油冷却装置10は、フィルタ13の目詰まりを通知し(S205)、処理を終了する。具体的には、油冷却装置10は、例えば音、光、画像またはテキストの表示、電子メールなどの通信、またはこれらの何れかの組み合わせによって、フィルタ13の目詰まりを通知し、処理を終了する。
【0097】
ファン6が経年変形している場合には、圧力損失特性は初期特性yから変化する。そのため、図13に示す初期特性yに基づいてフィルタ13の目詰まりを判定しても、フィルタ13の目詰まりの判定の精度が低下してしまう事態が生じ得る。
【0098】
本実施形態の場合、制御装置20が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、減速時間Tiと圧力損失指標zとの相関関係を示す関係式を補正する。または、制御装置20が、減速時間Tiと圧力損失指標zとの相関関係を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
【0099】
油冷却装置10が、例えば油冷却装置10の取得値の履歴と、経年変形したファン6に対応するように補正された関係式とに基づき、圧力損失指標zを推定する。具体的には、油冷却装置10は、例えば下記式(5)に基づき、圧力損失指標zを算出する。
これにより、油冷却装置10にて、ファン6の経年変形の有無にかかわらず、フィルタ13の目詰まりの判定の精度を維持することが図られる。
【0100】
【数5】

z:圧力損失指標
Ti:減速時間
Y:補正特性
y:初期特性
:変形指標
Tm:ファン6の温度
A,B:回転速度Nに基づく定数
a,b:ファン6またはモータ7の回転速度Nとファン6の温度Tmとに基づく定数
ti:ファン6またはモータ7の運転時間[hrs]
【0101】
その他、油冷却装置10は、減速時間Tiが閾値未満である場合にはフィルタ13の目詰まりが発生していると判定し、減速時間Tiが閾値以上である場合にはフィルタ13の目詰まりは発生していないと判定してもよい。
この場合、制御装置20は、減速時間Tiについて設定された閾値を、経年変形したファン6に対応するように補正する。そして、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した減速時間Tiの閾値を提供する。
【0102】
圧力損失指標zに相関する物理量は、ファン6の減速時間Tiだけでなく、例えばモータ7の駆動電力W、ファン6の回転速度N、擾乱の度合いなどが挙げられる。「擾乱」とは、流体の流れる向き、流体の流れる速度、または流体の圧力が、不規則に変動している状態のことである。
【0103】
ファン6の回転速度Nを一定に制御している場合、ファン6の回転速度Nは僅かに変動するものの、ファン6の平均的な回転速度Nは一定になる。一方、フィルタ13の目詰まりが増大すると、フィルタ13による圧力損失値が大きくなる。フィルタ13による圧力損失値が大きくなると、ファンにより搬送される空気の擾乱の度合いが大きくなる。
【0104】
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態に係る制御システム2100の概略構成図である。
第3実施形態に係る制御システム2100は、第1実施形態に係る制御システム100に対して、油冷却装置10に相当するクリーンルーム210が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0105】
制御システム2100には、クリーンルーム210と、クリーンルーム210を制御する制御装置220とが設けられている。そして、制御システム2100において、クリーンルーム210と、制御装置220とは、通信回線を介して相互に情報通信が可能になっている。
【0106】
ファンシステムの一例としてのクリーンルーム210は、ファン206とファン206を駆動するモータ207とを含み、クリーンルーム210の静圧Psを制御する。クリーンルーム210は、例えば筐体211aで囲まれたクリーンルーム210の室内Rの気圧が、大気圧より高くなるように静圧Psを制御する装置である。
【0107】
クリーンルーム210は、ファン206と、モータ207と、コンピュータ208とを備える。ファン206と、モータ207と、コンピュータ208とは、筐体211bに収容されている。この筐体211bには、室内Rの空気を吸気する吸気口212と、室内Rの空気を排出する排気口214とが設けられている。また、この筐体211bには、室内Rから吸気した空気をろ過するフィルタ213aと、室内Rに排出する空気を浄化するフィルタ213bとが取り付けられている。
また、筐体211bは、筐体211aに収容されている。この筐体211aには、クリーンルーム210の外の空気を吸気するダクト215と、室内Rの空気をクリーンルーム210の外に排出するエアダンパ216とが設けられている。
【0108】
制御装置の一例としての制御装置220は、ファン206のファン特性に相関する相関情報に基づいてクリーンルーム210が制御されるようにする。
具体的には、制御装置220は、クリーンルーム210から、クリーンルーム210に関する情報を取得する。制御装置220は、クリーンルーム210に対して、クリーンルーム210に関する情報に応じた相関情報を提供する。
【0109】
(静圧制御)
次に、クリーンルーム210の室内Rの静圧Psを制御する処理について説明する。
図15は、ファン206の静圧Psを制御する処理の流れを示したフローチャートである。
図15では、一の静圧Psを実現するファン206の回転速度Nとモータ207の駆動電力Wとの相関関係を示す静圧特性に基づいて、風量が一定に制御される場合を例としている。
【0110】
クリーンルーム210は、一の静圧Psを指令する(S301)。
次いで、クリーンルーム210は、取得値として、ファン206の回転速度N1とモータ207の駆動電力W1とを取得する(S302)。
なお、静圧Psに相関する物理量は、ファン6の回転速度N1やモータ7の駆動電力W1に限られず、例えばファン6の減速時間Ti、擾乱の度合いなどが挙げられる。
【0111】
次いで、クリーンルーム210は、取得値とファン206の静圧特性とを比較する(S303)。
クリーンルーム210は、取得値とファン206の静圧特性とに基づいて、静圧Psを推定する(S304)。具体的には、クリーンルーム210は、回転速度N1,駆動電力W1の交点である静圧特性に基づいて、ファン206による静圧Psを推定する。
【0112】
そして、クリーンルーム210は、指令した静圧Ps(以下「指令静圧Ps」)と推定した静圧Ps(以下「推定静圧Ps」)とを比較する(S305)。
クリーンルーム210は、指令静圧Psと推定静圧Psとの差の絶対値が所定値未満であるか否かを判定する(S306)。
【0113】
クリーンルーム210は、指令静圧Psと推定静圧Psとの差の絶対値が所定値以上である場合(S306でNo)、回転速度Nを、指令静圧Psと推定静圧Psとの差に応じて増加または減少させる(S307)。具体的には、クリーンルーム210は、指令静圧Psと推定静圧Psとの差の絶対値の大きさと、指令静圧Psと推定静圧Psとの大小関係とに応じて増加または減少させる。
例えば、指令静圧Psが推定静圧Psよりも大きい状態にて、指令静圧Psと推定静圧Psとの差の絶対値が閾値以上である場合には回転速度Nが2[rpm]増加され、指令静圧Psと推定静圧Psとの差の絶対値が閾値未満である場合には回転速度Nが1[rpm]増加されるようにする。また、指令静圧Psが推定静圧Psよりも小さい状態では、指令静圧Psと推定静圧Psとの差の絶対値の大きさに応じて回転速度Nが減少されるようにする。
次いで、クリーンルーム210は、S302以降の処理を、指令静圧Psと推定静圧Psとの差の絶対値が所定値未満になるまで繰り返す。
S306にて、クリーンルーム210は、指令静圧Psと推定静圧Psとの差の絶対値が所定値未満である場合(S306でYes)、処理を終了する。
【0114】
この処理例の場合、制御装置220が、取得値であるファン206の温度Tm及びファン206の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、静圧Psと回転速度Nと駆動電力Wとの相関関係を示す関係式を補正する。または、制御装置220が、静圧Psと回転速度Nと駆動電力Wとの相関関係を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン206に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置220は、クリーンルーム210に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
これにより、ファン206の経年変形の有無にかかわらず、クリーンルーム210の室内Rの静圧Psを監視し、エアダンパ216などから室内Rへの空気の流入を防ぐことを図る。
【0115】
(第4実施形態)
本開示の制御装置20などにて推定されるファン6の相関情報を、例えばファンシステムの異常の監視に利用してもよい。
ファンシステムの異常の監視に利用される相関情報は、ファン特性の一例であり、ファンシステムの異常の監視に相関する物理量と、ファンシステムの異常の監視との関係を表す。
ファン6の相関情報は、例えばファン6の回転に伴う振動や騒音の監視や、ファンシステムの構成部品の異常の監視に利用される。
【0116】
(振動抑制)
次に、ファンシステムの異常の一例であるファン6による振動を抑制する処理について説明する。
図16は、ファン6による振動を抑制する処理の流れを示したフローチャートである。
図16では、フィルタ13の前後の差圧特性と油冷却装置10内の流路の風の流れにくさを示す風路特性との相関関係を示す振動特性に基づいて、ファン6による振動が制御される場合を例としている。
【0117】
油冷却装置10は、取得値として、ファン6の回転速度N1とモータ7の駆動電力W1とを取得する(S401)。ファン6による振動に相関する物理量は、ファン6の回転速度N1やモータ7の駆動電力W1に限られず、例えばファン6の減速時間Ti、擾乱の度合いなどが挙げられる。
油冷却装置10は、取得値とファン6の振動特性とを比較する(S402)。
【0118】
ここで、ファン6の振動特性について説明する。
図17(A),(B)は、ファン6の振動特性と振動エリアとの関係を示した図であり、(A)は経年変形していない初期のファン6の場合、(B)は経年変形しているファン6の場合を示す図である。
図17(A),(B)にて、ファン6の回転速度N(N1,N2,N3)が異なる差圧特性を実線、風路特性を破線にて示している。また、振動エリアは矩形で示した範囲である。差圧特性と風路特性との交点は、ファン6が回転速度Nで回転した場合の風量Qと静圧Psとを示す。
【0119】
図17(A)にて、ファン6が回転速度N2で回転した場合の風量Qおよび静圧Psの交点は、振動エリア内にある。この場合、ファン6の回転に伴う振動が生じる。
油冷却装置10は、回転速度N2を回避して、ファン6を回転速度N1または回転速度N3で回転させることで、ファン6の回転に伴う振動を抑制する。
【0120】
ファン6が経年変形している場合、差圧特性が変化し、ファン6の振動特性は変化する。
図17(B)に示す例では、ファン6が回転速度N2で回転した場合の風量Qおよび静圧Psの交点だけでなく、ファン6が回転速度N3で回転した場合の風量Qおよび静圧Psの交点が、振動エリア内にある。
この場合、油冷却装置10が、回転速度N2および回転速度N3を回避して、ファン6を回転速度N1で回転させることで、ファン6の回転に伴う振動を抑制する。
【0121】
次いで、油冷却装置10は、取得値とファン6の振動特性とに基づいて、ファン6の回転に伴う振動Sを推定する(S403)。
油冷却装置10は、閾値に基づいてファン6の回転に伴う振動の回避を判定する(S404)。具体的には、油冷却装置10は、推定される振動Sが閾値以上である場合には振動を回避すると判定し、推定される振動Sが閾値未満である場合には振動を回避しないと判定する。
【0122】
この処理例では、振動を回避すると判定された場合を想定する。
油冷却装置10は、振動特性を示す関係式に基づいて、ファン6の回転に伴う振動を回避する回転速度Nを特定する(S405)。
油冷却装置10は、特定した回転速度Nを指令し(S406)、処理を終了する。
【0123】
ファン6が経年変形している場合には、初期特性yから振動特性は変化する。そのため、回転速度N2を回避しても、ファン6の回転に伴う振動を抑制することができない事態が生じ得る。
【0124】
本実施形態の場合、制御装置20が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、振動特性を示す関係式を補正する。また、制御装置20が、振動特性を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
これにより、油冷却装置10にて、ファン6の経年変形の有無にかかわらず、ファン6の回転に伴う振動を抑制することが図られる。
また、閾値や振動エリアの範囲を、経年変形したファン6に対応するように補正してもよい。
【0125】
(通知処理)
油冷却装置10は、推定される振動が閾値以上である場合、ファン6の回転に伴う振動に関する情報を通知する通知処理を行う。
通知処理として、例えば振動が閾値以上である場合には不図示のランプが点灯されるようにしてもよい。
また、例えば振動が閾値未満である場合にはランプが点灯され、振動が閾値以上である場合にはランプが点滅されるようにしてもよい。
また、例えばランプの点滅を、振動が閾値未満である場合と振動が閾値以上である場合とで異なるようにしてもよい。具体的には、例えば振動が閾値未満である場合には1秒間の点灯と1秒間の消灯とが繰り返すようにランプが点滅され、振動が閾値以上である場合には1.4秒間の点灯と0.6秒間の消灯とが繰り返すようにランプが点滅されるようにしてもよい。
【0126】
その他、通知処理として、例えば振動が閾値以上であることを示す情報が表示部に表示されるようにしてもよい。
また、その他、通知処理として、例えば振動が閾値以上であることを示す情報が、ユーザが使用する端末装置に送信されるようにしてもよい。
なお、通知処理は上記の処理に限られず、例えば音、光、画像またはテキストの表示、電子メールなどの通信、またはこれらの何れかの組み合わせによって、ファン6の回転に伴う振動に関する情報を通知する処理が行われればよい。
【0127】
(騒音抑制)
上記の処理例と同様に、ファンシステムの異常の一例であるファン6による騒音を抑制してもよい。
この処理例の場合、フィルタ13の前後の差圧特性と油冷却装置10内の風路特性との相関関係を示す騒音特性に基づいて、ファン6による騒音が制御される。
また、油冷却装置10は、推定される騒音が閾値以上である場合、ファン6の回転に伴う騒音に関する情報を通知する通知処理を行ってもよい。
【0128】
また、この処理例の場合、制御装置20が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、騒音特性を示す関係式を補正する。また、制御装置20が、騒音特性を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
これにより、油冷却装置10にて、ファン6の経年変形の有無にかかわらず、ファン6の回転に伴う騒音を抑制することが図られる。
また、閾値を、経年変形したファン6に対応するように補正してもよい。
【0129】
(ファンシステムの構成部品の異常の監視)
次に、ファンシステムの異常の一例であるファンシステムの構成部品の異常を検知する処理について説明する。
ファンシステムの構成部品の異常として、例えばモータ7の軸受け異常、ミスアライメント、不図示のロータの破損、ファン6の破損、ファン6への汚れなどの付着、ファン6およびモータ7のアンバランスなどが挙げられる。
【0130】
この処理例の場合、油冷却装置10は、ファンシステムの構成部品の異常に相関する物理量に基づいて、ファンシステムの構成部品の異常を検知する。
ファンシステムの構成部品の異常に相関する物理量として、例えばファン6の減速時間Ti、モータ7の駆動電力W、ファン6の回転速度N、擾乱の度合い、電流次数成分などが挙げられる。
「モータ7の駆動電力W」とは、電流と電圧との積の合成量のことである。駆動電力Wは、例えば三相交流回路の場合、相電圧と相電流と力率との積の合成量である。
「電流次数成分」とは、基本波の周波数のn倍であるn次周波数ごとの各次数成分であって、例えばモータ7に供給される相電流に基づく各次数成分である。また、1次周波数は、基本波の周波数のことである。
【0131】
ここで、ファンシステムの構成部品の異常の一例であるファン6およびモータ7のアンバランスについて説明する。
図18は、モータ7に供給される相電流について周波数解析した結果を示す図であり、(A)はファン6およびモータ7のつり合いがとれている場合の各次数成分、(B)はファン6およびモータ7のつり合いがとれていない場合の各次数成分を示している。
図18(A),(B)では、モータ7に供給される相電流の各波形を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)で周波数解析した結果を例としている。図18(A),(B)は、横軸に周波数[Hz]を示し、縦軸に周波数ごとのスペクトルの強度を示している。
【0132】
図18(A)に示す例では、ファン6およびモータ7はつり合いがとれており、1次周波数である25[Hz]のみにスペクトルが存在する。
一方、図18(B)に示す例では、ファン6およびモータ7はつり合いがとれておらず、いわゆるアンバランスが発生しており、1次周波数だけでなく、20[Hz]と30[Hz]とに2つのスペクトルが存在する。この2つのスペクトルは、側帯波の周波数を示している。
【0133】
図19は、スペクトルの強度の差分を示す図である。
図19では、モータ7に供給される相電流について周波数解析した結果について、ファン6およびモータ7のつり合いがとれている場合(図18(A)参照)と、ファン6およびモータ7のつり合いがとれていない場合(図18(B)参照)との間での差分を例としている。
【0134】
1次周波数に係るスペクトルは、ファン6およびモータ7のつり合いがとれている場合と、ファン6およびモータ7のつり合いがとれていない場合との両方に存在する。また、1次周波数では、スペクトルの強度はほとんど変化していない。
一方、側帯波の周波数に係るスペクトルは、ファン6およびモータ7のつり合いがとれいる場合には存在せず、ファン6およびモータ7のつり合いがとれていない場合に存在する。そのため、側帯波の周波数である20[Hz]と30[Hz]とでは、スペクトルの強度の差分が、25[Hz]に比べて大きい。
【0135】
油冷却装置10は、図19に示すように、ファン6およびモータ7のつり合いがとれている場合のスペクトルの強度に対して差分が生じる場合、ファン6およびモータ7のアンバランスを検知する。換言すると、油冷却装置10は、ファン6およびモータ7のつり合いがとれている場合の電流次数成分とは異なる電流次数成分が検出される場合、ファン6およびモータ7のアンバランスを検知する。
油冷却装置10は、電流次数成分とファン6およびモータ7のアンバランスとの相関関係を示すバランス特性に基づいて、ファン6およびモータ7のアンバランスを検知する。
また、油冷却装置10は、ファン6およびモータ7のアンバランスを検知した場合、このアンバランスに関する情報を通知する通知処理を行ってもよい。
【0136】
この場合、制御装置20が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、バランス特性を示す関係式を補正する。また、制御装置20が、バランス特性を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置20は、油冷却装置10に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
これにより、油冷却装置10にて、ファン6の経年変形の有無にかかわらず、ファン6およびモータ7のアンバランスを検知することが図られる。
【0137】
(第5実施形態)
上述した例では、本開示の制御装置20にて推定されるファン6の相関情報を、油を冷却する油冷却装置10が利用したが、この限りではない。本開示の制御装置20にて推定されるファン6の相関情報を、例えば冷却する対象が油とは異なる液体や空気などである冷凍装置(不図示)などに利用してもよい。
【0138】
ファンシステムの一例としての冷凍装置は、ファン6とモータ7とを含むファンシステムと、ファン6によって空気を搬送する流路と、流路に設置された凝縮器2とを備えている。この場合、冷凍装置のファン6の温度は、ファン6の周囲の温度および凝縮器2の温度の少なくとも1つに基づいて推定される。
【0139】
(冷凍効率の推定)
次に、第5実施形態に係る冷凍装置の冷凍効率Rcを推定する処理について説明する。換言すると、第5実施形態に係る冷凍装置の冷凍効率Rcを予測する処理について説明する。
図20は、ファン6による冷凍効率Rcを制御する処理の流れを示したフローチャートである。
図20では、ファン6の静圧Psと冷凍装置の冷凍効率との相関関係を示す冷凍効率特性に基づいて、ファン6による冷凍効率が推定される場合を例としている。
冷凍効率特性は、ファン特性の一例であり、ファンシステムを備えた冷凍装置の冷凍効率Rcに相関する物理量と、冷凍装置の冷凍効率Rcとの関係を表す。
【0140】
冷凍装置は、取得値として、ファン6の回転速度N1とモータ7の駆動電力W1とを取得する(S501)。
なお、静圧Psに相関する物理量は、ファン6の回転速度N1やモータ7の駆動電力W1に限られず、例えばファン6の減速時間Ti、擾乱の度合い、電流次数成分などが挙げられる。また、静圧Psに相関する物理量は、冷凍効率Rcにも相関する物理量である。
【0141】
次いで、冷凍装置は、取得値とファン6の静圧特性とを比較する(S502)。
冷凍装置は、取得値とファン6の静圧特性とに基づいて、静圧Psを推定する(S503)。具体的には、冷凍装置は、回転速度N1,駆動電力W1の交点である静圧特性に基づいて、ファン6による静圧Psを推定する。
【0142】
ファン6による静圧Psは、フィルタ13の目詰まりにより上昇する。冷凍装置は、ファン6の減速時間Tiを取得している場合、減速時間Tiと圧力損失特性に基づく圧力損失指標zから、ファン6による静圧Psを推定してもよい。
【0143】
そして、冷凍装置は、ファン6による静圧Psと冷凍効率特性とを比較する(S504)。
冷凍装置は、推定される静圧Psと冷凍効率特性とに基づいて、冷凍効率Rcを特定し(S505)、処理を終了する。換言すると、冷凍装置は、推定される静圧Psと冷凍効率特性とに基づいて、冷凍効率Rcを推定し、処理を終了する。
また、推定される冷凍効率Rcが閾値未満である場合、冷凍装置の冷凍効率の悪化について通知する通知処理を行ってもよい。
【0144】
この処理例の場合、制御装置20が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、ファン6の静圧特性を示す関係式を補正する。または、制御装置20が、ファン6の静圧特性を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置20は、冷凍装置に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
これにより、ファン6の経年変形の有無にかかわらず、フィルタ13の目詰まりによる冷凍装置の冷凍効率の悪化を監視することを図る。
また、閾値を、経年変形したファン6に対応するように補正してもよい。
【0145】
(冷却能力の推定)
上記の処理例と同様に、第5実施形態に係る冷凍装置の冷却能力を推定してもよい。
この処理例の場合、ファン6の静圧Psと冷凍装置の冷却能力との相関関係を示す冷却能力特性に基づいて、冷凍装置の最大の冷却能力が推定される。換言すると、この処理例の場合、ファン6の静圧Psと冷凍装置の冷却能力との相関関係を示す冷却能力特性に基づいて、冷凍装置の最大の冷却能力が予測される。
冷却能力特性は、ファン特性の一例であり、ファンシステムを備えた冷凍装置の冷却能力に相関する物理量と、冷凍装置の冷却能力との関係を表す。
【0146】
また、冷凍装置は、推定される冷凍装置の最大の冷却能力に関する情報を通知する通知処理を行ってもよい。具体的には、冷凍装置の最大の冷却能力の劣化について通知する通知処理を行ってもよい。
【0147】
また、この処理例の場合も、制御装置20が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて、ファン6の静圧特性を示す関係式を補正する。静圧Psに相関する物理量は、冷却能力にも相関する物理量である。
または、制御装置20が、ファン6の静圧特性を示す関係式により算出された結果を、経年変形したファン6に対応するように補正する補正値を特定する。そして、制御装置20は、冷凍装置に、補正した関係式や、特定した補正値を提供する。
これにより、ファン6の経年変形の有無にかかわらず、冷凍装置の冷却能力の劣化を監視することを図る。
【0148】
また、本開示では、制御装置20が、油冷却装置10などの動作の制御に用いる相関情報を生成する構成としたが、これに限定されない。
例えば、油冷却装置10が制御装置20の機能を有してもよい。具体的には、油冷却装置10に、図6に示した変形推定部21や、特性推定部22等の機能を備えてもよい。
【0149】
ここで、上記にて説明した実施形態は、以下のように捉えることができる。
本開示の制御装置20にて、特性推定部22が、ファン特性に相関する相関情報をファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する。
この場合、油冷却装置10にて、補正された相関情報がファン特性DB82に格納される。また、補正された相関情報に基づいて、駆動制御部83,圧損推定部85,目詰まり判定部86による処理が実行され、ファンシステムが制御される。そのため、ファン6の経年変形に応じて変化するファン特性を加味して、ファンシステムを制御することができる。
なお、油冷却装置10でなく、クリーンルーム210,冷凍装置にて、補正された相関情報に基づいて、ファンシステムが制御されてもよい。
【0150】
また、特性推定部22は、ファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて相関情報を補正する。
この場合、油冷却装置10にて、補正された相関情報に基づいて、ファンシステムが制御される。そのため、ファン6の温度Tm、及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つに基づくファン特性の変化を加味してファンシステムを制御することができる。
なお、油冷却装置10でなく、クリーンルーム210,冷凍装置にて、補正された相関情報に基づいて、ファンシステムが制御されてもよい。
【0151】
また、特性推定部22が、モータ7の駆動電力W、モータ7の回転速度N、及びファン6の静圧Psのうち少なくとも一つと、ファン6の風量Qとの相関関係に基づいてファン6の風量Qを制御する場合、ファン特性はこの相関関係を表す。
具体的には、特性推定部22が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて相関情報を補正し、補正された相関情報に基づいて風量Qが制御される場合、ファン特性は風量Qの相関情報を表す。
この場合、モータ7の駆動電力W、モータ7の回転速度N、及びファン6の静圧Psのうち少なくとも一つに基づくファン特性の変化を加味してファン6の風量Qを制御することができる。
【0152】
また、特性推定部22が、ファン6の静圧Psに相関する物理量と、ファン6の静圧Psとの相関関係に基づいてファン6の静圧Psを監視する場合、ファン特性はこの相関関係を表す。
具体的には、特性推定部22が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて相関情報を補正し、補正された相関情報に基づいて静圧Psが監視される場合、ファン特性は静圧Psの相関情報を表す。
この場合、ファン6の静圧Psに相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味してファン6の静圧Psを制御することができる。
【0153】
また、特性推定部22が、ファンシステムの異常に相関する物理量と、ファンシステムの異常との相関関係に基づいてファンシステムの異常を監視する場合、ファン特性はこの相関関係を表す。
具体的には、特性推定部22が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて相関情報を補正し、補正された相関情報に基づいてファンシステムの異常が監視される場合、ファン特性はファンシステムの異常の相関情報を表す。
この場合、ファンシステムの異常に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味してファンシステムの異常を監視することができる。
【0154】
また、ファンシステムの異常は、ファンシステムの振動またはファンシステムの騒音である。
この場合、ファン特性の変化を加味してファンシステムの振動またはファンシステムの騒音の異常を監視することができる。
【0155】
また、特性推定部22が、ファンシステムを備えた冷凍装置の冷凍効率Rcに相関する物理量と、冷凍装置の冷凍効率Rcとの相関関係に基づいて冷凍装置の冷凍効率Rcを予測する場合、ファン特性はこの相関関係を表す。
具体的には、特性推定部22が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて相関情報を補正し、補正された相関情報に基づいて冷凍効率Rcが予測される場合、ファン特性は冷凍効率Rcの相関情報を表す。
この場合、冷凍効率Rcに相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味して冷凍効率Rcを監視することができる。
【0156】
また、特性推定部22が、ファンシステムを備えた冷凍装置の冷却能力に相関する物理量と、冷凍装置の冷却能力との相関関係に基づいて冷凍装置の冷却能力を予測する場合、ファン特性はこの相関関係を表す。
具体的には、特性推定部22が、取得値であるファン6の温度Tm及びファン6の回転速度Nのうち少なくとも一つの値に基づいて相関情報を補正し、補正された相関情報に基づいて冷却能力が予測される場合、ファン特性は冷却能力の相関情報を表す。
この場合、冷却能力に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味して冷却能力を監視することができる。
【0157】
また、他の観点から捉えると、本開示の制御装置20の特性推定部22が、ファン6の温度Tmに相関する物理量の履歴に基づいてファンシステムを制御する。
この場合、油冷却装置10にて、制御装置20によってファン6の温度Tmに相関する物理量の履歴を学習して生成した相関情報が、ファン特性DB82に格納される。そのため、ファン6の温度Tmに相関する物理量の履歴に基づくファン特性の変化を加味してファンシステムを制御することができる。
【0158】
また、特性推定部22は、ファンシステムと、ファン6の回転によって流れる空気が搬送される流路と、流路に設置された凝縮器2とを備えた冷凍装置のファン6の温度Tmを、ファン6の周囲の温度および凝縮器2の温度の少なくとも1つに基づいて推定する。
この場合、ファン6の温度Tm自体を実際に測定しなくても、取得することができる。
なお、温度推定部84が、ファン6の周囲の温度および凝縮器2の温度の少なくとも1つに基づいてファン6の温度Tmを推定し、ファン6の温度Tmを制御装置20に提供してもよい。
【0159】
また、他の観点から捉えると、本開示の制御装置20のプログラムは、油冷却装置10のファンシステムを制御する制御装置20に、ファン特性に相関する相関情報をファン特性DB24に格納する機能と、相関情報を油冷却装置10に提供してファンシステムを制御する機能と、相関情報を、ファン6の経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する特性推定部22を持つ機能と、を実現させる。
この場合、ファン6の経年変形に応じて変化するファン特性を加味して、ファンシステムを制御することができる。
なお、油冷却装置10だけでなく、クリーンルーム210や冷凍装置にて、補正された相関情報に基づいて、ファンシステムが制御されてもよい。
【0160】
また、上記で説明した各構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で変更できる。言い換えると、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解される。
上記にて説明した構成に限らず、上記にて説明した各構成の一部を省略したり、上記にて説明した各構成に対して他の機能を付加したりしてもよい。
【符号の説明】
【0161】
2…凝縮器、6…ファン、7…モータ、8…コンピュータ、10…油冷却装置、13…フィルタ、20,220…制御装置、21…変形推定部、22…特性推定部、23,87…通信処理部、24,82…ファン特性DB、81…稼働記録DB、83…駆動制御部、84…温度推定部、85…圧損推定部、86…目詰まり判定部、110…制御部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
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図11
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図14
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図16
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図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって駆動する回転体であるファンと、当該ファンの軸受とを含むファンシステムを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記ファンの特性であるファン特性に相関する相関情報を格納するファン特性格納部を持ち、
前記相関情報に基づいて前記ファンシステムを制御し、
前記相関情報を、前記ファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する補正部を持つ、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ファンの雰囲気温度及び当該ファンの回転速度のうち少なくとも一つの値を取得し、
取得した前記値に基づいて前記相関情報を補正する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記モータの駆動電力、前記ファンの回転速度、及び当該ファンの静圧のうち少なくとも一つと、当該ファンの風量との関係に基づいて当該ファンの当該風量を制御する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記ファンの静圧に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該ファンの当該静圧との関係に基づいて当該ファンの当該静圧を監視する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記ファンシステムの異常に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該ファンシステムの当該異常との関係に基づいて当該ファンシステムの当該異常を監視する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記ファンシステムの前記異常は、当該ファンシステムの振動または当該ファンシステムの騒音である、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部が、前記ファンシステムを備えた冷凍装置の冷凍効率に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該冷凍装置の当該冷凍効率との関係に基づいて当該冷凍装置の当該冷凍効率を予測する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記ファンシステムを備えた冷凍装置の冷却能力に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該冷凍装置の当該冷却能力との関係に基づいて当該冷凍装置の当該冷却能力を予測する場合、前記ファン特性は当該関係を表す、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項9】
モータによって駆動する回転体であるファンと、当該ファンの軸受とを含むファンシステムを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記ファンの雰囲気温度に相関する物理量を取得し、
取得した前記物理量の履歴に基づき、前記ファンシステムを制御する、
制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記ファンシステムと、前記ファンによって流体を搬送する流路と、当該流路に設置された熱交換器とを備えた冷凍装置の当該ファンの前記雰囲気温度を、当該ファンの周囲の温度および当該熱交換器の温度の少なくとも1つに基づいて推定する、
請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
モータによって駆動する回転体であるファンと、当該ファンの軸受とを含むファンシステムを制御するコンピュータに、
前記ファンの特性であるファン特性に相関する相関情報を格納する機能と、
前記相関情報に基づいて前記ファンシステムを制御する機能と、
前記相関情報を、前記ファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する補正部を持つ機能と、
を実現させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の制御装置は、モータによって駆動する回転体であるファンと、当該ファンの軸受とを含むファンシステムを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記ファンの特性であるファン特性に相関する相関情報を格納するファン特性格納部を持ち、前記相関情報に基づいて前記ファンシステムを制御し、前記相関情報を、前記ファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する補正部を持つ。この場合、変化するファン特性を加味してファンシステムを制御することができる。
ここで、前記制御部は、前記ファンの雰囲気温度及び当該ファンの回転速度のうち少なくとも一つの値を取得し、取得した前記値に基づいて前記相関情報を補正してもよい。この場合、ファンの雰囲気温度及びファンの回転速度のうち少なくとも一つに基づくファン特性の変化を加味してファンシステムを制御することができる。
また、前記制御部が、前記モータの駆動電力、前記ファンの回転速度、及び当該ファンの静圧のうち少なくとも一つと、当該ファンの風量との関係に基づいて当該ファンの当該風量を制御する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、モータの駆動電力、モータの回転速度、及びファンの静圧のうち少なくとも一つに基づくファン特性の変化を加味してファンの風量を制御することができる。
また、前記制御部が、前記ファンの静圧に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該ファンの当該静圧との関係に基づいて当該ファンの当該静圧を監視する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、ファンの静圧に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味してファンの静圧を監視することができる。
また、前記制御部が、前記ファンシステムの異常に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該ファンシステムの当該異常との関係に基づいて当該ファンシステムの当該異常を監視する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、ファンシステムの異常に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味してファンシステムの異常を監視することができる。
また、前記ファンシステムの前記異常は、当該ファンシステムの振動または当該ファンシステムの騒音でもよい。この場合、ファン特性の変化を加味してファンシステムの振動または当該ファンシステムの騒音の異常を監視することができる。
また、前記制御部が、前記ファンシステムを備えた冷凍装置の冷凍効率に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該冷凍装置の当該冷凍効率との関係に基づいて当該冷凍装置の当該冷凍効率を予測する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、冷凍装置の冷凍効率に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味して冷凍装置の冷凍効率を予測することができる。
また、前記制御部が、前記ファンシステムを備えた冷凍装置の冷却能力に相関する物理量を取得し、当該物理量と、当該冷凍装置の当該冷却能力との関係に基づいて当該冷凍装置の当該冷却能力を予測する場合、前記ファン特性は当該関係を表してもよい。この場合、冷凍装置の冷却能力に相関する物理量に基づくファン特性の変化を加味して冷凍装置の冷却能力を予測することができる。
他の観点から捉えると、本開示の制御装置は、モータによって駆動する回転体であるファンと、当該ファンの軸受とを含むファンシステムを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記ファンの雰囲気温度に相関する物理量を取得し、取得した前記物理量の履歴に基づき、前記ファンシステムを制御する。この場合、ファンの雰囲気温度に相関する物理量の履歴に基づくファン特性の変化を加味してファンシステムを制御することができる。
また、前記制御部は、前記ファンシステムと、前記ファンによって流体を搬送する流路と、当該流路に設置された熱交換器とを備えた冷凍装置の当該ファンの前記雰囲気温度を、当該ファンの周囲の温度および当該熱交換器の温度の少なくとも1つに基づいて推定してもよい。この場合、ファンの雰囲気温度を、実際に測定しなくても、取得することができる。
また、他の観点から捉えると、本開示のプログラムは、モータによって駆動する回転体であるファンと、当該ファンの軸受とを含むファンシステムを制御するコンピュータに、前記ファンの特性であるファン特性に相関する相関情報を格納する機能と、前記相関情報に基づいて前記ファンシステムを制御する機能と、前記相関情報を、前記ファンの経年変形に応じて変化するファン特性に対応するように補正する補正部を持つ機能と、を実現させる。この場合、変化するファン特性を加味してファンシステムを制御させることができる。